俺が考えたアリーシャヒロインのゼスティリア   作:具志健

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アリーシャを追って、戦場グレイブガント盆地へ。


第十話 穢れた戦場

 

グレイブガント盆地 スレイ一行が到着する少し前

ア「ランドン!」

 

ランドン「おお、これはこれはアリーシャ殿下。どうしてここへ。あなたの仕事場は戦場の最前線ですよ。一番激戦が繰り広げられる、ね」

 

ア「こちらの戦力は奇襲を受けて圧倒的に足りていない。このままでは無駄に前線の兵を死んでしまう!一度撤退して態勢を整えるべきだ」

 

ラ「現場の指揮を任されているのはわたしです。いくらアリーシャ殿下の御意見でも聞き入れるわけにはいきませぬな」

 

ア「しかし!」

 

ラ「アリーシャ殿下、あなたは自分の立場をわかっておられぬようだ。あなたは今、導師共々国への反逆罪に問われているのですぞ」

 

ア「スレイはそんな事してない!」

 

ラ「それを証明するための戦でもあるのですぞ、アリーシャ殿下。国への忠誠心を示すのです」

 

ア「……本当にわたしが戦果をあげたら、スレイのことは――」

 

ラ「不問に致しますよ、くっくっく」

 

ラ「さあ行きなさい!ローランスを血祭りにあげるのだ!」

 

ア「スレイ、すまない。わたしの力では戦争は止められない。わたしは無力だ……」

 

 

 

スレイ、グレイブガント盆地到着

「うおおおおお!」

 

ス「この声は?」

 

ミ「戦争が始まったのか」

 

ラ「自分のうちにある、正しいと思う気持ちは見失わないで、スレイさん」

 

ス「そんなに心配しないで。大丈夫だから」

 

ケ「…………」

 

エ「このままハイランド軍として戦っていいの?」

 

ケ「……スレイくん、ボクはローランス陣営へ行く」

 

ミ「ケイン、それってどういう――」

 

ケ「もちろん、ローランス軍に加わってハイランド軍と戦う訳じゃない。ローランス軍には知人がいる。その人を説得して戦争を止めるように説得しに行く」

 

エ「確率はずいぶん低いんじゃなかったっけ?」

 

ケ「ああ。でもこのまま戦争で人が死ぬのを黙って見てられないんだ!頼む、スレイくん」

 

ス「……わかった。行っておいで」

 

ケ「ありがとう。必ずキミの元に戻ってくる」

 

エ「…………」

 

ケインを見送る

 

ス「ケイン、死ぬなよ……」

 

ミ「僕たちも行こう」

 

 

 

ハイランド陣営

ランドン「来たか。導師」

 

ス「ルーカスたちとアリーシャは?」

 

ラ「右翼先鋒、奇襲部隊だ」

 

ス「わかった」

 

ラ「待たれよ、導師!貴様には中央に展開した……」

 

ス「…………」

 

ラ「指揮に従え!導師!ここは私の戦場だ」

 

ス「……オレのやるべきことは変わらない。ここが誰の戦場でも、だ!」

 

ラ「ガキ一人がどれほどのものか!大臣の目も曇ったものだ!我らも出るぞ!」

 

兵士「おおおお!」

 

 

 

戦場

ス「これが……戦場なんだね」

 

ラ「はい。この風景だけは昔も今も変わりません」

 

ミ「人が人でなくなるみたいだ」

 

エ「事実そうよ。英雄とか豪傑とか呼ばれた連中って大抵は憑魔なんだから」

 

ラ「戦場ほど穢れを生み、人がそれを受け入れてしまう場所もありませんから」

 

ミ「そんなところで名を残した者が英雄……か。憑魔だと言われれば納得だね」

 

ス「憑魔か……知らなかっただけで、ずっといたんだな」

 

ミ「スレイ、あっちの崖上なら、きっとアリーシャたちも見つけやすい」

 

エ「その分敵にも気付かれやすいルートね」

 

兵士「伝令!傭兵団の奇襲からの挟撃は失敗。本隊に合流する。急げ!」

 

ミ「何だって!?」

 

ス「アリーシャやルーカス達を見捨てるつもりなのか!」

 

兵士「彼らの犠牲を糧にせねば、より多くの兵が命を落とす!」

 

ス「彼らはまだ戦ってるじゃないか!」

 

兵士「これは戦争なんだ!いくぞ!」

 

ミ「スレイ、彼は兵士としての役目を果たしているだけだ。責められないよ」

 

ス「くそっ!こんな殺し合い、バカげてる!」

 

ラ「人々の怒りや憎しみであふれかえっていますわ!」

 

ミ「息苦しさの原因はそれだね。戦場はまさに穢れの坩堝だ」

 

ル「みんな諦めるな!まだ負けてないぞ!」

 

ス「ルーカスの声だ!」

 

エ「行くのね?」

 

ス「うん!頼むぞ、みんな!」

 

兵士「なんだお前は!お前もハイランド兵か!死ねええ!」

 

ス「はあああ!」

 

兵士「ぐわあああああ」

 

ラ「スレイさん……」

 

ス「だいじょうぶ。手加減してるよ」

 

スレイ兵士を圧倒。天族もそれを援護

 

ス「どけ!道をあけてくれよ!」

 

ミ「スレイ、油断して足下すくわれるなよ」

 

ス「わかってる!」

 

ラ「スレイさん……怒ってますわね」

 

エ「怒りたくもなるでしょうね」

 

兵士「一人に何、手間取っているんだ!ひるむな!」

 

ミ「フリーズランサー!」

 

ス「ぐわ!氷……だ、と!」

 

兵士「なんだこいつ、ただの長剣一本で……」

 

兵士「後ろががら空きだぜ!」

 

ミ「それはどうかな」

 

ガキーン!

 

兵士「なっ!なんだ!何に防がれたんだ!」

 

兵士「ば、化け物……」

 

ス「どいてくれ」

 

兵士「くっ。弓兵!」

 

大量の弓がスレイを襲う

 

ラ「ブリッツフレイム!」

 

兵士「バカな、あれだけの矢を一瞬で……」

 

兵士「弓も通用しないのか!」

 

ルーカス「これが導師の力なのかは……」

 

ス「ルーカス、帰ろう」

 

ル「あ、ああ……」

 

ス「退け!ローランス兵!」

 

兵士「なんだ!?何者だ、貴様ぁぁっ!」

 

ス「次はない!退け!」

 

エ「エアプレッシャー!」

 

兵士「うわああああ!」

 

兵士「こいつ、大地すら自在に操れるのか!」

 

兵士「あ、悪魔だ!ハイランドが悪魔を連れてきた!」

 

兵士「退け、退け!」

 

ル「スレイ、お前こんなに強かったのか……」

 

ス「…………。アリーシャがどこにいるか知っている?」

 

ル「あ、ああ。この丘をもっと越えた先だ。…………。」

 

ス「ありがとう」

 

ス「本当に無事でよかった」

 

ル「……スレイ、お前はいったい……」

 

ス「…………」

 

ミ「スレイ、彼らもいつか分かってくれる」

 

ラ「そうですわ」

 

ス「ありがとう……気休めでも今はうれしい」

 

エ「泣いてもいいけど?」

 

ス「ううん。まだ終わってないから。アリーシャを助けに行こう!」

 

 

 

ハイランド軍 最前線

ア「耐えるんだ、ハイランドの民よ!もうすぐ援軍が来るはずだ!」

 

兵士「もうこれ以上は持ちこたえません!」

 

兵士「俺たちは捨てられたんだ!もうここで死ぬしか……」

 

ア「諦めるな!生きる希望を捨ててはならない!きっと援軍が――」

 

兵士「いつになったら援軍は来るんですか!?あなた、さっきからそればっかり!いい加減なこと言わないでくださいよ!」

 

ア「そ、それは……」

 

兵士「報告です!ローランス軍が撤退していきます!」

 

ア「な、なんだって!一体どういうことだ!」

 

兵士「導師です!導師がローランス軍を蹴散らしています!」

 

ア「スレイが!なぜここに……」

 

ローランス兵「ぐあああ!ば、バケモノだ!」

 

ローランス兵士「な、何が起こっているんだ。一時退却!退けえええ」

 

兵士「伝令!後方から導師が猛威を振るっております!」

 

兵士「導師、だと!まさかこいつが導師……」

 

兵士「逃げろー!」

 

ハイランド兵「見ろ!ローランスのやつら、一目散で逃げてくぜ!」

 

ハイランド兵「ざまあねえな!」

 

ハイランド兵「俺たちの勝ちだ!」

 

ハイランド兵「おおおおおおおおおおおおお!」

 

エ「終わったわね」

 

ス「ああ」

 

ス「あとはアリーシャを助けて、ここに生まれてしまった憑魔を鎮めないと」

 

ラ「スレイさん……」

 

ミ「ま、今回はとことん付き合ってあげるよ」

 

ス「ありがとう。ミクリオ」

 

 

 

アリーシャ、スレイの元へ

ア「スレイ……なぜここに!」

 

ス「アリーシャ、助けに来たよ」

 

ア「スレイ、わたしは……」

 

ここでランドン登場

 

ランドン「導師ご苦労だった。感謝いたしますよ」

 

ア「ランドン!」

 

ランドン「戦場で楽しくおしゃべりか。まだ仕事は終わっておりませんよ。皆の者、ローランス兵を掃討しろ!一人も逃すな!」

 

ス「師団長さん!もう勝敗は決してる!」

 

ランドン「何を甘いことを。ここで徹底的に打ちのめせば、以後も優位に立てるであろうが」

 

ス「そんな事のために!」

 

ラ「スレイさん、この人に何を言っても無駄ですわ」

 

ランドン「導師、貴様の働きのおかげでこれほど圧倒できるのだ。もっと誇られよ!くっくっく!」

 

ア「ランドン!そんな言い方……!」

 

ランドン「アリーシャ殿下、あなたにも働いてもらいますぞ。最前線で兵を鼓舞するのです!はむかえばどうなるか、わかりますかな?」

 

ア「……わかりました」

 

ス「アリーシャ!」

 

ア「すまない、スレイ。わたしにはどうすることもできない」

 

ア「なんとか前線の兵を説得してみる」

 

アリーシャ、去る

 

ス「くっ!約束通り……戦争が終わったらアリーシャは必ず解放してよ」

 

ランドン「気が向いたらな。はっはっは。私もローランスのやつらでも殺しにいくか」

 

ランドン去る

 

エ「なんて醜い人間なのかしら」

 

ス「これ以上人を殺して何になるんだ。アリーシャを追いかけよう!戦争を止めさせるんだ」

 

その時、周辺の穢れが急激に強まった。

 

ス「う、っく!」

 

エ「この領域……今まで感じたどれよりも……」

 

ミ「……冗談じゃない」

 

ラ「これ程の穢れ……まさか!」

 

エ「何なの……これ……」

 

ス「空に穴が……」

 

ラ「スレイさん!これ程の邪悪な領域を持つものは、かの者しか考えられませんわ!」

 

ミ「まさか、災禍の顕主……」

 

自軍同士殺しあう兵士たち

 

ハイランド兵「くかかかかかかかか!ローランスがにくいいい!」

 

ローランス兵「死ねええええ!」

 

エ「あの人達、正気を失ってしまったようだわ」

 

ス「と、止めなきゃ!あそこにはアリーシャもいる!」

 

ミ「スレイ!」

 

ラ「いけません!今の私たちが敵う相手では……」

 

ス「わかってる。やばくなったら逃げるよ!みんなの命も預かってるんだ」

 

エ「しょうがない子ね」

 

「ここから先には行かせん!」

 

ス「ぐわ!」

 

ラ「スレイさん!?」

 

ミ「スレイ!」

 

エ「この憑魔……」

 

ランドン「導師よ。このランドンの武功を邪魔立てする気だろう……。許さぬぞ!さあ、立て!大臣も貴様の首を見れば、私と導師のどちらが国にとって必要かわかるだろう!」

 

ラ「ダメですわ!この方はもう完全に憑魔と化している!」

 

エ「やるしかなさそうね」

 

ミ「今の状態でこいつと戦うのか!?」

 

ス「みんあ、踏ん張ってくれ!」

 

 

 

しばらく戦う

ミ「さすがに、しぶと過ぎないか……?」

 

ス「出し惜しみをしていたら勝てない……!」

 

ミ「スレイ!あれをやる気か?!」

 

ス「ああ!導師の力を、この剣に注ぐ!」

 

ス「はああああ!剣よ吼えろ!雷迅双豹牙!!」

 

ランドン「おのれええ!!」

 

バタン

 

ス「穢れが消えない!?」

 

ラ「ダメですわ。この領域の力はすでに私の浄化の力をはるかに上回っています」

 

ミ「根本を取り除かないとダメか……」

 

エ「けど、この領域の主を退けるのは無理よ」

 

ス「行くしかない……!」

 

ラ「無茶ですわ!」

 

ス「ライラ!お願いだ!オレたちがやらないと、この戦いは止まらない!」

 

ラ「……あの丘の上が穢れの中心のようです」

 

ス「ごめん」

 

ミ「詫びなんて不要だ。僕たちは死なないからね」

 

ス「ミクリオ……そうだよな!」

 

エ「行くのなら早く行きましょ」

 

ラ「はい!」

 

ス「アリーシャ無事でいてくれよ!」

 

 

 

丘の上

ミ「見ろ、スレイ。あそこ!」

 

ス「アリーシャ!」

 

アリーシャ倒れてる

 

ア「……………」

 

エ「大丈夫よ。息はあるわ。気絶しているだけよ」

 

ス「よかった……」

 

「……新たな導師が現れていたとはな」

 

ス「おまえが……」

 

「恐ろしいか?」

 

ス「な、に?」

 

「死の予感……甘美であろうが」

 

ス「みんなを元に戻せ!うおおおおお!」

 

スレイ突っ込む

 

ミ「スレイ!」

 

「ほう」

 

災禍の顕主、軽く受け止める

 

「ふん、この程度か」

 

ス「はぁはぁ」

 

「目映いばかりに無垢よな。おまえは誰よりも良い色に染まりそうだ。はあああ!」

 

ス「むううう。ぐっ、はあはあ。何だこの穢れの量は……!」

 

穢れが広がり、ライラエドナミクリオが消える。

 

「若き導師よ……。生き延びて見せられるか?……フフフ……」

 

ス「一体何なんだ……」

 

ス「ハッ!ミクリオ?おいライラ!エドナ!どこいったんだ!みんな!」

 

がさがさ

 

ス「ミクリオ?」

 

しかしそこには憑魔化した大量の兵士たち

 

大量の兵士「ドウシィィィィ!コロスウウウ!」

 

ス「こいつら……いつのまに……」

 

ア「…………」

 

ス「まずい!アリーシャを守らなきゃ!」

 

 

 

同刻同所

「デゼル!返事をしろ!クソ!災禍の顕主の領域がさらに強くなったか!」

 

?「頭領!どうする!?」

 

「一旦アジトまで退く!」

 

ス「ぐっ!」

 

「あれは、スレイ!?腕の中にいるのはアリーシャ姫か」

 

ゴゴゴゴゴ!

 

「!? 足場が!」

 

ス「ぐわわわわわ!」

 

「スレイ!」

 

?「崖が崩れて、導師とアリーシャ姫が落下。おそらくヴァーグラン森林だと思われます」

 

「…………急ぎ、彼らを保護する」

 

?「頭領!」

 

「やつらを少し監視したい。導師と姫ともども見つけたら報告。連れの天族はあたしが運ぶ。まとめてアジトで介抱しておけ。ただしこちらの正体を明かすなよ」

 

?「了解!」

 

「導師の力をもってしても、災禍の顕主とも力の差は歴然。さあどうやってあいつを殺そうか」

 




こんにちは、作者です。第十話です。二桁です。なんだか感慨深いですね。先は長いですが、頑張って更新してきたいと思います。そんなことより、本編のお話を。ゲームの方ではどうしてもスレイ目線で話が進むため、敵サイド(風の骨、災禍の顕主と愉快な仲間たち)の描写が少なかったように思えます。ここらへんがRPGの難しいところかもしれません。当作品では少しだけでもいいからスレイ以外の目線での描写を増やしていこうと思っています。……ほんの少しだけだけど。ではまた、第十一話で会いましょう。
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