ティンタジェル遺跡
ラ「戻って来ましたね。セキレイの羽のみなさんは……」
ス「いない、みたいだね。また仕事かな?」
ケ「あまり時間はないよ、スレイくん。この後セルゲイさんのところへ行かなくてはならないんだから」
ス「うん」
ケ「ここまでなら以前も来た。問題はここからさ」
ミ「行き止まり?いやこれは大きな扉か!」
ミ「入口自体が閉じてる遺跡か……やはり閉じられてる意味があるんだろう」
ス「けど封印の類じゃないな。カギ穴すらないし」
エ「面倒ね……ぶち破っていい?」
ミ「バカな!貴重な遺跡を破壊するなんて!」
ケ「何か方法があるはずだ。導師の力に反応する何かが……」
ミ「スレイ、久々に勝負といかないか?」
ス「いいよ。絶対オレが先に開け方見つけてやる」
ミ「ふふん。負け越してるのを忘れてるようだな」
ケ「……扉の左右に石碑がある。以前調べた時には何もなかったが。もしかして」
ケ「スレイくん、そっちの石版に手をかざしてくれ」
ス「えっ、うん」
…………
ラ「何も起こりませんね」
ケ「導師一人では発動しないのか。何か特別な条件が必要なのか。ではもう一つの石碑には――」
ス「なあ、いつまでこうしておけばいいんだ」
ケ「ミクリオくん、スレイくんみたいにもう一つの石碑に手をかざしてくれ」
ミ「あ、ああ」
ケ「これで何も起こらなかったら完全に手詰まりだ。頼む!」
ゴゴゴゴゴゴゴ
ス「扉が開いた!」
ケ「なるほど、導師と天族が協力しないと開かない仕様になっていたのか」
ミ「これで先に進めるぞ!」
ケ「どうやらキミたちの勝負は引き分けみたいだね。水を差してごめんよ」
ス「すごいなケイン」
ケ「なに経験の差さ。師匠の教えが役に立った」
エ「さ、行きましょう。こんなホコリっぽいところ長居したくないわ」
壁画の前
ケ「ここが一番奥かな」
ミ「そうらしい」
ラ「これは導師となる者の試練を描いた壁画のようですわ」
エ「こんなところにこんなものがあるなんて……」
ス「これが導師の試練を……」
ケ「ビンゴだね。地図に印がついている」
ス「ここに導師は行かなきゃってこと?」
ラ「今日の晩ご飯はマーボーカレーですわ!」
ス「…………ライラ」
エ「逆に分かりやすいわね」
ラ「すみません……」
ミ「印の場所は4つか」
ケ「レイクピロー高地の北部にひとつ、大陸中央南端にふたつ……」
エ「最後のはウェストロンボルトの裂け谷方面ね」
ケ「試練、か」
ス「もしかしたら強い領域にも負けない力が手に入るかも!」
ミ「……ヘルダルフに対する光明が少し見えたかな」
ラ「はっ!みなさん!後ろ!」
後ろから憑魔が近づく。
ス「憑魔!」
エ「来るわよ!」
戦闘後
ス「はあああ!」
憑魔が犬に
「う……む……」
ミ「犬!?」
ケ「へえ、犬の天族もいるのか。興味深いね」
「ワシは何を――」
事情を説明
「がっはっは、それは助かった。礼を言うぞ。導師殿、天族の同胞よ」
ス「スレイです。ライラにエドナ、ミクリオ、それにケインです」
オイシ「ワシはオイシだ。こう見えても歴とした天族だぞ。よろしくの」
ス「オイシさん、お願いがあります」
オ「なんじゃ」
ス「ラストンベルの地の主になってもらえませんか?今、街には加護領域がないんです」
オ「よかろう。導師殿には恩がある。ワシでよければ引き受けますぞ」
ミ「よかった」
ラ「これでひとまず一安心ですわ」
ケ「…………」
ス「ケイン、どうしたんだ?」
ケ「いや、なんでもない」
ミ「これからどうする?試練へ向かうのかい?」
エ「ここから試練は少し距離があるわ」
ス「それまでセルゲイさんを待たしてられない。一度ペンドラゴへ向かおう」
ケ「…………」
ラ「ケインさん、聞いていますか?」
ケ「あ、ああ。聞いているよ」
ミ「遺跡探検したい気持ちは分かるけど、今はセルゲイさんのところへ行こう」
ケ「…………」
ケ「試練の壁画は確かにあった。導師は試練をこなし、力を蓄えて穢れを祓っていたんだ。ではドラゴンは……。なぜ試練の過程を描いた壁画にドラゴンが登場しないんだ。やはりドラゴンになってしまうほどの穢れを救う方法はないのか……」
エ「……」
暗転
スレイ一行がいなくなった後
デ「導師の試練。これは見物だな」
「デゼル、しっかり壁画を見ておけ」
デ「ふん。導師の壁画なんざ興味はねえよ。俺は俺のやることだけだ」
「あいつらの動向を知るためだ。頭に入れておけ」
デ「ああ。わかったよ。導師、お前がどんなに頑張っても祓えない穢れがある。それまで旅を楽しんでおくんだな!」
ペンドラゴ
ス「大っきいなぁ!これが……」
ラ「そう。グリンウッド大陸最大の都ペンドラゴですわ」
うおおおおおお!
ケ「なんの声だ!」
ミ「見ろ!あそこだ!」
ス「あれは……セルゲイ!騎士団が誰かに襲われている」
ペンドラゴに入る。なぜか騎士団が市民に襲われている
セ「はっ!」
市民「きゃあああ!」
市民「ちいいっ!」
セ「この力……、とても人間のものとは思えぬ」
ケイン助太刀に入る
ケ「はああ!」
市民「くうう!」
セ「ケイン!」
市民「新手か!一旦引くぞ!」
逃げる市民。
セ「助かった。恩にきる」
ケ「どういたしまして。あなたほどの猛者が苦戦する相手、間違えなく――」
ス「セルゲイさん!」
セ「……枢機卿の配下だ。捉えようとしたのだが、ただ者ではなかった」
エ「とんでもない動きね」
ケ「見えただろう。憑魔だ」
ミ「枢機卿の配下が憑魔になってるとは……」
兵士「申し訳ありません。教会神殿に逃げ込まれました」
ラ「事実のようですわね」
セ「おそらく奴は連絡係だと思う」
ケ「となると、ボクたち導師一行がここに到着したことも報告されると考えるのが自然だろうね」
セ「詳しい話は騎士団塔で。ここでは雨が凌げぬ」
ラ「ここにも加護天族の領域を感じられません。強い穢れが渦巻いています」
ケ「セルゲイさん、この雨はいつから」
セ「もう長いことになる。これも災厄だというのだろうか……」
ケ「なるほど」
エ「さむいー、かぜひくー」
ケ「天族も風邪引くんだな」
ス「騎士団塔へ急ごう」
騎士団塔の中
セ「導師殿、天族の皆さま、先ほどは失礼しました。ここなら落ち着いて話ができる」
ス「なんとかなった?教会に入る手続き」
セ「許可は得たが……先ほどの事件の後では警戒されるだろうな」
ケ「遅かれ早かれ見抜かれることです。セルゲイさんが気を落とすことはないですよ」
ス「そうだよな。やましいことはないし、行ってみよう」
セ「世話をかける」
ス「決めたのはオレだから。それに教会の中の神殿を見るのも目的なんだ」
セ「貴公は、どこか教皇様を思い起こさせる。あの方も、人のために身を惜しまぬ方だった」
エ「無駄な苦労好きなのね」
ス「そうなんだ……」
セ「宿を用意した。天族の方々も今晩はゆっくり休んでもらいたい」
兵士「ですが団長。潜入したポリスが連絡を絶ってもう三日です。急いだ方が――」
ケ「ポリスさんが行方不明なんですか!?」
ス「ポリスって?」
セ「この長雨で、食糧事情はよくないが、ペンドラゴ名物のドラゴ鍋を用意させよう」
兵士「心配ではないのですか!たったひとりの弟でしょう?」
セ「これ以上、自分たちのツケを貴公等に背負わせたくないのだ。今は体を休ませてくれ」
ラ「セルゲイさんのお言葉に甘えましょう。来るべき時に向けて」
ス「……わかった。ありがとう」
騎士団塔を出て
ス「セルゲイさんって、いい人だな」
ラ「はい。帝国の騎士団を率いるには正直すぎる気もしますけど」
ス「だな。ちゃんとやれてるのかな?」
ミ「他人の心配をしてる場合じゃないと思うけど」
「ケイン?ケインじゃないか!」
ケ「ニル!」
ニル「久しぶりだな!元気してたか!」
エ「誰?この馴れ馴れしいやつ」
ケ「ボクが騎士団学校にいた時の同期だ。驚いたよ、まさかキミとここで会うことになるとは」
ニル「最近、ペンドラゴ配属になったんだ」
ケ「皇都での勤務は皆の憧れだったじゃないか。おめでとう」
ニル「ああ。ようやくここまで来れたよ。国境付近は気が張りつめていてどうにかなりそうだったからな。ケインは噂の導師と共に行動しているみたいだな」
ケ「ああ。ちょっと調べ事があってね」
ニル「災厄の時代を終わらせる方法か」
ケ「まあね」
ニル「お前は変わっていないな。『武力ではこの災厄の時代は乗り越えられない。もっと根本的な部分から解決しなくては』。お前はそう言って騎士団を出て行った。口だけだと笑うものもいたが、俺はお前の事を買っていたんだ。事実導師を連れて、ローランスへ帰ってきた」
ラ「ケインさんがそんなことを……」
ニル「これでシランが生きていれば――」
ケ「ニル、人生にたらればはないんだ。今更シランのことを言っても彼女は戻ってこない」
ス「シラン?」
ニル「すまない、思い出させるつもりはなかったんだが……」
ケ「いや、ニルが悪いんじゃないさ」
エ「くしゅん!」
ス「エドナ大丈夫?」
エ「これぐらい平気よ」
ケ「キミ、仕事中でしょ?サボっているところがばれて、ボクまでセルゲイさんに怒られるのは御免だ。ここらで失礼するよ」
ニル「ああ。導師殿も引き留めて失礼しました。ゆっくりお休みください。ケイン、落ち着いたら一杯やろう。それまで死ぬなよ」
ケ「それはこっちの台詞さ。じゃあまた」
ニル「おう!ラストンベルに戻った時ぐらい墓参りに行ってやれよ。彼女も喜ぶと思うから」
兵士去る
ミ「ケインの昔の友人か……」
ラ「ケインさんのこと慕っているのですね」
エ「もっとゆっくり話してもよかったのよ」
ケ「災厄の時代が終わればまたゆっくり話ができるさ。さ、風邪引かない前に宿屋へ行こう」
宿屋
ス「ごちそうさま~!」
ケ「よく食べるなあ」
ミ「こっちの二人もね」
ラ「結構なお味だったので、つい……」
エ「ドラゴ鍋。85点」
ケ「久しぶりに食べたけど、何度食べてもおいしいな」
ス「ケインはペンドラゴの生まれなの?」
ケ「いや、生まれはラストンベルだ。家族も皆そこにいる。ペンドラゴには騎士団学校があったから学生時代はここで過ごしたんだ。第二の故郷ってやつかな」
ラ「それにしてもケインさんが騎士団にいたなんて知りませんでしたわ」
ケ「ラストンベルでも少し話したけどね。まあ、いたと言ってもほんの一か月ぐらいだよ」
ミ「そうなんだ」
ケ「学校を卒業してすぐ国境近くの紛争地帯に配属されてね。そこで初めて本物の戦場を見たんだ。人と人が殺し合っている。あれほど狂っているところはなかった」
ラ「シアンさんという方は……」
ケ「ボクと同じで初陣だった。彼女はボクの目の前で敵兵に斬られて戦死したよ」
ミ「ケイン……」
ケ「今思えば、溢れかえっている穢れに精神が病んでいたのかもしれない。帰還してすぐに退団届を提出したよ。彼はあんな風に言っていたけど、実際は死ぬのが怖かっただけなんだ」
エ「誰だって死ぬのは怖いことよ。もちろん殺す事だって……」
ス「エドナ……」
ミ「研究者になったのはそれから?」
ケ「騎士団学校時代から伝承に興味があってね。伝承の時代のように天族の力を借りる事ができたら災厄を鎮めることができるんじゃないかと思って。メ―ヴィン師匠に無理言って弟子入りさせてもらったんだ」
ス「ケインにそんな過去が」
ケ「隠しているつもりはなかったんだけど、言う機会がなかったからね。だからボクは今すごくワクワクしているんだ。導師と天族と一緒に災厄の時代を終わらせる旅をしている。新発見の連続だ」
ス「必ず皆が笑って暮らせる世の中を取り返そう!」
ミ「もちろん、そのつもりさ」
ケ「ボクはキミの従士だ。キミのことを全力でサポートする。災禍の顕主と枢機卿を倒す方法も、エドナちゃんのお兄さんを救う方法も遺跡の中に眠っているはずだ」
ラ「ケインさん……。……」
ケ「さあ昔話はここまでだ。明日は朝一で司祭に教会を案内してもらう予定だ。今日はもう休もう」
深夜
エ「あなたが眠れないなんて珍しいわね」
ミ「ケインの話を聞いてから元気がない。何かあったのか?」
ラ「エドナさん……。ミクリオさん……」
エ「どうしたの?今なら特別に相談に乗ってあげるわ」
ラ「…………」
ミ「アリーシャのことかい?」
ラ「どうしてそれを!」
エ「あなたって本当にわかりやすいのね」
ラ「あっ……」
ミ「アリーシャの従士契約を破棄したこと、後悔しているんじゃないのか」
ラ「…………。アリーシャさんもケインさんと同じように天族の存在を認めてくれる人でした。スレイさんもアリーシャさんを必要としています。それはもちろんアリーシャさんも……」
エ「アリーシャにはアリーシャの立場があるもの。あなたが一概に悪いとは言えないわ」
ラ「ですが、結果としてスレイさんを戦場へ向かわせてしまった。ケインさんだって、かつての仲間が傷つくところを見たくなかったはずです。今、この瞬間もアリーシャが例の憑魔に襲われているかもしれない」
エ「あなたがどうしようともあの娘は戦場に向かったと思うけど?」
ミ「ライラが抱え込むことはないさ。悪かったと思っていることを反省できてるのなら、次に生かせばいい」
エ「次にアリーシャに会った時、どうするつもり?」
ラ「従士として戻ってきてくれればいいんですが……」
ミ「本人が力不足を嘆いていたんだ。僕たちに守られていると思っているうちは戻ってこないだろうね」
エ「人間って面倒ね。苦しい時には誰かを頼ればいいのに」
ミ「エドナも人のこと言えないんじゃない?」
エ「ムっ!」
ラ「アリーシャさん、どこへいるんでしょう」
ミ「口ぶりからするとローランスにいるのは確かだ。焦らずに情報を集めよう」
エ「ポジティブミクリオ。略してポミね」
ラ「ミクリオさん、エドナさん、ありがとうございます」
ミ「明日も早い。もう寝た方がいいよ」
エ「寝坊は許さないわよ」
ラ「そうですわね。もう少し夜風に当たってから部屋に戻りますわ」
エ「先に行っているわよ」
ラ「はい」
ラ「…………」
ラ「……わたしは正しい答えを出せているのでしょうか」
ラ「ミケルさん……」
朝、教会にて
ケ「ここが教会神殿だ」
ス「あっさり入れちゃったな」
ラ「ここは一般信者用の講堂のようですわね」
ミ「その割に人いなくないか?」
エ「いかにも罠っぽいわね」
ケ「奥に人がいる。あの人が司教さんかな」
司教「最高の力をもつ五人の天族、五大神のお名前を全部言えるかな?」
子ども「えーと、えーと……」
子ども「ムスヒ!あと、ウマシア!」
子ども「ハヤヒノとアメノチ!」
司教「そう。そして最後の大神は、この教会神殿に祀られている――」
子どもたち「マオテラス!!」
ラ「…………」
司教「そう。マオテラス様は、グリンウッド大陸のすべてに加護をあたえてくださる天族ですね」
ス「教会神殿には、マオテラスが祀られてるのか!」
ミ「五大神とは超大物が出てきたな」
ス「マオテラスなら、災禍の顕主に対抗する方法を知ってる可能性は高いよな。なんだって五大神の筆頭だからな」
ケ「しかし、マオテラスほどの天族の領域がまったく感じられない。ここにはいないのか……」
司祭「スレイさんですね?ようこそ、ローランス本部教会へ。お話は伺っています。どうぞ奥へ」
碑文の前
司祭「これは『導師の試練』と、それを越えることで得られる『秘力』について書かれている碑文です」
ス「『導師の秘力』」
ケ「教会の奥に碑文があるとは……」
エ「あなたもここに来たことないのね」
ケ「ああ。ここまで奥に来るのは初めてだ」
ミ「本物かな」
ラ「カナカナカナ~♪あ、ヒグラシが鳴いていますわね」
ス「本物っぽいな!」
ス「解説っぽい古代文字があるけど」
ミ「文章になってない。きっと暗号なんだ。ケイン、読める?」
ケ「…………。ダメだね。ボクが知っている古代言語の法則のどれにも当てはまらない」
ス「ケインでもダメか。秘力っていうくらいだしな。どこかに解読のヒントは……」
司祭「おそらく解けないと思います。この碑文は、暗号で記されていて、その解読方法は代々教皇様だけに伝えられるのです」
ス「教皇様に読んでもらわないとダメってことか……」
領域が発生。穢れに溢れる。
エ「これは!?」
ラ「急に穢れが!」
ス「憑魔の領域!ヘルダルフの時と同じだ!」
ケ「司祭さんが……」
スレイ、司祭に目をやる
ス「石になってる……」
ミ「スレイ!」
ケ「ここはまずい!外へ!」
ス「でも司祭さんが……」
ミ「今は逃げるんだ!」
ス「ごめん……」
ケ「もうすぐ出口だ。みんながんばれ!」
ラ「気をつけて!誰かいます!」
「もうお帰りですか、導師よ?」
ス「う!?」
フォートン「ローランス教会枢機卿フォートンです」
ス「この領域は……あなたが」
フ「ここまで動けるなら合格ですね。その力をわたしに預けませんか、民のために」
ス「ハイランドでも同じこと言われたよ」
フ「バルトロのような俗物と一緒にされるのは心外ですね」
ケ「へー、あなたは違うと?」
フ「少なくとも、そんな挑発に乗る程度ではありません」
ケ「なるほど、お話はできそうだ。とにかくその理由を聞こうか」
フ「私の願いはただ一つ。帝国がこの災厄の時代を乗り越えること。それは民の結束なしには不可能でしょう。しかし、愛国心のみでそれを行うにはローランスは巨大すぎる。導師よ。古来より、国家が何をもって民をまとめてきたか知っていますか?」
ス「……信仰かな」
フ「そう。人は、心の救済のために最も尽くし、価値観を違える集団に対し、最大の結束を発揮します。つまり、我が教会こそがローランスの要にふさわしい」
ス「それがあなたの考えなんだ」
フ「民を導く者としての理念です。導師の名と力が加われば、より多くの民を救うことができるでしょう」
ス「なら騎士団と協力すればいい。それが一番みんなのためになるだろ?」
フ「私の意に従って働くというなら喜んで迎え入れますよ。例え、教皇が逃亡したとも知らぬ愚かな騎士団であっても」
ケ「教皇様が逃げた?監禁しているのではないのか」
フ「いいえ。教皇――いや、マシドラは自ら逃げたのですよ。帝国と信徒への責務を、すべて投げ出して。そのような男をどう思いますか?」
ケ「自分からばらしていくスタイルなんだね。楽で助かるよ」
ス「……無責任だと思う。本当なら」
フ「そうでしょう?なのに騎士団のように、そんな卑怯者を未だに信奉する愚か者が多い。結束のためには、マシドラを見つけだし処罰する必要があります。私に疑う無礼者どもに与えたのと同じ罰を」
ス「それは困るな。教皇様には碑文の意味を教えてもらわないといけないんだ」
フ「必要ないでしょう?協力するのなら」
ス「どうしても知りたいんだ。オレは」
フ「わかりました。つまり私の理念を拒否するのですね!」
穢れがさらに強くなる
ス「くう!」
ケ「体がっ!!」
ス「まずい!この穢れ、強すぎる……」
フ「死ねええええ!」
フォートンを牽制するようにナイフが着弾
フ「ちっ!」
ケ「ナイフ……、どこから……」
ス「これって……」
ミ「スレイ、逃げるぞ!」
ス「あ、ああ」
スレイ一行、逃げる。
フ「くっ!?何者かが邪魔をしたか……。その隙に導師に逃げられた。この攻撃は……」
フォートン、ナイフを手に取る。
フ「なるほど……。あいつらか。ふふふ、面白いことになってきたな」
フ「導師も一瞬とはいえ、私の領域を破って天族と繋がった……。楽しみですね」
教会の外
ス「あのナイフ……。オレたちを助けてくれたのか……」
ミ「話はあと!騎士団塔まで逃げるんだ」
「待て!」
風と共に暗殺者とデゼル登場
ケ「風の骨!」
ス「やっぱりお前たちだったのか。オレたちを助けたのは」
ミ「なんだって!?」
「気付いていたか……」
デ「教皇はゴドジンだ」
ス「えっ?」
デ「逃げた教皇はゴドジンという辺境の村にいる。場所は自分で調べろ」
エ「あなたたちを信じろっていうの?」
「信じるか信じないかはお前たち次第だ」
ス「なんでそれをオレたちに教えるんだ。オレのことを狙っていたんだろ」
デ「お前はその方法ですべての穢れを祓えると思っているのか?」
ス「もちろんだ」
デ「災禍の顕主もか」
ケ「何が言いたい」
デ「今の導師の力ではあいつには敵わない。あまちゃんのお前にはな」
ミ「理由になっていないぞ。ちゃんと答えろ」
「そこまで言ってわからないのなら、それまでだな」
デ「今は仇を倒すために、お前たちを利用する。それだけだ。変な行動をしたら、容赦なく殺す」
エ「ずいぶん勝手な言い分ね」
「そうそう。アリーシャ姫もゴドジンに向かったみたいよ」
ス「何!?」
「急いだほうがいい。ルナールもそちらに向かっている」
ケ「アリーシャ姫が……」
デ「じゃあな、導師。しっかり働けよ」
ケ「待て!まだ話は終わってないぞ!」
暗殺者とデゼル、消える。
ラ「アリーシャさんがゴドジンに……」
ミ「とにかく騎士団塔へ戻ろう。セルゲイに報告しなくちゃ」
ス「アリーシャ無事でいてくれ」
一行、騎士団塔へ。
こんにちは、作者です。第十二話です。アリーシャはスレイ達と別れた後、ゴドジンに向かったみたいですね。原作だとマーリンドで別れてから、グリフレット橋で再会するまでの長い間、アリーシャの動向は描写されませんでした。アリーシャを心配するそぶりも見せず、ローランスを探索することを選んだスレイの行動には、いまだに違和感を感じています。せめて「一方そのころアリーシャは!」と言わんばかりのカットインイベントがあれば印象も違ったのでしょうが……。アニメではどのように描写するのか気になります。ではまた第十三話で会いましょう。