俺が考えたアリーシャヒロインのゼスティリア   作:具志健

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ゴドジンの村長スレンジは、マシドラ教皇だった。そのことを突き止めたスレイたちだったが、教皇は病気を患っており……


第十四話 神威

村の広場にてマシドラを休ませる

マシドラ「みんな、落ち着いてくれ……。心配はいらない。この方は本物の導師だよ。導師よ、ひとつだけわかってください。村の皆に罪はない。すべて私の責任だ。私をペンドラゴに連れて行ってくれ。しかるべき罰を受けよう」

 

ケ「人を裁くのがボクたちの仕事ではありません。後はセルゲイさんたちに任せる事にします。ですが、ゴドジンをこれまで通りに、という訳にはいきません。この村の現状も今一度騎士団に報告して、改善されるように善処します」

 

マ「ありがとう。どうかこの村を真の意味で救ってくだされ」

 

ケ「わかりました」

 

ラ「セルゲイさんたちも、きっと理解してくれますわ」

 

ケ「アリーシャ姫、ここはボクに彼の身柄を預けさせてもらえないか」

 

ア「教皇様はローランスの人間だ。ローランスの法で裁かれるのがいいだろう」

 

ミ「問題は枢機卿の領域にどうやって対抗するかだよ」

 

ス「それなんだけどさ。解読できないかなー?」

 

ミ「碑文の暗号をか!?」

 

ロ「自分で解く気?」

 

ス「無茶じゃないだろ?人が考えた物だし、なにより面白そうだ」

 

ミ「そうだけど、せめてヒントくらい教えてもらわないと……」

 

マ「導師よ、こちらへおいでください」

 

 

 

火の試練神殿イグレイン前

ス「ここって……?」

 

マ「『導師に四つの秘力あり。すなわち地水火風。其は災禍の顕主に対する剣なり。導師の力は従士に通ずる。世界に試しの祠あり。同じく地水火風。其は力と心の試練なり。力は心に発し、心は力を収める。心力合せは穢れを祓い、力に溺るれは己が身を焦がさん。試せや導師、その威を振るいて。応えよ導師、その息を賭して』」

 

ス「秘力の碑文!」

 

ミ「暗記してたのか!?」

 

ア「すごい……」

 

ミ「四つの力を得られる四つの場所がある。そこの試練に合格しろ……ってことだね」

 

ス「……うん」

 

ケ「おそらくティンタジェル遺跡の壁画に描かれていたことだろうね。いや、待てよ。確かあの地図によると、この辺を示していたような……」

 

ミ「まさかここが!」

 

マ「そう。ここが火の試練神殿イグレインです」

 

ス「入ってもいいかな?……って、ここまで勝手に入っちゃったけど」

 

マ「試練の神殿は死の危険を伴う場所とされます。それでも?」

 

ス「行くよ。秘密の神殿、見てみたいし!」

 

ス「お行きなさい、若き導師よ。ここはあなたのための場所です」

 

扉が開かれる。

 

タケダ「話は聞かせてもらったぜ!」

 

タケダ登場

 

ス「お前はさっきの!?」

 

タ「その秘力とやらを手に入れたら、俺はもっと強くなれる!戦績をあげてもっと高い位にのし上がるのだ!」

 

タケダ、遺跡の中へ

 

ア「待て!」

 

ミ「行ってしまった……」

 

マ「一般の人が進めるほど生易しいものではありません。すぐ引き返させないと」

 

ス「オレたちが行ってきます。アリーシャと教皇様はここで待っててください」

 

ア「わ、私も行く!」

 

ケ「アリーシャ姫?」

 

ア「彼は私の仲間だ。ここで指をくわえて待っていることなんて出来ない」

 

ス「わかった。でも危なくなったらすぐに逃げるんだよ」

 

ア「了解した」

 

ス「ライラ!」

 

ラ「はい、従士契約を復活させました。これで憑魔と戦えるはずです」

 

ア「ライラ様!私は――」

 

ラ「あくまで一時的なものです。この後どうするかはアリーシャさん自身で決めてください」

 

ア「……わかりました。スレイ、もう一度私に力を貸してほしい」

 

ス「もちろんさ。行こう、アリーシャ!」

 

 

 

試練神殿イグレイン 内部

ア「おーい、タケダ!くっ、ここにはいないか」

 

ケ「もっと奥まで進んだみたいだね」

 

エ「だいたい秘力だけ奪おうっていうのが傲慢なのよ。放っておいたら?」

 

ア「そんなことできません!」

 

エ「あの人はあなたのことをいじめていたけど?」

 

ア「関係ありません。彼はハイランドの民、いえ私の仲間です。放ってはおけません。先を急ぎましょう」

 

エ「いつぞやのスレイと同じことを言ってるじゃない」

 

ケイン以外フェードアウト

 

ケ「導師の試練の遺跡か。ここならもしかしたらドラゴンを救える方法が――」

 

ミ「ケイン、何してるんだ。一人になると危ないぞ」

 

ケ「すまない。今行く」

 

ケ「……今は彼を助けるのが先だ。」

 

エ「…………」

 

 

 

最深部

ス「行き止まり!ということは……」

 

ミ「ここが奥の間か」

 

ア「タケダ!いるなら返事をしてくれ!」

 

タケダ「ア、リーシャ……で、んか……」

 

ラ「あそこですわ!」

 

タケダ、大広間の端っこで座り込み震えている

 

ア「タケダ!今行く!」

 

ミ「アリーシャ、一人で突っ込むな!」

 

アリーシャ、何かしらの攻撃を受け、吹っ飛ばされる

 

ア「きゃっ!」

 

ス「アリーシャ大丈夫か!?」

 

ア「あ、ああ。しかし、なんだこのモンスターの数は……」

 

モンスター、大量発生

 

ラ「この試練の場がタケダさんを侵入者と見なしたのでしょう。おそらくこの遺跡にいる限り狙われ続けますわ!」

 

ケ「これほどの遺跡だ。盗賊用に防犯システムがあってもおかしくない」

 

ス「アリーシャ、こいつらはオレたちが相手をする」

 

エ「今のうちにその子を連れて逃げなさい!道は確保するわ」

 

ア「スレイ、エドナ様。ありがとうございます」

 

ラ「アリーシャさん、私もお供しますわ!」

 

アリーシャ、ライラ、タケダの元へ

 

ア「タケダ、大丈夫か!」

 

タ「殿下……、バケモノが……」

 

ア「ケガはそこまで深くなさそうだな」

 

ラ「アリーシャさん、油断しないで。まだまだモンスターは増えています」

 

ア「こんなに沢山……」

 

アリーシャ、タケダを守りながらモンスターと戦う

 

ア「くっ!キリがない!」

 

ス「!?アリーシャ!後ろ!」

 

ア「えっ!」

 

ラ「アリーシャさん!」

 

ライラ、アリーシャを庇い、軽傷

 

ア「ライラ様!ライラ様しっかり!」

 

ラ「これぐらい……大丈夫ですわ」

 

ス「ライラ!アリーシャ!」

 

ミ「今、回復術を」

 

ミクリオ、傷付いたライラの元へ

 

ア「また……また私が足を引っ張ってしまった……。私はやっぱり誰も守れないのか……」

 

ラ「そんなこと、ないですわ、……アリーシャさん」

 

ミ「ライラ、無理しないで」

 

ラ「アリーシャさんは強い方ですわ。人々を想い、寄り添うことができます。その優しさを忘れないでください」

 

ア「ライラ様……」

 

ラ「マーリンドであなたはスレイさんに迷惑をかけるからと従士契約を解除するように私にお願いしてきました。わたしはわかっていました。あなたがスレイさんの助けを求めていたことを」

 

ラ「そして……スレイさんもまたアリーシャさんの力になりたいと思っていたことを。アリーシャさんが自分の気持ちを押し殺して、私に相談していることをわかっていたんです!」

 

ラ「なのに、私は!導師の使命や己の誓約に縛られて二人を引き裂いてしまった!悪いのは私なんです!アリーシャさん、ごめんなさい!」

 

ア「あれは私が無理なお願いをしただけで――」

 

ス「『マオクス=アメッカ』」

 

ア「その名前は!」

 

ス「アリーシャはオレの仲間だ!楽しいことがあったら一緒に笑う。苦しい時は一緒に悩む。お互いに助け合うのが仲間なんだ!オレはアリーシャの笑顔を守りたい。だからアリーシャ!一緒に夢を叶えよう!この世界を穢れなき美しい世界にする。オレ達の夢を!」

 

ア「スレイ……」

 

ラ「お願いです!ひとりで全部背負おうとしないでください。その優しさは、必ずあなたを傷付けてしまいます……きっとまた……。私は……もう同じ過ちは……」

 

ア「ライラ様……」

 

ラ「アリーシャさん、共に戦いましょう!私たちの夢のために!」

 

ア「弱気になってしまってすみません。騎士として、従士として、そしてスレイの友として私は槍を振るいます。愛する者たち全ての人々のために!」

 

ア「ライラ様、もう一つわがままを聞いてもらえますか」

 

ア「もし私がまた弱気なことを言ったら『騎士は守るものにために強くあれ。民のために優しくあれ。ここで諦めるのか、アリーシャ・ディフダ!』と思いっきり叱ってください。」

 

ラ「アリーシャさん……。わかりましたわ。その時はお説教をしてあげますわ」

 

光がアリーシャとライラを包む。

 

ア「これは……」

 

ラ「アリーシャさんの体が光っていますわ」

 

ア「それを言うならライラ様も」

 

ラ「不思議と力がみなぎってくるわ。まさか、あの力が――」

 

ケ「くっ、これ以上持たない……」

 

ス「ぐわぁ!」

 

ア「スレイ!」

 

一行、モンスターの群れに苦戦。

 

ラ「アリーシャさん、私の真の名を捧げます」

 

ライラ、光と共にアリーシャの体の中に

 

ア「えっ、ライラ様が私の中に――」

 

ラ「その名を唱えるのです!そして、溢れる力をとどめ、身に纏うのです。それこそがあなたと私の答えです」

 

ア「わかりました!やってみます!」

 

ア「『フォエス=メイマ』!!」

 

アリーシャ、ライラ、神威化。

 

ラ「これが神威ですわ」

 

ア「神威……。すごい力がみなぎってる……。この力なら……!」

 

ア「スレイ、今度は私がキミを助ける番だ」

 

神威アリーシャ、モンスターを一網打尽。

 

エ「何、この力……。あんなに沢山いたモンスターが……」

 

ミ「次々と薙ぎ払っている」

 

ア「これで最後だ!」

 

モンスター倒す

 

ア「はあ、はあ」

 

ラ「アリーシャさん、やりましたわ」

 

ア「スレイ!みんな!無事ですか!」

 

ス「アリーシャのおかげでなんとかね」

 

エ「助かったわ。ありがとう」

 

ア「はっ!タケダは!」

 

ケ「気を失っているみたいだね。大丈夫、少し経てば目が覚めるさ」

 

ミ「それにしても、すごいな……」

 

ス「なんなんだ今の力?ライラがアリーシャの中に入っていったぞ」

 

?「それこそが五大神ムスヒが残した火の秘力。憑魔の領域……そして災禍の顕主に抗するための力。見事だったぞ、そこの娘、名をなんと申す」

 

ア「アリーシャと申します」

 

ケ「人に名前を聞くときは自分から。これ常識だよ」

 

エクセオ「そうであったな。これは失礼した。あらためて挨拶しよう、導師スレイ。私が天族エクセオだ」

 

ミ「僕たちが苦戦しているのをずっと見ていたのか!」

 

エクセオ「加護を与えるに値する存在かどうか量るため。悪く思うな」

 

ス「試練の結果は?」

 

エクセオ「合格だ。従士アリーシャは無事試練を突破した」

 

ア「え、私?」

 

エ「そうだ。その神威の力こそ我が秘力。彼女は強い意志を我に示した」

 

ケ「ということは、導師でなくても秘力を得る事ができるということか」

 

エクセオ「理論上では、な。普通なら導師以外の人間に秘力を与える事はしない。そこの男のように悪用しようと企んでいる者に力を与えると争いの火種になるからな」

 

ア「ではなぜに私に力を与えてくださったのですか?」

 

エクセオ「それは……、そなたならこの世界を救ってくれるかもしれんと思ったからだ。優しき、そして強き意志に賭けてみようと。導師よ。いい従士を持ったな」

 

ス「はい、アリーシャは大切な仲間です」

 

エクセオ「素晴らしい友情だな。私も人間だったころを思い出されるよ」

 

ス「人間だった!?」

 

エクセオ「おやおや、なにも知らないのだな」

 

エクセオ「天族になって久しいが、元はキミと同じ人間だったのだよ」

 

エドナ「天族には二種類あるのよ。天族として生まれた者と人から天族になった者と」

 

ス「驚いたな!」

 

ミ「新事実だ!」

 

ケ「実に興味深い。となると――」

 

スレイ、ミクリオ、ケイン談義。ライラ、アリーシャ、エクセオと話す

 

エクセオ「ライラといったか?契約で浄化の炎を手にしたのだな。大変な覚悟をしたのだろう。一体どれほどのものを失った?」

 

ラ「……なにも。スレイさんは、なくした以上のものを与えてくれる方ですから」

 

エクセオ「そちらの娘も大変な覚悟をお持ちのようで」

 

ア「心が折れそうな時もありました。今でも不安はあります。でも私には仲間がいます。その事実だけで十分です」

 

エクセオ「ほう。迷いが消えて吹っ切れたようだな」

 

ア「エクセオ様――」

 

エクセオ「わかっておる。あの兵士のことじゃな。今回の件に関してはそなたたちに免じて不問とする。しっかり反省したようだしな。もしまだ秘力を手に入れようとするなら、容赦はせんと伝えておけ」

 

ア「ありがとうございます。その時は私が全力で止めます」

 

ス「なんの話をしているの?」

 

エクセオ「お前は面白い導師だということを話していたのだよ」

 

ス「どういう意味?時々言われるんだけど?」

 

ラ「いいじゃありませんか。さあ、行きましょう」

 

ケ「…………」

 

ラ「ケインさん?」

 

ケ「すまない、ボクは残らせてもらうよ。少し調べたいことがあるんだ。先に行っててくれ」

 

ス「導師に関係ある事?それならオレも……」

 

ケ「早くタケダさんを宿屋で休ませるべきだ。またあのモンスターが出てきてもおかしくないし」

 

ア「それなら私に任せてくれ。スレイも遺跡調査したいのだろう?」

 

ケ「遺跡の中で女の子だけというのは不用心だ。スレイくんも付いていってあげてくれ」

 

ス「……わかった。ケインも気をつけて」

 

エドナ「…………」

 

エクセオ「試練はまだ三つ残っている。油断なく精進するがよい」

 

ス「エクセオさんもありがとう。オレ頑張るよ」

 

一行、遺跡を後にする。

 

 

 

ケ「さて、ようやく行ったか。さあお仕事お仕事」

 

エクセオ「私に聞きたいことがあるのだろう」

 

ケ「察しがいいですね。実は――」

 

エドナ「一人だけ抜け駆けはさせないわよ」

 

ケ「……エドナちゃん、どうしてここに?」

 

エドナ「安心して。スレイたちにはちゃんと断っておいたわ。で、みんなに知られたくない調べものって何なのかしら」

 

ケ「…………」

 

エドナ「言いなさい」

 

ケ「キミだけには知られなかったんだけどね。仕方ない、教えるよ。この遺跡にドラゴンを元の姿に戻す方法があるんじゃないかと思ってね。それを調べようと思ったんだ」

 

エドナ「そんなことだと思ったわ。なんでそれを隠していたの?」

 

ケ「確信がなかったからさ。ここにドラゴンのことについての情報があるかどうか」

 

エドナ「……嘘ね。ホントは強い穢れを祓う方法がないという事実を悟られたくなかったからでしょ。もしそれを知ったらスレイがショックを受けてしまうと……」

 

ケ「まだ仮説の段階だからね。だからこそ調査を続けるんだ。ボクはきっと災禍の顕主と対抗する方法も、キミのお兄さんを助ける方法も両方あると信じている」

 

エドナ「あなたはそればかりね」

 

ケ「自分で見聞きしたものしか信じない質なんだ」

 

エドナ「知ってるわ。さっさと済ませましょう。ここは暑いわ」

 

エクセオ「もういいかな」

 

ケ「お待たせしてすみません。ここにドラゴンについて伝承は伝わっていますか?」

 

エクセオ「ドラゴン伝承は特にないが、壁画なら隣の部屋にそれらしきものが……。案内しよう」

 

ケ「よろしくお願いします」

 

 

 

ドラゴンの壁画前

ケ「この壁画は……」

 

エドナ「ドラゴンと人が戦っている、わね」

 

エドナ「…………」

 

ケ「昔の人は何かしらの方法でドラゴンと向き合っていたみたいだね」

 

エクセオ「他の試練の遺跡でも同様の壁画ある。加護天族の中には詳しい者がいるかもしれない。尋ねてみるといい」

 

ケ「ありがとうございます。エドナちゃん、行こうか」

 

エドナ「…………」

 

ケ「大丈夫さ。きっとお兄さんを助ける方法はある。まだ三つも遺跡があるんだ。おそらくそこで――」

 

エドナ「わかっているわ。行きましょう。スレイたちが待っているわ」

 

エ(お兄ちゃん……。やっぱりお兄ちゃんを救うには殺すしかないの……?)

 

エ(お兄ちゃん……)

 

ケ「…………」

 

 

 

ゴドジンに戻って 宿屋

マシドラ「導師殿!」

 

ス「試練は、なんとかなったよ。きっとこれで枢機卿の穢れに対抗できる」

 

マ「昔のフォートンは、誰より責任感が強く、熱心な信徒でした。その彼女が、なぜ……?いや、私が言えた義理ではありませんが」

 

ア「人の心と穢れ……難しいな」

 

ス「うん」

 

ス「いつかわかるといいんだけど。心を救う方法が」

 

ラ「……あなたなら、きっと」

 

ア「…………」

 

 

 

ケイン、エドナ合流

 

エ「今戻ったわ」

 

ス「おかえり、エドナ、ケイン」

 

ケ「彼の容体はどうだい?」

 

ア「まだ眠りから覚めないが命の別状はないみたいだ」

 

ケ「それは良かった」

 

ケ「教皇様……、お話が……」

 

マ「わかっておる。いつかこんな日が来るとは覚悟していた」

 

ケ「明日の早朝に出立します。それまでにはやるべきことを済ませておいてください」

 

マ「一日で十分じゃ。感謝する」

 

教皇去る。

 

タケダ「う、ううん。ここは……」

 

ア「タケダ!目が覚めたか!」

 

タ「確か俺は遺跡の中で化け物に襲われて」

 

ア「ここは村の宿屋。もう大丈夫だ」

 

タ「殿下が助けてくださったのですか」

 

ア「いや、わたしだけではどうにもならなかった。導師スレイと天族様たちの力を借りたおかげだ」

 

タ「導師と天族……」

 

ミ「タケダも目覚めたし、これからどうする?」

 

ラ「アリーシャさんと私の神威で枢機卿の領域は突破できると思います。さすがに災禍の顕主ほどの力には敵いませんが」

 

ス「アリーシャの力か……」

 

ア「しかし、私はハイランドに報告に戻らねば……」

 

タ「……。殿下、報告は私に任せて、導師と共に行ってください。今ハイランドに戻るのは危険です」

 

ケ「ほう。それはどういうことだい?」

 

タ「大臣たちは辺境の街であなたを殺せと私に命令していました。今戻っても殺されるだけです」

 

ミ「そんな!」

 

ア「そんなことだろうと思っていました。大臣たちは前々から私のことを嫌っていましたから。驚くことはありません」

 

タ「ですから、殿下、今は大臣たちの目に付かないところにお逃げください!わたしがレディレイクに戻ってなんとか誤魔化します」

 

ス「!それじゃタケダさんが殺されちゃうよ!」

 

ア「あまりにも危険だ!」

 

タ「取り逃がしたとでも行ってきます。元々あなた様に救われた命です。いざとなっては逃げますから。殿下、自分の気持ちに素直になってください。今、あなたはどうしたいのか……」

 

ア「し、しかし……」

 

ス「アリーシャ、オレたちと一緒に行こう」

 

ア「スレイ」

 

ミ「ハイランドに戻ったとしてもローランスで隠れるにしても危険は多い」

 

ス「いざとなったらオレたちがアリーシャの事守るよ」

 

エ「一人前にかっこつけているけど」

 

ケ「現状で一番穢れに強いのは神威が使えるアリーシャ姫なんだけどね」

 

ラ「ですわ」

 

エ「逆に守られるのがオチね」

 

ス「ははは。オレも早く秘力を手に入れないとね」

 

ア「すまない、本来スレイが手に入れるはずだった力を私が……」

 

ス「いいって。おかげで助かったしね」

 

ア「スレイ……。私も同行して本当にいいのか」

 

ス「もちろん!オレたちはずっと仲間じゃないか!」

 

ア「ありがとう。これからもよろしくお願いします。タケダ、私はスレイと共に行く。そしてこの災厄の時代を終わらせて必ずハイランドへ戻る。それまで生き残るんだぞ。騎士の誓いだ!」

 

タ「はい!あなた様のお帰りをお待ちしています。導師殿、殿下をよろしくお願いします。では、また!」

 

タケダ去る

 

ミ「すっかり改心したようだね」

 

エ「何アレ?アリーシャにすっかりデレデレじゃない」

 

ケ「人はきっかけ次第でいくらでも変われるってことさ」

 

ス「枢機卿もきっと……」

 

ラ「そうだといいですね」

 

ケ「さてボクは教皇様の様子を見てくるよ。騎士団に懇願するにも村の現状を正確に把握しておかないといけないからね」

 

ミ「ここらの土壌の調査とかどうだろうか。この痩せた土地でも栽培できる作物があるかもしれない。調べるぐらいだったらいいよね、ライラ」

 

ラ「はい。私も協力しますわ」

 

エ「面倒だけど、明日までやることないし、暇つぶしで付き合ってあげるわ」

 

ケ「みんな、ありがとう」

 

ア「わ、私にも何か出来る事はありませんか!」

 

ケ「そうだね――」

 

ケ「スレイくんと買い出しをお願いできないかな」

 

ア「買い出し……」

 

ラ「私たち天族は、お店の方に姿が見えないので買い物できないんです」

 

ミ「スレイみたいな世間知らず一人では心細いしね。アリーシャも同行頼むよ」

 

ス「失礼な!」

 

ミ「ホントのことだろ。この前まで食材の相場すら知らなくて、危うく騙されるところだったんだから」

 

ス「あの時はミクリオも納得していたじゃないか」

 

ア「ふふふ。なるほど。わかりました。スレイにはしっかり買い物の仕方を教えます。行こう、スレイ」

 

ス「なんか腑に落ちないな。待ってよ、アリーシャ」

 

スレイとアリーシャ行く

 

エ「面倒な役回りね」

 

ケ「ボクは脇役だからね。ヒロインは主役に譲るよ」

 

ラ「アリーシャさん、ホント嬉しそう」

 

ミ「ああ。――ライラ」

 

ラ「はい?」

 

ミ「アリーシャが戻ってきてくれて良かったな」

 

エ「今回はあなたのファインプレーよ」

 

ラ「ミクリオさん、エドナさん。ありがとうございます」

 

ケ「さて、ボクたちも行きますか」

 

ラ「はい!」

 

 

 

高台から導師一行を見ている災禍の顕主一行

ヘルダルフ「火の試練を突破したか」

 

?「どうやら秘力を得たのは従士のお姫様みたいです」

 

ルナール「どうする、殺すか、ひっひっひ」

 

?「今は放っておけ」

 

ル「つまねーな。メインディッシュはまだか」

 

?「そう焦るな。奴らがヘルダルフ様にはむかうのなら容赦なく始末する。その時を待て」

 

ヘ「視察は終わった。行くぞ」

 

ル「へいへい」

 

?「…………」

 

?「導師が気になるのか。確かお前は以前、奴らに接触しているのであったな」

 

?「…………」

 

?「教え子を相手にする事になって、さぞかし悲しいか」

 

?「あのお方の邪魔をするものなら容赦はしない。急げ、サイモン。あのお方を待たせるな」

 

サイモン「ほう。意志は固いという事か。面白い。いい前座になりそうだ。真実を知るまでそうやって呑気に笑っているがいい。その顔が醜く歪む時をじっくり待たせてもらおうか」

 




こんにちは、作者です。第十四話です。今回火の試練をクリアしたのは、導師スレイではなく、従士アリーシャでした。よってライラと神威が出来るのはアリーシャのみで、今現在スレイは神威が出来ません。今後の予定といたしましては、「人間一人につき、一人の天族と神威を実現させる。そのパートナー以外と神威をすることは出来ない」というルールの中、進めていくつもりです。アリーシャ→火の神威、スレイ→水の神威、といった感じですかね。一応念のため補足しておきます。ではまた、第十五話で会いましょう。
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