ペンドラゴ
ス「ミクリオ、ロゼは……」
ミ「今は宿屋でぐっすり。一晩ゆっくり休めば元気になるだろう」
ス「そうか」
ミ「みんなにも明日の朝ここに集合と伝えておいた。たまには一人になるのもいいだろうしな」
ミ「……デゼルの死も、彼の業もあのサイモンの言葉も、災禍の顕主を鎮めるために導師は受け入れなくてはならないだろうが」
ス「うまく気持ちがまとまらないよ」
ミ「嫌ならやめればいい」
ス「ミクリオ!」
ミ「最後まで聞いてくれ」
ミ「導師の使命や宿命などに押しつぶされるぐらいなら……いつでもやめればいい、少なからずそう思ってた。昨日まではな。でも今は違う」
ス「……デゼルのためにも、答えを見つけ出したい」
ミ「そうだ。彼に報いるとかそんなのじゃない。ただ知りたい。もう同じ事は繰り返さないために。だからもう、やめてもいいなんて思ってない」
ス「きっと答えを見つけ出さないとな」
ミ「ああ。導師の使命だからじゃない。僕たちの旅は僕たちのものだ」
ス「そうだな。ありが――」
ミ「礼は不要だ。僕の事を話しただけだからな」
ス「サンキュ。ミクリオ」
ミ「……スレイ、あまり気に病むなよ」
ス「うん……」
ミ「じゃ、僕もちょっとぶらついてくる」
ス「ケイン、何してるんだ?」
ケ「現場検証。サイモンとルナールの何か手がかりが残っているかもしれないかもと思って探しに来たんだ」
ス「オレも手伝おうか?」
ケ「ありがとう。でもあらかた調べたしもう宿屋に戻ろうと思っていたんだ。結局無駄足だったよ」
ス「ケイン、ロゼのことだけど……」
ケ「わかっている。いきなり騎士団に突き出したりはしないよ。……アリーシャ姫がどう思っているかは分からないけど」
ス「よかった。てっきりケインはロゼの事嫌っていると思っていたから」
ケ「正直、暗殺ギルドは嫌いだよ。風の骨も罪を償うべきだと思っている。でも今はロゼさんの精神状態が心配だ」
ス「ケイン……」
ケ「風の骨の頭領はどんな人物かはイマイチ掴みかねているが、セキレイの羽の看板娘のロゼさんの事はよく知っている。本当のロゼさんがどちらなのか見極める必要がある」
ス「大事なのはこれから、だな」
ケ「うん。問題はロゼさんがこれからどうしたいのか。行動次第ではボクらは彼女を止めなくてはならない」
ス「そうならないようにオレ達がしっかりフォローしないとな」
ケ「スレイくんならやれるさ。ありのままの気持ちをぶつかれば、きっと」
ケ「ボクはもう休むよ。スレイくんは?」
ス「みんなと話してからにするよ」
ケ「そう。じゃあ、お先に。おやすみなさい」
ス「おやすみ」
ス「ライラ。何してるの?」
ラ「これですか?」
ライラ、自作の鶴をスレイに見せる。
ス「すごい!どうなってるんだこれ」
ラ「こうやって紙細工を作ってると落ち着くんですの。余計な事を考えなくなって、どんどん自分の世界に入っていって……」
ス「へぇ~」
ラ「……スレイさん、一人で抱え込まないでくださいね」
ス「……今回のは抱え込んでなくても辛いな。ホントにああするしかなかったのかとか、風の試練神殿で無理やりにでも二人を止めるべきだったんじゃないかとか、オレにもっと力があればとか、色々考えちゃうよ」
ラ「スレイさん、反省するのはいい事です。ですが、後悔はダメですわよ」
ス「ライラ?」
ラ「人の習慣に、亡くなった方への追悼の意を込めた紙の舟を河に流すというのがあるんですって。デゼルさんは風の天族でしたから、風に舞う鳥が良いんじゃないかって思ったんですの」
ラ「さぁ、スレイさん。送りましょう」
鶴を風に乗せて流す。
ス「……きっと届いたよな」
ス「ライラ」
ラ「はい?」
ス「ありがとう。けど、ライラも一人で抱え込んじゃダメだよ」
ラ「私は大丈夫!心配ご無用ですわ」
ラ「私はもうしばらくここにいます。風が気持ちいいですし」
ス「そっか。じゃあオレ先に戻るよ」
ラ「はい」
スレイ去る
ラ「スレイさんに心配されるなんて……私もまだまだですわね」
ス「エドナ」
エ「スレイ、まだ起きていたのね」
ス「そっちこそ」
エ「……あの不思議ちゃん。自分は業を背負うものだって言ってたわね」
ス「ああ。導師は悲しい業を背負った天族の事を知る必要があるとも言ってた」
エ「人にとって存在しているだけで悪という者。死を解放と言うこともあるわ。そこに居るだけで望まない結果を導くものにとって死は――」
ス「エドナ!それ以上は言わせない!」
エ「……バカね。デゼルの事じゃないわ」
ス「お兄さんの事でもダメだ。言っちゃ」
エ「言ったとしても、そんなのただの言葉じゃない。それも何度も耳にしたでしょ。ジークフリードを使ったとしてもお兄ちゃんの肉体が耐えきれるかどうか――」
ス「それでもイヤなんだ。今、聞きたくない」
エ「……そう」
エ「……じゃ、話は終わりね」
ス「うん……」
エ「スレイ」
エ「言いたかったのはデゼルは救われてたんじゃないかって事」
エ「さっきのはワタシが悪い。謝る。ごめん」
ス「ありがと。エドナ」
エ「どういたしまして」
ザ「よぉ……導師殿」
ス「ザビーダ」
ス「これ返すよ。さっきは貸してくれてありがとう」
ジークフリートを返す
ザ「いいのか?これが必要なんだろ?」
ス「これは借りた物。借りた物は返さなきゃ。ホントの事言うとザビーダにも協力して欲し
いんだけど」
ザ「律儀だね~、導師殿は」
ス「……ザビーダ、デゼルの事知ってたんだな」
ザ「まぁな……あいつがもっとガキの時に当時の仲間と助けてやった事があったんだよ」
ス「じゃあデゼルとザビーダの戦い方が似てるのは……」
ザ「そ。あいつが真似してたってわけ。なのに全然俺に気付かないでやんの。色々かなぐり捨てたんだろうよ」
ス「……」
ザ「捨てられたんなら捨てやいいってな。あんたらはちゃんと拾ったんじゃね?」
ス「ザビーダ。慰めてくれてるのか?」
ザ「おうよ。お前は中々見込みがあるからな。穢れられたらたまったもんじゃない」
ス「ありがとう、ザビーダ」
ザ「俺も覚悟を決めないとな」
ス「えっ」
ザ「ただの独り言。んじゃあ、明日な!導師殿。良い子はもう寝る時間だぜ」
ス「ちょっと、ザビーダ。ホントつかみどころがないヤツだな」
ス「宿に戻ってロゼの様子を見てくるか」
ア「スレイ」
ス「ロゼの容体は?」
ア「一晩休めば良くなるだろうとの事だ」
ス「そっか。ずっとロゼの側にいてくれたんだ。ありがとう」
ア「礼はよしてくれ。ライラ様たちとは違い、天響術が使えない私には出来る事が限られている。せめて側にいようと思っただけだ」
ス「その気持ちだけでもロゼに伝わっていると思う」
ア「そうだといいのだが」
ア「……スレイ」
ス「うん?」
ア「これからロゼをどうするんだ?」
ス「あんな事があったばっかなんだ。セキレイの羽のみんなに引き取ってもらってゆっくり休養を取ったほうがいいと思う」
ア「スレイは以前、ロゼに従士になってほしいと言っていた。あの時の気持ちは変わっていないのか?」
ス「ロゼが一緒のほうが安心だけど、今の状態のロゼを連れてはいけないよ」
ア「それでもまだロゼが復讐を行うのなら――」
ス「行うのなら?」
ア「逮捕せざる負えないのだろう。暗殺やテロ行為はハイランドでもローランスでも重罪とされている。法に則って処罰しなければならない。しかし――」
ス「迷いがあるんだよね」
ア「皆の前から黙って去った私を、スレイやライラ様達は快く受け入れてくれた。ゴドジンで再会したときも、マルトラン師匠が憑魔だとわかって落ち込んでいるときも、スレイのおかげで立ち直ることが出来た。皆がいなかったら今頃私も憑魔になっていたかもしれない……」
ス「アリーシャ……」
ア「今度は私が誰かを支える番だ。ロゼは大切な人を失って今一人で苦しんでいると思う。また殺しを行わないためにも近くで見守っていたい。しかし、王家の者として風の骨が行ったことは許すことは出来ない。ロゼをこれからどうするべきか迷っているんだ」
ス「難しい問題だな。アリーシャとしてはロゼに改心して欲しいと思っているんだよね」
ア「ああ。自身の犯した罪をしっかり反省した上で、これからを考えて欲しい」
ス「俺も、今までは目の前の穢れを祓う事で世界を救えると思っていた……。ううん、そこしか見えていなかったんだ。デゼルやサイモンみたいに業を背負う天族がいる。ロゼだってそうだ。そういう人とどう関わっていくかよく考えていかなくちゃ」
ア「私も一緒に考える。特にロゼの事はハイランド王家にも関係する話なんだ」
ス「うん。みんなで、ね」
ア「キミはどこまでも前向きなんだな」
ス「みんなに励ましてもらったからね。大事にしてもらっているよ。ちょっと過保護すぎるぐらいだけどね」
ア「それほどスレイの事を大切に思っているんだろう」
ス「頼もしい仲間だよ」
ア「もう夜も遅い。ここは私に任せてスレイは休むといい」
ス「アリーシャ一人に任せっきりじゃ悪いよ。オレも付き合う」
ア「スレイ……、ありがとう」
ス「どういたしまして」
朝
ス「おはよう」
ミ「おはよう、スレイ。よく眠れた?」
ス「ああ……」
エ「そうは見えないけど」
ラ「今日は随分お寝坊さんですね」
ス「うん……昨日遅かったからかな。目が覚めたらアリーシャがいなくて驚いたよ」
ア「何度も起こそうと声を掛けたのだが全然起きなかったから置いてきてしまった。すまない」
ケ「ロゼさんは?」
ス「まだ寝ているよ。もうぐっすり」
ザ「よう。スレイ」
ス「ザビーダ。まだこの街に居たのか」
ザ「つれないねぇ、なぁ、ライラ?」
ラ「さぁ、全員揃いましたわ。ザビーダさん、陪神契約をする理由をお聞かせください」
ス「陪神契約!?ザビーダが!?」
ザ「はいはい、まあ黙って聞きな。俺の目的は導師殿の旅路に繋がってるのさ」
ミ「ザビーダの目的……。たしか決着を付けなきゃいけない相手がいるってヤツか」
ザ「そ。一人は可愛いエドナちゃんの兄貴。もう一人は……マオテラスさ」
ケ「マオテラス……あの五大神の?」
ザ「本来このグリンウッド大陸はマオテラスが護ってるはずだろ?なのにあの坊やは姿を消し、それと時を同じくして災禍の顕主が現れたっていうじゃないか。こりゃどういうわけだ?」
ミ「まさか」
ザ「俺はそのまさかと思い至ったわけさ」
ミ「マオテラスが憑魔になってヘルダルフと結びついてるって言うのか」
ケ「信じがたいことだけど、可能性はある」
エ「……確かめないといけないわね」
ラ「そのためにはかの者との接触は不可欠ですわ」
ミ「となればヘルダルフの領域下でも力が振るえないといけないか……」
ラ「今のわたし達では力不足ですわ。せめて――」
ロ「せめて秘力が揃っていたら、でしょ?」
ス「ロゼ!」
ア「体は大丈夫なのか?」
ロ「大きなケガもないし、全然平気。宿屋の人から聞いた。あんた達が看病してくれたんだってね。ありがとう」
ス「元気そうでよかったよ」
ロ「スレイたちはこれからどうするの?」
ス「ヘルダルフ……って言っても分からないか。災厄の原因を作り出している張本人を捜しに行く。調べたいことがあるんだ」
ロ「ヘルダルフ?グレイブガント盆地にいた強い領域をもった憑魔のこと?」
ラ「ロゼさん、知っていますの?」
ロ「あたしもそこにいた。スレイ、あんなヤバいとやりやって勝算はあるの?」
ス「それは……」
ミ「風の秘力を手に入れて、四つの秘力をぶつければ或いは――」
ロ「……スレイ、一つお願いがある」
ス「どうしたの?改まって」
ロ「あたしをスレイの従士にしてください」
ス「ロゼ……」
エ「前、スレイが誘ってきた時は拒否ったのに、どういう心境の変化?」
ア「理由を聞かせてくれないか」
ロ「今までのあたしは、悪の元凶は殺すしかないと思っていた。あたし達をバラバラにしたサイモンも、その背後にいる親玉も憎くて、殺す事でヤツらのせいで苦しんでいる人達を救えると本気で思っていたんだ。他の方法も考える事を諦めてそう決めつけていた」
ロ「でも、デゼルが居なくなって気付いた。穢れを殺してもそのせいで誰かが犠牲になるのはイヤだって。それに穢れを殺すんじゃなくて祓うことで誰かを救うことが出来るって事をスレイが教えてくれた。スレイの言うようにあたし達は間違っていたんだ」
ロ「あたしは、この世界の穢れを祓いたい!あたしたちのような、家族が引き裂かれることがない世界にしたいんだ!せめてルナールだけは……ルナールだけでも闇から救い出したいんだ」
ケ「キミとルナールは一体どういう関係なんだい?何か因縁があるみたいだけど」
ロ「……昔一緒のギルドにいたんだ。同じ釜の飯を分けて食べた、今も大切な仲間だ」
ザ「昔の仲間、か」
ロ「あたしとザビーダが風の秘力を手に入れたら、四人同時にあの強力な力を発揮できる。それなら、あいつの穢れにも対抗できるんでしょ」
ア「スレイ、どうする」
ス「そんなの決まっている」
ス「一緒にルナールを救いだそう、ロゼ」
ロ「スレイ」
ミ「とりあえず表面上は反省したみたいだしね。仲間に入れていいんじゃないか」
ラ「今のロゼさんには穢れを感じません。その強い意志があれば穢れにも負けませんわ」
ケ「とりあえず様子を見させてもらうよ」
エ「下手な動きを見せたらすぐボコるから。頑張りなさい」
ア「私はロゼの事を完全には信用出来ていない。然るべき処分は受けるべきだと思っている」
ス「アリーシャ……」
ロ「アリーシャ姫のいう事はごもっともだよ。それほどの事をしたんだ。これで罪滅ぼしになるなんて思っちゃいない。ちゃんと罰は受ける」
ア「それだけ確認できれば今は充分だ。これからよろしく、ロゼ」
ロ「アリーシャ姫」
ア「アリーシャでいい」
ロ「うん。アリーシャ」
ラ「いいでしょうか。早速従士契約を始めても……」
ロ「いつでもいいよ」
ラ「では始めます」
ラ「我が宿りし聖なる技に新たなる芽いずる。花は実に。実は種に。巡りし宿縁をここに寿がん。」
ロゼが光に包まれる
ラ「今、導師の意になる命を与え、連理の証とせん。覚えよ、従士たる汝の真名は――」
ス「ウィクエク=ウィク」
光がロゼの中に
ロ「デゼル、あたし、頑張るよ。近くで見守っていてね」
ラ「では、目的地は風の試練神殿ですわね」
ケ「ワーデルさんから秘力を受け取りにいこう」
エ「一度断られている相手よ。すんなりいけるかしら」
ロ「なんとかする!試練だろうがなんだろうがかかってこい!」
ミ「ロゼ、完全に吹っ切れたみたいだね」
ア「切り替えが早すぎる気がしますが」
ス「よし!行こう!」
ザ「待てってつーの!俺の陪神契約どうなった!」
ス「あ!」
エ「あなた、まだ居たの?」
ザ「エドナちゃんは冷たいねえ」
ラ「忘れていましたわ。さっさと済ませましょう」
ザ「ライラちゃんまで、俺の扱いひどくない」
ミ「一気に大所帯になったな……」
ア「そうですね……」
凱旋草海
エ「ザビーダ。あの話のことちゃんと聞かせて」
ザ「あの話って……告白の返事だっけ?」
エ「誤魔化さないで。言ったでしょ。お兄ちゃんと決着をつけるって」
ザ「そのままの意味さ。アイゼンとは、ちょいと因縁があってね」
エ「それがどんな因縁か聞いてるの」
ザ「『妹さんを僕にください』って言ったら殴られた」
エ「ウソね」
ザ「けど、絶対やるだろ。アイツ?」
エ「……わかった。話す気はないのね」
ザ「くくく、アイツが心配するわけだ」
ラ「本当は、どうなんですの?」
ザ「さあて、どうだったかな?」
ラ「もしかして誓約なのですか?」
ザ「いやいや、そんな大したもんじゃないって」
ザ「けど、口にしないもんだろ。男の約束ってのは」
風の試練神殿。
ア「またここに戻ってきましたね」
ミ「風の試練神殿……最後の秘力が眠る場所」
ス「前、ここに来た時はザビーダと戦ったんだっけ?」
ザ「そういえばそうこともあったな。ロゼもデゼルもスレイも、みんなしてジークフリートが欲しいとか言ってな。俺様って実は人気者?」
エ「それはない。ジークフリートが人気なだけ。あなたは所詮オマケよ」
ザ「そう言うなって。ジークフリートを探していると、こんな生きのいいザビーダ兄さんが付いてきました。この上なくいい買い物しただろ」
ミ「相変わらず調子のいいやつだな」
ザ「これがモテる男の処世術ってやつよ。ミク坊にはまだ早すぎたか」
ミ「どこかだ!」
ラ「なんだかんだ言ってもう馴染んでいますね」
ケ「あの時敵同士だったザビーダとこうして一緒に旅していると思うと感慨深いね」
ロ「…………」
ア「ロゼ?」
ロ「いや、みんなを見ていると、なんだか不思議な感じで。こういう付き合い方もあったんだなって……」
ア「スレイとケイン、そして天族の方々もすごく心優しき者たちだ。ロゼもすぐに馴染めるよ」
頂上
ワ「意外と早かったな、導師よ」
ス「ワーデルさん、約束通りロゼを連れてきたよ」
ワ「一緒にいた風の天族はどうした?」
ア「それは……」
ロ「亡くなったよ。デゼルは私を守って」
ワ「そうか。……すまない、余計な事を聞いてしまったな」
ロ「いいんだ。デゼルはありがとうって言ってた。きっと後悔はしていない」
ワ「ふぬ、以前感じた怒りや憎しみは何か別な物に昇華したようだな」
ワ「そこにいるお前は憑魔狩りのザビーダだな。噂には聞いているぞ。お前はなぜ憑魔を狩る?」
ザ「決着を付けなきゃならないヤツがいるんだ。そいつらは浄化の力を持ってしても手こずる厄介なやつでね、そのために憑魔を狩っていた。俺は生かす事と救う事の両立を諦めたが、こいつらは違った」
ザ「秘力を集めて穢れに真っ向から立ち向かった。そんな姿を見せつけられて心に響かなかったら男じゃないだろ。俺はこいつらの可能性に賭けてみようかと思った。大博打だけどな。だから俺たちに秘力を授けてくれ」
ワ「……いいだろう。試練に挑戦する事を認める。今度はその覚悟が本気かどうか、見せてもらおうか」
ザ「そうこなくっちゃな!ロゼ、準備はいいか!」
ロ「あたしはいつでもオーケー」
ス「ロゼ」
ロ「スレイ達はそこで見ていて。これは私が乗り越えなくちゃならない試練なの。……そうでしょ、デゼル」
ラ「ロゼさん」
ケ「ボクたちの時と一緒だね」
エ「どうしてこうも暑苦しい人ばかりなのかしら」
ス「わかった。必ず乗り越えろよ」
ロ「おうよ!任せといて!」
ザ「話は終わったか」
ロ「おう!」
ザ「気負いすぎるなよ。肩の力を抜け。リラックス、リラックス。なんたってお前には、頼りになるザビーダ兄さんと一番近くで見守ってくれるデゼル、イケイケな天族が二人も付いているんだ。安心して背中を任せろ」
ロ「それなら負けるはずがないね。期待してるよ、ザビーダ」
ザ「さあ行くぜ!」
ザ「ウィンドランス!」
ロ「鳳凰天駆!」
ア「ロゼ……、がんばれ」
ロ「はああ!」
ワ「ぬうう」
ザ「詐欺師!」
ミ「よし!相手がひるんだ!」
ザ「最後は自分で決めろ!ロゼ!」
ロ「おう!」
ロ「散らせ仇花!業華炯乱!」
ワ「見事だ……」
ワーデル、倒れる。
ザ「やったか」
ワ「合格だ」
ロ「こいつ、まだ立ち上がって」
エ「相手はあの護法天族。わたし達が勝てる相手じゃないわ。悔しいけど」
ケ「エドナちゃん……」
ロ「それじゃあ秘力は――」
ワ「安心しろ。力をもちろんの事、心、絆も見せてもらった。風の秘力を得る資格は十分にある」
ス「ロゼ、ザビーダ、やったな!」
ロ「うん。それもザビーダやスレイのおかげだよ」
ワ「さあ祭壇に祈りを捧げるがよい」
体が光る
ロ「これが神威」
ザ「こりゃいい。力が漲ってくるぜ。ロゼ、これからよろしくな」
ロ「こちらこそ」
ワ「その力は紛れもなくお主たちに授けたもの。その力を正しき事に使うのだぞ」
ザ「わかっている。自分の立場ぐらいはわきまえているぜ。なあロゼ」
ロ「ようやく殺す以外の道を見つけたんだ。無駄にはしないよ」
ワ「今のお主たちには愚問だったな。これからの道程に何が訪れるか、いかなる可能性も想像しておくことだ。この旅路の果てに導き出した光を見失うことないようにな。その強い志、忘れる出ないぞ」
ロ「おう!」
ワ「ではな。導師スレイ。そなたの旅路に光りあらん事を」
ス「ありがとう。ワーデルさん」
ミ「四つの秘力はそろった。ヘルダルフに対抗できるのかな?」
ラ「それは……」
ス「やってみなくちゃわからない、だろ?」
ケ「まずは居場所を探らないとね」
エ「手掛かりナシよ。どこから手をつける?」
ロ「ねえ、そいつが現れる場所は強い穢れが発生するんだよね?」
ア「ああ。加護を受けていない人、天族が憑魔になってしまうほど強力な穢れが……」
ロ「それなら、役に立てるかも……」
ア「ロゼ?」
ロ「スレイ、一度アジトへ向かって」
ス「アジト?」
ロ「そう。ヴァーグラン森林にあるセキレイの羽の拠点――いや、風の骨のアジト。もしかしたら仲間が戻ってきてるかもしれない」
ザ「一度情報収集をしようって訳か」
ロ「うん。それとちゃんと仲間と話しておきたいと思って。デゼルの事とかこれからの事とか」
ス「わかった。みんなもそれでいいな」
ラ「はい」
ミ「むやみに探し回るよりはよっぽど建設的だ」
エ「いぎなーし」
ケ「ちょうどいい。もう一度あの遺跡を見ておきたいと思っていたんだ。もっとよく調べたら災禍の顕主と対峙するヒントがあるかもしれない」
ア「私も導師の壁画を見ておきたい」
ス「決まりだな」
ロ「ありがとう、みんな」
ティンタジェル遺跡へ向かう。
こんにちは、作者です。第二十一話です。ロゼとザビーダが仲間になりました。そして、風の秘力もゲット。これで四つの秘力をコンプリートです。ようやく出揃いましたね。次回はいよいよ災禍の顕主との再戦。神威は通用するのか見物です。ではまた、第二十二話で会いましょう。