俺が考えたアリーシャヒロインのゼスティリア   作:具志健

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ロゼとザビーダを仲間に加え、四つ目の秘力を手に入れた導師一行。災禍の顕主の居場所の情報を得るため、風の骨のアジトへ向かう。


第二十二話 災禍の顕主

ティンタジェル遺跡

エギーユ「ロゼ!無事だったか!」

 

ロッシュ「トルとフィルから聞いたぞ。ロゼとデゼル、たった二人でペンドラゴ城に忍び込んだって。その後行方が分からず心配していたが……、とりあえず元気そうでよかった」

 

ロゼ「ごめん。心配かけた。アタシなら平気」

 

トル「それにしたって、どうしたって導師一行と一緒なんだい?」

 

ロゼ「うん。その事で話したことがあるんだ。とても大事な話」

 

フィル「どうしたの?改めちゃって」

 

ロゼ「実は――」

 

 

 

エギール「そうか、デゼルが……。まさか天族のあいつが俺たちより先に逝くなんてな」

 

ロゼ「デゼルが最後に言ってた。「俺を家族と呼んでくれてありがとう」って」

 

ロッシュ「家族、か。結局、俺たちはあいつの姿を見る事が出来なかった」

 

トル「でも、ずっと守ってくれたんだよね。みんなのことをずっと……」

 

フィル「デゼル、ありがとう。人間のわたし達を家族と呼んでくれて。今はゆっくり休んでね」

 

ス「デゼル……、みんなに愛されていたんだな」

 

ラ「はい」

 

ミ「スレイ、アリーシャをイズチに連れて行った時、ジイジが言った言葉を覚えてる?」

 

ス「ミクリオ?」

 

ミ「ジイジは、「同じものを見聞き出来ねば、共に生きる仲間とは言えん」って言ったんだ。あの時は反論できなかったけど、今ならはっきり言える」

 

ス「うん。姿だって見えなくたって、声が聞こえなくたって、人と天族は共に生きることができる」

 

エ「面倒なことが多いけどね」

 

ス「それでも交流できるって事が大事だと思うんだ」

 

ラ「全ては双方の心次第ですわ」

 

ス「ああ」

 

 

 

ロ「それでこれからの事だけど……」

 

トル「導師と一緒に行動するんだね」

 

ロ「うん。あいつのためにも、そしてルナールとケリをつけるためにも、アタシはスレイと一緒に行く」

 

ロッシュ「そうか」

 

ロ「ごめん、アタシが勝手に決めちゃって……」

 

エギール「俺たちはロゼとデゼルがいなかったら、風の傭兵団もろとも殺されていたんだ。二人には返しきれない恩がある。それに……」

 

エギール「復讐の事しか考えてなかったロゼがこの世界を救いたいなんて言い出したんだ。俺たちだってそっち側に付きたいよ」

 

トル「ロゼはみんなの頭領でしょ。ほら、しゃんとして」

 

ロ「エギール……トル……」

 

エギール「スレイ、俺たちに出来る事があったら何でも言ってくれ。今までの罪滅ぼしって訳ではないが、お前たちに協力したい」

 

ス「ありがとう。早速だけど、旅の途中で強い穢れを感じたことはなかった?」

 

エギール「穢れ?」

 

遺跡調査を行っていたケイン、アリーシャ、ザビーダが戻ってくる。

 

ケ「人間にも天族にも害をなす物さ。それを生み出しているヤツをボクたちは追っているんだ。最近おかしな噂とか聞いてない?そうだな……、そこへ行った人が一向に帰ってこないとか」

 

ス「ケイン、それにアリーシャも」

 

ア「壁画を見てきた。特に収穫はなかったが」

 

ミ「ザビーダも一緒だったのか」

 

ザ「アリーシャちゃんの護衛さ。何かあったら大変だろう」

 

ケ「……ボクの事は無視なんだね」

 

ザ「気ぃ悪くした?ごめん、ごめん」

 

ケ「ホント良いキャラしてるよ、まったく」

 

ス「ええっと……」

 

エギール「おかしな噂か……。そう言えばアイフリードの狩り場に向かった商人が戻ってこないって話を聞いたことがあるな」

 

ロ「それって、いつの話?」

 

エギール「昨日、ローランス兵が話しているのを聞いた」

 

ラ「強い穢れに飲み込まれ憑魔になってしまったのでしょうか……」

 

エ「可能性は十分あるわね」

 

ス「行ってみよう」

 

ザ「信じていいのか?こんなテキトーな情報」

 

ス「調べる価値はあるさ」

 

ロ「ダメで元々!」

 

ア「他に情報がないんです。今はこれに頼る他ありません」

 

エ「ま、世界中を回るよりはマシね」

 

ラ「決まりですわね」

 

ス「エギールさん、ありがとう。おかげでなんとか何そうだ」

 

エギール「これぐらいどうってことないよ。……スレイ、ロゼの事を頼む」

 

ス「ああ」

 

ロ「じゃあ、いってくるね」

 

 

 

アイフリードの狩り場

ア「言われていた場所に到着したが……」

 

ラ「この領域の力は……!」

 

ス「ヘルダルフが居る……間違いない」

 

ス「ヘルダルフ!どこだ出てこい!」

 

ヘルダルフ「そう声を荒げるな。ワシはここにいる」

 

ヘルダルフ、姿を現す。

 

ケ「こいつが災禍の顕主……」

 

ア「すごいオーラだ……」

 

ス「前のようには行かないぞ、ヘルダルフ!」

 

ヘ「……そうあってもらわねばな」

 

ス「どういう意味だ」

 

ヘ「……行く先々に憑魔の領域があったのが偶然だとでも?」

 

ザ「……全てあんたの掌の上……そう言いたい訳かい」

 

エ「……敵に塩を送ったつもり?」

 

ア「そんなことをして、一体何が目的なんだ!」

 

へ「ふっ、知れたことよ」

 

ラ「スレイさん、油断なさらないで」

 

ス「ああ。こいつは謎が多すぎる」

 

ロ「で、こいつがホントにマオテラスと結びついてんのか……どうやって確認すんの?」

 

ザ「当たってぶつかるしか無いかもよ」

 

ミ「それは危険すぎる」

 

エ「じゃあどうするのかしら?」

 

ケ「一筋縄ではいかないだろうね」

 

ス「……ヘルダルフ、答えろ。お前は――」

 

ヘ「ふっふっふっふ。はぁーっはっはっは!」

 

ロ「な、何笑ってんだ!」

 

ヘ「あまりによくしゃべるのでな」

 

ス「!」

 

ヘ「ワシは災禍の顕主。貴様は導師。この両者の邂逅はすなわち戦い。そうであろうが?」

 

ラ「スレイさん!」

 

ス「来るぞ、みんな!」

 

ヘ「見せてみよ、導師!お前という器を!」

 

ス「気圧されるもんか!」

 

『ルズローシヴ=レレイ』

 

『フォエス=メイマ』

 

『ハクディム=ユーバ』

 

『フィルク=ザデヤ』

 

ラ「四つの秘力を合わせれば、かの者の領域に対抗できるはずです!」

 

ス「行くぞ!ヘルダルフ」

 

ロ「はあああああ!」

 

総攻撃。

 

ア「やったか!」

 

ミ「いや、まだだ」

 

ヘ「これがあの時と同じ青二才どもとはな。これほど力をつけているとは……面白い。そうでなくては!ふん!」

 

吹き飛ばされる面々。神威解除

 

ザ「…押してるのに何か嫌な感じだ」

 

エ「あなたと意見が合うなんてね」

 

ヘ「……うれしいか?」

 

ス「何?」

 

ヘ「このまま戦えばワシを討てる。そう感じているだろう?それこそがお前たちの望みであろうが」

 

ス「……何なんだ!お前!」

 

ヘ「ワシにはそれがただの欲望に見えるぞ。ふふ。溺れるか?その甘美な泉に」

 

ス「……ライラ!決着をつける!」

 

ラ「…………」

 

ア「ライラ様?どうしたのですか?」

 

ラ「スレイさん、このまま決着を付ける事が後悔のないスレイさんの答えなんですの?」

 

エ「そうね。今のワタシたちの目的はこのひげネコと戦う事だけだったかしら?」

 

ヘ「災禍の顕主を鎮める事が導師の使命……何も間違ってはおらん」

 

ミ「やれるもんならやってみろって挑発してるのか?」

 

エ「違うわ」

 

ザ「何か狙ってやがるな」

 

ヘ「……サイモン!」

 

サイモン、出現

 

サイモン「……ここに」

 

ロ「あいつは!」

 

ヘ「邪魔者を除く」

 

サ「は」

 

暗い闇があたりを照らす

 

ラ「幻術ですわ!」

 

ケ「これは厄介だね」

 

ス「注意しろ!みんな!」

 

ヘ「もう遅い」

 

スレイとライラ以外、球体に閉じ込められる。

 

ス「みんなが球体の中に!」

 

ラ「中から穢れを感じます。このままでは憑魔になってしまいますわ!」

 

ス「なんだって!」

 

ヘ「力をつけたな、導師よ。サイモン、……あの穢れの量でどれほど遮断できる?」

 

サ「かほどに強いものですと10分程度しか……申し訳もありません……」

 

へ「ま……よいわ」

 

ス「何をした!ヘルダルフ!」

 

ヘ「何、お前たちとゆっくり決着をつけようと思ってな。邪魔者を排除したまでよ」

 

ラ「来ますわ!」

 

ヘ「見たところ、主神とは神威出来ないようだな。形勢が逆転したか?」

 

ス「くっそ……!」

 

ヘ「勝利の期待から不安、焦燥、死の予感へと…!」

 

ス「くっ!」

 

ラ「スレイさん、気持ちを強く持って!……かの者は!」

 

ス「ライラ……!ヘルダルフはまだ答えを出せてないオレにつけ込もうとしてる。そう言いたいんだろ?このままこいつと戦ってたらもっとつけ込まれてどうにもできなくなりそうだ」

 

ラ「スレイさん!わかりましたわ!みんなを助け――」

 

ヘ「逃すものかよ」

 

立ちはだかるヘルダルフ

 

ス「とにかく弱点を攻めるしかない!」

 

ス「奥義で吹き飛ばして、チャンスをつかむ!」

 

ヘ「小賢しい。我が奥義で蹴散らしてくれるわ!獅子戦吼!」

 

ス「ぐはあ……。その技はセルゲイの……」

 

ヘ「ほう、この技を知っておったか。中々見込みがあるな」

 

ラ「スレイさん……あう!」

 

ヘ「抗うな」

 

ス「……イヤだ!絶対に諦めない……!」

 

ヘ「抗う事……そのいびつさに気付くがよい」

 

ス「な、に?」

 

ヘ「……サイモン。従士を解け」

 

サ「は……」

 

サイモン、アリーシャにかけた術を解く。

 

ア「きゃっ!」

 

ラ「何を……」

 

ヘ「抗ったとてどうにもならぬ事を受け入れよ。導師」

 

ス「や、めろ……!」

 

ア「スレイ、ライラ様!今、助けます!」

 

『フォエス=メイマ』

 

ヘ「ぬう」

 

ア「剥ぐは炎弾!エンシャントノヴァ!」

 

サ「くっ!」

 

ヘ「従士風情が調子に乗るな!」

 

ア「きゃああ!」

 

ス「アリーシャ!」

 

ヘ「……もはや弄するのは無駄だな」

 

ヘ「……導師スレイ、ワシに降れ。共に世界を元の姿に戻そうではないか」

 

ス「な!?」

 

ラ「災禍の顕主と共に行く先などただの穢れあるのみ……そんな事――」

 

ヘ「それの何がおかしい?」

 

ヘ「何もせずとも穢れは生まれ、ごく限られた浄化の力を持つ者によってのみ滅せられる」

 

ヘ「これが自然な事だとでもいうのか?」

 

ラ「憑魔は人も天族も傷つける存在です!」

 

ヘ「だから穢れに抗う事が自然だと?笑止な……」

 

ヘ「……導師スレイ、もう一度言う。ワシに降れ」

 

ヘルダルフ、剣を見せつける。

 

ス「その剣は……マルトランさんが持っていった……」

 

ヘ「世界を斬る剣……。この剣は導師にしか扱えぬ。導師、いやスレイよ、お前がこの剣を振るい、人々に恩恵を与えるために穢れに抗う事を課せられ、天族と称されて縛り付けれている者たちを、憑魔という本来の姿に戻すのだ」

 

ス「断るよ」

 

ヘ「……では雌雄を決するとしよう」

 

ス「それも断る。今はその時じゃない気がする」

 

ヘ「言うことよ。いずれその身で知る事となろう。世界の……人と天族の真の姿をな」

 

ヘルダルフとサイモン消える。領域も消える。

 

 

 

ザ「間違いない。あいつはマオテラスと繋がってんな。ヤツの穢れに遮断された時、気配を感じた」

 

ミ「だが、マオテラスの影も形もなかったじゃないか」

 

エ「もっと考えて。見えてないと思ってたのに実はずっと見えてたとしたら?」

 

ス「……見えてるのに意識してなかったもの……」

 

ロ「これ?」

 

ス「大地か!」

 

ミ「……ヤツと繋がってるものがグリンウッド大陸を器としてるって……?」

 

ザ「そう。そんなヤツぁ一人しか考えられないってワケだ」

 

ケ「五大神マオテラスは、グリンウッド大陸のすべてに加護をもたらす天族だと言われている。そう考えると大陸全体を器としていてもおかしくはないが……」

 

ミ「だがそれなら――」

 

ロ「そうだとしてさ。大地を浄化するってできんの?それにヘルダルフが器になってんならわかるけどさ。大地を器としてるのが、なんでヘルダルフとも繋がってんの?」

 

ア「謎は深まるばかりだな……」

 

ス「……マオテラスを探そう。ヘルダルフが本当に大地を器としてる憑魔となってしまったマオテラスと繋がってるとしたら、マオテラス自身を浄化しないかぎり、ヘルダルフを鎮める事なんてできない」

 

ミ「だが……これまでの旅路で得たマオテラス伝承にも所在を示すものなんかなかったぞ」

 

ア「ケインは?何か知っているか?」

 

ケ「すまない、ボクも正確な情報までは知らないんだ。キミたちと旅をするまで、マオテラスはペンドラゴの神殿に祀られているとばかり思っていたし」

 

ラ「……メ―ヴィンさんを捜しましょう」

 

ロ「メ―ヴィンおじさん?」

 

ケ「師匠を?」

 

ミ「そうか……彼もマオテラス伝承を追って旅を続けているんだったな」

 

ス「何かマオテラスの手がかりを得てるのかも!」

 

ロ「けど、おじさん、どうやって見つけよっか……」

 

ケ「師匠は考古学者だ。遺跡を巡って神出鬼没。連絡手段として近くの宿屋で手紙を預かってもらう方法があるけど、それもどれほど時間がかかることやら……」

 

ラ「私に心当たりがありますわ。ローグリンの遺跡を守る方々に会いましょう」

 

ロ「ローグリン……ザフゴット原野にある遺跡の街だね」

 

ラ「ええ」

 

ケ「それにしたって、どうしてライラさんが師匠の居場所を知っているんだ」

 

ラ「それは……」

 

ア「行ったらわかる。そう言いたいのですね」

 

ラ「すみません。これはメ―ヴィンさんのこれからに繋がる話なんです。私の口からはお話しすることは……」

 

ケ「わかった。師匠に直接聞くことにするよ。口ぶりからすると師匠はボクに何か隠し事があるみたいだし、これを機に色々話がしたい」

 

エ「決まったわね。じゃ行くわよ。ミボ」

 

ミ「わかったからつつかないでくれ……」

 

ザ「おい、スレイ」

 

ス「ザビーダ?」

 

ザ「これをお前に託す」

 

ス「ジークフリート!?いいのか?」

 

ザ「災禍の顕主があんなに強い力を持っているって改めて知っちゃったからな。俺様一人では太刀打ちできねえっての」

 

ザ「いいか、スレイ。これを使うかどうかはお前自身だ。出し惜しみをしていたらお陀仏だぜ」

 

ス「ザビーダ……。わかった」

 

ザ「それならよろしい」

 

ザビーダ、スレイから離れてライラと話す

 

ザ「良いのかねぇ、これで?」

 

ラ「信じます……これは賭けですわ」

 

 

 

ローグリン

ス「ここがローグリンか……」

 

ミ「街全体が砦になっているのか」

 

ケ「この街は古くから導師信仰が根強く残っていて、導師にまつわる逸話が多く残されたているんだ。街の中央にある塔は、空から落ちた天族を天に帰すため導師が造ったという話もあるらしい。ホントかどうかは定かじゃないけどね」

 

ア「ならば塔の内部を調べれば、導師の事がわかるかもしれないのだな」

 

ケ「そうかも、しれないね」

 

エ「歯切れが悪いわね」

 

ケ「そりゃ悪くもなるさ。塔の内部には入れない。特殊な封印が施されている。何度か挑戦してみたけど、まったく歯が立たなかったよ」

 

メ「ほう、よく俺の教えを覚えていたな、ケイン。感心感心。教えがいがある弟子だ、まったく」

 

ス「メ―ヴィン」

 

ロ「おじさん」

 

メ「よう。スレイ、元気そうだな。ん?お嬢も一緒なのか」

 

ロ「……ちょっと色々あってね」

 

ス「……訳ありのようだな。詳しくは聞くのは野暮ってものか」

 

ケ「そうしてくれると助かります」

 

ス「ところでメ―ヴィン。マオテラスの事、何かわかった?」

 

メ「藪から棒だな。特にこれといってないな」

 

ア「そうですか……」

 

ラ「メ―ヴィンさん。禁忌を犯す行為だとわかっていますわ。ですが、今や唯一人の導師となったスレイさんが後悔なくその道を歩めるよう、力をお貸してください」

 

メ「…………」

 

ス「メ―ヴィン……もしかして聞こえてるのか?」

 

メ「ん?何の事――」

 

ザ「刻遺の。頼むわ」

 

エ「そう……この人が今の『語り部』なのね」

 

ス・ロ・ミ「語り部?」

 

ア「それは一体なんなのですか?」

 

ケ「師匠、ボクに何か隠していますね」

 

メ「ったく……それほどのタマだったワケか。今回のヤツは」

 

ラ「それもありますが……」

 

メ「……おまえらに俺が力を貸す……それがどういう意味かもわかってるんだな?」

 

ラ「はい……」

 

メ「怖い女だ」

 

ロ「おじさんがライラと会話してる……何がどうなっているの?」

 

ミ「まったくだ。ライラ、メ―ヴィン、ちゃんと説明してくれ」

 

メ「まぁ待て。お前らは今、俺にとってかなり重大な選択を迫ってるんだぜ?」

 

ス「さっきの禁忌を犯すことになるってヤツか」

 

ラ「あの時、かの者は私たちとの邂逅で、スレイさんの心をなぶって堕ちた導師へと誘おうとしていました。ですが、後にはスレイさんに同胞にならないかと手を差し伸べてきましたわ」

 

メ「災禍の顕主が導師に手を差し伸べる、か……」

 

ス「オレ、知りたい。ヘルダルフがどうしてあんな事になったのか」

 

ア「しかし、それは……」

 

ロ「おじさんの禁忌に触れるんだよね」

 

ミ「僕らはそれがどういう意味を持っているのかわかってない。勝手なことを言っているんだろう。だが……」

 

ス「やっぱりダメかな……?」

 

メ「……ま、ついて来な。ケイン、お前が入りたがっていた塔の中に入らせてやる」

 

ケ「塔への入り方を知っていたんですか!?」

 

メ「すまんな。事情があって隠していた。でももうその必要はなさそうだ」

 

ラ「メ―ヴィンさん。本当に……」

 

メ「語り継ぐ物語も未来がなくなっちゃ意味がない。そのためだな」

 

ケ「師匠、あなたは一体……」

 

ア「追いかけよう。そこに真実があるはずだ」

 

 

 

石碑の前へ

ス「うわぁ……すげぇ……こんなでっかい石碑にびっしり何か描いてある!」

 

ミ「『神代の時代』のものか?初めて見るものだな……」

 

ケ「古代文字で書かれている。それほど前に建てられた石碑という訳か」

 

メ「この石碑はただの人にとっては特に意味のない石塊だ。が、刻遺の語り部は真の機能を発動させられる」

 

ス「刻遺の語り部……」

 

メ「刻遺の語り部は、人、天族、憑魔……導師や災禍の顕主の物語を後生に語り継ぐ者。俺はその運命を背負った一族の末裔だ。語り部は公平であるために時代の趨勢に関わるのを禁じている。が……俺も覚悟を決めたよ」

 

ケ「師匠にそんな使命があったなんて……」

 

メ「驚いたか」

 

ケ「正直なところ、そうですね。色々知り過ぎているとは思っていましたが」

 

ア「それでは、石碑の真の機能とは?」

 

メ「導師と災禍の顕主の物語を後世に語り継ぐのが俺の使命。その石碑はいわばその再生機だ。そして、その再生させることが出来るのは刻遺の語り部って訳だ」

 

ス「導師と災禍の顕主の物語?じゃあここには!」

 

メ「そう、『災厄の始まり』が記憶されている。おまえらに『災厄の始まり』を体験させてやる。感じてこい。光と闇を。全員石碑に手を触れろ」

 

全員近づく石碑に手をつく

 

メ「そして目を閉じるんだ」

 

メ「偉大なる大地の神よ。契約者『刻遺』に御心示したまえ」

 

メ「これは答え合わせじゃない。ただ、感じてこい。いいな」

 

遠のく意識の中、メ―ヴィンは最後にこう告げた。




こんにちは、作者です。第二十二話です。さすが災禍の顕主と言うべきでしょうか。四つの秘力を得ても、まったく太刀打ちできませんでした。ラスボスはこれぐらい強くなきゃ倒しがいがない。ヘルダルフさんには思う存分力を振るってもらいたいところです。次回は、先代導師とヘルダルフの過去編です。若かりしライラとジイジも出てきますよ。若かりしとは言っても、数千年寿命がある天族の彼、彼女らにとって、十数年の月日は大したことないのでしょうが(笑)ではまた、第二十三話で会いましょう。
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