俺が考えたアリーシャヒロインのゼスティリア   作:具志健

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始まりの村カムランを目指す。


第二十八話 ラストダンジョン

アロダイトの森

ロ「ここってアロダイトの森だよね。迷いの森って言われてる。スレイの故郷に向かうんじゃなかったの?」

 

ア「イズチはこの森を抜けた先にあるんだ」

 

ケ「そして、イズチのさらに先に始まりの村、カムランがあると……。やれやれ先は長くなりそうだね。スレイくん、村まではどのぐらいかかるんだい?」

 

ス「……」

 

ア「スレイ?」

 

ラ「これは……」

 

ス「ミクリオ」

 

ミ「ああ。ジイジの加護領域を感じない……」

 

ス「イズチに何かあったのか……?」

 

ザ「うぇ……ひっでえ穢れだ」

 

ラ「これがあのアロダイトの森だなんて……」

 

ア「あれは!」

 

倒れているハイランド兵を見つける

 

ロ「人!」

 

ア「……もう死んでいる。ハイランドの兵、バルトロが指揮していた隊の者だ」

 

ケ「バルトロ卿……、ハイランドの内政を握っているという」

 

ア「一体何故、こんなところに」

 

ラ「ゼンライ様の領域内でも力を発揮できる者がこの地に憑魔や人を招き入れたのでしょう」

 

ス「……ヘルダルフ」

 

ミ「ヤツがカムランに踏み入れるため人間に封印を破壊させようとしたのかもしれない」

 

ザ「どうかな。あいつはマオ坊と繋がってる。もともと封印なんぞ何の役にも立ってねぇだろ」

 

ス「ああ。きっとヘルダルフは、もうカムランでオレ達を待ち構えていると思う。これはきっと……ただのいやがらせだ」

 

ア「…………」

 

ザ「なら、ここでウダウダしてたらヘルの野郎の思うつぼだな?」

 

ス「とにかくイズチに急ごう」

 

エ「……ひげネコの狙いはわかりきってるわ」

 

ラ「はい……」

 

ロ「スレイに穢れを生ませるため、か」

 

エ「スレイも気付いてるわね。だから努めて冷静であろうとしてる」

 

ラ「スレイさんの心を傷付けるため、かの者が何を企てているか……」

 

ロ「想像つくよ。それだけは絶対阻止しなきゃ!」

 

エ「……行きましょう」

 

ラ「……本来ならすぐにでも埋葬するべきだが、少し待っていてくれ。この戦いが終わったら、私が責任を持って、必ず弔うから……」

 

ラ「アリーシャさん……」

 

ア「私なら大丈夫です。ここで立ち止まっていては何も変わりません。行きましょう。ライラ様」

 

ラ「はい」

 

 

 

イズチ ハイランドの兵の死体の山。穢れが充満している。

ス「これは……」

 

ア「ここがあの美しかったイズチ……なのか」

 

エ「戦場と同じね。憑魔になって自分を失い、お互い傷つけ合ったんだわ」

 

ラ「どうしてこんな事に……」

 

ミ「昔ヘルダルフが考えたのと同じ事をしようとしたのかもしれない。イズチやカムランは戦略的に価値があるんだろう?」

 

ロ「もう戦争は終わろうとしてんのに!」

 

エ「戦争を終わらせたくないバカがいるってことでしょ」

 

ス「……」

 

ザ「けどよ。こいつらのせいだけじゃねぇな、こりゃ。どっかからすげえ穢れが溢れてやがる」

 

ミ「……母が施した封印が破られたのかもしれない」

 

ミ「妙だ」

 

ス「ああ。ハイランド兵の亡骸はあるのに、社の仲間の亡骸がない」

 

ケ「身を隠しているんじゃないのか。例えば、そうだな。家の中とか……」

 

ア「捜してみよう!」

 

ス「ジイジ……みんな……無事でいてくれ」

 

 

 

ジイジの家

ス「って!」

 

ラ「これは結界ですわ。ゼンライ様がここに人が入らぬよう施したのでしょう」

 

ス「ジイジ!オレだよ!スレイだ!」

 

「スレイだって?」

 

「スレイ」

 

ス「良かった!みんな!無事だったんだ!」

 

ミ「ジイジは?」

 

マイセン「ジイジは俺達をここに残して人間を追い払うって……」

 

ラ「この穢れのさなかお一人で?!」

 

カイム「すまん……俺達も行くべきだった」

 

マイセン「……だがオレ達がついていっても足手まといになるだけ……」

 

カイム「ジイジを見殺しにしてしまった……」

 

ミ「まだ死んだって決まってない!」

 

ス「ジイジがそう簡単にやられるもんか」

 

マイセン「スレイ……」

 

ス「捜してくる!マイセン、みんな、ここを動かないで!」

 

マイセン「わかった。スレイ、ミクリオ、必ず生きて帰ってくるんだぞ。みなさん、二人をよろしくお願いします」

 

ス「急ごう、みんな!」

 

ミ「みんな無事だったんだ。ジイジだってきっと……!」

 

サ「この変わり果てた故郷を見てもまだ憑魔と堕ちないか……。やはり最後まで抗うのだな、導師よ」

 

サイモン登場

 

ロ「サイモン……!」

 

サ「もはや手応えは計れんな。だからこそ、手は唯一となり、それに賭けねばならなくなったのだが……」

 

ミ「貴様……!」

 

ア「まさかお前がハイランドの兵を!」

 

サ「彼らは力を求めていた。私はそれに応えただけのことよ。もっとも身に余る力に溺れ、自らの命を捨てたのもまた彼ら自身だがな」

 

ケ「無関係の人まで巻き込んで……キミをそこまで駆り立てるものは一体なんなんだ?」

 

サ「知れたこと、ヘルダルフ様がそれを望んでいるからだ。お前が憑魔に堕ち、ヘルダルフ様の配下に下ることを。その為には私はどんなことだってする。ヘルダルフ様のお役に立てるのならこの身が朽ちようとも成し遂げる」

 

ス「おまえらが何を企もうと関係ない。オレの答えは決まってる」

 

サ「憎かろう、私が?討ちたいだろう、私を?」

 

ス「ジイジはどこだ?サイモン」

 

サ「……神殿遺跡にある『災厄の始まりの門』に殺到した人間を除きに向かった。もはや全て手遅れだがな」

 

サイモン消える

 

ス「『災厄の始まりの門』……」

 

エ「スレイ、あの子が言っていた神殿遺跡に心当たりはある?」

 

ス「ああ。昔よくミクリオと探検していた。すぐ近くにあるよ」

 

ザ「口ぶりからするとそこにカムランへ続く道がありそうだな」

 

ミ「行こう!ジイジを助けるんだ!」

 

ス「ああ!」

 

 

 

マビノギオ神殿遺跡 封印前

ザ「なんだこりゃ……」

 

ス「ここにもハイランドの兵が……」

 

ロ「……こいつが兵を進めたんだ」

 

ア「バルトロ!」

 

エ「こいつが内務卿……自分の私欲のために多くの兵を使ってここまで来て、穢れに呑まれた……最後までどうしようもないバカだったわけね」

 

ケ「奥にもまだ誰かいるぞ!」

 

ミ「あれは!」

 

ラ「ミューズさん!」

 

ミューズも倒れている

 

ミ「くっ……意識がない」

 

ス「ライラ、治癒の天響術を!」

 

ミューズ「う……」

 

ミ「しっかりするんだ!」

 

ミューズ「ライラ様……」

 

ス「よかった。目が覚めた」

 

ミューズ「ライラ様、申し訳ありません……ヘルダルフの侵入を許してしまいました……」

 

ケ「やはりヘルダルフが神殿内部にいるのか」

 

ミューズ「この穢れの気配……。神殿内の穢れが流れ出ているのですね。ですが……まだ……私の命を使えば……!」

 

エ「何するつもり?その体じゃ無茶よ」

 

ミューズ「天族の方……。私はどうしても……希望を繋ぎたいのです……!この命に代えても!」

 

ミ「なぜそこまで……」

 

ミューズ「いつかゼンライ様が育んだ子らが……導師と、それを助ける者……となって……。人と天族の未来を……希望へと導いてくれると信じているから……」

 

ミ「それが……答えなんだ……」

 

ミューズ「……私の杖を……」

 

ス「その体では無茶だ!今はゆっくり休んで……」

 

ミューズ「希望を……希望を繋げなくては……あの子たちが、ミクリオが希望を繋げるまで、希望を……」

 

ミ「僕ならここにいる。僕がミク――」

 

ラ「いけません!」

 

ア「ライラ様?」

 

ザ「おいおい、突然どうしたん?」

 

ラ「……ミューズさんは誓約をかけて人柱になる力を得ています。その誓約は――」

 

エ「最愛の息子と別れ、その姿を二度と目にしない事、よね」

 

ラ「はい」

 

ミ「なんだって!」

 

ミューズ「ライラ様、杖を……希望を繋ぐ……ミクリオが生きるこの世界を……」

 

ス「ミューズさん……」

 

ミ「…………」

 

ミ「ミューズ。導師が今こちらに向かっている。仲間の天族も一緒だ」

 

ミューズ「導師!?新たなる導師が生まれたのですか?」

 

ラ「はい。あなたが希望を繋いだ二人の赤子が立派に成長しました。災禍の顕主に対せるほどに」

 

ミューズ「ミクリオが!」

 

ザ「ああ。俺様と比べたらミク坊もまだまだだが、骨のあるいい男になったぜ」

 

エ「ミボにしては頑張ってるわ」

 

ケ「導師との神依を成功させ、多くの憑魔の穢れを祓い、元ある姿へと誘っています」

 

ミューズ「あのミクリオが……天族様のお役に……」

 

ロ「立ってる立ってる。特に導師様のね。ホント、いいパートナーになってるよ」

 

ア「我々人間のことも真摯に考えてくださる心優しきお方です」

 

ス「ミューズさん、ここはオレ達に任せてください。もう人柱になる必要なんてない。神殿の穢れはオレ達で祓います」

 

ミューズ「……わかりました。従いましょう」

 

ミ「ここは危険だ。イズチに仲間の天族がいる。ひとまずそこまで逃げよう」

 

ミューズ「一人で大丈夫です。イズチには何度か行ったことがありますから。導師様に、そして、ミクリオによろしくお伝えください。では……失礼します」

 

ミ「待って!」

 

ミ「僕は…………、いや、ミクリオがあなたに会いたがっていた。自分に母がいるという事を知った時から、ずっと……。この戦いが終わったら、きっとあなたの元に訪れると思います」

 

ミューズ「しかし、私には誓約が……」

 

ラ「カムランを封印する必要がなくなれば、当然人柱になる必要もなくなります。そうすれば、誓約が無効となりミクリオさんにお会いすることが出来るかもしれません。私が必ずお連れしますわ。」

 

ミューズ「ライラ様……。みなさん、ミクリオをよろしくお願いします。どうか無事に帰ってきて……」

 

ス「もちろん。誰も傷つけさせないよ」

 

ミューズ「ありがとうございます。私に出来る事は何もありませんが、イズチの地からみなさんの無事をお祈りしております」

 

ミ「それだけで充分だ。また会おうミューズ」

 

ミューズ、フェードアウト

 

ミ「母さん、僕は必ず……」

 

ス「ミクリオ……」

 

エ「泣いてもいいのよ」

 

ミ「泣くのはこの戦いを終わらせて、母と再会してからだ。今はまだ泣かない」

 

エ「……強い子ね」

 

ザ「それでこそ男だ。もうふと頑張りしようぜ」

 

ラ「ゼンライ様もきっとこの先ですわね」

 

ケ「それに五大神マオテラスも」

 

ザ「ヘルの野郎もな」

 

ア「まだサイモンが控えているはずです。あの幻術に注意しなくては……」

 

ロ「気合い入れてこ!」

 

ミ「ああ」

 

ス「行くぞ!みんな!」

 

 

 

サ「……最終幕の開演か。ヘルダルフ様、本当に彼らはまだ染まるのでしょうか……。いや、それをこそ私が成すのだ……!それこそ私がヘルダルフ様のお側にいられる存在価値……。ヘルダルフ様、このサイモンめが必ずや導師を誘ってみせます……」

 

 

 

マビノギオ神殿遺跡 最深部

ケ「だいぶ先まで進んできたね」

 

ア「ライラ様……。ライラ様は以前、カムランを訪れたことがあるのですよね?」

 

ラ「はい……。『始まりの門』を抜ければすぐのはずですが……」

 

ロ「中々つかないね」

 

ザ「というか、もう行き止まりだぞ。一本道だったのにおかしくねえ」

 

ジイジ「スレイ……、ミクリオ……」

 

ス「ジイジ!」

 

ジイジ「災禍の顕主から命からがら逃げてきたんじゃ……。もうワシらにはあれはどうにもならん。スレイ、ミクリオよ、今すぐ引くのじゃ」

 

ミ「スレイ」

 

ス「ああ、わかっている。サイモン、幻を見せてオレ達を騙そうとしても無駄だよ」

 

エ「何度も同じ手は通用しないわ。出てきなさい」

 

ジイジ「ちっ……、素直に忠告を聞いていればいいものを……」

 

ジイジ消える。

 

ケ「消えた」

 

エ「不思議ちゃんの幻ね。性懲りもなくこんな小細工を……」

 

ラ「カムランへの道を隠しているのもおそらくサイモンさんでしょう」

 

ミ「これ以上時間を無駄にしないために幻を打破する必要があるか」

 

エ「どうやって?」

 

ザ「幻とはいえ相手するのは楽じゃないぜ」

 

ス「……もうすぐ幻術は解けると思う」

 

ロ「え、なんで?」

 

ス「サイモンは天族だから。こんな穢れた領域の中じゃ力を振るうのも難しいんじゃないか?」

 

サイモン登場

 

ミ「図星だったようだな」

 

サ「……いくら幻で責め立てても、お前の心にはもうさざ波も立たぬのか……。ならば、別の手を使うまでの事よ」

 

エ「何?やけくそ?」

 

サ「大人しく屈せ!」

 

ス「サイモン……お前……」

 

サ「なんだ、その目は?同情か?同情するならその身を闇と染めろ!」

 

サ「お前たちは散るべき花。目障りの極み!」

 

サイモン、分身

 

ア「これも幻なのですか、ライラ?」

 

ラ「はい、恐らく……」

 

エ「どっちにしても倒すだけよ」

 

ミ「こんな戦い、何の意味もない!」

 

サ「なら大人しく消えよ。どうせ天族は殺せまい」

 

ザ「えらくナメられたもんだな、おい!」

 

サ「ならば殺してみよ。そして憑魔と堕ちよ!」

 

ス「殺さない。殺しちゃいけないんだ。オレはみんなを救う」

 

サ「まだそんな戯言を。綺麗事を並べているに過ぎない。導師よ。その同胞どもよ……」

 

サ「もはやその身が染まらぬのなら……このまま共に夢幻と踊り狂おうぞ!」

 

 

 

ス「はああ!」

 

サ「くっ……」

 

サ「ふふ。私を殺さねばこの舞台は終わらない」

 

ス「サイモン、もうやめよう……」

 

サ「死を受け入れるか」

 

ラ「もう体は限界のはずです。これ以上戦ったらサイモンさんは……」

 

サ「…………お前たちをヘルダルフ様の所へ行かせるぐらいなら、それも本望よ」

 

幻術消えて道が開けれる

 

ア「道が!」

 

ミ「幻術が解けたのか!」

 

サ「くっ……。私の力ももはやこれまでか……」

 

ス「サイモン……」

 

サ「もはや手遅れ……。すべて我が主の掌中よ……」

 

ア「そんなのやってみなければわからない。少しでも希望があるのなら私たちはそれに賭ける」

 

サ「……なぜ抗うのだ……抗えばそれだけ苦しむ……。なぜ苦しみから解放されありのまま生きるという我が主の目指す世界を否定する……」

 

サ「……忘れてたわけではあるまい。その業ゆえに命を落とした風の天族の存在を。お前たちがヘルダルフ様を討つということは穢れの中でしか生きられないものを殺すということなんだぞ」

 

ロ「けどあいつは――」

 

サ「業を抱えたものがそれに抗う事はすなわち自分自身を否定する事に他ならない。抗い、否定した先に何があった?空虚な死ではないか。彼や私のような者はこうするしか他ならぬ。これが疫病神の宿命だ!」

 

サ「私の手をとってくださるのはヘルダルフ様しかいない。お前たちを行かせるわけにはいかない、なんとしても……」

 

ス「ヘルダルフは殺さない。必ず先代導師にかけられた呪いを解いて救い出す」

 

サ「何……?」

 

ス「……サイモン、前にオレに聞いたよな。『存在するだけで不幸をもたらす業を持ったものは存在自体が悪なのか、死ぬべきなのか』って」

 

サ「……どう答えるかなど聞くまでもない」

 

ス「……でも言ってとく。自分を悪だって決めつけなくてもいい。……違うな。悪でもいいじゃないか」

 

サ「なんだと……」

 

ス「や、なんか違うな……えーっと」

 

ミ「上手く言おうとするな」

 

ス「どんなヤツだって居てもいい。デゼルも姿は見えなくても、ちゃんと風の骨のみんなに愛されていた。サイモンの幻を見せる力だって、使い道次第では人を幸せに出来る」

 

ス「ヘルダルフだって、呪いさえ解ければ、永遠の孤独にとらわれることなく普通の生活を送れるはずだ」

 

サ「……詭弁に過ぎん……」

 

ス「すぐにわかってもらえなくてもいい。でもきっと、みんなを幸せになる方法、きっと見つけるよ。だから――」

 

サ「貴様は自分の残酷さがわかっておらん……。貴様は今まさに私の幸せを奪っているのだ……。もはや我が主の御為に働けぬ私に存在理由などない……」

 

ロ「サイモン、よく聞いて。正直、あたしはあんたのことを許せない」

 

ア「ロゼ!」

 

ロ「ちょっと黙ってて」

 

ア「!」

 

ロ「サイモン、あんたのせいで団長が死んで、風の傭兵団がバラバラになった。あたしらの生活をめちゃくちゃにしたんだ」

 

サ「……さっさととどめをさせ。今なら彼らの仇を取れようぞ」

 

ロ「昔のアタシなら、あんたにナイフを突き刺してたと思う。でもそれじゃあ、恨みが恨みを買うだけだってスレイが教えてくれた。憎いから、復讐だからって、殺してもなんの解決にもならないんだ」

 

サ「何が言いたい」

 

ロ「アタシはあんたを殺さない。アタシも自分勝手な目的のために、多くの人を殺してきた。そんなアタシがあんたを責める資格なんてない。だからこれでオアイコ。みんなで幸せに暮らせる世界でゆっくり反省して、今まで不幸だった分も存分に生きて欲しい。……きっとアイツも同じ事を言うと思う」

 

ス「ロゼ……」

 

サ「…………」

 

サ「新しい世界で幸せに、か……。私になれるだろうか……」

 

ス「なれるさ。オレ達が付いてる、それにヘルダルフも一緒だろ」

 

サ「…………。ヘルダルフ様はこれからも永遠と続くであろう孤独に苦しんでおられる。私にはどうすることも出来ぬ。苦しむヘルダルフ様を救うことも、お側にいて悲しみを癒すことも、な」

 

サ「…………導師よ、私の代わりにヘルダルフ様を災禍の顕主の呪縛から解き放ってほしい。もうあのお方が苦しむところを見たくない……」

 

ス「ああ。約束する。ありがとう、サイモン」

 

サ「言っておくが、お前らの考えに賛同した訳ではないぞ。ヘルダルフ様を救えなかった、その時はお前たち全員を闇へと葬るからな」

 

ス「わかった。必ず成し遂げる」

 

ザ「スレイ、穢れが強くなってきている。これ以上足を止めていたら手遅れになっちまう」

 

ラ「時間はあまり残されていません」

 

ス「急ごう、ヘルダルフのところへ。サイモンは……」

 

サ「私に構うな。このぐらいの穢れ、どうということもない。少し休めばまた動けるようになる。それよりヘルダルフ様を……」

 

ス「うん。無理するな、サイモン」

 

サ「それはこっちの台詞だ。ここから先の憑魔はどれも一筋縄ではいかぬ。ヘルダルフ様のところに辿りつく前にやられたら元も子もない。心してかかれ」

 

ス「ありがとう、サイモン」

 

一行、カムランへ向かう

 

サ「ヘルダルフ様、お許しください……。どんな結末になっても最後までこのサイモンめが付いています。ですから……、今は、今だけは導師の言葉を信じさせてください」

 




こんにちは、作者です。第二十八話です。いよいよラスダンです。サイモン、良いキャラですね。導師一行のアンチテーゼとしては最高のキャラ付けです。同じアンチテーゼだった過去のロゼともまた違う考えですし。いろんな考え方のキャラがいて、どれが正しいとも言えない。テイルズシリーズのいい所だと思います。次回は、災禍の顕主と導師の決戦。正義と正義のぶつかり合い。戦いの中、導師スレイが出した答えとは。ではまた、第二十九話で会いましょう。
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