俺が考えたアリーシャヒロインのゼスティリア   作:具志健

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イズチを旅立ったところから


第三話 導師の誕生

レイクピロー高地

ス「ここが下界か~。」

 

ミ「意外と近かったね。」

 

ミ「まずはアリーシャのいるレディレイクへ行こう、スレイ。」

 

ス「おう!でもレディレイクまでどうやって行くんだ?オレ達、道知らないし……。」

 

ミ「手探りで行くしかないね。どこかに人が使っている整備された道があるはずだ。まずそれを探してみよう。」

 

ス「だな!……あれっ、あそこに人がいる。あの人に道を聞いたほうが早いんじゃないか?」

 

ミ「ホントだ。丘を下りていった先の木陰で休んでいる人がいる。」

 

ス「オレ聞いてくるよ!」

 

ミ「スレイ!?」

 

 

 

木陰

ス「眠っている、のかな?」

 

「……起きているよ。」

 

男はだるそうに口を開いた。続いて、大きく背伸びをして重そうな目をゆっくり開いた。

 

「やあ、おはよう。」

 

ス「起こしてしまってすみません。」

 

「いや、いいんだ。キミのおかげで寝過ごさずに済んだ。ありがとう。ボクはケイン。よろしく。」

 

ケインと名乗る男は目を擦りながら話す。

 

ス「こちらこそよろしくお願いします。オレはスレイって言います。」

 

ケ「で、ボクになんの用だい?寝ている人を起こすぐらい急いでいた、または困っていたんだろう?」

 

ス「いや、それほどのことではないんですけど、レディレイクまでの道を教えてくれませんか?」

 

ケ「レディレイク?あのハイランドの都のかい?ここから東の方向へ行った所だよ。」

 

ケインは右手でその方向を指さし、余った左手で口元を抑えてあくびをしながら言った。スレイとミクリオは教えてもらった方向を見つめる。よく見たら、遠く街らしきものが見える。

 

ス「東か~。ありがとうございます。」

 

ミ「これでアリーシャのところへ行けるね。」

 

ケ「どういたしまして。ちょうどボクもレディレイクへ行くところだったんだ。道案内するかわりといってはなんだが、ボクもスレイ君についていっていいかい?」

 

ケインは急ぎ旅支度を始めている。手馴れている様子であっという間に荷物をまとめ上げた。

 

ス「いいですよ。助かります、ケインさん。」

 

ミ「まあ、デメリットもないしね。」

 

スレイはケインの提案を承諾した。ミクリオからも異論はない。

 

ケ「おいおい、敬語はよしてくれないか。普通でいいよ、普通で。」

 

ス「わかった、ケイン。これからよろしく。」

 

ケ「こちらこそよろしく。さあ行こうか。」

 

 

 

道端

ス「ケイン、レディレイクまでは後どれぐらい?」

 

ケ「もう少しで見えてくるよ。そう遠くはない。」

 

ス「ケインはこのへんに住んでるの?」

 

ケ「いいや。ボクは旅人さ。世界中を回っているんだ。出身はローランスだ。」

 

ス「ローランス?」

 

ケ「ローランスも知らないのかい。ローランス帝国。ハイランドと並ぶ大国さ。」

 

ス「そうなんだ。」

 

ミ「アリーシャが言っていたハイランドと戦争がおきそうって国の事かな。」

 

ス「ケイン、ここ最近、レディレイクへ向かうアリーシャって人を見なかった?」

 

ケ「アリーシャ?」

 

ス「そう、アリーシャってオレと同じ年ぐらいの女の子。」

 

ケ「アリーシャって、あのアリーシャ・ディフダのことかい?ハイランド王国のお姫様の。」

 

ス「お姫様!?」

 

ケ「あれ、違ったかい?」

 

ス「ううん。たぶんその人だ。ちょっと驚いただけ。」

 

ケ「? そういえば、アリーシャ姫がここを通って都に戻ったという話をすれ違った商人たちが言ってたな。」

 

ス「よかった。無事に都に帰れたみたいだ」

 

ミ「まさかお姫様だったなんてね。姫が騎士で、しかも遺跡に捜索?一体どんな事情が……。

 

ス「考えてもしょうがない。あのキツネ男も街に入って彼女を狙っているかもしれない。早くアリーシャに知らせてあげなきゃ。」

 

ケ「そろそろ着くよ、あれが湖上の街レディレイクだ。」

 

 

 

ス「すごい……、湖の上に街がある……。」

 

ケ「街へ入る手段は陸上から橋を渡るしかない。それらの自然は美しさもさることながら、一国の首都を敵襲から護る天然要塞という側面もある。実に考えられた都市だ。もちろんボク達も橋を渡っていくしかないわけだけど……。」

 

ス「『現在馬車が壊れて封鎖中』って書いてあるね。」

 

ケ「旅をしているとこういうことは稀にあるんだ。仕方ない、復旧するまで気長に待つか。」

 

「あれ、ケインじゃん!久しぶり~。」

 

ケ「やあ、ロゼさん。久しぶりだね。元気そうで何よりだ。」

 

ロ「元気、元気、超元気。」

 

ケ「そりゃよかった。仕事の方は順調?」

 

ロ「うん。ようやく軌道に乗ってきた感じ。その人は?」

 

ケ「彼はスレイ君。ここへ来る道中で会ったんだ。」

 

ロ「……そうなんだ。よろしく、スレイ。」

 

ケ「スレイ君、こちらはロゼさん。」

 

ロ「あたしらは『セキレイの羽』。商人のキャラバン隊だよ。」

 

ス「オレはスレイ。よろしく。えーっと、キャラバン隊って事は旅してるの?」

 

ロ「そう!世界を股にかけてんだ。」

 

ス「へぇ!」

 

ロ「しばらくレディレイクに滞在するつもりだ。なんか入り用なら遠慮なくいってね。」

 

ス「うん。ありがとう。」

 

ミ「営業する前に馬車をなんとかして欲しいんだけど。」

 

ロ「馬車はもう少しで直せると思うから、ちょっと待っていてね。そうそう、最近面白い商品を仕入れてね。ちょっと見てく?」

 

ケ「このままただ待つのも退屈だし、そうしようかな。」

 

ロ「そうこなっくっちゃ。これなんかどう?ケインが前欲しがっていたやつが入荷してさ――」

 

 

 

暗転

ロ「みなさん、ご迷惑お掛けしました!」

 

ミ「橋が通れるようになったみたいだな。」

 

ス「ようやく街の中に入れるよ。」

 

ケ「スレイくんはこれからどうするんだい?」

 

ス「そうだな……、街の見学もしたいけど、まずはアリーシャかな。」

 

ケ「なるほど、わかった。ちょっと待ってて。」

 

サラサラ

 

ケ「はい、これ。レディレイクの簡単な地図。アリーシャ姫の邸宅までの道のりを大まかに書いておいた。」

 

ス「ありがとう、ケイン。」

 

ケ「どういたしまして。無事アリーシャ姫に会えるといいね。それじゃあ、また会える日まで。」

 

ケイン、フェードアウト

 

ミ「ロゼに、ケイン。それにアリーシャ。人間は穢れを生みだす存在だと聞かれていたけど、いい人もちゃんといるんだな。」

 

ス「だな!オレも嬉しいよ。」

 

 

 

レディレイク

ス「すっげえ!ここがレディレイクの都か~。」

 

ミ「なるほど……。人間の街はこんな感じなのか。ちょっと圧倒されるな。」

 

ス「だよなー!ほら、あそこ、人だかりが出来てる。」

 

ミ「ホントだ。地図には聖堂って書いてあるな。アリーシャの家はこの先だ。」

 

ス「は~、聖堂ってこんなに華やかなものなのか。」

 

ミ「さすがに導師伝承が残る街だね。それだけに気になる……。加護領域を感じない。」

 

ス「そういえば……イズチではジイジの加護を常に感じてたのに。」

 

ミ「ジイジが特別大きな力を持っているからあれほどだったとしてもだ。この街はとにかく穢れが強い……。ちょっと気分が悪くなるぐらいだ。」

 

ミクリオが手で頭を抑える。

 

ス「あ、大丈夫なのか?ミクリオ。」

 

ミ「まだね。正直長居するのは遠慮したくなってきてる。」

 

ス「オレたちってホント無力だよな……。穢れを感じているのに。」

 

ミ「もどかしいけど……しょうがない。僕たちに浄化の力なんてないんだから。それに穢れを生みだしているのは人間だ。」

 

ス「こんなに華やかな街なのにな……。」

 

ミ「これが普通なのかもな。人間の街では。」

 

ス「アリーシャが心配だ。屋敷へ急ごう」

 

 

 

アリーシャの家

ス「ここがアリーシャの家か……。」

 

ミ「立派な屋敷だ。さすが姫様だね。」

 

ス「アリーシャいるかな?」

 

ばうばう!

 

ミ「急にどうしたんだ?今まで大人しかった犬が突然……。」

 

ス「ミクリオ、あそこ!」

 

そこには、淡い炎がゆらゆらと宙で揺れていた。その中から人影が音もなく現れた。

 

「とんだ邪魔が入ったねぇ。」

 

男はこちらを見て、裂けている口を引きつらせ、不気味に笑いながら路地の奥へ駆け出した。

 

ス「見つけた!間違いない、キツネ男だ!」

 

ミ「追いかけよう!」

 

 

 

路地裏

「ちっ、行き止まりか。」

 

ミ「スレイ、あそこだ。」

 

「もう追いついて来やがった。しつこいねえ。」

 

ス「お前の好きにはさせないぞ!キツネ!」

 

「あくまで邪魔ぁするってか。」

 

男は火の玉を二人目がけて放った。ミクリオの術で相殺を図るが、押し負けてしまった。スレイは果敢に斬りかかるが、軽く止められ投げつけられる。

 

ス「にゃろっ!なんだって前より強いんだよ!?」

 

ミ「イズチでもジイジの加護領域がこいつを弱体化させていたのかもしれない。」

 

「丸焦げになって後悔しな!そーらっ!」

 

ス「ぐああ。」

 

ミ「くっ。」

 

「くっくっく。今回はしっかり殺すぜぇ。雑魚のくせに俺の邪魔しやがったんだからなぁ!」

 

「死ねえええ!」

 

ス「ミクリオ、危ない!」

 

シュ

 

「ぐああああ。」

 

ミ「何……ナイフがキツネの左足に当たった……」

 

「動くな。」

 

暗殺者登場

 

「お前は……。」

 

「ルナール、掟を忘れたか?」

 

頭領と呼ばれるスレイの背後の女は、冷たい声で言う。すごい迫力だ。

 

「掟?あのくだらない掟か。そんなもの知らないね。かっこつけて、頭領面するな。」

 

「単独行動を繰り返した挙句、その態度。反省の色がまったく見えないな。」

 

「けっ。お前らの家族ごっこに付き合ってられないんだよ!」

 

キツネ男は押さえつけていた人たちを強引に薙ぎ払い、イズチの時と同じように姿を消した。

 

「姿を消したか。まあいい、ルナールの行動はある程度読めている。」

 

ルナールを抑えていた大柄の男が吐き出すと、仲間を引き連れ引き上げていく。スレイの拘束は外され、頭領と呼ばれていた女も続く。

 

「我らへの詮索などに割く猶予はないぞ。姫が気がかりなら、聖剣の祭壇に急ぐんだな。」

 

ス「何でそんなこと教えるんだ。」

 

「我々にも矜持がある。それに思わぬ収穫もあったしな。」

 

暗殺者、フェードアウト

 

ス「行っちゃった……。一応助けてもらったお礼は言った方がいいのかな。」

 

ミ「さあ。あの仮面のやつら、キツネと顔見知りみたいだったが……。」

 

ス「とにかく今は祭壇に急ごう。アリーシャが心配だ。」

 

ミ「ああ。」

 

 

 

教会裏口

フェルが出てきてすれ違う

「こんにちは、セキレイの羽です。はい、これ。」

 

「ふむ。確かに。」

 

ミ「スレイ、あそこ。」

 

ス「ああ。ここからなら中に入れそうだな。」

 

兵士「おい、そこの少年、ちょっと待て。祭りを見たいなら表に回らないか。」

 

ス「えー、でも、今お兄さん通ってきたよね。」

 

兵士「彼はセキレイの羽。聖剣祭の運営を協力してもらっている。ここは関係者以外立ち入り禁止だ。」

 

ス「急いでるんだ。そこを何とか!」

 

兵士「ダメだ!」

 

ミ「スレイ、一旦この場を離れて、別の方法を考えよう。」

 

ス「うん……。」

 

 

 

ス「しっかしどうしようかな……。」

 

ロ「手、貸そうか?」

 

ス「ロゼ?」

 

ロ「なんか衛兵と口論していたみたいだから。どうにかして剣の祭壇に行きたいんじゃ?」

 

ス「そうなんだ!アリーシャが……。」

 

ミ「それは余計なこと。」

 

ロ「…………。」

 

ス「えーと、とにかく助けてくれるならすっごくうれしいよ!」

 

ロ「アリーシャ姫が……ね。いいよ。助けてあげる。トル、スレイに通行証を。」

 

トル「ロゼ!?いいの?」

 

ロ「いいの。さあ、渡して。スレイ、急いでるんでしょ。すぐ行かなきゃ。」

 

ロ「これがあれば、入れるはずだよ。中に入ったら、私の仲間に渡して。」

 

ス「ありがとう、ロゼ!」

 

トル「じゃあ、僕らは仕事に戻るよ。」

 

ス「ホントに助かったよ!」

 

ロ「いいってことよ。これからもセキレイの羽をよろしく!」

 

 

 

聖堂の中へ

ス「すごいあっさり中に入れたな。」

 

ミ「ああ、さっきまでの対応とは大違いだ。セキレイの羽、恐るべしだね。」

 

ス「さ、通行証もロゼの仲間に返したし、さっそくアリーシャを……。」

 

ア「スレイ?スレイなのか!」

 

アリーシャとマルトラン登場

 

ス「アリーシャ!」

 

ア「スレイ!よくぞ都へ。」

 

「姫。こちらは?」

 

ア「彼がスレイです。」

 

「ああ、辺境の遺跡で姫を救ったという……。」

 

ア「スレイ、こちらはマルトラン卿。今回の聖剣祭の実行委員長を務めてくださっている。そして私の槍術の師匠でもあるんだ。」

 

ス「よろしく!スレイです。」

 

マルトラン「よろしく。スレイ殿。」

 

ア「スレイ、都へはやはり剣の試練に?」

 

「それだけじゃないんだ。実は……。」

 

 

 

暗転

ア「その怪しい一団の言うことは事実だ。私の事を快く思わない者たちは多い。だが、それに臆するわけにはいかないんだ。」

 

ス「けどアリーシャ……。」

 

ス「……ありがとう、スレイ。心遣い、本当に感謝する。もうすぐ聖剣祭最後の祭事『浄炎入灯』が始まる。最後まで見ていってくれ。」

 

フェードアウト

 

ミ「あれが為政者の覚悟か……。」

 

ス「なんかすごいね……。」

 

ミ「そうだ!すごいものを見つけたんだ!スレイ。剣の台座を見てくれ!」

 

ス「え、うん。」

 

女性の天族が寝ている

「すーすー」

 

ス「女の人が台座の上で寝ている……。みんなには見えてないってことは天族なんだ。」

 

ミ「彼女と話せなきゃ、剣は抜けないんだろう。普通の人じゃダメなわけだ。」

 

ス「あっ、アリーシャたちが出てきた。」

 

アリーシャとマルトランが出てくる

 

マ「レディレイクの人々よ。この数年、皆が楽しみにしていた聖剣祭も世相を鑑みて慎んできた。だが今年はアリーシャ殿下のご理解と全面的な協力により開催する運びとなった。」

 

ア「最近は異常気象や疫病、不作や隣国との政情不安など憂事も多い。だが、こんな時代だからこそ伝統ある祭事をおろそかにしてはならないと私は考える。」

 

ア「さあ、湖の乙女よ!その力を現したまえ!我らの憂い、罪をその猛き炎で浄化したまえ。」

 

「うん……?」

 

それに呼応してか、先ほどまで寝ていた湖の乙女が目を覚ます。

 

ア「レディレイクの人々よ!この祭りを私たちの平和と繁栄の祈りとしよう!」

 

シーン

 

ス「あ、あれ?」

 

ミ「どうやらあまり反応が良くないみたいだ。」

 

「祈りが何だってんだ!これで俺たちの仕事が戻ってくるってのか、ええ!」

 

「評議会が武具や作物の通商権を占有したのは戦争をおっぱじめるためだろう!」

 

「俺たちをのたれ死にさせる気かっ!」

 

「こんなもんは評議会の自己満足だ!俺たちはこんなご機嫌取りにゃ誤魔化されねえぞ!」

 

ア「そ、それは……。」

 

衛兵「黙れ!祭りの邪魔をするな!」

 

シャ

 

「ひっ、ひい。」

 

ア「やめないか!」

 

衛兵「ちっ……。」

 

「へっ、ざまぁ見ろ。」

 

「高い給料を貰っといて市民いじめか。ハイランドの兵も地に落ちたな。」

 

「誰がお前たちに飯を食わせていると思っている。俺達から搾り取った税金からじゃないか!」

 

「そうだ、そうだ!この税金泥棒め!さっさと引っ込め!」

 

衛兵「貴様ら……!」

 

「なんだぁ?悔しかったらかかってこい。ま、お前のようなビビりには出来ないだろうがな!」

 

衛兵「貴様!殺してやるううう。」

 

ぶんぶん

 

「ひー、助けてくれえええ。」

 

ア「お、おい。民を傷つけてはならない。やめるんだ!」

 

衛兵「何が民だ。俺の事をバカにしやがって!」

 

ミ「ダメだ。アリーシャの声が届いてない。我を忘れて暴走している。」

 

ス「仕組まれたんだ……この暴動は!キツネの他にアリーシャを狙っているやつがいる!」

 

マルトラン「大臣の仕業に間違いない。」

 

ア「勢力争いに守るべき民を巻き込むとは!そこまで腐ったか!」

 

「うああああ!

 

男、アリーシャを襲う

 

ス「アリーシャ!危ない!」

 

スレイがいち早く反応して受け止める。

 

湖の乙女「いけません!敵意に身を任せては!憑魔が……生まれてしまう!」

 

「うがあああああああ!」

 

人々は突然現れた黒い闇に次々と包まれていく。

 

ス「憑魔になったのか……?」

 

湖の乙女「人の邪心が穢れを生み、穢れが憑魔を生む……。このままでは……。」

 

ス「湖の乙女!なんとかできないのか!?」

 

ミ「あなたは『浄化の力』をもってるんだろう!?」

 

湖の乙女「あなたは私が……?それにその出で立ち……、まさかあなた方はゼンライ様の……。」

 

憑魔のうち一匹が祭壇の炎の中につっこみ、引火している。聖堂の中は至るところに火が燃え盛っている。

 

ア「なんてことだ。このままでは歴史ある聖堂が燃えてしまう……。」

 

ス「ミクリオ、火を消してくれ!」

 

ミ「あの黒い炎は憑魔といっていい!僕に何とか出来るのは普通の炎だけだぞ。」

 

ス「わかった。」

 

ミ「はあああ!」

 

しゃあああ 憑魔発生

 

ア「スレイ、君はもしや本当に天族が見えて……。」

 

アリーシャはスレイの顔を横目で見る。ただその声は湖の乙女の話を真剣に聞いているスレイには届かない。

 

ス「湖の乙女!」

 

湖の乙女「浄化の力は私が振るうのではなく、この剣を引き抜き、私の剣となった者が操る力なのです……。」

 

ス「それなら!オレがあの剣を!」

 

ア「スレイ!?」

 

剣を手にかける

 

湖の乙女「お待ちください!私の剣となるということは、私の宿す『器』となり、宿命を背負うということ。浄化の力を操り、超人的な能力を得る代償に人に疎まれ、心を打ちのめされる事もあるでしょう。憑魔から人や天族を救うため、苦渋の決断を迫られることも……。それは想像を超えた孤独な戦いです。」

 

ミ「それが導師の宿命……?それを今、受け入れろっていうのか!」

 

湖の乙女「そうですわ。だから……。」

 

ス「君の名前を聞いても良いかな。」

 

ラ「あ、はい。ライラです。」

 

ス「ライラ……オレ、世界中の遺跡を探検したいんだ。古代の歴史には、人と天族が幸せに暮らす知識が眠ってるって信じてるから。オレの夢は、伝説の時代みたいに、人と天族が幸せに暮らせる方法を見つけること。憑魔を浄化することで人と天族を救えるなら。それは、オレの追いかけている夢と繋がってるんじゃないかって思う。」

 

ミ「スレイ……君は……。」

 

ラ「スレイさん……。」

 

ス「だからライラ、オレは『導師』になる!この身を君の器として捧げ、宿命を背負う!」

 

ラ「私はずっと待っていました。穢れを生まない純粋で清らかな心を持ち、私の声が届く者が現れるのを。」

 

ライラはスレイに歩み寄り、手をにぎる。すると、魔方陣がスレイとライラを囲む。。力がみなぎるのを感じる。

 

ラ「さあ!スレイさん!剣を!」

 

ス「よぉし!」

 

二人が光る

 

ラ「スレイさん……。」

 

ア「スレイ……本当に!?」

 

マ「この力……。」

 

ス「アリーシャ、下がってて。」

 

ミ「スレイ、憑魔は任せていいんだね!」

 

ス「うん。残った火を頼む」

 

スレイは襲い掛かる憑魔を引き抜いた聖剣でばっさばっさと斬る

 

ラ「やりますわよ!スレイさん!」

 

ス「うん!行くぞ!」

 

ス「はああああ!」

憑魔消える

あびゃああああ

ミ「憑魔が消えた……。やった、のか……」

 

ミ「スレイ!」

 

ア「スレイ……本当に……。」

 

ス「うん。オレ、導師になったよ。」

 

「導師だって!?」

 

「まさかホントに剣を引き抜くなんて……。」

 

「これで世界は救われるんだ!」

 

バルトロ「静まれ!静まれい!」

 

バルトロ登場

 

マルトラン「ちっ、バルトロ大臣……。」

 

バルトロ「アリーシャ殿下。暴動が起きたと報告がありましたが……。」

 

ア「ええ。ですが、もう収束しました。導師の出現によって。」

 

バルトロ「なんですと?……導師、だと?まさか、本当に出現するとは……。」

 

バルトロ「レディレイクの人々よ。此度の聖剣祭はこれにて幕とする。殿下、後日顛末を伺いたい。マルトラン卿もよろしいか。」

 

マルトラン「…………ああ。」

 

バルトロ「ではまた。ちっ、何が導師だ。ふざけやがって……。」

 

大臣フェードアウト

 

ス「あれがハイランドの大臣……。」

 

ミ「如何にもって感じだね。」

 

ふらり

 

ス「あ、れ?」

 

ア「スレイ?どうした?」

 

ラ「憑魔と戦って疲れがでたのでしょうか?私の力がなじむまで時間がかかりますから。」

 

ミ「人が『器』になるとそうなるのか……。」

 

ス「やば……もうダメ。」

 

アリーシャはアリーシャにもたれかかり、そのまま目を閉じる。図らずとも膝枕をする形になりアリーシャは赤面した。

 

ア「ちょ、ちょっと、スレイ!?大丈夫なのか?」

 

ス「大丈夫くない……ちょっと休むね……。」

 

ア「ちょっ、スレイ……!?」

 

スレイはそう言い残すとそのまま気を失ってしまった。

 




こんにちは、作者です。三話です。この回からオリキャラ、ケインが登場します。とは言っても冒頭でフェードアウトしましたが(笑)彼が今後どのように導師一行と関わっていくのか、それは今後のお楽しみということで。ではまた四話でお会いしましょう。
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