俺が考えたアリーシャヒロインのゼスティリア   作:具志健

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バルトロ卿から招待を受け、王宮へ向かうスレイ一行。


第六話 円卓での攻防

王宮にいく。

兵士「導師スレイ、お待ちしておりました。どうぞ中へ」

 

ジャッ。門の前でアリーシャだけ兵士に止められる

 

ア「なんのマネだ!?」

 

兵士「失礼しました、アリーシャ様。バルトロ様の命は、導師スレイをお通しせよとのことでしたから。」

 

ア「くっ。」

 

兵士「くくく、冗談ですよ。どうぞお通りください。」

 

大臣がいる場所へ向かう途中、スレイに耳打ちするアリーシャ。

 

ア「幼い王を擁する大臣たちは煙たがっているんだ。継承順位が低いくせに、政治に口を出す私を。すまない。君にまで嫌な思いを……。」

 

ス「アリーシャ、辛い思いをしているんだな……」

 

円卓の間へ向かう途中。

 

兵士「姫様は、お待ちを。」

 

ア「なぜだ!」

 

兵士「アリーシャ様には別命が下されるとの内示がありました。」

 

ア「マーリンドの件か。」

 

兵士「はい。このままご待機を。」

 

ア「わかった。」

 

ス「アリーシャ……?」

 

ア「前からあった仕事の話なんだ。すまないが、私は残るよ。」

 

兵士「導師殿、こちらへ。円卓の間へご案内します。」

 

 

 

円卓の間へ

バルトロ大臣「待たせたな、導師よ。遠慮なくかけたまえ。」

 

ミ「毒でも入ってそうだ。」

 

バ「心配無用。毒など入っていない。」

 

マティア軍機大臣「我々は君とお近づきになりたいのだよ。」

 

バ「紹介しよう。こちらは軍を統括するマティア軍機大臣。ハイランドの法を司るシモン律領博士。最高位の聖職者、ナタエル大司教。」

 

ナ「そして、王の輔弼たる内務卿……。」

 

バ「バルトロだ。」

 

ス「スレイです。招待してくれてありがとう。オレも話がしたかったんだ。」

 

着席してスレイ、食事に手を付ける

 

ス「もぐもぐ」

 

ミ「おい、素直に信じすぎ。」

 

バ「度胸はあるようだな。それとも、単なる愚か者か……。」

 

ス「美味しいな。アリーシャも一緒なら、もっとよかったけど。」

 

バ「どういう関係なのだね?アリーシャ殿下とは。」

 

ス「友達だよ。オレを外の世界に誘ってくれた。」

 

バ「建前はいい。腹を割って話そうじゃないか。」

 

ラ「スレイさんとアリーシャさんが、お互いを利用してなにか企んでいるのだろうと言っているのですわ。」

 

ス「アリーシャを利用なんてしないし、導師はそういう存在じゃない。」

 

バ「さぁて。本物の導師など見たことはないのでな。」

 

ミ「疑われているね。当然だけど。」

 

ス「いいよ。信じられないなら。」

 

バ「よくはない。王族がニセ導師を使って、人気取りをしたとなれば致命的な醜聞だ。」

 

ミ「脅迫か。」

 

ス「……証明すればいいのか?本物の導師だって。」

 

バ「ふっ、本物かどうかなどどうでもいい。問題は、国民が君を支持し始めている事実だ。」

 

シモン律領博士「民というものは、常に劇的な救済を求め、安易に欲望を託すからな。」

 

ラ「確かに……人々の過剰な期待には、歴代の導師も苦しんできました……。」

 

ナタエル大司教「民衆は、まことに愚かで低俗。非常に残念だが、これは事実なのだ。」

 

マティア軍機大臣「しかし、だからこそ君の存在が有効となる。」

 

ス「オレが?なんで?」

 

バ「単刀直入に言おう。我々の配下に入れ、導師スレイ。」

 

シ「ハイランドを守護する導師として、国民の士気を高揚させてもらいたいのだ。」

 

ナ「近年、災害が続いたせいか、国民に厭世感が広まって困ってるのだよ。」

 

マ「まったく愚民どもが!ローランスとの開戦も近いというのに!」

 

バ「もちろん十分な礼はする。」

 

バルトロ、金をスレイの前に投げる。

 

バ「前金だ。聞くところによると、君は遺跡に興味をもっているそうだな?我らの仲間になるなら、遺跡探索や、記録収集に十分な便宜を図ろうじゃないか。」

 

ス「…………。」

 

バ「アリーシャ姫に義理立てしても無意味だぞ。」

 

マ「かの姫は、疫病の街マーリンドに左遷されるのだからな。」

 

ミ「アリーシャが疫病の街に!?」

 

ナ「強情な騎士姫も、あの街で苦労すれば身の程を思い知るでしょう。」

 

シ「もっとも、本人が疫病にかかれば、その後悔も役には立たぬでしょうが。

 

バ「ふはははははは。そういうわけだ。考えるまでもあるまい?」

 

ス「断るよ。」

 

スレイ立ち上がる

 

ス「残念だな。話してわかる人たちじゃなかった。むしろよかったよ。」

 

バ「ニセ導師風情が後悔するぞ!アリーシャともども潰してくれる。」

 

ア「一体どういうことだ!王宮内に武装集団を配するとは!」

 

兵士「これはバルトロ様の命で……。」

 

ドアを思い切り蹴り、アリーシャ、登場

 

ア「スレイをどうする気だ、バルトロ卿!兵を退かせろ!」

 

ス「王宮の見学はすんだよ。行こう、アリーシャ。」

 

歩き出すスレイ

 

ス「自分の夢は自分でかなえるよ。オレもアリーシャも。」

 

ア「ああ、もちろんだ!」

 

兵士「民を惑わすイカサマ導師を成敗いたします!」

 

戦闘中

 

ミ「やりすぎじゃないのか、スレイ!?」

 

ラ「いえ、スレイさんの力が強すぎるんです!」

 

ミ「スレイ、もっと力を抑えないと!」

 

ス「そういわれても……。」

 

敵を一掃

 

「この力……本物……!?」

 

ア「バルトロ卿。今の騒ぎは忘れる。その代り、もう二度と導師スレイに手出ししないでもらいたい。」

 

バ「バカな!放置したら国の治安が!いや、こんなものをローランスに利用されでもしたら――。」

 

突然、窓が開く

 

ス「あっ!」

 

部屋中の明かりが消える。

 

「国より自分の心配をした方がいい。」

 

現れた暗殺集団が大臣たちそれぞれの首に刃物をつきつける

 

ス「あんたたちは!?」

 

「風の骨。」

 

ア「暗殺ギルド!?」

 

「そう。こいつは我らの仲間を謀り、姫殿下の暗殺を依頼した。」

 

ス「バルトロ大臣が、アリーシャを殺そうとしたっていうのか?」

 

バ「な、なにをバカなっ!」

 

「違ったか?殺すか。」

 

バ「ひい……っ!」

 

刃をさらに近づける

 

ア・ス「やめろ!」

 

ア「頼む。やめてくれ。ハイランドに必要な者なのだ。」

 

「ふふ、噂通りね。よく聞け、バルトロ卿。我らは矜持に反する殺しはしない。ルナールは今どこだ?」

 

バ「侮るな!暗殺者に話すことはない。」

 

「それが、お前の答えか……ふん!」

 

バ「がっ!ごほ……ごほ……。」

 

ア「なぜ!?」

 

ス「大丈夫。殺してないよ。」

 

ミ「変わった暗殺者だね。王宮にまで忍び込むなんてね。」

 

バ「で、であえっ!曲者だ!」

 

バルトロ鈴を鳴らす。それを合図に兵士が流れ込む。

 

ミ「やばいぞ、スレイ。」

 

「お前たちのおかげで、仕事が一手ですんだ。」

 

「返礼だ。ついて来い。」

 

正面の門は閉ざされ、今まできた道も閉ざされた。

 

ア「強行突破しか!」

 

ス「だめだ!オレの力じゃ殺しちゃう!」

 

「早くしろ!こっちだ!」

 

奥の部屋(厨房)に隠し通路が。風の骨はそこから逃げていく。

 

「ここを進めば、外に出られる。あとは自分で切り抜けなよ。」

 

ス「待て!」

 

スレイたちも続く。地下水道につく

 

ミ「ここは、地下水道?」

 

ア「厨房が、こんな場所に繋がっていたなんて。」

 

ス「あいつらは!?」

 

ラ「……もうここにはいないみたいですね」

 

ミ「まったく、あいつらは何者なんだ」

 

ア「暗殺ギルド……、ハイランド・ローランス両国内で要人たちを狙って暗殺を繰り返している。まさか大臣と繋がっていたなんて」

 

ミ「でもあいつら大臣に攻撃していたぞ」

 

ア「それは……わかりません。仲間を騙したと言っていましたが……」

 

ラ「くしゅん」

 

ア「大丈夫ですか、ライラ様。湿った服も乾かさないと風邪をひいてしまいます。屋敷は追手がかかっているはずです。宿で一休みしましょう」

 

ラ「……ですわね。」

 

ミ「そういえば、穢れの持ち主は誰だったんだろう。大臣たちは穢れを発している様子はなかったが……」

 

 

 

宿屋にて

ラ「また起こっちゃいましたわね、一騒動。」

 

ア「でも、よかった。これで、ここに思い残すことはない。」

 

ミ「そんな最後みたいに。」

 

ア「……最後なのです。私はマーリンドへ行きます。

 

ミ「……って、疫病の街だろ!?あんな奴らに従うのか?」

 

ア「大臣たちの思惑はどうあれ、命令は正式なもの。何より――マーリンドが疫病で苦しんでいるのは事実。私はできることをしたいんだ。ハイランドの民のために。」

 

ス「アリーシャ……。」

 

ア「バルトロたちは笑うだろうけど。」

 

ス「わかった。オレも一緒に行く。」

 

ア「ダメだ、私に関わっては。さっきだって、巻き込んでしまった。」

 

ス「でも、どうやってマーリンドへ?橋は流されちゃってる。」

 

ア「それは……なんとかする。」

 

ス「だったら、一緒になんとかしよう。」

 

ラ「その方が早くなんとかなりますわ。」

 

ミ「どのみち橋は必要だしね、僕らにも。」

 

ア「みなさん……。」

 

ス「お礼はいいよ。昨日王宮で食べた料理、すっごく美味しかったし。」

 

ラ「さぁ、橋の様子を見に行きましょう。」

 

 

 

グリフレット橋

ス「これは……」

 

ア「まったく作業が行われていない……?どういうことだ」

 

ス「憑魔ももういないのに」

 

ア「すまない。関係者に話を聞いてくる」

 

アリーシャ橋へ駆ける。スレイ、老人に話しかけられる。

 

「おお!その出で立ち!そなた導師殿では?」

 

ス「うん。スレイっていいます」

 

ネイフト「ワシは向こう岸の街マーリンドの代表ネイフトという」

 

ネ「スレイ殿、水神様の祟りを鎮めてくれたそうな……。本当に感謝しておりますぞ」

 

ス「そんなの気にしないで」

 

ス「ネイフトさん?何か俺に話があるんじゃないですか?」

 

ネ「ああ、うむ……。導師殿が水神様を鎮めてくれたことにより、いずれここも穏やかな流れになり橋も架けられるじゃろう。じゃがそれでは遅すぎる……。なんとか急いで薬を届けたいのじゃ」

 

ス「そうか、なら俺がやろうか」

 

ラ「スレイさん」

 

ス「困っている人はほっとけない」

 

ラ「スレイさんが導師の力を駆使して荷を届けてしまうと、他の人も同様にスレイさんに荷を運ぶことを求めるようになりますわ」

 

ス「ネイフトさん、薬をもらえますか?」

 

ネ「それもお願いしてもよいのかの?」

 

ラ「スレイさん!」

 

ミ「こういう時スレイは頑固なんだ。言っても聞かないよ」

 

ス「安心して誰でも物資を運べるように橋をなんとかする。それからでもいいですか?」

 

ネ「なんと!橋も架けられるのか!ぜひ頼む。これが薬だ」

 

ス「確かに受け取りました」

 

ネ「……いや、橋の崩壊も天族への感謝を忘れた人々への報いのようなもの。それを棚に上げて導師殿に頼んでいいものだろうか……」

 

ス「いいって。天族は確かにいる。そう信じてくれるだけで今は充分です」

 

ネ「ありがとう。恩にきる」

 

ス「だからもう少し待ってて。橋もなんとかして、薬も届けるから」

 

ネイフト去る

 

ミ「天族への感謝を忘れていない、いい人物だ」

 

ス「うん。なんとか助けてあげたい」

 

ミ「スレイの従士であるアリーシャだけなら僕の力でこの川を渡ることは可能だ。薬を届けるぐらいできるけど、橋の復旧はどうするんだ?何か策があるのか?」

 

ス「……橋の基礎部分を岩で作り上げる事はできないかな。地の天族に頼んで川底を隆起させて」

 

ミ「確かにそれは導師にしか出来ないし、その後の橋の復旧作業は人に委ねられる方法だ」

 

ス「どう?ライラ?」

 

ラ「……わかりました。良いと思いますわ。ここの西にそびえる『霊峰』と呼ばれる山に、地の天族の方がおられたはずですわ」

 

ス「うん。アリーシャにも伝えよう」

 

 

 

ス「アリーシャ、ちょっといい?」

 

ア「スレイ」

 

ア「あとで話の続きをしたい。そのつもりでいてくれ」

 

兵士「わかってますよ」

 

ス「どうしたんだ」

 

ア「ああ……マーリンドのためにもなんとか作業に身を入れて欲しいと話していたんだが……」

 

ミ「旗色が悪いということか」

 

ア「諦めるという類のものではありませんので辛抱強く話してみるつもりです。それで、スレイ。話があるんだろう?」

 

ス「うん。橋の復旧のために地の天族にお願いして、橋の基礎となる岩場を作ってもらおうかなって」

 

ア「そ、そんなことまでできるのか?」

 

ラ「はい。可能だと思いますわ」

 

ア「…………スレイ。私は彼らをちゃんと説得したい。すまないがここに残っていいだろうか」

 

ス「うん。こっちは任せて。だから……」

 

ミ「そっちは頼んだよ。アリーシャ」

 

ア「ああ。任せてくれ」

 

ス「じゃあ行ってくるよ。霊峰ってところに」

 

ア「れいほう……、待ってくれ。今、霊峰に行くと言ったか?」

 

ミ「そうだけど」

 

ア「……王宮を出入りしている天族様について研究している者がいます。彼の話によると、かの山にはドラゴン伝説が伝わる場所だと……。人が立ち入るべきでないと言ってました」

 

ス「研究者?一体どんな人なんだろう。一度会ってみたいな」

 

ラ「スレイさん」

 

ス「……忠告ありがとう。でも行かなきゃならないんだ」

 

ア「スレイ……」

 

ス「きっと大丈夫。ミクリオもライラもいるしね。じゃあ行ってくる」

 

ア「スレイ、気をつけて」

 

アリーシャは、霊峰レイフォルクに向かった三人を見送った。

 

 




こんにちは、作者です。第六話です。円卓でのバルトロ卿とスレイとの会合は個人的に好きなシーンです。バルトロ卿の小物感、たまりませんね。次回は、風の天族二人と地の天族が登場します。特に地の天族を旅に誘う場面は原作をとどめていないくらい改変しています。お楽しみに。ではまた、第七話でお会いしましょう。
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