霊峰レイフォルク
ス「近くで見ると、ホントすごい山だな~」
ミ「まさに霊峰の名にふさわしいな。それにしても……ドラゴンか」
ス「ちょっと信じられないよな」
ラ「少なくとも私が以前訪れたときにはいませんでしたわ」
ス「それって前の導師との旅?」
ラ「い、いきなりしりとり大会~!あんぱん!あ、終わってしまいましたわ!」
ミ「めちゃくちゃだ……」
ス「はは……例の誓約だね……」
ラ「と、ともかく!仮に本当にドラゴンが居るのなら、今の私たちでは全く太刀打ちできませんわ」
ス「もし出会ってしまったら逃げろって事か」
ミ「出会わない事を祈るよ」
中腹
憑魔と遭遇。悪戦苦闘
ミ「くっ、こいつ中々強いぞ」
ラ「スレイさん、ミクリオさん、大丈夫ですか?」
ス「なんとか……」
謎の天族「見てらんねーぜ。ボーヤたち」
ミ「誰だ!?」
「人に名を尋ねる時はまず自分から、これ社会のルールだ」
ラ「あなたは!」
銃で自分の頭を打つ
ザビーダ「このザビーダ兄さんがお手本ってヤツを見せてやるぜぃ」
憑魔を圧倒。
ス「つ、強い」
ミ「憑魔を一瞬で倒した……」
ザビーダ、憑魔に銃を向ける
ラ「いけません」
撃つ
ス「殺……した……?」
ミ「貴様!」
ザ「憑魔は地獄へ連れてってやるのが俺の流儀さ」
ス「オレたちの力なら殺さずに鎮められたのに……」
ザ「んならボーヤたちがちゃーんと勝てば良かったんじゃねぇ?それに、殺す事で救えるヤツも……いるかもよ?」
ミ「よくも天族が……」
ザ「あっはっはっは!お美しい!導師様ご一行はいつの時代も優等生揃いだ、なぁ?ライラ」
ラ「…………」
ス「オレが導師って知ってたのか?」
ザ「わかるさ。憑魔に挑む物好きなんざ、そうはいないからな。導師と……、あとはあいつらぐらいだ。俺はザビーダ。よ・ろ・し・く、導師様」
ザビーダ攻撃。
ミ「何を!」
ザ「あんた達には霊峰はまだ早いなぁ。ドラゴンがあくびしただけで眠っちまいそうだ。永遠にな」
ラ「ドラゴン退治が私たちの目的ではありませんわ」
ザ「そうなん?それもつまんないな。ライバルが居た方が燃えるのに」
ス「ザビーダ、ドラゴンと闘うつもりなんだな」
ザ「そのつもりだったんだが……パスするって今決めた」
ザビーダ攻撃。スレイよける
ミ「いい加減にしろ」
ザ「ヒュ~♪今度はよく出来ましたってか?」
ス「一体何が狙いだ!ザビーダ!」
ザ「ヤツに導師様ご一行ってご馳走をみすみすくれてやる気はないってこと。さっさと山を下りな」
戦闘
ザ「たんま!悪かった!悪かったって!もうこれぐらいにしようぜ?」
ミ「そっちから仕掛けてきたんじゃないか」
ザ「だから悪かったてば。俺は敵じゃないって。もういいだろ?な?」
ラ「はい。私たちが争うのは無益ですわ」
ザ「さっすが話がわかる!」
ザ「俺たちゃ目指してること、そのものは同じなんだし、な?」
ラ「知りません」
ザ「俺は坊やの陪神にはなる気ないけどな?」
ラ「ザビーダさん!」
ザ「わーった!わーったって。もう邪魔しないよ。導師殿」
ス「スレイだ」
ザ「はいはい、導師スレイね。俺もう行くから。ドラゴンからはちゃんと逃げてくれよ」
ス「ここにはホントにドラゴンが居るのか?」
ザ「あんたの目は何のために付いているんだい?スレイ殿」
消える
ス「消えた……」
ミ「何なんだあいつは……」
ス「あいつの力……浄化っていうより、むしろ穢れが食い尽くされたような……」
ラ「……」
ミ「僕はあんなヤツ認めない。殺してまで憑魔を狩る天族なんて」
ス「ああ、許せない」
ラ「行きましょう。今の私たちの目的を果たすために」
ス「うん」
ザ「まさか新しい導師が生まれていたとはな。今はまだ未熟だが、いい目をしていた。見込みはある。あいつらならもしかして……。いや、浄化の力には限界がある。やっぱり信じられるのは俺の腕とこの銃だけだ。なあ相棒」
山頂前の会話
ラ「まったくあの方ときたら!」
ス「さっきの奴のこと聞きたいけど……」
ラ「いつもいつも不真面目で!」
ミ「あの不思議な道具のことも聞きたいが……」
ラ「しかも乙女の前でハダカなんて!」
ミ「今はやめておいた方がよさそうだね」
ス「賛成」
その時穢れが急に発生。
ス「なんだ……これ……」
ラ「そんな!これは領域?」
ス「領域?こんなに穢れてるのが?」
ラ「スレイさん、逃げましょう!領域は強い力を持つ者が身にまとうものですの。そこに善悪も穢れも関係ありませんわ」
ス「え、けど……」
ミ「ジイジがそうだったろう!この領域の主に僕らの侵入は悟られてるはずだ!」
ドラゴン飛来
ス「これが……伝説の……破滅の使徒……ドラゴン……!こんなの……逃げるのも不可能だ……」
ラ「私のせいですわ……自分の記憶を頼って、ドラゴンなど居るはずないとタカをくくってしまった……」
ス「じゃあ、このドラゴンは最近現れたってこと?」
おぎゃああああああああ
ラ「まさか!あなたは……エドナさん!?ああ……エドナさん……まさかあなたがドラゴンになってしまうなんて」
エドナ「そんなわけないでしょ」
ラ「え、エドナさんが二人?」
エ「だからなんでそうなるの。だめよ、お兄ちゃん」
ス「お兄ちゃんって……」
エ「もうワタシの声も届かないのね……。来るわ、全力で逃げて!」
ミ「彼女が探してた天族なの?ライラ」
ラ「はい」
エ「話してる場合?走って!」
一時撤退
ス・ラ・ミ「ハァハァハァ……」
エ「まったく。バカなの?」
ス「へぇ?」
エ「何なの?ドラゴンバスターの勇名が欲しかったの?」
ラ「エドナさぁん!ドラゴンになってしまったのかと……ホントに良かったですわ」
エ「あなたは相変わらずね。そのマイペースな性格、直した方がいいわ」
ミ「僕たちは、君を探しに来たんだ」
エ「じゃあ、うかつにドラゴンの領域に入ったの?やっぱりバカね」
ミ「こいつ……」
ラ「ごめんなさい……」
エ「まったく……で?」
ス「え?」
エ「ワタシに何の用かしら?」
ス「あ、うん。オレはスレイ。君の力を貸して欲しいんだ」
ミ「壊れた橋を復旧できるように、橋の基礎を作ってやってほしい」
エ「無理ね」
ス・ラ・ミ「え!」
エ「ワタシは人間が嫌い。自分本位で感情的。困った時だけワタシたちに頼ってきて……ホント面倒。それに、お兄ちゃんを置いてなんていけないから」
ス「お兄ちゃん……あのドラゴン?」
エ「そう。彼はアイゼン……ワタシのたった一人の家族よ」
ス「けど……エドナ、だっけ。ここに居るのは危険すぎる」
ミ「そうだよ。何か考えがあるのかい?」
エ「それはっ!えっと……。鎮める方法を探してたけど、どうにもならなかったわ」
ス「オレなら鎮められるかな?」
エ「知らないの?」
ラ「ドラゴンとして実体化してしまうと、浄化の炎でも鎮められないんですの」
ス「それじゃ、エドナのお兄さんは救えないのか?」
エ「殺すしかない。まぁ、できればの話ね」
回想
ザ「それに、殺す事で救えるヤツも……いるかもよ?」
ミ「認めたくない……が……」
ス「とにかくエドナ、ここは危険だ。オレたちに協力してくれとは言わない。せめて離れよう」
ミ「そうした方がいい」
エ「あなた達には関係ないわ」
ラ「けどエドナさん……」
エ「放っておいて」
エドナ去る。
ラ「エドナさん!いっちゃいました」
ミ「協力してもらうのは難しそうだ」
ス「それは別の方法を考えよう。それより、このまま彼女を置いていけない」
ラ「そうですわね」
ミ「あのドラゴンの事について、例の研究者から聞き出そう」
ス「そうすれば説得する方法が見つかるかも。一度アリーシャのところへ戻ろう」
ラ「その研究者さんが近くにいるといいんですが……」
ミ「あまり時間はない。急ごう」
ラ「ええ」
グリフレット橋
ア「スレイ!どうだったか、地の天族様はいらしたか?」
ス「あ、まあ一応」
ケイン「やあスレイくん。また会えたね」
ス「ケイン!」
ア「二人は知り合いなのか?」
ス「レディレイクまで案内してくれたんだ」
ケ「こんなに早く再開できるなんてね」
ス「そうだな。会えて嬉しいよ」
ミ「スレイ、おしゃべりはそのへんで」
ス「おっと、そうだな」
ア「何かあったのか?」
ス「実は……」
暗転
ア「まさか本当にドラゴンがいたなんて」
ス「アリーシャ、さっき話していた天族を研究しているっていう研究者から霊峰のドラゴンについて聞きたいんだけど、今どこにいるかわかる?」
ア「ああ。今隣にいる彼がそうだ」
ミ「ケインが!?」
ケ「言ってなかったっけ。ボクは世界中の遺跡を回って天族について調べているんだ。あんまり収穫はないけどね」
ス「へえ、そうだったんだ!驚いたよ」
ケ「驚かされたのはボクのほうさ。約20年ぶりにこの世に現れた導師が、つい最近道案内した人だったなんて一生自慢できる話だよ」
ス「ははは」
ケ「……スレイくん、ボクをドラゴンがいたところまで案内してくれないか」
ミ「なんだって!」
ラ「危険です!」
ケ「直接この目で見て確かめたいんだ。百聞は一見にしかずっていうしね」
ス「……わかった」
ラ「スレイさん!」
ス「大丈夫。俺たちがケインを守ればいい。それに他に当てもないし」
ケ「ありがとう。自分の身は自分で守れるよ。導師の足は引っ張らない」
ア「ケインよろしく頼む」
ケ「頼まれました、と」
霊峰、山頂付近
ケ「この山には初めて登るけど、見た目以上に山頂は遠いんだね」
ス「ケイン、大丈夫?疲れてない」
ケ「これぐらい大丈夫さ」
ラ「スレイさん」
ミ「強い領域を感じる。近くにいるぞ」
ス「ケイン、ストップ。この先にドラゴンがいる。岩陰に隠れよう」
ケ「凄いな。壁画に描かれていたのと同じ姿。これがドラゴン……」
ス「…………」
ケ「導師の力を持ってしてでも倒す事ができない存在……、ね」
ス「ケイン?」
おぎゃあああ
ミ「こっちに向かってくるぞ」
ラ「私たちが領域内に入った事に気づいたんですわ。逃げましょう」
ス「ケイン、逃げるぞ」
中腹
ミ「ここまでこれば大丈夫かな」
ラ「はい、先ほどまでの穢れは感じませんわ」
ケ「スレイくん、少しわかったことがある。例の天族に会わせてくれないか」
エ「わたしならここにいるわ」
ラ「エドナさん!」
ス「いつの間に!」
ケ「…………」
エ「あなた、やっぱりバカなの?ドラゴンの力を見たでしょ。なんでまた戻ってきたの」
ス「それは……」
ケ「もしかしてここにいるのか、例の天族が」
ス「うん」
エ「この子、天族が見えてないじゃない。普通の人を連れますような場所じゃないでしょ。やっぱりバカなの?」
ケ「地の天族よ、少しだけ話を聞いてくれないか。ドラゴンを救う方法があるかもしれない」
エ「そんな方法ないわ。あったらとっくに……」
ラ「エドナさん、話だけでも聞いてみましょう」
エ「……勝手にしなさい」
ス「話を聞くってさ」
ケ「ありがとう。グリフレット橋でスレイくんは「ドラゴンとなってしまった天族は、導師の力でも鎮められない」と言ったね。でも本当にそうだろうか。世界各地に点在する遺跡の壁画によると、導師と思われる人間は天族と共に生活している様子が描かれている。それと同時にドラゴンに立ち向かっている壁画も」
エ「…………」
ケ「そこに描いてあることが本当にあったことだったのなら、人間は何かしらの力を持ってドラゴンに対抗していたことになる。それが失われた技術なのかはわからない。でも、かつて人間はドラゴンと向き合っていた」
ス「天族も導師もドラゴンも……本当にいた。この世界にはまだ明かされていない伝説がいっぱいある。きっとドラゴンを鎮める方法もどこかに眠ってるんじゃないか、ってことか」
ケ「そういうことだ」
エ「それを信じろって言うの?」
ケ「…………」
ミ「聞こえてないって」
エ「めんどうだわ。ライラ、なんとかしなさい」
ラ「スレイさん、ケインさんと手を繋いでください。アリーシャさんの時のようにお話が出来るようになるはずです」
ス「ケイン、オレの手を握ってくれ」
ケ「どうしたんだい、急に。ボクにはそんな趣味はないんだ。ごめんよ」
ス「そういうことじゃなくて!エドナが話をしたいって」
ケ「エドナ……、それが例の天族の名前なんだね。…………エドナ、……いい名前だ。わかった、キミに従おう」
ラ「あーあー、ケインさん、聞こえますかー」
ケ「聞こえますよ、エドナさん」
ラ「えっと……わたしはエドナさんではないのですが……」
エ「エドナはわたしよ」
ケ「おっと、これは失礼しました。エドナさん」
エ「女の子の名前を間違えるなんて男として失格ね」
ケ「……そういう趣味もないんだけど」
ス「ケインは驚かないんだね。天族と話しているんだよ」
ケ「ずっと天族は存在しているって信じていたからね。今この瞬間確信に変わって、驚きより嬉しさの方が大きいよ」
エ「わたしの話を聞きなさい!あなたの言っていることを信じろっていうの?本当にお兄ちゃんを助けられるの?」
ケ「さあ、どうだろう。あくまで可能性の話だ。100%あるとは言い切れない。でも、ボクは見込みのない約束はしない主義なんだ。必ずキミのお兄さんを救う方法を探し出してみせるよ、エドナさん」
ス「エドナ、一緒にアイゼンを鎮める方法を探しに行こう」
エ「…………」
エ「わかったわ。一緒に行く」
ラ「エドナさん!」
エ「言っとくけど」
ス「何?」
エ「どうしても連れ出したいのなら引っ張ってでも連れて行けば良かったのよ。伝説を追いかけるとか、自分を信じてとか、そんなので女の子を誘うなんて時代錯誤。説得力ゼロ」
ス「そ、そう言われても……」
ケ「そんな風に言われるのは心外だなあ」
エ「さぁ、ライラ、陪神の契約を」
ス「ちょっと待って!そこまでは……」
エ「誘ったのはそっちじゃないかしら?」
ス「そうだけど……」
エ「いずれにせよ、ここを離れるのなら新しい器に移らないと。すぐに穢れに侵されてしまうわ。そこまで考えなかったのかしら?」
ス「あ……」
エ「バカね、ホントに。さ、ライラ」
ラ「本当によろしいのですか?エドナさん、人間はお嫌いなのでしょう?」
エ「人間は嫌いだけど、この子たちは嫌いじゃないわ」
ス「ありがとう、エドナ」
エ「約束よ。アイゼンを救う方法、きっと探し出して」
ス「一緒に、ね」
ラ「毅然たる顕れに宿り生まれし者よ。今、契りを交わし、我が煌々たる猛り、清浄へ至る輝きの一助とならん。汝、承諾の意思あらば、真の名を告げん」
エ「『ハクディム=ユーバ』」
エ「さ、連れて行って。世界に」
ケ「スレイくん、ボクも付いていくよ。天族にドラゴン、そして導師。これまで知り得なかったことがたくさんありそうだ」
ス「ケインがいたら心強いよ。いいよね、みんな」
ミ「遺跡の話をもっと聞きたいしね」
ラ「穢れはない人みたいですし、問題はないですわ」
エ「勝手にすれば」
ス「えっと、これから従士契約といって……」
ケ「つまる話は後。どうせ旅は長いんだ。ゆっくり聞かせてもらうよ、導師と天族の話はね。今は早めに橋へ戻ろう。アリーシャ姫がキミの帰りを待ってるよ」
従士契約を素早く済ませる。
ス「これからよろしく、エドナ!ケイン!」
入口付近
エ「ねぇ水のボーヤ。名前は?」
ミ「僕はミクリオ!ボーヤじゃない」
エ「聞かない名前ね……ミクリオボーヤ」
ミ「好きに呼んでくれ……」
エ「じゃあミボ」
ミ「ミクリオと呼んでもらう!いいね!」
エ「ふぅ……しょうがない」
ラ「エドナさん……もうカカア天下ですの?」
エ「そう」
ミ「ちょっと待ってくれないか……意味がわからない」
ケ「なるほど。導師に従士。そして主神と陪神。ミクリオくんに、ライラさんに、エドナちゃんね。大体話はわかった。もっと天族って、神聖な存在だと思っていたけど、結構人間味溢れているんだね」
ス「根本的なところでは人間と変わらないよ。みんないい仲間だ」
ケ「そうみたいだ。人間と天族が一緒のものを見聞きしている。夢みたいな光景だ」
暗殺者「導師ご一行もずいぶんと賑やかになったものだな」
ミ「お前は!」
エ「……誰?」
ス「お前は暗殺団の……?オレを狙ってるのか?何で?」
「……お前が導師であると吹聴してるおかげで、人心がどれほど乱されているか……」
ス「君は……頭領って呼ばれてた人だな。オレは本当に導師なんだ。信じてもらえないかもだけど」
「それを証明できるのか?できないだろう。この世界の穢れを祓える力がないくせに、口だけで救いを問いて」
ラ「何者かの加護領域を感じます!」
ス「何だって!?」
ミ「こいつ、導師級の霊応力を持っているのか?!」
エ「おしゃべりはここまでね。この子強いわ」
「はああああああ」
斬りかかるのをケインが受け止める。
ケ「……よく分からないけど、ピンチみたいだね。どこの誰だが知らないけど、スレイくんはようやく見つけた希望なんだ。殺させやしないよ」
「ふふふ。さすがだな。だが!」
風の天族登場
ケ「ぐわあ!」
ス「ケイン!」
ミ「暗殺者を中心に突風が舞っている。あれは……」
エ「風の天響術ね」
風の天族姿を現す
ラ「あれは……デゼルさん!」
ミ「知っているのか?ライラ」
ラ「流浪を好み、最強と詠われた傭兵団を気に入って共に旅をしていたと聞いてますが……。どうして暗殺者に?」
デゼル「おまえたちに話すことはない。ここは一度引くぞ」
「ああ。悪いことは言わない、あんまりでしゃばるな。下手すると周りの人が全員憑魔になるぞ」
ス「それってどういう……」
「答える義理はない。自分で考えな」
暗殺者、デゼルと共に消える
ミ「消えた……」
エ「その傭兵団に何かあったのかしらね」
ス「訳があるんだな。暗殺者と共に居なければならない何かが」
ス「それを証明できるのか、か……。これが君の言う導師の宿命なんだね」
エ「そう。人間はあなたの気持ちなんて考えもしない。でも仕方ないのよ。それが人間なんだから」
ケ「やれやれ、気がついたら吹っ飛ばされていたよ。天響術?天族は魔法使いなのか」
ス「ケイン!大丈夫か?」
ラ「ええ、傷はそこまで深くありませんでした。回復術もかけておきました」
ス「よかった……。ケイン、さっきは盾になってくれてありがとう。助かったよ」
ケ「このざまだけどね。礼には及ばないよ」
ミ「あのタイミングでよく動けたな。何か武術の心得でも?」
ケ「そんな大したことないさ。昔ちょっとやんちゃしていただけで。護身術だよ、護身術」
エ「橋はすぐそこよ。はやく行きましょう」
ミ「エドナ、やっぱり協力してもらえないのかい?」
エ「導師は天族を司り、操る者でしょ?好きにすればいいわ」
ス「そんなのイヤだ。道具扱いじゃないか。エドナがイヤなら別の方法考えるよ」
エ「どうしても女の子からやらせてって言わせたいのね」
ス「ちょ!」
ラ「スレイさん!穢れますよ!」
ミ「変なヤツだとわかっていたつもりだったが……」
エ「何なの?その使い古された反応……もういい。最初から手伝うつもりだったわ」
ス「はぁ……」
エ「お礼は?」
ス「ありがとうございますー」
グリフレット橋
ネイフト「おお、お戻りか。スレイ殿」
ス「様子はどんな感じなんですか?」
ネ「橋復旧の目処は、まったく立ちませんわい」
ス「ネイフトさん。オレが橋を復旧出来るようにします」
ネ「復旧出来るように、じゃと?スレイ殿、いったい何を……」
ネ「ともかく、アリーシャ殿下を呼んでこよう。しばし待っていてくだされ」
ケ「確か、エドナちゃんの力で橋の基盤を作るんだったね。決行はいつだい?」
ス「うーん。早く安心させてあげたいし、出来るだけ早い方がいいな」
エ「人智を越えた力を示したあなたを、人間がどう思うのか、わかってるの?」
ケ「エドナちゃん、もっと言い方ってのがあるんじゃないかな」
エ「…………」
ス「わかったよ、エドナ。もっと深夜になって人が寝静まってからやるよ」
エ「そう」
ラ「それがいいですわ」
ア「スレイ、戻ったんだな」
ス「アリーシャ」
ネ「スレイ殿、それで何をなさるつもりか?」
ス「あ、えーっと……」
ミ「アリーシャ、あまり人目につくのも良くないと話し合って、深夜を待つことになったんだ。だから……」
ア「ともかく、もう日も落ちた。すべては明日の事としないか」
ネ「ふむ。そうですな」
ア「ではスレイ、また明日に。それでネイフト殿、マーリンドへの物資運び込みだが……」
ネ「あ、ああ、うむ……」
ス「ありがとう。アリーシャ」
ラ「では、深夜になるまで待ちましょう」
ケ「隙見てアリーシャ姫にボクが従士になったことを説明しておくよ。エドナちゃんも一緒に行こう」
エ「なんでわたしが……」
ケ「これから一緒に旅する仲間じゃないか。挨拶ぐらいはしておかないと。これ人間社会のルール」
エ「……仕方ないわね。さっさと済ませるわ」
ケイン、エドナフェードアウト
ラ「案外いいコンビになりそうですね」
ミ「そうだね」
深夜になる
ス「よし、やろう。頼むよ、エドナ」
エ「赤土、目覚める ロックランス!」
術で地盤を作る
ケ「へえ、エドナちゃんも結構やるね」
ネ「こ、これは」
ス「ネイフトさん……」
ネ「ま、まさかこんなことが……これが導師の力……」
ア「ネイフト殿、これは……」
ネ「これでマーリンドは救われる!有り難いことじゃ!」
ネ「ありがとう!本当にありがとう!導師スレイ!」
ス「お、お礼なんて良いよ!」
ケ「予想外の反応だね」
ラ「ですわね」
ネ「スレイ殿、このまま出立するつもりですな?人目を忍んでいるのじゃから」
ス「うん。このままマーリンドに行くつもり」
ネ「やはり……ではアリーシャ殿下も共にお行きなされ」
ア「ネイフト殿?」
ネ「アリーシャ殿下……難しい立場じゃろうが、マーリンドでの任務は正念場。いち早く向かい、誠意と能力を示さねばなりますまい」
ア「ご存じだったのか……」
ネ「お二人のような方々が先にマーリンドに向かわれるのなら、ワシもまずは一安心。頼みましたぞ。橋の事はお任せくだされ」
ス「わかりました」
ア「すまない。ネイフト殿。感謝する」
ケ「一応、ボクもいるんだけど」
エ「少し黙ってなさい」
ネ「ワシも見事に橋を復旧させて見せますとも!」
ミ「分かってくれる人もいる」
ラ「ええ」
ス「へへ。やっぱり嬉しいな」
エ「感動して泣かないでね」
ス「それじゃ、ネイフトさん、色々ありがとう」
ネ「なんの。例を言うのはこっちのほうじゃ」
ス「さぁアリーシャ、ケイン、行こう」
ア「本当に私も一緒に川を渡れるのか?」
ケ「へえ、そんなことも出来るんだ。天響術ってのは便利だね」
ス「うん。二人だけなら。契約もしたからね」
ア「ネイフト殿、心遣い感謝する。それでは」
ネ「スレイ殿!本当にありがとう!アリーシャ殿下、マーリンドを頼みますぞ!」
対岸へ
ミ「ふう、無事グリフレット橋を渡れたね」
ケ「ここからだと、マーリンドは東の方角だね。周りが暗くて危険だから慎重に進もう」
ラ「ケインさんはマーリンドへは行ったことあるんですか?」
ケ「しばらく前にね。ライラさんは先代導師の主神だったんだよね。彼とはどんな旅を?」
ラ「導師が困った、『どうし』ようー」
ミ「また始まった」
ケ「ミクリオくん、これはなんだい?」
ス「ライラは誓約があって話せないことがあるんだ。それで――」
ケ「こうなると。……スレイくんも大変だね」
ス「ははは」
ラ「すみません」
ア「エドナ様どうしました?」
エ「……ケイン」
ケ「どうしたんだい、エドナちゃん」
エ「どうしてライラは『さん』づけで、わたしは『ちゃん』づけなの。説明しなさい」
ケ「……呼び捨ては失礼かと思いまして」
エ「バカなの。説明になってないわ」
ケ「年上の女性には『さん』。年下の女性には『ちゃん』。これマイルールなんだ」
ラ「あの、エドナさんはケインさんより年上で――」
ケ「ってことは天族は人間に比べて見た目の成長スピードが異なるってことか。なるほど、興味深い」
ア「エドナ様はおいくつなんですか?」
エ「さあ、いくつかしらね。乙女の秘密よ。淑女に年を聞くなんて生意気ね」
ア「も、申し訳ないです、エドナ様」
ケ「アリーシャ姫は天族の事を『様』づけで呼ぶんだね」
ス「そういえばそうだ」
ア「天族様は敬われるべき存在だ。失礼のないように気をつけて……」
ミ「他の天族はともかく、僕は敬われるような者じゃない。呼び捨てでもいいよ」
ラ「そうですわね。そちらの方がお近づきになれる気がしますし」
エ「気持ち悪いから普通でいいわよ」
ア「お心遣いありがとうございます。しかしやっと憧れの天族様に出会えたんです。敬意をはらわさせてください」
ミ「まあ呼び方は好きなようにしておけばいいんじゃない。仲良くなるうちに変化も現れてくるだろうし」
エ「そうね、ミクリオボーヤ。ミボ」
ミ「ミボっていうな!」
一行、交流を深めながら、次の街マーリンドへ。
こんにちは、作者です。第七話です。ザビーダにエドナ、デゼル。多くの天族が初登場です。原作ではあっさりしていたエドナ加入イベントにオリキャラであるケインを絡めて、大幅改変しました。彼がパーティに加わることでどのように話が展開していくのか。ぜひ注目していただきたいです。ともあれ次回はマーリンド編。原作ではアリーシャがパーティを抜けてしまうのですが、はたして……。ではまた、第八話でお会いしましょう。