俺が考えたアリーシャヒロインのゼスティリア   作:具志健

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グリフレット川を越え、マーリンドへ。


第八話 マーリンド

マーリンド到着

ス「……」

 

ア「これは……疫病のせいか……」

 

ケ「前来た時にはもっと活気があったのに。それにこの息苦しさ、これが穢れか……」

 

ア「街の中に、こんな憑魔が入り込んでる……」

 

ス「当然だよ。こんなに穢れが溢れてたら。とにかく聖堂へ、薬を届けないと」

 

 

 

聖堂へ

兵士「アリーシャ様!よくぞご無事で!」

 

ア「薬を持ってきた。状況は?」

 

兵士「……感染に歯止めがかかりません。警備兵まで罹患し、野犬の群れすら退治できない有様です。このままでは国全体に感染が広がる恐れも……」

 

ア「そんな……」

 

ス「まず薬を!患者たちに」

 

兵士「は、はいっ!」

 

 

 

外に出て

ケ「マーリンドの疫病の話は噂に聞いていたが、ここまでとはね」

 

ス「大丈夫さ。薬とか救護体制が整えば」

 

ア「ああ」

 

ミ「憑魔も僕たちで退治しよう」

 

ラ「でも、疫病を生んでいる原因はおそらく別ですわ」

 

エ「穢れを受けた強力な憑魔ね」

 

ケ「……もしかしてこの街の上空を飛び回っているのって」

 

上空に大きな影

 

ス「ドラゴン!?」

 

エ「違う、憑魔よ。人間たちが気付いていない」

 

ス「降りる!あっちだ!」

 

ミ「まさか戦う気か?ドラゴンっぽいぞ!?」

 

ス「それを確かめないとだろ。引き際の判断は――」

 

ミ「僕まかせ、だろう?いいけど、従えよ」

 

ラ「憑魔ドラゴンパピー。ドラゴンの幼体のひとつですわ」

 

エ「街の穢れが、パピーに力を与えているみたいね」

 

ア「なら、今のうちになんとかしないと!」

 

ス「落ち着いて、アリーシャ!」

 

ミ「まずい、気づかれた!」

 

ケ「一旦教会まで戻るぞ」

 

 

 

教会に逃げ込む

バタバタドタン!

ス「ふぅ……」

 

ア「危ないところだった……」

 

ア「さ、騒がせてすまない」

 

ス「……」

 

エ「まだやる気?」

 

ス「だって、ほっておけないだろ?」

 

ス「エドナ、街の穢れがあいつに力を与えてるって言ったよね?」

 

エ「……多分だけど」

 

ス「じゃあ、まずそれを祓えば」

 

ラ「ええ。パピーの力を弱められるはずですわ」

 

ミ「なんとも面倒な方法だね」

 

ス「そうだけど『損して得をとれ』だ」

 

ア「その作戦がいいと思う。……例えは違う気がするが」

 

エ「面倒×2」

 

ラ「『急がば回れ』ですよ、エドナさん」

 

ア「それです、ライラ様!『損して得をとれ』じゃなくて……」

 

ケ「いずれにせよ、憑魔も穢れもなんとかしないといけないんだ。『一石二鳥』ってやつだよ」

 

ス「よし!『急がば回れ一石二鳥作戦』開始だ」

 

ラ「ここから五時の方向から強い穢れを感じます」

 

ケ「五時か……、ちょうど美術館があるところだな」

 

ア「行ってみましょう」

 

 

 

美術館の前

ス「ここが美術館?」

 

ケ「昔は世界中の芸術品が集められていたみたいだけど」

 

ラ「雰囲気ありますね……」

 

エ「もはや廃墟ね」

 

ミ「……本当に行くのか?」

 

ア「ミクリオ様は幽霊が苦手なのですか?」

 

ラ「手、お繋ぎしましょうか?」

 

ミ「じゃなくて。わかってるだろ、スレイ?」

 

ス「かなりの領域を感じる。強い憑魔がいるな」

 

ラ「きっと『アート』驚くような奴ですわね。美術館だけに」

 

一同「……」

 

ラ「今のは『アート』と『美術』をかけた場を和ますための洒落で――」

 

エ「説明いらない」

 

ア「あ!今気付きました!」

 

ラ「要りましたわね、説明」

 

ギギギ。

 

ケ「扉が勝手に開いた……」

 

ス「さっさと来いってさ」

 

ミ「行くしかないか」

 

 

 

内部

ス「ここも加護天族はいないんだな」

 

エ「そのようね」

 

ミ「世界中がこうだと思いたくないが……」

 

エ「人間嫌いの天族は少なくないと思うわ」

 

ス「……もう人と天族は共存してないのかな」

 

エ「天族と人が共存できるとか思ってるの?夢物語ね」

 

ミ「夢とは限らないだろう」

 

エ「けど、現実はこうよ」

 

ス「難しいのはわかってる。でも、現実にそういう時代はあったんだ」

 

ミ「遺跡にも天遺見聞録にも証拠が残ってる」

 

エ「それ、いつの話?」

 

ス「大昔の話だね。けど、今もエドナみたいな天族がいる」

 

エ「は?」

 

ミ「加護も取り戻せるってわかったしね」

 

ス「そう。加護復活は共存への第一歩だと思うんだ。だから、よろしく頼むよ。エドナも」

 

エ「まったく勝手ね。だから人間は……」

 

ミ「慣れた方がいいよ」

 

エ「勝手なヤツが多いわ」

 

 

 

美術館内部

ケ「至る所にクモの巣が張ってる。長い間放置されていたんだね。アリーシャ姫、ホコリっぽいところですが大丈夫ですか?」

 

ア「ありがとう、大丈夫だ」

 

「アハハハハハハハッ!!!」

 

ス「なんだ!憑魔!」

 

ア「この憑魔が全ての元凶のようだな!」

 

エ「よかったわね、ミクリオ、オバケじゃなくて」

 

ミ「だ~か~らぁ~」

 

ス「じゃれあいは後!」

 

ラ「来ます!」

 

 

 

倒すとノルミン登場

ス「なんとか倒したか」

 

ミ「いやまだだ。まだ動いている」

 

ノルミン「あかん~!あかんんてぇ~!もお~、あかんゆうてるやんか~!も、このいけすう~!」

 

ス「え……えっと……ごめん」

 

ケ「鎧の中からなんだか小さいやつが出てきたね」

 

ラ「私、バカでしたわ。アタックさんがいると思わなかったなんて」

 

ノ「あ~!ライラはんやんか~!久しぶりやな~♡」

 

ライラ、よける

 

ノ「ぐぬぬ……相変わらずの鉄壁やな~……」

 

ア「お知り合い……ですか?」

 

ラ「ええ。昔、ちょっと」

 

ノ「ウチはアタックゆうねん~。よろしゅうな~♪」

 

ミ「変な名前だな」

 

ノ「失礼やな~!『アタック』はノルミン天族に伝わる由緒のある名前やねんで~?はんなりしてるやろ~?」

 

ア「エドナ様の傘についてるのと似てます……よね?」

 

ラ「あ!エドナさんの、それに触れちゃうとすっごく長くなるので、後ほどに……」

 

ア「そう……なんですか?」

 

ス「ライラ、ノルミン天族って?」

 

ラ「ちょっと変わった天族ですの。地の主になるほどの力はありませんが、他の天族のお手伝いができるんです」

 

ミ「お手伝い?」

 

ラ「天族の力をイイ感じに強めてくれるメイドさんみたいなもの……といえばいいでしょうか」

 

ノ「さすがはライラはんやね~!ウチのことを、よおわかってはるわ~!」

 

ミ「メイドさん……?わかったような、わからないような?」

 

ス「ライラの説明って、時々適当だよね」」

 

ノ「まあ、ライラはんのお連れさんやしぃ~。ぶぶ漬けでもごちそうするわ~」

 

ケ「ご丁寧にどうも」

 

エ「ゆっくりお食事してる場合?わたしたちの目的を忘れたの?」

 

ノ「あーーー!」

 

ミ「今度はどうしたんだ」

 

ノ「二コラの『日だまりの少女』が……、ジャンリュックの『佇む人』も……。ひどすぎるわ!誰がこんなことをしたんやな~!?」

 

ス「それは……」

 

エ「あなたよ。憑魔化した」

 

ノ「えっ……それほんまか?」

 

エ「ホンマよ」

 

ノ「思い出した……ウチや……。ウチがムチャクチャにしたんやな……大事な大事な宝もんを――。うう……うわああ~~ん!!

 

ラ「アタックさん。あなたが憑魔になるなんて、なにがあったんですの?」

 

ス「辛いかもしれないけど、教えてくれないか?」

 

ノ「あんな~……ウチ、芸術が大好きでな~。ずうっと前に、ここに棲みついてん~。大勢さんと芸術品を見てるだけでほっこりしてな~。祀られへんでも寂しなかったんや~……」

 

ス「いいな。そんな生活」

 

ノ「幸せやってん……ほんまに……」

 

ノ「けどな……国の争いが始まって人間は変わってしもたんや……。敵の国の人がつくった作品やからって、けなしたり、燃やしたりし始めてん……」

 

ケ「どの時代でも見受けられる、悲しい歴史だね」

 

ミ「芸術を利用したんだな。戦意高揚に」

 

ア「その通りです」

 

ノ「それだけやない……。そのうちに芸術品の横流しが始まってな……」

 

ス「それでこんなに……」

 

ノ「そいつらは金を手にして笑たんや……。『すっきりしたな。戦争様様だ』ゆうて……。悲しかってん……悔しかってん……許せへんかってん……!せやしっ!ウチは憑魔になってしもたんや……」

 

ス「アタックが悪いんじゃないよ」

 

ノ「おおきに。せやけど……ちょっぴりひとりにさして欲しいねん……」

 

暗転

 

 

 

美術館を出て

ス「……」

 

ミ「まさか芸術への想いから、穢れが生まれるなんてね」

 

ス「うん。驚いた」

 

ア「アタック様を追いつめたのはハイランドだ。私がもっとしっかりしていれば……」

 

ケ「ハイランドだけの責任じゃないさ。戦争を続けているローランスもまた同罪」

 

ミ「そういえばケインはローランス出身だったね」

 

ラ「穢れは、どんな心からも生まれますわ」

 

エ「特に危ないのは他人への憎悪」

 

ラ「はい。そして私たち天族は、器からの影響を強く受けます」

 

ス「オレが、穢れを生みだしたら、みんなもヤバいってこと?」

 

ラ「全員が憑魔になる恐れがあります」

 

ス「……」

 

ラ「スレイさん、アリーシャさん、ケインさん。人は、あなた方が考えている以上に力をもつ者に依存し、絶望します。自身の理想、そして自分にできることを見誤らないでください。救うべき人間への想いは、導師の大敵でもあるのですわ」

 

ス「うん、わかった」

 

ミ「だから、その堅苦しさが危ないんだって」

 

ス「あ。そうだね」

 

ケ「暗くなっても仕方ない。いつも通りのスレイくんなら大丈夫さ」

 

ラ「ふふ、余計な心配ですわね。スレイさんには」

 

ス「心配する前にやろう」

 

ア「私たちにできることを、だな」

 

ミ「街の穢れはだいぶ少なくなった。これならパピーも浄化できるかも」

 

ケ「うん?あれは……」

 

エギール「導師殿!いいところに」

 

ス「エギールさん、ロゼ」

 

ロ「橋の話聞いたよ。すっごいね!」

 

ス「あれは……まあ……」

 

ケ「こんにちは、エギールさん、ロゼさん」

 

ロ「あれ?またスレイと一緒にいるの」

 

ケ「まあ、成り行き上いろいろあってね」

 

ロ「へえ~。なんでもいいけど、受け取りのサインちょうだい」

 

ス「え?オレ?」

 

ロ「追加の薬よ」

 

エギール「ネイフトって人から頼まれた分だ」

 

ス「あ……!」

 

ロ「あと伝言。『マーリンドに向かう傭兵団を見つけ、街の警備を頼んだのですが断られてしまいました。レディレイクに援軍を要請しましたが少し時間がかかりそうです』だって」

 

ケ「傭兵団、ね。援軍に向かってくれたら助かるんだけど。その傭兵団はどこへ?マーリンドに向かったっていう」

 

エギール「『木立の傭兵団』なら一緒だったよ。この街にいるんじゃないか?補給をするって言ってたから」

 

ケ「『木立の傭兵団』、ね……」

 

ス「伝言ありがとう」

 

ロ「……ねぇ、なんでこんな面倒なことしてんの?」

 

ス「なんでって……。困ってる人をほっとくのイヤだから」

 

ロ「……ふーん、わかった。スレイが変な奴だって」

 

セキレイの羽の男「ロゼ、ちょっと……」

 

ロ「おっと、スレイ、ちょっとごめんね」

 

ロ「…………なんだって。あいつがこっちに………」

 

ケ「…………。ロゼさん、どうかしたのかい?」

 

ロ「ちょっと仕事の話」

 

エギール「さて、薬はどこに?」

 

ス「聖堂に頼むよ」

 

エギール「承知した」

 

セキレイの羽行く

 

ミ「これで薬の問題は当分大丈夫そうだね。後はパピーをなんとかすれば」

 

エ「スレイ、大樹の元へ行ってくれない」

 

ケ「何か考えがあるんだね」

 

ス「うん、わかった」

 

 

 

大樹の前へ

ラ「どうするんです、エドナさん?」

 

エ「ここで待って」

 

ア「どなたをです?」

 

エ「ワタシをよ。決まってるでしょ」

暗転

 

 

 

ス「遅いな、エドナ」

 

エ「おまたせ」

 

ア「アタック様?」

 

ノ「手伝いにきたで~!ウチの力がお役に立つらしいやんか~?」

 

ス「そうか!」

 

ミ「アタックの力を借りられたら、ドラゴンパピーを浄化できるかもしれない」

 

ノ「エドナはんが、みんなが頑張ってるって教えてくれはったんや~。街が元気になればな~、芸術を愛する心も戻るはずやってゆうてな~」

 

ケ「エドナちゃん、結構いいこと言うね」

 

ス「ありがとう、エドナ」

 

エ「いい案思いついただけよ」

 

クェ――――……… 

 

ミ「パピーだ!」

 

ラ「いらっしゃいましたわね」

 

ア「まずい、この暗さじゃ奴の姿が」

 

エ「だからいいのよ。大暴れしても人間には見えないもの」

 

ミ「そこまで考えて……」

 

エ「……たまたま、よ」

 

ケ「そういうことにしておこう」

 

ドラゴン出現

 

ラ「アタックさん、お願いします」

 

ノ「はいな~!パワー・ガ・ノルミン!」

 

ノ「ぐぬぬ……すごい力やあ~……!」

 

ス「さあ、ここからが本番だ!」

 

ミ「この大きさと迫力でドラゴンパピー……冗談だろ?」

 

エ「実際のドラゴンとの格の差は、もう見てる筈よ」

 

ス「俺たちはやるべきことをやってここにいる!」

 

ラ「そうです!今のスレイさん達なら!」

 

エ「……ま、いいわ。死なない程度に頑張って」

 

 

 

ドラゴンパピーを倒す

ス「やった、ドラゴンを」

 

エ「パピーだけど」

 

ミ「確かに。本当のドラゴンに遠いかもだけど」

 

ス「いつか必ず……」

 

ケ「天族も人間も成長する生き物だからね」

 

パピーが天族に

 

天族「浄化の炎……あんたは導師か?」

 

スレイ頷く

 

ス「あなたはマーリンドの?」

 

ロハン「加護天族ロハンだ」

 

ロ「だった……というべきか。ドラゴンになりかかっちまった俺には、もうこの街を守る資格はないだろうよ」

 

ス「そんなことは――」

 

ア「ロハン様。ハイランド王国王女アリーシャ・ディフダと申します。あなたを憑魔にしてしまった責は、人心を荒廃させた私たち、ハイランド王室にあります。ですが、必ず立て直して見せます!罰が必要なら、私が受けます。ですから、どうか今一度だけ加護をお与えください」

 

ロ「なんとも一途な姫さんだな。街の穢れが……ずいぶん減っている。あんたが祓ったんだな」

 

ス「みんなで、だよ」

 

ロ「……わかった。俺でよければやってみよう」

 

ア「ありがとうございます!」

 

ロ「よし、さっそく加護領域を展開するぞ」

 

ノ「ウチも手伝うで~!パワー・ガ・ノルミン!」

 

ロ「むっ!これは……!?」

 

ラ「どうされたのですか!?」

 

ノ「近くにな~、まだ強い憑魔がいるみたいなんや~」

 

ロ「そいつの領域が邪魔して、憑魔の侵入をとめられねえ」

 

ミ「どこにいるんだ?そいつは」

 

ロ「……南西だ。遠くない。いや、どんどんこちらに近づいている」

 

ノ「このままならここにつっこむでぇ~」

 

ケ「それは大変だね」

 

ア「スレイ、そいつを倒さないと!マーリンドが……」

 

ス「けど、今オレたちが街を離れるのは……」

 

エ「ザコ警備隊は倒れてるし、ザコ憑魔は入ってくるし」

 

ミ「……ロゼが言っていた傭兵団に頼んではどうだろうか?」

 

ス「傭兵団!その手が!」

 

ア「傭兵に憑魔が倒せるだろうか?」

 

ラ「ただの動物憑魔くらいなら」

 

エ「凶暴だけど見えるし。しょせんザコだし」

 

ミ「けど、警備を断ったって」

 

ア「私が頼んでみます。誠心誠意」

 

ケ「『木立の傭兵団』、ね。出たとこ勝負しかないかな」

 

ス「とにかく会ってみよう」

 

 

その様子を遠くから暗殺者とデゼルが見ている

デ「…………」

 

「スレイ、少しはやるみたいだな」

 

デ「どうする、やるか」

 

「いや、今は導師よりルナールだ。けじめをつけなくてはな。やつらが気付く前に行くぞ、デゼル」

 

デ「ああ。………導師、まだまだ力が足りないな。このままじゃあいつは倒せない。まあ精々がんばるんだな」

 

 

 

街中

「補給急げ!こんな物騒な街に長居は無用だ」

 

ス「なにがあったの?」

 

市民「聖堂を襲おうとした野犬の群れをあいつらが倒したのさ。いやあ、見事な連携だったよ」

 

ラ「あの犬、憑魔ですわ」

 

エ「ただのザコじゃないようね。人間にしてはだけど」

 

ス「あの。頼みがあるんだけど」

 

「あん?俺たちは『木立の傭兵団』だ。ガキの子守は受け付けてないぜ」

 

ケ「ガキの子守かどうかは彼の話を聞いてからにしてよ、ルーカスさん」

 

ルーカス「……お前どこかで会った顔だな」

 

ス「あなたたちにしかできない仕事だ」

 

ル「団長のルーカスだ。仕事ってのは?」

 

ス「しばらくの間、マーリンドを守って欲しい」

 

ル「あ~、前にも頼まれたが断った。疫病の街の警備なんておっかなすぎる」

 

団員「団長。こいつ、噂の導師ですぜ」

 

ル「橋の奇跡のか?こんな若造って冗談だろ~!」

 

ス「マーリンドを元に戻す方法を見つけたんだ。それには街を空けなきゃならない。けど、警備隊は疫病でまともに戦えないし」

 

ル「代わりに俺たちが……ってか。俺たちを利用して、美味しいところを独り占めする腹なんじゃ?」

 

ア「そんなことはしない!」

 

ル「口で言われてもな」

 

ス「じゃあ、どうすればいい?」

 

ル「教えてやるよ、導師様。傭兵ってのは金で動くもんだ。本気ならこれからいう金額をもってきな。話はそれからだ」

 

ア「……いくらだ」

 

ル「5000ガルドだ。どうするよ、導師様?」

 

ス「払うよ」

 

ミ「いいのか、スレイ」

 

ス「これで街を守ってくれるなら安いもんだ」

 

ル「へぇ……思ってた導師とは違うな。ちょっとは信用できそうだ」

 

ア「金を出せば信用するのか?」

 

ル「じゃあよ。なんで動いたら御満足なんだ?」

 

ア「……使命感や義侠心だ」

 

ル「俺の部下が疫病で死んだとしてだ。そんなもんが残された身内を世話してくれんのか?一生?」

 

ア「そ、それは……」

 

ル「だが、金があれば報いてやることができる。俺は、部下たちとそう契約してる。だから奴らは命懸けで戦えるんだ」

 

ア「う……」

 

ル「もっと現実を見な、お嬢ちゃん」

 

ス「現実……か」

 

ル「さて、依頼はこの街の警備だったな。承るが、見返りに――この街好きにしちゃってもいいよな?」

 

ミ「本当にいいのか、スレイ?」

 

ス「心配ないよ。契約を重んじる人が、そんなことしないさ」

 

ケ「…………」

 

ル「合格だな」

 

ル「仕事だ、野郎ども!全隊でマーリンドの警備にあたる!1、2番隊は外周、3番隊は市内を固めろ!警備隊へは俺が話をつける!導師直々の依頼だ。気合入れろよ!」

 

「おおお~~~っ!!」

 

ル「ほらよ」

 

ガシャ

 

ス「これは?」

 

ル「釣りだよ。仕事は適正価格で受ける主義でな」

 

ラ「まあ!意外にお得!」

 

ル「こうみえてもお客様本位なんだ」

 

ケ「『木立の傭兵団』団長ルーカス、噂通りの男だな」

 

ス「ひとまず街はルーカスに任せよう」

 

ス「変わった連中だな」

 

ア「あんな繋がりもあるんだな……」

 

エ「一応、筋は通ってるし。あいつらの理屈だけど」

 

ラ「彼らのように信じるものに自分の在り様を委ねる人間は、むしろ純粋なんですわ」

 

ミ「確かに穢れは感じなかったね」

 

ア「彼らなら信用できそうだ

 

エ「さっさと穢れを祓いに行くわよ」

 

ア「はい!」

 

 

 

ボールス遺跡

ケ「ロハンさんが言っていたのはこのへんだけど……」

 

ミ「ピリピリくる……この奥になにかいるぞ」

 

ラ「みなさん、気を引き締めて」

 

ルナール「へへへ、まさかメインディッシュ自らご登場とはな」

 

ス「この声は!」

 

ルナール「死ねええええ!」

 

ルナール、アリーシャに攻撃を仕掛ける

ア「……………!」

 

ス「アリーシャ!」

 

スレイがアリーシャを庇い、攻撃を受ける

ミ「スレイ!」

 

ア「わたしをかばって………」

 

ラ「スレイさん、すぐに天響術を!」

 

ル「ちっ、邪魔が入ったか」

 

エ「あなたがロハンが言っていた憑魔ね」

 

ケ「いきなり不意打ちなんて、卑怯じゃないか。キミ、何者だい?」

 

ミ「こいつはルナール。アリーシャを狙う暗殺者だ」

 

ケ「暗殺……穏やかじゃないね」

 

ア「わたしのせいで、、、スレイが、、、、、、スレイが」

 

ル「もう面倒だ。全員殺してやるううう」

 

エ「来るわ!落ち込むのは後よ!」

 

「やっと見つけたぞ!ルナール!」

 

ガキンンンンン!

 

ケ「キミは……」

 

ミ「風の骨」

 

ル「頭領」

 

「ルナール、お前には待機指示が出ていただろう。なぜあの娘を狙う?」

 

ル「誰がお前の命令なんか聞くか。家族ゴッコはとっくの昔に終わったんだよ!」

 

「やはりもう昔のお前じゃないか……」

 

「ルナール、お前を風の骨から追放する。裏切り者はどうなるか……わかっているな」

 

ル「さあ知らないなあ。お前らの腐った偽善の矜持なんてな!」

 

ケ「消えた……」

 

「デゼル!」

 

デ「ちっ、穢れが遠ざがっていく」

 

「まだ近くにいるはずだ、探せ!身内の始末は自分たちでつけろ」

 

ル「けけけ、無駄だ。お前たちみたいな偽善者には俺は倒せない。導師もお前も俺を止められない。必ずメインディッシュを平らげて見せる。けけけけけけ」

 

デ「完全に穢れが消えた!」

 

「逃がしたか。仕方ない、一旦引くぞ」

 

風の骨デゼルルナール去る

 

ミ「スレイ、大丈夫か」

 

ラ「命に別状はありませんわ」

 

ケ「よかった」

 

エ「あのキツネの憑魔、あなたを狙っていたわ」

 

ア「それは……」

 

エ「一歩間違えたらスレイは死んでいたわ。自分の身は自分で守りなさい!」

 

ミ「エドナ!」

 

ア「いいんです、ミクリオ様。スレイを傷つけたのは事実ですし……」

 

ス「あ、アリーシャ……」

 

ラ「スレイさん、目を覚まして」

 

ス「アリーシャ………ケガはない?」

 

ア「わ、私は……、平気……だ。すまない。足を引っ張って……」

 

ス「そんなこと、ない」

 

ケ「無理して喋らないほうがいい」

 

ラ「一度マーリンドへ向かいましょう」

 

ケ「ボクがおぶろう。それが一番いいだろうし」

 

ス「あ、ありがとう、ケ、、、イン、、、」

 

ミ「スレイ!」

 

ケ「大丈夫、眠っただけさ。少し休めばまた元気になるさ」

 

ア「……………スレイ……」

一行、急いでマーリンドへ戻る。

 

 




こんにちは、作者です。第八話です。スレイの失明云々の件は、ばっさり削除しました。あの設定は、アリーシャを離脱させるだけのこじつけ設定になってしまっていましたし、それならいっそないほうがいいかなと。その代わりといってはなんですが、ルナールがアリーシャを攻撃し、それをスレイが庇って重傷を負うというイベントを差し込みました。アリーシャファンとしてはかなりつらいイベントですが……。でも安心してください、ヒロインはアリーシャです。悪いようには決してしませんのでご安心を。ではまた、第九話で会いましょう
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