宏輝「計画通り・・・!(ニヤリ」
チョロくなったけどいいよね! コイツ、完全に考えてやっているから鈍感主人公よりもタチが悪い気がするのは自分だけではないはず。
あんまりフラグ建てると【規制】ハーレム二次になるから避けたいんだよなぁ。
「君が良ければ私と友人になってもらえないだろうか!」
「いいともー」
(……何かモヤモヤする)
川神市内のとある喫茶店。橘天衣、天井宏輝、川神百代の三人がいる席にて。天衣はスプーンを咥える宏輝の手を情熱的に両手で握っており、握られている宏輝はまるで昼の定番の番組の台詞を言って、百代はそんな二人の様子をブスッとした表情で見ていた。
さて、こうなった理由を時間を遡って見てみよう。宏輝の固定特殊能力であるラッキースケベが発動して一時間、喫茶店に行くまで。喫茶店の席を取って軽い自己紹介をした時にそれは起きた。
◆
「すんません。胸に顔を埋めてしまって。ついでに柔らかくて役得でした、ご馳走様です」
「こんのスケベめ」
バシンと頭を突っ込むように頭を叩く百代。何気に不機嫌そうな顔をしている百代であった。反対に、同じ席に座っている天衣は顔をほんのりと赤くして珈琲を飲んでおり、若干モジモジとしている。元凶である宏輝は喫茶店限定ビックパフェを食べながら悪気が無いように振舞っていた。女性の胸に顔を埋めてその反応とは最低な男性、少年である。
百代に二度目の気絶をさせられ、すぐに意識を戻した宏輝の提案によって喫茶店で自己紹介ついでに謝罪をしようと言うのだが、この態度である。
「というかさ。モモちゃんが蹴らなかったらこのおねーさんのおっぱいにも突っ込まなかったし、抱き合うだけで終わってたんだよ? 悪いのはモモちゃんもじゃない?」
「う゛。そう言われると」
「そ、そんなに淡々と言わないでくれないか。こう見えても恥ずかしいんだ」
「おねーさん、クールな感じなのに照れるって可愛いね」
「や、やめてくれ……」
顔を真っ赤にして俯く天衣。それには百代は面白くなく、人を殺しそうな目線で宏輝を睨んでいた。地雷を踏み抜いたと後悔しながら心の中で冷や汗をダラダラ流す彼はポーカーフェイス、笑顔を保ちながらパフェを食べ進める。鬼神の視線が宏輝を蝕む――。
「あ。自己紹介だけど。俺の名前は天井宏輝。モモちゃんからはヒロって呼ばれているよ」
「あ、ああ。橘天衣。そこの百代と同じ武道四天王の一員だ。よろしく。天の衣装と書いてたかえ、と呼ぶよ」
「何それ格好良い。武道四天王って厨二病を擽るネーミングだよね。称号とかあるの? 『閃光』とか『剣聖』みたいなの」
二人は自己紹介をする。天衣と百代は同じ武道四天王であるため、自己紹介は不要であり、天衣と宏輝、二人の間の会話を聞いており、面白くなさそうな顔をしている百代。
初めの羞恥心は何処へか。天衣の恥ずかしそうな態度から普段の態度に戻り、宏輝との会話に花を咲かせていた。これも宏輝が為せる話術、本筋から逸れさせて違う話題へ変えて楽しませるという事が上手なのだ。それも彼の魅力であり、いい所である。
「へー。スピードクィーン。何かレースクイーンの称号みたいだね」
「言わないでくれ。自分でもわかっている」
「変わりにモモちゃんは武神と。ぶっちゃけモモちゃんが格好良いよね」
その言葉にムスッとなる天衣。反対にちょくちょく宏輝のパフェを盗んで食べている百代は見てわかるように機嫌が良くなる。称号というか、自分を褒められて嬉しいのだろう。ふふんと挑発するように天衣を見る百代。なんという子供だろうか。
「俺は……何だろ。モモちゃん、何か称号を付けてよ」
「変態、スケベ、エロガキ」
「ひっでぇ! というか変態はモモちゃんでしょ! 前なんか俺の股間を――」
百代は狩人の目でスプーンを宏輝の口に突っ込んで黙らせる。初めて会った時のラッキースケベは余程恥ずかしいのだろう。先程の一連の動きは同じ武道四天王である天衣すら見切れるものではなかった。驚く天衣を尻目に、スプーンを口から出して仏頂面をする宏輝。いきなり口の中にスプーンを入れられ、不機嫌になっている。
確かに百代は股間を鷲掴みにした。竿をしっかりと握った。男の勲章とも言える場所をそんな風に扱われて嫌なのは百代だけではなく触られた宏輝自身も嫌である。行為で【規制】された事があったとしても嫌のは嫌なのだ。
「……忘れろ。あれは事故だ」
「うん。キスして御免」
ガゴンッ。全く反省しない宏輝であった。不用意な一言が百代を怒らせ、顔面をテーブルに叩き付けられるのであった。叩き付けられた宏輝はプシューと頭から煙を噴き、テーブルに突っ伏したまま。顔を引き攣らせる天衣は百代にこう聞く。
「百代……もしかして付き合っているのか?」
「ちっがぁぁぁぁぁぁぁぁう!!」
吠える百代。喫茶店のオーナーに叱られる二人であった。
大きな絆創膏をクロスさせて額に貼っている幻覚を見ている二人は頭を擦る宏輝を見る。本気で痛がっているようで実行犯である百代は気まずそうな顔をしていた。
「あのね。俺は女の子からの暴力は我慢できる方だけどこれはやり過ぎだと思うんだよ」
「わ、悪い」
「大丈夫か? まだ痛いのなら病院へ行くか?」
「オウフ。女の子、おねーさんに心配されるのもやっぱり悪くないな。橘さん、付き合って」
「あ、いや」
宏輝に告白紛いの事をされ、慌てる天衣。小悪魔なんてレベルじゃない宏輝の言動に心を揺らされる天衣としてはたまったものではない。というか宏輝はこんなナンパキャラだったか? と疑問を持ち始める百代。
まだ知らない事だが、宏輝の一面にはこんなナンパ野郎の一面がある。祖母の教育により、人と人の間に繋がりを持つ際に男性、女性で接し方を変える方法がある。男性は持ち前の話術により悪い印象を持たせないようにする、女性は兎に角ベタ褒めをして落とせとの事が教育の賜物である。結果、完成したのが女たらしならぬ人間たらしの天井宏輝であるのだ。
(マジ可愛い。ワン子とは違ったギャップ萌えですな)
「天運持ちだから天啓でいいんじゃないか?」
「・・・ねえ、意味を理解して言ってる? 神などの超自然物から与えられたお告げのことを言うんだよ? そんな大層な存在じゃ――」
「何ッ! 君は天運を持っているのか!?」
溶け始めているパフェにスプーンを挿そうとすれば、天衣がその言葉を聞いて一気に宏輝に顔を近付ける。あまりにも近い距離に、宏輝ですら圧倒されて少し後ろに身を引いていた。心無しか、目が興味津々とばかりに爛々と輝いていた。
「運が良いのか? 宝くじとか当たった事とかあるのか?」
「ま、まあ。ハズレは生まれてこの方無いし、大体八割以上で二等以上が出ますね。他があってもハズレは全く無いです」
「…………」
(こ、この子……鉄心殿の言う通り只者ではない。この子と一緒にいればもしや――!?)
「運が良いってレベルじゃないだろ。今度宝くじをして当てて遊びに行こう。いいよないいよな?」
「えー。出禁になると思うよ。前なんか当て過ぎて出禁ってなった事があったし」
「ヒロだけだ。それは」
真実である。前の世界で宏輝は自分の運の良さを調べる段階で一等賞を当てに当てまくって宝くじを売っている店全体から出禁となっていたのだ。こんな事になったのは宏輝が初であり、当てた金額は十数億という大金を得るはずだったが、イカサマと言われて貰えないという事があった。
まさに天に愛された少年。天運と呼んでもいい恩恵を確かに彼は受けているのだ。故に、誰もが彼を羨む。そう目の前の橘天衣のように。
「天井君!」
「名前でいいです。けど俺は橘さんって呼ぶけど、いいで」
「宏輝君!」
ガッと宏輝の手を両手で掴んで顔を近付ける。天衣の顔がほんのりと興奮で赤くなっているのでドキリとはしない宏輝。耐性があるため、生半可な誘いでは受け付けない。
――そして場面は初めに戻る。
「友人程度なら大丈夫っすけど。ここまで上手く誘導できるとは」
最後の部分はボソリと呟く。だが、興奮している天衣には聞こえずに嬉しそうに宏輝の手を上下に振って喜ぶ。
「ああ! よろしくな宏輝君!」
(……何か面白くない)
百代は面白くなさそうだ。この時から無意識に宏輝を意識し始める事になるのだが、それに気付くのは大分後である。
橘さんは天運不幸コンビで宏輝のパートナーとして動かしたい。弱い宏輝の百代に代わる護衛役・・・あれ? 百代が使い捨て? ・・・と、兎に角。原作開始には百代がマジ百代って展開を考えているので安心を。深い深い関係は多くても四人までって感じかな?
なお、言われると思いますので先に。
R-18は書きませぬ。