翌朝、起床した俺達はさっそくビーストマン達と戦うための作戦会議を始めることにした。場所は王城の一室を貸してもらっておこなっている。メンバーとしては俺とルベドの『漆黒』、ラキュース達『蒼の薔薇』、そしてもう一組がこの国を拠点として活動しているアダマンタイト級冒険者チームである『クリスタルティア』である。そのチームのリーダーであるのがセラブレイトという男だ。見たところレベルはラキュース達に負けず劣らずの具合である。あのビーストマン達相手に戦っていたのだから当然といえば当然か。しかし、この男が先ほどから時折王女のことを「ねっちょりと」した視線で眺めているのだが、何故だろうか。
(もしかしてあいつロリコンか?)
そういえば王女が昨日本当の姿ではないと言っていたが、あのロリ体型でいるのはあいつが原因なのかもしれないな。まぁ、人の性癖なんてどうでもいいんのだがな。ちなみに俺はちゃんと色々と大きい女性が好みである。おっと、話しが脱線してしまった。話しを戻すと今回のビーストマンとの戦いではこの三チームが主戦力となる。さて、肝心の作戦内容だが・・・
「今回の作戦はどうなっているんだ?」
「現状ビーストマン達は竜王国を包囲するような形で陣取っています」
「ならばやはり正面から戦うしかなんじゃないかしら」
「それはどうかと思いますよ。今までビーストマンと戦ってきた身としてはあれだけの数と正面から戦うのは愚策ではないかと」
「ですが現状を見るにあまり猶予は残されていないように思うわ。今さら小細工をするのは無駄でしょう」
こんな感じに先ほどから結論がいまいち纏まらないでいる。たしかにラキュースにセラブレイト、どちらの意見も間違ってるはいないのだから平行線だ。
「それにこっちには彼らがいるわ」
「漆黒の方々ですか。しかし私は彼らがビーストマンの大群を一瞬で倒したというのはいまいち信じられませんね」
ん、ここで俺達に話しがふられてきた。まぁそうなるか。昨日俺達がビーストマンをまとめて倒したことをラキュースは知っているからな。だがセラブレイトの言うことも確かだろう。そりゃその現場を見ていないんだから信じようがないわな。それに、いままでビーストマンと戦ってきたというなら尚更に。
「別に信じて貰わなくてもいいさ。それよりもいつまで経っても結論がでないようだな。なんなら俺達が正面でビーストマンの大部分を受け持っても構わないぞ。そして残った二チームで右翼と左翼を固めてくれればいい」
「それこそ愚策だと言っているでしょう!・・・たしかにこのままではいつまで経っても平行線ですね。ならばここは王女様に決めていただきましょう」
「俺は別にそれで構わない」
「そうね。私も構わないわ」
「ならば王女様に決めていただきましょう。王女様はどのようにお考えですか?」
「・・・少し時間をくれ」
最終決断を迫られた王女が考え込むようにして、部屋に沈黙がおりた。下手したらこの判断で国が滅ぶかもしれないんだ。そりゃ簡単には決められないだろう。待つこと数分。どうやら決断ができたようだな。
「私はラキュース達の案でいこうと思う。どうせこのまま何もしなければ滅びを待つだけなのだ。ならば最後の希望にかけようじゃないか」
「なっ!?正気ですか、王女様!」
そう、あの眼だ。一本の芯の通ったあの眼。やはりそうでなくてはな。
「もう決めたことだ。セラブレイトよ、そなた達も頼むぞ」
「・・・わかりました」
ふむ、セラブレイトの言うことも間違ってはいない。しかしここは納得してもらったほうがいいだろう。たしかに正面から挑むのは愚策かもしれない。だが、それは普通ならの話しだ。生憎と俺とルベドはこの世界では普通のレベルをはるかに上回っている。だからこそ正面から挑んだとして負けはしない。さすがに本気を出すわけにはいかないがこの国を救うことぐらいはできるだろう。
今回の戦力としては、まず俺達アダマンタイト級冒険者の三チーム。そして竜王国の兵士が約1万人といったところだ。これでもかなりの数が集まったほうだろう。文字通りの総力戦となる。ここで負ければ竜王国は滅びるだろう。だがそうならないために俺達がいる。乗りかかった船だ。最後まで仕事はこなすとするさ。
そして作戦はいたってシンプル。俺達三チームが正面からビーストマンを迎え撃つ。正面は俺とルベド。右翼がラキュース達で左翼がセラブレイト達となっている。そして残った兵士達は俺達が抑えきれなかったビーストマンと戦うということになっている。しかしこれは他のアダマンタイト級冒険者の実力を見るいい機会だな。普段アダマンタイト級ともなれば一緒に依頼をこなす、ということは滅多にない。それは今回のような国の危機ともなれば話しは別だが。まぁとりあえずは実力を見せてもらうとしよう。
会議が終わって各々が準備にとりかかっていたとき王女が俺とルベドに声をかけえてきた。
「お二方とも今回の作戦では多大な苦労かけてしまうことになります。私自身が決めたこととはいえ、申し訳ありません。もしこの戦いを勝つことができれば可能な限りどんな願いでもお聞きいたします。だからどうか、我が国のためにお力をお貸しいただきたい」
「王女様、一国のトップがそう簡単に頭を下げるものではありませんよ。任せておいてください。私達が必ず、この国を救ってみせましょう」
「ゼクス殿・・・。お心沿い感謝します」
そう言って王女は戻っていった。
「ルベド、今回の戦いどう思う?」
「ゼクス様がいるのです。万に一つも負ける可能性はなkでしょう」
「ははっ、そうか。ありがとうルベド」
俺はルベドの頭を撫でてやる。
「と、当然のことを言ったまでです」
「だがどうも裏があるような気がするんだよな。杞憂であればそれにこしたことはないだけどな」
「裏、ですか?大丈夫です。例え何がこようとゼクス様が負けることはありませんよ。それに私もついています。もしものときは命にかえてお守りいたします」
「ありがとな。よっしゃ、こんな戦いさっさと終わらせるとしよう」
「はい!」
ま、何がきたとしても、それごとぶった斬ればいい話しだ。心配のし過ぎはよくないな。
そして俺達の竜王国防衛戦が始まった。
◆
さて作戦開始時間となったわけだが・・・
「ビーストマン達が動きませんね」
「ああ、いままでとはどこか違う感じがするな」
「それに見たところ陣形を組んでるようにも見えますね」
城から出てビーストマンを観察してみたのだが、どうもあいつら陣形を組んでいるようなんだよな。ビーストマンはあまり知能が発達している種族ではない。人間を餌としかみておらず、すぐに襲いかかってくるイメージなんだがな。こりゃ何か裏があるかもしれんな。
「どうします?予定通り作戦を開始しますか?」
「うむ・・・、ここで悩んでいても変わらないだろう。ただいまより作戦を開始する!」
というわけでビーストマン達と対峙したわけだがそこまできてようやくビーストマン達が攻撃を仕掛けてきた。さて、さっさと殲滅するとしよう。
ビーストマンの基本的な攻撃は鋭い爪での攻撃である。並みの人間なら一撃で引き裂かれてしまうだろう。俺からしたら別段気にするような攻撃でもないがな。いくら数がいるとはいえ、所詮は俺とルベドの敵ではない。ビーストマンの攻撃を軽くいなしながらどんどん数を減らしていく。俺達が受け持っているのが一番多いのだからさっさと倒していかないとな。それに、後ろにいる竜王国の兵士達も頑張ってくれているようだ。
だがどうにもビーストマン達から違和感を感じる。何か昨日戦ったときよりも強くなっているような気がする。他のチームを見てみるとやはり苦戦を強いられているようだ。《
『ラキュース、こいつら普段よりも強いんじゃないか?』
『ええ、何故か強さが上がっているようです』
『そっちは大丈夫そうか?』
『何より数が数ですから厳しいですね。あまり長くはもたないと思います。それに何やらビーストマン達に強化魔法のようなものがかかっているよな気がします。にもかかわらずあなた達は余裕のようですね』
『そんなことはないさ。・・・わかった。もうしばらくもちこたえてくれ』
『どうだか。何か考えがあるようですね。了解しました』
やはりビーストマンに何らかの強化魔法がかかっているとみて間違いないな。このまま倒してしまってもいいのだが些か気になる。ビーストマンに強化魔法をかけている存在、調べて潰しておくか。場所はビーストマン達の後方だろう。先ほどから妙な魔力を感じていたがどうやらあいつらのようだな。まぁここはルベド1人でも大丈夫だろう。
「ルベド、俺はあの後方にいる集団を潰してくる。少しの間ここを頼むぞ」
「了解いたしました。ここはお任せを」
俺は前線をルベドに任せて
◆
「みんな大丈夫?」
「あぁ今んとこはな。だが長く続くともたないな」
「そうね。でもゼクスさんに考えがあるみたいよ。ここは任せましょう」
「あいつらか。強化されたビーストマン相手でもまったく本気を出してるように見えねぇからな。まったく、恐ろしいぜ」
「あいつら強すぎ」
「うん、強すぎ」
「つべこべいってないで真面目に戦え。あいつのことだ。おおかたビーストマン達の後方にいる集団に向かったんだろうよ」
「え、そうなの?」
「あぁ、恐らくあそこにビーストマンどもを強化している連中がいるんだろう」
「イビルアイ、あなた気づいていたならどうして行かなかったの?」
「私が抜けたらここがもたんだろう。それにあいつのとこにはもう1人化け物がいるしな」
「化け物って・・・。まぁ実力的にはルベドさんも恐ろしいのだけど。なら私達はここの敵に集中するとしましょう」
「「「「了解!」」」」
◆
「あれは・・・」
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