艦これ 傭兵鎮守府物語   作:URIERU

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さて、今回は萩鎮守府周辺地図も出てきます。
島の名前は微妙に変換を変えているくらいで読み方は同じだったり。


批評、感想に飢えております。些細なことでも書いていただけると、とても喜びます。


第二十一話「鎮守府合同作戦草案」

____演習場____

 

朝、日々の訓練に入る前に傭兵は艦娘一同を集めて説明を行う。

 

「今日の訓練に入る前に明日の出撃内容について説明しておく。明日の出撃は近海にある島の周囲にいる深海棲艦の撃破を目的とする。羽根島、声島、そして雄島があるな?ここいら一帯の島々はI島に行くまでの道すがらにあり、ここへは将来的に臨時基地や探査レーダー、電波塔の設営を行う。まぁ今回の出撃ではそこまでのことは考えなくていい。この周辺ならば脅威となるのは出撃例の少ない軽空母だけ。いずれ行う掃討作戦や、資源の輸送作戦における出撃演習的な意味合いが強い」

 

「ということは、私は今日は防空射撃演習になるのね、司令官」

「察しがいいな、その通りだ。これには後衛となる電にも参加してもらう。さすがに艦載機の撃破を如月一人ですべてやるのは厳しい」

「はいなのです。あ、でもうちには空母が・・・」

 

当然ではあるが、空母艦娘がいなければ、艦載機の発艦ができない。

 

「そのことは考慮済みだ。リリー、あー、妖精に簡易的なカタパルトを作ってもらってな。工廠横の空き地からでも発艦できるようになっている。艦載機も古い型のだが、以前使われていたものが残っていたのでそれを使わせてもらう」

 

しかし、空母の操る艦載機よりだいぶ能力も航続距離も落ちるそうだがな

、と付け加える。

 

「すごいでありますな。いつの間にそんなものが作られていたでありますか」

「昨日お前たちが間宮を設営しているときに、裏で頼んでおいたんだよ」

 

 今回の報酬は間宮で買った和菓子を次は持ってくることだったな、と思い出す。

 

「私は、昨日と同じ砲撃訓練でいいのかしら」

「うむ。どうしても敵の軽巡以上の艦の撃破には15.2cm連装砲が有用となる。これなら軽空母や重巡の装甲にも十分なダメージが期待できる。いずれは20.3cm連装砲を装備してより火力を高めてもらう。矢矧には砲撃の精度が求められる」

「そういうことね。あと雷撃の訓練もできればしたいのだけれどいいかしら」

「うむ。水雷戦隊としては必要なのであろう?俺は考えたんだがどうにも、策が見いだせなくてな。魚雷の有意性を俺に示してくれ」

「了解したわ。水雷戦隊を預かる身として、その力示して見せるわ」

「あぁ、だがそこまで難しく考えるな。まかり間違ってもそのことに囚われるなよ」

 

 一応、警告はしておこう。期待をかけすぎると思わぬところで色気を出すものだからな。

 

「ふふ。分かっているわ。あくまで作戦が第一、よね」

「その言葉、信じるぞ。あきつ丸は引き続き同様の訓練を行い、後に矢矧の砲撃訓練に加われ」

「自分も後衛側の訓練をするでありますか?」

「ずっと、当たらない訓練をするのも嫌になるだろう?さて、質問がなければ訓練を開始する。俺は妖精のところへ話があるのと野暮用を済ませてくる。なにかあれば、連絡をくれ」

「あら、防空射撃を手取り足取り教えてくれるんじゃないの?」

「俺はスティンガーくらいでしか航空機は落としたことがないぞ。まぁ対空機銃を使うこともあったがな。お前たちのように普通に手ずから落とした経験はない」

 

 そもそも、歩兵が真正面から航空機と対峙したらミンチになるからな・・・

 

「そう、残念ね。なにか画期的な方法でもあればと思ったのに」

「まぁ、追々見つかればな。じゃ、訓練開始!」

「了解!」

 

 

____工廠____

 

「おはよう、リリー。昨日約束したお菓子持ってきたぞ」

「あら、さっそくもってくるとはカンシンじゃないの!ソンナニワタシニアイタカッタノカシラ」

「こら、挨拶くらいは返さんか」

 

 ピンとデコピンをしてやる。

 

「キャ。な、なにすんのよ!オトメにボウリョクふるうなんて!」

 

 頭を大層痛そうに抱えながら涙目でにらみつけてくる。

 

「いまのはアイサツをしなかったリリーシュニュンがわるいよー」

「そうね、アイサツをしないこはキラワレちゃうわよ」

 

 リリーはビクリと嫌われるという言葉に反応をする。

 

「わ、ワタシがわるかったわ・・・おはよう、テイトク」

「いや、俺もいきなりデコピンとはすまなかったな。赤くなっちゃったか」

 

 痛くないか、といいつつおでこの辺りを撫でてやるとリリーはたちまちトマトのように真っ赤になった。

「ソ、ソウヨ。イタカッタンダカラネ!もっと、ヤサシク、しなさい・・・」

 

段々と借りた猫のようにおとなしくなっていくリリー。されるがままである。

 

「アレをスでやってるのかしら?」「スケコマシだー!」「ウ、ウラヤマシイ」

「さて、今日も頼みがある。人間の扱えるアサルトライフルを一丁、それにペイント弾を作ってほしいんだが」

「なんにつかうのよ、そんなもの?」

「艦載機の落とし方を俺も模索しようと思ってな」

「ふーん、それくらいカンタンよ。オヒルにはできるわ」

「あとは対空電探、水中探信儀、あとはタービンをお願いしたい」

「そっちはちょっとジカンがかかるわ。あ!ねぇ、プラム、たしかデンタンってソウコのオクになかったかしら」

「んーと、あったような、なかったような。サガシテクルー!」

 

 ひゅーん、とプラム色の髪をした妖精が奥へと飛んでいく。名前の付け方は単純である。しかし、妖精たちはとても喜んでいたという。

 

「それじゃ、お昼にまた来るかな」

「わかったわ。タノシミにしてることね!」

「バイバーイ」「マタネー」

 

 

____執務室____

 

「さて、と。佐伯中将へ連絡を取ってちょいと情報収集せんとな。出てくれるかな」

 

 佐伯中将へと直通の回線で連絡を取る傭兵。

 

「はい、こちら佐伯。傭兵提督かね」

「どうも、佐伯中将。ちょっと聞きたいことがあるんだが、時間はよろしいかな」

「あぁ、問題ないよ。それで、質問はなんだね」

「俺のお隣さんについての情報が知りたくてね。長門鎮守府のほうなんだが、そこの提督のなり、艦隊の規模、艦娘の様子とか、ね」

「それを知ってどうするつもりかね?」

「なーに、悪用はしないさ。ちょっとやりたいことがあってね、協力を求められるような奴か知りたいってことさ」

「その、協力を求めたいこと、次第だぞ。その情報が教えられるかどうかは」

 

 っち、流石に簡単にはいかねーか。俺に好き勝手やられると、あんたも尻尾切りされちまうもんな。まぁいいか。隠しておくようなことでもない。

 

「そっちに、いま地図はあるかい?説明するなら地図がねーとな」

「っむ?ちょっと待て。あぁ、あったぞ」

「それじゃあ、っと。まず萩の北西10kmのところにI島があるな。まだ先の話だがいずれはそこの周囲の深海棲艦を掃討して周囲の制海権を奪回する。で、それに先立っていまは近くの島3つ、羽根島、声島、そして雄島周辺の深海棲艦の撃破、およびにその島への軍事施設の敷設を考えている」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 言いつつ、自分も手元に用意していた地図へ印をつけていく。

 

「なるほど、一度にI島まではいかず、中継地点を作ってやりくりする、と?」

「燃料にせよ弾薬にせよ、わざわざ鎮守府まで帰らないと補充できないってのは厄介だしな。で、そこでいずれは長門鎮守府のご面々にも北東側から支援をお願いしたいってわけだ」

「それに協力するメリットは、仙崎湾での安全というわけかね」

「ビンゴ、話が早くて助かる。長門鎮守府にしても青海島-I島間まで警戒の目は回せても、それより先のI島-O島間までは目が回らんだろ?ここで、二つの鎮守府が協力して、青海島-I島-O島警戒網が完成すりゃあ、そこそこの漁業スペースが確保できるってわけさ」

 

 キュッキュッとそれぞれの島を結び、その中で囲まれた海域に漁業権!と赤文字で書く。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「そして地元住民は漁業を復活、評価も得られる、と」

「そういうこと。あきつ丸が言ってたが、どうにもここいらの住民からの評判は悪いらしいじゃねーか?過去になにがあったかは分からなかったが、こんな沿岸の町、漁業ができなけりゃほとんど経済基盤も成り立たん。深海棲艦のせいで漁業もできない、海軍はいつまでたっても制海権を取れもしない、そんなんじゃあ地元住民の評判が悪いのも仕方ねぇわな」

「全く、その通りだよ。2鎮守府合同での警戒網か。いやはや、君がそこまで考えてくれているとはね。君を選んだ私の目に狂いはなかったようだ」

 

 事実、どこの国においても言えることだが、特に日本の漁獲量は著しい減少を見せている。全面が海に囲まれている国故、当然のことではある。そして、それを生業にしていた人々が貧窮にあえいでいることは言うを待たない。

 

「おいおい、まだ絵に描いた餅だぜ?評価するには早いんじゃねーか」

「だとしても、だ。今までそんな風に地元へと目を向けようとした提督なぞいやしない。みな、目の前の敵のことばかりじゃ。これも、君が過去に学んだことからきているのかね」

 

 さらには、漁業が復活できた場所でも、漁獲量の何割かを国のために収めろ、と海軍の横暴がまかり通っているところさえある。漁業ができるのは海軍のお陰だ、と。警察は国のヤクザとはよくいったものだが、いまや海軍が国のヤクザだ。

 

「地元民と仲良くして損することはねーからな。気を付けるべき地形、敵、険しい山道の抜け方、秘密の通路、上げ始めたら枚挙にいとまがないほどに貴重な情報が埋もれている。それに、民が疲弊してしまえば戦争の勝ち負けなんぞもはや意味なんかねぇよ」

 

 これはブレッタの戦後を見ればよく分かる。解放戦線との戦争は終わったが、もはや民に活力はなく、また内乱を繰り返していた。政府軍と解放戦線のどちらが勝とうと、結局は同じ末路を辿っただろう。

 

「なるほどな。我々にとっては守るべき国民としか映っていなかったな。だが、そうだな。生活を、経済を守ってこそ初めて守ったといえるかもしれんな」

「で、どうだい?これで教えてくれないってことはないと思いたいがね」

「もちろん、問題ない。さて長門鎮守府自体は特に目立った戦果はない、日々の業務は淡々とこなしている感じかの。提督は鳴海中佐、会議で何度か顔を合わせているがあまり印象はないな。落ち着いた感じの年はさよう、30ちょっとくらいだったかな」

「なんだか、具体的なイメージが全くわかねぇな」

 

 ぼや~っとしたイメージが傭兵の頭に浮かぶ。

 

「ぬ、むう。役に立たないといいたいのかね」

「いや、まぁ協力を求めることはできそうかな?ってくらいだな」

「あー、あとは艦娘に対する待遇はよかったはずじゃ。そこらへんはあきつ丸に聞いてみるといい。あいつには中国地方の鎮守府の艦娘の待遇調査などさせておったからな」

 

 わざわざ秘書官にそんなことをさせているところを見るに、昨日の穏健派という読みは当たりだな。で、件の鳴海何某は穏健派寄りではあるものの、それに属するほどでもないってわけか。これを機に長門鎮守府ごと取り込めれば上々といえるかもしれんな。

 

「っふ、はは」

 

 ここまで考えてきて、唐突に笑えてくる。自分の推測だけというのもあるが、なぜ必死に自分がこのようなことまで考えて動こうとしているのやら・・・

 

「何かおかしいことでもあったかね?」

「これが笑わないでいられるか。そうだ、今度サシで飲みにでもいこーぜ。酒を囲みながらじゃないと話しにくいこともあるだろ?あ、酌はあきつ丸にでもやらせるか」

「っふふ、そうだな。おいしい酒と料理ならいくらでも当てがあるわい。楽しみにしておれ。・・・さて、その3つの島への敷設の件はわしに申請書を出せば通るように計らおう。建材の支援もばれない程度に出来るだけのことはしよう」

「そうしてくれると助かるよ。まぁ今はとにもかくにも戦力の増強だ。今のままでは警戒に回す手なんぞないからな」

「艦娘の増員に関しては中々難しいところがあるのぅ。とはいえ、新たな艦娘の発見もあって余剰人員が時折出ることは確かじゃ。そのときにはお主のところへ回るように掛け合ってみるわい」

「頼むぜ。それとあきつ丸は元気にしてるから、安心してくれ。じゃあな」

「む、うむ。あきつ丸のこと頼むぞ。ではの」

 

 がちゃりと通話機を置き、肩を回す。外からは砲撃音が聞こえてくる。みなまじめに訓練をしているようだ。書類整理をして、演習場に顔を出してみんなで食堂へ向かうとしよう。

 




さて、大体の人はもう想像がつくんじゃないでしょうか。
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