艦これ 傭兵鎮守府物語   作:URIERU

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この話に龍驤が出ると思ったか、残念だったな。
彼女の出番はまだだ。

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第二十四話「準備された学習」

「艤装が届いたのです」

 

 電が執務室にきて、傭兵へと告げる。申請書を送ってから2日、早くも艤装が送られてきたようである。

 

「予備の艤装があったようなのです。早速工廠へと届けますか?」

「そうしよう。建造には、もしかして2時間50分かかるのか?」

 

 リリーが動かしていた機械のパネルが表示していた数字。印象的だったので覚えている、の時間を口にする。

 

「そうなのです。妖精さんは表示時間と波形から艦娘を特定するのです。そして艤装と魂をあの機械にセットして、妖精さんたちが自分達を建造するのです」

 

 自分達を、ときた。事実ではあるのだが奇妙な感じを持たざるを得ない。たしかにあの機械の横には人が一人すっぽりと入れるような円筒状の容器があり、それには扉がついていた。つまりはそういうことなのだろう。それにしても妖精のテクノロジーはどうなっているのやら。

 

「前言った軍事施設敷設の申請書がまだ途中だし、それでは工廠まで艤装を届けてもらっていいか、電」

 

 俺が行くと、今回は間宮のお菓子を持参しないと受け付けてもらえん可能性があるからな、とは口には出さない。

 

「分かったのです。でも、建造が済んだ時には顔を出してあげてくださいね?」

「そりゃあ、な。新人がお目見えだってのに顔も見せないんじゃ失礼ってもんだ」

 

 実際、一番気になるのは建造されてすぐの艦娘の状態である。よもや赤ん坊のような何も知らぬ、状態で生まれてくることはあるまい。いくらか現代や戦闘(自身の兵装の使い方など)の知識を備えているはず。そして、最も重要な人格の部分。

 

 電やあきつ丸が、生まれたときからあの性格だったとは考えにくい。逆に矢矧の真面目な性格や如月の色仕掛けをしてくる性格はどうにも、ユニークなものではない、と感じている。あきつ丸は矢矧と同じような真面目さ、電は臆病な性格が恐らくベースにあり、そこへあきつ丸のいたずらな部分や電の持つ芯の強さが後天的に備わったとみている。

 

「龍驤という子がどういった性格を持って生まれ、そしてそれがどのように育つのか・・・」

「どうしたのです?」

「いや、何でもない。頼んだぞ」

「そうですか?では、行ってくるのです」

 

 ピシリと敬礼をしてから出ていく電。入れ替わりにあきつ丸が戻ってくる。その手にはお盆を持っており、入れたばかりのお茶の急須とコップが載せられていた。

 

「おや、電殿。どうされたのですか?」

「本部から艤装が届いたのです、それを工廠へ届けてくるように司令官さんにお願いされたのです」

「もう届いたでありますね。急いだ甲斐がありました」

「はい、午後には新しいお仲間なのです!」

「楽しみでありますな。では、お願いするであります!」

 

 元気そうに電は工廠へと歩いていった。

 

「あの様子なら、前の鎮守府に龍驤さんはいなかった、でありますかね・・・」

 その背中を見つめながら一人つぶやくあきつ丸であった。

 

 あきつ丸がなぜそのようなことを気にしたのか。自分自身に置き換えて考えてみてほしい。前の職場にいた人間と瓜二つの人間が新しい職場にいたらどうだろうか。そして根本の性格まで一緒なのだ。それが自分と関係ない人ならまだしも(それでも相当に気味が悪いが)仲が良かったりしたら・・・。普通の精神では、耐えられない、もののはずである。

 

「しかし、軍事施設の拡充でありますか。I島の占拠にそこまで必要でありますか」

「ん?何分戦力に乏しいからな。数が足りない。あとは奪還した後が問題さ」

「奪還した後、でありますか?」

「本島から10km、決して遠い距離ってわけじゃない。だが、向かうのには急いでも小一時間はかかる。防衛線力は置くことになるからそのくらいの時間は持つ。しかし、本格的な防衛をするには中間施設による手早い補充は必要だ。あとはそこから出撃したり、建材や物資を一時的に保管したり、とかな」

「そこまでしてI島を守るのは、漁業が維持できるように、でありますか?」

 

 おいおい、お前はまだそこまでの情報は知らんし、ブリーフィングでも言ってないぞ。全く、スパイなんて器用なことができるとは思っていないが、簡単にボロを出すんじゃない。

 

「あぁ、そうだな。I島には長門鎮守府と合同で1艦隊と予備兵員は詰めて、ラインの防衛をさせる。そしてそもそも、前哨基地がないってのはどうにも落ち着かん。いきなり本土防衛から戦争をはじめはしない」

 

 少し的外れなトンチンカンな返答だが、話を漁業からずらそう。

 

「1艦隊、ということは我が方からも3人、その人員を裂くとしたら今の大半がいなくなってしまうであります」

「実際、俺たちの現状を考えたら3か月以上は目安に考えて進めるべきことだ。それまでにはもういくらか頭数は増えてくれるだろう」

 

 実際詰める兵員は2艦隊分は欲しいが、そこまで人員に余裕ができているかは、神のみぞ知る、ことだ。1艦隊の半分くらいなら出せる人員は来てくれる、はずだ。

 

「ん、たしかにパッと済む話ではないでありますな」

「そうさ、長門鎮守府にも本部にも顔を出し、輸送作戦、施設敷設、合同作戦の計画、それから奪還後にライン防衛の演習をそれなりに積んて、地元住民とも色々となしをつけないといけない」

 

 やることは、猫の手も借りたいほど、盛り沢山なのである。

 

「でも、いいでありますな。計画を持って動くというのは、先の見えない戦いではありますが、なんとなく希望を持てるであります」

「地道こそが近道さ。どこかを奪還したとして、それをどう維持し活用していくか。なぁなぁのままで進んでたら、ずっと取って取られてを繰り返すことになる」

「少しずつでも領土を広げていくしかないでありますな。よーし、頑張るでありますよ!」

 

 一層気合いを入れて書類仕事に取り組むあきつ丸であった。

 

「さーて、お昼だな。食べ終わったら建造が終わる頃合いか」

 

 たしか電が執務室にきたのは10時頃、3時間なら昼を終えたらちょうどだ。

 

「そうでありますな。では、食堂に参るとしましょう」

 

 さっさと仕事を切り上げ、食堂へと向かった。

 

「軽空母が増えれば、防空演習も充実するわね」

「やっぱり、艦娘から発艦した艦載機とは質が違うものね」

 

 昼食をみなでとりながら話し合う。会話はやはり、次に来る艦娘に関する話題で持ちきりだ。

 

「そこまで違うものか」

「妖精さんと艦娘の力は相互作用するところがあるのです。どちらが欠けても全力は発揮できないのです」

「そういうものか。さて、龍驤って子もなじめるといいがな。みんなよろしく頼むぞ」

「お姉さんが増えるのです。嬉しいのです」

「提督のナンパな性格を許してくれる子だといいわね」

「新しい子が増えても、如月のこと、忘れないでね♪」

「提督殿の毒牙にかからないように注意するであります」

 

 電は、可愛らしいもんだ。矢矧は、うん、たしかにそれは心配してることではある。如月は、それっぽい。あきつ丸は、俺がいつお前たちを毒牙にかけたというんだ。それぞれのコメントは黙殺しておくとしよう。

 

「それじゃ工廠へ行くとするか」

 




本来なら龍驤の登場回だったんです。
でも龍驤のセリフとか書くのが全然進まなくて、前の部分に肉付けしてたらいつのまにか一話分の構成になってしまったんだ。

次回「艦娘-龍驤-!」お楽しみに。

3章、完です。4章開始はもう少し後、になる予定。
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