艦これ 傭兵鎮守府物語   作:URIERU

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今回はすこーしだけシリアス要素。

それにしてもポケモンGO効果すごい。まるで人のいなかった商店街の通りに家族連れがいる(買い物するとは言ってない、なおシャッター通りの模様)


第五話「提督と艦娘」

 鎮守府に到着したのは1230、お腹の空いてくる時間である。

 二人は施設内部の見回りを後回しにし、食堂へと向かう。

「まずは腹ごしらえをするであります。自分は惣菜を温めてくるであります。ささっと準備してくるので、待っていて欲しいであります」

 

 惣菜とごはんのパックを持って、厨房の奥へと消えていくあきつ丸。

 

「ただ、待ってるってのもな。さて、おれは何を準備しようかね」

 

 周囲を見渡すとティ○ールが置かれていた。お湯を沸かして、みそ汁とお茶の準備をする。。

 食器棚から二人分の食器を取り出し、インスタントみそ汁をお椀に開けて待つ。

 チーンと電子音が厨房の奥から聞こえてきた。どうやら電子レンジはあったようだ。

 あちち、あち、と手をパタパタさせながら容器を運んでくる姿が見える。

 ピーっピーっと次はティ○ールから電子音が鳴り響いた。

 傭兵はあきつ丸から目を離し、お椀にさっとお湯を注いでみそ汁をかき混ぜる。

 そこへ、あきつ丸から声がか かる。

 

「わわっ、全部用意してくれたでありますか。申し訳ありません」

「そりゃ、自分が食べるもんだからな。用意くらいするさ」

「それは、確かにそうでありますが、提督殿は鎮守府のトップであります。どっしりと構えてごはんの用意くらいさせてもいいでありますよ?」

「午後には一緒にカレーを作る約束だろ?このくらいの準備がどうしたってんだ」

「さすがに提督殿にご飯の準備などさせないでありますよ。そういった仕事は艦娘がするであります」

「おいおい、さっきまでの俺への態度はどうした?いきなりしおらしくなりやがって」

「いえ、先ほどまでの態度は正直言って、無礼極まるとこがあったであります。お気に障ったことがあったら、謝罪するであります。」

 

本格的に、どうしたというのだろうか。何か企んでいるのであろうか。

 

「おい、本物のあきつ丸をどこへやった。このあきつ丸の偽物め。こんな殊勝な奴はあきつ丸じゃない」

 

そういいながら、ほっぺたをつまみ引っ張りこねる。

 

「ひ、ひふぉい言われようふぇあります。や、やめるふぇあります」

「本物を出すまでやめはしないぞ。厨房の奥で本物のあきつ丸が寝ているはずだ」

 

それにしても、柔らかいほっぺだ。だんだんその感触を楽しみ始めた傭兵であった。

 

「っっ。いい加減にするであります。顔がにやけてるでありますよ!」

 

 そう言い放ち、傭兵の腹へパンチを入れるあきつ丸。

 体がクの字に曲がり軽く浮く威力であった。

 な、なんて威力だ。忘れていた、セクハラは命に関わるということを。

 しかし、提督殿は鎮守府のトップといいつつも、ためらいのない腹パンをしたり、行動がちぐはぐだ。

 脂汗をかきながら考える。かまをかけてみよう、真意を探れるかもしれない。

 

「ぐっ。き、貴様上官に暴力をふるったな。どういうことか分かっているのか・・・?」

「せ、せっかく部下らしく振舞っていたのに茶化してセクハラし始める提督殿が悪いのでありますよ」

 

 そういいながら、何やら身構えるあきつ丸。傭兵はあえて黙りこみ、あきつ丸へとにらみを利かせる。

 はじめのほうこそ、強気に見返していたあきつ丸であったが、段々と弱気になり始める。

 

「あっ、あの。ほ、本当に怒っているでありますか」

 

 沈黙に耐え切れなくなり、弱々しく切り出すあきつ丸。

 傭兵は抱えていた腹をさすりながら姿勢を直し、じりじりと近づきながらあきつ丸を見下ろす。

 ここにきて、びくびくと怯えだすあきつ丸。

 どうやらこれ以上の反応は得られそうにない。もう少しいじめてみようかと思ったが、これ以上は取り返しがつかないことになりそうだ。

 

「こんなことで怒りはしないさ。ほんと、一体どうしたんだよ。できれば、鎮守府にたどり着く前の、お前とやっていきたいと思っているんだが」

 

 破顔して、そのほうが俺は楽しかったと付け加える。

 そう言われて怯えていた顔から、ハッと気づいたような表情になる。

 

「も、申し訳ありません。試すようなことをしたであります。提督殿がどのように出られるか中々分からなかったでありますから」

 

 なるほど、鎮守府までの態度は素の俺を試しながら人と成りを確かめようとしていたわけか。

 ここにたどり着くまでは、お互いある種対等とは言わないが、上下もない関係性であった。

 それゆえ、俺もかなりフランクに接していた部分はある。

 しかし、ここに来てからは明確に上官とその部下という形になったのだ。

 そう考えると、緩い関係性を保ち続けることは難しい。

 ここを機に関係性を改めようとしていたのか。

 

「確かに、俺は上官でお前は部下だ。だが、できれば俺はそれなりに対等の関係でありたいと思う。当然、線引きはいる。そうしなければ、部隊として機能しなくなるからな」

「そうであります。あの関係性は、確かに気楽で楽しかったであります。でも、提督と艦娘の距離感として考えると、近すぎるのではないかと思ったであります。自分たちは戦場に身を置く艦娘、そして提督殿は自分たちを指揮するのでありますから」

 

 仲良しこよしでは戦争をできない。上官と部下の線引きをはっきりとする必要がある。

 しかし、俺は艦娘たちの上官になるが、同じように戦場には出られないのである。

 今までの部隊では、隊長として部下と同じように戦場に身を置き共に戦ってきた。

 少年兵たちが、人種の違いさえ乗り越え自らを信じてついてきてくれたのは、立場は違えど戦場の不条理に互いに身を投じてきたからだと信じている。

 だがここでは、上官が部下を戦場に送るだけだ。

 こういった形の軍隊はいくらでもあるしそれを否定はできないが、自分の身には合わないと考えていた。

 

 傭兵は実のところ、艦娘たちとどういった関係性を築くかを迷っていたのだ。

 自分にはできないことをやってくれる艦娘たちに対して、厳格な規律や支配を求める気は起きなかったのだ。

 少年兵部隊を率いていた時は、男同士の友人のような雰囲気がありつつも上を重んじる、父権社会的な構造を築いていた。

 しかし、今回は相手が女性だ。

 だが、あきつ丸との一件を通して、方向性は定まったように思う。

 

「前までのようなあり方ではだめか。お前は少なくとも俺に敬意を払っていた。気軽に接しながらも、な。」

「あんな、あんな緩い感じでやっていってもいいでありましょうか」

「いいさ、ここにはまだ何の規律もない。俺たちが作っていけばいいのさ。新しく入ってきた奴とも話し合って、みんながやりやすいようにしていけばいい。問題にはその都度対処しよう。俺は俺なりのやり方でみんなの信頼を得るとしよう。」

 

 あきつ丸は思った。初の提督が傭兵殿でよかった。この人とならうまくやっていける。

 

「改めて、よろしくお願いするであります」

「あぁ、よろしく頼むよ。あきつ丸」

 

 握手をし、関係性をつなぎなおす二人であった。

 その横にはすでに冷えてしまった昼食が並んでいるのであった。

 




あきつ丸がただの情緒不安定な娘にならないようにするのが大変でした。
いくらか加筆しましたが、それ以前はだいぶアレな子に仕上がってました。
今は大丈夫・・・大丈夫だよね?

提督と艦娘との距離感というのは難しいものだと思いました。

戦争を主題におくならば、あくまで上官と部下であるのに、距離が近すぎるというのは問題かな、と。仲良くはするにしても、相手を戦場に送る立場でそこまで親しくはなれないのではないか、と思います。

キャラ物を主題にするなら、とにかくデレさせまくり、修羅場りまくりのほうが楽しいです。

どちらも描きたい、そんな場合の線引きは難しいなぁ
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