緋弾のアリア 漆黒の弾丸   作:月光

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第七弾

「うっ!くっぁ!」

 

目が覚めると、身体に激痛が走った。周りを見ると、病室だった。たしか、クローバーのジャックに負けて、それから……

 

「レキ?」

 

俺の脚を枕にして、レキが寝ていた、通りで、左足が痺れているわけだ。

 

「やっと起きたね。三日も寝たきりだから流石に焦ったよ」

 

病室に入ってきたのは、バ課長だった。三日も寝てたのかよ。

 

「君が倒れてからのことを手短に話すよ」

 

課長から聞かされたのは、俺が殺される寸前に課長に助けられた事。

ファントムは、課長たちが追っている組織で、全貌は解明できていない。しかも下手すると、イ・ウーよりも性質が悪いらしい。

そして最後に、ここまで運んできたのは、課長とレキらしい。しかも、レキが看病してくれたらしい。

 

「それにしても。君はその子と付き合っているのかい?」

 

トン!

 

「何か言ったか?」

 

「いやー。何にもないよ?」

 

まったく。何を言い出すかと思えば。ちなみにさっきのは、ナイフを投げただけだ。少し掠っているが。

 

「とりあえず、僕は帰るよ」

 

と言って、出て行った。恐らく、ファントムを追うんだろう。

軽く、レキの頭を撫でる。そして、レキを起こさないように、ベットから出て、外の空気を吸いに行く。さすがに、何時間も病室では息が詰まる。

少し、ふらっとしながらも、屋上に向かった。

 

 

 

 

 

 

屋上に上がると、少し強い風が吹き、そこには誰も居なく、静かだった。

目を閉じて、三日前のことを思い出す。惨敗だ。たとえ、あの狙撃がなかったとしても、結果は変わらなかっただろう。ジャックの能力は、物質の硬度の変化だと課長は推理している。

その根拠は、偶然にも発見した、銀弾の弾丸の部分が見つかった。形状では貫通弾(ピアース)ではなく、通常の狙撃銃の銀弾だったらしい。あと、紅桜があのナイフを斬ることが出来ず、逆に折られたことも考えると、ありえなくない。

それよりも――

 

「刀、どうすっかなぁ」

 

折れてしまった刀だ。俺は、狙撃と近距離が得意だ。そこは両親の得意距離を受け継いでいる。ナイフだけでもいいんだが、それだとしっくりこないんだよなぁ。このまま直しても、再びジャックと戦えば、折れるだろうし。

 

キイィィィ。と、重くある意味恐怖を感じる音を立てて、扉が開く。それプラスで、何らかの威圧感を感じる。

振り返れば、レキが居た。しかもドラグノフを構えて。

 

「レキ?」

 

「………………」

 

いつも通りの無表情ではあるが、底知れぬ怒りのような物を感じる。

 

「………………」

 

「………………」

 

「………………」

 

「………………」

 

なんなんだよこの沈黙はよお!

 

ゴン!

 

「つぅ!」

 

「………………」

 

無言からの、ドラグノフの打撃。ガチでイテェ。

 

「目が覚めたんですね」

 

「あ、あぁ。ちょっと前にな」

 

ゴン!

 

「イタッ!」

 

「………………」

 

二度も殴られた。親父にも――(以下省略)

 

「何をしているんですか」

 

「外の空気を吸いに」

 

ゴン!

 

「いつっ!」

 

「………………」

 

三度も殴られた。頭蓋骨強度半減!ドラグノフの打撃はコンマ二つまで狂いありません!もう一度攻撃されたら、頭蓋骨が持ちません!

 

「なんで起こさなかったんですか」

 

「いや、気持ちよさそうに寝てたから」

 

「………………」

 

「ちょっと、まてぇ!」

 

おいおい、今度は銃剣付だぞ!これはガチで死ぬぞ!?

 

「とりあえず、それを下ろしてくれ」

 

「………………」

 

「わかった。俺が悪かった!」

 

「………………」

 

「心配かけて悪かった!」

 

「………………(カチャ」

 

た、助かった。これで頭蓋骨ブレイクは避けられた気がする。

 

「もう、心配かけないでください」

 

「分かった」

 

だが、恐らくファントムとまた戦う事になる。その時、俺はレキや皆を守ることができるだろうか。答えは否だ。あれほどの実力で、不可視の弾丸をたった一回見ただけでコピーした。それに超能力が物質硬度の操作であったら、万全の状態でも倒す事が難しい。いや、不可能に近いだろうな。

 

「強くなればいいじゃないですか」

 

「え?」

 

「相手が強ければ、それ以上に強くなればいいだけじゃないですか?」

 

「……そうだな」

 

まさか、レキに言われるとわな。そうだ、あいつが強ければそれ以上に強くなればいい。言うのは簡単だか難しい。だが単純明快だ。

 

「んじゃ、さっさと退院して、勘を取り戻さないとな」

 

「はい」

 

医者の見立てでは、明日には退院できるだろうと言われている。明日から。徐々に勘を取り戻そう。

 

 

 

 

 

 

 

翌日。晴れて退院でき、寮に戻ったのはいいが―――

 

「なっ、なんじゃこりゃあああぁぁぁ!!!」

 

部屋に入れば、家具やその他諸々が散らかっている。しかも、部屋のいたるところには、刃物による傷や、弾丸が撃ちぬいた跡がある。そして、壁には、でっかい穴があって、向こうだけ適当に修理したようだ。そして、その部屋に住んでいる奴を俺は知っている。

 

「キンジィィ」

 

やり場のない怒りを、今は学校に居る親友に向けるのであった。こうなったら、予定変更だ。武偵高に行く。今日は、帰って部屋に居るつもりであったが。今から行けば、五時間目には間に合う。

俺は、新調した制服に袖を通して、銃などの点検をして、武偵高に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

「……………」

 

武偵高の屋上で、PSG-1を構えて、キンジに狙いを定める。それから、キンジの電話にかける。

 

『……もしもし?』

 

「よお、キンジ。元気そうだな」

 

『お前、もういいのか?』

 

他人を気にしているばあいか?

 

「ああ、ついさっき退院してな。いくつか質問いいか?」

 

『ああ』

 

「なんで、俺の部屋が滅茶苦茶になってんだ?」

 

『そっ、それは――』

 

俺が倒れた翌日に、キンジの部屋に白雪が侵入。運が悪い事に神崎が居て、白雪が黒雪(キンジ命名)モードになって、両者が戦闘を開始。激化していき、俺の部屋にも被害が及び、ああなったらしい。

 

「キンジ」

 

『なんだ?』

 

「………死ね」

 

『はぁ!?」

 

パァン!パァン!パァン!

 

キンジに三発撃ったが、運がいい事に掠っただけだった。

 

「次は直接ボコるか」

 

PSG-1を片付けて、直接ボコりに行く。SOCOMに弾が装填されているかを確認してから、移動を始めた。

 

 

 

 

 

キンジが居ると思う棟に来ては見た者の、なかなか見つからない。

 

「出て来いよキンジ。今なら、殺しはしねえからよぉ」

 

そう、殺しはしない。ただ、生きていることを後悔させるぐらいだ。

 

ガタッ

 

「………………」

 

音がした。しかも、目の前の教室で。

教室の扉を開き、入る。さぁて、始めようか。

 

 

「よお、キンジ。探したぜ」

 

「おっ、おう」

 

なにやら、脅えているようで。おかしいな。そんなに怖い顔してないんだけどなぁ。

 

「さぁて、キンジ。生きていることを後悔してもらおうか」

 

「まっ、待て。話せばわか――」

 

「問答無用だぁ、ボケがぁ」

 

「ギヤアアアアァァァァッ!!!」

 

キンジの悲鳴が木霊したが、その後キンジの姿を目撃したのは、翌日の朝の教室だった。

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