城下町の緋色   作:朔月ふらの

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初めましての方は初めまして。そうでない方はおはこんにちばんわ。
こちらの方は超亀配信になると思われますので、気長に見て頂ければ幸いです。

それではどうぞ。


1話

 

「ひぃちゃん起きて!遅刻しちゃうよ!?」

 

「…むぁ?──スヤァ…」

 

「駄目だってば!寝ないで!起きて!」

 

皆様おはようございます、櫻田 緋です。

横で喚くのは双子の姉の茜ちゃんです。

 

「お願い起きてー!ひぃちゃん起きてくれないと怒られるの私なんだよ〜」

 

茜ちゃんが怒られるのは良いけど、そろそろ可哀想だし起きよう。

 

「わかった起きる。着替えるから先に行ってて」

 

「本当に?絶対だよ?ちゃんと着替えて降りて来てよ?」

 

「わかったから。茜ちゃんは心配性だね」

 

そう言って服を脱ぎだすと茜ちゃんは顔を真っ赤にして勢いよく部屋を飛び出して行った。因みにこの手で二度寝したのは…そう言えば3桁越えた辺りから数えてない。

 

制服に着替えてリビングに降りるとみんな待ってたみたいだった。何だか悪いなぁ。

 

「みんなおはよう。待たせてごめんね?」

 

そう言うと皆口々に挨拶をする。

僕が席に着いたら母様が朝食の献立を発表して、皆でいただきますをして食べ始める。うん、母様のご飯は今日も美味しい。

 

「うぇえ、やっぱりグリーンピース入ってる!」

 

「好き嫌いしてたら身長伸びないわよ」

 

「母上、僕は好き嫌い無いから大きくなれますよね?」

 

「えぇそうね。栞、よく噛んでね?」

 

「うん」

 

「そう言えばトイレットペーパーのストック、もう無いけど」

 

「今週の買物当番誰だったっけ?」

 

「修ちゃんじゃない?」

 

「あぁ俺か。アム…帰りにでも買って帰るよ」

 

「修君よろしくね」

 

「親孝行な子達で助かるわ〜♪」

 

毎度そんな感じな食卓の風景。

ここまでだと只の大家族だけども、うちには普通の家庭と違って特別な所がある。

 

それは──

 

「もうお父さん、早くご飯食べて下さい!また迎えを待たせてしまうでしょっ!」

 

母様がぷんすかしながら父様の新聞を取り上げた、まではまぁよくある風景なんだけど…

 

「父様、何で王冠してるの?」

 

「いやぁ、間違えて持って帰って来ちゃって…折角なんで」

 

「パパ凄い!王様みたい!」

 

「いや光ちゃん、ちゃんと本物だよ?」

 

そう、櫻田家は王族の家庭なのです。

 

 

〜〜〜

 

 

「…相変わらずだね、あんたの人見知りとカメラ嫌い。如何にかなんないの?」

 

「奏、その辺にして、ね?」

 

アオ姉様がカナ姉様を諌めてるこの状況も最早この家族中の風物詩である。

所変わって現在登校中、人に挨拶されれば先ず隠れてボソッと挨拶を返し、カメラを発見すれば手近な所に隠れる茜ちゃんに呆れる兄様と姉様’s。

因みに僕はもう慣れたと言うか諦めたと言うか、まぁそんな感じ。

 

「週末にカメラの配置変わったんだよね…折角全部覚えたのに」

 

「全部覚えたの?凄いね…」

 

「仕方無い。これは俺達を守る為だってのはお前もわかってるだろ?」

 

「わかってるけどー!町内だけで200以上って多すぎない!?」

 

その記憶力を活かせばアオ姉様の学力に匹敵するんじゃなかろうか。

 

「私だったらソレ、国民へのアピールに使うのに」

 

「アピール?」

 

「だって私達みんな、次の国王選挙の候補者なんだからっ」

 

「もー!何で選挙で決めるのよー!」

 

茜ちゃん、号泣する程嫌かい?なる気がない僕が言えた事じゃないんだけど。

 

「仕方無いでしょ。国王であるお父さんが決めた事なんだから」

 

「まさか本当にやるなんて…ひぃちゃん何とかならない?」

 

「あんたねぇ、その都合の良い時だけ緋に頼るのやめなさい」

 

いいんだよカナ姉様。好きに使われるのは嫌いじゃないから。

 

「今新しいカメラを開発してるから、来週まで待ってて」

 

「緋も甘いわねぇ…どんなカメラなの?」

 

「肉眼じゃ見えない程小型化した魚眼カメラだよ。これなら茜ちゃんがカメラで立ち止まる事も無いかなって」

 

時間が掛かるのは、システム補正とかも一新して開発してるのと意外と小型化は難しかったって所である。

 

「…そもそもカメラを無くすって案は?」

 

「それは父様から却下されたから無理だね。修兄様も言ってたでしょ?」

 

そう言うと茜ちゃんは絶望した顔で項垂れ出した。そもそも配置を変えたのは茜ちゃんがカメラ避けし過ぎて監視班が困ったからなんだよね…お仕事にならないから父様に怒られちゃうし。

 

「取り敢えずカナ姉様と修兄様、時間マズいよ?」

 

「そうだった!今日生徒会があるのよ、ありがとう緋!」

 

「そんじゃ俺もお先。サンキュー緋」

 

そう言ってカナ姉様はダッシュ、修兄様は能力でその場から消えた。

 

「アオ姉様はどうする?用事あるなら先に行ってもいいよ」

 

「私は特に用事は無いけど…茜、先に行ってカメラ引き付けようか?カメラの動きのろまだし」

 

「お姉ちゃん…お願いします!」

 

流れる様な動作で綺麗な土下座をかました姉よ、見事だが残念なお知らせがあるのです。

 

「性能上がってるから引き付け不可だよ。一応防犯対策だし」

 

「ひぃ君詳しいね。もしかしてこの間夜居なかったのって…」

 

「バージョンアップしたのは僕。新しいのが出来るまで取り敢えずって感じだけど」

 

その時の茜ちゃんの絶望に満ちた顔は思わず写メった程にいい顔してた。

 

「じゃあどうしよっか…ひぃ君の今の手持ちは?」

 

「ん〜、今日は寝坊しちゃったから持って来てないや…」

 

「うぅう、もうこうなったら…」

 

「いいの茜?ズルしてるみたいだからなるべく使いたく無いって…」

 

「だって、お姉ちゃんやひぃちゃんまで遅刻させる訳にはいかないもん」

 

そう言うと茜ちゃんが力を込めると、赤いオーラみたいなのに包まれた。

 

「2人とも、手貸して」

 

「よろしくね」

 

僕達王族にはそれぞれ特殊能力が備わっていて、それが王族の証にもなっている。茜ちゃんは自分と自分に触れたものの重力を操る事が出来る能力である。

 

「茜…もうちょっとゆっくり飛べない?」

 

「え、なんで?」

 

「だって…見えてるけど…パンツ…」

 

「えぇっ!?」

 

あぁ駄目だってアオ姉様…そんな事言ったら──

 

「「きゃぁぁあああああ──」」

 

ほらこうなる。

茜ちゃんは気が動転してて使い物にならないから…仕方無い。

 

「「──あぁぁああああ…え?」」

 

端から見ると校門前でアオ姉様と茜ちゃんが手を繋いで叫んでる図が出来上がる。

それはとても面白くていいんだけど…

 

「ここは…学校?」

 

「私達さっきまで落ちてたのに…ひぃ君大丈夫!?」

 

そう言ってアオ姉様が心配そうに様子を伺う。

それを聞いた茜ちゃんも少し泣きそうな顔で僕を見る。

 

「大丈夫だよ2人とも。少し立ち眩みしただけ」

 

「本当?ひぃ君そう言う事全く言わないから…」

 

「そんな事無いよ?まぁ強いて言うなら少し寝たいから早く行こ」

 

そう言って2人の手を引いて歩く。特殊能力の使い所は要注意です。

 

〜〜〜

 

「お疲れ、茜様」

 

「毎日大変ね、茜様」

 

「ワザと様付けるのやめてよぉ…」

 

茜ちゃんはそう言うと机に突っ伏した。彼女達は茜ちゃんのかなり仲の良い友達だから特に警戒する事もないかな、まぁ学校だからそもそもなんだけど。

 

「緋もお疲れ…って言うか顔色悪くない?」

 

「うん、心なしか目の焦点も合ってない気がするんだけど…」

 

そういうとこ鋭いんだよなぁ2人とも…うちのみんなもそう言うのあるし。

 

そうそう、彼女達は鮎瀬 花蓮ちゃんと白銀杏ちゃんと言います。

茜ちゃん経由で知り合って以来仲良くして貰ってます。

 

「やっぱり能力使ったから?ごめんね…」

 

「関係ないよ。2人もそんな事無いから変な事言わないように」

 

そう言って少し離れた自分の席に着く。HR始まりそうだし少し寝てよう。

 

 

 

「ねぇ茜、緋は本当に大丈夫なの?」

 

ひぃちゃんが自分の席に向かった所で花蓮がコッソリと聞いてきた。

 

「ひぃちゃんってそう言う事言ってくれないからなぁ…私だってお姉ちゃんなんだから少し位頼ってくれてもいいのに…」

 

「心配させたく無いって事はわかるんだけどね〜」

 

チラリとひぃちゃんを見ると、突っ伏してるからよくわかんないけど結構辛そうだなぁ…言ってくれれば何か…できる事あるかな!?いやいやそんな事は…

 

「まだ誰にもそう言う事言わないの?奏さんとか」

 

「カナちゃん達に言ったら自然と家族全体に広まっちゃうからね…会社作った時は家族会議みたいな事までやったんだよ?」

 

あの時は暫く口聞いてもらえなかったもんなぁ…あぁ、思い出しただけで涙出そう…

 

「裏社会の大きい組織に殴り込んで支社にしたやつだっけ?今じゃ世界に轟く人材派遣会社でそこの総帥だもんねぇ」

 

「今でこそ世界に誇る何でも屋だけど、危ない事した後の事後承諾みたいな感じって聞いたしそれは仕方無いんじゃないかな」

 

あの時は特にカナちゃんが怒ってたなぁ。今でも仕事に関してはいい顔してないけど…

因みに2人はひぃちゃんの能力について一般の人より知っている。

何故なら小さい頃の私がその頃1番仲が良かった2人に自慢したからだ。家族内でも知ってるのは葵お姉ちゃんとカナちゃん修ちゃんと私までで、そこから下の弟妹は一般公開されている能力しか知らない。

 

そんな情報を若気の至りとは言え家庭外で話してしまったので凄く怒られた。怒ったのはやっぱりカナちゃんだけど。

更に言うなら、会社の件も家族会議に発展させてしまったのも私である。まぁでも家族が、それも双子の弟が危ない事をしてたのも事実で、ひぃちゃんもそこは認めてるので冷戦みたいな状況も3日位で終わったけども。

 

「ま、言わないんじゃどうしようも無いんだし、待ってあげるのがお姉さんなんじゃない?」

 

「そうだよ〜。話してくれたらその時一緒に悩んだりしてあげたらいいんだよ!」

 

それもそうだ!その時迄に、ひぃちゃんが頼ってくれるようなお姉さんにならないと!

 

「席に着け〜。HR始めるぞ」

 

私が決意したと同時に先生が来た。ここから私の幸せで楽しい時間が始まるんだ!

 

 

〜〜〜

 

 

「楽しい時間ってあっという間よね…」

 

「あんた以上に授業時間を満喫してる奴居ないと思うわ」

 

茜ちゃんはどうやら帰りのカメラの事で今にも死にそうな顔をしている。

 

「だってここでは皆私やひぃちゃんを特別扱いしないでしょ?」

 

「まぁ友達だしね」

 

「うんうん♪」

 

「緋もお昼からは元気になったみたいで安心したわ」

 

授業は恙無く終わった様で現在は放課後。僕は午前中一杯を寝て過ごし、お昼に母様のお弁当を食べて復活、現在に至る。

 

「心配かけてごめんね?もう大丈夫だから」

 

「ひぃちゃん本当にお母さんのご飯好きだよね〜」

 

「母様のお弁当は世界で1番だからね。勿論茜ちゃん達が作るご飯も好きだよ?」

 

言うなればハンバーグと寿司、どっちが好きかを小さい子に聞く様なものだ。

 

「緋君のお嫁さんになる人はきっと凄く大変そうだね」

 

僕にそんな人が出来るとは到底思えないなぁ。身長なんてこの間光ちゃんに抜かれたのに…茜ちゃんと花蓮ちゃんは顔が赤くなってるけど何かあったの?

 

「茜ー!緋ー!迎えに来たよぉ──」

 

アオ姉様が教室に来た途端人で溢れかえった。

 

「単に人気が無いだけかも…」

 

花蓮ちゃんやめてあげて…

 

 

「お姉ちゃん大変だね、何処でも人気者で」

 

教室で花蓮ちゃん達と別れ姉様’sと帰宅中。アオ姉様は人柄が良くで人気が凄く高い。

 

「そうかな〜、まぁ部活の勧誘とか多いかもね。でもそう言うのってひぃ君の方が凄いんだよ?」

 

「私の周りではそう言う話聞かないんだけどそんなに?」

 

「優しくて気が効くしマメで低い身長に長い髪が逆にイイって人が多いみたいよ?女の子みたいな顔も可愛くて最高だって。ファンクラブも国内だけじゃなくて国外にもあるみたいね」

 

アオ姉様がメモ用紙を取り出して言う。多分遥ちゃん辺りの情報なんだろうなぁ…あの子そっち方面に強いし。

 

「ごごごご、ごめんなさい!後に目が付いてなく…て?」

 

そんな事を話していたら後からおじさんが茜ちゃんにぶつかってきた。

茜ちゃん、人間は後に目なんて付いてないんだよ?

何て思っていたらどうやらひったくりだったようで、前方の婦人のバッグを取り上げて走り去って行った。

 

「お姉ちゃん、これお願い!」

 

「う、うん。気を付けてね?」

 

「大丈夫、エレガントに行くよ!正義は…勝ぁぁつ!」

 

そう言って茜ちゃんは能力で弾丸の様な速度で行ってしまった。

残された僕とアオ姉様はエレガントについて考えさせられた。

 

「心配だし見てくるね。アオ姉様1人で大丈夫?」

 

「私は大丈夫だけど、無茶だけは絶対にしないでね?」

 

「様子を見るだけだし大丈夫だよ」

 

一般公開されている方の能力は事前に準備が必要な為現状では使えない。

そもそも王族と言えども、特殊能力が備わってる以外は普通の人とは何ら変わりは無い。

 

それに加え僕は、能力全開使用中の茜ちゃんや輝ちゃん、岬ちゃんの分身ちゃん達が束になっても敵わない程身体能力が高い…のだが──

 

「ひぃ君身体能力は高いけどそれ以上に虚弱体質なんだから…」

 

そうなのである。小さい頃に能力の使い過ぎにより、反動で圧倒的虚弱体質になってしまった。細胞レベルで高スペックの身体能力を持っていても体質は比例しなかった様で、本当の能力を使えば場合によっては血を吐いて倒れるまであるレベルである。

 

「心配しないでアオ姉様、茜ちゃんがやり過ぎてないか一足先に見るだけだからさ」

 

これ以上余計な心配をかけさせない為にも、足早に茜ちゃんを追いかける。

因みに、少しでも走ると気絶したりするので競歩である。

 

〜〜〜

 

『【今週の櫻田家】の時間がやってまいりました』

 

「あかねちゃーん、始まったよ〜」

 

「だから見ないってば!」

 

ところどころか曜日すら変わった現在、家族でのんびり過ごしていた。

 

『今週は何と茜様がひったくり犯を捕まえました!カメラが茜様をとらえる事自体大変珍しく──』

 

「茜また無茶したのか」

 

「ち、違うよ!?無茶したのはひぃちゃん!」

 

あの程度はまだ無理・無茶に入らないと思うんだけどなぁ…

 

「緋も色々大変だろうがあんまり無理するなよ?今回はどの程度だったんだ?」

 

「今回は鼻血だけで済んだよ。まぁひったくり犯はその限りじゃないけど」

 

『──そんな貴重なVTRがこちらです!』

 

そんな話をしていると、丁度TVに茜ちゃんの勇姿が映された。

あぁ、見事に茜ちゃんのパンチラを抑えてるなこのカメラ…

 

「緋…凄いなこのカメラ、バッチリ押さえてるじゃないか」

 

「修兄様、妹のパンチラで喜ぶのはどうかと…カナ姉様、そんな顔するならカナ姉様も「見せないわよ!」…そっか、残念」

 

そう言うと末妹の栞ちゃん以外の姉妹がこちらを凝視する。冗談だと言うと今度は顔を真っ赤にして睨んで来たけどどう対処したらいいんだろう。

 

「それより、やっぱり恥ずかしいよ、毎週テレビで放送されるなんて…」

 

「まぁまぁ、王家に生まれた者の宿命なんだし、国民が次期国王を決める為にもやめられないでしょ?」

 

カメラを設置している理由にはこれも含まれる。光ちゃんなんかは最早手段が目的化しつつあるので、国王よりはアイドルとかやったらいいんじゃなかろうかと思う。

 

『──末っ子の栞様なんて可愛いですよね〜!』

 

因みにノリは結構軽めでお茶の間に配信されている。

 

「ただいま〜」

 

「あ、パパお帰りなさい!」

 

「お前達、週末は何か予定はあるか?」

 

「特に何も無いけど…何処か連れてってくれるの?」

 

「いや〜急な話なんだが、お前達のTV出演が決まってな」

 

この時の茜ちゃんを写メってネットで流したら物凄く反響があった事を此処に記す。

 

 




実は1回全部消えちゃったので思い切り書き直したんですよねこれ(
ご意見・ご感想は随時受付中ですので、お時間ある時にでもお願いします。

処女作で魔法少女リリカルなのはの2次小説も投稿してるので興味があれば読んでみて下さい。
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