最高のオワリのために   作:クローザー

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遅くなってしまい申し訳ありません!
後半は2、3日中に更新したいと思います!
久々に書いたので、多分後から修正をめちゃくちゃすると思います。なので、修正する度に前書きにて告知をするようにします!
ちょっと今回の話に合わせるために前話の最後に少し付け加えたので、お時間あればチェックをお願いします!

2/3 タイトルを変更しました。


第19話 死神の時間 その1

潮田視点

 

『こちら、2人の引き離しに成功。バースデープレゼント買い出し班の健闘に期待する!』

 

10月14日の放課後、烏間先生とビッチ先生をくっつけようとクラス全体で企画した僕らは、烏間先生にビッチ先生へ渡させるためのプレゼントを買いに来ていた。

 

メンバーはカルマ君、奥寺さん、茅野、神崎さん、杉野、僕の6人である。

 

何か見つかると思い街中に来てみたんだけど、なかなか良いものが見つからず途方に暮れていた…

 

「たってなぁ…ビッチ先生、大概のプレゼントをもらったことあるだろ。」

 

「難しいね。」

 

「クラスのカンパは総額5,107円。これで大人の女性に相応しいプレゼントは…」

 

「……………」

 

「神崎さん、大丈夫?」

 

「…うん。大丈夫だよ。」

 

明らかに浮かない表情をしている神崎さんは心ここに在らずといった感じである。

 

原因は猛の消息不明だ。

 

 

 

 

 

3週間前にアメリカへ発った猛との連絡が1週間ほど前から取れなくなっているのだ。律に調べてもらっても、見つからないし、あの殺せんせーですら消息を掴めずにいる。

 

そして、連絡が取れなくなってから1週間、神崎さんの様子は日に日に悪くなっていっている。

 

 

 

「そ、それにしてもあいつはどこで何してんのかね〜」

 

重くなった空気に杉野や茅野達が励ましにかかる。

 

「…心配ですね。」

 

「きっと携帯が壊れちゃっただけだよ!だから神崎さん元気出して!」

 

「そうそう、そもそもあの超人に万が一なんてある訳ないじゃん。」

 

「…うん、そうだね。」

 

幾分かの沈黙が流れる。それは僕らにとって心地いいものではなかった。

 

「ねえ君達!」

 

不意に呼ばれ、振り返るとそこに1人の男性が現れた。

 

「あのあと、大丈夫だったのかい?ほら、おじいさんの足の怪我。」

 

「「「「「あ…」」」」」

 

(救急車を呼んでくれた花屋さん…!)

 

僕らが2週間前に保育施設であるわかばパークの園長の松方さんを怪我させてしまった事件、その時現場に居合わせて救急車を呼んでくれたお兄さんであった。

 

「あの時はありがとうございました。なんとか許してもらえて…」

 

「そっか、大事にならずに良かったね。それと今、プレゼントをあげたいとか大人に相応しいとか?」

 

「あ…はい!」

 

「ならこんなのはどう?」

 

「………」

 

「あれ、花は好きじゃなかった?」

 

「い、いえ、そういうわけでは……好きな人にもらったことがあるんです。」

 

「へぇ、素敵な彼氏さんだね!なら、早く会えるといいね。」

 

「…はい!」

 

(…………ん?)

 

今、会話に違和感を感じた。ただ何に感じたのかは分からないけど…

 

「成る程!花束ね。」

 

「プレゼントなんて選び放題の時代、なのに未だに花が第一線で通用するのは何故だと思う?」

 

「「「「「………?」」」」」」」

 

「心だけじゃないんだ。色や形、香り、そして儚さが人間の本能にぴったりとハマるからなんだ。」

 

「説得力ありますね!」

 

「たしかに名演説…電卓さえ持ってなけりゃあね。」

 

「あ〜一応商売なんで…で、どうする?これも花の縁だ、安くしとくよ。」

 

そのまま、満場一致でプレゼントは決定したのだった。

 

 

 

 

そして予算内で花束を買った僕らは職員室にいる烏間先生の元へ

 

「イリーナに誕生日の花束?何故俺が?君達が渡した方が喜ぶだろう。」

 

(んー、この人全然気づいてないのか?)

 

「烏間先生、あのビッチが必要な戦力と思うならさ。同僚の人心掌握も大事な仕事じゃないの?あ、俺らが花束用意したの、内緒ね?」

 

カルマ君の言葉に合点がいったのか、烏間先生は花束を受け取る。

 

「一理あるな。分かった、俺が渡そう。気遣いに感謝する。」

 

 

 

僕らは職員室を出ると殺せんせーと共に窓から職員室の様子を伺えるようにスタンバイする。そして数分も経たない内に、陽動組の誘導でビッチ先生は職員室に帰って来た。

 

「ちょっと烏間、聞いてよ!」

 

「丁度いい、イリーナ。」

 

「…烏間?」

 

「誕生日、おめでとう。」

 

「嘘……あんたが?」

 

「遅れてすまなかったな。色々と忙しかった。」

 

窓から見えるビッチ先生はとても喜んでいる様子だ。

 

「…やば、超嬉しい。ありがとう。あんたのくせに上出来よ!なんか、企んでんじゃないでしょうね?」

 

「祝いたいのは本心だ。恐らくは最初で最後の誕生祝いだしな。」

 

嫌な空気が漂うのが、外からでも分かる。

 

これは、失敗だ……

 

「…何よ、最初で最後って?」

 

「当然だ。任務を終えるか地球が終わるか、2つに1つ。どちらにせよ、あと半年で終わるんだ。」

 

「……………!」

 

職員室の窓が乱暴に開かれ、ビッチ先生がこちらを睨む。これは完全に気づかれてしまったようだ。

 

「あっちゃぁー…」

 

「バレた…」

 

「こんなことだろうと思ったわ。あの堅物が誕生日に花を贈るなんて思いつくはずもないもんね。」

 

ビッチ先生が上空に向けて銃を放つと、上でスタンバっていた殺せんせーが落下する。

 

「にゅやぁあ!?」

 

「楽しんでくれた?プロの殺し屋が踊らされて舞い上がってる姿見て。」

 

「それは違いますよ、イリーナ先生。生徒達は純粋な好意から貴方を。」

 

「説得力ないわタコラッチ!!」

 

いい声を出す殺せんせーの言葉もビッチ先生は取り合わない。

 

「…お陰で目が覚めたわ。最高のプレゼント、ありがとう。」

 

「ちょっ!?」

 

「ビッチ先生!」

 

烏間先生にプレゼントの花束を押し付け返すとビッチ先生はそのまま帰ってしまった。

 

「烏間先生ーなんか冷たくないっすか、さっきの言葉?」

 

「まさかまだ気づいてないんですか?」

 

「そこまで俺が鈍く見えるか?」

 

「え…?」

 

「非常と思われても仕方ないが、あのまま冷静さを欠き続けるようなら他の暗殺者を雇う。色恋で鈍る刃ならここで仕事する資格はない。それだけのことだ。」

 

「烏間先生……」

 

結局、その日は皆歯切れ悪く解散となってしまった。

 

 

 

 

 

ビッチ先生が怒っていなくなってから3日経った今日

 

あれから、ビッチ先生は学校に来ていない。

 

「もう3日か…」

 

「余計な事しちゃったのかな?」

 

「………」

 

「もし、イリーナ先生に動きがあったら呼んでください。先生、これから門倉君の捜索のついでにブラジルまでサッカー観戦に行かねば!あ、サンバ!」

 

そういって音速で殺せんせーは飛び出していった。

 

「…そういや、今日の決勝戦は必ず行くって前から言ってたな。典型的な4年に1度のにわかファンだな。普段は野球派…」

 

【殺せんせーの弱点28

「自分たちのサッカー」がなんなのかよく知らない】

 

「ビッチ先生、大丈夫かな?…門倉も、まだ連絡ないし。」

 

「ダメ、やっぱ繋がんない。」

 

「お二人共GPSや公共の監視カメラにも気配がありません。」

 

「まさか、こんなんでバイバイとかないよな?」

 

「そんなことはないよ。彼女にはまだやってもらう事がある。」

 

「だよね。なんだかんだいたら楽しいもん!」

 

「そう、君達と彼女の間には充分な絆ができている。それは下調べにすでに確認済みだ。僕はそれを利用させてもらうだけ。」

 

「「「「「………!?」」」」」

 

平然と、その人は、平然と教室に溶け込んで来た。

 

僕らの前に違和感なく現れた、3日前僕らが会った花屋のお兄さんは教卓の上に花束を置き、まるでこれから授業を始めるかのような僕らを見渡す。

 

「僕は死神と呼ばれる殺し屋です。今から君達に授業をしたいと思います。」

 

「なんだ…」

 

「こいつ………?」

 

「花はその美しさにより人間の警戒心を打ち消し、人の心を開きます。渚君、君達に言ったようにね。でも、花が美しく芳しく進化して来た本来の理由は…律さん、送った画像を表示して。」

 

「あっ!?」

 

「虫をおびき寄せるためのものです。」

 

「ビッチ先生!?」

 

映し出された画像には暗がりの中でロープで縛り上げられたビッチ先生の姿が映っている。

 

「手短に言います。彼女の命を守りたければ、先生方には決して言わず君達全員が僕が指定する場所に来なさい。来たくなければ来なくていいよ、その時は彼女の方を君達に届けます。全員に平等に行き渡るように、小分けにして。そして多分次の花は、君達の内の誰かにするでしょう。」

 

言いながら黒板に描かれたのはビッチ先生の絵とそれを僕らの人数分等分割された様子。笑顔で言っている事はとても恐ろしい筈なのに、恐怖を感じる事ができない。

 

「おうおう、にいちゃん。別に俺らは助ける義理ねえんだぜ、あんな高飛車ビッチ。第一、ここで俺らにボコられるとは考えなかったか誘拐犯?それに悪りぃけど、今E組は全員いるわけじゃないんだぜ。」

 

「不正解です、寺坂君。それらは全部間違っています。君達は自分達で思っている以上に彼女が好きだ。そして、門倉猛君がここにいない事も承知済みだ。」

 

花が舞い上がり、クラス中に散らばる。つい目を瞑ってしまい、次の瞬間には姿はなく、声だけが響き渡る。

 

「恐れるなかれ、死神は人を刈り取るのみだ。」

 

残された手紙には地図らしきものと文書が記載されており、磯貝君がそれを手に取り読み上げる。

 

「『今夜18時迄にクラス全員で地図の場所に来て下さい。』…か。」

 

「鷹岡やシロの時と同じだな。俺らを人質にして殺せんせーを誘き出すのが目的だろう。」

 

「…糞っ!」

 

「使うか?」

 

寺坂君の手にあるのはつい先日烏間先生から配られた、超体育着。

 

「守るために使う、だよね?」

 

「最高の殺し屋だか知らねえがよ、そう簡単に計画通りにさせるかよ。それに、聞きてえ事もあるしな。」

 

 

 

そして18時前に僕らは全員で指定された場所に向かい、物陰から様子を伺う。入り口は1つのみで地下に続くようになっているようだ。

 

「あそこが入り口か…」

 

「空中から一周したが、周囲に人影はない。」

 

「不気味ですね…」

 

「律、12時を過ぎて戻らなければ殺せんせーに事情を話して。」

 

「はい。皆さん、どうかご無事で。」

 

「行くぞ。」

 

磯貝君の号令と共に僕らは手際よく中へ侵入していく。途中何もなく、進んで行くと最後の部屋は全員が余裕で入れる程の広さを持っていた。

 

「だだっ広いな。」

 

皆で部屋の様子を確認していると、天井近くのスピーカーから声が響く。

 

『全員来たね。それじゃ、閉めるよ。』

 

「ふぅーん、やっぱりこっちの動きはわかってるんだ。死神っていうより覗き魔だね。」

 

スピーカーの脇にある、カメラにカルマ君が話しかける。

 

「約束は守ったでしょ!ビッチ先生さえ返してくれればそれで終わりよ!」

 

しかし床が大きく揺れ、部屋全体が突然動き始める。

 

「な、なんだ!?」

 

「部屋全体が下に!?」

 

「あっ!?」

 

ゆっくりと下に降っていき、そこには笑顔の死神とその奥には囚われたビッチ先生がいた。

 

「捕獲完了!こうやって一斉に捕獲するのが一番リスクがない。」

 

「「「「「ビッチ先生!!」」」」」

 

「クソっ!」

 

「大丈夫、奴が大人しく来れば誰も殺らない。」

 

全員でなんとか出ようと壁を叩き続け、岡島君が死神に話しかける。

 

「俺達が反抗的な態度をとったら、頭に来て殺したりは…?」

 

「しないよ。子供だからってビビりすぎだろ?」

 

「…いや、ちょっぴり安心した。」

 

「ここだ!空間がある音がした。」

 

「施工性爆薬。」

 

三村君が空間を発見し、竹林君が施工性爆薬を設置する。

 

「カプセル煙幕!」

 

そして奥田さんが煙幕で死神の視界から全員を隠す。

 

爆発して通路に出た僕らはそのまま進み、大きな空洞に出る。

 

「さて、ここからが正念場だ。」

 

またスピーカーから死神の音声が響き、僕らは一旦歩みを止めてしまう。

 

『聞こえるかな、E組の皆?実はね、君達が逃げてとても嬉しかったよ。未知の大物の前の肩慣らしだ。彼のような健闘を期待してるよ。』

 

「まるで…ゲーム感覚…」

 

鷹岡先生のような単純な執念じゃない。死神の…顔が見えない。

 

ある程度進んだ所で僕らは止まり、今後の方針を決める話し合いを始める。

 

「ここで迎え撃とう。どちらの方向から来ても多勢でかかればこちらが有利だ。」

 

「律、サポートをお願い。」

 

「やる気しねー。死神さんに逆らうとかありえねーし。働くくらいなら電源落とす!」

 

「「「「「ハッキングされてる!!?」」」」」

 

態度が堕落しきっている律はどうやらハッキングされたようで、協力してくれる気配が全くない。どうやら僕らは律のサポートなしでやり合う事になりそうだ。

 

「………!?死神!」

 

離れた所から聞こえる足音に僕らの緊張感は跳ね上がり、臨戦態勢に入る。

 

「…………!?」

 

どういった理屈か分からないけど、死神の姿がボンヤリとしか見えなくなっている。磯貝君達も同様のようで、皆戸惑いを隠せない。

 

(姿が…見えない。これが殺し屋の技術!)

 

「馬鹿が!!」

 

「のこのこ出て来やがって!」

 

吉田君と村松君が取り押さえにかかるが空振りに終わり、一瞬で気絶されられる。

 

「殺し屋になって1番最初に磨いたのは正面戦闘のスキルだった。」

 

「ぐっ!?」

 

気付かぬ内に木村君が壁際に叩きつけられ、意識を失う。

 

「殺し屋には99%必要ないスキルだがこれがないと残り1%の標的を殺り逃す。世界一の殺しを志すなら、必須なスキルだ。」

 

「うっ!?」

 

いつの間にか僕らの間をすり抜けた死神は茅野の腹部に拳をめり込ませていた。

 

「おっと、女子は流石に脆い。残りの人質はもう粗末に扱えないな。」

 

「どいて、皆……僕がやる。」

 

皆をどかせて、僕が前に出る。

 

「渚君…」

 

さっきの音は超体育着のフレームが衝撃を吸収した音だ。死神はそれを肋骨を破壊したと思い、僕はそれに激怒したと思っている。

 

(実際怒ってる。その怒気で殺気を殺して皆のお返し…この両手で!)

 

「……え?」

 

目の前で何が起こったのか、理解するのに思考が停止していた。ただ自分の神経が麻痺し、世界がゆっくり止まって行くのしか分からない。その間に皆が気絶させられる音が聞こえてくる。

 

「クラップスタナー、ロブロや君のではただの猫騙しだ。だがこのスキルにはもう1段階先がある。人間の意識には波長があり、波が山に近いほど刺激に対して敏感になる。相手の意識が最も敏感な山の瞬間に音波の最も強い山を当てる。その衝撃は一瞬びびらすなんてレベルじゃない。当分は神経が麻痺して動けなくなる。」

 

「…あ……あ…」

 

(これが…最高のレベル…)

 

もはや言葉も満足に話せずに体の自由がきかなくなる。

 

「はぁ、こんなものか。まだ彼1人の方がマシだったな。さぁて人数が足りないようだ。」

 

(さっきから何を話しているんだ…?)

 

あの時感じた違和感のピースが当てはまる音が頭の中に響く。それでも、聞かずにはいられない。

 

「……どういう……こと………ですか?」

 

「おっと、まだ意識が残っていたとは、少し驚きだな。どういうことも何も…言葉の通りだよ。僕は、別の依頼で君らのクラスメイト

 

 

 

 

 

 

 

門倉猛を殺したんだよ。」

 

 

 

 

その瞬間、僕の視界は真っ暗になった。

 

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