最高のオワリのために   作:クローザー

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第6話 転校生の時間その4

門倉視点

 

眼が覚めると、物語で有りがちな見知らぬ白い部屋というシチュエーション。上半身だけ起き上がると、背中から感じる微かな痛みと、左腕には包帯らしき物がグルグルと巻かれていると共に点滴の針が差し込まれている事が理解出来る。十中八九ここは病院がある事は間違いない。

 

「あら、目が覚めましたか?」

 

点滴を変えに来た看護師がこちらに気づき、近づいて来る。

 

「先生を呼んでくるから少し待ってて下さいね。」

 

看護師は部屋から出て行ったすぐ後に、白衣を着た男性を連れて帰ってきた。その男性はボクシングをやっていた頃にいつもお世話になっていた馴染みの医者であり、医者もうんざりしたような顔をしている。

 

「また君か、門倉君。中2の時に大怪我をした時に、幼馴染の子を泣かせて最近は大人しくなったかと思ったが、やはり人は変わらないモノだね。一応確認のために、患部を確認するよ。」

 

そう言って医者は触診を始め、左腕と背中をベタベタと触る。

 

「えー、骨に異常はないね。左腕と背中は打撲、それ以外は異常なし。君なら1日も経てば元に戻ると思う、もう退院しても大丈夫だね。昨日見た時はもっと重体だと思ったが問題ないみたいだね。手続きは済ませとくから、早く帰りなさい。」

 

早口で淡々と言い終えた医者はそのままナースを連れて何処かに行ってしまった。

 

「何だったんだ…」

 

(昨日のあれで、打撲程度?骨は折れていた筈だ。それに昨日イトナから背中に投げつけられた石で出来た傷も消えているし。)

 

昨日間違いなくあった筈の傷もなく、まるで誰かに光速で治療されたかのようだった。ベットから起き上がり、身体を動かすが全く痛みはなく、むしろ怪我する前よりも身体の調子が良くなっている気すらする。とりあえず医者に言われた通りに置いてあった制服へと着替えを済ませ、部屋から出ると病院のソファに彼女が寝ていた。

 

「有希子。」

 

「…スゥ……ん、タッちゃん?!何で!」

 

俺が元気にしている事に驚いたようでソファから飛び上がった彼女は慌てて俺に駆け寄る。

 

「怪我は!?昨日あんなに苦しそうにしてたのに!」

 

「それが、俺も良く分からないんだけどいつの間にか治っててさ。さっき医者からも退院の許可が下りたし。」

 

言い終わる前に勢い良く抱きつかれる。そして胸元が仄かに濡れ始める。

 

「良かった…本当に良かった…」

 

「ごめん、また心配かけちゃったな。」

 

「…バカ//」

 

こちらからも抱き締め、上から見ても顔が赤い事を理解出来るが拒絶される事なく暫くその状態は続いていた。

 

「あー、お楽しみの最中悪いんだけど。」

 

「じゃあ邪魔しないで下さいよ。」

 

「………//」

 

俺は構わなかったのだが、恥ずかしかったのか有希子は思い切り突き放し何処かへ走り去ってしまった。

 

「彼女、昨日救急車の中でも病室でも君に着ききっきりだったんだよ。まあ君のベットの側で寝ちゃったから、寝苦しくて申し訳なかったけどソファで寝かせてたけどね。」

 

有希子が廊下で寝ていた理由が理解できた。

 

「いつも心配かけてしまいますからね。」

 

「好きなの?」

 

「ええ。」

 

意地悪をしたかったが失敗したようで、俺はジト目の医者に睨まれる。

 

「…可愛くないね、君。もう少し照れてもいいのに。」

 

「照れるという事はそれを恥ずべき事と考えている事の証明になります。僕は彼女への好意を恥じた事はないので、何も恥ずかしくないです。」

 

「……なら早く告っちゃいなよ。その癖、付き合ってないんだから。」

 

「それとこれとは話が違います。」

 

こちらにもこちらの事情があるのだ。

 

「まあ、別にいいけどね。大切にしろよ、彼女。君には勿体無いくらいだ。」

 

「言われなくても大切にしますよ。で、何か用が有ったんですよね?」

 

「ああ、君に烏間っていう人から電話があってね。」

 

「それを早く言って下さい。」

 

慌てて受話器を取ると、いつも聞こえる声が耳元に響く。

 

『門倉君、無事か?』

 

「ええ、御心配をおかけしましたが問題ありません。何ならこれから登校しますよ。」

 

『今今日転入してきた生徒の保護者が君の事を話してって貴様、何する!?』

 

突然電話口で雑音が流れ、声が変わる。

 

『やあ門倉君、昨日ぶりだね。』

 

どうやら無事にE組への転校を完了させたようだ。職員室にいるであろう烏間先生と共にいる事が何よりの証拠である。相手はこちらの動揺を狙っているようなので、あくまで冷静に対処する。ここから話す内容は人に知られたらマズイので医者に席を外してもらう。

 

「……昨日ぶりですね、シロさん。」

 

『どうやら、入院したようだね。身体の調子はどうだい?』

 

わざとらしい言い方だが、あくまで付き合う事とする。

 

「御心配無用です、別にピンピンしてますから。」

 

『強がる必要はないよ。昨日の様子から見て、腕は折れてる筈だからね。』

 

(残念ながら、本当にピンピンしてますけどね。)

 

こっちがこう思っている事すら知らずにシロは電話口で得意げに話し続ける。

 

『まあ君には悪いけど、今日君達の暗殺教室を終わらせてもらうよ。だからゆっくりと治すといいよ。』

 

「へぇ……」

 

(まあ、あの先生に限ってまずそんな事態は起きないと思うけどね。)

 

もう少し情報を聞き出したいと考え、会話を続ける。

 

「という事は、今日イトナ君は登校してるんですね?」

 

『……ああ、君にやられた所も治って元気にしてるよ。』

 

『待て、貴様。今何と言った。何故今日欠席している門倉君が転校生の存在を知っているんだ?それに、やられたとはどういう意味だ?事の次第ではタダでは済ませんぞ!』

 

どうやら烏間先生が会話の内容から昨日シロと俺が会っていた事に気付いたようで、シロに迫っているようだ。

 

「烏間先生に代わってもらっても?」

 

ここは、あくまでも冷静に動いてもらわなければならない。そこで俺は烏間先生に幾つかのお願い事をする事とした。幸いシロは素直に代わり、すぐ烏間先生と話せるようになる。これは大きなチャンスである。

 

『もしもし、門倉君か。』

 

「烏間先生、仰りたい内容は理解できますが、ここは1つお願いを聞いていただきたいのですが。」

 

『…何だ?』

 

向こう側にいるシロに気付かれないように内容を誤魔化しつつ伝える。

 

『分かった。それだけでいいのか?』

 

「ええ、では宜しくお願いします。」

 

電話を切り、一息つくためにソファに腰をかける。いろいろ気疲れしたが、これであの人なら俺の考える状況を作り出せるだろう。あとは俺のアレさえあれば何とかなる。

 

「タッちゃん。」

 

ちょうど良い所に戻ってきた有希子、恐らく彼女が知っている筈だ。

 

「有希子、俺の学校の用意あるか?」

 

「う、うん。昨日病院に来る時全部持ってきたから、これ。」

 

鞄の中を確認すると制服だけでなく、必要な物はちゃんと入っている。これで自宅に帰る手間が省けた。その場で着替えると鞄を背負い、有希子に礼を言う。

 

「ありがとう、助かったよ。じゃあ、行こうか。」

 

「行くって、どこに?」

 

「決まってんじゃん、学校だよ。」

 

(舞台は整った。準備は万全、あとはあの人が俺の予想通りに動けば俺の勝ちだ。)

 

そう思いながら俺は有希子を連れて勝負をつけに行こうとしていた。

 

 

 

 

潮田視点

放課後、シロさんの合図で殺せんせーとイトナ君の勝負が始まった瞬間僕等の目はただ一箇所に釘付けになった。切り落とされた先生の腕ではなく、イトナ君の髪から生えた触手だった。

 

「まさか…触手!?」

 

数本の触手は凄いスピードでイトナ君の周りを自在に動き回っている。恐らく、本人が操作しているのだろう。

 

「どこだ…」

 

「あっ!?」

 

「どこでそれを手に入れたぁ…その触手を!!」

 

殺せんせーが普段見た事ない顔となり、どれだけ怒っているかがヒシヒシと伝わってくる。

 

「君に言う義理はないね、殺せんせー。だがこれで納得したろ?両親も違う、育ちも違う、だがこの子と君は兄弟だ。しかし、恐い顔をするねぇ。何か嫌な事でも思い出したかい?」

 

何か考えていた殺せんせーはスグに落ち着きを取り戻し、斬られた触手をまた生やす。

 

「どうやら、貴方にも話を聞かなきゃいけないようだ。」

 

「聞けないよ、死ぬからね。」

 

シロさんの左手から眩い光が溢れだし、殺せんせーに直撃する。

 

「ニュウッ!?」

 

「この圧力光線を至近距離で照射すると、君の細胞はダイラタント挙動を起こし一瞬全身が硬直する。全部知っているんだよ、君の弱点は全部ね。」

 

イトナ君の攻撃により、煙が立ち殺せんせーがどうなったかクラス中一旦わからなくなる。

 

「やった?」

 

「いや…上だ。」

 

脱皮した殺せんせーは天井の照明にぶら下がっていたが、息が上がっており体力を消耗しているようだ。

 

「へぇ…へぇ…へぇ。」

 

「脱皮か。そういえばそんな手もあったっけか。でもね、殺せんせー。その脱皮にも弱点がある事を知ってるよ。脱皮は見た目よりもエネルギーを消費する。よって直後は自慢のスピードがていかする。加えてイトナの奇襲で腕を失い、再生したね。それも結構体力を使うんだ、私の計算ではこの時点で身体的パフォーマンスはほぼ互角。また触手の扱いは精神状態に大きく左右される。予想外の触手により、ダメージでも同様。今現在どちらが優勢か、一目瞭然だろうね。さらには、献身的な保護者のサポート。これで足を再生しなくてはならないね。なお一層体力が落ちて殺りやすくなる。」

 

シロさんの説明と共にイトナ君の猛攻は続き、またさっきと同じ光線が発射され殺せんせーの動きが止められる。そして、その隙をついたイトナ君の攻撃で殺せんせーの脚部分の触手が切断された。

 

「安心した。兄さん、俺はお前より強い。」

 

(殺せんせーが追い詰められている。殺せば世界が救えるんだ!なのに、何で僕は悔しいんだろ?後出しジャンケンのように次々に出てきた殺せんせーの弱点、本当ならそれは僕等がこの教室で見つけたかった。僕等が、殺したかった。)

 

殺せんせーが脚部分を生やし、シロさんが悠長に解説し出す。

 

「足の再生も終わったみたいだね。さ、次のラッシュに耐えられるかな?」

 

「ここまで追い込まれたのは初めてです。一見愚直な試合形式の暗殺ですが、実に周到に計算されている。貴方達に聞きたい事は大いにありますが、まずは試合に勝たねば喋りそうにないようですね。」

 

「まだ勝つ気かい?負けダコの遠吠えだね。」

 

「シロさん、2つ計算に入れ忘れている事がありますよ。」

 

「ないね、私の計算方法は完璧だ。やれ。」

 

「なっ!?」

 

溶けた触手が飛び散る。だけど、それは殺せんせーではなくイトナ君の物だった。

 

「おやぁ、落し物を踏んづけてしまったようですねぇ?折角先生がもらったものなのに。」

 

「くっ、なぁあ!?」

 

触手が溶けたイトナ君は上から抜け殻で覆いかぶされる。

 

「同じ触手なら対先生ナイフが効くのも同じ。触手を失うと動揺するのも同じです。でもね、先生の方がちょっとだけ老獪で、負けず嫌いな生徒がいましてね。昨日門倉君にやられた事を学習していませんでしたねぇ?」

 

イトナ君を抜け殻で包まれ、教室から窓を突き抜けて外に放り出される。

 

「先生の抜け殻で包んだからダメージはない筈です。ですが、君の足はリングの外についている。先生の勝ちですね、ルールに照らせば君は死刑。もう2度と先生を殺れませんねぇ。生き返りたいのなら、このクラスで皆と共に学びなさい。性能計算で簡単には計れないもの、それは経験の差です。君より少しだけ長く生き少しだけ知識が多い、先生が先生になったのはね。それを君達に伝えたいからです。この教室で先生の経験を盗まなければ、君は私だけでなく彼にさえも勝てませんよ。」

 

「勝てない、俺が弱い?」

 

イトナ君から触手がまた生え、しかも黒く染まり上がる。

 

「黒い触手?!」

 

「やべえ切れてるぞあいつ!」

 

「俺は強い。この触手で誰よりも強くなった、誰よりも!このぉおおお!」

 

「よぉ‥‥昨日ぶりだな。」

 

教室の扉を蹴破って入りこみ、殺せんせーとイトナ君の間に挟まれる形で立っているのは今日休んでいた門倉君である。門倉君は手袋を嵌めたまま黒い触手に触れ、そのまま溶かし、イトナ君に右手でアイアンクローを決める。抵抗すら許さずに身体ごと持ち上げてしまった。

 

「何っ!?」

 

「昨日の礼、返させてもらう!」

 

アイアンクローを解き、イトナ君の溝に当たるように右手のストレートを門倉君が叩き込む。それを直で受けたイトナ君は床に叩きつけられた。

 

「ぐはぁっ!!」

 

「俺は先生みたいな甘ちゃんではないからな。肋の一本程度で勘弁してやるよ。」

 

「糞、門倉ぁあああ!!」

 

イトナ君が再び門倉君に飛びかかろうとした途端、シロさんの手元に出てきた銃らしき物から弾が発射され、イトナ君に直撃。そのままイトナ君は動かなくなる。動かなくなったイトナ君に近付いたシロさんはイトナ君を肩に担ぐ。

 

「すいませんね、殺せんせー。どうやらこの子はまだ登校出来る状態じゃなかったようだ。転校初日で何ですが、しばらく休学させてもらいます。」

 

「待ちなさい!担任としてその生徒は放っておけません、卒業するまで面倒見ます。それにシロさん、貴方にも聞きたい事が山程ある。」

 

「嫌だね、帰るよ。力づくで止めてみるかい?」

 

殺せんせーがシロさんの肩に触れようとするとまるで対先生ナイフで斬られたかのように触手が溶けてしまった。

 

「対先生繊維、君は私に触手1本触れられない。心配せずともまたスグに復学させるよ、殺せんせー。3月まで時間はないからね。責任持って私が家庭教師を務めた上でね。」

 

シロさんは教室から出ようとするが、扉に手を掛けた所で振り返り門倉君の方を見る。

 

「そうだ、門倉君。君の怪我の件、こちらも済まなかったと思ってる。幾らか賠償させてもらうよ。」

 

(怪我!?門倉君、怪我してたの!?)

 

「結構です。こちらも良い経験になりましたので、それにいきなり人に襲撃かけるような奴らから貰うものなんてろくなもんじゃない。」

 

「そうか、それは残念だ。ところで門倉君、君僕等の協力者になる気はあるかい?報酬なら弾むよ。」

 

「No,thank you.We can kill him without your help.要はおととい来やがれって奴ですよ。」

 

門倉君は笑顔で応え、あまり行儀の良くないハンドサインを見せる。

 

「そうか、それは残念だ。」

 

そう言うとシロさんはイトナ君を担いだまま教室を出て行った。その後、僕等は皆で教室の後片付けを始める。少ししたら、門倉君と同じく今日休んでた神崎さんが遅れてやってきた。

 

「ちょっと、タッちゃん!1人で行くなんて酷いよ。」

 

「悪い悪い、どうしてもやり返したくてさ。」

 

「……もう//」

 

「カドクラシスベシ!」

 

門倉君が神崎さんの頭を優しく撫でているのを僕等(杉野を除く)は微笑ましく見ていた。

 

「おや門倉君、もう体調はよろしいのですか?」

 

「ええ、殺せんせー。散々な目に遭いましたけど、無事に回復出来ましたよ。」

 

「そうですか。先生も君にお礼を言わなければならないですね。烏間先生を使って私にお守りとして対先生ナイフを持たせるとは。」

 

(対先生ナイフでイトナ君の触手を溶かすアイデアは門倉君からだったのか…)

 

「まあ殺せんせーを信用してましたし、これで貸し借りはないですから。心置きなく殺せます。」

 

門倉君はそのまま殺せんせーに対先生グローブで殴りつけるが、先生は慌てて避ける。

 

「ニュヤ!何するんですか?」

 

「おや、さっきまでつい素でシリアス感を出してしまっていた人の台詞じゃないですね?」

 

「……………はっ!?」

 

そう言うと殺せんせーは顔を手で隠す。そんな殺せんせーを放置して僕等は教室の片付けを始める。

 

「恥ずかしい、恥ずかしい。」

 

「何してんのころせんせー?」

 

「さあ、さっきからああだけど。」

 

「門倉君から言われて思い出しましたが、シリアスな展開に加担したのが恥ずかしいのです。先生どっちかというギャグキャラなのに。」

 

「自覚あるんだ…」

 

「かっこよく怒ってたね、どこでそれを手に入れたその触手を!ってね。」

 

「イヤーー!言わないで狭間さん!改めて自分で聞くと逃げ出したい!掴み所のない天然キャラで売ってたのに、ああもマジな顔を見せてはキャラが崩れるぅう。」

 

「自分のキャラを計算してんのが、腹立つな。」

 

「でも驚いたわ。あのイトナっていう子、まさか触手を出すなんて。しかも門倉を倒したんでしょ?信じられないわよ。」

 

「倒されてませんよ、不意打ち食らって逃げただけです。いつもやられっぱなしのビッチ先生と一緒にしないで下さい。」

 

「それを倒されたって言うのよ!何でムキのなってんのよ!」

 

「タッちゃん、まあまあ。」

 

ムキになってビッチ先生に言い返した門倉君を神崎さんが宥めている。聞いた話だと昨日イトナ君に襲撃されたらしいけど、よっぽど悔しかったようだ。すると、皆が教壇にいる殺せんせーを囲み気になっていた事を話し始める。

 

「ねえ殺せんせー、説明してよ。」

 

「あの2人との関係を。」

 

「先生の正体、いつも適当にはぐらかされていたけど。」

 

「あんなの見たら気になるよ。」

 

「そうだよ、私達生徒だよ。先生の事よく知る権利ある筈でしょう?」

 

「仕方ない、真実を話さなくてはなりませんね。実は、先生。人工的に作り出された生物なんです!」

 

「だよね。」

 

「で?」

 

「ニュヤァ!反応薄!!?これは結構衝撃的告白じゃないですか!?」

 

僕等の反応の薄さに殺せんせーは明らかに動揺する。

 

「つってもなぁ自然界にマッハ20のタコとかいないだろ。」

 

「宇宙人でもなければそれくらい考えられない。」

 

「で、あのイトナ君は弟だと言ってたから先生の後で作られたと想像がつく。」

 

「察しがよすぎる、恐ろしい子達!」

 

劇画調に顔を変化させる殺せんせーに僕は一歩踏み込んだ質問をする。

 

「知りたいのはその先だよ、殺せんせー。どうしてさっき怒ったの、イトナ君の触手を見て。殺せんせーはどういう理由で生まれてきて、何を思ってここに来たの?」

 

皆が気になるその質問に殺せんせーが口を開きかけた途端、門倉君が、割って入る。

 

「おいおい、そんなの今話しても意味ないだろ。先生が地球を爆破しちまえば、そんな真実知ったって意味なくなるぜ。」

 

「で、でもさ。知りたくないのか?」

 

「世界さえ救っちまえばそんな真実嫌なほどわかるだろ。それに、そんな難しそうな真実、自分達で見つけた方が面白いだろ。」

 

皆門倉君の意見に思う所があるようで黙り込んでしまう。神崎さんだけは完全に理解出来ているみたいで嬉しそうにしている。、、まあ僕も言いたい事は分かる。

 

「門倉君の言う通りです。知りたいなら行動は1つです。殺してみなさい。アサシンとターゲット、それが先生と君達を結び付けた絆の筈です。先生の中の大事な答えを探すなら君達は暗殺で聞くしかないのです。質問がなければ今日はここまで、また明日。………恥ずかしい恥ずかしい//」

 

 

そう言って殺せんせーは教室から出て行った。

 

「じゃあ俺も帰るとしますか。有希子、今日も遅くなるから。ロブロさんの課題をマスターしなくちゃいけないからさ。」

 

「いいけど。でもタッちゃん、怪我明けで危ないよ。」

 

「身体に無理はかけないよ。それに一分一秒でも努力して自分の牙を磨かないとあの人には多分届かない。今日も親御さんがいないんなら、泊まってっていいけど、風呂と飯の準備はしなくてもいいよ。それじゃ!」

 

「うん、気をつけてね!」

 

神崎さんに見送られそのまま門倉君も教室を後にした。

 

(僕等は殺し屋、銃とナイフで答えを探し。ターゲットは先生、自分の命で僕等に問う。)

 

2人の考えに魅せられた僕等は自然と校庭の木の下にいる烏間先生の元に集まった。

 

「烏間先生!」

 

「君達か。どうした、大人数で?」

 

「あの…もっと教えてくれませんか、暗殺の技術を?」

 

「…今以上にか?」

 

「今迄さ、結局誰かが殺るんだろって他人事だったけど。」

 

「ああ、今回のイトナ見てて思ったんだ。誰でもない、俺達の手で殺りたいって。」

 

「もしも今後強力な殺し屋に先を越されたら、俺等何の為に頑張ってたのか分からなくなる。」

 

「だから、限られた時間やれる限りやりたいんです。私達の担任を。」

 

「殺して、自分達の手で答えを見つけたい。」

 

「後悔しない為に、ね。」

 

「わかった。では希望者は放課後に追加で訓練を行う。より厳しくなるぞ。」

 

「「「「「「「はい!」」」」」」」

 

椚ヶ丘中学校3-Eは暗殺教室。雨も止んで始業のベルは明日も鳴る。

 

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