最高のオワリのために   作:クローザー

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第7話球技大会の時間

潮田視点

 

ホームルーム中、僕等は今度行われるクラス対抗球技大会のメンバー決めを行っていた。

 

「ふむふむ、クラス対抗球技大会ですか。健康な心身をスポーツで養う、大いに結構!ただ…トーナメント表にE組がないのはどうしてです?」

 

最初は嬉しそうだった殺せんせーもトーナメント表に気付いたみたいで驚いでいる。それに答えるように三村君が喋り始める。

 

「E組はエントリーされないんだ。1チーム余るっていう素敵な理由で、その代わり大会の締めのエキシビションに出なきゃなんない。」

 

「エキシビション?」

 

「要するに見世物さ、全校生徒が見てる前でそれぞれ野球部、女子バスケ部とやらされるんだ。」

 

「成る程、いつものヤツですか…」

 

「そう。」

 

呆れ気味の殺せんせーに片岡さんが苦笑いで答えていると、寺坂君・吉田君・村松君の3人が帰り支度をし席を立ってしまう。

 

「俺等晒しもんとか勘弁だわ。お前等で適当にやっといてくれや。じゃあな。」

 

「っておいちょっと、寺坂!?ったく。」

 

磯貝君も声をかけるが、止まる事なく3人は帰ってしまった。

 

「野球となりゃ、頼れんのは杉野だけど…何か勝つ秘策ねーのー?」

 

「無理だよ…かなり強えんだ、うちの野部。特に今の主将、進藤、豪速球で名門校からも注目されてる。勉強もスポーツも一流とか…不公平だよな。」

 

しかし、杉野の話はそこで終わらずまだ続く。

 

「だけどさ、勝ちたいんだ殺せんせー。善戦じゃなくて勝ちたい、好きな野球で負けたくない。野球部追い出されてE組に来て、寧ろその思いが強くなった。こいつらとチーム組んで勝ちた…」

 

杉野が顔を上げると、殺せんせーがいつの間にか野球する格好になり、バット・メガホン・グローブ・竹刀・ボールを持ち凄い興奮していた。

 

「ワクワク!ワクワク!」

 

「あ、ああ。殺せんせーも野球したいのはよく伝わったよ。」

 

(あからさま過ぎだよ…)

 

「ヌルフフフフフ!先生、1度スポ根ものの熱血コーチをやってみたかったんです。殴ったりはしないので、ちゃぶ台返しで代用します。」

 

料理が完璧に配膳されているちゃぶ台を何処かから取り出す殺せんせー、本当に乗り気なようだ。

 

「用意よすぎだろ!?」

 

「最近の君達は目的意識をきちんと口にするようになりました。殺りたい、勝ちたい、どんな困難にも揺るがずに。その心意気に応えて、殺監督が勝てる作戦とトレーニングを授けましょう!」

 

そして、練習が始まるとそれは僕等の想像を絶していた。

 

「殺ピッチャー300㎞/hの球を投げる!」

 

球筋など読めない豪速球がネットを貫く。

 

「殺内野手は分身で鉄壁の守備を敷く!」

 

いつもの音速により、どこに打っても捕られてしまう。内野ではあまりにも余裕な先生が分身でままごとをしている。

 

「殺キャッチャーはささやき戦術で集中を乱す。」

 

「昨晩神崎さんと喧嘩して嫌がる彼女を玄関前で抱き寄せましたね。かっこ良かったですね、門倉君。」

 

「ッ!?このタコ教師!!どこで嗅ぎつけやがった!?」

 

逃げ回る殺せんせーを追いかけ回した門倉君は神崎さんの赤く染まった顔を見たクラスメイト(特に杉野)から追いかけ回されていた。3日間に及ぶハードな練習を終え、皆疲れ果てている中殺せんせーは話を続ける。

 

「次は対戦相手の研究です。この3日間、竹林君に偵察してきてもらいました。」

 

「面倒でした。」

 

そう言いながら竹林君はパソコンを開き、写真や、グラフを用いて説明し始めた。

 

「進藤の球速はMax140.5㎞/h、持ち球はストレートとカーブのみ。練習試合も9割方ストレートでした。」

 

「あの豪速球なら、中学生レベルじゃストレート1本で勝てちゃうのよ。」

 

「そう、逆に言えばストレートさえ見極めればこちらのものです。という訳で、ここからの練習は先生が進藤君と同じフォームと球種で進藤君と同じにとびきり遅く投げましょう。さっきまでの先生の球を見た後では彼の球など止まって見える。では、練習を始めましょう!」

 

その後日が暮れるまで僕等は練習し続けたのだった。そして、試合当日学年トーナメントが終わり、僕等の試合が始まろうとしていた。

 

『えー、それでは最後に3年E組対野球部のエキシビションマッチを行いたいと思います。』

 

試合前に整列した僕等と野球部、体格が全く異なる両者の力量の差が伺える。挨拶を終え、それぞれが散らばる時に進藤君が杉野に話しかける。

 

「学力と体力を兼ね揃えたエリートだけが選ばれた者として人の上に立てる、それが文武両道だ杉野。お前はどちらも無かった、選ばれざる者だ。そして門倉。」

 

「ん?」

 

「選ばれた者にも関わらず簡単に捨て落ちぶれた貴様には以前味合わされた屈辱を味合わさせてやる。」

 

「前から思ってたんだけどさ、進藤って選ばれたとか選ばれてないとか完全に厨二病こじらせちゃってるよね。そろそろ卒業したら?」

 

「…ほざいてろ。」

 

進藤君は殺すような目つきで門倉君を睨み、マウンドに上がっていった。一回表、攻撃から始まるE組側のベンチでは殺せんせーがボールに紛れてサインを出している事を分かり、サインの激励から皆やる気を出していた。そして1番打者の門倉君がヘルメットを被り準備をしていると、そこに杉野が声をかける。

 

「なあ門倉、進藤となんかあったのか?」

 

「ああ、前に理事長に頼まれて1打席勝負した時があってさ。その時にホームラン打っちゃってそれ以来妙に突っかかって来てたってだけだよ。」

 

「いや、それだけって。あの進藤から打ったのか!?」

 

何気なく言うけど、あの進藤君から本当に打てるなら凄い。

 

「別に、ただ球筋が読めて振れると思ったから力任せに振ったら柵を越えただけ。ちょっと目が良ければ誰でも出来る。」

 

「そうか、羨ましいよ…お前にそんな才能まであるんだな。」

 

「杉野…」

 

杉野は自分に速球の才能が無くて悩んでた時期があった。その時の事を知っていた僕は何も言えなかった。そんな杉野の様子を門倉君は見て、バットを手に取る。

 

「なあ杉野。」

 

「‥‥‥‥‥?」

 

「これは、俺の持論なんだがここ1番の勝負で勝てる奴ってのは才能は関係なく、2種類の人間だと思う。1つは努力し続けられる奴、もう1つは勝負を楽しめる奴だ。」

 

「…………」

 

「楽しめよ、杉野。才能が全てなんていうつまんない価値観、ぶちのめしちまえ。お前なりのやり方でな。」

 

「…………おう。」

 

「じゃあ行ってくるわ、目指せホームラン〜」

 

そう呑気に言った門倉君はバッターボックスに向かっていった。その後ろ姿を見送る杉野はバットのスイングを確認しながら僕に話しかける。

 

「カッコ良いな、あいつ。」

 

「うん。」

 

「まあ、だからこそ負けるつもりはないけどな。」

 

多分神崎さんの事を言っているのだろう。でもいつもの禍々しい表情とは違って清々しい顔をしている。そして、審判の先生の掛け声で僕等の試合は始まった。

 

 

 

門倉視点

 

『さぁ一回表、E組の攻撃。1番サード門倉。』

 

「全校生徒の前で恥かかせてやるよ。」

 

「余計な御世話だ。精々言い訳を考えとけよ。」

 

「んだと!」

 

「プレイボール!」

 

「チッ!」

 

つまらない挑発をしてきたキャッチャーからの挑発を軽く受け流し、バッターボックスから進藤を観察する。目を充血させており、どうやらキャッチャー同様さっきの挑発が効いている様子だ。

 

(竹林のデータ通りなら初球は間違いなくストレートによる力勝負。初級を狙ってみるか。)

 

そう考え殺監督のサインを見ると【ここで油断をついて打ちましょう!】という内容だったので、従う事にする。マウンド上の進藤が大きく振りかぶる。球筋は読み通りストレート、後は当てるだけ。球を見ながらあの時打ったホームランの感覚を思い出しながら俺は思い切り振り切った。

 

「なっ!」

 

一同騒然とし、勢い良く飛んだボールの行く末を見守る。そのままボールは柵を越えて行き、得点板に”1”が入る。皆茫然としてしまっており、取り敢えず何か言わないと気まずい雰囲気だったので、一言コメントする。

 

「まずは、一点。」

 

「ホ、ホームラン!!」

 

「嘘、だろ…」

 

「「すげぇええええ!!」」

 

「良くやった門倉!」

 

「何て奴だよ、お前!」

 

進藤が膝をつく、俺は一切気にならずダイヤモンドを一周する。その光景にギャラリーが驚きの嵐に包まれる。そしてベンチに戻るとE組の仲間に叩かれまくった。

 

『な、なんていう事だ!我が野球部のエースが試合開始1球目でホ、ホームランを打たれてしまったぁー。調子が悪いのか進藤選手?』

 

煩い実況は置いといて、2番木村に打順が回り当初の作戦通り動揺する進藤に対してバント作戦を仕掛け、見事にノーアウト一、二塁の状態で4番杉野に打順が回った。バッターボックスに向かう杉野に俺は声をかける。

 

「杉野。」

 

「分かってるよ、俺も楽しんでくる。」

 

そう言うと杉野は良い顔をしてバッターボックスに向かっていく。

 

(三回裏までしかないこの試合、最初の一回表でここまでチャンスを作れたのは嬉しいけど…)

 

「多分そろそろ動くよな。」

 

「門倉君、何が動くっていうの?」

 

俺の呟きに気付いた潮田が尋ねてきた瞬間に快音が響き杉野がスリーベースヒットを放つ。そして、野球部ベンチを見ると案の定俺の予想が当たっていた。

 

「この学校のトップさ。」

 

「早速ラスボスの登場かよ…」

 

E組側がどよめきに包まれる中、放送で監督変更が発表され、そこから理事長が指揮を執る事となった。理事長の入れ知恵によって杉野と俺以外こちらがバント以外ろくに出来ない事に気付いたようで、内野手外野手問わずに内野を守る超前進守備を取り始めた。普通なら反則なのだが、審判の教師は向こう側なので無駄だった。進藤の球威も上がり、その後の5番磯貝、6番前原、7番岡島が打ち取られ一回表が終了。今度はこちらが守備につく。

 

「門倉、頼むぞ。」

 

「門倉君ならいけるでしょ。」

 

「あんまし期待すんなよ。」

 

そう言われて俺がつくのはセンター、いざとなったらライトフライとレフトフライを取れと言われている。まあ、練習では取れたが…

 

「ストラーイク!」

 

(まあ杉野が見事な変化球を投げ三振を取っているので何とかなりそうだな。ただ野球部ベンチで理事長が進藤に何かを言い聞かせているのが気になるが…)

 

朧げにしか見えないが、理事長が進藤の後ろから囁き何かを言わせているのだけはわかる。そんな俺の心配を他所に、そのまま杉野が三者連続三振を取り二回表、またこちらの攻撃に移る。しかし野球部は前の回と同じく超前進守備を取っており、完全なバント対策をしている。8番でこの回1人目のバッターである赤羽はどうやらさっき殺監督に入れ知恵されたようで、バッターボックスに立った途端に野球部ベンチ側に向かって話し始めた。

 

「ねぇー、これずるくない理事長先生?こんだけ邪魔な位置で守ってんのにさ、審判の先生も何も注意しないの。お前らもおかしいと思わないの?ハハッあーそうか、お前ら馬鹿だから守備位置とか理解してないんだね。」

 

「小さい事でゴタゴタ言うなE組!」

 

「たかだかエキシビションで守備にクレームつけてるんじゃねえよ!」

 

ギャラリーからのブーイングが響き渡る。赤羽の目線に従って殺監督の方を見ると、どうやら予定通りのようでオッケーサインを出していた。そしてそのまま赤羽、9番三村が三振に倒れ、俺に打順が回る。

 

「門倉、ホームラン打ってこいよ!」

 

(無茶言うなよ‥…)

 

そう言われて送り出された俺はバッターボックスに立つ。先程ホームランを打ったせいか野球部は完全に守備位置を通常時に戻しており、外野も深めに戻っている。まさに警戒されており策が欲しいピンチなのだが、殺監督からのサインもないし、純粋な打席勝負となりそうだ。恐らく読みと竹林のデータ分析が正しければ、決め球はカーブにしてくる筈である。そして、カーブは殺ピッチャーに何度も打たされていた。

 

「うぉおおおら!」

 

1球目、外角低めのストレートでカウントを稼いでくる。これはあくまでも見逃す、狙いをカーブに絞る。

 

「どぉした?さっきのはまぐれだったのか?」

 

「………」

 

キャッチャーからの挑発を無視し、打席に集中する。

 

「まだまだだぁ!」

 

(来た、カーブ!)

 

「ファール!」

 

読み通りカーブだったが、バットコントロールが甘かったようで、ボール半分上を叩いてしまいファールになる。これでノーボールツーストライク、完全に追い込まれた。進藤は勝ち誇ったような顔をしているが、俺は正直落ち着いていた。

 

(まあ俺がここで三振しても3点リードがあるだし、空振りでもいいんだけどね。)

 

諦めが入りながら構えていると、一塁側ベンチから見知った声が響いてくる。

 

「タッちゃん!」

 

「有希子!?」

 

そこにはバスケを終えたであろうE組の女子達がフェンス越しに試合を見ており、その中でも周りの女子に押され前に出てきた彼女は顔を赤らめると、普段考えられない大きな声で叫ぶ。

 

「…打って!!」

 

その一言で俺にスイッチが入る。

 

(好きな子にあんな事言われたら、男として打つしかないでしょ。)

 

「ーーーー、ーー、ーーーーーーーーーー。」

 

周りの騒音、キャッチャーの挑発も耳に入らない。完全に神経が研ぎ澄まされ、ピッチャーとボールしか映らない。

 

(この瞬間だけでいいから俺は野球に全てをかける。ボクシングの神様ごめんなさい、この打席だけ浮気を許して下さい。)

 

神に祈り、俺の視界に映るのは進藤のみ。その進藤が大きく振りかぶり、ボールを放る。

 

「悪いな。」

 

止まっているかと誤解するぐらいゆっくりと動く、ど真ん中から外角低めに落ちるカーブに合わせてバットの芯を合わせ、振り抜く。

 

「ナァッ!?」

 

当たった瞬間分かる手応え、さっきのホームランとは異なりものすごいスピードで飛んでいったボールは電光掲示板に当たり、ゆっくりと地面に落ちる。

 

『ホームランだぁああああ!!1番門倉2打席連続ホームラァァァン!これは超展開だー!我が椚ヶ丘中野球部エース、進藤一孝が完敗してしまったぁあ…』

 

この瞬間進藤は崩れ落ち、俺はまたダイヤモンドを一周する。今回はE組女子からの声援もあり気分良くベンチに帰る。ベンチに帰ると俺は大喜びするチームメイトとハイタッチする。

 

「お前本当にホームラン打つなよ!?」

 

「いってぇ!いやどっちだよ!」

 

皆で笑う中、俺は杉野に近づく。

 

「杉野、後は任せたぞ。」

 

「…おう!」

 

その後、2番木村3番潮田4番杉野は打ち取られてしまうが、E組の4点リードで試合が進む。

 

 

 

 

潮田視点

 

門倉君のホームランの後、二回の裏野球部の攻撃で1点取り返され、三回の表を三連続三振で抑えられた僕等は最終回、三回裏の守備についていた。

 

『さぁ、三回裏。いよいよ、野球部の攻撃を残すのみ!』

 

向こうは1番バッターからであり、綺麗なセーフティバントを決められサードの木村がもたついてしまい内野安打を決められる。そして、2番、3番がバントを行いノーアウト満塁となる。

 

『ノーアウト満塁。ここで迎えるバッターは我が校が誇るスーパースター、進藤君だぁああ!』

 

「踏み潰してやるぅ、すぅぎのぉ!」

 

打席に立とうとする進藤君は完全に試合前とは違い、鬼のような形相をしている。内野手がマウンドに集まり、作戦会議をする。

 

「やっぱり進藤は敬遠するしか…」

 

「おーい、監督から指令ー。俺と門倉君で超超前進守備ってさ。」

 

「任せろ。」

 

カルマ君と門倉君が外野からこっちにやってきて、作戦の内容を伝える。その内容を聞いた僕等はそれを信じ、各自の守備位置に散らばる。

 

『さぁ、試合再開…ですが、こ、この前進守備は?!』

 

バッターから2メートルしか離れていない位置に門倉君とカルマ君が立っている、超前進守備、野球部がバント対策に取っていた守備だ。

 

「明らかにバッターの集中を乱す位置を守ってるけど、さっきそっちがやった時審判は何も言わなかった。文句無いよね、理事長?」

 

「そして、これはたかだかエキシビションマッチ。ムキになる方が馬鹿なんですよね、先生。」

 

カルマ君と門倉君がそれぞれ理事長と審判の先生を挑発している。

 

「ご自由に、選ばれた者は守備位置程度で心を乱さない。」

 

「へぇ、言ったね。じゃあ遠慮なく。」

 

理事長の余裕な笑みにのせられ、カルマ君と門倉君はもっと接近し、バットを振れば頭に当たってしまう程まで近づく。

 

『ち、近い!前進どころかゼロ距離!?振れば当たる距離だ。』

 

「気にせず打てよスーパースター。ピッチャーの球は邪魔しないから。」

 

「そーそー。俺もこいつもお前のスイング程度簡単に避けてやれるしな。」

 

「くだらないハッタリだ。構わず振りなさい進藤君。骨を砕いても打撃妨害を取られるのはE組だ。」

 

杉野が投げ、進藤がバットを振るが殆ど動かずすんでの所で2人共避け、ミットにボールが収まる。

 

「ストラーイク!」

 

「ダメだよそんな遅いスイングじゃ。次はさぁ、殺すつもりで振ってごらん。」

 

「ヒィッ!?」

 

この時点で、進藤君は理事長の戦略に身体がついていけなくなった。ランナーも観客も野球の形をした異常な光景に呑まれていた。そして、怯えきった進藤君がボールに辛うじて当てる。

 

「渚君!」

 

ジャンプしたキャッチしたカルマ君からボールを渡されホームベースにタッチする。これでワンナウト。

 

「三塁!」

 

サードの木村君に向けてなげ、木村君がキャッチしてツーアウト。

 

「木村!次一塁、ランナー走ってないから焦んなくていいぞ!」

 

「りょーかい!」

 

木村君からの送球をファーストの菅谷君がキャッチし、これでスリーアウト。

 

「アウト!」

 

試合は終了し、4対1でE組の勝利となった。

 

『ト、トリプルプレー。ゲームセット…なんと、なんと、E組が野球部に勝ってしまったぁぁ!?』

 

(見てた人達は知る由も無いだろうな。試合の裏の2人の監督の数々の戦略のぶつかり合いを。)

 

試合後杉野はどうやら進藤君に認められたようで蟠りは解決したようだ。そして、神崎さんの要望に応えホームランを打った門倉君は…

 

「ゆき」

 

「か、門倉先輩!お疲れ様でした、これ受け取って下さい!」

 

「ズルい!私も!」

 

「私も!」

 

「あたいも!」

 

「おい、ちょっとどいてくれって!?」

 

神崎さんの所に行こうとすると、多くの女子に囲まれて止められてしまう。どうやらA組にいた時からモテていたようで、その頃からの追っかけらしい。肝心の神崎さんはというと門倉君の困惑している様子を見て怒ってしまったようで。

 

「…知らない!!」

 

とだけ言い残しE組校舎の方に帰ってしまい、それを見てた門倉君は暫く女子達に囲まれていながら放心状態となっていた。

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