東方守護執事   作:結城勇気

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 次は十四話と書くと言ったな。あれは嘘だ。






 いや、あの、すいません。別に嘘のつもりじゃなかったんですけど……なんていうか、十四話どうするか思いつかなくって。場つなぎ的な感じで、「十三、五」を投稿しました……。めっちゃ短いです。

 きっとこれは罠だ! あの水銀の蛇が私を陥れようとしている罠なんだ!

 くそ、あのニートめ! 本編でひどいことしてやろうか!


 て訳で、とりあえずどうぞ。


第十三、五話「あの時からこの思いは変わらない」 Side 宗次朗・鈴仙

 僕と鈴仙(れいせん)とは月にいた頃からの付き合いだ。始まり、というか出会いは、彼女が月の住人、つまりは元地上の都市に住んでいた人間達に暴力を振るわれているところを発見したことから。

 

 月に住んでいる玉兎(ぎょくと)達はいわゆる敗者だ。月にやってきた人間達による侵攻に抵抗していたけれど、人間達の進歩しすぎた科学力のせいか、人間の指揮官が有能だったのか。それとも他に要因があったのかは知らないけれど、鈴仙達は負けた。

 

 人間ってものは、敗者を劣等種として迫害したり、奴隷として扱う事が多い。それは歴史が証明している。玉兎に関しても例外じゃなかった。

 

 先住民だからとか、同じこの世界に生きる存在だとか、そんなものは関係ない。勝ったか負けたか、重要なのはただそれだけ。

 

 勝てば全てを手にし、負ければ全て奪われる。それは僕ら人間だろうと、彼女たち玉兎だろうと、動物だろうと共通した事実。

 

 でも人間が作り出す社会という物の中では少し違う。ただ殺されるだとか、肉食獣に食われる草食動物よろしく食物として食べられる訳でもない。

 

 文字通り全て奪われる。命も、身体も、精神も、家族や友人、家やペットに至るまで。奪われ、壊され、犯し凌辱し尽くされる。別種族だろうがそれは変わらない。

 

 玉兎の地位はまさしく最低。単純なペットとして飼われるならまだマシな方。奴隷として扱われ人権――玉兎に対して適切な言葉かは分からないけど――など完全無視で人間にいいように使われる。女の玉兎は、法では禁止されながらも慰み者として売られることも少なくなかったみたいだ。

 

 だから正直な話、彼女、鈴仙が暴力を振るわれていようが、当時の僕にはどうでもよかった。

 

第一あの頃の月じゃ大して珍しい事でもなかったし。他人に関心を抱くほど、僕は暇じゃない。興味が湧くとすれば、ドランの時のように気まぐれや直感による所が大きい。

 

 なら、あの時彼女を助けたのは興味が湧いたから? 答えは否だ。

 

 とある目的で玉兎を探していて。たまたま目についたから彼女でいいか。その程度の理由。興味なんてなかったし、単純にどうでもいい仕事を終わらせたかった。

 

 その目的というのも、当時の永琳が作った部隊員を集め、鍛えること。目下目標は月軍最強。

 

 という訳で、助けた後強制的に鈴仙を永琳の家に連れ帰り、彼女にとある役職を与えた。

 

 

 

 

 

 

 『月軍第二三五独立部隊“フォルモント・ハーゼ”隊長』

 

 

 

 

 

 

 あの時響いた彼女の叫び声は、未だに覚えている。

 

 まぁ、そりゃ突然『隊長やってくれ』なんて言われたら驚くよね。

 

 でも彼女を隊長にしたのは、偶然とはいえ正解だったみたいだ。

 

 僕がナチス・ドイツの軍に所属していた頃、黄金の獣(ラインハルト)の同僚をやってた頃、徹底的に教え込まれたことを、彼女に教え込んだ。

 

 さすがに思想とかいらない事までは教えてないけど、それら全てを完全に吸収し、その辺のの連中とも、他の玉兎とも格が違うほどの兵士に育ってくれた。いや、さすがにやりすぎたか、とは思ったけどね。

 

 いつからだったか、彼女が僕の“愛しきモノ”に加わってたのは。だから全力で鍛え上げんたんだけど。いや、それを言うなら、“フォルモント・ハーゼ”の隊員全てが僕の“愛しきモノ”なんだけどね。

 

 あぁ、今でも月を見るたびに思い出す。彼らとの日々を。

 

 今でも彼らの思い、感じてる。比喩でもなんでもなく、感じてるんだ、彼らの“愛”を。でなければ僕が彼らを想えるはずがない。

 

 いつか。いつかまた、鈴仙と彼らと、笑って過ごせる日々が来ればいい。

 

 月を見るたびに思うその願いも、地上に降りた時から変わらない――。

 

 

 

 

 

 

 

 Side out 宗次朗

 

 

 

 

 

 

 

      *  *  *

 

 

 

 

 

 

 

Side Cange 鈴仙

 

 

 “フォルモント・ハーゼ“は、師匠が(上の人達を脅して)設立した部隊です。

 

 部隊構成は隊名の『満月兎』の通り、私を含める玉兎達だけ。

 

 基本的な仕事は、(あまり必要ないけど)月の防衛、及び師匠の作った兵器やら何やらの試験。あ、ついでに姫様の護衛もちゃっかり入ってたりします。

 

 実戦部隊は姫様の護衛の事もあって、女性の玉兎だけ。()は(武器等の)整備兵・工兵やら食堂のコックやらばかり。

 

 設立当初は、月各地から掻き集めたほとんどの玉兎達で作られた部隊だからか、かなり侮られていたみたい。第一玉兎はでも、それは最初のころだけ。

 

 みんなに“教官”と呼ばれ慕われていたクライスさん。彼の厳しい、とてつもなく厳しい訓練を生き抜いた私たちと、他の部隊とでは練度が違いました。まぁ、当然と言えば当然なのかも。彼らは月が襲撃されるなんてほとんど考えてないのだから。

 

 個々人の圧倒的実力。あらゆる戦場であらゆる状況に対応する能力。

 

 いつの間にか私達“フォルモント・ハーゼ”は、月軍最強部隊とまで呼ばれるほどに成長しました。そのおかげもあってか、私達玉兎の地位は、今までより良くなりました。奴隷的扱いは変わりませんが、それでもマシなレベルになったし、月人ほどではないけれど、普通の生活も出来るようになりました。

 

 それ故、私たちにとってクライスェア・ヴァーンヘリアスという人は、伝説的というか、神様と同等の存在と言うか。とにかく感謝してもしきれないくらい恩を感じています。

 

 彼の性格上、最初は特に私たちの事を考えてとか、そんなことはなかったでしょうけれど、それでもこの想いは変わりません。クライスさんに恋する女性玉兎も多くいるでしょう。わ、私も……その。はい、あの……。はい……。

 

 これも全部あの時クライスさんに運良く見つけられたから。多分、別の玉兎だったとしても“フォルモント・ハーゼ”は設立されただろうし、私も多分そこにいるとは思いますけど……でもきっと、私は彼のそばにはいられなかっただろうから。

 

『君、今日から彼女(永琳)の作った部隊の隊長やってもらうから。よろしく』

 

 あぁ、今でも思い出せます。さらっとそんなことを言ったクライスさんの声も、特に何も思ってない表情も。

 

 あれから始まった私の恋。

 

 きっと叶わない。

 

 彼にはもう恋人がいるのだから。

 

 それでもこの想いは消せない。消したくない。

 

 願わずにはいられないんです。

 

 いつか――彼の隣に、と。

 

 ずっと。ずっと。ずっと前から、この願いだけは変わらない――。

 

 

 

 

 

 




 今まで玉兎を「ぎょくと」じゃなくて「たまうさぎ」って読んでました。

 ぶっちゃけ玉兎って男いるの? って調べようと思って結局出なかったんですけど、この読み方を見たときは「なんじゃその面倒な読み方は」って思っちゃいましたよ。

 あ、そうそう。言っとかなきゃ。

 みんな大好き(?)うどんげこと鈴仙ですけど。人間が月侵攻しだしたときって、恐くなって地上に逃げてるらしいんですよねー。だから原作的にうどんげが侵攻後、月にいるのはぶっちゃけおかしいわけで。

 でもまぁ……守護執事は二次創作なんで。勘弁してくださいな。


 ではまた次回!
 次こそ……次こそはちゃんと十四話投稿しますからねっ!!

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