短編置き場   作:オシドリ

9 / 14
いつも誤字脱字報告、また感想評価有難うございます。
お陰でかなり励みになっています。

では、続き。


ネタ・僕のヒーローアカデミア2

[特撮] ジライヤについて語るスレ 其の*** [避難用]

 

1 名前:下っ端戦闘員さん

 

このスレは特撮忍者ことジライヤについてまったりと語るスレです。

次スレは>>800にお願いする。無理ならば誰か代役をお願いすること。また荒らしや煽りはスルーで。

 

■前スレ

ジライヤについて語るスレ 其の***

http://***~

 

■関連スレ

特撮について語ろうスレ

http://***~

アニメについて語るスレ

http://***~

 

 

2 名前:下っ端戦闘員さん

>>1乙

 

3 名前:下っ端戦闘員さん

乙!

 

4 名前:下っ端戦闘員さん

乙。ジライヤ遂にやりやがった

ありがとうございます

 

5 名前:下っ端戦闘員さん

やっちまいましたね……

ありがとうございます

 

6 名前:下っ端戦闘員さん

なんて卑劣な忍術だ…

う、ふぅ……

 

7 名前:下っ端戦闘員さん

卑劣というか卑y

いいぞもっとやれ

 

8 名前:下っ端戦闘員さん

相変わらずショーは面白かったし凄かったんだけど、最後のインパクトで全部持っていかれた

あと>>1乙

 

9 名前:下っ端戦闘員さん

生放送もしてたのにあれは反則技

ありがとうございます

 

10 名前:下っ端戦闘員さん

ネットもテレビもハーレムの術ばっかで草

>>6 臭い

 

11 名前:下っ端戦闘員さん

なんで前スレがこんなに流れるのが早いんだ

あとジライヤ、おかずをありがとう

 

12 名前:下っ端戦闘員さん

というかもう術の名前付いたのか

 

13 名前:下っ端戦闘員さん

エロに釣れられてスレ民が一気に湧いたからしゃーない

 

14 名前:下っ端戦闘員さん

ジライヤのWIKIにハーレムの術って追加されてた

コメ欄に「やり過ぎたごめんなさい」って書いてある

 

15 名前:下っ端戦闘員さん

仕事はっやーい。本人?

 

16 名前:下っ端戦闘員さん

誰もジライヤが銃弾叩き落したり、オールマイトを蹴り飛ばした事について触れない件

 

17 名前:下っ端戦闘員さん

だって忍者だし

 

18 名前:下っ端戦闘員さん

多分本人。自分で編集してるって噂だし

 

19 名前:下っ端戦闘員さん

アイツならやりかねん。というか、ふっつーに強いぞ

前にセメントスの壁を殴ってぶち抜いたり、エンデバーの炎を水遁の術で吹いて消したりしてる

 

20 名前:下っ端戦闘員さん

海外スレがHENTAIとNINJYAの文字で埋まってる…

 

21 名前:下っ端戦闘員さん

>>16 ヴィランが自分の個性を解説するのか…

 

22 名前:下っ端戦闘員さん

ジライヤの場合、個性を知られても素の能力が高すぎるから

あと汚忍だから問題無し

 

23 名前:下っ端戦闘員さん

外人はエロと忍者好きだよね

僕も大好きです

 

24 名前:下っ端戦闘員さん

ジライヤ「壁を垂直に走るコツは落ちるより速く足を前に出すことです」

 

25 名前:下っ端戦闘員さん

ほーん、なるほ…出来るかアホ!

 

26 名前:下っ端戦闘員さん

動画纏めました

つ【ジライヤの忍術動画】

全裸の奴が見たいならこっち

つ【ハーレムの術】

 

27 名前:下っ端戦闘員さん

>>26

ナイスぅ!

 

28 名前:下っ端戦闘員さん

実際には秘密と言うか、壁登るための技術があるとか

壁に垂直に立てるのもその技だと

 

29 名前:下っ端戦闘員さん

ジライヤって卑劣様と呼ばれてるけど、なんで?

 

30 名前:下っ端戦闘員さん

前になんかのインタビューに答えた結果だから

↓その時のコメ

ジライヤ「ヒーローショーもそうですが、周りに被害が出ないように手加減しています」

  アナ「え、手加減ですか?」

ジライヤ「本気なら分身を子供や怪我人に変化させて自爆させます(真顔」

  アナ「…卑劣ですね」

その手口とアナの発言が切欠で卑劣とか汚忍と呼ばれる様になったとさ

 

31 名前:下っ端戦闘員さん

えぇ…(ドン引き

 

32 名前:下っ端戦闘員さん

なんでこいつヴィランなの?って思ったけどその発言だけでヴィランだわ

 

33 名前:下っ端戦闘員さん

汚い、さすが忍者汚い

 

34 名前:下っ端戦闘員さん

実際はそんな事はやらないみたいだけどね

 

35 名前:下っ端戦闘員さん

ただの特撮好きでヒーローショーやるだけの忍者だもんな

 

36 名前:下っ端戦闘員さん

【悲報】ジライヤの生放送やった投稿者達、無修正エロ流したから垢凍結へ

 

37 名前:下っ端戦闘員さん

草ァ!

 

38 名前:下っ端戦闘員さん

やっちまいましたなぁ

 

39 名前:下っ端戦闘員さん

安易に再生数を稼げるから撮ってたんだろ

 

40 名前:下っ端戦闘員さん

まさか、これがジライヤの狙い…(戦慄

 

41 名前:下っ端戦闘員さん

なんて卑劣なんだ…

 

42 名前:下っ端戦闘員さん

卑劣な垢ロックだ…

 

 

「やっちまったぁ……」

 

 ネットを覗いていたジライヤはガシガシと頭を掻きむしり、項垂れてしまった。

 プロヒーローと警察からの追跡を振り切り、住んでいるアパート(1K)へと帰還してからはずっと憂鬱だった。

 今回のショーについてではない。あれ自体は大成功を収め、グッズの売り上げもまずまずだった。

 

「はぁ……」

 

 ため息をついてテレビをつける。やはりというか、殆どの局では今日の惨状についての話題ばかりだ。大量に投入されたオールマイトらプロヒーロー達や警察が撃退されたという話は殆どない。

 あるのは、モザイク処理がされた全裸の美男美女が走り抜けていく映像ばっかりだ。ジライヤがやった『ハーレムの術』である。 

 

 つまり、やりすぎたのだ。

 やり過ぎて肝心のヒーローショーが全く目立っていない。

 今回のはかなりの熱演だったのだ。殺陣専門の役者から動きと立ち回りを教わり、声優学校に通って発声の仕方を学び、わざわざ見た目は派手だけど影分身が消えないほど威力が無い忍術を開発し、一層の臨場感だって持たせたのだ!

 それが最後のエロで全部吹き飛んだ! なんてこったい!

 

 確かにジライヤも攻撃的な忍術も使える。ただ、あれだけの人数を穏便に、街への被害と怪我人も出さずに済ませるにはアレしかなかった。

 だが、他にも方法があったんじゃないかと自責の念に駆られてしまう。

 

 それも他の特撮ファン達に迷惑をかけてしまったからだ。数少なくとも残っていた特撮ファン達との交流は楽しく、今までの活動で少しでも増えたことに喜び、ヒーローショーが切欠で特撮が好きなったという新人がスレに現れたときは私も嬉しかった。

 

 だが、この一件で特撮ファン達のスレもハーレムの術に釣られた者共が湧いている状況であり、スレが荒れてしまっている。それが悲しかった。

 

「ハーレムの術は禁術指定だ。これは危険すぎる」

 

 ジライヤの中では穢土転生に並ぶ超危険忍術として登録されることになった。

 

「まあ悔やんでも仕方ないか」ジライヤは切り替えた。

「よし、次のヒーローショーはハーレムにも負けない、インパクトのあるものにしよう」

 

 なれば、アレしかない。直ぐに準備に取り掛かろう。

 

 さて、まずは演技の練習だ!

 

 

 昼の十二時。ある街の交差点。

 

「イーッ!」

「イーッ!」

 

 突如、プラカードを持ったショッカー戦闘員が現れた!

 

「お、始まるぞッ!」

「ジライヤだ!」

「ジライヤ―! オイラにハーレムを見せてくれー!」

 

 先日の一件で世間に広く認知された事でにわかにファン――勿論、特撮好きのファンも多い――が増えたこともあり、いつもヒーローショーを行う交差点には多くの人がごった返していた。春休みのせいか学生らしい若人も多く、しかも妙にカメラ持ちが多かった。勿論、プロヒーロー達も待機していた。

 今までにない人の多さにショッカー戦闘員達は更に数を増やし、必死になってステージとなる空間を空け、ようやく準備が整った。

 

「「「イィーッ!」」」

 

 直後、暗くなった。 

 いや、何かが上に現れて日差しを遮ったのだ。

 それは地響きの音(ただし衝撃は無い)を立て、街の交差点に立った。

 

『フォッフォッフォッフォ!』

 

 辺りをぎょろぎょろと動く二つの目で見回し、鉄をも切り裂く巨大な鋏をカチカチと鳴らして嗤っていた。更には近くのビルのガラスを覗き込んだり、観客を見下ろしてポーズをしたりとやりたい放題している巨大なセミの様な生物。

 

「ば、バルタン星人……」

 

 人々は絶望した! 大声を上げ、誰もがこの危険を知らせようと手に持ったカメラやスマホを取りだした。また勇気ある子供や大人がショッカー戦闘員達の制止を振り切って巨大なバルタン星人に向かって突撃する!

 だが、無力だ。足に抱き着いたり、自撮りしたりして対抗するがバルタン星人に軽くあしらわれ、そのまま「危ないですよー」とショッカー戦闘員達に捕まってしまう。

 子供や大人達は悲鳴をあげ、泣き叫んだ。(なお、昨今のセクハラ問題に対して念のため男性には男性の分身が、女性には女性の分身が対応している)

 

『フォッフォッフォッフォ!』

 

 バルタン星人が暴れる! 辺り構わず鋏を振り回し、近くのビルを叩き壊し、瓦礫が飛び散る。バチバチと切れた電線がスパークし、ビルから火の手が上がった。

 (なお、安全のため見た目だけであり、現実には壊れていません)

 

 バルタン星人が笑う。ショッカー戦闘員達が笑う。

 泣く女の子が細い声で言った。誰か助けて、と。

 

「もう大丈夫だよ」

 

 優しく、女の子の頭を撫でるのは見たことが無いヒーローだった。ヘルメットにオレンジの制服を着ており、眉が濃くやや彫の深い顔立ちをしている。

 

「バルタン星人! 貴様の好き勝手にはさせないぞ!!」

「あれは……」

 

 男は、右手に持ったカプセルを高く掲げた。

 いつの間にか現れた小さなショッカー戦闘員達が並び、伴奏と共に歌い始めた。

 

「おお、この曲はッ!?」

「へぇ、聞いたことないけど良い曲だな」

「初代ウルトラマンの歌だ!」

 

 掲げたカプセルに光が集まる!

 

『シュアッ!』

 

 光と共に現れるのは、右手を高くつきあげる光の巨人!

 

「ウルトラマンだ!」

「初代ウルトラマンが来た!」

「タイプA? B?」

「ここからだと分からんね」

「がんばってー、ウルトラマーン!」

 

 声を上げる観客たちを背に、ウルトラマンとバルタン星人による戦いが始まった。

 

『デュアッ!』

『フォッフォッフォッフォ!』

 

 両者同時に駆け寄り、バルタン星人がウルトラマンを鋏で殴り飛ばす。その鋏をウルトラマンは胸板で受け止めると、そのまま掴んで空へ大きく投げ飛ばす。飛んだバルタン星人は空中で姿勢を整えると、そのまま真っすぐ飛んで戻ってくる。ウルトラマンはそれを律儀にがっぷりと四つになって受け止めた。

 

『へアッ!』

『フォッフォッフォッフォ!』

 

 ウルトラマンの大振りな左のパンチ。それをバルタン星人は余裕で受け止め、逆に腕を掴んで叩きつけるように投げた。

 

「おおッ!?」

「こりゃスッゲぇな!」

 

 宙を舞う50mもの巨人に、観客達も大興奮だった。

 うずくまるウルトラマンに対し、バルタン星人は鋏を立てて高笑いをしていた。そして立ち上がったウルトラマンに両手の鋏を叩きつけ、そのままウルトラマンへ連続攻撃を行う。

 

『フォッフォッフォッフォ!』

『シャアッ!』

 

「頑張れ、ウルトラマン!!」

「ウルトラマン、負けないで!!」

 

 ウルトラマンのピンチに観客達も声援を送る。そしてウルトラマンがどうにか攻撃をはじき返し、そして殴り返すとバルタン星人がたたらを踏む。

 即座にウルトラマンが八つ裂き光輪を投げたが、なんと弾かれた。

 

「光波バリアだ!」

『フォッフォッフォッフォ!』

 

 正解だと言わんばかりに高笑いするバルタン星人に、ウルトラマンは仁王立ちして放ったウルトラ眼光でバリアを打ち消してみせた。

 バリアが消えたことに狼狽えるバルタン星人。鋏をカチカチ鳴らし、そのまま殴りかかる。

 

 と、その時、悲鳴が上がった。

 

「強盗だッ!」

 

 近くでショーを見守っていたジライヤ(本体)は即座に反応した。声がした方を見まわす。いた。どうやらヒーローショーで集まった人達からスリをしていたらしい。

 しかも逃げまわる男の個性は増強系なのか、肥大化させた両腕を振り回して暴れている。

 

「あの個性でスリねぇ……」

 

 真面目に働けば――、いや自分が言う事じゃないか。

 まあ、警戒中だったプロヒーロー達が即座に対処に移った。じきに捕まるだろう。そう考えた矢先。

 

「オラァ!」

「む……」

 

 ヴィランは火事場の馬鹿力というのかプロヒーロー達の攻撃を弾いて猛烈な勢いで走り出し、伸ばした手で近くにいた少年を捕まえた。

 

「クソ、クソクソクソッ! 動くんじゃねぇよ!」

 

 人質になったのは緑髪の少年だった。身体を握り絞められ、気弱そうな顔を恐怖に歪めて涙を溜めていた。

 

「俺に近づくんじゃねぇ! 近づいたらコイツを握りつぶしてやるッ!」

 

 ヴィランは興奮しきっていた。何かの拍子に手に力が入る可能性があるため、早く助け出したくともプロヒーロー達は動くことが出来なかった。

 思わず溜息をついた。ああ、全く。仕方がない。

 

 ――忍法・影真似の術

 

 周囲の人々にその言葉が聞こえるのと同時に、ヴィランの身体がブルブルと震え出した。

 

「な、か、から、だ、が……」

「ヒーローショーやっている最中に、騒ぎを起こされると困るのだが」

 

 誰もが声の主を見やった。緑色のベストを着た忍び装束。額当てに口元を覆うマスク。見える瞳は鋭く、ショーを妨害したヴィランを睨み付けている。

 

「ジ、ジライヤ……!」

「ジライヤだ!」

「本体が出てきた!」

 

 ジライヤがゆっくりと腕を動かす。相対するヴィランの手もゆっくりと同じように動き、少年を掴んでいた手が離されていく。解放されたとみるや、すぐさま『シンリンカムイ』が腕を伸ばして救助した。咳込んでいたが、少年に怪我は無いようだ。

 

「早くこのヴィランを拘束しろ。この術はあまり長く持たん」

「お、おう!」

 

 『デステゴロ』がヴィランを取り押さえたところで影縛りを解除。周りの観客から歓声が上がり、そしてプロヒーロー達がジライヤを相手に構えた。

 

「ジライヤ、出てきた以上は逃がさん!」

「気をつけろ、奴の忍術は危険だ!」

「プロヒーローをここに集めろ! 近隣に応援を呼ぶんだ!」

「……はあ、面倒だな」

 

 いつもならショーが終わるまで観客がブーイングを起こすものだが、今日に限ってはそれは低調だ。むしろ、これから起きる戦いを楽しみにしているようだ。やはり前回の影響が強いらしい。

 

 ただ、これだけは言いたかった。言わなければならなかった。

 

「安心するといい。今後ハーレムの術は公共では使わん」

 

 ジライヤの発言にプロヒーロー達はあからさまに安堵の表情を浮かべ、観衆達からは悲鳴のようなブーイングの嵐が巻き起こった。

 

「ふざけんなー! オイラにも生で見せろォー!!」

「やかましいッ! あんな危険な術は禁止だ禁止! 後片付けが大変だったんだぞ!?」

 

 ちなみに、ジライヤはヒーローショーで使った場所は毎回ちゃんと綺麗に掃除していた。それが最低限のマナーだと思っていたからだ。あの血だまりを綺麗にしたのもあの場に残っていたジライヤの影分身達だった。水遁を使っても血は中々落ちないので大変だし、壊れた場所を土遁で直すのも結構大変なのだ。

 

 血涙流して悲しむ馬鹿は放っておき、目の前に集中する。

 状況は良くない。現時点でもプロヒーロー達が多い上に時間が経てば更に増えていく。そうなればショーどころじゃなくなる。

 

(仕方ない、予定変更だ。バルタン、攻撃頼む。AからF班は待機。G班は援護を頼む)

 

 心伝身の術で影分身に伝達。直ぐに警備中だったショッカー戦闘員達がジライヤ本体の下へ駆けつけた。既に術の多用でチャクラがもう殆ど残っていない。手早く良い感じにショーとして纏めなければ。

 

「「「イイーッ!!」」」

『フォッフォッフォッフォッ!』

 

 いい感じにウルトラマンを弾いたバルタン星人は、プロヒーロー達に向かって駆けだした。50mもの巨体を揺らし、地響きの音を立てて向かってくる姿に流石のプロヒーロー達も顔を青ざめさせた。

 だが、震える拳を握りしめ、誰もが迫りくる巨悪へ立ち向かおうとしていた。

 

「くッ、だが我はヒーローだ! ヒーローは決して逃げない!」

「応とも! バルタン星人なぞ返り討ちにしてやらぁ!!」

「その意気は良しや! まとめてバルタン星人の攻撃で散るがいい!!」

 

 観客達から悲鳴が上がる。ジライヤの号令と共にショッカー戦闘員達が飛び上がり、駆け込んできたバルタン星人の鋏が、プロヒーロー達に振り落とされた。

 

「TEXAS SMASH!!」

 

『フォッ!?』

「きゃあッ!?」

「うわぁ!?」

 

 たった一撃。咄嗟に避けたが、巻き起こった拳風にバルタン星人はたたらを踏んで後退し、まともに受けたショッカー戦闘員達が幾つもの煙となって消えていく。

 

 煙の中から現れたその男は、ゴールデンエイジと呼ばれる青をベースにしたコスチュームを纏っていた。

 

「もう大丈夫!」

 

 歩く姿は威風堂々。行く先に障害は無く、V字に2本逆立てた前髪と鍛え抜かれた身体を見せつける。

 

「何故って?」

 

 それは平和の象徴、No.1ヒーロー。

 

「 私 が 来 た ! ! 」

「げぇ、オールマイト!?」

 

 じゃーんじゃーんじゃーん!!

 

「オールマイトだ!」

「今度はオールマイトも来たぞ!」

「凄い、生オールマイトだ……!」

「HAHAHA! 先日はどーも。今日はリベンジさせてもらうよ!」

「クソ、こんな時に!」

 

 現れた救世主に観客達が熱狂する中、ジライヤは冷汗が止まらなかった。既に次の仕事へ向かっていると考えていただけに、オールマイトの登場は予測していなかったのだ。プロレスやっている最中にルール無用のデスマッチ王者が登場したぐらいヤバい。

 

「シンリンカムイ君! 君たちはあのバルタン星人を頼むよ!」

「お、オールマイトが我の名前を……! いえ、はい! みな行くぞッ!」

「行かせると――」

「させないッ!!」

 

 オールマイトが拳を突き出す。ジライヤもチャクラ操作で拳を強化し、そのまま殴り合いになる。拳打の応酬で二人を中心に暴風が吹き荒れた。

 しかし、均衡は長く続かなかった。オールマイトの方が一撃一撃が速く重かった。そして捌き切れず胸に一撃を貰う。あまりにも重い衝撃にジライヤは後ろへ飛ばされてしまう。

 

「ぐぅ……!?」

「HAHAHA、やはり君が本体の様だね。ショーが終わるまで待つつもりだったけど、君が出たなら遠慮はしない!」

 

 やばいやばいやばい――!

 ジライヤは焦った。貰った一撃が酷く痛むが、それよりも、それよりも重要な事があった。

 

(このままでは、ヒーローショーが失敗に終わる!)

 

 影分身には致命的な弱点があった。それは、ダメージを受けると術が解けてしまうのだ。

 ウルトラマンではない、No.1ヒーロー『オールマイト』にやられるならまだ仕方ないと納得できるが、唯のプロヒーローの一撃でやられるバルタン星人。

 そんなものを見せてしまったら、一ファンとして最低の行為だ!

 

(バルタン、俺が行くまで一撃も喰らうな! 全部避けろ!)

(無茶言うなアホー!?)

 

『フォッフォッフォッフォッフォッ!!』

 

 泣き言を叫びながらも街を壊さず、必死になってプロヒーロー達の攻撃を避けるバルタン星人。

 追いかけるウルトラマンもバルタン星人への攻撃がてらプロヒーローの妨害を試みているが、ウルトラマンにもプロヒーロー達の攻撃がちょくちょく飛んできてそれどころじゃなかった。

 これは、拙い。流石にあの巨体で一撃も喰らわないのは至難の業だ。

 

(一撃を与えてこの場から逃げる!)

 

 ジライヤは即座に印を組む。

 忍ぽ――

 

「忍術は使わせないよッ!」

「ぬわーーっっ!!」

 

 一撃で空にかち上げられ、そのまま空中で乱打戦となる。しかし、ジライヤはチャクラの消耗とダメージで精彩に欠き、オールマイトのラッシュに対応できなかった。

 

「SMASH!」

「がっはァ!?」

 

 捌き切れなかったオールマイトの拳が、再びジライヤの身体に突き刺さった。血反吐を吐きながら崩れ落ちるジライヤ――、そのまま大量の符が貼り付けられた丸太にと変わる。

 

「むッ、変わり身の術!?」

 

 起爆符、着火。

 

「うおおおおッ!?」

 

 轟音と爆炎に紛れ、ジライヤはすぐさま離脱した。あの程度の爆発ではオールマイトは怪我などしないし、今のチャクラ量では相手に出来ない。現在位置を確認する。オールマイトに殴り飛ばされたのと互いに動き回った所為でバルタン星人からかなりの距離があった。

 ビルや電灯などを足場にしながら飛ぶようにして駆け抜ける。

 

『フォッ!?』

 

 あ、やっべ。

 そんな副音声が聞こえたときには時すでに遅し。

 攻撃を避けた際にバランスを崩したバルタン星人が誤って並んでいた商品ごと店の一部を踏み潰してしまった。

 

「すまない店主! 後で必ず弁償する!!」

 

 ジライヤは空を見上げて呆然とする店主に一言謝り、その横を抜けていく。

 

(もう少し粘ってくれ!)

 

 駆けながら必死に印を組みあげる!

 

 忍法・影分身の術

 忍法・倍化の術

 忍法・へん――

 

「ドラァァアァァッ!!」

「ギィヤアアァアアアァァッッ!!??」

 

 目の前でバルタン星人がドラゴン、リューキュウに吹き飛ばされた!

 バルタン星人が煙に変わる。絶叫するジライヤの顔に絶望が浮かぶ。

 その時、一人の少年が叫んだ。

 

「まだです! バルタン星人の異名は宇宙忍者なんです!!」 

「なんだと!?」

 

(今だ、本体! 急げ!!)

(ナイスだ、俺!)

 

 忍法・変化の術!

 

『フォッフォッフォッフォッ!』

「分裂したァ!?」

 

 あたかも分裂したかのように煙の中から現れた大量のバルタン星人。よし、どうにかショーの演出という感じに誤魔化せた。

 

(すまん、本体。勝手に動いた)

(いや、助かった。他の奴は?)

(売り子のAと警備のB班以外は集まっている)

(よし、。みんな! このままショーを成功させるぞ!)

((したァ!!))

 

 分身したバルタン星人が全て天高く飛び、地上のウルトラマンへと構えた両腕の鋏に赤と白の光が集まる。

 

「赤色凍結光線と白色破壊光弾ッ!?」

「そんな、あんなものが地上に撃たれたら……!!」

 

 それを見たウルトラマンは腕をクロスさせる独特のポーズを取り、エネルギーをスパークさせる。

 

 そして、両者から収束された光が放たれた。

 光は拮抗し、空中で大爆発を起こした。

 

 そして、これが両者の決着をつける要因となる。

 ウルトラマンが次の技を繰り出そうと動くなか、バルタン星人は必殺の攻撃が相殺されたことに狼狽え、そして大の苦手とするスペシウムの光に怯えて動きを止めてしまったのだ。

 

 ウルトラマンが続けて放った八つ裂き光輪は自在に動き回り、宙に浮かぶバルタン星人を次々と切り裂き、煙とかえていく。

 

『デュアッ!』

『フォッフォッ……』 

 

 最後に残ったバルタン星人は真っ二つになっても飛行を続け、最後の足掻きに絶叫しながらウルトラマンへ特攻。

 たが半身ごとにスペシウム光線で迎撃され、爆発。

 勝利したのは、ウルトラマンだった。

 

「ウルトラマーン! ありがとー!!」

『シュワッチ!!』

 

 ウルトラマンは少女の叫びに小さく頷き、そして空の彼方へ飛び立っていった。

 

「危なかった……」

 

 ドタバタしたが、これにて今日のヒーローショーは終わりである。

 観客からの拍手歓声を聞きながら、ジライヤはその場に膝をついてしまった。忍術の多用とオールマイトとの戦闘で疲弊しきっており、身体が鉛の様に重たかった。

 ひとまずはセーフ。今度からウルトラマンや戦隊ヒーローは広いところでやろう。そうしよう。練習したとはいえ、気苦労が凄い。

 

「ふーむ、ショーは終わってしまったか!」

 

 そこに、オールマイトが飛んできた。他のプロヒーロー達も一緒だった。

 コスチュームがやや煤けているが、怪我一つ負っていない。分かってはいたが、起爆符の爆発を受けて無傷なのを見ると呆れてしまう。

 

「スマンが、もう相手にする元気なぞ無い。帰らせてもらう」

「逃がすとでも?」

 

 オールマイトの言葉に周りのプロヒーロー達も身構えた。

 

「逃がすさ」ジライヤは言った。「別にあれの迎撃をしなくてもいいと思うならね」

 

 ジライヤが指さした先には、今まさにオレンジ色に輝く巨大な火の玉が落ちてこようとしていた。

 それが落ちてくれば、周りへの被害は想像するだに恐ろしい。

 

「むぅん!」

 

 オールマイトの繰り出した一撃で、火の玉は呆気なく掻き消えた。あまりの手応えの無さにオールマイトは訝しんだが、直ぐに思い至った。

 

「――幻術かッ!?」

『その通り』

 

 注目が上に向いた隙をジライヤは見逃さず、逃げ出していた。

 

『今回のショーはここまで! では諸君、サラダバー!』

 

 大声援と拍手が巻き起こる中でジライヤの声が遠ざかっていき、ヒーロー達はまた逃がした事を悔しむのだった。

 

 

 さて、今回のジライヤによる被害はビルのガラスの破損が数枚、家屋一部損壊など。

 損壊した店には後日、差出人不明で賠償金と書かれた札束が入ったバックが届けられたという。

 また件のバルタン星人が踏んで壊れた店舗は建て直しが終わるまでの間、ウルトラマンとバルタン星人が戦っている写真や人形が飾られ、『バルタン星人が踏み潰した跡』としてちょっとした観光スポットになったという。




評価と感想、また誤字脱字がありましたら連絡をお願いします。

2019/09/28 一部文章を修正しました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。