魔法はお前の魂だ(魔法先生ネギま✖天元突破グレンラガン) 作:アニッキーブラッザー
「えっ!?・・・・・マジで・・・・?」
「ああマジだ!だから私の修学旅行行きを許可しろ、じじい」
学園長室にてエヴァンジェリンは早速交渉をしていた。
「し・・・しかしじゃ、おぬしの封印を一時的に緩めることは、わしにかなりの負担になるんじゃが・・・・・」
「あの~、それってどのぐらいの負担になるんですか?」
学園長に呼ばれ偶々エヴァと学園長室で鉢合わせたネギが聞いてきた。
色々あったがエヴァはネギのクラスの生徒のため、クラスの行事にはぜひ参加してほしいと思っていた。
エヴァが参加すれば自然に茶々丸も参加するので、本人が参加したいといっているのだから、出来るだけ参加してほしいとネギは思っていた。
すると学園長は恐る恐る口を開いた。
「・・・・・例えば・・・許可書の書類に5秒間おきにハンコを押すとなどじゃ・・・・・」
「5っ!?・・・・そ・・・・それは・・・」
「それも問題ない!それは私の魔力を開放する場合だ、私の今の魔力を抑えられた状態のままなら、軽い条件で可能なはずだ」
「・・・・・おぬしそこまでして京都に行きたいのか?」
魔力を封印されたままでもいいから修学旅行に行かせろ!そう言ってるのだ。
今までのエヴァならば、封印は関係なく、「めんどくさい」などと言って、興味を示さなかったはず。
今までに無いエヴァの様子に学園長も少し不思議に思った。
「いいじゃないですか!僕もエヴァンジェリンさんにも茶々丸さんにも是非参加してほしいです!みんなで楽しい思い出も作りたいです!」
「む、む~、しかしじゃ・・今年は色々あっての~、実は一人この修学旅行に行ってもらう人物がいるのじゃが・・・・その人物とおぬしは~・・・そのう・・」
「シモンとなら今朝すでに話をしてきたぞ」
「へ!?」
「えっ!?シモンさん!?エヴァンジェリンさんがシモンさんと!?それにシモンさんも修学旅行ってどういうことですか?」
学園長とネギの驚きは当然である。
昨晩の橋の上の決闘後、シモンは無闇にエヴァの触れられたくない過去に触れたため、二人の仲は最悪だと思っていたからだ。
「大丈夫ですネギ先生、学園長、マスターは今朝シモンさんとのわだかまりは解消して、一緒に朝食をとりました」
「なっ、なんじゃと!?」
「まあ、そういうことだ、そちらの心配はしなくていい。だからこれで何の問題も無いだろ?」
「・・・・・まあ・・いいじゃろう、楽しんでくることじゃな」
昨日のことを既に和解をしている事にはかなり驚いたが、魔力も封じているという条件付ならば問題は無い、
学園長は許可した。
「よかったですねー!エヴァンジェリンさん、茶々丸さん、これでみんな一緒ですよー!・・・あっ!?学園長先生どうしてシモンさんも僕たちと行くのですか?」
シモンは教員でも生徒でもない、シモンと一緒に行けるのはうれしいが、当然の疑問である。
「ふむ、実はそれでネギ君を呼んだんじゃ」
「えっ!?」
「実はじゃ、今回の修学旅行を先方の関西呪術協会が嫌がっているのじゃ」
「か・・・・関西呪術協会・・・?」
「実はワシ関東魔法協会の理事もやっとるんじゃが、この二つは昔から仲が悪くてのう・・・今年は一人魔法先生がいると言ったら、難色を示してきおった」
「えっ!?じゃあ僕の所為で・・・・」
「ここからが本題じゃ、ワシもそろそろ西とのケンカはやめて仲良くしたいのじゃ、それでネギ君に特使として西に向かい、この親書を向こうの長に渡してもらいたい・・」
すると学園長は一枚の封筒をネギに差し出した。
「しかしじゃ、途中何らかの妨害があるやもしれぬ、さらに魔法先生をこれ以上京都に送れば向こうもいい気分はせんじゃろう、そこでじゃ!魔法使いでもなく事情を知っているシモン君にもネギ君の補佐を頼んだのじゃ」
「そういうことだったんですね・・・・・」
「シモン君にはすでに了解を取ってある。なかなか大変な仕事じゃがネギ君どうかのう?」
もっとも目の前にいる少年がどう答えるのかはすでに分かっているのだが、あえて確認のため学園長は尋ねた。
そしてネギは学園長の思ったとおり、やる気に満ちた目で
「まかせてください学園長先生!」
エヴァとの戦いを経て、ネギは自分に自信を持つことが出来たようだ。
「頼もしくなったのう、ではまかせたぞい」
ネギは学園長から親書を受け取り、こんな重要な事を、自分に任せてもらえることがうれしかった。
すると、ネギの様子を見てエヴァが口を開いた。
「ふん、まあせいぜいがんばることだな、ぼーや・・・・・あっ・・・そういえば・・・」
エヴァは突然何かを思い出し、少し遠くを見つめるような瞳でネギに告げた。
「たしか京都にはキサマの親父が一時期住んでいた場所があったはずだ」
「えっ!?お父さんの!?」
ネギは驚いた。
自分がずっと追い求めていた人、その人物の手がかりとなるかもしれないものが、今回の目的地にある。
「まあ、なにか形見の品でも残っているかもしれん、時間があったら行ってみるがいい」
「そうか・・・・京都にお父さんの・・・・・えっ!?形見!?・・・・・・」
「何言ってるんですかー!?エヴァンジェリンさん!お父さんは生きていますよーーー!」
「はっ!?」
「ふぉっ!?」
今度は学園長とエヴァが驚愕した。なぜならその男の死はもう10年前のこと・・・・・
「ね・・・ネギ君・・・どういうことじゃ?」
「そ・・・・そうだ!やつは死んだ!おまえは10年前の奴の死に様を知りたかったんじゃないのか!?」
「違います!だって僕は6年前の雪の日、サウザンドマスターにあったことがあるんです!」
「「!?」」
6年前住んでいた村が悪魔に襲われたとき、自分と姉の命を救ってくれた男、そして
「・・・その時この杖をもらったんです・・・。お父さんは生きています、僕はお父さんを探し出すためにマギステル・マギになりたいんです」
「なっ・・・なんとあやつが・・・・殺しても死なんやつじゃと思っていたが・・・・」
「そんな・・・・ナギが・・・・生きているだと・・・・・」
「フ・・・・フフ、ハハハハハ!!そうかあのバカは生きているか、ククク、ハハハハハ!」
学園長室での話しを終えエヴァは自宅に戻っていた。
「ヤケニ機嫌イイナ御主人・・・・」
「姉さん、実はカクカクシカジカ」
「ホウ、マア今更アノ男ガ生キテテモ不思議ジャネーガ・・・」
茶々丸の姉でもあり、エヴァのパートナーでもあるチャチャゼロが答えた。
「ククク、まあ、まだそうと決まったわけじゃないがな!ハハハハハ」
エヴァは終始ご機嫌だった、口ではなんと言っても、もうエヴァはサウザンドマスターが生きていることを確信していた。
しかしそんなエヴァに茶々丸は疑問を口にした。
「マスター、シモンさんの事をどうするのですか」
「ん?どういうことだ茶々丸?」
「マスターは過去を決別し・・・・・その・・・・シモンさんと生きていくことを決めたのでは・・・・」
「シモン?コノ間、御主人ヲナカセタ男ダナ、ソイツヲ選ンダノカ?」
「ククク、まあまだ確定ではないが、何か問題でもあるか?」
「えっ?マスター・・・」
エヴァが機嫌よく答えた。
「目標が出来たということだ」
「目標ですか?」
「そうだ、奴と再び会った時、光り輝く私を見せてやるのさ!そして後悔させてやるのさ10年前私を選ばなかったことをな!
そして今更もう私に惚れても遅いということをなーー!ハハハハハハハ」
「ホウ、オモシレージャネーカ」
エヴァは高らかに答えた。
「そう、茶々丸。私は別にまだシモンを選んだわけではない、まだ査定の段階だ!」
「そうですかマスター・・・・シモンさんが見事合格してくださればいいのですが」
エヴァはもう明日へ向かうと誓ったのだ、生きていたのならなおさら、10年間も忘れている男を再び選ぼうとはしない。
「よし、ではさっそく修学旅行の準備でもするか、茶々丸買い物に行くぞ!ついでにシモンも連れて行ってやろう」
「マスター・・・当日でなければ、外には出られませんよ・・・・・」
「・・・・・・・・・ちっ」
すっかり忘れていたエヴァ。結局準備は茶々丸にやらせた。
「ガンメンっていうのは地上にいる獣人たちの武器なんだ、それはもう巨大なメカでさ、その力で俺たち人間は地下に押し込められていたんだ」
「巨大なメカ?・・・・・まあそういう漫画は結構あるから想像できなくも無いけどさ~」
「なっ!?すごいですね美空、私はさっぱり・・・・・」
「ココネも少シワカル・・・・」
教会でシモンは昨晩シャークティと約束したように自分の過去を話し始めた。
美空たちも学校が休みだったため、朝からシモンの話を聞いている。
「でもさ、そんなメカにどうやって立ち向かったのさ?まさかシモンさんの持っているドリル?」
「半分正解、ドリルは間違いなく俺の武器だった。でもそれだけじゃない、以前にも言っただろ俺の仕事は穴掘りだったって」
「その穴掘りがよく分かりません、どういう仕事なのですか?」
シャークティがシモンの存在意義「穴掘り」それがどういう意味か尋ねた。
「そのままの意味さ、人間たちの村は壁と天井に囲まれている。村を広げるには壁に穴を掘って広げるしかない。俺は一番うまかったから、みんなから穴掘りシモンって言われたり臭いとか気持ち悪いとか言われたんだ」
「シモンは臭くないしカッコイイ」
「ははは、ありがとなココネ、でも一番仕事の出来る俺は村長から毎日ブタモグラのステーキを山盛り食べさせてもらったよ」
「ブタモグラ・・・・それってたしかブータの・・・・ブータあなた食用だったのですか?」
「ぶひっ!?」
まさかシモンの仲間のブータが、もといた世界では食用だったことに驚いたシャークティ
「それでも村人にはいつもからかわれてたんだけどね。でもそんな俺をいつもバカにしないで向き合ってくれる人がいた。それがグレン団のリーダー、カミナ!俺のアニキだ血は繋がっていないが魂の兄弟だ!」
「おっ!?その話を待ってたよ!シモンさんの尊敬するアニキ」
美空は「アニキ」という単語に身を乗り出した。
シャークティも態度には出さないが知りたがっていた男のことだ。
「アニキはいつも言っていた。お前のドリルは天を突き破るドリルなんだ!って、そう言われて毎回アニキとともに地上を目指して穴を掘った。そのたびに村長に叱られたけどね」
「天を突き破るか~いい響きだね~」
「そうだろ!そしてだ、いつものように壁を掘っていた俺はとんでもない物を掘り出したんだ!」
そういってシモンは急に興奮したかのようにしゃべりだした。
「なんと俺は地中に埋まっていたガンメンを掘り出したんだ」
「ガンメン、獣人のメカのことですか?」
「そう。そして俺とアニキはそのガンメン、ラガンとともに天を突き破り、とうとう地上を見ることができたんだ!生まれてはじめてみた夕陽は今でも忘れない」
シモンは立ち上がり熱弁した。
「か~マジ熱いね~シモンさんとアニキさん!そっか~、じゃあそのラガンっていうガンメンで獣人と戦ったのね~」
「ラガン・・・・カッコイイ名前」
「なるほど。しかしたった二人で旅立ったのですか?」
シャークティは尋ねる。
「違うよ、実は村を飛び出す前にさ、獣人の乗ったガンメンが村に落ちてきたんだ。その時ライフル一つでガンメンと戦う隣の村のヨーコって女と出会ったんだ。そしてそのガンメンをアニキとヨーコと俺のラガンで倒し、地上へ飛び出したんだ」
シモンはヨーコの名前を出して少し懐かしく感じた。
「お・・・女?」
女、という単語に少し反応するシャークティ、
しかしその反応は間違っていない、赤い髪に常に肌を露出した服を着て、ライフル一つで男よりも果敢に戦うその女こそ、シモンがかつて、ほのかな想いを寄せていた女性だったのだから。
「ひゃー、巨大なメカにライフルで立ち向かうなんて、すごい人だね~」
「地上に飛び出したのは俺とアニキとヨーコ、そしてブータだ」
「ラガンだけで戦ったノ?」
ココネは疑問に思った。
「地上に出てすぐ・・・ガンメンに襲われた、そのガンメンを見てアニキが言ったんだ」
―――気に入った、あのガンメンは俺がいただく!アイツにゃ俺が乗るって言ってんだ!!
「そう言ってアニキは中から獣人を追い出してガンメンをブン取っちまった」
「・・・・・・・・・・・」
絶句。
「なるほど・・・・シモンさんはその人に影響を受けたのですね・・・・・・」
「シモンさんのアニキともなるとかなりぶっ飛んだ人なんだね~」
ガンメンの脅威を聞いていたから、それがどれほど巨大な力か精一杯想像していたシャークティたちだったが、カミナの行動を知り考えがどこかに飛んでいってしまった。
「シモン、アニキのガンメンの名前ハ?」
「いい質問だココネ、アニキのガンメンの名は、グレン!!俺たちグレン団はそのグレンとラガンで生きるために戦うことを決めたんだ!!」
「オー」
「いいねー!それ、ロボット漫画にしたら売れんじゃない!!」
シモンたちグレン団の戦いの序章、美空とココネはそれだけで興奮してしまった。
しかしシャークティは少し寂しそうな表情を浮かべた
(あんなにうれしそうに・・・・・でもその人はもう・・・・・)
そうカミナはもう死んでいる。
それほど熱い魂を持ち、シモンに影響を与えた人物、それを失ったのだとしたら・・・・・・
シャクーティは興奮する美空とココネと違い少し静かに押し黙った。
「さて、今日はこれぐらいにしとくか」
序章を語り、シモンは話の打ち切りを持ち出した。
「え~もっと聞かせて~」
「聞きタイ」
非難する美空とココネ、
「でも、今区切りがいいし、全部はさすがに長いから、今日はこれまで。また今度な」
「ぶー、ぶー、ぶー、」
「美空ブータみたいな言い方はやめなさい、この続きはまた今度です」
本当はもっと知りたいのだが、シャークティに言われては逆らえず、美空とココネはしぶしぶ引き下がった。
シャークティも聞きたかったのだが、シモンの要望に従った。
「ああ、続きは修学旅行から帰ってきてからだ!」
「修学旅行ですか・・・・気をつけてくださいね・・・・・」
「ミソラ、お土産」
「はいはい、ちゃんと買ってくるよー、あっ!?そうだシモンさん私のことなんだけど・・・・・」
「わかってる。正体バレたく無いんだろ?ネギには黙っておくよ」
「OK!じゃあ早速準備しようか、シモンさんの分も」
「ああ、楽しみだなー」
シモンはまだ知らなかった。
決してただの旅行で終わらないことを、
そしてシモンとの出会いによって、何がネギたちを変えるのか、
ようやく学園の生徒たちがシモンと出会う。