魔法はお前の魂だ(魔法先生ネギま✖天元突破グレンラガン)   作:アニッキーブラッザー

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第136話 謎の夫婦

グラニクスから離れて一日が過ぎた。

 

シモンとサラ、ブータの旅は続いていた。

見渡す限りの平原を見下ろしながら、メカタマの甲羅に跨り、空を飛びながら移動していた。

結局シモンのドリルと合体したメカタマは、戦いで破損した箇所も完全修復し。シモンやブータの螺旋力を動力に、だだっ広い平原の空を飛んでいた。

 

 

「なあ、シモン。本当に良いのか? アリアドネーに帰らなくて・・・・、心配している人はいないのか?」

 

 

サラが傍にいるシモンに尋ねると、シモンは少し考えた後小さく頷いた。

心配している人、そう言われて真っ先にコレットやエミリィを頭に思い浮かべた。

わずか数日の出会いだったが、彼女たちはきっと黙っていなくなった自分を気にかけているだろうと思った。

だから本来ならサラの言うとおり一度アリアドネーに戻るべきなのだが、今のシモンはその選択肢を選ばなかった。

 

 

「ああ、いいんだ。たしかにコレットたちに心配を掛けたかもしれないけど、俺もこのまま帰るわけにはいかなくなった」

 

「・・・それって、あの白髪頭のことか?」

 

「それもある。でも・・・それだけじゃない。俺は・・・待っているだけじゃダメだと思ったんだ」

 

「どうゆうことだ?」

 

「いつか記憶は戻るって言われた・・・でも、いつかを待つのはやめた。俺は自分の力で少しでも早く思い出したいって思ったんだ」

 

 

無くした記憶。

最初はそれほど気にしていなかった。その内元に戻ると言われた時はそれでいいと思った。

しかし流れ込んできた記憶と、フェイトやラカンとの出会いから、シモンは自分の記憶を無視できなくなってしまった。

だからこそ自らの足でこの世界を見て、失った自分を探そうと思った。

アンチスパイラルが予言し、ロージェノムが絶望した人間と世界を、今の自分なりに見てみたいと思ったのだ。

だからシモンはアリアドネーに帰らず、この世界を旅するサラと共に行動をすることに決めた、

 

 

「ふ~ん、記憶喪失か~。そんなやつ初めて見たから私もなんとも言えないからな~」

 

「うん、そして手っ取り早く思い出すなら外の世界を見て回るのが一番良いだろ? ひょっとしたら、昨日の奴みたいに俺を知っている人がいるかもしれないしな。一緒に行くのは迷惑か?」

 

「バッ、バカ、一言もそんなこと言ってないだろ~! 別に良いよ。お前がいれば旅も安心だしな。それにパパは物知りだからお前のことも何とかしてくれるかもしれないしな」

 

 

シモンの深い考えを読み取ることは出来ないが、シモンが共についてきてくれることを知り、サラも満更ではない様子で機嫌よさそうに鼻歌交じりで空の風を気持ちよさそうに受けていた。

魔法世界を駆ける二人と一匹の旅。

現時点での目的地は、まずサラの両親のいる場所である。

サラは地図上に記された地とグラニクスを真っ直ぐ線で結び、両親の元へと進路を取った。

 

 

「サラのお父さんか・・・・そう言えば、冒険家だったっけ? どんな人なんだ?」

 

「う~~ん、そうだな~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サラとシモンが東へ向かって飛んでいた頃、その方角にある遥か遠くの小さな村で、四人の少女が宿泊した宿の一室で、慌しく荷物を纏めていた。

 

 

「刹那さん! 楓ちゃん! 木乃香!」

 

「大丈夫や、アスナ」

 

「こちらも大丈夫です!」

 

「うむ、いつでもいいござる!」

 

 

顔を見合わせて頷き合う四人。彼女たちこそ離れ離れにされてしまったネギの生徒のアスナ、木乃香、刹那、楓だった。

数日前に起こったメガロメセンブリアの事故でフェイトたちの放った強制転移魔法により仲間たちと離れ離れになってしまった彼女たちだったが、以前までとは変わらずに魔法世界で逞しく生きていた。

 

 

「せっちゃん、何人ぐらいなん?」

 

「数は10・・・いえ、20人近くと思ってもいいでしょう。既に宿の周りは包囲されています」

 

 

刹那が部屋の窓際で身を隠しながら外の景色を覗く。すると自分たちの泊まっている宿の外には武装したチンピラのような男や獣人がゾロゾロと群がっていた。

 

 

「あ~あ、せっかくゆっくり休めると思ったのに、またなのね~。賞金首ってのも楽じゃないわね」

 

「ふふふ、しかしアスナ殿はおかげで相当レベルアップしていると思うでござるよ?」

 

 

フェイトが破壊したゲートポート。

しかも見知らぬ場所へ飛ばされ、イキナリの迷子になってしまった。

取り合えず人のいる場所へと向かった彼女たちは、近くの村で魔法世界のニュースを偶然見ると、何故か自分たちがゲートポート破壊の実行犯とされており、ネギを始め、ネギパーティたちは全員に賞金が掛けられていたのだった。

まったくの濡れ衣で、魔法世界のチンピラたちに賞金を狙われるアスナたちに、安息の日はなかった。

しかし幸か不幸か、その数日の出来事とエヴァの別荘での修行もあってか、彼女たちは逸早くこの非常識な日常に順応し、逞しく、襲い掛かる敵を撃退していっていた。

今日もその内の一つ。

もはや慣れてしまった状況で、いつも通りに合図を出し合い、一斉に動き出した。

 

 

「では、一気にいきますよ!」

 

「「「了解!!」」」

 

 

刹那は木乃香を両手で抱きかかえ、そしてアスナと楓は己の武器を手に持ち、窓を突き破り外へ飛び出した。

 

 

「「「「「来たぜ!!」」」」」

 

「間違いねえ、手配書のガキ共だ!」

 

「うっし、これで今月は安泰だぜ!」

 

「おい、独り占めすんなよな!」

 

 

ガラスの割れる音に見上げる賞金稼ぎたち。

彼らは獲物を見つけた獣のごとく、一斉にかかってきた。

 

 

「ツインテールはまかせた! 俺はあの半デコの女を貰ったぜ!」

 

「ふざけるな!! この身と心は既にお嬢様とシモンさんの物だ!」

 

 

何故か一瞬周りが静かになり、木乃香が一人感心したように頷く。

 

 

「は~、最近せっちゃん大胆やな~」

 

「うむ、最近夜な夜な一人で何かをノートに書いていたり、小説のようなものを読みふけっているが、何か関係あるかもしれぬな・・・」

 

「ちょっと、ちょっとー!? ノンキに話してないでさっさとやるわよ!」

 

「なめんな、ガキ共がア!」

 

 

軽い空気で襲い掛かる男たちを蹴散らそうとするアスナ達。

一見周りを見ても、自分たちより強いと思えるものは居ない。

だから今日も大丈夫だ! 彼女たちはそう思っていた。

 

だが、その時だった。

 

向かい来る賞金稼ぎやチンピラたちを迎え撃とうとした瞬間、アスナたちが飛び出した

部屋の隣の窓から、同じように窓を突き破り部屋から飛び出してきた二人組みが現れた。

 

「えっ、何々?」

「新手か!?」

 

慌てて見上げて構えるアスナ達。

しかし飛び出してきた二人組みは、目の前の賞金稼ぎたちとは非常にかけ離れた存在に見え、どちらかといえば一般人にしか見えなかった。

だが、この状況で飛び出す人物たちが普通であるはずが無い。

アスナ達は神経を尖らせながら、飛び出した二人組みに身構える。

すると二人組がようやく口を開いた。

 

 

「ったく、まさかもう見つかるとはね・・・・・」

 

「ははは、この世界の情報網を甘く見すぎたかな」

 

「笑い事じゃないよ。サラもまだ帰ってこないって言うのに・・・・」

 

「それなら心配ないよ、ハルカ。カメ探知レーダーによると随分遠くだがメカタマは真っ直ぐここに向かって来ている。どうやら無事みたいだ。だからまずは僕たちがこの危機を乗り切らないとね」

 

 

のんきに談笑しながら、二人の男と女は口にタバコを咥えながらゆっくりと立ち上がる。

 

 

「ほうほう、これは随分と異色な組み合わせだね~、怖そうな男たちに、可愛い女の子たちとは」

 

「しかしまあ、相手は私たちの賞金目当てだろ? だったらやることは大して変わらんがな」

 

 

男は無精ひげと黒いシャツの上に白衣を着たスラッとした物腰の、落ち着きのある男。

そして女は全身にありとあらゆる重火器を装備し、呆然とするアスナや賞金首稼ぎたちを睨み付ける。

すると賞金稼ぎたちが二人を見て何かに気づいた

 

 

「お、おいこいつら!?」

 

「ああ、冒険王瀬田に恐妻はるかだ!? こいつはいいぜ! 一石二鳥ってのはこのことだぜ!」

 

「きょ・・・恐妻だって? 私ほど心の広い嫁はいないだろ? このバカに何度呆れても、見捨てたりしてないんだから」

 

「いや~、ある意味僕がこの世で絶対勝てない人だからじゃないかい?」

 

 

賞金稼ぎ達の間に動揺が走る。

彼らはアスナたちを狙ってこの宿を張っていただけに、まさか他にも賞金首がいるとは思わなかった。

それは刹那と楓も同じだった。

危ない偶然に冷や汗を流している。

しかし木乃香は少し分かっていない様子で首を傾げている。

そしてアスナは・・・・・・・

 

 

「うっそ・・・・・やっば・・・・・・」

 

「アスナ、どうしたん?」

 

 

アスナが激しく震えていた。

今まで鬼だろうとロボットだろうと勇猛に立ち向かって行ったアスナの震える姿に刹那と楓は信じられないかのように目を疑った。

そして自分たちの分からない何かの脅威に、アスナが目の前の二人から感じたのではと察知し、慌てて二人の賞金首、瀬田とハルカに身構えた。

目の前の二人のことは知らないが、賞金首という犯罪者である以上、ひょっとしたら賞金稼ぎよりも厄介なのではと感じ、警戒心をむき出しにした。

だが、刹那と楓の心配をよそにアスナは、

 

 

「どうしよう・・・・・・」

 

 

顔を真っ赤にして、冒険王瀬田の顔を見て呟いた。

 

 

「メチャクチャ好み・・・・・・・かっこ良すぎ・・・・・」

 

「「「「「「「へっ????? 」」」」」」

 

「えっ、僕のことかい?」

 

 

瀬田はアスナのストライクゾーンど真ん中だった。

 

全員がその呑気なアスナの呟きに呆然としていると、瀬田は柔らかく微笑みながら口を開いてアスナを見た。

 

 

「はっはっは、光栄だね、僕も好きだよ」

 

「えっ!?!?!?」

 

「「「「「「はああああっ!?」」」」」」

 

「僕も君のように可愛くて元気そうな女の子は好きだよ♪」

 

「!?」

 

 

ニッコリと微笑む瀬田にはタカミチクラスの大人の落ち着きと心の大きさ、そして温かさを感じた。

 

 

「・・・・・・もう・・・・・死んでもいいかも・・・・・」

 

「ア、 アスナーーッ!? アスナが顔から湯気出して倒れてもうたーーっ!?」

 

「し、しかも物凄く満ち足りた表情をしているでござる・・・・」

 

 

瀬田の微笑みは鬼の一撃やロボットの大群よりも強敵で、アスナにとってはギガドリルブレイク並みの威力だった。

だが、その一撃で火の付いた女が居た。

それこそ恐妻ハルカだった。

 

 

「ふん!!」

 

「もげほ~~~!?」

 

 

アスナが倒れた瞬間、ハルカは強烈なアッパーで瀬田を空の彼方へと殴り飛ばす。

 

 

「いい度胸だな、おい。昔からアンタは本当に女の気持ちを知らずに甘い言葉を。・・・一回調教するか?」

 

「いや~、何言ってるんだい。僕は本当のことしか言わないよ。僕はああいう子は好きだよ・・・・「こんの!」・・・・でも!」

 

 

頭から血を流しながらも瀬田はそっとハルカの両手を自分の手で包み込む。

 

 

「僕が愛しているのは・・・・・君だよ」

 

「/////!? くっ、・・・・・反則だろ・・・・それは・・・・」

 

 

烏合の衆の中心にて、何やら妙な甘い空間が完成した。

今このひと時だけ、二人を残した全ての者たちが思った

 

 

(((((何だコイツら・・・・・)))))

 

 

どう対応していいか分からない賞金稼ぎたち。

 

 

((((なんだこの・・・邪魔をしたら負けた気になるような空間は・・・・・))))

 

 

憧れの眼差しを向ける木乃香と刹那。

 

 

(あ~ん素敵や~・・・・憧れの言葉やわ~~・・・)

 

(・・・シモンさんが私に向かって・・・・俺が愛しているのは・・・・って!? 何故またこんな妄想をする!?)

 

 

意識が戻らぬアスナ。

 

 

「すす・・・隙って・・・鋤って・・・すきていわれちゃた・・・」

 

 

困ってしまった楓。

 

 

(ま、まずい。ツッコミどころが多すぎて、拙者一人では対応できん・・・・)

 

 

反応は様々だった。

 

しかしいつまでもこの空間を眺めているわけには行かない。

 

イラついた賞金稼ぎたちはアスナ達を無視して、瀬田とハルカの二人に襲い掛かる。

 




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