魔法はお前の魂だ(魔法先生ネギま✖天元突破グレンラガン)   作:アニッキーブラッザー

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第15話 幸せ妥協は俺が許さない

「・・・・・ふう、私としたことがあんな・・・・お嬢様を影からお守りできればそれで言いというのに・・・」

 

―――よかったー、せっちゃん・・・・ウチのこと嫌ってる訳やなかったんやなー

 

「取り乱すなど・・・情けない!修行が足りないぞ!・・・・・・・はあ、このちゃん・・・・」

 

シモンと白い髪の少年が死闘を繰り広げている間、旅館のほうでも動きがあった。

関西呪術協会の刺客が木乃香を誘拐するという大胆な手を打った。

しかし、最初はスパイなのではと疑われていた刹那への懸念も解消し、アスナ、ネギ、刹那の3人の力を合わせて、見事撃退。

木乃香を無事救出することが出来た。

しかし、刹那は木乃香の一言に取り乱し、その場から逃げ出してしまった。

 

「でもよかった・・・・無事で・・・・・・・いや!」

 

理由はどうあれ、木乃香を救出できたことに安堵する刹那、しかし

 

(そもそも子供のネギ先生と一般人の神楽坂さんが、あれほど力を貸してくださったのに、あのシモンという男はどこに行った!)

 

そうシモンは白い髪の少年と戦っていたため、木乃香が誘拐されたとき駆けつけることが出来なかった。

しかし事情の知らない刹那はシモンへの憤りを感じていた。

 

(やはり・・・・・・口だけなのか・・・・あの人は・・・・)

 

刹那は少し悲しくなった。

電車の中ではシモンを否定し拒絶したが、本当はシモンの言葉を信じたかった自分もいた。

心のどこかではシモンは自分のことも受け入れてくれる人間なのでは?という期待が微かにあった。

だからそれが見事に裏切られたような気がして悲しくなった。

 

(・・・・気にするな・・・・また明日から気を引き締めねば!)

 

刹那が夜道で一人決心すると、奇妙な動物の鳴き声が耳に入った。

 

「ぶみゅ!」

「誰だ!?」

 

刹那はとっさに身構える。しかし辺りに誰もいない・・・・

 

「気のせいか・・・・」

「ぶふっ!ぶふっ!」

 

いや、回りではなく、真下から聞こえた。

刹那がその場から飛びのいて、視線を下にずらすと、見たこともない小動物がいた。

 

「・・・・びっくりした・・・・・なんだおまえは?」

「ぶみゅ!ぶみゅる!」

「ふふふ、おかしな奴だなおまえは・・・・いや、おかしいのは私も同じか・・・・」

 

刹那はかがみ、ブータの頭をなでた。

さっきまでの緊張感がほぐれた感じがした。

するとブータは突然走り出し、一度刹那を振り返り、また走り出した。

 

「・・・・・・ついて来いと言っているのか?」

 

ブータの様子に何かを察した刹那は後を追いかける。

するとしばらく進んだ先に・・・・

 

「なっ!?ここにも人払いの結界が・・・・奴らの仕業か・・・・」

 

おそらく木乃香誘拐のために用意していた場所の一つであろう。

連中の用意周到さに少し刹那は身震いがした。

 

「ぶみゅう!」

 

ブータの声がした。刹那が見るとそこには人が倒れていた。

刹那はあわてて駆け寄り、

 

「なっ!?大丈夫ですか!?しっかりしてくだ・・・・!?・・・・・・シモンさん?」

 

刹那は驚愕した。なぜなら人払いの結界が仕掛けられていた中で倒れていたのは、さっき自分が見切りをつけたシモンだった。

さらに周りの状況を見ると、明らかに激しい戦闘があったと思わせるほどの破壊の後がその場に残されていた。

そしてシモンのわき腹には、おびただしい出血があったのだ、

 

「シモンさん!しっかりしてください!私がわかりますか?」

 

刹那は倒れるシモンに懸命に声をかけた。

するとシモンが少しずつ意識を取り戻していった。

 

「うっ・・・・・桜・・・咲・・・?・・・・・ぐっ!?」

「よかった・・・・・シモンさん一体何があったのですか?」

 

意識を取り戻したが少年との戦いの傷が痛み、シモンは苦痛で顔をゆがめる。

だが、刹那の顔を見てシモンはあることを言わなければと思った。

 

「桜咲・・・・・魔法なんか使えなくたって・・・・・俺の魂は魔法に打ち勝った!」

「・・・何を言ってるんですか?」

「俺の無茶に根拠が無いのかは・・・・・俺たち大グレン団を見てから決めろ!」

「シモンさん・・・・・」

 

シモンがその言葉を振り絞って言うと、再び意識を失い倒れた。

刹那は理解した。おそらくシモンはここで戦っていたのだということを。

 

 

 

 

 

「ぶむ!」

「おまえはシモンさんのペットだったのか・・・・」

 

倒れたシモンを刹那は、ほかの生徒たちに気づかれないように、部屋へ運んだ。

刹那は一通りの手当てをして、シモンが目を覚ますことを待っていた。

 

「・・・・・・ん・・・」

「シモンさん!?」

「ぶい~!」

「ん~、あっ!?桜咲・・・・ここは旅館か・・・?」

「はいっ・・・・この子が倒れているシモンさんの場所まで案内してくれて・・・・」

 

刹那はそう言うと、ブータの頭を撫でた。

 

「ははっ、ブ-タにはまた助けられたな」

「ぶふっ、ぶふっ」

「その子・・・・シモンさんのペットですか?」

「ペットじゃない!仲間だ!!こんな小さな体でいつだって体を張って共に戦ってくれる、俺の相棒だ!」

「・・・・・仲間・・・・ですか・・・」

「ああ!・・・おまえにも助けてもらったみたいだな・・・ありがとな」

 

シモンはブータを肩に乗せ、刹那にお礼を言った

 

「シモンさん・・・・・戦っていたんですね・・・・」

「・・・・ああ」

 

刹那は当初の疑問を口にして、シモンは短く肯定した。

 

「強かったよ・・・・」

「私とネギ先生、そして神楽坂さんもあれから戦いました・・・・お嬢様が敵に攫われて・・・・」

「えっ!?それでどうなったんだ!?」

「大丈夫です、無事お嬢様を救出し、敵も撃退しました」

「そうか、それなら安心だ」

「シモンさんは逃げ出したと思っていました・・・・・・」

 

刹那は表情を変えずに言う、

 

「まあ、そう思われるのもしかたないさ」

 

シモンは少し苦笑いをして言う。

少し間を置いて、シモンは刹那に聞きたかったことを言う

 

「なあ、おまえ俺に電車の中で怒っていたな・・・俺の無茶には根拠が無いって・・・」

「・・・・はい」

「・・・・・本当にそのことで怒っていたのか?」

「・・・・・・どういう意味ですか」

 

刹那が少し首をかしげて言う。

 

「・・・なんかそういう感じがしなかった・・・なんて言うか・・・俺に対してもっと別のことで怒ってる、そんな感じがした」

 

スルドい。刹那はそう思った。

たしかにそのことでも怒っていた。しかし自分がシモンにあれほど強く言ったのはもっと別のこと。

 

 

「おまえ、近衛を大事にしてるようだけど・・・・神楽坂の話を聞いてると、一緒にいるところを見たこと無いって言っていた」

 

「・・・・・・・・」

 

「その事に何か関係が・・・・「違います」」

 

 

シモンの考えは当たっていた。

シモンがエヴァンジェリンにむやみに触れた過去。それは刹那自身にも言える言葉だった。

そしてそれを恐れて刹那は自分の心を殺し、ただただ影から木乃香を見守ることにした。

 

「あなたには、関係ありません・・・・私と・・・・お嬢様のことには口を挟まないでください」

「・・・やっぱりそれが理由で俺に怒り、近衛と一緒にいないのか」

「口を挟まないでください!!」

 

刹那は立ち上がり声を上げる。そしてその声が部屋に響き渡る。

 

「私は今のままで十分なんです!影からでもお嬢様をお守りする、それが私の使命!例えそばにいれなくともそれが・・・」

「このデコスケ」

 

叫ぶ刹那の額にシモンはデコピンを入れた。

 

「なっ!?何をするんですか!?」

 

シモンの行動にわけも分からず、怒鳴る刹那。

 

「なんでそんなに難しく考えるんだ?わかったような言葉を並べるな!」

「それはあなたのほうです!!私たちの境遇を何も知らないのにあなたはエヴァンジェリンさんに・・・・あっ!?」

 

刹那は言った後にしまったと思った。

 

「・・・・俺がエヴァの過去に触れていった言葉・・・・・エヴァの境遇がおまえにも当てはまるのか?」

 

刹那は押し黙った。

 

(・・・知られてしまった・・・・こんな人に・・・私の正体を・・・・・・)

 

エヴァンジェリンのような境遇・・それはすなわち人の道から外れた・・・バケモノとしての境遇

 

「・・・・・そうです・・・・私も・・・・バケモノです・・・・今は人の姿で誤魔化していますが・・・・私は純粋な・・・・人間ではありません」

 

刹那は観念して打ち明けた。

 

「だから・・・・何も知らないあなたが・・・・・私たちの事を言うのが・・・・我慢できませんでした・・・・」

「だからおまえは、本心隠したまま、近衛から離れたのか?」

「・・・・・・そうです・・・・大切な人に・・・・バケモノともし拒絶されたら私はもう・・そんなことになれば・・・私は・・・・あなたにはそんな思い・・・わかるはずがない!!」

 

刹那は涙を徐々に顔を浮かべ、シモンへ自分の本心を打ち明けた。

するとシモンは怪我した体に無理を押して立ち上がった。

 

 

「おまえが俺の言葉を信じるか信じないかで噛み付くより、おまえはもっと信じなければならないのがある」

 

「?」

 

「近衛だよ、あいつが本当におまえを拒絶するかどうかだよ」

 

「・・・・い、いいえ、私は今のままでも・・・・」

 

「幸せに見えないから言ってるんだ!おまえが俺なんかには分からないほど苦しんでいるのは、なんとなくわかった」

 

「・・・・ちっ・・・・ちがう・・・」

 

「近衛は信用できないやつなのか!?」

 

「でも・・・・もし拒絶されたら・・・・」

 

「だったらそうならないよう近衛を信じろ!!『もし』とか『たら』とか『れば』とか、そんな思いに惑わされるな!!」

 

「!?」

 

 

シモンは刹那の胸の中心を指差し、

 

 

「そこにあるものが、おまえの本心だろ!!その思いを我慢することなんて無い!幸せ妥協は俺が許さない!俺を誰だと思っている!!」

 

「・・・・・・シモンさん・・・・・」

 

 

するとシモンは指を上に向かって指し、

 

 

「不安は気合で吹き飛ばす!!心の壁も突破して、幸福待たずに掴み取る!!それがシモンだ!!幸福は自分で掴みに行け!!」

 

シモンの声が部屋に響き渡る。

シモンはそのまま刹那に向かって、いつものように笑う。

 

 

「踏み出してみろよ、桜咲。俺はおまえの味方だよ」

 

「うっ・・・・・・うっ・・・・・シモンさん・・・・」

 

気付けば、嫌っていたはずのその言葉が、どうしても刹那の心に突き刺さった。

でたらめで、何を分かったようなことを・・・・と思う反面、誰かにずっとそう言ってもらいたかったと、刹那自身が気付いてしまった。

人前で彼女は久しぶりに泣いた。自分の心の弱さを全てさらけ出した。

でももはや恥だとは思っていない。

自分は弱い。

天に向かって指差すこの男に比べれば・・・・なんと小さいことか・・・・

 

(きっと最初は光が強すぎて・・・・目を背けてしまったんだ・・・だからわからなかった・・・・今ようやくわかった・・・シモンさんはこんなにも光り輝く強い人だったんだ・・・・)

 

この日刹那は、押し留めていた感情を全て流した。

 




皆さま、いつもお世話になっております。

この度、私事で申し訳ございませんが一つ報告があります。

実は、私は『小説家になろう』でも活動しておりまして、この度、オリジナルの小説がアルファポリス社様にて書籍化されることになりました。

この「魔法はお前の魂だ(ネギま×グレンラガン)」から私の執筆活動が始まり、ある日、オリジナルでも作品を書きたいと思って自己満足でやっていたら、そのような事態になりました。ですので、私が突然エタッたり、webから姿を消していたのは、そっちの活動が忙しくて時間を使えなかったためでした。

ただ、どうしてこの場でそれを報告するのかと言うと、アルファポリス社様との契約上、「小説家になろう」での掲載版をweb用に修正なりをしないといけないのですが、それを今年の9月以降から「小説家になろう」では全面禁止となり、アルファポリス社様にて出版された作品は移行を余儀なくされたからです。

そこで、私は移行先として二次創作小説でお世話になっております、本サイトを利用させて頂こうと思い、運営者様にも許可を戴き、8月中に引っ越す予定です。

ですので、8月中旬にヘンテコなオリジナル小説が続けて投稿されますが、ご勘弁ください。

興味を持っていただいた方は是非、一読いただけたらと思います。

『異世界転生-君との再会まで長いこと長いこと』というタイトルで、既に1巻と2巻が書籍化されました。「魔法はお前の魂だ」での培った経験や熱い想いを活かしたものを目指しております。

関係ない話して申し訳ありません。
では、今後ともよろしくお願いします。

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