魔法はお前の魂だ(魔法先生ネギま✖天元突破グレンラガン)   作:アニッキーブラッザー

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第17話 それで俺の初恋は終わりだ

 

自由行動を終えた生徒たちが旅館に帰る中、一人の生徒とオコジョがなにやら密談していた。

 

「報道部の私にかかればクラスメート全員丸ハダカ!!麻帆良パパラッチの通称はダテじゃない!!」

「なるほどブンヤの姉さん、ぜひ俺っちの作戦に協力してくれ」

「よし、契約成立そのかわり報酬ははずんでもらうよ」

「OK,OK取材は今後とも姉さんの独占だ」

 

ネギのアドバイザーの役割も持つカモミールが、パパラッチ朝倉和美となにやら計画を企てていた。

 

 

 

 

 

 

「ふう、すっかりおそくなったな~でも瀬流彦先生も魔法使いだったのか~」

「まあ、僕は弱いから全然役に立てないけどね~」

 

年齢も近いので、お互い意気投合してしまい、シモンは瀬流彦と少し外で飲んで帰ってきた。

飲んだといっても、シモンはあまり飲まず、瀬流彦も教員の見回りの仕事などがあるため少ししか飲んでいなかった。

 

「ホントはもっと飲んでもよかったんだけど」

「いや~ゴメンゴメン、僕はまだ仕事があるし、シスターシャークティにシモン君には絶対お酒を飲ますなって言われていてね」

 

 

以前酒を飲んでシモンはシャークティたちの前で色々と話してしまったが、本人は覚えていない。

そのため、シャークティはシモンが酔っ払って余計なことをしゃべらないように、あらかじめ瀬流彦に釘を刺しておいたようだ。

 

「先生も大変なんだね・・・・・よくネギは出来るな~」

「うん、ネギ君はあれでよくやっているよ、新田先生あたりもよく叱るけど本心ではネギ君のことを認めてるんだよ」

 

二人は談笑しながらロビーへ向かうとそこには

 

「あ~~~~~~、う~~~~、やっぱり返事したほうがいいのかな~~~でも~~~~う~~~」

 

うな垂れているネギがいた。そしてその隣で頭を抱えているアスナと刹那、

 

「・・・・・・・・・シモン君・・・・・・君の仕事だ・・・・・・」

 

瀬流彦はそう言ってシモンの肩をたたき、グッと親指を突きたて、さわやかな笑みを浮かべ、そのまま見回りに行ってしまった。

後に残されたシモンだが、ネギたちを無視するわけにもいかず、声を掛けた。

 

「男がなにみっともない動きをしてるんだ?」

「あっ!?シモンさん、どこ行ってたのよ~大変だったのよ!」

「シモンさん、こんな遅くまで何を?」

 

真っ先に返事をするアスナと刹那、しかしネギはまだシモンに気づいていない

 

「ああ、瀬流彦先生と少し外で飲んでたんだ。それで、何があったんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・魔法がバレタ?」

「う~ん、そうなの・・・・・・いや~ごめんね、シモンさん!」

「わ・・・わたしも・・・シモンさんのことをよく知らずに、浅はかな行為を・・・・・・・申し訳ありません!」

 

アスナたちは今日起こった出来事をシモンに申し訳なさそうに説明した。

アスナの話によると、ネギは昼の奈良で生徒に告白され、そのショックでフラフラしているところに、思わず魔法を使ってしまい、その場面をクラスの朝倉和美に目撃されてしまったようだ。

一応アスナは本人の気持ちを考え、誰がネギに告白したかは言わなかった。

 

「それで・・・・ネギはどっちに悩んでるんだ?魔法?それとも告白?」

「・・・・魔法の方は朝倉さんとすでに和解が成立しました。・・・・・・おそらく告白のほうです・・・・・・」

 

刹那がシモンの質問に答えた。

視線をずらすとネギはまだ奇妙な動きをしながら悩んでいた。

 

「・・・・・・ふう、神楽坂と桜咲は先に寝ていていいよ、俺がネギと話をするよ」

「えっ!?・・・でもいいのシモンさん?」

「ああ、何も心配要らないさ、俺に任せろ!」

 

シモンはそう言ってアスナと刹那に親指を突きたてニッと笑った。

その様子にいつも通りのシモンに苦笑するアスナ、

 

(ふう・・・・まかせろね~、でもシモンさんがそう言うと、本当に任せられる気がするのよね~・・・・・・あれ?・・・・桜咲さん・・・顔赤くない?)

 

そして刹那は・・・・・

 

「神楽坂さん!」

「えっ!?なに?」

「ネギ先生のことはシモンさんに任せましょう。シモンさん、先に休ませてもらいます。また明日」

「ああ、おやすみ」

 

そう言って刹那はロビーから自分の部屋へ向かった。

アスナもそれを見て、一度シモンに頭を下げてから刹那を追いかけた。

 

「ちょっと桜咲さん!いいの?シモンさんに任せて?」

 

刹那を捕まえて、疑問をぶつけるアスナ。すると刹那は自信満々に答えた。

 

 

「はい!シモンさんならきっと大丈夫です!私にはわかります!」

 

断言する刹那は少し微笑んでいた。

何故なら、シモンは「任せろ!」と言っていた。シモンは決して言葉に嘘をつかない。その言葉に自分も勇気をもらったのだからだ。

そんな刹那のその様子にアスナは感づいた。

 

「・・・・・・・・・・桜咲さん・・・・まさか・・・シモンさんのこと・・「遅いよーー!お二人さん」・・・えっ!?」

「み・・・みなさん・・・・一体こんなに集まって何を?」

 

いつのまにかクラスの女子が全員廊下に集まっていた。

すると朝倉が企画を伝えた。

 

 

「これより!くちびる争奪!!修学旅行でネギ先生とラブラブキッス大作戦!!!開始!!」

 

「「「「「イエーーーイ!!」」」」」

 

「「はあ!?」」

 

 

朝倉の企画に大盛り上がりのクラス。

状況の理解できないアスナと刹那はただただ驚くばかり。

 

「ちょっとどーゆーこと!?」

「いや~、このまま夜が終わるのもったいないじゃん?だ・か・ら、記念にゲームを」

「いえ、朝倉さん・・・なぜそれでキスなのですか?」

「そのほうが盛り上がるじゃん!ちなみにネギ君のマネージャーに了解取ってるから大丈夫!ちなみにクラスのみんなは賛成だよ♪」

「なに言ってんのよー、ちょっといいんちょ!!」

 

アスナがクラスの良識者、委員長に尋ねるが、

 

「ハア、ハア、大丈夫私が許可しました」

 

無駄だった。

恋するショタコンにこの企画はおいしすぎるらしく、もはやどうすることも出来なかった。

 

(くっくっく、この企画の実体は・・・・・パクティオーカード、大量ゲット大作戦)

(さらにトトカルチョも実施する!いやー笑いが止まんね~)

 

作戦の実体を心の中で、興奮する朝倉とカモ

しかし、ここに来て傍観していたエヴァが口を開いた。

 

 

「旅館の周りには魔方陣・・・・おそらく仮契約だろう・・・・・・おいっ!ぼーや以外ならどうなる?」

 

「えっエヴァンジェリンさんどういう意味?」

 

「くくく、例えば・・・・シモンとかは?」

 

「「「「「ブーッ!!!」」」」」

 

「はあ!?」

 

「むっ!」

 

 

クラス中が息を噴出した。

 

「ちょっエヴァちゃんなにを・・・・・・・」

「ネギ君は子供だから遊びですむけど・・・・・・シモンさんは洒落ではすまないよ?」

「えーっ!う~ん・・・・シモンさんとのキスは遊びの領域を超えてる気が・・・・・・」

「なっ!?・・・・・エヴァンジェリンさん・・・・あなたも・・・いえいえ!!あなたはシモンさんのことを・・・・・?」

「は~、シモンさんとのキスか~それええかも・・・・・・」

「私は・・・・関わらないでおこう!シスターシャークティに殺される・・・・」

 

一部の生徒を除いて、皆やや困惑気味、さすがに22歳のシモンへのキスは抵抗がある。

 

「う~ん、みんなもあまりそれには乗り気じゃあ・・・・ひっ!?」

 

エヴァの意見を降ろそうとした朝倉、しかし睨むエヴァの目は

 

『許可しなければ・・・・どうなるかわかるな!』

 

悪の魔法使い全開の眼力に朝倉はなすすべも無く、ただ首をひたすら縦に振った。

 

「(ちょっとシモンさんに行ったらどうなるの?)」

「(う~んシモンの旦那は魔法使いじゃね~からな~・・・・・ええい!こうなったらこのまま行くぜ姉さん!)」

「よ~し!シモンさんもありで計画の準備をはじめるよー!!各班代表二人!トトカルチョも実施するよ~!」

 

「「「「「「オー!!」」」」」」

 

 

もはやヤケクソ気味カモたちは企画を実行することにした。

 

「・・・・・マスター・・・」

「エヴァンジェリンさん・・・なぜシモンさんを・・・・」

「そうよエヴァちゃん!だいたいシモンさんのこと嫌いだったんじゃないの?」

 

エヴァの発言に、茶々丸、刹那、アスナの3人が詰め寄る。

 

「ふん、この旅行中はシスターの女もいないし、余裕のつもりだったが・・・・・・フラグが以外に立っているようでな・・・・なあ刹那?」

「えっ!?」

「あっ!やっぱり桜咲さんシモンさんのことす「ちちちち・・違います!」

「私は純粋に尊敬しているだけで恋愛感情は・・・・・それならエヴァンジェリンさんはどうなんですか!?」

 

顔を真っ赤にして否定する刹那、そんな刹那の質問にエヴァは余裕で答える。

 

「私は素直に生きると決めたんでな!まあいい、うちの班からは私と茶々丸が出る。おまえは大人しくしているんだな」

「なっ!?・・・・・あなたもシモンさんに・・・・・言葉をもらったんですか?」

「さあ、キサマには関係ないがな」

 

アスナには最初出会った頃には想像も出来ないこの二人の姿。

ネギといい刹那やエヴァンジェリンといい、シモンの言葉には何か特別なものがあるのかもしれない。そうアスナは思った。

 

「よ~し、参加者以外はモニターで観戦可能!旅館中にカメラを設置してるから、二人がそれぞれ部屋に戻ったらスタートね!」

 

「「「「「おー!」」」」」

 

 

一方で計画の準備は整っていた。

後はネギとシモンが部屋に戻るだけ。全員はモニターで二人を探した。

すると一人が気づいた。

 

「あっ!?二人ともいたっ!」

「えっ!?どこどこ?」

「二人ともお風呂に入ってる~~!」

 

「「「「「お風呂!?」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

アスナと刹那が部屋に戻った後、シモンは未だに悶えるネギの肩をたたいた。

 

「おいネギ」

「あっ!シ~モ~ンさ~ん・・・・僕は一体どうしたら~~」

 

相当重症なようだ、シモンは少し苦笑してネギを肩に担いだ。

 

「えっ!?シモンさん何を?」

「とりあえず温泉に入ってスッキリしようぜ!」

 

シモンはネギに有無を言わさず抱えていき、そのまま温泉に放り投げた。

 

「うわっぷ!?も~、酷いですよ~シモンさ~ん!」

 

お湯の中から首だけ出し、文句を言うネギ、シモンは笑いながら「ワルイ、ワルイ」と答えて、自分も温泉に入った。

 

「ふ~、きもち~な~ネギ!」

「はいっ!僕も温泉は好きです!」

「「・・・・・・・・・・・」」

 

簡単な会話だけを終え少し沈黙が流れる。

しかしシモンは先にそれを破った。

 

「なあネギ!」

「なんですかシモンさん?」

 

このとき二人は気づいていなかった。この二人の会話をクラス全員が聞いていることを。

 

 

 

 

生徒side

 

 

「じゃあこの二人が部屋に戻ったら開始ね?」

「ね~何話してるのか分からな~い、朝倉音声だしてよ~」

「はいはい、え~と」

 

生徒たちがモニターを食い入るように見る

そして朝倉が要望どおり音声を流した。

 

『ネギ、告白されたんだって?』

『えっ!?ななな、何で知ってるんですかー!!』

 

「「「「「・・・・・・・・・えっ・・・・・・えっーーーーーーーー!?」」」」」」

 

「ネギ君が告白されたー!?誰に?」

 

「教師と生徒って・・・きゃーー!!」

 

「あう・・・・あう・・・・あう・・・・・どうしよ~ゆえ~」

 

「お・・・落ち着くです、のどか・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネギ、シモンside

 

 

「はいっ・・・・そうなんです」

「そっかー、ネギは人気あるんだな~」

 

シモンが笑いながら言う。するとネギはあわてて

 

「そんな~僕、告白されたの初めてなんですよ~う~、シモンさ~んどうすればいいですか?」

 

ネギが目を潤ませてシモンに聞く。

だが、シモンは笑って返した。

 

「おまえが言われたんだろ?俺に聞いてもしょうがないじゃないか」

「で、でもシモンさんはカッコイイですし、こういう経験がいっぱいあるんですよね?」

「・・・・・・・俺・・・・・一人としか付き合ったことないって言わなかったか?」

「え~!?でもシモンさん女性にモテそうですよ!」

「ん~、俺モテたことなんて無いよ」

 

シモンの言葉は謙遜ではなく事実である。

しかしシモンは人気が無かったわけでなく、シモンには8年前からずっと隣にはニアという女がいた。

見ているだけで幸せになるくらいのバカップル。

人類解放の英雄、大グレン団のリーダー。シモンが女性に好かれないわけは無いが、ニアとシモンはもはや鉄板のカップルとして認められていて、ニアからシモンを取ろうとするものも無く、シモン自身もニアしか見ていなかったため、女性問題が取り上げられることは無かったのだ。

 

「え~、そんな~」

 

憧れの男のまさかの発言に信じられないような声を出すネギ。

そんなネギを見てシモンは少し自分について語りだした。

 

「ネギ・・・俺な・・・・今まで好きになった女は二人いる!」

「えっ!?」

「一人は俺が付き合っていたって子・・・・そしてもう一人は俺の初恋の人」

 

 

 

 

 

 

生徒side

 

「ちょっと思わぬハプニングってやつ~」

「なんかシモンさんの初恋だって~」

 

温泉の会話を一部始終聞く生徒たち

 

「シモンさんの初恋か~、どんな人なんやろ」

「シモンさんの・・・・・しかし聞いてはまずい気が・・・」

「うっ・・・・でも私も気になる・・・」

「思わぬ収穫だな、全て話せシモン」

 

シモンと関わった木乃香、刹那、アスナ、エヴァも始めて聞くシモンの過去に興味心身だった。

美空だけは、なんとなくその人物に心当たりがあるようだった。

 

 

 

 

 

シモン、ネギside

 

 

「俺の初恋は14の時、ヨーコっていう俺より少し年上の人。長い赤い髪をなびかせて、美人でかっこよくて、スタイル抜群!たまに照れた時に笑う笑顔もかわいかった。それでいて強くてそこらへんの男より勇敢な奴だった」

「完璧超人じゃないですか!?」

「ははは、そう思うだろ?」

 

大グレン団、カミナ、シモン、ヨーコ、ブータ、このメンバーで地下から彼らは地上に飛び出した。

シモンは少し懐かしそうな目をして話していた。

 

「あの~告白しなかったんですか?」

「ああ、出来なかった」

「なんでですか?シモンさんぐらいかっこいい人なら・・・・・」

「当時の俺は全然かっこよくなんてなかった・・・自分に自信もなく臆病で・・周りからは男の癖にウジウジしてるって言われてた・・・・・いっつもアニキの後ろに隠れていたよ・・・・・」

「シ・・・・シモンさんが?シモンさんのそんなところ・・まったく想像できません・・・・・」

 

シモンの臆病だった頃?今のシモンを知るネギにとっては驚きのことだった。

それは別室で観賞している女生徒たちにもそうだった。

 

「それに・・ヨーコには他に好きな人がいたんだ・・・でもヨーコがたまに俺に『シモンなら出来る!』。そう言ってくれたことが、すごくうれしかった・・・・・」

「・・・・・ヨーコさんは誰が好きだったんですか?」

「俺の・・・・・最も尊敬する人物・・・・アニキだ・・」

「アニキさん・・・ですか・・・・」

 

シモンのアニキという人物について考えるネギ。するとシモンは

 

「そしてあの日、俺はアニキとヨーコがキスしてる所を目撃した・・・・・・・」

「えっ!?」

「俺はその場から走って逃げた・・・・それで俺の初恋は終わりだ・・・・かっこわるいだろ?」

 

シモンは少し苦笑気味に話した、当時の自分の弱さを。

ネギは何も言えなかった。シモンの語る当時のシモン、それがネギにはまったく想像できなかったからである。

ネギが何も言えずただただ黙っていると。

 

 

「だからネギ!おまえに告白した子はすごい勇気がある子だと思うよ!」

 

「シモンさん?」

 

「その子が誰だか知らない。けど想いを伝えるっていうのはすごい勇気がいるんだ。当時の俺と同じぐらいの年齢の子が、俺には出来なかったことをした。それってすごいことだと思わないか?」

 

「・・・・・・・・」

 

 

ネギは黙って聞いた。

 

 

「だからおまえもその勇気に応えろ」

 

「それって!?・・・・お付き合いするってことですか?」

 

「違う、おまえの気持ちを伝えてやるんだ!それがその子にとって望まない答えだったとしてもな」

 

「でも・・・・・僕・・・人を好きになるってどういうことかまだ・・・・・」

 

「俺はヨーコがアニキを見ているとき嫉妬した。それが恋だと思う。そして本当の愛とはその女のためなら世界の果てまで駆けつける、そんな強い思いを抱けることだと思うよ。」

 

「・・・・・・・・・」

 

「自分の気持ちがまだ固まっていないならそれでいいさ。ただ返事を先延ばしにして相手に失礼なことはするんじゃないぞ!」

 

 

シモンは穏やかな口調でネギにわかりやすいように、丁寧に話した。

するとネギは立ち上がり

 

「・・・・シモンさん僕行ってきます!」

「ああ!行ってこい!」

 

そう言って温泉から飛び出して行った。

一人残されたシモンは夜空を見上げて呟いた。

 

「・・・・・・ヨーコか~・・・・・・・・今頃どうしてるかな・・・・」

 

ニアと出会う前までは、たしかにヨーこのことが好きだった。

ネギやその生徒達の、恋の話しを聞いて、シモンは思い出したかのように、今ここにいない戦友に向かって、一人呟いた。

 

この様子が見られているとは知らずに。

 

 

 

 

 

 

生徒side

 

 

「・・・・・・ねえ・・・」

 

「・・ん・・・・うん・・」

 

「やばいよ~カモっち!空気重くなってゲームどころじゃないよ~」

 

「うお~!まさかこんな展開になるとはおれっちも思わなかったぜ・・・・・)

 

 

誰も言葉を発せずにいた。

普通初恋の話は冗談交じりでもっと楽しくなるはずなのに、思いのほか真剣な内容だったため、少女たちには少し重かったのかもしれない。

 

「ねえ・・・どうする?」

「ん~、なんかゲームやる気にもならなくなって来たよね~」

「そうそう、でもシモンさんってやっぱり大人なんだよね~」

「ホント、ホント」

 

先ほどまでの盛り上がりが一変した。

シモンとネギの会話を聞き、生徒たちも何かを感じ取ったようだ。

 

そんな中、シモンとネギの話の発端となった、のどかはシモンの言葉を思い出した。

 

―――おまえに告白した子はすごい勇気がある子だと思うよ!

 

「私に・・・・・・勇気がある?・・・・いつもオドオドしてる私が・・・・」

 

「のどか」

 

「ッ・・・・夕映?」

 

 

シモンの言葉に自問自答しているのどかの肩を、夕映がたたいた。

 

「シモンさんの言うとおりです・・・・のどかはとても勇気があるです」

 

そう微笑んだ。

 

「シモンさんにもそういう時代があったんですね・・・・・」

「そうね~、でも嫉妬が恋の知らせで、世界の果てまで飛んでいくのが愛か~シモンさんってやっぱり熱い人なのね~」

「ふん・・・・・だがヨーコとかいう女は昔の話だろ・・・・」

 

刹那、エヴァ、アスナも最初乗り気でなかったのに、シモンの言葉は全て聴いていた。

すると木乃香が疑問を口にした。

 

 

「そのヨーコさんって人がシモンさんの初恋やったら、もう一人の人はどんな人なんやろ・・・・」

 

「「「「「あっ・・・」」」」」

 

 

全員がその言葉を聞いて、再び騒ぎさした。

 

「そ~よね~、あの以外に熱いシモンさんと付き合ったんでしょ~、どんな人なんだろ~?」

「うっ・・・・・・わ・・・私も・・・・気になります・・・・」

「・・・・・吐かせるか・・・・・」

 

なにやら物騒な言葉が飛び交う中、その人物のことを知る美空は少しあせっていた。

 

(ちょっと~!まずいよ!だってニアさんって人は亡くなってるんだから~、)

 

シモンは気を利かせて別れたという表現を使っていたが、本当は死に別れたという表現が正しいのだ。

しかし目の前の子たちにはそんなことまで考えつかず、興味心身に聞いていた。

 

しかしその騒ぎを一人の少年の声が打ち破る、

 

 

「あれ~、皆さんここで何やってるんですか?」

 

「「「「「ね・・・ネギ君!?」」」」」

 

 

それはつい先ほどまで、モニターに映って、シモンに恋の相談を持ちかけた少年だった。

すでに消灯時間にもかかわらず、夜更かしをしている女子たちに少し驚き、また女子たちは慌てたが、今のネギには気にならなかった。

湯上りの格好で、ネギは生徒たちの中から一人に生徒の名前を呼んだ。

 

 

「あの!み・・・宮崎さん!お昼のことなんですけど!」

 

「「「「「!?(まさか・・・)」」」」」

 

「は・・・・はいいい・・あわわわ、いいいいえ、あのことは、きき聞きいてもらえただけで・・・」

 

「「「「「(やっぱり告白は本屋だったんだ~)」」」」」

 

テンパるのどか。

今のネギには他の生徒の存在が目に入っていなかった。皆黙って固唾を呑んで見守る・・・・

 

 

「僕はまだ・・・本当に人を好きになるってどういうことかはわかりません・・・・・・今宮崎さんへの好きは、クラスみんなに対する好きと同じで・・・・・」

 

今自分の思いを精一杯伝えようとするネギ、たどたどしいがその姿に全員顔を赤くして二人を見守っていた。

 

 

「・・・ちゃ・・ちゃんとした返事は今は出来ません・・・・でも、これからもっと宮崎さんのことを知っていって、ちゃんと答えを見つけます・・だから・・・・」

 

「・・・はいい」

 

「まずはそれまで・・・・・・お・・・お友達からはじめませんか?」

 

「・・・・・・はいっ!」

 

「「「「「「「うおーーーーー!」」」」」」」

 

「いいね~のどか!ラブ臭で悶死するとこだったよ~~」

 

「宮崎さん、シモンさんの言うとおり、あなたの勇気、感銘いたしました!これからは私のライバルとして認めますわ!」

 

「え!?あう~~~~」

 

「わ~~~!?皆さん聞いてたんですか~~!?」

 

 

ようやくクラス中の存在に気づいた二人はパニックになった。

クラス中が今行われた恋の出来事に大盛り上がりだった。

 

 

「本屋もやるねーー!見直したよ!」

 

――――バシンッ!!

 

よくやったと、少し背中を叩いただけだった。

しかしテンパッているのどかは、その反動でふらふらと前のめりになり、その先にはネギが・・・・

そしてのどかはそのままネギに倒れこみ・・・・・二人の唇は重なってしまった・・・・・・

 

 

「「「「「えっ!?」」」」」

 

 

「「/////////!?」」

 

 

真っ赤になる二人、呆然とする生徒たち・・・そして・・・・・

カモの手元には仮契約のカードが・・・・・・

 

「「「「「なんだそりゃーーーーーーー!!!そんなのアリかーーーーー!?」」」」」

 

「うおー!なんかしらんけど仮契約成立だーーー!」

 

「あーもー優勝は本屋ーーーーー!」

 

 

この叫びが原因で、見回りの教師の新田に見つかり、全員朝まで正座・・・・・シモンは何があったのかは気づかなかった・・・・・

 


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