魔法はお前の魂だ(魔法先生ネギま✖天元突破グレンラガン)   作:アニッキーブラッザー

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第175話 容赦ありだが容赦なし

「く、・・・これほどとは・・・うう・・・フェイト様・・・・」

「・・・で・・・でも私の意地に賭けて私は結界を解かない。どうしても脱出したければ殺していきなさい」

 

死を覚悟して、目を瞑る環。しかしその覚悟をどこか気に入らずにシモンが告げる。

 

「そうか・・・少し意地の張り方に言いたいことがあるが・・・でも、それでいいのか? もう諦めるか? あいつの仲間だっていうのに、これで終わりか?」

「なっ!?」

「わ・・・私たちのフェイト様を侮辱するな!!」

 

その言葉に一気に怒りが戻り、暦、そして環が目を見開いた。

 

「かっかっか、ピンポイントだな」

「まあ、術者を殺す以外に魔法を解くには・・・相手の全力を打ち倒して、心を折ることだからね~、物騒な覚悟は止めてもらわないとね。いい挑発だよ。もっともシモン君本人は意識して言ったわけじゃないだろうけどね」

「まっ、よーやく敵さんも、やる気出したってことかな?」

 

シモンの挑発により、再びその目に力が宿った暦と環を見てラカンと瀬田が笑う。

 

「ば、バカにして~・・・・環ィーーーーッ!」

「分かった!」

 

そして、戦う覚悟を決めた暦と環が立ち上がる。

 

「逃げるのは無理です。ならば・・・・」

「引き裂く!」

 

そしてその身を変化させていく。ようやくまともな戦闘体勢に入ったと分かり、ラカンも笑みを浮かべた。

そして・・・

 

「フェイト様を侮辱した罪、万回の苦痛で贖わせてあげます! これが私たちの本気です! ほえヅラかきなさい! 豹族獣化(チェンジ・ビースト)!!」

「なんだ? ・・・・・変身か?」

「なっ、あの女、獣化しやがった!?」

「ま、まずいですわ! 獣化すればその力も獰猛さも何倍にも・・・」

「油断するなよ、シモンの旦那!」

 

暦の肌が黒いフサフサの毛で覆われ、その両手足には鋭い爪が現れた。

 

「おやおや、これはまた可愛らしいネコさんだね~」

「くっ、眼鏡の男・・・・そのふざけた余裕も引きつらせてあげます!」

 

この力こそが、暦の本気を表していた。

そして環も同じである。

環が四つん這いになり、暦同様にその身を変化させていく。すると暦の頭から二つの角が伸び、大きな尻尾、そして翼が現れた。

 

「竜族竜化!!」

「ほう、こっちは竜族の亜人か~。興味深いね~」

「豹と竜の力か・・・中々希少だな。俺様も久々見るぜ」

「せ、瀬田さんもラカンさんも何をのんびりしているのです!? 」

「その通り! その余裕も今のうちです!! 行きますよ!」

 

ようやく本気を出した暦と環。小細工も作戦も捨て、真正面から向かってくる。

しかし・・・・相手が悪い。

 

 

「見せてあげます! 獣化した私のスピードは人間の反射神経を―――」

 

「ほう・・・・抜き足!」

 

「甘い! 見えています! そして・・・この爪で引き裂いてやります!!」

 

 

どうやら身体能力も完全に上がっているようだ。暦は瀬田の高速の動きに反応した。

 

 

「食らえ! 黒爪(ブラック・クロウ)!!」

 

 

暦の高速の黒い爪が瀬田に襲い掛かる。

しかし・・・・

 

 

「やるね・・・・だが・・・スリッピングアウェイ!」

 

「なっ!?」

 

 

その爪が瀬田に届くことは無かった。

 

「残~念♪ 奥さん以外の女の子に引掻かれるのは、嫌なんでね♪」

 

まるで一枚の紙のように瀬田は柔らかい動きで暦の爪を全て交わした。

 

「うおお! 旦那やおっさんだけじゃなくて、あの眼鏡もスゲー!?」

「確かに。こりゃあ、マジで喧嘩してみてえな~」

 

瀬田の次々と見せる力に興奮するラカン。

一方で自分のスピードに多少の自信を持っていた暦は瀬田の見たことも無い体術に焦りが募る。そして瀬田はゆっくりと足を振り上げる。

 

「あ、当たらない!?」

「さて・・・いくら強くても女の子・・・本気で殴る蹴るはしたくないから・・・・このくらいかな?」

「!?」

「そらっ!」

「にゃ・・・・にゃああああああああ!?」

 

瀬田の蹴り足から発生するカマイタチ。女性を気遣う瀬田ゆえ、その切れ味こそ押さえているものの、その風圧は暦の軽い体など軽がると吹き飛ばした。

 

「暦!?」

「にゃ、にゃ! だ、大丈夫!」

 

激しく飛ばされた暦だが、意外とダメージは無かった。その身体能力ゆえに、何とか空中で宙返りをして着地する。

 

「ジャック・ラカン、そしてシモン以外も強いです!」

「分かってる・・・・なら・・・・足を止める! 暦・・・耳を塞いで!」

「ん? 次は何をする気かな~? 楽しみだね~」

「苦痛に歪みなさい! ふうううううう・・・・・ッ!」

 

環が息を大きく吸い込み、口の中で息を溜め込んでいる。そして頬がパンパンになるまで吸い込んだ物を一気に開放する。

 

 

「グラアアアァァアアアァァァァァァァァァァァァァアアアアアアア!!!!!」

 

「うお・・・み・・・耳が・・・」

 

「ド、ドラゴンの雄叫びですわ!?」

 

「み、耳が痛てええ!?」

 

 

景色が歪んで見えるほど鳴り響く竜の叫びに、誰もが顔を歪めて耳を塞ぐ。

 

「ちょっ、誰か何とかしろよーーーッ!? パパァ!?」

「う~~ん、何言ってるか聞こえないや~」

「ははは・・・・最近の女はやっぱりスゴイや~」

「何をのんきに話しているのですか!?」

「頭がガンガンゆうえ~~!?」

 

そして逸早く環の指示で耳を塞いでいた暦は、足を止めた敵をチャンスだと判断し、一気に詰め寄ろうとする。

 

「今だ!」

「どうかな~?」

「な、ラ・・・・ラカン!?」

 

しかし・・・・

 

 

「女が・・・そんな品のねえ叫びはいけねえな~・・・・叫ぶなら・・・・これくらい豪快にだ♪ ふうううううううううううううううううううううううううう・・・・・・・」

 

 

この中で唯一この男が動いた。

そして全身筋肉の大男は、その体に命一杯の息を吸い込んで、未だ鳴り響く竜の雄叫びの音に向って一直線に吐き出した。

 

 

「だあああああああああああああああああああァァァァァァァァ!!!!」

 

「「「「「「―――――ッ!?」」」」」」

 

 

正に目には目を。雄叫びには雄叫びだった。

鼓膜が破れるかと思えるほど大きな、ドラゴンよりもタチの悪い、ラカンの雄叫び。

その力は雄叫びの振動のみで、直接向って叫ばれた暦と環を吹き飛ばすほどのものだった。

 

 

「にゃあああああああああ!?」

 

「くわああああああ!? み、耳が・・・・頭が・・・・」

 

 

獣化、竜化して身体能力のみならず、五感も動物並みに向上させた二人には、たまらない攻撃だった。

そしてその被害は敵のみに止まらない。いかに耳を塞いでいたとはいえ、味方もクラクラしていた。

 

「あの筋肉だるま・・・・耳が・・・それに・・・」

「頭がクラクラするえ~~~」

「け、景色も歪んで見えますわーーーーッ!?」

「お、俺っちも・・・・・」

「ったく・・・鼓膜破れたらどうするんだい?」

「うう~~ん、ある意味伝説の男の雄叫びだね~~」

「でも、もっとマシな破り方は無いのかよ~」

 

味方をも巻き込むその叫び。ラカンは高笑いしながら胸を張る。

 

「だっははははは! これぞ必殺、ラカンバウトだ! 俺様の美声に酔いな!!」

 

声の振動だけで敵を吹き飛ばすこの男も、規格外だった。

 

「ぐ・・・・・・もう・・・・帰りたいにゃ~~」

 

激しく吹き飛ばされた瓦礫の中で、涙目になりながらヨロヨロと立ち上がる二人。しかし立ち上がったものの、心は徐々に折れかかっていた。

 

「で、でも・・・・・・このままでは・・・・フェイト様に顔向けできない!」

「た、・・・環・・・・」

「まだ・・・出来る!」

 

弱気になる暦を叱咤して、環はまだあきらめない。

再び環は口を開いて大きく息を吸い込む。しかしその様子は先ほどまでとは違う。目に見えるほどの魔力の光が環の全身を駆け巡り、口に集中しているようだ。

その動作を見てエミリィがピンと来た。

 

「あ、あれは・・・まずいです!? 竜族のブレスです!」

 

環の力に逸早く気づいたエミリィが叫ぶが既に遅い。エネルギーを貯めた環がその力の全てで、シモンたちを纏めて吹き飛ばそうとする。

 

 

「消し飛びなさい! 魔竜の咆哮!!」

 

 

魔力を上乗せさせた環のドラゴンブレスが一直線に襲い掛かる。

しかしそのブレスの前に三人の男はまったく慌てずに立ちはだかる。

 

「なっ!? パパァ!?」

「あ、アカン!? シモンさん、ラカンさん!?」

 

後ろで木乃香たちが悲鳴を上げるが男たちは交わさずに、環の全力の一撃を受け止める。

 

 

「螺旋フィールド!!」

 

「気合防御!!」

 

「回し受け!!」

 

 

三者三様の防御だが、一つハッキリしていることがある。

 

 

「そ、そんな・・・・・・」

 

 

たとえ天と地が引っくり返ろうとも、この三人の前では、彼女たちではどうしようもないということである。

 

「ウソ・・・・環のブレスを食らって・・・・無傷・・・・」

「いや~、僕は効いてるよ~」

「ウ・・・・ウソです・・・・・・・」

 

彼女たちは徐々に気づいていた・・・・・

 

「くっ、ウ・・・・うう・・・・にゃ・・・にゃああああああ!!」

「ほう・・・向ってくるかい? い~い根性だな、嬢ちゃんたち・・・だが・・・・」

「ああ・・・・まだ・・・足りねえな」

 

無限に広がる空間にシモンたちを閉じ込めたと思っていた。

しかし出口の無い空間で追い詰められていたのはむしろ・・・・・

 

 

「漆黒の十字架で血に染めてやります! くらえ! 黒十字(ブラック・クロス)!!」

 

 

追い詰められたのはむしろ自分たちだったのだ。

 

 

「気合が足りねえ!! 時空列断!!」

 

 

迫り来る暦の瞳には、明るい光がシモンの右拳に蓄積されている姿が映っている。

 

 

「バーストスピニング!!」

 

 

螺旋力を一転集中させただけのパンチ。しかし単純ゆえに防ぐ手段も無いその拳と共に、シモンは雄叫びと共に解放した。

 

 

「パアァァァァンチィィーーーーーッ!! 寸止めバージョンっだァァァーーーーッ!!」

 

 

寸止めとはいえ、蓄積したシモンの螺旋力を纏った右アッパーパンチの拳圧は、螺旋の渦を描いて暦を高らかと打ち上げた。

 

 

「ギニャああァァァァあああああああああああああああああああ!?!?」

 

 

まるで嵐の中で打ち上げられるかのように暦は上昇し、その渦のエネルギーはやがて暦ごと空間に大きな穴を空けて、暦がその穴から外へと飛び出してしまった。

 

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