魔法はお前の魂だ(魔法先生ネギま✖天元突破グレンラガン)   作:アニッキーブラッザー

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第2話 誇りを忘れずに生きていく

「シモンさん、あなたに何があったのかは知りません、ですが今日からここがあなたの家です。安心して休んでください」

「じゃあ私は寮にもどるから、シモンさんシスターシャークティは強いから襲っちゃダメだよ♪」

「ブータもオヤスミ」

 

結局あれから教会にしばらく住むことになりシモンにはその一室が与えられた。

 

「ああ、ありがとう。美空もココネもおやすみ」

 

バタンと扉が閉められシモンはようやく一人になった。

正確にはもう一匹部屋にいるのだが、ここでシモンはとりあえず今の自分の状況を整理した。

 

(皆と別れてから数ヶ月、俺はまだ見ぬ土地で穴を掘っていた、その時急に光が包み込み気づいたらここに・・・・)

 

医者は「思い込み」そう言っていた。

だがそんなことはない。大グレン団はたしかにあった。

それは自分の背中のマークと、目の前にいるブータが証明している。

 

「ブータ、おれ達の旅は現実だったよな?俺達大グレン団はたしかに存在したよな?」

「ブヒー!ブヒー!」

 

シモンの言葉にブータは当たり前だと言わんばかりに鳴いた。

当然だ、なぜならブータこそ故郷から自分と共に旅立った大グレン団最古のメンバーだ。

自分にも負けない思いがあったからだ。ブータの反応にシモンは安堵の表情を浮かべ窓の外を見た。

そこには金色に輝く月が浮かんでいた。

 

(月があるしここが地球で間違いは無いんだろう。でも俺のいた・・・俺達のいた地球とは違う、リーロンがいたら何か分かるのかもしれないけど)

 

シモンは不意に男の癖に女の口調で話す天才的な頭脳を持った仲間を思い浮かべた。

だがここに彼はいない。少し考え込みシモンは突如窓を開け、

 

 

「せっかくだ、少し探検しようぜブータ」

 

 

シモンの提案にブータは一度鳴いて肩に飛び乗りそしてシモンはそのまま窓の外に出た。

 

 

 

 

 

今は夜。周りに人はいないけど、月と街灯のおかげで思っていたより明るい。

しかし何処の建物も閉まっているため中に入ることは出来ず、シモンはただあたりをぶらついていた。

そして結局自分が一番最初にいたところ、世界樹の前まで来た。

 

「けっこう大きいなーこの木、よし登ってみよう」

 

シモンは世界樹をよじ登り、そして見た。

そこにあったのは自分の想像を遥かに超えた大都市を。

明かりが建物からチラチラ見えて、少し暗がりではあったが今自分のいる場所がどれほど広大な場所なのかを理解した。

頂上まで上り辺りを一望した後、シモンは枝の上に座り込んで考えた。

 

(ここは俺の知ってる地球じゃない地球、たしか60億人すんでるんだっけ?俺には想像もつかないや)

 

自分のいた地球では人類は最初地上にいたが、獣人によって地下に閉じ込められていた。

グレン団はそれに反抗するために立ち上がり、多くの仲間がその旗の下に集まり大グレン団となり戦いに勝利した。

しかし進化を止めることが出来ない人類はいずれ宇宙を滅ぼす。

それを恐れた反螺旋族、アンチスパイラルは人類が100万人に達したとき世界を滅ぼすようプログラムしていた。

 

「でも俺たちは勝った、多くの犠牲と引き換えに自由を手にした・・でも・・」

 

そうこの世界にはその戦いを知るものは誰もいない、自分とブータしか知らない、誰も自分のことを知らない。

だからあの戦いに散った英雄たちのことも、そしてあのでっかい背中の男のことも知らない。

 

「アニキ・・・俺またとんでもないもの掘り当てたよ・・・新しい世界を掘り当てたよ」

 

少し自嘲気味にシモンはつぶやいた。

この世でもっとも尊敬する男。

死してなお自分を奮い立たせてくれた男をシモンは思い出した。

自分よりも自分の仲間たちのことをこの世界は知らない。

それが悲しかった。

 

 

周りに音もなく静寂な時間だけが過ぎていった、だがしばらくしてシモンは決意の表情を浮かべて立ち上がった。

 

「でも、俺は何も変わらないよ。地下でも、地上でも宇宙でも、違う世界にいたって俺は俺だ!グレン団の誇りを忘れず生きていく!」

 

決意をしたシモンは月を見上げて叫んだ。

 

「いつ元の世界に帰れるか分からないけど見守っていてくれアニキ・・・・・皆・・・・そして二ア」

 

仲間たちと最も親しい男と愛しい女に告げシモンは樹から飛び降りた。

 

「さて今日は帰ってまた明日、色々調べるか」

 

シモンとブータは教会に向かって歩き始めた・・・・しかし突然

 

 

「キャーーーーーーー」

 

 

近くから女の悲鳴が聞こえてきた、そして

 

「僕の生徒になにをするんですかーーー!!」

 

子供の声が聞こえた。

何があったのかは分からない、しかしシモンは考えるより先に声の聞こえた方向へ駆け出した。

 


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