魔法はお前の魂だ(魔法先生ネギま✖天元突破グレンラガン)   作:アニッキーブラッザー

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第20話 俺たちにも出来るってことだな

「シネマ村でそんなことがあったんですか・・・・・」

 

シモン達と合流したネギが事情を聞き呟いた。

シモンが敵のど真ん中に行ってしまい心配したが、無事だったことにネギ達は安堵した。

 

「ああ、でもあれ以上戦えば確実に一般人も巻き込んでいたしな。だから、最後までは出来なかったよ」

「ええ、それでいいと思います。それにシモンさんたちも無事で何よりです」

 

かつてシモンはグレンラガンで街の上空で敵と戦い、その結果街を巻き込む大惨事になったことがある。

それだけは絶対に避けねばならなかった。

それに、戦いは中断となってしまったものの、シモンはあの戦いで確かに掴んだ。

螺旋力の扱い方だ。

 

(グレンラガンの技が使えた・・・・・・つまりもっと気合があれば、あの技も使えるってことか・・・・)

 

かつてどんな強敵にも打ち勝ってきたグレンラガンの大技。『あの技』だ。

それが自分にも出来るかもしれない。それが分かっただけで大収穫だった。

シモンの言葉にエヴァは、

 

「ふん、何かを考えているようだな。お前にも脳みそがあったのだな」

 

「おいおいエヴァ俺を誰だと思って「シモンだ!」エヴァ?」

 

「大グレン団、のリーダーシモンだろ?」

 

 

エヴァは腕を組みながらニヤリと笑ってシモンを見上げた。

 

「・・・・・・ああ!」

 

シモンは笑いながら答えた。

するとアスナが

 

「ねえねえ、ダイグレンダンってなんのこと?」

「おっとこれは秘密だったなシモンよ、キサマらは気にするな」

「エヴァンジェリンさん!?あんまりです!!」

 

わざとらしくエヴァは口元を押さえるようなそぶりで言う。

それに対して刹那たちは不満の目でエヴァを睨むが、エヴァは無視した。

 

「ところでさっきから気になっていたんだが・・・・・・・」

「あっそれ私も・・・・・・」

「私もです・・・・・・」

「僕もです・・・・・」

 

エヴァ、アスナ、刹那、ネギの4人が呟く、そして自分たちと一緒にいる者たちに向かって叫んだ。

 

「なんであんたたちがいるのよー!?」

「ハーーハハハ、こんなこともあろうかと桜咲さんの鞄にGPSを仕込んでおいたのよ!」

 

朝倉が高笑いで答える。

本来なら、ネギ、アスナ、シモン、刹那、木乃香、エヴァ、茶々丸、そして偶然巻き込んでしまった、のどかのメンバーだったのだが、朝倉の気転により、朝倉、ハルナ、夕映まで来てしまったのである。

 

「アンタ達なに言ってんのよ!これは遊びじゃないのよ!」

「まあまあ気にしなさんなアスナ!おっ、なんか入り口が見えてきた」

「風情がありますね」

「よーし、レッツゴー!」

「ちょっ!そこは敵の本拠地なのーーーー!!」

 

危険をまったく感じず進むハルナたち、すると

 

「「「「「お帰りなさいませ、木乃香お嬢様」」」」」

 

大勢の巫女がネギたちを迎えた。あまりの突然さに思わず呆けるネギたち、

 

「へっ!?」

「うわっ、これは一体・・・・・・」

「桜咲・・・・・?」

「黙っていて申し訳ありません。じつは関西呪術協会の総本山はお嬢様のご実家なのです」

「えー!?聞いてないわよー!?」

 

刹那の説明に今まで聞いてなかったことに驚くアスナたち。

自分の実家を今まで黙っていた木乃香は少し恥ずかしそうにしていた。

 

 

 

 

入り口の巫女たちに案内され、ネギたちは本山の内部に移動した。

そこは無駄に広い大広間で周りを大勢の巫女に囲まれた場所、ネギたちはその部屋の中央へ招かれ、腰を下ろした。

主賓として歓迎されることに少し戸惑う面々だが、そこにようやく目的の人物が現れた。

 

「お待たせしました」

 

奥の部屋から中年のめがねを掛けた、少しやせた男が現れた。

 

「ようこそ明日菜君。そしてこのかのクラスメイトの皆さん。そして担任のネギ先生」

「お父様ー!」

 

男を見るなり木乃香が抱きついた。

 

「こ・・・・・木乃香のお父さん!?」

「そういうことだったのか・・・・・」

「なるほど、長が木乃香の姉さんの親父だったのか・・・・予想すべきことだったな」

「久しぶりだな詠春」

「エヴァンジェリン、あなたもお元気そうで何よりです」

 

様々な反応を見せるが、敵が木乃香を狙ったいたことに合点がいったアスナたち、

 

「ネギ先生、話は聞いています」

「あっはい、これが東の長、麻帆良学園学園長、近衛近右衛門からの西の長への親書です」

 

ネギはそう言って木乃香の父に頼まれていた親書を渡した、

木乃香の父はそれを受け取りにっこり笑い、

 

「ごくろうさまです、我々も東西の仲違いに全力を尽くします、任務御苦労!!ネギ・スプリングフィールド君」

 

その言葉とともにみな歓喜の声を上げる。

朝倉たちも何がなんだか分からなかったがとりあえずネギを胴上げして、このことに喜んでいた。

 

「今日はもう遅い、泊まっていきなさい、歓迎の宴も用意します」

「マジ!?ラッキー!」

「よっしゃー!」

 

長の言葉に歓声を上げる朝倉たち、今日はここに泊まり、自分たちの身代わりは長のほうで何とかしてくれるようで、みな気兼ねなく休もうとした。

しかし長が一つ疑問を口にした。

 

「ところで先ほどから気になっていたんだが、あなたは誰ですか?」

「えっ?俺のこと?」

 

長がシモンに向かって呟いた。

 

「おい詠春、じじいから何も聞いていないのか?」

「いえ、何も・・・・・」

 

シモンの修学旅行行きは学園長が急に決めたため、シモンの説明をすっかり忘れていたようだ、

そのことにあきれた面々だが、シモンが学園長にアルバイトを頼まれたことだけを説明し、どうにか納得したようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シモンの紹介を終え、宴会が開かれた。

生徒たちは無礼講とばかりハシャイでいた。

頭にビのつくジュースを飲んだりしている生徒もいたが、それは見なかったことにしておく。

しかしシモンは酒をシャークティに禁止されているうえに、あまり料理も口に合わなかったため、未だに盛り上げれないでいた。

そんなシモンに心配そうに木乃香が話しかけてきた。

 

「シモンさん、口にあわへんかった?」

「近衛?う~~ん・・・・あまりおなか空いてなくて、悪いな」

 

シモンは申し訳なさそうに言った。

シモンはチラッと他を見ると刹那とネギとエヴァが長と何かを話しているようだ。そして刹那は頭を深々と下げていたが、

ここからでは会話は聞こえない、

少し気になっていたが、また木乃香が話しかけてきた。

 

「シモンさん・・・・シネマ村のことなんやけど・・・・・」

「ん?」

「シモンさんウチのこと渡さんゆうてくれたやないか・・・・あれな、うれしかったんよ・・・」

「あっ・・・・・あれは劇で・・・」

「それでもや!ありがとなシモンさん!」

「・・・・ああ、どういたしまして」

 

シモンが木乃香にそう言うと、木乃香は少し顔を赤らめモジモジしだした。

そんな木乃香を見て、ハルナたちが乱入してきた。

 

「そうだよーシモンさん!あんな熱い告白したら女は一発でダウンだよ~」

「そうそう、あっ録画してあるから後でみんなで見ようねー!」

「俺がいつ告白したんだ?」

「いやー気にするなシモンさん、いやっ木乃香のために気にしたほうがいいのかな?のどかといい、木乃香といい青春万歳だね~」

「もうハルナ~~」

 

木乃香は顔を赤らめ、酔っ払っているハルナたちにからかわれていた。

その様子を刹那たちは離れたところから見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

一頻り話しを終え、長は二人で話しているシモンと刹那を見て呟いた。

 

「それで・・・彼は魔法使いなのですか?」

 

長はシモンを見ながらネギに聞く、

 

「いえシモンさんは・・・・・・・・シモンさんは・・・・・・なんて言えばいいんでしょう・・・・・」

 

魔法使いでも呪術師でも剣士でもない、今更になってネギはシモンをどう分類するのか分からなくなっていた。

それは刹那も同様だった。ドリルを持って戦う男、シモン以外見たことがなかったからだ。

するとエヴァが口を開いた。

 

「あいつは穴掘りシモン、それだけだ」

「あっ!?そうです、シモンさんは穴掘りです」

 

エヴァの答えにネギも同意する。しかし長は逆に首を傾げてしまった。

 

「穴掘り・・・ですか?」

「ああ、だが奴の掘る穴はただの穴じゃない、立ちはだかる困難も、心の壁すらも掘る男だ・・・・・」

 

エヴァの言葉に長は驚いた。

エヴァのそう語ったときの目が、とても穏やかだったからだ。

 

「変わりましたねエヴァンジェリン」

「ふん、それは刹那や貴様の娘にも言えることだ!おまえの娘はシモンに惹かれてるぞ? 娘を取られたくなければ貴様が何とかしろ!」

「・・・・・・・・・・・えっ!?」

 

エヴァの言葉に石化してしまう長。彼も娘が可愛かった。

しかし石化した長の横で刹那は少し苦しそうな表情をしていた。

 

(そうだ・・・・私は・・・・お嬢様を応援するんだ・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もしもし、シャークティ?俺だよ」

『シモンさん!?よかった・・・・無事だったのですね!』

 

宴会を終え、風呂にネギと詠春に誘われたが、シモンは先に電話を借りて、自分の恩人に報告の電話をしていた。

 

「ああ、すごい強い奴とも会ったよ・・・・・正直最初ビックリしたよ」

『・・・無理しないでくださいね・・・・・・美空やブータも元気ですか?』

「ああ、美空は普通の生徒として楽しんでるよ。ブータは・・・・今どこにいるか分からないや」

『そうですか・・・・・・・・・えっ!?ブータそこにいないんですか?』

 

実はブータは今シモンと一緒にいなかった。

この修学旅行には来ていたが、途中でどこへ行ったのか分からなくなってしまったのである。

しかしそのことにまったくあわてた様子のないシモン、

 

「別に大丈夫さ、ブータはあれで逞しいんだ。俺がピンチになればまたすぐに駆けつけてくれるさ!」

 

シモンは当然のように言う、シャークティは電話越しで少し笑う、

 

『あんなに小さいブータを信頼してるんですね』

「ああ、小さくてもでっかい気合を持った奴だ、それが俺の相棒だからな」

 

シモンは誇らしげに答える。

 

 

 

 

一方ブータはそのころ旅館にいた。

 

「ほらブータ!これも食べな!」

「ブヒ!がつがつがつがつ」

「いい食いっぷりアルネ~、」

「しかしシモンさんも珍しいペットを飼っているでござるな~」

「う~ん、ブータはペットってより、シモンさんの相棒なんじゃないかな~」

「相棒、いい響きアルネ~、でも何で美空が知ってるアルか?」

「うっ!?・・・・・まあいじゃん、いいじゃん!」

 

実はブータが起きた時にはシモンはすでに出かけていたため、一緒に行けなかったのである。

いつも自分から服の中や肩に乗っていたためシモンも気づかなかった。

シモンに置いていかれたブータは仕方なく美空のいる班と行動していたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『それで任務も無事終わったのですね?』

「ああ、でもまだ終わりじゃない、敵はまた来る・・・今度こそ決着をつけるんだ・・・・・」

 

シモンの言葉にシャークティは心配そうに聞く、

 

『あなたは何故戦うのですか?学園長の依頼はただの補佐、戦わなくていいと言われた筈です』

 

学園長の依頼は護衛でなくネギが自分を見失わないように補佐すること。

シモンに戦えと言ったわけではないのにシモンはこの修学旅行中に多く戦った。

シャークティはそれでシモンに取り返しのつかないことになるのを恐れた。

するとシモンは意外なことを言った。

 

 

「多分・・・・・うれしかったんだと思う・・・・」

 

『うれしかった?』

 

「ああ、今回みたいに誰かと協力し合って困難を乗り越えようとすることだ・・・・俺はもうそんなこと二度とないと思っていたからなあ」

 

『・・・・・・・』

 

「ネギも神楽坂も桜咲も昔の俺のように一生懸命だった。俺は補佐なんて言われたけどそうじゃなくて・・・・・あいつらと肩を並べて一緒に戦う、そういう立場でいたかったんだ。だから戦ったんだと思う。魔法協会も呪術協会も俺にはよく分からないことだしな・・・・」

 

『大グレン団の方々に会いたいのですか?』

 

 

シャークティは核心をついた。それがシモンの本音だろう。シモンも図星をつかれて少し黙った。

 

「・・・・・・・・俺は今俺に出来ることをする、今はそれだけだ・・・・だから俺は最後まで舞台に残る」

『シモンさん?』

「じゃあおやすみ、シャークティ」

 

シモンはそう言って電話をおもむろに切った。

シャークティに図星をつかれてあわててしまったのである。

 

「俺・・・・寂しいのかな・・・・」

 

シモンは誰もいない場所で一人呟いた。すると、

 

「あんな賑やかな子達と一緒にいるのにですか?」

 

シモンがあわてて振り返ると、湯上りの木乃香の父、詠春がいた。

 

「風呂に入ってたんじゃ・・・・・・」

「いやー、ネギ君と入っていたんですけど、御婦人の方々が間違って入ってきてしまってね~、追い出されてしまったんですよ」

「はは、それは運がいい」

「まったくです」

 

詠春は笑いながら答える。

 

「君と面と向かってまだ話してなかったですね、木乃香を助けていただきありがとうございます」

「あっ、いや俺は別に・・・・」

 

突然深々と頭を下げる詠春にシモンは少しあわててしまった。

 

「ネギ先生にはお話しましたが、後のことは我々に任せて置いてください」

 

詠春はそう言うがシモンはうなずくことは出来なかった。

敵の狙いがどうであれ、少なくともフェイトとは自分がケリをつけたいと思っているからだ。

そのためシモンは少し曖昧な感じで返事をした。

 

「木乃香だけでなく、ネギ君やエヴァンジェリンや刹那君とも色々あったみたいですね」

 

詠春が突然話題を変えた。

 

「ネギ君はとてもシモン君を信頼しています。刹那君には境遇上色々問題がありましたが以前見たときより表情が丸くなっていました。さらにエヴァンジェリンもそうです、彼女はサウザンドマスターの件もあり少し心配だったのですが・・・・」

「確かネギの父親だったなその人、エヴァに少し聞いたことがある」

「はい、彼は私の無二の親友でした・・・・偉大なる英雄として多くの者に慕われていました」

 

詠春はそう言って空を見上げ、今はいない友を思い黄昏た。

 

「ネギ君は父親の影を未だに追いかけています・・・・・・それが少し心配です」

 

詠春は空を見上げて呟いた、

 

「英雄なんだから憧れてもいいじゃないか?」

「しかしそれは戦争という出来事の上に出来た英雄です、慕う者もいれば恨む者もいる。今回の天ヶ咲千草の行動もその一つです、彼女の両親はその戦争で亡くなりました」

「ああ、あいつか」

「西洋魔術師へのわだかまりを持っているのは彼女だけではありません、「そうゆうことや」!?」

 

詠春とシモンの会話に口を挟む者がいた。

シモンと詠春が声の方向へ振り向くとそこには千草がいた。

 

 

「「天ヶ咲千草!?」」

 

「こんばんは。詠春様、それにそこの兄さんにも昼間世話になったなあ」

「バカな!?本山の結界に引っかからなかったのか!?」

「くくく、平和ボケしたようやなぁ詠春様、だが安心しい、あんたの娘の力使ってこんな温い組織を立て直したるえ」

 

 

千草の声が響き渡る、

 

「近衛は家族がどうあれ今は一般人だろ?おまえの不満は自分で解消したらどうだ」

「やかましいわ口だけ男!魔法使いでも呪術者でもないおまえは黙っときい!」

 

屋敷に千草の声が響き渡る。

しかし誰も出てくる様子がない。

そのことにいやな予感を感じたシモンと詠春。すると千草は高笑いを始めた。

 

「もう誰も出て込んでえ!この屋敷の人間は既に新入りの魔法で捕らえられている、ついでに木乃香お嬢様もなあ!」

「なっ!?なんだと、そんなバカな!?」

「馴れ合いなんて温い環境を作り出した長殿と散々邪魔してくれたアンタや魔法使いのガキ達は生かしておいたる、その目で大事な木乃香お嬢様の力を目に焼き付けとくといいで!」

 

 

その言葉とともに千草は夜の闇へと消えていった。

 

「バ・・・・バカな・・本山の結界にもまったく感知されずにだと・・・・・・くっ・・・木乃香」

 

残された詠春は拳を強く握り締め、先ほどの温和な男と同一人物とは思えないほどの怒りを浮かべていた。

その表情にシモンも少し背中に汗をかいた。

すると幼い声が聞こえてきた。

 

「長!シモンさん!」

「よかったお二人とも無事だったのですね」

 

ネギ、刹那、アスナ、茶々丸、エヴァの五名が駆けつけてきた。

 

「茶々丸が気づかなかったら私もアウトだった、昼間のシモンと戦ったガキだ」

「申し訳ありません長!お嬢様が攫われてしまいました・・・・・・」

 

刹那が目に涙を浮かべ頭を下げる。その肩が若干震えていた。自分の力不足に怒りを感じているのだろう。

詠春は先ほどの怒りの表情を捨て、刹那の所為ではないと口にする。

しかし誰もが今の状況に動揺していた。

そして詠春は一同に追い討ちを掛けるような一言を言う、

 

「おそらく彼女は木乃香の力を利用して、かつて封印した大鬼を召喚する気でしょう・・・」

「なっ!?詠春それは昔キサマとナギが封印したスクナのことか!?」

 

エヴァは驚きの声を上げ、詠春は沈黙の肯定をした。

 

「スクナって何よエヴァちゃん?」

「18年前に封印された伝説の鬼神です、その体躯は山よりも大きいそうです」

 

エヴァの代りに茶々丸が答える。

しかしその言葉にアスナたちは顔を青ざめた。エヴァも魔力が封じられている以上どうすることも出来ないため、歯軋りをする。

しかしその絶望の雰囲気をシモンが打ち破った、

 

「過去に倒した奴がいるなら、俺たちにも出来るってことだな」

「なっ!?」

「シモンさん・・・・・」

 

皆がシモンに顔を向ける。

 

 

「山ぐらいの大きさなら俺たちの力でブチ破れる筈だ!」

 

「本気かシモン?」

 

「エヴァ、そろそろ俺の本気を信じてくれてもいいんじゃないか?」

 

 

シモンがニヤリと笑い、まったく揺らぐことのない自信に満ち溢れた瞳で言う。

その言葉に顔を青ざめていたネギ達の目に力がみなぎってきた。

しかし詠春は、初めて聞くシモンの言葉に自分に親友を思い出した。

 

「ナギ・・・・・・・」

「おい詠春、この男はシモンだ、おまえが今想像した男とは無関係だ」

「・・・・・・そんなことを言うということは、エヴァンジェリンもシモン君にナギを重ねたことがあるんですね・・・・・そうか、シモン君がなぜネギ君の補佐に付かされたのか分かった気がしますね」

 

詠春は笑ってしまいそうになった。普通なら強がりに聞こえるセリフも目の前の男が言うと信じられる気がする。

かつての親友がそうだったように。

 

 

「でもシモンの旦那どうするんだい?さすがに気合でどうにかなる相手じゃねえぞ?」

 

「だからどうした!無理を通して、道理を蹴っ飛ばすんだよ!俺を、そしておまえ達は自分を誰だと思っている!俺たちの魂で友を救い、明日を勝ち取るんだ!」

 

「「「シモンさん・・・・・」」」

 

 

頼もしく、言葉の一つに力が漲る。今のネギや少女たちの顔を見れば一目瞭然だった。

 

 

(やっぱりシモンさんはすごい・・・・僕も出来る気がしてきた)

 

(なるほどね~、これがシモンさんか・・・ネギもエヴァちゃんも刹那さんも、この言葉を信じてきたのね・・・・)

 

(やはりシモンさんだ・・・・・この大きな人を信じてよかった)

 

(・・・・・・録画中・・・・・・・)

 

 

ここにはもう先ほどまでの絶望はない。皆がシモンの言葉を信じた。シモンと一緒にいれば本当に出来る気がした。

するとエヴァが詠春に向かって言った。

 

「詠春、キサマはここに残って石化した者を見ていろ。戦いに参加出来ないが私が見届けてくる」

「エヴァンジェリン!?しかし・・・・」

「おまえやナギ達の時代は終わった。これからはぼーやたちの時代だ、おまえはぼーや達を信じ娘の帰りを待て」

 

かつて戦った英雄達の戦いで起こった懸念は、これから始まるネギたちの時代に託そうと、エヴァは提案したのである。

その提案に詠春は娘の命が懸かっていたために了承を渋っていたが、シモンとネギを見て決心した。

 

 

「ネギ君、シモン君・・・・刹那君・・・アスナ君・・・お願いできますか?」

 

「「「「はいっ!!!!」」」」

 

 

その言葉に全員が頷いた、自信に満ち溢れた目で友を救うことを約束した。

 

 

「いくぜ、おまえら!気合入れろ!ネギパーティの大喧嘩だ!近衛を助けて明日の朝飯は皆で食うぞ!」

「はいっ!」

「なんかシモンさんがリーダーって感じに見えるわね」

「ふふふ、私もそう思います」

「(録画完了・・・)マスターでは我々も行きましょう」

「ああ」

 

シモンの掛け声とともに全員ついてきた。友を救うために、

詠春は戦地へ向かうネギたちの背中を見て、静かに笑った。

 

もうこれからは、前へ進む彼らの時代なのだと思い。

 


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