魔法はお前の魂だ(魔法先生ネギま✖天元突破グレンラガン)   作:アニッキーブラッザー

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第21話 こんなことじゃ、あいつに笑われちまう

見渡す限りの鬼、鬼、鬼。

決戦の地に赴いたネギたちを待ち受けていたのは、屈強な姿をした何百もの鬼だった。

 

「ちょっと・・・・・何よこれ・・・・」

「これがお嬢様の力です・・・・天ヶ崎千草はお嬢様の魔力で手当たり次第に召喚を・・・」

「100体は軽くいますよ・・・・」

 

勇んで駆けつけたものの、目の前に立ちはだかる障害に、つい最近まで一般人であったアスナは恐れで肩が震えている。

 

「木乃香さんは奥の祭壇にいます、しかしそこまでたどり着くのは困難だと思われます」

「シモンよ、策でもあるかのか?」

 

エヴァンジェリンがこの状況においてもまったく動じていないシモンに聞く。

 

「ネギ、神楽坂、桜咲で近衛のところに行け!ここは俺と茶々丸で何とかするよ。エヴァは高みの見物でもしていてくれ」

「二人で!?危険です!」

 

シモンの提案にネギが反論する。

 

「まあ聞け、俺はおまえたちと違って速く走ることが出来ない。だから俺はここに残ってあいつらを引き付けておく」

「それなら私も残るわよ!私のハリセンならコイツらによく効くのよ」

「敵は一人じゃない。ネギ一人より神楽坂と桜咲の二人はネギについて行け!うまくいけばスクナって奴の召喚を止められるかもしれない」

「しかし・・・シモンさん」

「間に合わなくてスクナが出てきちまったらすぐに駆けつける、心配すんな!」

 

シモンはニッと笑いドリルを鬼に身構えた。

 

「よし行け!ネギ!」

「はいっ!!雷の暴風!!!」

「シモンさん茶々丸さん、必ず無事でいてくださいね!」

「シモンさん!無理ばっかりしないでよね!」

 

ネギの唱える呪文が鬼たちを吹き飛ばし活路が生まれた、3人はその道から木乃香のもとへ走った。

 

 

 

 

 

 

 

「ネギ先生たちは間に合うでしょうか?」

「間に合わなくても最後に勝てればいい、茶々丸、気合入れろよ!」

「・・・・・・シモンさんと初めて会った夜、私に気合がないと言われました・・・・」

 

茶々丸は感情をまったく変えず、語り始めた。

 

「まだ気合が何なのか分かりません、しかしシモンさんの背中は守ってみせます」

「ほう、茶々丸も随分面白い感情を持つようになったなあ」

 

茶々丸の言葉にエヴァが口を挟む、

 

「シモン、茶々丸、どちらにせよ魔力のない私は今はどうしようもない。だからせめてこの戦いを見届ける」

「マスター・・・」

「シモン、シネマ村では撤退をしたが今日はとことんやればいい。キサマやぼーや達の魂見せてもらう!」

 

エヴァはそう言うと、戦いに巻き込まれないように後ろに下がった。

後ろに下がるエヴァを見てシモンは鬼に振り返り、

 

「エヴァ、それに鬼ども覚悟しろよ!半端じゃねえぞ俺のドリルは!!!!」

「いきます、」

 

シモンと茶々丸は鬼に向かって駆け出した。

鬼たちも雄たけびを上げてシモンたちに飛び掛った。

 

 

「しょっぱなから行くぜ!フルドリィィィーーーライズゥゥゥゥーーーーーーー!!」

 

 

シモンの雄たけびとともに全身から大量のドリルが伸び鬼たちを襲う、

 

「うおーなんやあの兄ちゃん!けったいな力使うの~」

 

鬼の一人が人の言葉を発した。

 

「西洋魔術師ではなさそうやが、久々呼び出されておもろい奴と戦えそうやな」

「ヤロウドモ、かかれやーーー!!!」

 

再び鬼たちがシモンたちに襲い掛かる。

 

「しゃべったぞアイツ」

「シモンさん、知能のある鬼は人の言葉を発します・・・・来ます!」

 

茶々丸が飛び出し、高速の打撃を鬼にくらわす。

 

「さすが茶々丸!」

 

茶々丸の打撃は一撃一殺で鬼たちをなぎ倒していく。

 

「俺も負けてられないな!」

 

シモンもドリルを手に再び鬼へ立ち向かう、

 

 

「いくぜ!アーテンボローのドリルミサイル!くらえくらえくらえーーーー!!!!」

 

「「「「うぎゃーーー!!!!」」」」

 

「へっ?」

 

 

鬼たちが一斉に悲鳴を上げ、その光景にシモンはすっとんきょんな声を上げてしまった。

螺旋力で創造したドリル状のミサイルの雨が大量に鬼たちに降り注ぐ、まさに手当たりしだいのそのミサイルは戦場に大きな爆音を生み出し、鬼を蹴散らしていった。

技を使ったシモンもその惨状に驚いていた。

 

「見事ですシモンさん、気合でそんなことまで出来たんですね」

「あ・・・・アーテンボローはいつもこんな危ないことをしてたのか・・・・・危ないからこの技控えておこう・・・・」

 

そこにトリガーがあればいつでも打ちたがる大グレン団の仲間にシモンは誓った。

しかし鬼の数は今の攻撃で随分減った。

 

「・・・・あれを初めて会った日にやられていたら死んでいたかもしれんな・・・・・・」

 

その惨状をみてエヴァが誰にも聞こえないように呟いた。

 

 

 

 

 

ネギside

 

 

「なんかすごい爆発あったけどシモンさん達大丈夫なの?」

 

シモンの起こした爆発に前を走るアスナたちは不安の声を上げる。

 

「なあ、気になっていたんだがアニキ・・・・」

 

カモの声に皆が注目する。

 

「シモンの旦那は何者なんだ?」

「カモ君どういうこと?」

「魔法使いでも呪術師でもねえ、気や魔力を使うわけでもねえ、なんつうのかあんな人間みたことねえんだ」

「僕も・・・・そういえばシモンさんのことあまり知らないや・・・・・」

「そうよね~、エヴァちゃんは何か知ってるみたいだけど・・・・・」

「・・・私も知りません・・・」

 

ネギたちはシモンのことをよく知らない。

それもそのはず、シモンはそもそもこの世界の人間ですらないのだから。

にもかかわらずネギたちはシモンの言葉を信じここまで来たのである。

その爽やかな見かけとは裏腹に、シモンはその熱い心でネギたちを惹きつけてきた。しかしそれは何もいいことばかりではない。

一途な思いは人を間違った方向に進めることもある。カモはそれが少し気がかりだった。ここまで来たが本当に正体不明のシモンを信じてもいいのだろうか。

 

「刹那の姉さんも旦那を疑っていたんだろ?」

「こらエロガモ!!今になって何言ってんのよ、シモンさんは何度も力になってくれたじゃない!」

 

アスナだって最初はシモンに否定的だった。

しかしその偽りのない魂を感じたからこそ信じられる。それはネギも刹那もそうだった。

 

「そうですね・・・細かいことは気にするな!シモンさんがいたらきっと私たちにそう言うでしょう・・」

 

刹那は笑みを浮かべて答えた。

 

(シモンさんが何者か・・・・・それはこれからゆっくり分かっていけばいい・・・・・私はあの人の大きさに賭けたのだから・・・)

 

刹那の言葉にカモもそれ以上は何も言わなかった。

今はシモンとともに木乃香を救うことが優先だと思ったのだ。

今は木乃香のもとにたどり着く事

シモンたちから離れようやく目的地が見えてきた。

湖の上に浮かぶ祭壇の上に捕らえられている木乃香から光が発せられている。

 

「いた!お嬢様!!」

 

ネギたちが木乃香の姿を確認する、その側に天ヶ崎千草もいる。

ネギたちは急いで駆け寄ろうとするが、

 

 

「ここは通さへんで!」

 

「「「!?」」」

 

 

ネギたちの前に小太郎が立ちふさがった、そして更に

 

「シモンはいないか・・・・・・まあ別にかまわないが・・・」

「でも刹那センパイはいますね~、また会えて嬉しいわ~~」

 

ネギたちを取り囲むようにフェイト、月詠が現れた、

 

「くっ!?貴様ら・・・・・・」

「ちょっとアンタ達そこどきなさいよ!!」

「小太郎君・・・・・・」

「それは出来んで~ネギ!通りたかったら俺らを倒すしかないで!」

 

木乃香までもう少しというところで、3人の強敵にネギたちは囲まれてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シモンside

 

 

 

「うおおおおおお!!!」

「なかなかやるなあ兄ちゃん、しかし某は他の奴らとは違うぞ!」

 

シモンがドリルを突くが敵の武器に弾かれる、

 

「シモンさん気をつけてください、その鳥族は別格です」

「余所見はいかんぞ嬢ちゃん」

 

茶々丸の背後から別の鬼が攻撃を仕掛ける。

茶々丸は何とか回避したが、その鬼の攻撃力は桁違いだった。

 

「うっ・・この鬼も別格・・・・」

 

シモンと茶々丸も強敵と対峙していた。

先ほどまで烏合の衆だった鬼たちの中でもランクが上の鬼が現れたのである。

 

「はあ・・・はあ・・・大丈夫だ茶々丸」

 

烏合の衆とはいえ、ペース配分もなく戦っていたシモンにも徐々に疲れが見えてきた。

茶々丸も機械とはいえ、保有する魔力が尽きれば稼動しなくなる、

二人は徐々に追い詰められてきた。

 

「シモンさん・・・・・・」

「心配するな・・・それにこんなところで負けてたらアイツに笑われちまう・・・・」

 

シモンの脳裏には一人の獣人がいた、

 

―――無様だなハダカザル

 

その言葉とともに、かつて大グレン団の前に何度も立ちふさがったライバル。時には心強い同志でもあった獣人、

 

「ヴィラルのエンキは・・・・・もっと強かったぞドリルーーーーーー!!!!」

 

かつての戦友に笑われないようシモンは渾身のドリルを敵にぶつけた。

戦友への思いを乗せた魂は、強敵を見事に打ち破った。

 

「なっ!?・・・・まったくたまげたもんやな兄ちゃん!」

 

茶々丸と対峙する鬼がシモンを賞賛する。

 

「ぐっ・・・・・・・」

「シモンさん!」

 

今の一撃で消耗したシモンは思わず膝を地面についてしまった。

茶々丸もあわててシモンに駆け寄る。

 

「よくやったがこれまでやな兄ちゃんたち。さすがに今からこの数は倒せないやろ」

 

随分数を減らしたとはいえ、それでもまだそれなりの鬼たちが残っている。

今からそれを全て倒すのは状況的に言って困難だった。

しかしシモンは屈しない、

 

 

「まだだ!俺にとって限界突破はあたりまえ!いや、まだそんなとこにまで達していない。こんなピンチをピンチと言っちまったら、俺のドリルが泣いちまう!」

 

 

シモンはもう一度立ち上がり、

 

 

「俺は・・・・まだまだ強くなる!!」

 

 

シモンの声が響き渡る、すると鬼はシモンの目の前まで来た。

 

「最後まで勇ましい人間や、楽しかったで!」

 

鬼が手に持つ武器をシモンにいきよいよく振り下ろそうとした、しかし

 

「ぐおっ!?」

 

突如鳴り響く銃声とともに鬼が倒れる。

シモンも茶々丸も一瞬何が起こったのか理解できなかったが、後ろから声が聞こえた。

 

「本当に熱い人なんだね、少し気に入ったよ」

「!?」

「あなた方は・・・・・・」

「助太刀に来たアルよ!」

 

ライフルを持ち現れたのはネギのクラスメート。

その容貌はとても中学生に見えない女、龍宮がいた。

そしてその後ろには麻帆良学園の達人、古菲までいた。

 

「おまえら・・・・なんで・・・」

 

突然の助っ人にきょとん顔のシモン。

 

「夕映から電話があったアルよ」

「夕映さん無事だったのですか?」

「ああ、それでわざわざ助っ人に来たわけさ」

 

急に予想もしていなかった助っ人の存在にシモンは思わず笑みを浮かべてしまった。

 

「ははは、なんか強い女がいっぱいいるなー」

 

シモンが苦笑を漏らす。

 

「ふふふ、女は強いんだよシモンさん」

「ああ・・・・知っている」

 

龍宮と話すのは初めてだった。

印象的な女ではあるがネギのクラスの女子は皆個性が強いから、シモンも話したことのない生徒までは知らなかった。

龍宮もエヴァンジェリンとネギの戦いを見ていたため、乱入したシモンのことは知っていた。

熱い男という初めて見たときの印象は今でもまったく変わっていないと思っていた。

先程まで張り詰めていた戦場が急に暖かくなる、しかし、

 

「今更何人来ようがもう手遅れや」

 

龍宮に撃たれた鬼が再び立ち上がり、シモン達に告げる。

 

「どういうことだ?」

「あれを見てみい」

 

鬼がある方向に向かって指差した。

そこは先程ネギたちが木乃香を救出するために向かった場所だ。

そこからは巨大な光の柱が天まで延びていた。

 

「シモンさん・・・・・・ネギ先生達は間に合わなかったようですね・・・・・・・」

 

茶々丸のその言葉で理解した。

 

「あれが伝説の鬼神とやらか・・・・」

 

エヴァが呟いた。

巨大の光に包まれて現れた巨大な大鬼、その姿にその場にいた鬼も含めて皆呆然としていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネギside

 

「結局本気を出さなかったな小太郎とやら、勝った気がせぬでござるな」

「言い訳はせん負けは負けや、強いな姉ちゃん・・・・・・」

 

龍宮たちとともに助っ人に現れた長瀬楓。彼女は犬上小太郎を取り押さえて呟いた。

 

「すごい、長瀬さんこんなに強かったんですか!」

 

当初劣勢だったネギたちだったが楓の乱入により、形勢を逆転することが出来た。

刹那が月詠を、ネギとアスナがフェイトと戦い、そして楓が今、小太郎に負けを認めさせたため、

 

「本当に君達は不思議だね最初はネギ君目当てだったんだが、シモンといい・・・そしてカグラザカアスナもだ・・・」

 

フェイトはアスナに向かって告げた。

今のアスナはフェイトによる打撃の傷以外、目立った外傷はない

 

「ヴィシュ・タル・リ・シュタル・ヴァンゲイト小さき王、八つ足の蜥蜴、邪眼の主よ。その光、我が手に宿し、災いなる眼差しで射よ」

「やべえぞ兄貴!呪文だ!」

 

 

フェイトが呪文の詠唱を始めた。

 

「石化の邪眼」

 

フェイトの指先から石化の魔法がアスナに襲う。

 

「なっ!?アスナさん!?」

「えっ!?きゃあっ!?・・・・・服がーーーーー!?」

 

フェイトの魔法にアスナのTシャツが石化しボロボロと崩れ落ち、アスナの肌があらわになる。

アスナが手で肌を隠し、フェイトに睨みつける。

しかしその場にいた者たちはアスナの裸より、もっと別のことに気になっていた、

 

「アスナさん・・・・・・」

「やはり完全魔法無効化能力者・・・・ネギ君、君はとんでもない人をパートナーに選んだね・・・」

 

フェイトの言葉にネギやカモは驚愕する。それは刹那も同じだった、

なぜ一般人だったアスナがそんな能力を持っているのか、不可解であったからだ。

 

「シモンとの3度目は果たせそうに無いが、貴重なものに出会えたし、楽しかった・・・・・でももう時間だ」

 

フェイトのまったく変わらない声のトーン。

すると祭壇から巨大な光の柱が現れた。

 

「しまった!?お嬢様!!」

「これで僕達の役目は終わり・・・・後はじっくり見学させてもらうよ」

 

フェイトはその言葉とともにその場から立ち去った。

しかし誰もそのことは気にしていない。

なぜなら今彼らが目にしているものの存在は、それほど強大な存在だったからだ。

数十メートルを超える大鬼の姿が、いまようやくネギたちの前に現れたのだ

 

「二面四手の巨躯の大鬼『リョウメンスクナノカミ』。1600年前に打ち倒された飛騨の大鬼神や、これでお終いや!!」

 

スクナの肩に乗り、千草の笑いが戦場に広がる。

 


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