魔法はお前の魂だ(魔法先生ネギま✖天元突破グレンラガン)   作:アニッキーブラッザー

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第22話 敵の風上にも置けねえやつだ

「さて・・・・どうするのだ、シモン?」

「きまっているだろエヴァ!あいつをぶっ飛ばす!」

 

シモンの決意は巨大な大鬼スクナを見てもまったく変わっていなかった。

 

「本気かい?その怪我では無理じゃないかい?」

 

龍宮の言うとおりシモンの体はすでにボロボロである、

更に何度も大技を使ったせいで、すでに気合が足りなくなっていた・・・・

しかしそれでも変わらない。

 

「ここからさ俺は!エヴァもおまえたちも覚えておけ!証明してやるさ。俺が一体誰なのか!」

「ふん、・・・・・ここから・・・か」

 

シモンの強がりは強がりに聞こえなかった。

その強がりに初めて触れた龍宮も強がりだと思えなかった。

シモンがふらふらの体に鞭を打ち、ネギたちの場所に行こうとした。

するとその前に残りの鬼達が立ちはだかった。それを見て龍宮は、少しため息をついて

 

「茶々丸、シモンさんを連れてネギ先生のところへ連れて行け、ここは私と古でなんとかするよ」

「えっ・・・・おまえら・・・・」

「任せるアルよシモンさん!ワタシ強いから心配いらないアルよ!」

「シモンさん、あなたの強がりを見せてもらうよ」

 

その言葉とともに茶々丸はシモンとエヴァを抱え、夜空に向かって飛んだ、

 

「おい茶々丸!」

「龍宮さん達なら大丈夫です、それより少しスピードを出します」

 

茶々丸は残りの魔力を総動員して、シモンとエヴァを抱えながら全速力で飛行した。

 

(しかしシモンよ・・・・・この後どうするつもりだ・・・・・おまえのその体でなにが出来る・・・・・・)

 

シモンの体を見てエヴェは冷静に判断した。

今のシモンではどうすることも出来ないのではないかと。

 

 

 

 

 

 

ネギside

 

 

「こんな怪物どうすんのよ・・・・・・」

 

スクナを見上げてアスナが呟く

 

「・・・・・見てください・・・・お嬢様は千草とともにスクナの肩にいます・・・・・」

「「あっ!?」」

 

刹那の言葉を聞いて見上げるネギとアスナ。すると刹那は強い決意をした目をした。

 

「私がお嬢様は私が救い出します!」

 

その言葉にアスナたちは驚いた。

なぜなら刹那では数十メートルの高さにいる木乃香のところまでは行くことが出来ない。

 

「私はお嬢様に、みなさんにも秘密にしていたことがあるんです。」

 

すると刹那の背中から突然大きな白い翼が出現した。

 

「これが私の正体…。私もやつらと同じ…、化け物です。でも誤解しないでください!!お嬢様を助けたいという気持ちは本当なんです!でも、私はこの醜い姿を知られて嫌われるのが怖かった! 宮崎さんのような勇気ももてない情けない女なんです!!」

 

刹那の震えるような声が響き渡る、

すると

 

「細かいことは気にするな・・・・」

「ネギ先生・・・・」

「シモンさんならきっとこう言います・・・刹那さんが言っていたことですよ?」

「あっ・・・・・・」

「ふむ、シモンさんはよっぽど信頼されているでござるな」

「楓・・・・」

「そうよ、こんなカッコイイものなんで隠してたの?こんなことで私達が刹那さんを嫌いになるわけないじゃない!木乃香だってそうよ!」

 

刹那にネギとアスナが言葉を送る。

ずっと拒絶されるのを恐れて隠していた姿。

なんてことは無かった。ここに自分を拒絶する者はいない。それだけで刹那は救われた。

 

「はいっ!」

 

刹那は力強く答え木乃香のもとへ飛び立った。

 

「なんやあの娘、鳥族のハーフやったんか!」

「お嬢様を返してもらうぞ、千草!」

「やかましい!そのまま死んでしまい、スクナ!」

 

千草の言葉に従いスクナの指が刹那に向けられる、

 

「!?」

「くくく、お嬢様の力を使えばコイツノ制御も可能になる、まずはおまえからや!スクナこいつを始末しい!」

 

スクナの指に強力なエネルギーが集中していく。

 

「まずいぜ!あんなの食らったら刹那の姉さん!」

「刹那さーん!!」

 

地上にいるネギたちの声が響き渡る、しかしどうすることも出来ない。

 

「死ねや小娘!」

 

刹那は咄嗟に回避しようとしたが間に合わない、

スクナの攻撃が刹那に放たれる、

 

しかしその時だった。

 

 

刹那の前に茶々丸と担がれたエヴァとシモンが現れた。

 

「うおおおおーーーー!!!」

 

シモンがスクナのエネルギー砲にドリルを突く!

 

「なっ!?なんやとーー!?」

「シモンさん!?茶々丸さん!?」

「今だ、桜咲!」

「ッ・・・・はい!」

 

 

スクナの攻撃をシモンが食い止める、その隙に刹那は木乃香のもとへ飛ぶ

 

「まずい!?」

「はああああああ!!」

 

シモンたちに気を取られた千草は接近する刹那への反応を遅らせてしまい、木乃香を刹那に抱きかかえられそのまま夜空へ飛び去られてしまった。

 

「やった!刹那さん!木乃香!」

 

アスナが親友の救出に声を上げる。

 

「シモンの旦那!」

「く・・・・・ああああああ!!!」

 

スクナの攻撃を一時的に止めていたシモンだが、完全に防ぐことは出来ず、そのまま地上に叩き落されてしまった。

 

「まじいぜ!あの高さから落ちたら!」

「拙者にまかせるでござる!」

 

落下するシモンたち、それを忍の楓が分身して見事全員、空中でキャッチした。

 

 

「無事でござるかシモン殿、茶々丸殿、エヴァンジェリン殿?」

「え~~と・・・・長瀬!おまえまで来てくれたのか?」

「うむ、微力ながら助太刀するでござるよ」

 

分身した楓はシモンたちを抱え地上に着地した。

 

「よかった!来てくれたのね!」

 

地上に降りたシモンたちにアスナたちが駆け寄る。

 

「向こうも助っ人が来てな、近衛も無事そうでよかった・・・・・・・そうだ茶々丸!」

 

シモンはともに駆けつけた茶々丸を見た、

 

「大丈夫・・・です・・・・・しかし・・・ピー・・・・これ・・以上・・・・」

「茶々丸!?」

「心配するなシモン。魔力が尽きただけだ問題ない・・・・・しかし今はこれ以上戦えんが・・・・・無理をしたもんだ・・・・」

 

魔力を完全に使い切り機能停止寸前の茶々丸。

自分をここに連れてくるために茶々丸はここまで力を出し切ったのだ・・・・

するとシモンは茶々丸の手を取った・・・

 

「茶々丸・・・・おまえの気合は受け取った!・・・・あとはまかせろ!」

「シモ・・・・・ン・・・・ガー・・ガー・・さん」

 

停止寸前の茶々丸の声にノイズが入る。

シモンはかつて茶々丸に気合が無いと言った。しかし今は違う。

クラスメートのために限界ギリギリまで力を出した茶々丸は以前とは違う。シモンはそれを理解した。

 

「茶々丸さん!?」

 

シモンへ駆け寄る刹那、そして木乃香。

 

「木乃香!?よかった無事で!」

 

木乃香をみてアスナがその姿に安心して抱きつく。

しかし木乃香の顔は浮かない。

 

「せっちゃん・・・・アスナ・・・・ネギ君・・・・シモンさん・・・・楓・・・・エヴァンジェリンさん・・・茶々丸さん・・・・夕映まで・・・・」

 

その言葉にみんな振り返った。

なんと楓や龍宮を呼んだ張本人の夕映が隠れていたのだ、もはやCGといって誤魔化すことの出来ない状況にネギは焦った。

夕映もオズオズと出てくる。

 

「木乃香さん、無事で何よりです・・・・」

 

夕映が木乃香に言葉をかける、しかし

 

「ウチよくわからんけど・・・・みんな戦ってくれたんやな・・・・・・でもそのせいでみんな怪我を・・・・・茶々丸さんも・・・・」

 

自分のために皆がここまで駆けつけてくれた。

そして茶々丸は深刻なダメージを受けている。

木乃香はそのことにショックを受け涙目になっていた。

 

「ごめんな~、うっ・・・うっ・・・ごめんな~」

 

木乃香は嗚咽をし涙を流し謝った。

 

「何言ってんのよ木乃香!?木乃香はなんも悪くないでしょ!!」

「そうですよ木乃香さん!!」

「ごめんな~、う~、うっうっ・・・・ウチなんかのために・・・ごめ「パンッ!」」

 

乾いた音が響く。

アスナが木乃香の頬をたたく。

一瞬何が起こったのか全員理解できなかった。叩かれた本人も目を丸くしてしまった。

アスナが木乃香に手を上げる。その行為が誰も信じられなかったからだ。

 

「アスナさん!一体何を!?」

 

刹那がアスナに詰め寄ろうとする、しかしその刹那をエヴァが手で遮る。

 

「バカなこと言ってんじゃないわよ木乃香!私達は皆自分の意思でここに集まったのよ!」

 

木乃香が叩かれた頬を押さえながらアスナを見る。

 

「私なんかの為?それがいつもアンタを見守っていた刹那さんの前で言うことじゃないでしょ!!」

「アスナ・・・・・・」

「細かいこと気にしてんじゃないわよ!私たちを誰だと思っているのよ!!」

 

その瞬間場に笑いがこぼれた

 

「シモンよ、おまえのバカがまた伝染したようだな」

「ははは、アスナはグレン団に欲しいかもな」

「うっ、おもわず言っちゃった・・・・・」

 

アスナが少し顔を赤くして、シモンの真似をしたことに恥ずかしがっていた。

 

「このちゃん、アスナさんの言うとおりやよ」

 

刹那が木乃香の肩に手を乗せる。

 

「みんなこのちゃんのことが大好きなんよ、だから謝ることなんてないんよ」

「せっちゃん・・・・・・うっ・・・ぐすっ・・・みんな・・・ありがとな・・・・うっ・・わーーーーーー」

 

木乃香はその場でうずくまり涙を流した。それをみんなが温かい目で見る。

ようやく木乃香を救出することが出来たそれを理解できたからだ。

しかしこれでめでたしめでたしとはいかない。

 

「さて、あとはこいつをどうしよう」

 

シモンがスクナを見上げて呟いた。

先程から自分達はスキだらけのはずだったが、意外にも攻撃は来なかった、

 

「意外と余裕なんだな、再会の時間を与えてくれるなんて」

 

スクナの肩から降り、いつのまにか地上に降りていた千草に向かってシモンは言う。

しかし千草から返ってきた言葉は意外な言葉だった。

 

「くくく・・・アンタらはとんでもない事をしてもうたんや・・・・・」

 

千草は少し引きつった笑いをする、

 

「どうゆうことよ!?」

「スクナはお嬢様の力で制御してたんや・・・・・・それが無くなったゆうことは・・・・・・」

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

その瞬間理解した、つまり・・・・

 

 

「グオオオオオオオオオオ!!!!!!」

 

 

スクナの叫びが響き渡る、スクナは完全に開放されてしまった。

 

「もうなにもかも終りゆうことや!!!!」

 

もはや制御不能となったスクナ。その矛先がついに足元にいるシモンたちに向いた。

 

「ガアアアアア!!!」

 

スクナの巨大な拳が振り下ろされる。

 

「マズイ!!全員逃げろ!!!」

 

エヴァの言葉とともに全員がその場を飛びのく。

 

「なっ・・・・・・!?」

「これは危機的状況という奴でござるな・・・・・・・」

「くっ!?どうするシモン!?」

 

自分達がさっきまでいた場所は巨大なクレーターのような跡が出来ていた。

皆がシモンに振り返る。するとシモンの手にあるドリルが巨大化していた。

 

「シモンさん・・・・それは・・・・」

「いくぜデカブツ!俺にここまで影を落としたヤツは久しぶりだ!だから遠慮はしねえ!うおおおおおおおおお!!!!」

 

シモンが巨大化したドリルを掲げ最後の螺旋力を振り絞る

 

「無駄や無駄そんなもんでスクナを倒せるかいマヌケ!」

「うるせえ!女の癖に品のねえ言葉でわめきやがって!そんなデカブツ風穴開けてやるぜ!!!」

 

この技は幾多の強敵を打ち破ってきた力。

 

 

「必殺!!ギィガアアアドリルゥゥブゥレイクゥゥゥゥーーーーー!!!!!!」

 

 

巨大なドリルを自分とともに回転させ相手に向かって突撃するその技は、スクナに向かって飛び込んだ、

 

 

「「「「シモンさん!!」」」」

 

「うおおおおおーーーーー!!いっけええええええ!!」

 

 

シモンの雄たけびとともにドリルをスクナに突く。

しかし、

 

「ガアアアアア!!!」

「なにっ!?ぐわっっっ!?」

 

なんとスクナはシモンのドリルを受けても身じろぎせずに、シモンを腕で叩き落とした、

 

「シモンさんっ!しっかりして!」

 

地面に激突する前にシモンをアスナが受け止めた。

 

 

「くッ・・・くそー!ラス・テル・ラ・スキル・マギステル、来れ雷精、風の精!!雷を纏いて吹きすさべ南洋の嵐・・・」

 

「ネギ先生・・・・・神鳴流決戦奥義!!」

 

 

ネギが自分の最強の呪文を唱える。

それを見て刹那も動く。

 

 

「雷の暴風!!!」

 

「真・雷光剣!!!」

 

 

刹那とネギの最強技がスクナに襲い掛かる。

しかし、

 

 

「無駄や・・・・そんなもんで開放状態のスクナには敵わん・・・・・」

 

千草の読みどおり、スクナに傷をつけることは出来なかった。

 

「そんな・・・・・・」

「くっ・・・・・ここまでか・・・・・」

 

シモン、ネギ、刹那のそれぞれの最強技でもスクナを倒すことは出来ない。

全員に絶望の影が差す。

しかしスクナは容赦しない。エネルギーを指にため、こちらを狙っている。

 

「いけません!みんな避けて!!!」

 

その言葉に全員が四方に飛ぶ。

しかしスクナは四本ある腕全てにエネルギーを溜め、辺りかまわずに撃った。

そしてその力はあたり一面を荒野に変えてしまった。

 

「あ・・・・・・あ・・・・・」

「ちっ・・・・・なんて破壊力だ・・・さすがにシモンもこれでは・・・・」

 

全員その力に反撃する気力も失せてしまった。それほどの力差だった、

 

「アカン!?シモンさん!?」

 

木乃香の声が響く。

 

「ぐっ・・・・・まだ・・・やれる」

 

シモンはスクナの攻撃に巻き込まれ、血を流し倒れていた。

そんなシモンに向かいスクナは再び攻撃の準備をする。

 

「いかん!?」

「シモンさん!?くっ・・・・間に合わない・・・」

「そんな・・・あかん・・・・シモンさん・・・・」

 

そして倒れているシモンを踏み潰すようにスクナの拳が振り下ろされる、

 

「いやーーーーーー!!!」

 

誰も間に合わない。響き渡る悲鳴。誰もがシモンの死を確信した。

 

しかしそこに一つの風が吹いた。

 

 

「謎のシスター参上!!!!」

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

その女は風のようにネギたちを追い抜き、そのままシモンを抱えスクナの攻撃を回避した。

 

「なっ!?」

「おまえ!?」

 

突如現れたシスターの服を身にまとい顔を隠す女。

誰もが唖然としていた。

シスターに助けられたシモンは一瞬でその正体がわかった。

 

 

「美空!?助けに「ゴフンゴフン!!」」

 

「え~私は通りすがりの謎のシスター、あなた方を助けに「あんた美空ちゃんでしょ!!声でバレバレよ!!」うおーしまったーー!?」

 

 

顔を隠しているにもかかわらず、一発で美空は正体がバレてしまった。

 

「春日さん!?まさかあなたも魔法使いなんですか?」

「いえいえネギ先生私は美空などという名前では「ところで美空なんでここに?」・・・・・ちょっシモンさーーン!」

 

それでも正体を隠そうとする美空だったがあっさりシモンはバラしてしまった。

 

「あ~う~・・はあ、楓たちが電話で話してるのをこいつが聞いててさ、こいつに連れてけってせがまれてさ」

 

すると美空の服がもぞもぞ動き出しそして一匹の小動物が顔を出した。

 

「ぶひーー!」

「ブータ!?」

「えっ!?何よこいつ!?」

「シモンさん、この子誰ですか?」

「ほう、ブータよお主も来たのか?」

 

ブータの登場に驚くシモン。そしてその存在を知るエヴァ、刹那、楓、そして意外にもネギとアスナはこれが初対面だった。

 

「ほんとはすぐに来たかったんだけど、ブータがシモンさんの旅行鞄もって行けって」

 

すると美空は持ってきたシモンの鞄を地面に置いた。

そしてシモンがそれを空けて、ある物を取り出した。

 

「シモン・・・それは・・・・」

「シモンさん・・・・・」

 

全員が目を疑う、

てっきり強力な武器が入っているのだと思っていたが、シモンが取り出したのは一つの服、いやコートだった。

それはいつも肌身離さず着ていたかったが、シャークティに止められたため、この修学旅行期間中はスーツでいた。

しかしそれでも置いていきたくなかったため、鞄に詰め込んで無理矢理持ってきた服。

 

「そうだな・・・ありがとう美空・・ブータ・・・・これが無くちゃ締まらない」

 

シモンは上に来ていた服を全部脱ぎ、肌の上に直接その服を着た。

大グレン団のマークが入っているその服を。

 

「ちょっとシモンさんその服なんか意味あるの?」

「シモンさん・・・・・かっこええな~」

「何か強力なアイテムですか?」

 

エヴァと美空以外の全員が興味津々のようにシモンに聞く、すると、

 

 

「全員離れろ!!!」

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

シモンの叫びに全員が飛びのく。

スクナの攻撃が再び振り下ろされたのだった。

 

「あぶなかったー、美空ちゃんの登場で忘れてたわ」

「アスナ、あんなデカイの忘れる・・・いやいや私は美空ではありません」

 

全員があわてて回避した。

ネギが全員無事か確かめるためにあたりを見渡すとシモンがいなかった

 

「シモンさん!?どこに・・・・・・・」

「あのバカ・・・・・・・」

 

エヴァの呟きに全員エヴァの視線を追おうすると、

 

「なっ!?何やっているんですかあの人は!?」

 

なんとシモンはスクナの前に腕を組み仁王立ちしていた。

そしてその肩にはブータを乗せ、燃えるドクロのマークを背負いスクナの正面に立っていた。

 

「なんや口だけ男、何をやっても無駄や・・・・スクナの力によってこの世は終わりや!」

 

シモンのその姿に千草が横から口を挟む、しかし、

 

「覚えておけ、女!俺達大グレン団がいる限り、この世の終わりなんて絶対無い!!」

 

そしてシモンはスクナに向かって指を刺し、

 

 

「おいおいデカブツ!いいか、耳の穴かっぽじってよく聞きやがれ!いきなり呼び出されて迷惑かも知れねえが、立ちはだかるなら容赦しねえ!穴掘りシモンが絶望に風穴開けて明日を手にす「ドーーン!!」ぐわっ!?」

 

 

スクナの攻撃がシモンに襲う。

 

「シモンさーん!?」

「何をやってるのですかあなたはー!?」

 

スクナの攻撃をかろうじて回避したシモンは

 

 

「くっ!?人の話は最後まで聞きやがれ!名乗りを邪魔するなんて敵の風上にも置けねえ奴だ!!」

 

「「「「・・し~ん・・・」」」」」

 

 

ふざけているのか?いいや違う、これは真剣な話。

シモンの真剣をまだみなよく分かっていなかった。

 

 

「ブータ!もう一度あいつにドリルをぶち込む、でも気合がまだ足りない、おまえの気合を俺にくれ!」

 

「ぶひーー!」

 

 

その言葉を聞いたブータはシモンの肩の上で突如光を発した。その光はシモンと同じ緑色の螺旋力。

獣人や動物は本来螺旋力を持っていないが、長年シモンの強大な螺旋力を受けていたため、その強い意志と気合で螺旋の力を覚醒させた異例のブタモグラ。

それがブータである。

 

「ブータ・・・おぬしただの動物ではないのでござるか?」

「私も驚いたけどね~、でもブータは大グレン団の一員なんだ。気合は誰にも負けないさ!」

 

美空が自信を持って言う。

その言葉に皆目が点になった。

 

「美空ちゃん・・・・・なんでそんなこと知ってるの・・・?」

「春日さん・・・・それにエヴァンジェリンさんも言っていましたけどダイグレンダンとは何ですか?」

「うおーー、またやっちまった!」

 

失言を積み重ねる美空。

しかしその間にもブータの螺旋力がシモンを覆っていく。

 

「ネギー!!」

 

突如シモンが叫ぶ、

 

「は・・はい!シモンさん」

 

いきなり名前を呼ばれ少し驚くネギ。

 

「お前も一緒に来い!」

「えっ・・・?」

 

するとシモンはドリルをネギに差し出した。

 

「俺達の想いをこのドリルに織り込んで明日を勝ち取るんだ!おまえの魔法と俺のドリルで無理を通してやろうじゃないか!」

 

ネギはうれしかった。この最後の局面でシモンは自分の力を必要としてくれた。だからネギは迷わずドリルに触れた。

 

「・・・・は・・・・・はいっ!!」

 

シモンとネギは二人で一つのドリル持ち、スクナに向けた。

 

 

「伝説相手にしようとも、新たな時代をこの手で生み出す!!」

 

 

シモンの言葉にネギも続いた、

 

 

「螺旋の力で困難破る!!魔法の力で奇跡を起こす!!」

 

そして、二つの力と想いが重なり合い、

 

 

「「新生合体螺旋魔法!!!!」」

 

 

今ここに、新たなる時代を創る。

 

 

「僕を!」

 

「俺達を!」

 

 

そして、叫ぶ。あの言葉を・・・・

 

 

 

「「誰だと思ってやがる!!!!」」

 

 

 

巨大なドリルが再び出現した。

しかしそれだけではない。

シモンとネギが持つギガドリルに雷が覆う。

 

「すっ・・・スゲーーー!あのデケードリルに兄貴の魔力が融合しやがった!」

「合体だと・・・バカなそんな簡単なものではないはずだ・・・・」

 

誰もが目を疑った。

人の体どころか鬼よりも巨大なドリルをネギとシモンが支え、ネギの魔力の影響を得てさらに光り輝く。

 

 

「いくぜ鬼公!サンダーギガドリルゥゥゥブレイクゥゥーーーーー!!!!!」

 

 

新たな力を得たギガドリルはスクナを目指し一直線に突進した、

 

 

「「うおおおおおおおおお!!!!」

 

 

ネギとシモンの雄叫びが戦場に響き渡る。

今度は確実にスクナを捉えた。

しかしそのドリルはスクナの体を貫くまでには至らない。

 

 

「無駄や!どんなに足掻こうとスクナには届かん!!」

 

「これはただの足掻きじゃねえ!このドリルにはブータの気合、そして俺とネギの魂がぶつかり合って生まれた執念だ!新たな時代を切り開くこのドリルが、過去の伝説なんかに防げるものか!!」

 

「グオオオオオオオオン!!!!」

 

 

スクナの叫びがもれる。少しずつダメージを与えている。

それがわかった刹那は傷ついた体を起こした。

 

「お二人は限界を超えようとしている・・・ここでいつまでも見物しているわけにはいかない!」

 

刹那はボロボロの体を引きずりながら剣を振るう。

少しでもスクナにダメージを与えるために

 

「雷光剣!!」

 

刹那が力を振り絞る、その姿にアスナ、楓、美空までも立ち上がる。

 

「私だって・・・・明日を掴んで見せるわ!!!」

「ここで退いては武人にあらず、甲賀中忍長瀬楓、参る!!」

「ブータだって戦ってるんだ、逃げ回ってかく乱ぐらいしてやるさ!」

 

ボロボロの体、相手は強大、しかし誰もが屈せずに立ち向かう。

 

「なんでや・・・なんで絶望せえへん・・・・なんであきらめへん・・・・・」

 

千草が戦う彼らの姿に驚愕していた。

するとエヴァが千草のもとへ歩み寄り、言葉を告げた。

 

 

「見てみろ、この場は西洋魔術師も呪術も関係ない。魔法使い、一般人、忍、鳥族のハーフ、ガイノイドそして異世界の人間までもが種族や流派も超えて一つになっている。我々大人が決めていた枠組みなど簡単に打ち壊してな・・・・・・」

 

 

千草がエヴァに振り向く

 

 

「これからはあいつらの時代だ、キサマが何度邪魔しようとも前へ進む奴らは止められないさ!」

 

 

エヴァは少しニヤッと口元を吊り上げ千草を睨み、そして再び戦いの映像を目に焼き付ける。

 

「ネギ!!おまえの生徒も戦っている、生徒の道を切り開く手伝いをするのが教師だろうが!まだまだ負けんじゃねえぞ!」

「はいっ!この道は絶対にこじ開けて見せます!!」

 

まだ力が足りない、あと少しのがスクナに届かない。

 

 

「くっそー・・・シモンさん・・・・ブータ・・・はあ・・はあ・・やばっ・・・そろそろ疲れてきた・・・こんなことなら真面目に修行しときゃあよかった・・・・」

 

「あと少しが足りないでござるな・・・・・」

 

 

そんな時だった。

 

「このちゃん!?」

 

刹那の言葉にみなが振り向く、なんと木乃香がふらふらと前に出てきたのである。

 

「木乃香さん、私たちには危険です、下がったほうがいいです」

 

自分たちでは迷惑になると、夕映は判断し木乃香を止めようとしたが、木乃香は止まらない。

 

 

「みんながんばっとるんや・・・・・うちだけ何もせえへんなんて・・・・いやや!!」

「木乃香!?ここは下がって!」

「このちゃん!!」

 

全員が制止するが木乃香は止まらない。

 

 

「せっちゃんたちがウチを助けてくれたんや!ウチだって・・・力になりたい!!!!」

 

 

その叫びとともに木乃香の体から優しく暖かい光が皆を包み込んでいく。

 

「なによこの光!?・・・・・あれっ?」

 

木乃香から発する光に触れ、

 

「拙者らの傷が・・・・」

「癒されていく・・・・・これが・・・・このちゃんの力?」

「すげえぜ・・・ってことは兄貴たちも!」

 

傷つきボロボロだったアスナたちの傷が癒されていく、

そしてそれは、

 

「シモンさん!僕の傷が・・・・・」

「ああ!!後一押しの力、受け取ったぜ近衛!!」

 

正に、最後の一押しとなった。

 

 

「「いっけえええええええええええ!!!!」

 

「グギャアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 

 

大鬼神と恐れられた存在の断末魔が響き渡る。

ネギとシモンのドリルがスクナの体にでっかい風穴を開けた。

 

長い長い粘りが、とうとう過去の伝説を打ち破った。

 

風穴開けられたスクナは徐々にその姿を封印の祭壇の中に吸い込まれていく。

 

「やりました!!ネギ先生、シモンさん!!」

「ハア・・・・ハア・・・・ネギ君・・・・シモンさん・・・・」

「木乃香!?・・・・大丈夫?まったくアンタまで無理するんだから・・・・・・」

「皆さん!?ネギ先生とシモンさんが落ちますですよ!」

「心配無用でござる」

 

木乃香の力に包まれ再び体力を取り戻した楓が分身して、落下してくるネギとシモンを受け止めた。

 

楓が着地して、そこに皆が駆け寄る。

 

 

「ネギ!シモンさん!凄すぎよ、あんなでっかいの倒しちゃうなんて!」

 

「はいっ、木乃香さんも助け、でっかい鬼もやっつけて僕たちの大勝利です!」

 

「「「「オオーー!!」」」」

 

 

その言葉を聞いて皆が手を叩き合ったり抱き合ったりしている。

この勝利の喜びを全員で分かち合っていた。

 

シモンはその様子を少し離れて見てから、その輪の中に入らず、千草とエヴァの場所に行った。

 

 

「ウチラの負けや・・・・・好きにせえ・・・」

 

「ほう、三流の小悪党かと思ったが潔いではないか」

 

 

完全に戦う意思を捨てた千草はシモンの姿を見て降伏した。

 

「ネギの親父たちが作った道はネギたちが通り、整備してまた新たな道を作っていく。それがあいつも今回分かったんじゃないかな」

「ふん・・・忌々しい西洋魔術師どもや!」

「結局誰も死んでない、戦いでの傷は近衛が全部消しちまった、おまえが出した鬼による被害も無い、丸く収まってよかったな」

「ちっ!ようするにガキども相手に全部ウチの手札がやられちまったわけかい・・・・負け惜しみを言う気にもなれんわ」

 

千草はそう言ってうな垂れた、本当にもう戦う気も無いようだ。

そして

 

「それでどうする?フェイト」

 

シモンがそう呼ぶと、シモンの好敵手フェイトが林の中から姿を現した。

 

「よう、三度目の約束どうする?俺は怪我もないし大丈夫だぜ!」

 

三度目の決闘は最後まで、その約束を今果たすことも厭わない。

シモンはフェイトに向かって構えた。しかしフェイトは相変わらずの無表情で拒否した。

 

「依頼主が降りた以上ここで戦う理由が無い、三度目は次に持ち越しだ」

「次か・・・はは、次もあるってことか?」

 

シモンは笑いながら返した。

もう戦う理由もなくなったとフェイト自身が言っているにもかかわらず、持ち越しと言っている。

この無表情で何事にも興味も無さそうな少年が自分との約束を覚えている。それが少しおかしかった。

 

「そうだね・・・・その時はネギ君ももっと強くなっていてくれたらうれしいよ・・・・・・それじゃあシモン、また会おう」

「ああ、またな・・・」

 

結局最初から最後まで表情を崩すことの無かった少年は別れを告げその場から消えた。

その様子に結局口を挟まなかったエヴァがシモンの裾を掴んだ、

 

「そろそろ帰るぞ、詠春も待ちわびている」

「ああ、茶々丸も直してやらないといけないしな・・・・・ブータも帰ろう」

「ブヒー!」

「無事に終わったようだね」

「アイヤー少しやばかったけど楽しかったアルね」

「よう!おまえらにも助けてもらったなありがとな」

「面白いものも見れたし構わないさ。また何かあったら格安で請け負ってあげるよシモンさん♪」

「ああ、よろしくな」

 

 

長い長い夜が新たな時代の風とともに明けた。

 

しかしこれはようやく始まったに過ぎない。

 

だが今は長い戦いを乗り越えた者たちに、少しの平穏が訪れる。

 


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