魔法はお前の魂だ(魔法先生ネギま✖天元突破グレンラガン)   作:アニッキーブラッザー

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第29話 この光景は以前にも

 

―――シモンが何とかしてくれます・・・・なぜならシモンのドリルは・・・・天を突くドリルなのですから!!

 

 

 

頭の中に懐かしい声が響く。

どんな絶体絶命な状況でも自分を一番信頼してくれた女。

しかしそんな強い女も自分に助けを求めたことがあった。

 

―――シモン・・・

 

 

―――私はここよ・・・

 

 

―――お願い・・・・

 

 

―――助けて・・・・

 

 

 

かつて、敵に攫われた時、ニアが自分に向かって心の中で叫んでいた。

 

(今の俺はなんだ?目の前でみすみす女を攫われたあの時と、まったく変わっていないじゃないか・・・)

 

結局何も出来なかった。

目の前で美空とココネを攫われてしまった。

 

(俺はなんだ?グレンラガンが無いと何も出来ないのか?・・・・違う・・・俺の魂は・・俺のドリルは!・・)

 

思い出せ。立ち上がれ。上を向け。自分が何者なのかを思い出せと、シモンは何度も心の中で叫ぶ。

すると、

 

 

「俺のドリルは、天を突くドリルだあああああ!!」

 

「なっ!?」

 

「シ・・・シモンさん?」

 

意識を取り戻し急に立ち上がり叫ぶシモン。

回りを見るとエヴァ、茶々丸、シャークティが目を丸くしていた。

 

「あ・・・あれ?シャークティ・・・それにエヴァたちも・・・なんでここに?」

「やれやれやっと起きたか」

 

エヴァがあきれた顔で言う。

 

「得体の知れない魔力を感じ、ここまで来ましたが遅かったようです・・・」

 

茶々丸は少し申し訳なさそうに言った。

 

「シャークティ!」

「私は・・・・なんとか・・・しかし美空とココネが!!」

 

傷だらけのシャークティは悔しそうに歯軋りする。

当然だ。自分がいたにもかかわらず弟子であり家族でもある二人をみすみす連れ去られてしまったのだからだ。

シモンもそれを見て自分自身の情けなさを悔しがっている。

しかし今はそんなことしている場合じゃない。

エヴァンジェリンは二人の態度に構わずに口を開く。

 

「悔しがるのはいいが状況を説明する、今美空とココネ以外に神楽坂アスナたちも捕らえられている」

「っ・・・・・・くそっ・・・・」

「今。ぼーやと京都にいたあの犬コロのコゾウが共同して救出に向かっている」

「犬コロ?・・・小太郎か!・・・でもなんで・・・・・それにあのジジイ・・・ネギが目的だって・・・・」

 

シモンが顎に手を考える。しかしエヴァはそんなシモンを鼻で笑う。

 

「ふん、キサマらしくないなシモン、理由がどうあれそこにいると分かれば飛んでいくのがキサマだろ?」

 

「!?」

 

エヴァはニヤリと笑いシモンを見る。

シモンもその言葉にハッとして小さく笑う。

 

 

「ああ・・・そうだ・・その通りだ!」

 

「私も行きます・・・もう大丈夫です」

 

 

シャークティは体を引きずりながら言う。それにシモンは頷いた。

 

「よしっ、全員俺に捕まれ、一瞬で美空たちのところへ行く!」

 

その言葉にエヴァたちが首をかしげた。

 

「一瞬でだと?どうするつもりだ?」

 

するとシモンはドリルを持ち、目を瞑り集中した。

 

「見せてやるぜ!繋いだ絆が引き寄せる、想えば気合で扉を開く!」

 

その瞬間シモンから緑色の螺旋力が溢れ出した。

 

 

「シモンさん?」

 

「・・・・・おい茶々丸、シャークティ、」

 

「はいマスター」

 

 

シモンは何かをするようだ。

それを察しエヴァたちは言われた通りシモンの服を摘まんだ。

 

 

「いくぜ!手を離すなよ!」

 

――――螺旋界認識転移システム発動!

 

 

 

シモンの螺旋力が大きく体を包み込み、そして次の瞬間その場から全員の姿が消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

麻帆良学園中央の巨大な木下にあるステージで、二人の少年がそれぞれの守りたいものを助けるために戦っていた。

 

「ラス・テル・マ・スキル・マギステル!闇夜を切り裂く一条の光、我が手に宿りて、敵を喰らえ、白き雷!!」

「犬上流・空牙!!」

 

ネギと小太郎の攻撃がヘルマンを襲う。

しかしヘルマンはまったく避けようとしない。そして

 

「無駄だよ」

 

なんと攻撃が当たる寸前に攻撃がかき消されてしまった。

そしてその瞬間アスナから声が漏れる

 

 

「うっあああう」

 

「アスナさん!?」

 

「消された!?とっときの気弾まで!?」

 

 

二人から驚愕の声が漏れる。

そしてそんな二人にヘルマンは悠然と言い放つ。

 

 

「マジックキャンセル・・・極めて希少な能力だ・・・・カグラサカアスナ嬢がなぜか持っている力。今回私が逆用させてもらった」

 

「なっ!?」

 

「なんやとー!?魔法無効化って・・」

 

 

アスナの能力を利用し、もともと上級の力を持つヘルマンにさらに付け入る隙が無くなった。

 

「これで私には放出系の術や魔法は効かないよ、男なら・・・・・拳で語りたまえ!!」

 

ヘルマンの拳がネギたちに襲いかかる。

一発一発が強力なヘルマンの前にネギも小太郎も防戦一方になる。

 

「ネギ……ッ、ネギッ!」

「ネギくん!」

「ネギ先生……」

 

捕らえられているアスナ。そして木乃香たち。

覚悟を決めて本気になると宣言したばかりにもかかわらず、今何も出来ない自分に歯軋りしながら、ヘルマンの猛攻を受けるネギと小太郎に、悲鳴を上げるだけだった。

 

そんな中、美空は呟いた。

 

「・・・・つ~かさ~・・・なんで私こんなとこにいるんだ?」

 

美空の呟きに、悲鳴を上げている木乃香たちが振り返る

 

 

「美空ちゃん?」

 

「ん?いや~、目の前でガチバトルを繰り広げられてる中に悪いんだけどさ~卒業まで静かにおしとやかにのキャラで通すつもりだったんスけどね~、よくよく考えれば何でこんなことになってんだってさ~」

 

 

美空がこの状況に似つかわしくないような能天気な声で言う。

それに対して夕映たちはこんな時に何を言っているんだと美空に迫る。しかし美空は続ける

 

「そうだ・・・修学旅行で正体がバレて・・・・・いんや・・・もっと前・・・兄貴に会っちまったからかね~」

「美空さん、何のことを言ってるのですか?今はネギ先生の方がピンチです」

「ふふーん、ねえ木乃香・・・兄貴に本気で惚れてんならさ、こうゆー状況も余裕コイテ信じて待ってりゃいいんじゃない?」

 

美空が木乃香に向かって言う。木乃香は意味が分からず首をかしげる。

 

 

「二アさんは・・・・そうだったんだろうな~」

 

「!?」

 

「兄貴は来るよ、絶対に!」

 

 

捕らえられている美空が強く言う。

その言葉に皆呆然としていた。

 

「ほう、面白いことを言う、君のお兄さんは教会にいた彼だろう?来れるような傷では無かったと思うがね」

 

そんな美空の言葉に対して、ヘルマンは嘲笑うかのように口を挟む。

ネギと小太郎はヘルマンの猛攻に耐え切れず、膝を地面について肩で息をしているようだ。

 

「仮に彼が来たとして何が出来るかね?」

 

ヘルマンの言葉に美空はニヤッと笑った。

 

 

「それでも兄貴は来るさ、アンタは兄貴を知らないんだ」

 

「知らない?何をだね?」

 

「聞いて驚くな~、兄貴のドリルは・・・・」

 

 

美空が天を指差し。

 

 

「天を突くドリルなのさー♪」

 

 

その時だった!

 

「むっ!?」

 

ヘルマンや木乃香たちが美空に注目する中、突如空間に亀裂が入り緑色の光が零れた。

 

 

「なっ!?いったいなんなのよ!?」

 

「ネギ!?ありゃ、いったいなんや?」

 

「・・・分からない・・・いったい何が」

 

 

敵味方無く突如出現した光に全員が驚く。そしてその光から

 

「ほ~ら来ちゃったよ、もう今更どんな登場もおどろけないよ」

 

美空の声が聞こえる。美空の言った通りの人物が来たからだ。

シモン、シャークティ、エヴァ、茶々丸の四名が光とともに現れた。

 

 

「来たぞ!おまえら!!」

 

「シモンさん!?それにシャークティさん、茶々丸さん、エヴァちゃんまで!?」

 

 

アスナの声が響く。その声は驚きよりもむしろ喜びの声だった。

そして他の生徒たちもそうだった。彼らの登場に先ほどまでの絶望が一気に希望へと変わった。

 

「おいあの兄ちゃんたしか・・・・・」

「よかった・・・・シモンさん・・・・来てくれたんですね・・・」

 

ネギと小太郎もシモン達の登場に立ち上がる。そして

 

 

「ああ!・・・・アスナ・・・おまえら・・・・なんて格好してるんだ・・・?」

 

「「「「「はっ!?」」」」」

 

「きゃ~~~~!?」

 

「あ~ん、シモンさん見たらアカ~ン!!」

 

 

彼女たちはハダカだった。

子供のネギならまだしも、さすがにシモンにはまずい。

あわてて全員手で肌を隠した。

 

「いや・・・・まあ・・・・「コホン!」・・シャークティ?」

 

ハダカのアスナたちに戸惑うシモンだが、シャークティが咳払いした。

 

「生徒たちは私と茶々丸さんに任せてください!・・・・・・後ろ振り返ったら許しませんよ・・・」

 

低い声でシャークティはシモンに言う。それにシモンは従いネギたちへ走る。

 

「シモンさん、無事だったんですね!」

「兄ちゃんまた会ったな!」

 

シモンの登場に笑みを浮かべるネギと小太郎。シモンもそれに笑みで返す、そして

 

「また会ったな! もう少し付き合ってもらうぞ!!」

 

シモンがヘルマンに向かって言う。しかしヘルマンはつまらなそうにため息をつく。

 

 

「やれやれ、せっかく盛り上がってきたところに水を差してくれる・・・・まあいい、そのかわり今度は命を頂こう!!」

 

「っ・・・構えろ!ネギ!小太郎!」

 

「はい!」

 

「おう!」

 

 

再びヘルマンが3人に攻撃を仕掛ける。

 

「悪魔アッパー!!」

「くっ!呪文も無しに西洋魔術師みたいな攻撃や!?」

 

ヘルマンの繰り出す下からのアッパーの衝撃は大地を唸らせる。

 

「シモンと言ったかな?君も腕を磨きたまえ!!悪魔パンチ!」

 

攻撃を避けたシモンの背後には、すでにヘルマンが回り込みストレートを放つ。しかし、

 

 

「舐めんなよ!俺が磨くのは漢の魂だ!!フルドリライズ!!」

 

「むっ!?」

 

 

シモンを包む螺旋力から無数のドリルが伸びる。

これにはヘルマンも驚き慌てて飛び退く。

 

「今や!いくでネギ!!」

「わかってるよ!」

 

シモンの技に驚いたヘルマンに隙が出来た。その瞬間をネギと小太郎は狙った。

 

「狼牙双掌打!!」

「双撞掌!!」

 

だが……

 

「甘いよ少年たち!!悪魔アッパー!!」

 

一瞬の隙を作ったと思ったが、ヘルマンは直ぐに体勢を立て直し迎撃した。

再び吹っ飛ばされるネギと小太郎。

 

「野郎!!」

「少し驚いたが、これで終わりかね?」

 

ヘルマンは余裕の構えでシモンに言う。しかしその瞬間シモンの螺旋力がさらに増大した。

 

 

「終わりなんかねえ!無限に湧き上がる漢の魂は天井知らずだ!!」

 

「むっ・・・なんだ・・・それは・・」

 

 

その時シモンの目元が光った。そして次の瞬間シモンの顔にはV字型のサングラスが現れた。

 

 

「アーティファクトか?違う・・・それがあると力が上がるのかね?」

 

「ああ、これがあれば漢が上がる!!いくぜ、漢の魂炸裂斬り!!」

 

 

シモンはサングラスを外した。するとそのサングラスが巨大化した。

それを両手で振りかざし、ヘルマンを斬りつける。

 

「ぐはあ!?」

 

このシモンの攻撃にはさすがのヘルマンもダメージを受けた。

 

 

 

 

 

「せっちゃん、せっちゃん」

「うっ・・・・このちゃん・・・?」

「よかった~気いついて~」

「そうだ・・・・私は・・・!?っ他の方は!?」

 

刹那は急に体を起こし木乃香に訪ねる。

 

「大丈夫だ、全員無事だ」

「エヴァンジェリンさん!?・・・それに・・シャークティさん・・・」

 

ヘルマンに捕らえられた刹那たちだが、シャークティたちが見事救出していた。

 

「ネギ先生・・・・それにシモンさんも・・・・そうか来てくださったのですね」

 

刹那はシモンを見て安心する。タオルで体を包めている木乃香たちも、その顔に不安が見られない、

 

「ええ、あとはあの変態ジジイ倒せばこっちの勝ちよ!」

 

アスナが自信満々に答える。その肩にはブータとカモがいた。

 

「ブゥゥ!」

「その通り!俺っちとブータっちでアスナの姉さんに敵が付けた仕掛けも外した。これで兄貴の魔法が通じる筈だぜ!」

「ブータ、アンタ居ないと思ったら必ずピンチには現れるんだね~、サスガ兄貴の相棒!」

 

そう言って美空はブータの頭を撫でる。

 

「これで形勢はこちらに有利ですね。あとは彼らを援護しましょう!」

「そう慌てるな。さすがにここを離れて小娘たちに攻撃が届くのはまずい。シモンも居ることだしここで様子を見るぞ」

 

エヴァの意見はもっともだったためにシャークティや刹那もそれに従った。

 

「く~ネギを守るって言ったそばから私捕まっちゃって・・・・・」

 

アスナが肩を落とす。

 

「悔しければ今は黙って見ていることだな、それにぼーやの底力も見れるかもしれんからな」

 

 

 

 

 

 

 

「どうやらこれでネギの魔法も当たるみたいだな」

 

女子たちの様子を見てシモンがヘルマンに言う。

しかしヘルマンは大して慌てた様子は無い。

 

「たしかにそのようだが・・・・あまり関係ないのでは?魔法使いのネギ君もこの様だ」

「なっ!?どういう意味ですか!?」

 

するとヘルマンはやれやれと言った感じで話す。

 

「つまらないのだよ君は。小太郎君はどうだい?実に楽しそうに戦う、君は何のために戦うのかねネギ君?」

「ど・・・どういう意味ですか?」

「仲間のため?くだらない、戦う理由はつねに自分だけのものだ。「怒り」「憎しみ」「復讐心」などは特にいい。誰もが全身全霊で戦える」

 

ヘルマンの言葉にネギが押し黙る。しかしシモンは黙っていない

 

 

「耳を貸すなネギ!仲間のためがくだらない?それはテメエの知る仲間がくだらねえだけだ!憎しみだか復讐心だか知らねえが、心が弱えからそんなもんに囚われるんだ!」

 

「ふふふ、では何のために戦うのだね?教師の義務感・・・いや6年前の雪の日の記憶から逃れるためかね?」

 

 

その瞬間ネギの体が震えた。それは聞いていたアスナたちもそうだ。

 

「な・・・・・なんで・・・知っているんですか・・・・?」

 

ヘルマンが帽子を取る、

 

「ちょっ確かあれって!?」

「なっ何アル!?」

「あれは確か・・・ネギ先生の記憶の中にあった・・・・」

「あの男・・・悪魔だったのか・・・」

 

女子たちから驚きの声が漏れる。そしてネギは体をガタガタ震わせていた。

 

 

「おい!なんだこいつ顔が変わったぞ・・・・おいネギ!」

 

シモンの声はネギの耳に入らない。それほどネギは動揺していた。

 

 

「そうだよ、ネギ君私は君の仇だよ!6年前に君の仲間や故郷を壊滅させたのもこの私だ!!」

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

高らかに宣言する悪魔の姿をしたヘルマン。そしてもう一度帽子を被り人の姿に戻った。

 

 

「どうだね、ネギ君?自分のために戦いたくなったかね?」

 

「!?」

 

 

ヘルマンがネギを挑発する。

そして次の瞬間ネギの中で何かが爆発した。

 

 

「うあああああああ!!!!!!!」

 

「こ・・・これは!?」

 

 

雄たけびを上げてヘルマンに向かっていくネギ。

なんとその力はヘルマンを上空へ殴り飛ばした。

そして、ネギの攻撃はまだ終わらない。怒りに任せてヘルマンに追撃する。

 

この様子に全員呆然としていた。

 

「な・・・なんやアレ!?」

「いけねえ魔力のオーバードライブだ!」

 

カモの言葉に全員が振り向く。

 

「カモさん、どういうことです?」

「修行不足で使いこなせなかった兄貴の膨大な魔力が怒りをキッカケに解放されたんだ!」

「これがぼーやの力か・・・」

「でもアレはアカン!力押しで勝てる相手やない!」

 

しかし誰も動けないでいた。

それほどまでにネギの怒りと魔力は凄まじく誰も近づけなかったのだ。

ただ一人を除いては・・・・・・

 

 

「・・・兄ちゃん?」

 

「シモンさん?」

 

 

グレン団のマークを背中になびかせて、男は皆の前に立ち、サングラスを巨大化させたブーメランを空中で戦う二人に投げつけた。

 

 

「シモンブーメラン!!」

 

 

 

 

 

 

 

「はははは、ネギ君、実にいいよ!それでこそサウザンドマスターの息子だ!」

 

「うああああああ!!!」

 

「だが、そのすばらしい才能を潰すのも、私の楽しみの一つだよ」

 

 

無我夢中で襲い掛かるネギ。それに対してヘルマンはカウンターを仕掛けようとする、しかし

 

 

「ぐおっ!?」

 

「うあっ!?」

 

 

シモンの投げたブーメランがヘルマンに直撃し吹き飛ばす。そしてその衝撃でネギも落下する。

 

 

「・・・・はあ、はあ、はあ」

 

地上に降りたネギは肩で息をしながら、今の自分のしたことに動揺していた。

 

「僕は・・・今・・・・・僕は・・・」

 

震えるネギ、しかしそこに

 

 

「ネギーーーーー!!!!」

 

「えっ・・・シモンさん!?」

 

 

ネギに向かってシモンが駆ける。

 

 

「歯あくいしばれえーーーーーーーー!!!!!!」

 

 

シモンはネギの顔面をおもいっきり殴り飛ばした。

 

 

「お・・おいおい兄ちゃん!?」

 

「シモンさん!?ネギに何を!?」

 

「ネ・・・・ネギせんせー!?」

 

 

シモンの突然の行動にアスナたちを始め、付き合いの長いシャークティたちも驚いていた。

 

「うっ・・・あっ・・・・シモンさん?」

 

殴られたネギはわけもわからずシモンを見上げた。そんなネギに向かってシモンは

 

「目え覚めたかネギ?」

「シ・・・シモン・・さん?」

 

殴られた頬を押さえながらネギは見上げる、

 

 

「俺も道に迷ったとき、こうして殴られたことがある」

 

「えっ?」

 

「どんな強さを求めるかはお前次第だ。でも怒りなんてものは治まっちまえば消えちまう・・・・そんなものなんだぜ」

 

「シモンさん・・・・でも僕」

 

「仲間のため?いいじゃないかそれで。なによりお前のために戦ってくれる女があそこに居るだろ?俺が居なくてもお前が道に迷えば今度はアスナが殴りに来る。たまに過去を振り向くのもいいけど、男なら上を向いて進め!」

 

 

そしてシモンは自分を指差した。

 

 

「大丈夫、自分を信じろ!俺が・・・・俺達が信じるお前を信じろ!」

 

「・・・・はい!!!!」

 

 

ネギは力強く返事をした。その姿に見ているものは皆笑顔を浮かべていた。

 

「やれやれ・・・君は本当に良いところで邪魔をする・・・」

 

シモンの攻撃を受けたヘルマンが立ち上がり近づいてきた。

だが先ほどまでの余裕はなさそうだ、

 

 

「さあネギ、あと一息だ!次で終わらせるぜ!!」

 

「はいっシモンさん!」

 

 

シモン、ネギが構える。

 

「舐めないで貰おう!悪魔パンチ!!」

 

ヘルマンが再び拳から強力な衝撃波を放つ、

 

「その手はくわねー!!」

 

シモンはドリルを巨大化させ、それを傘のように開き、ヘルマンの攻撃を防いだ、

 

「今だネギ、決めろ!」

「ラス・テル・ラ・スキル・マギステル来たれ虚空の雷、薙ぎ払え!」

「ぬうううううう!?」

「雷の斧!!!!」

「ぐおおおおおお!!」

 

ヘルマンの叫びが響き渡る。

ネギから放たれる雷の呪文がヘルマンを直撃した。

 

「はあ、はあ、はあ、シモンさん、皆さん」

 

肩で息をするネギが皆を見た。その瞬間歓声が上がる。

 

 

「やったネギ!!」

 

「乗り切ったようだなぼーや」

 

「シモンさん!」

 

 

皆がネギたちへ駆け寄る。

シモンはネギに名を呼ばれニッと笑って親指をぐっと上に突き出す。

ネギもそれを真似する。

 

「終わったなネギ!」

 

しかし次の瞬間

 

 

「デーモニッシェア・シュラーク!!」

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

ヘルマンの声がした。

 

「グワアアア!?」

 

悪魔の姿に戻ったヘルマンの攻撃がシモンに襲い掛かる。

 

 

「てっ・・・てめえ!?」

 

「油断大敵だぞネギ君。先ほどの怒りに任せた時の攻撃ほうが強かったぞ!!」

 

「シモンさん!?」

 

 

シモンはヘルマンの攻撃を直撃し吹っ飛ばされる。

ヘルマンは飛ばされたシモンに追い討ちをかける。

予想外の事態に全員が反応に遅れた。

 

 

「こうすればもう少し怒りが増すかねネギ君!!」

 

「何を!?ッ、シモンさん!?」

 

 

ヘルマンはそう言って、シモンが投げたブーメランを拾い手に持った。

そして

 

 

「終わりだ!君は中々楽しかった!!」

 

「くっ・・・くそ!!」

 

 

ヘルマンはそのままブーメランの刃を立て、シモンへ突き刺そうとする。

 

 

「なっ!?」

 

「ブヒーー!」

 

「シモンさん!?」

 

「しまった間に合わない!!」

 

「アカン・・・・嫌・・・・やめて・・・・嫌ーーーーーーーーーーーー!!」

 

「「「「「シモンさーーーーん!!!!」」」」」

 

 

ヘルマンを止めようと追いかけるネギ、小太郎、茶々丸、美空、刹那。

しかし一番速い美空でも追いつかない。

エヴァもシャークティもアスナもココネもどうすることも出来ない

 

(そんな・・・・シモンさんが・・・・このままでは・・・・)

 

シャークティも察してしまった。

このままではシモンもカミナと同じようにと。

しかしどうすることも出来ない。

そしてただその光景をどうすることもできずに叫ぶ木乃香たち。

しかしヘルマンは容赦なく振り下ろす。

迫りくるヘルマン。

この時シモンは思った。

 

 

(この光景・・・・以前にも・・・そうだ・・・・アニキが死んだ時と同じじゃねえか!・・・・)

 

 

 


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