魔法はお前の魂だ(魔法先生ネギま✖天元突破グレンラガン) 作:アニッキーブラッザー
アスナの言うとおり、今日ネギは元気が無い。
何度も何度もため息を繰り返しては俯いていた。
「はあ~~」
これで一体何度目だろう。ネギはずっとこの調子だった。
「昨日の人・・・・強かったな~・・・・・・・はあ・・・・」
ネギは昨日のことを気にしているようだ。
シモンに殴られ自分を信じろと言われたが、その結果シモンがもう少しで死んでしまうところだった。
それをずっとネギは気にしていた。
そんなネギに一人の女が話しかける。
「それでいったい何度目?男なら人前でため息はかない!」
「あっ・・・・ヨーコさん・・・・」
明るい声でヨーコはネギに話しかける。
「隣、座るわよ!」
ヨーコはネギの返答を待たずしてネギの隣に座り込んだ。
ネギもヨーコの登場に少し驚いているようだ。
「あの・・・ヨーコさん・・・昨日はありがとうございます・・・・ヨーコさんがいなかったら僕の所為でシモンさんが・・それにアスナさんや他のみんなも・・・・」
ネギはずっとそのことを気にしていた。
自分の攻撃が未熟だったために、ヘルマンは倒れずシモンを殺そうとした。
それ以前にヘルマンは最初から自分一人が目的だったために、皆を自分の所為で巻き込んでしまった。
ネギはそのことを考えるとどんどん暗くなっていった。
「それなりに結構アイツと一緒に居るんでしょ?アイツが欠片でも気にした?」
「そんなこと・・・・・でも昨日から落ち着いて考えると怖くて・・・・・・・みんなに誇れる自分になるって言いましたけど・・・・・もしシモンさんがあの時助からなかったらって思うと・・・・・・」
ネギは目に涙を浮かべてきた。
「何を悩んでいるの?」
その言葉にネギは少し体を震わせ、そして自分の悩みを語りだす。
「僕には目標として追いかけている人がいます。でもその人に追いつくには並大抵の強さでは追いつけません、僕はもっともっと強くなりたい、そう思っていました」
ヨーコは黙って聞く。
「でも・・・・・・昨日あんなことを言いましたけど・・・・・もしあの時シモンさんが死んでいたら・・・・・そもそも僕がもっと強ければ・・・・・」
ネギの強さへのこだわり。それがネギの悩みだった。
「あなたの目から見てシモンはどんな男?」
「えっ?シモンさんですか?・・・・すごくかっこよくて、強くて、とても熱い人で、・・・・どんな時でもあきらめずに僕たちを導いてくれます!僕なんかをいつでも信じてくれます・・・」
ネギのシモンの評価にヨーコはクスリと笑う。
「私がシモンと初めて会ったとき、その時、私はあいつのことをすごい情けない奴だと思っていたわ」
「えっ?」
「逃げ腰でウジウジしていて、少し根暗な部分もあったわね」
ヨーコが少し昔を懐かしむ顔をする。
「聞いたことがあります・・・・シモンさん自分で昔はすごいかっこ悪かったって・・・・・本当だったんですか?」
シモンは以前自分の昔をネギに教えたが、やはりネギは信じられずてっきりシモンの謙遜かと思っていた。
「ううん、かっこ悪くなんて無かった。誰よりも冷静な判断をしていただけ・・・・ただ自分に自信が無かったのよ、昔のアイツには・・・・・」
「自信ですか?」
「そう、ちょっと強い敵や困難があるとすぐに逃げようとしていたわ。勝てない、無理だ、やめようよ、なんて言ってね・・・・それが14歳の時だったかしら」
今のアスナたちと同じぐらいの時のシモン。弱気なシモンなど、やはりネギには想像もつかなかった。
「シモンさんは・・・・どうやって自信を手に入れたんですか?」
「お前を信じる俺を信じろ!そう言ってくれる男がシモンの側にいたのよ」
「・・・・僕も!・・・・シモンさんに言われたことがあります・・・・お前を信じる俺を信じろと・・・・・」
「アイツらしいわね・・・・・でもアイツはその言葉を信じた!そしてその信頼にいつだって応えた!ネギ君、君はあなたを信じるアイツやあなたの生徒たちを裏切るの?」
「でも・・・・僕は口ばっかりでシモンさんのようには・・・・・魔法だって弱いし・・・・・」
「あなたは穴掘りシモンじゃない。魔法先生ネギでしょ?誰でもないあなた自身になって夢を掴んでやりなさい!がんばれ男の子!」
そう言ってヨーコは優しい笑顔でネギの頭を撫でた。
(あっ・・・・すごく暖かい・・・・すごく・・・・)
そのヨーコの暖かいやさしさがネギの体を満たしていく。
「・・・・・はい!ヨーコさん・・・・僕・・・がんばります!!」
「うん!いい男になりなさい!」
ネギは本来の少年の笑みをようやく浮かべた。ただしその目はとても強く輝いていた。
(ヨーコさんか・・・・少しシモンさんに似てるかも・・・・それにシモンさんが好きだったって言ってた人だしな~)
そしてこの様子を見ていたアスナたちにもようやく笑みが零れた。
「まったく。アイツは考えすぎよね~」
「でもよかったな~ネギ君元気になって!」
「たしかに。ヨーコさん・・・・大人の女性ですね」
「せやな!強くて美人で優しくて、スタイル抜群・・・・・アカン完璧超人や・・・・シモンさん振られてよかったわ~」
「木乃香・・・あんたねえ・・・・・まあ、これでネギも元気出たみたいだし、クラスのみんなにも心配かけそうもなくてよかったわ」
ネギには教師としての仕事もある。
魔法の事情を知る自分たちならまだしも、他の生徒たちには元気の無いネギを見せたらあらぬ心配をさせてしまうかと思ったが、ヨーコのおかげで問題が解決した・・・・かに見えた。
いつものように学校が始まる。
ネギの授業、子供でありながらいつも大人顔負けの丁寧な授業は好評であった。
何よりネギは人気があるため、全員が授業に集中している。
しかし今日はネギ自身が上の空だった。
「ぼ~~~~~~」
時折窓の外を見上げてはぼ~っとするネギ。
この様子に生徒たちは耳打ちしていた。
「今日のネギ君何かおかしくない?」
「ホントホント、何かボーっとしてるよね」
「のどか、夕映?アンタたちなんか知ってるんじゃない?知ってたら吐け!」
「落ち着いてよハルナ~、私たちも知らないけど・・・・多分・・・」
「ひょっとしたら昨日のことを気にしているのかもしれませんね・・・・」
「アスナさん、何か知っているんじゃありませんか?」
「う~ん、おかし~な~、立ち直ったと思ったんだけどな~~」
クラスメートたちがネギの様子に話し合っている中・・・・とうとうネギが顔を赤らめて呟いた。
「ヨーコさんか~//////」
「「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」」
この言葉にクラスメートが過剰に反応した。
そう、少年は今、
生まれて初めて恋をしていた。
「・・・ちょっ・・・・・え?」
「ヨーコさん?・・・・たしかその名前どっかで・・・」
「そうだ!修学旅行で言っていたシモンさんの初恋の人!!」
ネギの発言にクラス中が騒ぎ出した。
「ア・・・・アスナさん?ヨーコさんとはたしか・・・シモンさんの初恋の方でしたわよね?」
「・・・ま・・・まさか・・・ネギの奴・・・・」
これにはパートナーのアスナを始め、ヨーコを知っている木乃香や美空たちも呆然としていた。
そんな中、ネギは口を開いた。
「あの~、いいんちょさん?」
「は・・はい!なんでしょうネギ先生!」
急に生徒の一人が声を掛けられた。
「あの、つかぬことをお伺いますが、もし、いいんちょさんが20代の女性だった場合、10歳の男をどう見ますか?」
「「「「「「!?」」」」」」
「恋愛対象ですわ!!!!歳の差など関係ありませんわ!むしろそれがいい!!」
ショタコンの委員長は迷わず即答してしまった。
しかしその答えは不味かった。
委員長の答えを聞くとネギは少しうれしそうな顔をした。
「そうなんですか!?・・・・そうか・・・・」
「ちょっ、ネギーー!?アンタまさかヨーコさんに一目惚れしたんじゃないでしょうね!?」
「えっ!?アスナさん何を!?ヨーコさんはたしかにキレイで凄くカッコよくて、凄く優しくて・・・あう~」
「「「「「ネギく~~~ん!?」」」」」
アスナの問い詰めに完全に顔を真っ赤にしたネギ。
もはやこの状態にクラス中が大騒ぎした。
「ちょっとちょっとーどういうこと!?ヨーコさんってシモンさんの昔の女でしょ?なんでネギ君やアスナが知ってるのよ!?」
「え~と・・実は昨日からシモンさんに会いに来ていて、今朝ネギの相談事に乗ってもらったんだけど・・・・」
「ネネネネネネギせんせ~がががが・・・・ゆゆゆえ~~~、どうしよ~~」
「おおおお落ち着くでですののののどか」
ネギに告白済みののどかは、完全にテンパッてしまった。
当然、夕映も落ち着けと言いながら自身も動揺していた。
「ネギ君ヨーコさんに一目惚れしたん!?」
「た・・・たしかにヨーコさんはとても素敵な女性ですが・・・・」
「うわ~、こりゃ~まずいっすね~、兄貴はなんて言うかな~」
ネギの突然のヨーコ発言にクラス中が大騒ぎだった。
そしてその時、問題の人物が教室のドアを開けた
「随分元気なクラスね!ネギ、ちゃんとやってんの?」
「ヨヨヨヨーコさん!?ななな・・・なんでここに居るんですか!?」
突然教室に入ってきたヨーコ、これにクラスが騒然としだした。
「「「「「「えええーーーーーー!?」」」」」」
「この人がヨーコさん!?」
「うっそー!?スッゴイ美人!」
「しかもセクシー!ちづ姉と同じぐらい胸大きいんじゃない!?」
「うわ~この人が噂のヨーコさん?こりゃあのどかの勝ち目は薄いかな?」
「えええええそそそそんな~~」
「ハルナ!そんなことありま・・・・・・やはり美人です・・・・」
クラス中がヨーコを同性でありながら見惚れていた。
「ちょっとヨーコさん!なんでここに?」
アスナの言葉に全員が黙る。
「シモンが帰ってくるまで暇なのよ。それでちょっと同じ教師としてネギの授業を見学したくてね」
そう言ってヨーコはウインクを送る、その瞬間ネギの顔が真っ赤になった。
「どどどうぞ~~、ぼぼ僕なんかのじゅ授業なんかで良ければいくらでもももも」
「なっ!?ッ、こ・・この方が無邪気で純粋なネギ先生を誘惑したのですね!」
「む~う~んこの人がヨーコさんか~ネギ君好きなのかな?私も自慢じゃないけどネギ君のことかなり好きなんだよな~、なんかこのままとられるの嫌だな~」
「あうあう・・・どうしよう・・・ホントにヨーコさんのこと・・・、あう~私なんかじゃ太刀打ちできないよ~」
ネギに好意をよせる委員長、まき絵、のどかは少しヨーコに不快感を持っているが、他の者たちはお構いなしにヨーコに話しかけていく。
「はいは~い、ヨーコさん質問あるんですけど、ヨーコさんってシモンさんと付き合っているんですか?」
「シモンと?いいえ、付き合ってないわ」
「じゃあじゃあ、ヨーコさんって彼氏いるんですか?」
定番の質問を生徒の一人が聞いてきた。これに皆反応する。
しかしヨーコは大して動じることも無く答える。
「残念ながらいないのよね」
「「「「「えーーー!?」」」」」
「ウソー!?」
「なんでー!?ヨーコさんぐらいになると片手で数えられないぐらいいるんじゃない?」
ヨーコのフリー発言に皆が驚く、
「こらこら、これでも私って身持ちが固いのよね~」
「え~、じゃあ理想が高いんですか?」
「そうじゃないわ・・・・ただね、昔から私の周りにはいい男がいっぱいいすぎたのよ。シモンもその一人ね・・・・・でも私は彼らに女の子扱いされたいんじゃなくて、いつだって彼らと対等でいたい、そう思っていたのよ」
ヨーコの発言に皆が感心して聞いている。
「じゃあヨーコさんはもし付き合うとしたら、どんな男性がいいんですか?」
「「「「ネギくーーーん!?」」」」
ネギが顔を赤らめてヨーコに聞く
「あらネギ、そんなこと知りたいの?」
「あう・・・いえ・・・その・・・・気になったっていうか・・・」
ネギのその様子に、ヨーコは少しクスっと笑って答える。
「そうね~、もし私が選ぶとしたら・・・・・・」
全員が黙って聞く。
「女の愛に10倍返しで応えてくれる男かな♪」
「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」
一瞬の沈黙、そして
「「「「「「「「キャーーーーーーーー!!カッコイイーーー!!/////」」」」」」」」
「10倍返し!キャー!憧れるー!」
「だよねだよね!」
「10・・10倍ですか・・・・でも僕にはまだよく・・・」
生徒たちの声が教室に響き渡る。
ヨーコの発言にクラス中が大騒ぎしてしまった。
「10倍返しか~シモンさんに・・・・10倍返し・・・・あ~~アカン恥ずかしいわ~」
「ふ・・ふふ・・10倍か・・・・シモンに・・・くくく・・・たしかにそれぐらいされないとなあ」
「じゅ・・・・シモンさんに・・10倍返し・・・・何を考えている・・そもそも私はこのちゃんを応援するはずでは・・・しかしシモンさんから10倍・・・アカン、アカンよシモンさん・・・」
「ネギせんせ~の10ばい~~ネギせんせ~が10にん~~」
「はあ・はあ・はあ、ネギ先生から10倍返し・・・・・私のこの溢れんばかりの愛を10倍で・・・ブーーーーーッ!」
「いいんちょが鼻血出して倒れたーー!」
「も・・・もしそんなこと高畑先生に言われたら・・・・・・や・・・ヤバイ・・は・鼻血でそう」
想い人がいる生徒たちは様々な反応を見せる
木乃香とエヴァはヨーコの言葉に体をクネクネくねらせて、顔がニヤけていた。
そして刹那、のどか、委員長は妄想突破してしまい顔を真っ赤にして興奮。
アスナも似たような感じだった。
結局この日は授業にはならなかった。
しかし、ヨーコはたった数分で3-Aの生徒たちの心を掴んでしまった。