魔法はお前の魂だ(魔法先生ネギま✖天元突破グレンラガン)   作:アニッキーブラッザー

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第37話 そこまで鈍くない

あれからエヴァの気のすむまで、学園祭を堪能した。

遊園地、アトラクション、さらにショー、もはや学生だけの祭りなど絶対嘘だと突っ込みをいれそうになったが、エヴァもご機嫌だった。

その際に途中で世界樹が光、告白生徒が出たという噂を聞いたが、見なかったことにした。

 

「ははははは、中々楽しかったな!」

「ああ、でも疲れた~」

 

時刻は夕方。最初不機嫌だったエヴァも学園祭をシモンと二人で回り、大いに堪能できたようだ。

二人はベンチに腰を掛け、目の前で輝くイルミネーションを見ながら一息ついている。

さすがのシモンも疲れたがエヴァも満足したようで安心した。

 

「キサマは女の前でまたそんなことを言う、少なくともぼーやはもっと紳士的だぞ」

「まあ俺はネギじゃないからな。今更女の扱い方を覚えろって言われてもな~・・・・」

 

その言葉に呆れ顔のエヴァ。しかしその顔を見てシモンは思ったことを口にする。

 

「エヴァは・・・初めて会った時と少し変わってきたな」

 

突然の言葉にエヴァは首を傾げる。

 

 

「どういうことだ?」

 

「わがままで、偉そうなところは相変わらずだけど、前より捻くれてない、友達も増えているみたいだしな」

 

 

シモンと初めて会ったころのエヴァ。シモンを毛嫌い、魔法も使えないのに口ばかりのシモンに容赦しなかった。

自分の境遇やサウザンドマスターの死に不貞腐れ日々を過ごしてきたころだった。

エヴァもその言葉を聞いて少し前の自分を思い出した。

 

 

「少しは輝いて見えるか?」

 

「どうだろうな・・・、でもすごく楽しそうに見える」

 

 

以前よりも素直になり、修学旅行やクラスの行事などにも参加し、ネギや木乃香たちに魔法を教えるなどもしている。

そしてその事に対してエヴァは嫌々でやっていないという事だ。

 

「楽しそうか・・・・ならそれは・・・どこかの気合バカの所為かもしれんな」

 

エヴァはニヤッと笑いシモンを見る。

 

「そう言ってもらえると・・・俺もお節介した甲斐があるよ」

 

シモンも笑顔で返した。

少しの沈黙が流れ、エヴァが真面目な顔をした。

 

「・・・ヨーコはキサマを元の世界に連れて帰るようだな・・・・・」

 

そんな言葉に対してもシモンは、いつものように簡単に返した。

 

 

「ああ、この学園祭が終わったら一度帰るよ」

 

「なっ・・・なんだと!?どういうことだ!?聞いていないぞ!?」

 

 

ヨーコの目的は知っていた。シモンは一度元の世界に帰る。しかしそれがそんなに急なことだとはエヴァも思っていなかったため、シモンの言葉に驚き立ち上がってしまった。

 

 

「私の生き様を見ると言ったではないか!あれは嘘だったのか!?」

 

「まてまて、美空たちとも約束したし、ちゃんとまた戻ってくるよ!だから・・・「ガシッ!」」

 

 

急にエヴァがシモンの胸倉を掴んだ、

 

「エヴァ?」

 

エヴァの顔は俯いていて分からない、しかしその小さな肩はワナワナと震えていた。

 

 

「いやだ・・・・」

 

「?」

 

「・・・・いやだ・・・・」

 

 

震える声でその一言を搾り出した。

 

「アイツは・・・・私が卒業するころに戻ってくると約束して・・・・・二度と戻ってこなかった・・・・」

 

サウザンドマスターの事を言っていることにシモンは気づいた。

 

「・・・・俺はちゃんと戻ってくる・・」

「ウソだ・・・・オマエも私を置いていく・・・・・もういやだ・・・・・絶対に・・・・」

 

その時シモンは気づいた地面に水が垂れている。それはエヴァの瞳からだった。

 

「私を見ていると言ったのは、シモン、お前だ・・・・・なのに何故・・・帰る・・・・」

 

いつもの自信たっぷりのエヴァとはかけ離れて、見た目どおりの幼い少女のようにエヴァは弱々しく言葉を告げる。

そしてシモンの胸に顔をうずめて絶対に離れないように腕を回す。かつて離した手をもう二度と離さぬように。

 

「・・・もう・・・そんな明日は耐えられない・・・・」

 

突然のエヴァの行動にシモンもどう対応すればいいか分からなかった。

ただ何も言わずに手でエヴァの頭をポンポンと撫でる。

いつもなら振り払っていたシモンの手。

しかしこの時エヴァは黙って撫でられていた、そしてゆっくりシモンの胸から顔を離し、

 

「シモン・・・私は・・・おまえのことが・・」

 

瞳を潤ませ、顔を赤らめながらもシモンの目を見て真剣に告げ・・・・・・ようとした

 

「おまえのことが・・・・す「ストップ!?」・・・なっ?」

 

急に大声を出してシモンはエヴァの言葉を遮る、

 

「お・・おまえさ・・・・・告白したらどうなるか、分かってるのか?」

 

その瞬間エヴァはハッとした。

なぜなら学園祭中に告白してしまえば相手の意思に関係なくめでたく成立してしまうからだ

 

「あっ・・・・そうか・・・・ん!?そうだ、その手があるではないか!むしろそれが一番ではないか!よしシモンよ、私はおま「だから待て!」」

 

しかしエヴァからすればそれは願ったりの展開だった。

先ほどまでの弱々しいエヴァがどこへ行ったのやら、いつの間にか元に戻っていた。

 

「まったく・・・危なかった~」

 

シモンはホッとした様にため息をつく。エヴァはシモンにとっては恋愛対象外ではあるが、思わぬエヴァの可愛らしさに触れ顔が少し赤かった。

しかしエヴァも先ほどまでの落ち込みからすっかり立ち直り、少し拗ねた感じで口を膨らませる。

 

「ちっ、せっかくの雰囲気が台無しになってしまった、まったくキサマは本当に空気を読めん奴だ」

 

その言葉にシモンはフット笑う。

 

 

「そうでもないさ、女にそこまでされて気持ちが伝わらないほど鈍くは無いさ」

 

「むっ・・・・・それで・・・答えは?」

 

「その答えは・・・・もうお前も分かってるだろ?」

 

 

シモンの言葉にエヴァは軽くため息を吐く。シモンの答えなどずっと前から分かっていたからだ。

 

 

「そうだな・・・はあ、ニアだったか・・・・・・そこまでいい女だったのか?」

 

「ああ・・・・、でも、だからってエヴァや木乃香がいい女じゃないって事じゃないよ、ただ・・・・・やっぱりまだアイツが好きなんだ・・・」

 

 

シモン照れ隠しにポリポリと頬を掻きながら空を見上げて告げる。

 

 

「ネギや木乃香には気にするなって言ったけどさ・・・・・まだ一年しか経ってないんだ、あいつが死んで・・・・・・お前もそうだったんだろ?ネギの親父に会えなくなって・・・」

 

「そうだな・・・・・その通りだ・・・・・」

 

「気にしてほしくはない、不幸自慢する気なんて無いんだから、ただ察してほしい・・・・・傷は癒えても・・・明日に向かっていても・・・・アイツへの想いは残っているんだからさ」

 

 

エヴァは初めてだったかもしれない。シモンが初めて弱さを見せた。

いつも気合だ何だと叫んでいても、やはり一人の人間としての弱さを持っていたのだから。

 

「そうか・・・わかった、今はそれでいい・・・・だがっ!」

 

そう言ってエヴァは再びシモンの胸倉を掴んだ。

 

「もし戻ってこなかったら・・・・その時はどうなるか分かっているな?」

「・・・・・どうなるんだ?」

 

エヴァは突然力強い目でシモンを睨み

 

 

「私は悪の魔法使いだ・・・・もしお前が帰ってこなかったら、いずれお前の世界まで行き、お前の守った世界を破壊する!・・・・・本気だからな・・・・・だから・・・・必ず・・・・」

 

「ああ、約束だ!待ってる女を泣かすなって昔仲間に言われたことがある、だから何も心配するな!」

 

 

シモンはそう言ってグッと親指を突き上げた。

エヴァもその言葉を聞けただけで少し満足した、そして満面の笑みを見せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――ピリピリピリ♪

 

 

突如軽快な電子音がした。その音に気づきシモンはポケットに手を入れる、どうやらシモンの携帯電話が鳴っていたようだ。

 

 

「はいもしもし」

 

 

シモンが携帯に出ると、シャークティの声が聞こえた。

 

 

『シャークティです、シモンさん楽しんでいますか?』

 

「ああ、それなりに、それで何かあったのか?」

 

『はい、少し真面目な話です、今入った情報なのですが超鈴音についてです』

 

 

その言葉を聞いてシモンも真剣な顔つきになった。

 

 

『麻帆良武道会・・・このイベントをご存知ですか?』

 

「武道会?知らないよ、それと超が何の関係があるんだ?」

 

『このイベントは優勝賞金10万円の小さなものだったのですが、今年ある人物が大会を買収して賞金が1000万に大幅にUPしました」

 

「いっ・・一千万!?俺のバイト料の1000回分を・・・・・・、それでその買収した人物は・・・」

 

『超鈴音です、そしてこの賞金の所為で今年は参加者が急増して、学園中が注目する一大イベントになりました』

 

 

その説明でシモンも超の目的を理解した。

 

 

「なるほど、賞金で参加者釣って学園が注目する中で派手な魔法を公開させる気かな?」

 

『おそらくは・・・・どうします?』

 

「・・・・・う~ん・・・・・アイツも色々動いてんだな~、・・・・・・とりあえず行ってみるよ、どちらにせよアイツが関わってるなら顔を出しといたほうがいいからな」

 

『そうですか・・・・・お願いします。それとシモンさんが言っていた学園の下水道にある超のラボも会場付近にあります、我々はそちらの方を見張っておきます』

 

「ああ、了解した、とりあえずまた教会で」

 

 

シモンは話を終え携帯を切った、するとエヴァが何かを言いたそうに見ている。

 

 

「超鈴音か・・・アイツと何かあったのか?」

 

「まあな、アイツに証明してやらなきゃいけないものがあるからな」

 

「ふん、やつは相当手強いぞ?・・・・・茶々丸もこの学園祭期間は奴に貸している、気をつけることだな」

 

「茶々丸が?そうか・・・・さらに気合入れないとな」

 

 

そう言ってシモンは立ち上がった。

 

「なあエヴァ、悪いけどこれから武道会にデートしよう!中々おもしろそうだよ」

 

その言葉に少し顔を顰めるエヴァだったが、一つため息を吐いて、すぐにうなずいた。

 

「やれやれ、本当にロマンチックのかけらも無い、まあいいだろう私の一番弟子も来るだろうからな。見に行ってやるか」

 

そう言ってエヴァはまたシモンの手を握り歩き出した。シモンもエヴァのその行為に対して何も言わずに黙って手を繋ぎ目的地へ向かった。

 

こうして二人は学園が注目するイベントに足を踏み入れることになった。

 

 

 

そしてこの2時間後、

 

 

タイムマシン使う前のネギ、超に一服盛られて保健室で寝ていたがようやく目を覚ます。

 


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