魔法はお前の魂だ(魔法先生ネギま✖天元突破グレンラガン)   作:アニッキーブラッザー

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第40話 女の涙は全てが男の所為

「うっ・・・・あれ?・・・僕は・・・・」

 

殴られたネギはすぐに体を起こし、辺りをキョロキョロ見渡した。

そして急に襲い掛かる頬の痛みを手で抑えながら首をかしげた。

 

 

「目え覚めた?ネギ!」

「ヨヨ、ヨーコさん!?どうしてここに!?ええ~と・・あの~僕は・・・」

 

 

目を覚ましたネギの前に暖かい笑みで見下ろすヨーコ。

イキナリ現れたヨーコにネギは頬の痛みが吹っ飛び慌ててしまった。

 

「やった、ネギ君元に戻ったえ~」

「まったくアンタはホントにバカなんだから!」

「ネギせんせ~」

 

 

正気に戻ったネギを見て、皆安堵の表情を浮かべてネギに駆け寄る

 

「え、・・・一体何が・・・」

 

いきなりアスナに首を絞められて文句を言われたり、のどかが泣きながら駆け寄ったりでネギも何があったのか事態を把握できていなかった。

そんな中、龍宮はこの光景に純粋に驚いていた。

 

「バカな・・・一度発動した世界樹の魔力を殴っただけで吹き飛ばしたとでも言うのか・・・・・・」

 

世界樹の魔力の強大さは龍宮も認識していた。

しかしヨーコは魔力に飲まれたネギの意識を一発で取り戻した。

この結果にただ唖然とするしかなかった。

 

(そういえば京都でもシモンさんは、今のヨーコさんと同じような光が体を包み込み戦っていたな・・・・魔力でも気でもない・・・あれは一体・・・)

 

シモンもヨーコも魔法使いでも裏の世界の人間でもないことは龍宮も認識していた。

しかし一般人ではない。裏の世界の第一線で戦う龍宮も知らない未知の力を持っている。シモンだけでなく目の前にいる女もそうだった。

 

龍宮が一人で考えていると刹那が今のヨーコの体から溢れた力は何だ?と質問していた。龍宮も耳を傾けるがヨーコの答えは予想通り「気合よ!」この一言で片付けられていた。

 

しかしシモンとの付き合いがそれなりに長い刹那たちもそのヨーコの一言を聞いただけで少しため息を吐いて納得し、それ以上は聞こうとはしなかった。

その様子に刹那とは付き合いの長い龍宮は少し呆れたような表情を浮かべる。

 

(やれやれ、少し前までシモンさんを得体の知れない人として警戒していたアイツが随分と甘くなったものだな、目の前にシモンさんにも負けないほど得体の知れない力を使った女が、大事な大事なお嬢様のそばにいるというのに・・・)

 

つい最近まで堅物だった友が目に見えるように柔軟になっている。このことに少し微笑ましく思う龍宮だった。

シモンとヨーコ。戦う力だけでなく、その人間性も実に不思議な二人。

その二人の出す空気は周りの者たちまで変えてしまう。それが二人の力なのではないかと感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

「えええ~!?僕がそんなことを~!?」

 

「そうよ、さっきのアンタはマジぶっ飛んでてヤバかったのよ!ヨーコさんが来なかったらどうなってたか!」

 

「ご・・ごめんなさい~、私が変なことを言わなければ・・・」

 

「いえ・・のどかさんに何の責任もありません・・・・僕が・・・僕がもっと任務に対して意識していれば・・・・それに刹那さんやアスナさん・・・ヨーコさんも傷つけてしまい・・・・ううう・・教師失格です・・・うっっ」

 

「そんなネギせんせ~、私の責任です・・・・」

 

 

先程までの事情の説明を受けたネギは、自分の痴態を聞いて涙を浮かべて謝罪する。

のどかも事態の原因は自分にあるとしてお互いに自分の責任であると涙ながら主張している。

 

 

「まあ、私たちに怪我はありませんし、ネギ先生ものどかさんも泣かないでください・・・・・」

 

「さすがに誰かキス魔モードのネギに悶死させられたならまだしも、被害は最小限だしね~」

 

 

お互いに頭を深々と下げあう二人に刹那やアスナは苦笑しながら告げるが、それでもお互いは納得しない。

 

 

「でも・・・・やっぱり僕が・・・・シモンさんに言われたのに・・・のどかさんの想いを知っていながらフラフラしていて・・・・・」

 

「そんなネギ君はまだ10歳なんやから、そんな深く考えることはないえ」

 

「そうです・・・・私のほうがお姉さんなのに、ネギ先生を困らせるようなことをして・・・」

 

「いえ・・・やっぱり僕が・・・」

 

 

埒が明かなかった。しかしそんな中、ようやくヨーコが口を挟む。

 

 

「そうね・・・・今回はネギが悪いわね・・・・」

 

「ヨーコさん!?」

 

「ヨーコさん、あまり子供のネギ先生を・・・・・」

 

「そうよ、それに今回はこいつも反省してるし・・・」

 

 

ヨーコの発言にネギはビクッとする。

そしてアスナたちはその言葉を聞いてネギを擁護しようとする。しかしヨーコは続ける。

 

 

「子供とか先生としてではないわ。男としての責任ね」

 

「男・・・ですか?」

 

「そう!だって・・・・のどかだっけ?この子泣いてるじゃない!男と女の問題で、女が涙を流したら全部男の所為なのよ!」

 

「「「えっ!?」」」

 

「ヨーコさん・・・それメチャクチャやと思うえ・・・」

 

「いいえ!男が全部悪いのよ!」

 

 

ヨーコがウインクをしながら答えるが、シモン並の滅茶苦茶理論にアスナたちは唖然としていた。しかしネギには響いた。

 

「そうなんです・・・・僕が全部・・・・・」

 

ヨーコに言われたのなら、認めざるを得ない。ネギにとってはそれほど重かったのである。

涙目になりながら更に落ち込むネギ。その姿を見てヨーコは今度は軽くネギの頭を叩いた。

 

 

「う~、ひっく・・ごめんなさい~」

 

「ああもう、可愛いわねアンタは!ちょっとそれは反則よ!もう泣かない泣かない!別に怒ってないから!」

 

 

嗚咽交じりで泣くネギに母性本能をくすぐられて思わず抱きしめてしまうヨーコだった。

ヨーコに抱きしめられ、胸の谷間に顔を埋められるネギは顔を真っ赤にする。その様子にのどかとアスナは少し「むむっ」とした顔をしていた。

 

 

「まあ、まあヨーコさん、こいつも分かっていると思うわ、今回は偶然こうなっちゃったけど、こいつなりに本屋ちゃんへのことも考えてるのよ」

 

「そうね~これ以上は確かに野暮かもね、・・・・・それじゃあ、後のことは勇者のどかの活躍に期待するわ!」

 

 

アスナの言葉を聞いてヨーコは振り返り、のどかの頭に手を置いた。

 

 

「えっ~~、ゆゆ、勇者~・・」

 

「そうよ、あなたの想い、何度でもぶつけてやんなさい!私は・・・そしてシモンも、度胸のある子は大好きよ!がんばれ女の子!」

 

「!?」

 

 

暖かい笑みを送るヨーコ。その笑みはさっきまでの力強い笑みとは違い、優しさを感じさせた。

ヨーコの言葉と笑顔。それだけでのどかは再び涙が溢れそうになった。

 

 

(私は・・・ずっとヨーコさんに嫉妬して・・・今回だってそれが原因なのに・・・・スタイル?強さ?違う・・・ヨーコさんは・・・・なんて素敵な人なんだろう・・・)

 

 

自分のヨーコに抱いていた嫉妬。しかしヨーコはそれを知らずにのどかのために戦った。

そして今こうして自分に暖かいエールを送ってくれる。ヨーコの人としての大きさと強さ、そして暖かさ。

今の自分は何一つ敵わない。張り合おうとしたことに恥ずかしいと思った。

 

そしてアスナも似たような感覚だった。

 

(あの時と同じだ・・・・私は偉そうに言ってまた今回何も出来なかった・・・)

 

ヘルマンが襲撃した時、アスナは真っ先に捕らわれて、ネギのピンチに何も出来なかった。

そして次の日に落ち込むネギに声を掛けることも出来なかった。そしてそんなネギの心を、そして今回もネギの目を覚まさせたのも全てヨーコである。

 

(何が違うの?私も修行してそれなりに強くなってると思う・・・、刹那さん達も言っていた、私はシモンさんに影響されているって・・・でもシモンさんやヨーコさんみたいになれない・・・、何も出来ない・・・、私とヨーコさん・・・一体何が違うんだろう・・・・)

 

ネギのパートナーとして自分は今まで何が出来ていたのか、ヨーコを見ているとアスナも少し自信を失っていた。

どうすれば自分もヨーコのようになれるのか、アスナはその答えが分からず悩んでいた。

 

刹那も木乃香もヨーコに対して少し複雑な感情を持っていた。

彼女達にとってヨーコは尊敬に値する人物になっている。同じ女性として憧れる魅力も兼ね備えている。

そしてシモンのかつての想い人でもある。もしニアがシモンにとってこの世で最も愛する女性なら、ヨーコはこの世で最も信頼する女性なのかもしれない。彼女達はそう想っていた。

もしシモンへ想いを届かせるとしたら、ニアの前にヨーコという壁を越えなければいけないと思っている。もしそうだとしたら自分は越えられるのか?そんな不安が過ぎった。

 

ヨーコの笑顔とは裏腹に少し場の雰囲気が暗くなってしまった。ヨーコはその様子に首を傾げていたが、そんな中、龍宮が口を開いた。

 

 

「あなたの気合とやらは見せてもらったよ・・・・」

 

「・・・・感想は?」

 

「・・・超の信念も強固だよ・・・・あなた達の気合は届くのかな?」

 

「・・・・なるほど、アンタは超って子の意見に賛同なのね、それともお金かしら?」

 

 

龍宮とヨーコの会話に出てきた「超」という名前を聞いて、ようやくネギたちもハッとした。

 

 

「超さん!?龍宮さんはシモンさん達と超さんのこと何か知っているんですか!?」

 

「そうよ!?それに聞いたけど今日ヨーコさん達、ネギを拒絶したってホント!?」

 

 

二人の会話に一気に身を乗り出して全員が聞き出す。

 

 

「拒絶?違うわよ、ただ超って子との問題は私とシモンの問題なの。でも今のあなた達にそれを話してしまったら、あなた達は仲のいいシモンの味方になるでしょ?シモンのそれらしいカッコイイ言葉でも聞かされて。でもそれじゃあ今回はダメなのよ」

 

「どういうことです?」

 

「その答えはネギの持っているタイムマシン、それを見てよく考えることね。今これ以上は言えないわ。シモンと超の間で交わした約束でもあるからね」

 

 

ヨーコもやはり問題の核心をネギたちに話そうとはしなかった。しかしそれでは彼らは納得できない。

 

「では何故助けてくれたのですか?今の私達には何も言えないのではなかったのですか?」

 

刹那が先ほどのヨーコたちの態度について言及する。しかしヨーコの答えは意外なものだった。

 

「言ったでしょ、今ここに来たのは一人の女の子の勇気を無駄にしたくなかったのよ」

 

龍宮を見てヨーコは言う。それに対して龍宮は両肩を上げて、やれやれと言った様な表情をする。

 

 

「それじゃあ私はもう行くわ、そろそろシモンと合流したいからね、それじゃあ真名ちゃんも、女の子なら恋する気持ちを理解しなさい♪」

 

「誰が『ちゃん』ですか・・・・私を子ども扱い・・・・いや子供かな・・・・あなたとは随分歳が離れているから」

 

「あら、言うじゃない、まあとにかくやり過ぎないように!また会いましょう!」

 

「ええ、また」

 

 

ヨーコは龍宮に告げ、チャチャゼロとライフルを担ぎ、その場に背を向けた。

 

 

「ヨーコさん待ってください!一体何があったんですか!?何故・・・・僕達は何か気に触るようなことをしたんですか?僕達は・・・・何かしましたか?」

 

 

今までと明らかに違うヨーコの自分達への態度、ネギだけではなく、交流のある皆が気になっていた。

しかしヨーコは答えることは出来ない。何故なら自分達と超の問題はネギたちの一生を左右させてしまうかもしれないことだったからだ。

だからネギたちには自分達の考えで行動して欲しかった。

その結果ひょっとしたらネギたちとも戦うことになるかもしれないからである。

タイムマシンを躊躇い無く使う彼らにとって超の過去の改ざんと言う行為はそれほど重くないのかもしれない。

そんな彼らに課せられる問題は魔法を公開するかしないかの問題である。

問題の焦点がすでにグレン団とは違う。だからヨーコも超がネギたちに説明するまで何も言う気はなかった。

 

しかしその結果ネギたちが自分達の態度に嫌われていると勘違いしているのも事実である。だからこの場は、

 

 

「シモンが言ったでしょ、明日になる前に会いに来なさいって、あなた達がタイムマシンを使って今日を何度繰り返すか分からないけど・・・・待ってるわ・・・」

 

 

そしてヨーコはもう一度満面の笑みを浮かべた。

 

 

「大丈夫!私もシモンもあなた達のこと大好きよ!だからこそ、私たちの都合を押し付けたくないの。でも心配要らない、シモンはあなた達を信じたん

でしょ?なら私も信じるわ、問題が解決したらまた皆で一緒に笑えるわ!たくさん悩んで自分たちの道を見つけなさい!」

 

 

ヨーコはサムズアップのポーズをして、その言葉を残し、この場から立ち去った。

 

 

「やっぱり・・・・・何か隠してるわね・・・」

 

 

ヨーコの後姿を見てアスナが呟く。

 

 

「せやな・・・・シモンさんもそうなんかな~」

 

「そうですね・・・・ここに来たのも我々のためではなく本当にのどかさんの為のようですしね・・・・そもそも何故ヨーコさんと龍宮が一緒なんだ?」

 

 

刹那は龍宮を見た。

 

 

「告白防止のために告白寸前の生徒を撃って止めていた所を彼女に見つかってね、やり方が気に食わないと説教されてたんだよ」

 

「ヨーコさんが龍宮さんに説教?意外な組み合わせね・・・・・・」

 

「しかしヨーコさんはシモンさんと行動していたはず・・・・・なぜお一人だったんだ?」

 

「シモンさんはエヴァンジェリンとデートだそうだ、そのためチャチャゼロを連れてブラブラしていたそうだ」

 

「あっ!?そういえばそやった・・・・・龍宮さん何してるん!さっさと行かな、エヴァンジェリンさんが魔法の力で告白してまう!」

 

 

変なところに食い付いた木乃香が急に慌て出して龍宮告げる。しかし龍宮は首を横に振った。

 

 

「私も最初そう思っていたけど、ヨーコさんはその心配は無いと言っていたよ」

 

「そんなんわからんよ!ロマンチックな雰囲気になってエヴァンジェリンさんズルするかもしれへん!見張って鉄砲でパンパン撃って阻止せなアカン!エヴァンジェリンさん不死身みたいやし、遠慮はいらん!!」

 

 

木乃香の発砲許可の発言に一同顔が引きつってしまった。

 

 

「木乃香・・・・エ・・エヴァちゃんはクラスメートなんだし・・・そこまでやらなくても・・」

 

「こ・・・このちゃん・・・」

 

「木乃香さん・・・・怖いです・・・・」

 

「お前はそんな性格だったかい?・・・・・まあ私もエヴァンジェリンならやりかねないと言ったが、ヨーコさんは否定したよ」

 

 

エヴァンジェリンとヨーコは別にそこまで仲良く無かったはず。なのに何故そこまで信用できるのか皆疑問に思った。すると龍宮は、

 

 

「ヨーコさんはエヴァンジェリンを信頼して言っているわけではない」

 

「どうゆうこと?」

 

「ヨーコさんはこう言っていた、・・・告白成功率120%?シモンがその程度の確率で魔法の力に飲み込まれたら、シモンの想いもその程度!エヴァが魔法の力に頼ったらエヴァも所詮その程度!でも少なくともシモンはその程度じゃないから何も問題はないわ! だって、あいつのニアへの想いは無限大だから!・・・・だそうだ、滅茶苦茶だろ」

 

 

龍宮はヨーコの言葉を苦笑しながら伝えた。そして木乃香を見て、

 

 

「随分と壁は強大なようだな、勝てるのか?」

 

「・・・ウチだって本気や・・・・でも今のままじゃニアさんどころかヨーコさんの相手にもならんな~」

 

 

改めてヨーコの凄さとシモンとの絆の深さを知った。それは木乃香だけではなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ネギとのどかは告白エリア外へ移動して、デートを再開した。

夜のネオンと噴水が作り出す幻想的な風景が広がっている。

こんなところに二人でいればロマンチックな光景に盛り上がること間違いなしだった。

しかしネギとのどかの口数は少なかった。二人共まだ先ほどの自分の失態に未だに悔やんでいて元気が無かった。

 

そんな中で先に口を開いたのはのどかの方だった。

 

 

「き・・・・キレイですね・・・・」

 

「あっ・・・はい・・そうですね・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

終了してしまった。本当はお互いもっと言いたいことがあるのだが、どうしても言えなかった。しかし

 

(ダメ・・・・ヨーコさんも言っていた・・・・私の勇気を誇りにも持てって・・・・・・よ~し)

 

のどかは決意した。

 

 

「ネギ先生は・・・ヨーコさんのことが好きなんですか?」

 

「ッ!?・・・・・僕は・・・・・」

 

 

昼間と同じ質問をもう一度する。しかし今ののどかは昼間のように嫉妬で埋め尽くされていた黒い感情は無い。

ネギは頭の中で自分の心を整理する。ヨーコへの自分の想いは、のどかの自分に対する想いと同じなのかどうかを、そして・・

 

 

「僕はのどかさんのことが好きです・・・でもそれはアスナさんたちに対するのと同じです。・・・・・・・以前ヨーコさんに暖かい笑みを貰った時、頭をなでられた時・・・僕はすごく心がポカポカとしたんです・・・・・」

 

「ポカポカですか?」

 

 

ネギは頭の中を最大限に回して今の自分の答えを探す。

 

 

「さっきヨーコさんを攻撃したと聞いて・・・・・凄く自分が腹立たしかった・・・不甲斐ない自分が恥ずかしかったです・・・・・だけどヨーコさんはいつも通りの笑顔で・・・・」

 

「・・・・・・・」

 

 

途切れ途切れだがのどかは一つ一つの言葉に頷きながら聞く。

 

 

「優しく、強く、でもそれだけではなくて時には厳しさも持っています、そんなヨーコさんに・・・・どこまでも信頼されているシモンさんが羨ましかったです・・・・・・もし僕の想いが・・・・のどかさんや木乃香さんが持っている、誰かを好きになるという感情と同じだとしたら僕は・・・・・・僕は・・・・・ヨーコさんのことが好きなんだと思います」

 

 

ようやく少年は自分の心の中の想いを自覚して答えた、決して誤魔化すことなくのどかに告げる。

 

 

「ごめんなさい・・・・こんないい加減で・・・・のどかさんも、木乃香さんも、アスナさんも、自分の心と向き合っているのに僕は・・・・僕だけは・・・こんなに情けなくて・・・・」

 

「ネギ先生!!」

 

 

のどかの声に俯いていたネギは顔を上げる、

 

 

「一緒にいて胸がドキドキなったり、それだけで幸せに感じることが出来る、それが私の好きの形です。私はネギ先生とこうして一緒にいて話をするだけで幸せです」

 

「のどかさん・・・・」

 

「シモンさんもヨーコさんも私の勇気を褒めてくれました、でもそれは私の勇気ではないんです」

 

「えっ・・・・でも・・・それでは・・・」

 

 

自分の勇気を突如否定するのどか、すると彼女はニッコリと笑ってネギを見た。

 

 

「トロくてドジで引っ込み思案な私ですけど、そんな私が勇気を持てるのはネギ先生のおかげなんです」

 

「えっ?ぼ・・・僕の?・・・僕は何も?」

 

「夢に向かって、辛い過去にも負けないでがんばって、ずっとずっとがんばってるネギ先生に私はいつも勇気をもらっています」

 

「僕が・・・がんばっている・・・」

 

「はい!ネギ先生はシモンさんやお父さんに憧れているみたいですけど私は・・・・他の誰でもない今のネギ先生が大好きなんです!」

 

「!?」

 

 

のどかの言葉にネギは涙が出そうになった。ネギはそれを堪えるので精一杯だった。

自分を認めてくれる人がいる。それが今のネギには何よりの救いだった。

シモンとヨーコが認めたほどの女。そんな彼女が今ネギ自身のことを認めてくれている。その時ネギはのどかに、ヨーコとは少し違う暖かさを感じた。

ネギは顔を上げた。顔を下げると目尻に溜まった涙が落ちそうになるからだ。するとそこにはのどかの顔が近づいていた。

 

そして軽い音を立てて二人の唇が重なった。

 

「あ・・・・えっ・・・」

 

呆然とするネギ。のどかの顔も真っ赤だった。するとのどかは背を向けた。

 

 

「ネギ先生、今日はありがとうございます、とっても楽しかったです!」

 

「えっ・・・あの・・・」

 

 

満面の笑みでそこから駆け出した。そして一度立ち止まってもう一度ネギを振り返り、

 

 

「私・・・・ヨーコさんに負けませんから!!」

 

 

後に残され、ただその背を見続けるネギだった。

シモンもヨーコものどかを認めていた。その理由がネギにも理解できた。

のどかは自分なんかよりずっと強い心を持っていると。

 


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