魔法はお前の魂だ(魔法先生ネギま✖天元突破グレンラガン)   作:アニッキーブラッザー

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第7話 もっろちょ~らい

ネギが穴掘りに夢中になっていた頃、麻帆良学園の教会へ一人のシスターが機嫌よく買い物袋をぶら下げて歩いていた。

 

「ふう、随分買い込んでしまいましたね。ふふ、でもシモンさんにおいしい物を食べてもらわなくては」

 

今日は自分の手料理をシモンに披露しよう。

シャークティは仕事の帰りに、スーパーに寄って買い物をしてきたみたいだ。

教会へ向かう足取りは軽かった。

自分が「ただいま」と言えば「おかえり」と自分の帰りを待っていてくれる人がいる。それがシャークティにはうれしかった。

 

(今日は美空は部活ですし、そのまま寮に帰るでしょうし・・・あ、ココネがいました・・・)

 

つい二人きりだと思いこんでいたシャークティは自分の教え子のことをすっかり忘れていた。

しかし自分とシモンとココネの三人でご飯を食べる、その様子を想像してみると、

 

(まるで家族みたいですね・・・・・はっ!?)

 

いきなり自分とシモンを夫婦の設定にしてしまったシャークティ。

あわてて顔を真っ赤にしながら頭を横にぶんぶん振る。

その様子はおそらく彼女の教え子の二人も今まで見たことなかったであろう。

 

「はあ、俺を誰だと思っている、ですか・・・」

 

シモンに言った言葉を思い出した。

シモンと出会ってまだ数日しか経っていない。

シモンは相変わらず、一般常識が少し欠け、少しぶっとんだことを口にするが、その言葉は心に残り、なぜか信頼できる。

おそらくシモンは自分より少し年下だろう。

しかしシモンの本来口にするのも恥ずかしいような熱い言葉やその笑顔、シャークティはシモンの過去を未だに分かっていないし、未だにシモンが頭のイカレタ人という医者の言葉を鵜呑みにしていたが、もう心の中ではシモンを信用している自分がいた。

 

自分の抱いている感情がそれだけなのか、今はまだ分からないが、少なくともシモンは信用できる人物だとシャークティは思っていた。

 

シャークティがシモンについて考えているうちに、教会のドアの前まで着いた。

シャークティは「コホン」と一度咳を着いて落ち着かせ、扉に手をかけようとした瞬間、自分の教え子が後ろから話しかけてきた。

 

 

「おーいシスターシャークティ、今帰り?」

 

 

振り向くとそこには美空がいた。

 

「美空、今日は部活だったのでは?」

 

今日はてっきり来ないと思っていたシャークティは美空に尋ねると、

 

「いやー新学期になったばかりだから今日は早く終わってさ~、寮に帰ってもよかったけど、シモンさんのこともあるしね~」

 

美空は美空でシモンのことを気にかけていた。

美空もシモンが最初会った頃とは違って信用できる人物だと思ってはいるが、医者に言われたとおりシモンの心の状態がまだ不安定だと思い、なるべく教会に顔を出そうと思っていた。

 

美空は急にシャークティが手にぶら下げている買い物袋に目が行った。

すると美空は少し考えたあと、ニヤニヤした顔をシャークティに向けた。

 

「へえ~~シスターシャークティ気合入ってるね~~、いきなり手料理か♪」

「なっ!?」

 

美空の意地悪そうな言い方にシャークティは懸命に否定した。

 

「ななななな、か、勘違いしないで下さい!私はシスターです、その様な感情は・・・私は純粋にシモンさんのためを思って!」

「ししし、はいはい♪シスターにそういう感情はダメなんですね~~」

「と、当然です、私を誰だと思っているのですか・・・あっ・・・」

 

伝染してしまった。

その言葉を聞いて美空は爆笑してしまった。

 

 

 

 

 

 

「シモンさん今帰りました」

「シモンさーん、大人しくしてた~~?」

 

教会に入り、シモンに帰ってきたことを知らせた二人。

しかし中からは誰の声もしなかった。

しばらくしても声どころか誰の気配も感じなかった二人は、シモンの部屋に向かってみた。

するとそこには誰もいなかった。

 

「シ・・・シモンさん?」

「あれっ?」

 

二人はシモンの不在が分からず、シモンの部屋の前に立ちつくしてしまった。

すると

 

 

「ただいま!」

 

礼拝堂から突如声がした。

二人が慌てて駆け寄るとそこには、泥だらけになっているシモンがいた。

 

 

「いやー少し道迷っちゃってさ~、でもちゃんと帰ってこれてよかった」

 

シモンの全く悪びれた様子もない言葉。

シャークティはシモンの泥だらけの姿をもう一度見て・・・・

 

「シモンさ~ん、私は外出は控えてくださいと言いましたよね・・・・」

 

プルプルと震えながら精一杯の穏やかな声で聞いてみた。

するとシモンは「ああっ」と頷き、

 

「学校がダメって言われたから、近くの森まで行ってみた、いや~結構楽しかったよ!」

 

―----ブチッ

 

「うわっ!?やばっ!?」

 

何かが切れた音がした瞬間、美空は顔をゾッとさせた。

何故ならその音を発したのは、聖職者とは思えぬほど、地獄の鬼のような形相をした人物が立っていたからだ。

 

「あなたは・・・・・何やってるんですかーーーー!!ちょっとそこに正座なさい!!!!」

 

シモンの発言に再びシャークティはブチキレ、説教を始めた。

 

 

 

 

 

30分経過した。シャークティは未だに怒っていた。

 

「あなたは、人の話を聞いてるのですか!!どれだけ私達を心配させれば気が済むんですか」

「ぶ・・・ぶひ~」

「な・ん・で・す・か(怒)?」

 

正座しているシモンの隣でブータが何かを言おうとしていたが、シャークティの睨みに身体を振るわせた。

 

「ふう」

 

しかしようやく落ち着いたのかシャークティも徐々に声が穏やかになって言った。

 

「本当に心配したんですよシモンさん・・・」

「あっそれは私もだよ・・・部屋に行ったらシモンさんいないから、一瞬ホントにびっくりしたからね」

 

少し悲しそうに言うシャークティと美空。

その二人の姿を見てシモンは短く「ゴメン」と言った。その言葉を聞いてシャークティは

 

「ふう、もういいです。では説教はこれまでにして、食事にしましょう」

 

そう言ってこの場を切り上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シスターシャークティ料理できたんすね~」

「オイシイ」

 

あの後ココネもやって来て4人と一匹で今夜ご飯を食べている。

始めての師匠の手料理に感心する教え子達。しかしシモンにはちょっと違っていた。

なぜならシモンの味覚は人とかなり違っていた。

シモンはかなりの味音痴であった。それはこの世界に来る前から回りの人間に言われていたことだった。

しかしせっかくの好意を無下にする訳にはいかず、少し引きつった笑みで。

 

「アア、オイシイヨ・・・」

 

と答えた。シャークティもシモンの言葉を信じ少しほっとしていた。

 

(う~んご飯か・・・これから少し悩むな・・・・)

 

今後のことを考えるとシモンは少し憂鬱になった。

するとシモンは急にある一人の女のことを思い返していた。

前の世界では食事に困らなかった。

それは全て一人の女のおかげだった。

彼女の手料理は本来なら超怒級の破壊力を持つ料理だったが、味音痴だったシモンにはこれ以上ないほどの最高の料理だった。

 

(ニアの手料理か・・・・)

 

しかし自分がそれを食べることはもう二度とない。

なぜなら彼女は自分の目の前から永遠に消え去ってしまったのだから。

割り切ったと思っていたが急に寂しくなったシモン、そんな様子を感じ取った美空は元気よく、

 

「ほらほらシモンさん!まあ一杯飲みなよ!」

 

一体何処から取り出したのか、美空はビールを取り出した。

その行動にシャークティも慌てて、

 

「み、美空!一体何処からそんなものを!!」

 

自分は全く買った記憶の無い物を取り出した美空を叱るが、美空は

 

「いやいや、さすがに私は飲まないよっ。これはシモンさんに・・・・・そういえばシモンさん年幾つ?」

「えっ・・・22歳」

「えっウソッ!?」

 

実はまだシモンの年齢すら聞いていなかったことを思い出し聞いてみた。

するとシモンが思っていたより年上だったことに驚いた。

てっきりもっと若いと思っていたからだ。

これにはシャークティも少し驚いたみたいだった。

 

「まっ、でもそれなら問題ないよね~ほらじゃあ一杯どうぞ」

 

そう言って美空はシモンのコップにビールを注いだ。

シモンも少しどうしようか戸惑ったが、せっかくなので飲むことにした。

 

 

・・・・30分後

 

 

「うい~~もっろちょうだ~い」

 

結局あれからずっと飲み続け、シモンは一人酔っ払ってしまった。

 

「み、美空・・・・」

「あ・・・あはは」

「酒クサイ」

 

豹変したシモンに呆れてしまった3人。すると美空は

 

「まっ、でもこれはチャンスじゃない?」

 

いきなりの美空の言葉にシャークティとココネ首をかしげた。

 

「お酒の入った人間は本音しかしゃべることが出来ないはず、多分・・・これでシモンさんの本音を引き出そう!!」

「い、いえ、この状態では・・・・」

 

美空の提案だったがシャークティは無理だろうと判断した。

しかし突然彼女達のやり取りの最中。

 

 

「う・・・・・う~・・・・ニア・・・・」

 

 

シモンがいきなり俯き、テーブルに顔を埋めて何かを呟いた。

 

「う~~~ニ~~ア~~」

 

かなり酔っ払っているが「ニア」この言葉は聞き取ることが出来た。

きっとシモンの過去に何か関係がある、そう思いシャークティたちは黙って続きを待った。

 

 

「き~~てくれ~みんな~~ニアはニアは・・・俺にとって最高の女だったんだ~~~」

 

「「えっ!?」」

 

 

「ニア」シモンの昔の女だったのだろう。

シモンに昔恋人がいたのか?そのことに美空とシャークティは驚いてしまった。

 

(・・・そうかシモンさんには・・・恋人が・・・)

 

シャークティはシモンに恋人がいたことが少し寂しかったのか、少しつまらなそうに聞いた。

 

「どういう女性だったんですか?」

 

何とかそれだけを発することが出来た。

美空もすごく気になるようで黙って聞いていた。

シモンはぐでんぐでんになりながら話していく。

 

 

「俺は昔は~~何をやってもダメだったんだ~~!!いっつもアニキの背中に隠れた・・・」

 

「アニキ」またシモンに関わりのある人物なのだろう。

ここは美空の提案に乗りシャークティもシモンから過去を聞きだすことにした。

 

「アニキは・・・つよっくて、かっこよくて・・・う~ヒック・・とってもでっかい男だった・・何があっても諦めない・・アニキがいたから俺も・・・なんだって出来た・・・・俺も・・仲間も・・皆アニキが大好きだった・・・・・」

 

 

シモンのたどたどしい言葉だったがシャークティ達は一つ一つを正確に聞き取っていた。

 

 

「だから・・・・う~~アニキが死んだ時・・」

 

「「「えっ!?」」」

 

「皆がたくさん泣いたんだ~~」

 

 

シモンが言う「アニキ」という人。それほどシモンにとっては大切な人だったのだろう。

酔っていても、その人物を誇らしげに語るのがその証拠。

だから、その人物がもう死んでいるというのは、完全に予想外だった。

 

「アニキがいなければ・・・・俺は何もできない・・・俺はアニキにはなれない・・・そうやってどん底にいた俺を救ってくれたのが・・・ニア・・」

 

ようやく出てきた「二ア」三人は身を乗り出すように聞いていた。

 

「ニアはアニキが死んだ後に出会った・・・・ニアは俺にこう言ったんだ・・・・・」

 

それは、酔っているのに、一言一句間違えず、シモンは記憶に、心に残ったニアの言葉を伝えた。

 

 

――アニキさんの事は知りません、でもシモンのことは分かります、シモンは何も出来ない人じゃない、シモンは一人でも大丈夫です

 

――いない人を知ることは出来ません、でもシモンもいない人に頼ることは出来ないでしょう?

 

――シモンはアニキじゃない、シモンはシモンでいいと思います

 

 

かつてシモンがどれだけその言葉に救われたのか、シャークティ達には想像もつかなかった。

しかし、いつのまにかシャークティも美空も目に涙を浮かべていた。

だって、それだけ誇らしげに語っていたアニキ。

そして、

 

 

「そして・・・一年前・・・ニアは死んだ・・・最後に・・愛していると俺に告げ・・・・俺の腕の中で・・・・」

 

「し・・・死んだ・・・?」

 

「な・・・亡くなったんですか・・・その方・・・?」

 

 

シモンをかつて救った「ニア」という女。

その女が既に死んでいるということに、シャークティ達は今日一番の衝撃を受けた。

今この場にいるものは皆涙を流した。

 

 

 

 

 

 

 

「ふう、なんとか運べましたね・・・」

「うん・・・」

 

結局あの後シモンは酔いつぶれて寝てしまい、シャークティと美空はシモンを部屋まで運んで行った。

ココネ夜遅かったため今は寝ている。

だから今起きているのは、シャークティと美空、そしてブータである。

三人の間に沈黙が流れる、

 

それをシャークティが静かに打ち破った。

 

「美空・・・先ほどの話し、どう思いますか?」

 

シャークティはブータを肩に乗せ頭をなでながら聞いた。

 

「医者はシモンさんの心が不安定で、映画や小説などの物語と記憶が混乱していると言いました。・・・・・でも先ほどの話・・・私は事実だったと思います」

 

シャークティの言葉に美空も頷いた。

 

「私もそう思うよ。さすがに月が落ちてきたとか、大きなメカと戦ったのはウソだろうけど、大切な人が死んで、落ち込んでた自分を支えてくれた女がいたのはホントだと思う」

 

さすがにシモンの前いた世界の話は未だに信じていないが、「アニキ」と「二ア」シモンに影響を与えたこの二人はホントにいたんだろう。

そう二人は思った。

 

「ぶひーぶひー」

 

シャークティの肩に乗っているブータも鳴いた

 

「あはは、ブータもホントだって言ってるよ」

 

美空はブータの頭を撫で、そして、

 

「ふう・・・、今日はもう帰るよ、遅いし」

「はい美空気をつけて下さい、最近夜は物騒ですから」

 

シャークティの言葉に美空は「はははっ」と笑った。

 

「シスターシャークティ、私の逃げ足は知ってるでしょ、私を誰だと思ってんの?」

「ふふふ、そうですね分かりました。ではまた明日」

 

美空にもシモンの言葉が伝染し、そのことが可笑しくてお互い笑った。

そして美空は寮に向かって帰っていった

    

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