魔法はお前の魂だ(魔法先生ネギま✖天元突破グレンラガン)   作:アニッキーブラッザー

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第72話 姉妹合体

「うおおおおおおおお、スカルブレイクゥゥ!!」

 

ドリルが田中さんに突き刺さり、激しい回転と共に内部が破壊され空高く舞い上がる。

シモンに続けとばかりグレン団たちはロボット軍団に一歩も引かない。

 

「私が関節を砕いて動きを止めるわ! みんな、その隙に!!」

「まかせてよ! 私の速さを魅せてやる!!」

「油断しないように!」

「美空、スグニ調子にノル」

 

ヨーコがライフルで田中さん一体一体の足関節を砕いていく。

その隙に美空が場を高速で駆け巡りロボットたちを行動不能にしていく。

シャークティ、そしてココネも十字架を使った魔法で動きの衰えていくロボットたちにトドメを刺していく。

たった五人と一匹のチームだが、100を超える戦力に充分渡り合っていた。

だが火力の差は当然あった。田中さんの放つロケットパンチ、そして口から放たれるビームは脅威だった。

 

「くっ、数が多すぎます」

「くっそ~、もちっと私の攻撃力があれば・・・・」

 

ペース配分無く全力を尽くしていくシャークティたち。一体一体の力はそれほど大したことは無かったが、このままでは体力が先に尽きてしまうと感じ、歯軋りするシャークティ。

さらに自身の攻撃力の無さ故に一撃で仕留められない自分に歯がゆい思いをする美空。

敵はまだまだ存在している。

そしてとうとう田中さんのロケットパンチがココネの足を掠らせた。

 

「アッ・・・」

「ココネ!?」

「ッ・・・大丈夫・・・」

 

幸い掠らせただけで怪我は無かった。

しかしその代わりココネは既に息が上がっていた。

しかしそれは仕方の無いことだった。

さすがに自分たちでも微妙なペースで飛ばしていて、まだ子供のココネの体力が先に尽きてもしょうがなかった。

それでも心配させないようにとココネはすぐに立ち上がるが、このままでは先にやられてしまう。

 

「仕方ありません・・・・美空! ココネを担いだまま戦えますか?」

「問題ないっす! いっつも肩車してるからお安い御用! ココネ、早く来な!!」

「ワカッタ!」

 

ココネは頷いてロケットパンチが飛び交う戦場を駆け巡り、美空までたどり着き、いつものように美空の肩によじ登ろうとした・・・・・しかし・・・・

 

 

「ココネのおバカーーーー!!」

 

「!?」

 

「おいおい、美空!?」

 

「美空、こんな時に何をしているのですか!?」

 

 

なんとよじ登ってきたココネを美空は叩き落とした。

わけも分からず目をパチクリさせるココネ。

そして思いもよらぬ展開に呆気にとられるシャークティたち。

すると美空は戦場の中心で大声で叫んだ。

 

 

「ココネー! 私たちはグレン団だぞー! こんな大ピンチで、いつも通りやってどうすんのさー!」

 

「・・・・・・・・・・・・・(キラーン)!!」

 

 

意味が分からず呆けるシャークティ、しかしその時ココネの目はキラリと光った。

ココネは美空の言いたいことを理解できたのだ。

するとココネは一度美空から距離をとり、再び走り出した。

そして体操選手顔負けのアクロバットを披露した。

ロンダートからバク転で勢いをつけ、抱え込みの月面宙返りをした。

高らかに舞うココネ、その姿に開いた口がふさがらないシモンたち。すると美空は指を鳴らし叫んだ。

 

 

「それだァァーーーーッ!! 女の合体、それは気合! そして宙を舞う美しさだッ!!」

 

「「「なにィィーーーーー!?」」」

 

 

さすがのシモンたちも驚愕した。

シャークティとヨーコは目が点に、しかしシモンは目頭が熱くなった。

美空の肩に寸分狂わず降りるココネ。

それはただの肩車だが、ただの肩車ではない。

目の錯覚かもしれないが魔力の光が激しさを増した気がした。

 

 

「「乙女の魂燃え上がるぅ~! 姉妹合体!!!!」」

 

「美空ー! ココネー! いいよ! 本当にスゴイよお前たち!! それでこそグレン団だッ!! 俺たちはいつだって一味違うぜ!!」

 

「ヨーコさん・・・・これに呆れてしまう私の思考は間違っていますか・・・・?」

 

「大丈夫・・・・アンタは正常よ・・・・・」

 

 

美空とココネ、そしてハシャグシモンを細い目で見つめるシャークティとヨーコだった。

だがしかし、これは見せ掛けだけの合体とは言いがたかった。

ココネを肩に乗せた美空は自身の身体の変化に気づいた。

 

「あれ?・・・ありり?」

「なっ・・・・これは!?」

 

それは美空を包むココネから供給されていた魔力の形が今までのような乱れが少なく、研ぎ澄まされ美しさすら感じるほどになった。

それはまるでネギを見ているようだった。

 

 

「そうか!! これまで美空はココネからの魔力の供給を修行不足ゆえに、送られてくる魔力を完全に活用することが出来ていませんでした。しかし今ココネが肩車をされ直接美空に触れ合うことにより、供給のブレを最小限に抑えたのです!!」

 

 

二人の距離が離れるほど、供給は難しくなる。

それが修行不足の美空の欠点だった。

武道会でネギに美空がダメージを与えられなかったのは、それが原因であったと言える。

しかしココネが直接美空の身体に魔力を流し込むことによって、美空はほぼ100パーセントココネの魔力を身体に留めることが可能になった。

 

「理屈は関係ないさ」

「そうっすよ、シスターシャークティ」

「コレハ・・・・」

 

要するに・・・

 

 

「「「気合だ!!!」」」

 

「このまま一気に行こうぜ、妹分!!」

 

「おっしゃあ! いくよ~~、私達を、誰だと思ってやがるんだキーック!!」

 

 

ココネを肩に乗せたまま駆け出した美空は飛び蹴りを田中さんに向けて放った。

するとその威力に押されて田中さんは二転三転しながら他のロボットを巻き込み激しく吹き飛ばされてしまった。

 

 

「「「おおおお~~~!!」」」

 

「・・・・・・うっひょーーー、スゲーーっすよ!!」

 

「いける・・・・勝てるぞ!!」

 

「当然よ!!」

 

 

新たな力を手に入れた美空。

今までよりも更に速い足と、今まで足りなかった攻撃力も手に入れることが出来た。

瞬く間に大群のロボットたちを撃破していく美空に大量生産のロボットでは相手にもならない。

ロボットたちの身体を高速の蹴り一撃で砕いていく。

 

(いける・・・今までよりも速く、そして強く・・・これが合体!!)

 

自分の進化した力にゾクゾクする美空、その神速の動きを、もはやこの学園で捉えることが出来るものなどいなかった。

 

(ここは本当にいけそうですね、それにしても美空とココネがあんな常識破りをみせてくれるとは・・・・)

 

益々グレン団に染まっていく教え子の姿にうれしくもあり、魔法使いとしては少し複雑な心境ではあったが、シャークティは微笑んだ。

しかしそれが一瞬の油断だった。

 

 

「シャークティ!!」

 

「!?」

 

 

ヨーコの声に反応して慌てて前を振り向くと田中さんの放ったビームが眼前に迫っていた。

慌てて反応して交わそうとするが、完璧には不可能だった。僅かだがシャークティのスカートを掠らせてしまった。

 

「シャークティ!?」

「クッ!? やってくれますね・・・・」

 

油断した自分を叱咤し、再び十字架を構えて敵と向き合うシャークティだった。

しかし仲間たちに変化が起こっていた。

仲間たちが口を半開きにしたまま自分を見ているのである。

何事かと思いキョロキョロするシャークティ、するとヨーコが自分の足に向けて指差した。

 

「あの・・・・皆さん?」

「シャークティ・・・・・下・・・・!?」

「えっ・・・・・・・ぶううう~~~!?」

「・・・・・案外大胆っすね・・・・」

「・・・・黒ノレース・・・・・・」

「俺は・・・・見てないから安心してくれ・・・・」

 

シャークティが自分の足元を見たら、常に冷静な彼女がこれ以上ないほど取り乱し息を噴出してしまった。

なぜなら田中さんのビームでスカートが破け・・・、シャークティの下着が露わになってしまったのである。

 

「みみみみみ・・・・見ないでくださいぃぃーーー!?」

「ちょ、・・・ちょっと待ってね、今・・・・」

 

少女のように取り乱し、服の裾を懸命に下に引っ張りうずくまるシャークティ。

あまり気にせず冷静に流すタイプかと思ったが極めて純情な反応に全員が少しグッと来てしまった。

ヨーコが慌てて自分の上着をシャークティの元へ持っていくが、シャークティは異常なほど沸騰した顔で涙目になっていた。

 

「お・・・俺たちが食い止めるぞ!!」

「おう、シスターシャークティの死を無駄にするな!!」

 

美空とココネとシモンでシャークティの盾になってロボットたちと交戦を再開した。

一応上着を腰に巻かせたが、シャークティは未だに立ち直れずヨーコが横でなだめていた。

実質二人で戦うことになったシモンたち。負けなくは無いが、無傷の勝利は難しくなった。田中さんのビームは二人に集中砲火されていく。

美空は持ち前のスピードで全て完璧に交わしていくが、シモンは無理だった。とうとうその一つが肩の部分を直撃した。

 

 

「ぐっ、しまった!?」

 

「兄貴!?」

 

「だ・・・大丈夫、ダメージは・・・・無い? ・・・・・・あれ・・・なんだこれは!?」

 

 

ビームが直撃した部分を見てみた。不思議なことにダメージは無い、しかし異変はあった。

それは直撃した部分の衣服の一部がきれいに無くなっているのである。

 

「一体何なんだよこれ!?」

「まさか、あれっすか? 一生懸命交わしてるけど、このビームってただの脱げビームじゃないの!?」

「脱げビーム!?」

「なんて下らない物なの!? シモン、さっさと全部片付けなさい!?」

 

ずっと真剣に戦っていた相手の攻撃は何と取るに足らないものであった。

ただ衣服が破れるだけの威力、これ相手にシモンたちは命がけのつもりで戦っていた。

急にアホらしくなったヨーコはシモンに向けて叫ぶ。

すると、顔を俯かせながらブツブツ呟いているシャークティ。

その背中からはシスターとは思えないほど黒いオーラが出ていた。

 

「ふっ・・・ふっふっふっ・・・・見られてしまいましたね・・・どうしてくれるんです?・・・別に見せるために履いていたわけではないのですよ? よりにもよって・・・・ふっふっふっ・・・・」

「お・・・おい・・・」

 

ヨーコの上着を腰に巻いたシャークティがブツブツ何かを言っているが聞き取れない。

するとシャークティはフラフラと田中さん達の前に歩み寄っていく。

それに反応して田中さん達がビームをシャークティに向ける。

 

「し・・・シスターシャークティ!? 避けないと素っ裸に!」

 

慌てて叫ぶ美空、しかし今のシャークティの耳には入らない。

迫りくるビーム、するとシャークティがロザリオを構え、魔力を開放していく。

シャークティに似つかわしくないほど禍々しい気。そして美空とココネがそれを見て思わず慌てた。

 

「まずい!? 兄貴もヨーコさんも下がって! シスターシャークティがブチ切れてる!?」

 

咄嗟に走り出す美空。

よく分からないが確かに尋常でない空気にシモンも言われたとおりその場から駆け出した。

 

「美空、・・・シャークティは一体・・・・」

「まあ見てなって、決してパクリでは無いと言い張ってるシャークティの大技・・・・・」

 

すると何十もの光の束がシャークティのロザリオに集中し、大きな光を出す。

思わず目が眩むシモンたち。シャークティは大声で田中さんの大群に叫んだ。

 

「よくも、散々ビービー垂れ流してくれましたねッ!! アナタのふざけたビームごと消し去って差し上げます!!」

 

ロザリオに溜められた魔力が限界地点までいき、シャークティは全てを解放する。

 

 

「判決! 死刑! グランドク〇ス!!!!!!」

 

 

魔力が強大な十字架の形に開放され、あたり一面を光で包み込んだ。

そして閃光が止んでシモンたちが見たものは・・・・・

 

 

「・・・す・・・・すごい・・・・・」

 

「・・・・でしょ?」

 

 

顔を引きつらせるシモンたち。

なぜならそこには残り数十体ほどいたロボットたちが一つ残らず消滅していたのである。

何も無くなった戦場でシャークティは指で十字の形を切り「アーメン」と小さく呟きこちらをスッキリしたような表情で振り返った。

 

 

「シモンさん♪」

 

「は・・・はいっ!」

 

「アナタは何も見ていませんね♪」

 

 

シモンは勢いよく何度もカクカクと頷いた。

敵が全滅して自分たちの勝利が決まった。

しかしその喜びよりも、シャークティを絶対に怒らせてはならないという気持ちのほうがシモンたちには大きかった。

 

だが、まだ戦いは終わっていなかった。

 

夜とはいえ外灯の光があってそれほど暗くはない。しかし次の瞬間この場一体に影が落とされて暗くなった。

 

 

「ッ!? シモンさん、上!?」

 

「えっ?」

 

 

シモンは慌てて振り向いた。

するとそこにはとてつもなく巨大な拳が自分に向けて振り下ろされてきた。

 

「っ!?」

 

シモンは慌ててその場を飛びのき逃れた。そしてさっきまで自分のいたところは大きなクレータのような跡が残っている。

 

「こ・・・・こいつは・・・・・」

「やっぱり・・・・来たわね・・・・」

「ちょっ・・・・冗談でしょ・・・」

「なんと・・・・巨大な・・・・」

「大キイ・・・・」

「ぶ・・・・ぶう・・・・」

 

全員が唖然として空を見上げる。

何故見上げるのか、それはそうしなければ確認できないほど大きな物体だったからである。

形は少し違う、しかしそれは見覚えのあるフォルムだった。

過去何度も共に戦ってきた仲間の姿と似た形をしている。

そこに、超鈴音が失望したはずの偽りのグレンラガンがいた。

 

「ようやく本命のお出ましか、・・・・上等じゃねかモドキ!!」

 

汗を流しながらも虚勢を張り見上げるシモン。するとグレンラガンモドキから聞きなれた声がした。

 

 

「夜分遅くに申し訳ありません、シモンさん、皆さん」

 

「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」

 

 

シモンと美空は心当たりMAXだった。なぜなら何度となく会ってきた人・・・ではないが人物・・・・

 

 

「「ちゃ・・・・茶々丸~~~!?」」

 

「そうです、急にお邪魔して申し訳ありません」

 

 

機械なだけあって相変わらず安定したトーンでしゃべる。

それに対してシモンたちはあまりにも意外な人物が乗っていることに驚くしかなかった。

 

 

「てっきりそれには超の奴が乗ると思ってたんだけどな・・・・・」

 

「これは他のロボットと違ってオートではなく手動で操作する必要があります。しかも世界樹の魔力が満ちていないと動かない上に、その魔力を動力に変換する高速処理を常に行わなければなりません。それは私にしか出来ないのです」

 

 

顔の部分から声が聞こえる。どうやら茶々丸はラガン部分のコクピットに乗っているようである。

茶々丸が超の協力者なのは知っていた。

このグレンラガンモドキが動く可能性も視野に入れていた。

だがまさか今ここに現れるのは予想外だった。

明日の決戦を前に超は何を考えているのかと思ったら、茶々丸が再び話し出した。

 

 

「超さんからの伝言があります・・・」

 

「・・・・言ってみろよ・・・・」

 

「・・・いい女とデートするには幾多の試練を乗り越えなければならないヨ、シモンさんたちは出来るカナ?・・・・だそうです・・・・もし出来ないようなら明日の前にシモンさんたちを捕獲させてもらいます・・・・」

 

「なんだそりあ~~、自分から誘ったくせに何考えてんだっ!?」

 

「落ち着け、美空・・・・・」

 

 

あまりにも身勝手すぎる要求に美空は文句を言うが、シモンはそれを制し、ニヤリと笑って巨大な鉄の塊を見上げた。

 

 

「だったら期待に応えてやるよ。 モドキなんかじゃ、俺たちの壁になんかならないってことをな!!」

 

 

その言葉に従い再び全員は武器を構える。

するとその瞬間、先程全滅させたはずの田中さんまでゾロゾロ現れた。

 

 

「ちょっと、・・・こいつらまだいたって言うの?」

 

「くっ・・・・囲まれました・・・・」

 

 

再び現れた大群のロボット、そして巨大なメカ、逃げ道は無い。

ならばやるべきことは一つ。

 

「だからどうした! 道が無いならこの手で創る!!」

「それしかないわね!」

「いきますよ、美空、ココネ、ブータ!!」

「「「おう(ぶう)!!」」」

 

シモンとヨーコは巨大なロボットに。

そして美空たちは自分たちを囲む田中さんに向かって行った。

 

こうして真夜中の決戦、第二ラウンドが始まった。

 


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