魔法はお前の魂だ(魔法先生ネギま✖天元突破グレンラガン)   作:アニッキーブラッザー

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第76話 どこまでもだよ

「雷光剣!!」

「朧十字!!」

 

時空の狭間に捕らわれたネギたちは、何の意味があるのかは分らないが、ジッとしてあきらめるわけには行かなかった。

それぞれの者が何もない空間に向けて攻撃をしていた。

だが、当然何の効果も無い。

 

「・・・・・だめです・・・・」

「空間に亀裂すら入らないでござる・・・・」

「私のアーティファクトにも何の方法も載ってないです・・・・」

「まあ、当然だろうがな・・・・・。アニキと木乃香の姉さんの方は?」

「だめだよ・・・・ちっとも動かない・・・・どれだけ魔力を込めても・・・・・・」

「アカン・・・針が少しも進まへん・・・・・」

「くっそ・・・・アニキと木乃香の姉さんの魔力でもダメか・・・・やっぱ壊れてんだな・・・。打つ手無しかよ!」

 

空間に変化はない。

カシオペアは動かない。

だが、あきらめるわけにはいかなかった。

この何もない空間であきらめることは死に繋がるのである。

たとえ心の中がどれほど弱気になろうとも、絶望に押し潰されるわけにはいかなかった。

だからこそアスナは人一倍の声を出した。

 

「何言ってんのよ、皆! こんな時・・・・・こんな時にいつだって立ち上がった人がいたでしょ! 私は・・・・私はあきらめないわよ!」

「バカ! 戦闘とは違うんだ、こんなとんでも空間をどうするってんだよ・・・・・」

「そんなの・・・・・気合で何とかしてやるわよ!!」

「せや・・・・ウチも・・・・ウチも・・・・」

「お嬢様・・・・。・・・・シモンさん・・・・こんな時・・・・アナタならどうするんですか? ・・・・どうすれば・・・・言葉を下さい・・・・」

 

アスナは負けじと何度も何も無い空間でアーティファクトを振り回している。

しかし魔力を帯びたものに対する効果は絶大だが、この場ではなんの役にも立たないことは自身でも分っていた。

だが、ここで動くのを止めたら自身ですら決して言わないようにしていた弱音が出てしまう。

だからこそアスナはがむしゃらに動いた。

だが成果はない。

それを察したネギは徐々に弱気な心が出てきてしまった。

 

 

「僕の・・・・・僕の所為です・・・・・」

 

「ネギ先生!!」

 

「僕が・・・・僕が・・・・・」

 

「今、言うの止めなさい! ぶっとばすわよ! 誰もそんなこと思ってないわよ! 悪いのは超でしょ!」

 

 

アスナは絶対にそれ以上ネギに言わせたくはなかった。

だがたとえなんと言われようとも、ネギは自分の責任以外思いつかなかったのである。

安易にタイムマシンに手を出したこと。超鈴音を見抜けなかったこと。まんまと罠にはまってしまったこと。自分の生徒を巻き込んでしまったこと・・・・、挙げたら限がなかった。

そして何よりも答えも曖昧なまま戦いに赴こうとしたことが許せなかった。

 

 

「僕は・・・・やっぱりまだ迷ってたんです・・・・・超さんの計画は・・・・やっぱり間違っていないんじゃ「ネギ!!」」

 

「今は・・・今そんなことじゃなくてこの状況をどうにかするのが先でしょ!!」

 

 

アスナは怒鳴ることしか出来なかった。

この状況でこれ以上の弱音や絶望の声など聞きたくなかったのである。

だがネギは己の中で渦巻いていた想いを吐き出してしまった。

 

 

「シモンさんの言っていることは凄く大切なことです。・・・でも僕は魔法使いとして考えろといわれました・・・・・そう考えるなら・・・・やっぱり超さんを否定することができないんです・・・・」

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

その言葉に全員が動くのを止めてネギを見た。

だがネギの答えは自分達にとっては悲しすぎるものでしかなかった。

夕映もすかさず訂正させようとするがネギは止まらない。

 

 

「違いますネギ先生! もしネギ先生たちの正体がバレたら、ネギ先生たちはこの学園に居られなく・・・・「それで!」・・・・」

 

「それで世界の多くの人が救われれば・・・・この学園の僅かな犠牲でより多くの人が救われるなら・・・・もしタイムマシンの力を知らずに超さんの計画だけを知っていたら・・・・僕は・・・・僕はきっと超さんに・・・・」

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

それ以上は絶対に言わせない。言わせてたまるものか!

生徒達からその想いが前面に溢れてきた。

そして夕映が誰よりも先に動き出した。言葉で伝わらないのなら、力づくに出た。

 

「ネギ先生! 歯を食いしばってください!!」

 

叩いた音が広がった。

夕映の涙の叫びとビンタが空間に広がった。

夕映らしからぬ行動に、自分も殴ろうかと身構えていたが、出遅れてしまったアスナや、ただ泣いているだけだったのどかは呆然としてしまった。

そして夕映は震える肩と嗚咽交じりの声で叫んだ。

 

「忘れたんですか? シモンさんに・・・・・試合の最後に言われたはずです・・・・・」

「!?」

 

武道会の準決勝の試合。壁として立ちはだかったシモンは最後の言葉をくれた。

 

『いいか、ネギ。自分を信じろ! 俺が信じるお前でもない、お前が信じる俺でもない。お前が信じる・・・・・』

 

忘れるはずなどはなかった。

 

 

「お前が信じる・・・・お前を信じろ・・・・・」

 

「そうです・・・・そして私達も信じているです。・・・ですから・・・そんなことは言わないで下さい・・・・のどかを・・・いえ、私達を置いていくようなことは言わないで下さい・・・・・・」

 

「ゆえ・・・・・」

 

「夕映さん・・・・・・」

 

 

夕映がネギに対してのどかと同じぐらいの想いを寄せているのは誰の目にも明らかである。

ただ担任や友のためを思ってのことではない。自身の気持ちのためにもネギと別れたくないという気持ちからの言葉と行動だった。

頬を押さえながらネギは涙を流す夕映を見つめる。

他の生徒達もそうである。夕映の言葉に頷きながらネギの背中を叩いた。

しかし殴った夕映も必死で不安を隠そうとしている。

人一倍声を出しているアスナも強がりにしか聞こえない。なぜなら二人共肩が震えているからである。それは懸命に堪えているだけで、不安や恐怖が無いわけではないからである。

この状況を前進させなければ死しかない。

実感する死の恐怖を必死に抗おうと、ネギを叱咤し自分達も奮い立たせようとしていたのである。

だが、それで打開策が見つかるわけでもない。口で言うもののやはり不安が大きくなっていった。

 

しかしその時だった!

 

ネギは気付かなかった。

 

アスナたちも気付かなかった。

 

ネギがぶら下げているコアドリルが微かに光ったことを。

 

そしてその光が小さな奇跡を起こした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしたテメエら、道に迷ったか?」

 

 

 

 

 

 

突如男の声がした。

だが、それはありえないことだった。

何故ならこの空間に自分達以外のものなど居るはずもないからである。

 

「何者!?」

「ちょっ・・・・誰よ、アンタ!?」

「拙者ら以外に人が居るとは・・・・・」

「気付かなかったアル・・・・」

 

慌てて全員が振り返った。

 

するとそこには一人の男が立っていた。

 

青い髪、そして肌に直接赤いマントを身に纏い、刀を肩に担いでいた。

 

何者かは分らない。しかし武器を携帯しているため、刹那は慌てて木乃香を自分の後ろにやり、アスナ、古、楓は男に向かって構え、警戒した。

 

だが男はアスナたちの態度に呆れたようにため息をついた。

 

 

「俺が誰だと? ったく・・・しょうがねえな・・・」

 

 

すると男は刀を抜き、それを真上に向かって掲げたのだった。

刀を抜かれて一瞬肩を振るわせたネギたちだったが、今度は呆然としてしまった。

なぜならこの男のポーズはシモンと似ていたからである。

そして男の姿は暗闇の世界に光を照らしているように見えるほど、輝いて見えた。

これは一体何だったのかは分らなかった。

夢なのか、時限空間に捕らわれた自分達が見た幻なのか、それとも学園祭がおこした奇跡なのか、その正体はきっと一生分らないだろう。

だが、一生分らない代わりに、ネギたちは今日初めて見たこの男のことを一生忘れないだろう。

これがシモン、ヨーコ、ブータに続いて彼らが出会った異世界の英雄だった。

 

 

「ジーハ村に悪名轟くグレン団! 漢の魂背中に背負い、不撓不屈の鬼リーダー、カミナ様とは俺のことだッ!!」

 

 

全ての物語の始まりはシモンがコアドリルを見つけてから始まった。

しかしその物語に、この男は絶対に欠かすことの出来ないと言えるほどの存在だった。

 

「えっ?・・・・・・・」

 

ネギが間の抜けた声を出した。

他の者達も同じような顔で呆然としていた。

 

「な・・・・・何言ってるのよ・・・・・コイツ・・・・」

「う・・・・うそ・・・やないん?」

「カ・・・・カミナさん・・・・」

「おい・・・・・死んだってお前ら言ってなかったか?」

 

千雨の言葉に誰も何とも言うことができなかった。

しかし目の前の男が嘘を言っているとは思えなかった。

会ったことは無い。

名前とその生き様しかシモンからは聞かされていなかったからである。

だが、自分達の直感が言っていた。

この男は間違いなくシモンのアニキだと。

 

 

「ああそうだ!! だが、それがどうした!!」

 

「「「「はあッ!?」」」」

 

 

するとカミナは腰を曲げてネギに詰め寄った。

そしてネギの首にぶら下がっているコアドリルを指差した。

 

「それで、お前らは何だ!」

「・・・・・・えっ?」

 

そしてこの時初めてネギたちは、コアドリルが緑色の光を出しながら点滅していることに気付いた。

 

「テメエの持ってるそれは、シモンの・・・・そして俺達の魂だ! それを持ってる男が、こんな所でウダウダしてんじゃねえ! ここでジジババになって老いぼれるつもりか?」

 

突如現れたその男は豪快に喋り出した。

ネギたちは未だにこの状況に頭がついていなかった。

しかし不思議なことに男の言葉が一言一句残らず頭に残った。

 

 

「・・・・本当に・・・・アナタは本当に・・・・カミナさんなんですか?」

 

「何言ってやがる! カミナ様が他に何人も居ると思ってんのか!! 俺達の眠る魂を、メソメソしたガキに預けられて、のん気に寝てられるかっ!!」

 

 

するとカミナはネギからカシオペアを取り上げた。

 

 

「な・・・・何を!?」

 

「こんなもんがテメエの壁か? こんなもんを使う使わないで迷ってんじゃねえ! 使いたけりゃバンバン使えばいいじゃねえか!! シモンの顔色伺って、テメエの道を狭めてんじゃねえ!!」

 

「「「「えっ・・・ええ~!?」」」」

 

 

あまりにも滅茶苦茶な発言だった。

カミナとシモンは別々の人間だから、掲げる誇りは同じでも、考え方は違うのかもしれないが、この男の滅茶苦茶さはある意味シモン以上に見えた。

過去の改ざんがどうのと精一杯色々自分の言葉で説明した夕映も、「使っちまえ」とアッサリと言われては何も言い返すことが出来なかった。

当然千雨は頭が痛くなって俯いてた。

しかしこの男の滅茶苦茶はまだ止まらなかった。

 

 

「大体壊れて使えねえ? だから帰れねえ? それがどうした! だったらアレをやりゃあいいだろうが!」

 

「・・・・アレ・・・とは?」

 

 

ネギたちはゴクリと唾を飲み込みカミナの言葉を待った。

すると・・・・

 

 

「アレっつったら決まってんだろ、合体だッ!!」

 

「「「「「む・・・・・、無茶苦茶だ~~~!?」」」」」

 

「無茶かどうか、やってみねえと分んねえだろ!!」

 

「いや、無茶だって! いきなり何言ってんのよ!?」

 

 

ネギからカシオペアに続いて、首からコアドリルまで引きちぎろうとするカミナを、アスナたちは慌てて止めようとする。

だが、カミナは止まらない。

そしてアスナたちは次のカミナの一言で逆に止まってしまった。

 

 

「俺を誰だと思ってやがるッ!!!!」

 

「「「「「「「!?」」」」」」」

 

 

グレン団が受け継いだ決めゼリフ。

その言葉はシモンを通じて異世界のネギやアスナたちも気付いたら真似してしまう言葉。

その本家の言葉を聞いたのだ。

ネギたちが胸を高ぶらせ、思わず止まってしまうのも無理は無かった。

そしてカミナはネギからコアドリルを引きちぎり、それをカシオペアに向かって思いっきり突き刺した。

 

「「「「「んな~~~!?」」」」

 

カシオペアにコアドリルが貫通した状態で突き刺さっている。

それは、誰がどう見ても余計壊れたとしか思えなかった・・・・・・が・・・・

急にカシオペアが緑色の光に包まれた。

 

「えっ?」

「う・・・・・嘘!?」

 

なんとカシオペアはドリルを飲み込んで一つとなり、傷ついた姿が完全に元の姿に戻った。

 

「「「「な・・・・直ったーーー!?」」」」

 

口を空けたまま全員固まってしまった。

もはや気合がどうとかそんな問題ではなかった。

当然これは偶然ではない。

コアドリルにはこれまでの螺旋族が作りだした螺旋力の力が記憶されている。

ヨーコがコアドリルのみでワープを使ってこの世界に来れたのはこれが理由である。

つまり、当然あの能力も内蔵されていたのである。

ラガンのメインの能力。合体したメカをコントロールし、その傷を完全に修復させるという能力である。

もっともネギたちはおろか、この男がそんなことを知っていたわけではない。言うなればただの本能である。

だがそれが、道を作り出したのだった。

 

「見ろ! これが気合だ! やってやれねえことはねえ!」

 

カミナはそう言ってネギにカシオペアを手渡した。

するとカシオペアから溢れる光がネギたちを包み込んだ。

 

「ホントに・・・・直ったようでござるな・・・・」

「こ・・・これが気合アルか?」

「待て待て待て!! テメエら何で納得してんだ!? 突っ込むところがいっぱいあるだろうが!?」

 

突然現れた男の言葉と行動にもはや何と言っていいか分らない千雨。

しかしシモンと接し、多少の免疫がある者たちは、納得するしかなかった。

 

「・・・・・・・・細かいことを気にしたら負けですよ・・・・・」

「せや、せっちゃんの言う通りや・・・・・」

 

何でもアリの魔法に出会い、千雨も多少の非常識は覚悟していた。

だが目の前の男の常識を見ていると、自身の覚悟や悩みが急にバカらしくなってしまった。

それはネギを始め、アスナも刹那も、そして木乃香や夕映、ハルナにのどか、楓に古、この場に居る全員が悩みなどどこかに吹き飛んでしまったような気がした。

カシオペアからの光が自分達を包み込み、ネギたちは先程までの絶望から打って変わって、このままアッサリ帰れると確信してしまった。

すると自分達を包む光の外側で、カミナは歯を見せて笑った。

 

 

「いけよ、チビ助! シモンがどうした! 歴史が何だ! マホウだか知らねえがそれがどうした! もしとか、たらとか、ればとか、そんな思いに惑わされるな!」

 

「――っ!」

 

「その言葉・・・・・・」

 

「せっちゃん・・・・どうしたん?」

 

 

刹那はこの言葉に肩を微かに震わせた。

それはかつてシモンが自分に踏み出す勇気をくれた言葉だった。

 

 

「テメエが決めた道の先にあるのがお前の掴むべき明日だ! そして掴んだ明日にあるのが・・・・お前達が生きるべき世界だ!」

 

「・・・・・・カミナ・・・さん・・・・・」

 

「テメエの明日も世界も決めるのはシモンじゃねえ・・・・・アイツはそう言ってなかったのか?」

 

 

シモンは言っていた。

グレン団の信念をネギたちに押し付けたくはなかったと。

それはただ自分達を突き放しただけにも見える。

だが、シモンの言葉をネギたちはようやく受け止めることが出来た。

 

「そうです・・・・・シモンさんは・・・・・そう言ってました。シモンさんでもない、超さんでもない、・・・・・お父さんでもない・・・・・誰でもない僕自身になるって決めたんです・・・・・」

 

自分らしく生きる。

それはシモン、ヨーコ、カミナがそうである。

彼らはたとえ人になんと言われても、生き方も信念も変えない。それこそが彼ららしい生き方である。

 

 

「そうだ、たとえ壁や天井が阻もうとテメエの信念で掘り抜けやがれ!! 世界は一つじゃねえ! 道だって無限に広がってんだよ!」

 

 

シモンと超のどちらの道を選ぶかという選択肢事態が無意味だった。

なぜならこの事態にたった二つの道しかないことを意味しているからである。

しかしカミナは道が無限にあると教えてくれた。

だから誰かの真似をする必要もない。

迷い迷って出た答えに自信がなくても、それが自分の選んだことなら迷う必要などは無い。

ネギは肩の力が軽くなったような気がした。

 

「行きましょう、・・・皆さん!!」

 

カシオペアの針が再び動き出した。

ネギは学園祭最終日、自分達が向かうべき日を思い浮かべ、そのイメージをカシオペアに送り込んだ。

 

 

「シモンさんは僕に魔法使いとして答えを出せと言いました。・・・・でも・・・・僕は従いません・・・・」

 

「ネギ?」

 

 

どちらかを選ぶ必要などは無い。ネギは自身が決めた道を胸張って口にする。

 

「魔法も歴史も関係ありません! 僕は・・・・僕は先生として、喧嘩する二人を仲直りさせたいと思います!!」

 

それは原点だった。

二人が喧嘩しているのなら止めたい。それが最初に思ったことだった。

しかし途中でシモンの昔話や、超の信念、シモンの信念などを知るうちに、徐々に重い選択肢ばかりが頭に過ぎった。

しかし今、カミナと出会って辿りついた答え、それこそ原点だったのである。

 

 

「ほう、信念のぶつかり合いの喧嘩を邪魔するったあ、言うじゃねえかチビ助」

 

「はい、・・・・でも僕はカミナさんではありません。そしてシモンさんでもありません。僕は目の前で起こる喧嘩を割り切って見過ごしたくはありません。だから・・・・お二人を仲直りさせます!」

 

 

誰が聞いても甘い思想かもしれない。

しかしそれがネギらしい考えであるのなら、否定することなど出来なかった。

 

「そうか。まあ、それでいいんじゃねえか?」

 

全てを決意してカミナを見る。するとカミナも力強い笑みを返してくれた。

 

 

「カミナさん・・・・最後に一つだけ答えてください・・・・」

 

 

ネギには分った。

アスナたちにも理解できた。

無限に広がる道。その先でこれからどんな人間に会うかは分らない。

しかしカミナという男と会話をするのはこれが最後である。それだけは理解できた。

シモンが、ヨーコが、自分達が尊敬する者達を導いた男。

その偉大な男に最後の質問をした。

 

 

「無限に広がる道・・・・・その道は・・・・・どこまで続いているのでしょうか?」

 

 

ネギの最後の質問。

するとカミナは鼻で笑った。

 

 

「決まってるじゃねえか。テメエらが立ち止まらねえ限り、どこまでもだ!!」

 

 

その言葉と共に空間全体に光が行き渡り、ネギたちの姿を完全に光の中に消した。

 

 

―――行ってこい! アバヨ、ガキ共!!

 

 

最後にその言葉がネギたちの頭の中に響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・ここは・・・・・」

 

 

次の瞬間ネギたちの目に映ったのは見慣れた景色だった。

 

「エヴァちゃんの家・・・・・ってことは!」

「うむ、拙者らは戻ってきたようでござる」

「た・・・・助かった~~、いや~~とんでもない経験したね! ああ~やばかった!」

「ハルナ~、そんな気楽に言わないでよ~」

 

見慣れた風景に、自分達の無事を確認し、全員手を叩き合って無事を喜び合っていた。

だが、一人足りない気がした。

 

「おい、さっきの変な男は!」

 

千雨の言葉を聞いて、全員慌てて周りを見渡した。

だがこの場には自分達しか居なかった。

するとネギがあることに気付いた。

それは引きちぎられたコアドリルが元の状態で自分の首からぶら下がっており、カシオペアも元のひびが入った状態のままになっているのである。

それは何も無かったことを意味していた。

 

「・・・・・夢・・・・だったのでしょうか?」

「いや、拙者らも全員覚えているでござる・・・・・」

「私もアル・・・・シモンさんのアニキをちゃんと見たアル・・・・・」

 

だが彼女達は全員覚えていた。

自分達が絶望に押しつぶされそうになった時に、たしかにあの男を見たことを。

そしてネギはコアドリルをもう一度確認した。

 

「一つになって生き続ける・・・・それは・・・・こういうことだったんですね・・・・・」

 

カミナという男はたしかに自分達の前に現れた。それは事実である。ネギにはなんとなくそう思えた。

そして顔を上げた。

 

「行きましょう! これを・・・・これを返しに行かなくちゃ・・・・」

「・・・・・いいのね、・・・・ネギ・・・・」

 

アスナの問いにネギは頷いた。それは超のやることに反抗しようという意味でもあった。

ネギが迷っていた理由もたしかに納得できる部分もある。それは魔法使いとして生きる者はそうなのかもしれない。

だが、ネギは魔法使いではなく教師として超を止めると言ったのである。

 

「世界を変えるかもしれない行為、・・・しかしシモンさんと超さん、どちらが正しいのか正しくないのかを判断して行動するのは無理だと分りました。だってシモンさんと超さんは別々の人間です・・・・シモンさんがカミナさんではないように・・・・・」

 

道は無限に広がっている。

だから思想も無限にある。

そしてそれはどこまでも続いている。正解を探すなど無理な話である。

シモンと超の考えもその無限の中の二つである。だからネギはその二つとは違う別の道を選んだ。

そしてその答えにはどうやら全員が納得してくれたようである。

 

「たしかに・・・・シモンさんと超さんを仲直りさせるのなら、早く会いに行かなくては!」

 

刹那の言葉に全員が頷き動こうとした。

するとエヴァの家の扉が開き、タカミチが顔を出した。

 

「ここにいたのか・・・・探したよ、ネギ君」

「タカミチ・・・・」

「今すぐ来てくれ、超君のことで・・・・「わかってるよ」・・・・ネギ君?」

 

タカミチが全てを言い終わる前にネギは口を挟んだ。

その強い目にタカミチは一瞬と惑ってしまった。

 

 

「必ず・・・・・超さんを止め・・・・ううん、僕達の明日を掴んで見せるよ!」

 

 

するとネギだけではなく、アスナたちも強い決意を秘めた目をしていることにタカミチは気付いた。

だが、今はそのことを問いただしている暇はない。

ネギはコアドリルを握り締めたままタカミチに言われたとおり、学園長室まで走った、

 


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