魔法はお前の魂だ(魔法先生ネギま✖天元突破グレンラガン) 作:アニッキーブラッザー
「うむ、よく集まってくれたの~」
ここ世界樹の前には、見た目は妖怪だがこの学園最高責任者でもある学園長を中心に、この学園に居る魔法先生と生徒が集結していた。
「学園長、話は今日の一斉停電のことですか?」
学園最強クラスの教師高畑が尋ねた。
他の教師や生徒も何となく察しているようで、学園長の返答を待った。
「うむ、エヴァンジェリンが何やらこの期に何かをたくらんでいるようじゃ」
「目的は当然・・・ネギ君ですね」
「うむ」
他の者達も思っていた通りのようで、学園長に突っかかった。
「やはりそうか!最近の桜通りの件もおそらくやつの仕業・・・だから信用できないんだ!」
「ガンドルフィーニ先生、少し落ち着いて」
「これが落ち着けるものか!!ネギ君はあのサウザンドマスターの息子なんですよ!?きっといつかは優秀な魔法使いになる!その少年を闇の福音は!!」
褐色肌に眼鏡をかけた教師、ガンドルフィーニは言う。
他の教師や生徒も同じ気持ちなのだろう、ガンドルフィーニの言葉に頷いた。
「では学園長、我々の仕事は・・・・」
その場に居たシャークティが尋ねてみた、すると学園長は意外な言葉を発した。
「うむ、おそらく今夜行なわれるエヴァンジェリンとネギ君の問題に・・・・・」
全員が注目する中、
「ワシらは一切干渉せん」
「「「「「「「「なっ!?」」」」」」」
この言葉には全員が反論した。
「何を言ってるんですか学園長!?」
「そうですよ、もしネギ君に何かあったらどうするのですか!?」
しかし全員の反論を学園長は却下した。
「これはネギ君の越えなければならない問題じゃ。ならばワシらはそれを見守ることじゃ、当然今夜は二人を離れた場所から囲み、一般生徒たちに危害が及ばぬように監視する。しかし!手出しは無用じゃ」
力強く断言する学園長。
ネギはこの学園に修行のために来ている。
ならばこの困難はネギの手で解決するもの。
エヴァンジェリンはネギの生徒なのだから・・・・・。
この言葉に他の者もしぶしぶ納得しようとしていた。
一人を除いて・・・・・・
「あの・・・・見張ると言うことは、今夜帰れないのでしょうか?」
突如シャークティが質問してきた。
「うむ、仮にエヴァの魔法が大きかった場合、被害に対処出来る者が必要じゃ、皆にはわるいのじゃが、若者の成長のため、今日は許してくれ」
「そ・・・そんな!?」
皆がしぶしぶ頷く中シャークティは別の不安を頭に過ぎらせていた。
(帰れないということは・・・・・またシモンさんがこっそり抜け出してしまいます)
もはや定番となったシモンの脱走。それがまた行なわれるのではとシャークティは心配していた。
今まではその後説教だけで済んだが今回は違う。
魔法使い同士の争いなのだ。もし巻き込まれたら怪我では済まないかも知れない。
それがシャークティは怖かった。
もっとも、シモンは魔法に関することでは、とっくに巻き込まれているのだが、そのことを彼女は知らなかった。
「・・・・・というわけで、今夜は何があっても絶対に抜け出したりしないで下さい」
学園長との話が終わり、シャークティは真っ直ぐ教会に帰りシモンに事情を説明した。
しかしシモンはシャークティの心配をよくわからず、
「へ~停電か~それにしてもシャークティは忙しいんだな~」
と、軽く言う。彼女が最近何倍も大変な目にあっているのが、自分が原因であることは分かっていなかった。
「のんきな事を言わないで下さい!いいですね!今日私は帰れませんけど、絶対に外を歩かないで下さいよ!!」
「ああ、わかった!」
と簡単に言うシモン、
しかしそんなはずがなかった。どんなに強く言おうがシモンが今夜の争いに巻き込まれるのは必然であった。
それは、何故か? シモンだからだ。
シャークティも本当はもっと強く言いたかったのだが、昨晩見せたシモンの涙を思い出し、言えなかった。
親しかった者と愛した女との別れ。それゆえ見せたシモンの悲しみ。
幸い酔っていたためシモンは朝おきたら全く覚えていなかったが、彼の言葉をあの場に居たシャークティや美空は覚えていた。
「では、また仕事に戻ります。いいですね、くれぐれも気をつけてください」
「ああ心配するな、俺を誰だと思っている」
その言葉がとても信用できなかったが、なぜか安心してしまい、シャークティは再び学園に戻った。
英雄の息子の成長を見届けるために。
この時まだシャークティは、今晩再びシモンを見ることになるとは知らなかった。
そして一斉停電が始まった。
「さて、あの可愛らしい先生はどんな戦いを見せてくれるのかな?刹那はどう思う?」
「不謹慎だぞ龍宮」
ここは学園の橋を一望することの出来る建物。この屋上で数人の者が待機していた。
「私はお嬢様に危害がなければ、興味はない」
浅黒い長身の女性に、座って長い太刀を握り締めている刹那は答えた。
二人共ネギの生徒であるがまだそれほど係わり合いがあったわけではなかった為、ネギが魔法使いだと知っていても、どれほどの力かは知らなかった。
「いいじゃないか、学園長や高畑先生もいるんだ、それほど大きな事にはならないさ」
「あはは、僕は実は少し楽しみではあるんだけどね。ネギ君がどれほど成長したのか見てみたいし」
「ふぉっふぉっふぉっ実はワシもじゃ」
全く危機感のない発言に、一人真剣に集中していたシャークティは
「何を言ってるんですか!?その興味本位でもし一般の者が傷ついたらどうするんですか!!」
突然いつもクールな彼女のその態度にこの場にいた者たちは驚いたが、
「シスターシャークティ、気持ちは僕も同じです、だから我々はここにいるんです」
シャークティの意見に賛成だったガンドルフィーニは彼女に告げた。
自分と同じ気持ちのものがいたため、、シャークティも少し落ち着きを取り戻したが、心の中は穏やかではなかった。
「お願いします・・・シモンさん今日は出歩かないで下さい・・・」
そう祈るような思いを抱えたまま。
そして、ついにその時が来た。
「むっ!?来たぞい」
学園長の言葉どおり、ネギとエヴァの姿が見えた。
さらにそこにはエヴァのパートナーである茶々丸と・・・
「なっ!?あれは・・・アスナ君?」
無理を通して道理を蹴っ飛ばせ!
あの人はそう言った。
勝手に無理だと決め付けた僕にその言葉はとても響いた。
僕にどれだけ出来るかは分からない。
でもシモンさん、僕も足掻いて足掻いてジタバタしてみます。
「アスナさん、助けてくれてありがとうございます」
エヴァを一次追い詰めたネギだったが相手は一枚上手で簡単にネギの奥の手を打ち破り、血を吸われる寸前に、ふたたびアスナがネギの窮地を救った。
シモンと交わした約束を忘れかけていた。しかしアスナのおかげで思い出すことが出来た。
「いいわよ別に!ホラ、あの問題児をどうにかするわよ!」
「はいっ!」
「・・・・よしっ・・・じゃネギ・・・いくからね」
「よしっ!姐さん、やっちゃってくだせー!」
「えっ?えっ?」
ネギは固まった。
明日菜と一緒に駆けつけたカモが、突如自分の周りに魔方陣を描き、アスナの顔が自分に近づいてきて・・・・・
ネギとアスナの唇が重なった。
この行動にはさすがにネギはもちろん、高みの見物をしていた学園長達もあっけに取られてしまった。
「なななな!?アスナさん何するんですかーー!?」
顔を真っ赤にしながらネギは慌てたが、アスナは・・・
「大丈夫私も今のノーカンダから」
と、少し恥ずかしそうに返した。
なにはともあれ、仮契約がここに成立した。
「ふん・・・・パクティオーか」
またもやアスナの跳び蹴りをくらったエヴァは、こめかみに血管を浮き上がらせ、ネギたちを見ていた。
(あの神楽坂明日菜、ただのガキではない・・・・・くくおもしろくなってきた)
二人を見据えニヤリと笑みを浮かべるエヴァ。アスナとネギにはそれがエヴァの余裕なのだと思った。
「どうしたぼーや?お姉ちゃんが助けに来てくれてホッと一息か……?」
エヴァの余裕たっぷりの発言、しかしこの言葉にはネギよりアスナが噛み付いた。
「何言ってるのよ!これで2対2正々堂々互角の勝負でしょ!?」
「そうだな双方パートナーも揃ってようやく正当な決闘という訳だ。だが互角かな?ぼうやは杖なし。貴様も戦いについては全くの素人だろう」
とは言うものの、エヴァ自身は、余裕の笑みは浮かべていても、内心はちゃんと警戒していた。
「茶々丸、油断するな」
「ハイ、マスター」
顔は余裕の表情だが、心の中ではアスナの意外性を警戒していた。
エヴァは茶々丸に警告をし、再びネギを見た。
「行くぞ。私が生徒だという事は忘れ、本気で来るがいいネギ・スプリングフィールド」
「………はい!」
今度は正真正銘魔法使い同士の戦いが始まった。
アスナは茶々丸に。
そしてエヴァは呪文を詠唱しながらネギに向かっていった。
「契約執行90秒間!!ネギの従者『神楽坂明日菜』!!!!」
「リク・ラクラ・ラック・ライラック!!」
「ふむ・・・・アスナ君もやりおるの~」
この戦いを静観している学園長が口を開いた。
「ええ、茶々丸クンが本気を出していないとはいえ、よく動きについていっている」
高畑も感心の声を上げる。
「ネギ先生もです、噂どおりの魔力です」
「そうだね、あの年齢であれだけ出来ればたいしたもんだよ」
初めて見るネギの戦いに生徒である刹那と龍宮も感心していた。
しかし、ガンドルフィーには慌てて、
「それでもこのままでは経験の差で押し切られてしまいます。ホントにこのままにしていいんですか!?」
「・・・・・さすがにネギ君を殺させるわけには行かぬ・・・・・勝負がはっきりついてからじゃ」
先に手出し無用と言っていたが、さすがに殺されでもしたらシャレにならない。
全員その言葉を聞いて、いつでも飛び出せるように身構えた。
エヴァとそれなりに付き合いの長い高畑も、さすがにエヴァが本気でネギを殺すとは思っていないが、準備はしている。
「そろそろ危ないですね」
シャークティの言葉に皆戦いに注目した。
壮絶な魔法合戦だったが徐々にネギがエヴァに押され始めてきた。
「魔法の射手、氷の17矢!!」
「ううっ・・・・魔法の射手、連弾・雷の17矢!!」
「ハハ!!雷も使えるとは!!しかし詠唱に時間がかかり過ぎだぞ!!リク・ラクラ・ラック・ライラック闇の精霊29の柱!!」
「ラ・・ラス・テル・ラ・スキル・マギステル光の精霊29の柱」
氷、雷、その各々の強力呪文。互いに同程度の高呪文を繰り出していく。
しかし、呪文そのものは同級でも、質に差が出始めた。
(つ・・・強すぎる・・・こんな人に父さんは勝ったのか・・・・・)
(くく、よくついてきたがこれで終わりだ)
強い。押される。それが、ネギの感じた今の思い。
負けてしまう・・・・・その後ろ向きな心が自分の中に広がっていた。
そして、ついにその時が来た。
「行くぞぼーや!!魔法の射手、闇の29連弾!!」
「うわっ・・・・魔法の射・・ぐっ・・・うわーーーー!!」
物量に任せたエヴァの魔法。
ネギは何度も相殺してきたがついに間に合わず直撃してしまった。
「ネギーーーーー!?」
エヴァの魔法を大量に受けて倒れるネギの下にアスナがあわてて駆け寄った。
「ネギッ!?ちょっとしっかりしなさい!!」
「うっ・・・・・・ぐっ・・・・勝てない・・・・」
辛うじて搾り出すネギの言葉。アスナにはこれ以上どうすることも出来なかった。
そんなネギにエヴァは
「ハハハ、なかなか楽しかったぞぼーや!だが私の勝ちだ!!」
その言葉にアスナは歯をぐっと噛み締め、目には涙が浮かんでいたが、強い視線でエヴァを睨み付けた。
しかしどうしようもない。自分に出来る精一杯の抵抗だった。
そんなアスナの腕の中でネギは微かに呟く
「う・・・・・僕じゃ・・・・勝てないのか・・・・・・」
そんなネギの呟きを聞きアスナは泣きながらネギを強く抱きしめた。
「もういいわよ!!あんたはよくがんばったわよ!!だからもういいわよ!!」
アスナの声が響く中、エヴァはこれまでにして引き上げようとした。
エヴァが茶々丸に伝えようとした瞬間、
「あきらめるな!!ネギ!!」
声がした、
全員が声の方向を向くとそこには、
「あきらめたらそこで終わりだぞ!!約束を忘れたのか?無理を通すんじゃなかったのか!!」
ドリルを手に立つシモンがいた。
「キッ・・・・キサマ!!!!」
「シモンさん・・・」
「シ・・・・・シモンさんなぜここに・・・・」
「えっ・・・・・誰よ・・・?」
「えっ兄貴の知り合いか?」
エヴァ、茶々丸、ネギの三人の反応に驚くアスナとカモ。
なぜならこの男の出現により余裕たっぷりだったエヴァの顔が豹変したのだからだ。
「そんな・・・・・・・・シモンさん」
シャークティの口から漏れる声はとても震えていた。
初めて見せる彼女の動揺をみなが驚いた。
そして最初に言葉を発したのは高畑だった。
「シモン?・・・・シスターシャークティ彼を知っているのですか?どうやらエヴァとネギ君も彼を知っているようだが・・・・」
皆がシャークティに注目する。しかしシャークティ自身も答えが分からなかった。
「彼と出会ったのは、ほんの数週間前です・・・・彼とは今教会で一緒に住んでいます・・・・・なぜエヴァンジェリンとネギ先生が彼を知っているのかは・・・・分かりません・・」
「なっ!?あなたはそんなわけも分からない人を学園に招きいれたのですか!?」
シャークティの言葉に刹那は激怒した。当然だ。この学園には自分にとって大切な、命を賭けて守りたい人がいるからだ。
ひょっとしたらその者に危害を与えようとする刺客かも知れない。シャークティのあまりにもいい加減な行動に刹那は我慢ならなかった。
そんな刹那をなだめたのが、龍宮だった。
「刹那落ちつけ、彼が何者かは知らないが、見たところ魔力はまったく感じない・・・・お前が危惧するほどの人物ではない」
「ふむ、シスターシャークティに事情は話してもらうが、確かに龍宮くんの言う通りじゃな・・・・・しかし何故エヴァとネギ君は彼を知っているんじゃ」