魔法はお前の魂だ(魔法先生ネギま✖天元突破グレンラガン) 作:アニッキーブラッザー
「とりあえずゆーなたち、ここはまかせた!」
「僕達はあの大きい方にいきます!」
「ちょっ、ネギ君たちーー!? 一体何がどうなってんのよ!?」
グレン団にせよイベント参加者達にしろ、これだけの人数が揃っていれば、ロボット達に世界樹広場を占領される恐れはないだろうとネギは判断した。
だからこそ今は姿を現したシモンに向けて走り出した。
広場から一目散に退散するネギたち、そしてその後をヨーコたちが追う。
「行ってくれ、ヨーコさん、シャークティ先生、そしてエンキ! ここの守りは俺達が受け持った!」
シモンの下へ駆け出すネギたちの背中を見て、豪徳寺は田中さんの群れと戦いながら叫ぶ。
「しかし・・・」
その言葉に躊躇するシャークティたちだが、達也や慶一、ポチ、そして辻達も叫んだ。
「薫ッちの言うとおりだぜ!」
「リーダーを頼みます!」
「ここは通さない!」
「その通り!我等新生大グレン団の名に賭けて!」
「「「「「「おおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」」」」
目の前の敵をなぎ倒しながら、男達は一つになって声を上げた。
その叫びにシャークティは思わず鳥肌が立った。
だからこそ、そこまで言われて断るわけにはいかない。
ヨーコ、シャークティ、エンキは顔を見合わせて頷いた。
「わかったわ。その代わり、脱落は許さないからね!!」
ヨーコは拳を強く握り締め、一年前の戦いのときを思い出した。
勇んで闘った男達が銀河の果てで散ったことを。
だからこそ、同じ思いは2度も繰り返したくはない。その切なる願いを男達はニッと笑って頷いた。
「武運を」
「リーダーハ我々ニ任せクダサイ」
歯を食いしばりながら、その場に背を向け走り出すヨーコを追いかけるように、シャークティとエンキも後に続いた。
「さあ、ヤロウども! ヨーコさんにあそこまで言われたんだ、死ぬ気で生き残るぞ!!」
「よっしゃあ、きやがれロボ公!!」
世界樹広場に残った男達は無限に襲い掛かる田中さんと正面からぶつかった。
その光景にまだ現状を把握できなかった裕奈たちだが、グレン団と彼女達が争う理由もなく、取り合えず武器を手に再び田中さんたちとの戦闘を再開した。
「裕奈、とにかくここは・・・」
「そだね、よくわかんないけど、賞金目指して男達に負けるな~!!」
「「りょうか~い!」」
広場に残ったほかの参加者達も裕奈たちの声を聞いて、再び賞金目指してイベントという名の戦いを再開させた。
「くっ、結構硬いな・・・・」
湖に現れた三体の巨大ロボット、
そして別の場所にもう三体出現した。
合計6体の巨大ロボット、しかしそのうちの2体は既にシモンが大ダメージを与え、一体を支配下に置いた。
そして残りの三体だが、こちらは学園最強クラスの実力者の高畑を中心に一体ずつ仕留めていく。
装甲が予想以上に硬く舌打ちするタカミチだが、すぐに今まで以上に気を拳に練り、巨大な居合い拳を巨大ロボに振り下ろした。
「あれはタカミチ!」
「すごっ!?」
「さすが高畑先生です! あの巨体を一撃で!」
シモンの下へ向かう途中にタカミチと遭遇したネギたちは、その圧倒的な力に改めて感心した。
「ネギ君、こちらは異常ない。だが、あっちはどうだろうな・・・」
ネギたちの存在に気付き、問題はないと呟くが、その意見はすぐに変わった。
「こいつらは想像以上に手ごわい、魔法で拘束してなんとかっていうところだろうね。もしこれがパワーアップしているのであれば・・・・」
シモンのいる方角を眺めた。
そこでは腕利きの魔法先生四人がかりでもシモンと魔道グレン相手に劣勢である。
「・・・アレは生徒達では無理だろう。ネギ君、君たちだけでも直ぐに加勢に・・・・」
「そうは・・・・させないヨ」
「「「「「!?」」」」」
その声ハッとなり振り向く一同。
その瞬間大量の銃弾がネギたちに襲い掛かった。
「避けろ!?」
「大丈夫です、この程度の銃弾なら障壁で・・・・って!?」
タカミチと共にこの場で戦っていた魔法先生の弐集院を始めとした生徒達は一瞬反応に遅れたが、障壁を信じて持ちこたえようとした。
しかし、
「弐集院先生!?」
弾丸を浴びた者達は突如体を黒い渦に包まれ、姿を消した。
その光景に弾丸を辛うじて交わしたネギ、刹那、アスナ、タカミチだが、目の前には巨大名ガトリングを持った田中さんが現れ、弾丸の雨をネギたちに向ける。
一瞬呆けてしまったものの、全員慌ててその場を飛びのいた。
「タカミチ、これは!?」
「大丈夫、撃たれた人達は無事だ! 恐らく強制転移魔法だ!」
「何々? なによそれ?」
「銃弾に魔法を込めて着弾した者は強制的に跳ばされる力だ・・・しかし弾丸に込めても精々三キロ程度・・・何の意味が・・・」
現状を冷静に把握しようとするタカミチだったが、この攻撃の意図が分らなかった。
しかしその疑問は先ほどの声の主により解決する。
「その通り。この状況で三キロ先に転送しても戦略的に意味はない。しかしそれが三キロではなく、三時間先だったら・・・どうかな?」
「超さん!?」
「ちなみに魔法ではなく科学だがね」
現れたもう一人の元凶にネギたちは驚きを隠せずに身構えた。
それはタカミチも同じだった。
今の彼女は超包子と書かれた強化スーツの他に、背中にブースターのようなものまで装備している。
そして彼女から発せられる威圧感にネギたちは思わず手に汗を握った。
「私の罠から抜け出すとは・・・どうやったネ?」
「やっぱりアレはアンタの仕業だったのね! よくもやってくれたわね!」
カシオペアの異常作動、それにより偶然の事故に巻き込まれてアスナたちは思わず死に掛けたのである。
超もカシオペアが壊れていたとは知らずに戦いを避けるためにやった行為なのだが、それが返ってネギたちを危険な目に合わせたのである。
それを思い出して歯軋りするアスナと刹那。
しかし・・・
「どうやって・・・ですか・・・そんなの簡単なことです」
ネギは違った。
ネギだけはフッと小さく微笑んで、超の問いに答えた。
「無理を通して・・・道理を蹴っ飛ばしたんです!」
「・・・なに? まさか・・・」
「違います、シモンさんじゃありません」
ネギの言葉を聞いて超は思わずシモンが自分との約束を破ってネギたちを助けたのかと思った。
だがそれを言う前にネギは首を横に振り、首からぶら下がっているコアドリルを握り締めた。
「ここに眠る人が・・・道を教えてくれたんです」
「?」
「・・・ネギ君?」
ネギの答えに超だけでなく、事情を知らないタカミチも首を傾げた。
だがアスナたちには分った。だからこそ表情が笑みに変わった。
「超さん・・・お礼を言います。アナタが罠を仕掛けてくれたから・・・・僕達は分ったんです。そして・・・あの人に出会えたんです」
時空間に閉じ込められた自分達の前に現れた男をネギたちは一生忘れない。
そのキッカケを作った超に皮肉ではなく、ネギは本心でお礼を告げる。
「だからこそ・・・僕はアナタを止めます! 僕は超さんでも・・・シモンさんでも・・・お父さんでも・・・カミナさんでもない!!」
「なっ!?」
カミナの名を聞き超は顔を歪める。なぜネギが今その名を口にするのかは分らない。しかしネギの目はこれまでよりもずっと強く、真っ直ぐに自分を見ている。
「僕は僕です! 3-A担任、ネギ・スプリングフィールドです!!」
ネギの叫びに頷いて、アスナ刹那も構える。
「そうゆうことよ!」
「覚悟してください!!」
ネギの後ろでお互い笑顔で顔を見合わせて、アスナと刹那も刃を超に向ける。状況がよく分らなかったタカミチだが、ネギの今まで以上の成長した姿に笑みを浮かべて彼も構えた。
超はネギたちの姿に顔には出さないものの明らかにイラついていた。
「言ってくれるネ、さすがご先祖様ヨ! だが私の・・・・私とシモンさんの間に誰も立つのは許さないヨ!!」
シモンとの決戦へ向かうためにはここで邪魔されるわけには行かない。
彼女は弾丸を拳に握り締め、4人に向かっていった。
「あの子・・・大丈夫かしら?」
シモンの下へ向かう途中の屋根の上で、ヨーコたちはネギや高畑と対峙する超の姿を見て、敵ながら心配した。
しかしそれをエンキは首を横に振った。
「問題アリマセン、特殊弾、強化スーツ、カシオペア装備状態ナラ学園祭期間無敵デス」
自分の製作者の能力を誰よりも理解するエンキの言葉に嘘はなさそうである。
たしかにカシオペアがある以上はそれを使えば逃げることは簡単なため心配はいらないのだが、ネギたちの力も認めている以上少し気になった。
だがその心配は目の前の光景で一気に吹き飛ばされてしまった。
「ちょっ、シモンのいる所・・・」
「ガンドルフィーニ先生が!?」
湖の戦いで異変が起こっていることにヨーコたちは気付いた。
それはシモンと戦っているガンドルフィーニが黒い渦に飲まれて姿を消したのである。
「特殊弾デス」
「なんですって!?」
「あれが・・・、瀬流彦先生も!?」
魔法先生がその実力に関わらず問答無用に黒い渦に飲まれて姿を消していく。シモンも驚いた顔をしている。
そしてその弾丸は神多羅木にまで襲い掛かっている。
「まずいです、シモンさんも!?」
「アッチから・・・飛んできたわね・・・」
特殊弾の力を目の当たりにして焦り出すシャークティ。ここでシモンが弾丸を受ければ元も子もなくなる。
だがそんな願いをあざ笑うかのようにもう一発の弾丸がシモンに襲い掛かる。
「シモンさん!?」
シモンは防御しようと構えている。
しかしその弾丸には無意味な行為でしかない。それでもシモンは逃げることは出来ずに弾こうとする。
だが、その前にこの女が動いた。
「させない! 必ずアイツを守ってみせる!!」
ライフルを瞬時に構えたヨーコは脅威の早撃ちでシモンを襲おうとする弾丸に目掛けて放った。
そしてその弾丸は空中で見事撃ち抜かれ、シモンに届くことなく空中で弾けた。
「斜めからの銃弾に弾かれた!?」
その光景に犯人の女は驚愕の声を上げた。
茂みの中からライフルで魔法先生たちを退場させ、シモンも狙った犯人龍宮は額に汗を掻いていた。
「・・・一体誰が?」
龍宮はライフルのスコープを弾丸が飛んできた方向に向けた。
すると・・・
「なっ!? 弾丸が!?」
龍宮は更に声を上げた。
なんと覗き込んだスコープに弾丸が近づいてくる姿が映っているのである。
思わず顔をライフルから離した。
すると飛んできた弾丸は見事に龍宮のライフルのスコープを打ち抜いたのである。
「バカな・・・一体・・・」
打ち抜かれたライフルを捨てて、持っていた双眼鏡を覗き込んだ。
「むっ、・・・・そういうことかい・・・」
自分に撃ってきた人物を知り、龍宮は納得したようなため息をついた。
そうそこには、射撃宇宙一を自称で誇る女がこちらにライフルを遠く離れた場所で構えているのである。
そして双眼鏡から覗き込んだ女の口が動いている。
「遊んであげるわ・・・か・・・やれやれ」
ヨーコの口の動きを読んで龍宮はもう一度ため息をついた。
だが直ぐに表情は笑みへと変わった。
「おもしろい、遊んでもらおうじゃないか!!」
両手にハンドガンを持った龍宮は茂みから飛び出し、ヨーコのいる場所まで向かった。
「ヨーコさん・・・」
「シャークティ、あの子は私が受け持つわ。だからあんたは代わりに・・・」
ライフルを構えて龍宮を待ち構えるヨーコはシャークティとエンキに先を行かせようとする。
だが、もう一人この場に近づく者がいた。
「シスターシャークティ、こんな所にいたのですか?」
「なっ? 葛葉先生!?」
別の乱入者に舌打ちをするシャークティ。だが、直ぐに首を傾げた。
なぜなら今の刀子は学園の体育のジャージに身を包むという意外なカッコで現れたのである。
そしてその表情は、これ異常ないほどブチ切れているのが分った。
「葛葉先生?」
初めて見る葛葉の逆鱗の姿に顔を引きつらせるシャークティ。
すると葛葉は不気味な笑みを浮かべた。
「ふっふっふっ、そもそもアナタがあんな男を匿うからいけないんですよ?」
「はっ?」
「ふっふっふっ、どうしてくれるんです? 付き合ってもいない男に全てを見られた私を」
「あの・・・一体なにが・・・」
刀子の怒りが分らずにただ首を傾げるシャークティにとうとう刀子は激昂した。
「私をメチャクチャにしたあの男を匿ったアナタにも原因があります!!! 絶対に許しません!!」
「えっ? えっ? あの、なにが何だか・・・・」
「大人しくしなさいーーーーー!! 斬岩剣!!」
ぶち切れた刀子はシモンの下へ戻る前に、シモンの仲間のシャークティに我慢がならずに襲い掛かってきた。
「えっ? えっ? あのー、一体なにが!?」
訳が分からすにシャークティもロザリオを構えて応戦を始めた。
「ちょっと~、シモンッたら何をしたのよ~。でもこれじゃあシモンのところにいけないじゃない・・・」
刀子によってシャークティは押さえられてしまった。
自分は今から龍宮と闘わなければならない。
「ぐっ、しょうがないわね、エンキ! アンタだけでもシモンの下へ!」
戦力を分散するが仕方がない。
ヨーコは余ったエンキだけでもシモンの下へと向かわせようとする。
その言葉を聞いて、命令に忠実なエンキは静かに「了解」と告げて駆け出した。
駆け出したエンキの背中を見て、ヨーコは再びため息をついた。
「まったく、予想以上に場が混乱してるわね・・・でもシモン・・・必ず超の下まで辿りつきなさい!」
ライフルに弾を装填し、ヨーコはこの場に向かっている少女を待ち受ける。
「他の障害からは・・・絶対に守って見せるわ!!」
その時だった。
ヨーコ目掛けて弾丸が数発飛んできた。
ヨーコはそれを回避することはせずに十分に距離を取ったまま撃ち落す。
「さあ、来なさい・・・お嬢ちゃん」
ニヤリと笑みを浮かべてヨーコも走り出した。
そして向かう先にはこちらに銃を向けている龍宮の姿。
「さあ、遊んでもらおうか、ヨーコさん!」
シモンに辿り付く前に二人の女は足止めを受けた。
だが、逃げることはしない。自分の役割を責任持って果たす。そのためにシモンの障害をこの場で全力で受け止めたのだった。
龍宮の横槍により、突如戦っていた者を失ったシモンは魔道グレンに跨りながら少し戸惑っていた。
「瀬流彦先生たち大丈夫なのか? ・・・・それにしてもこれが特殊弾って奴か・・・」
強力な魔法先生達を一撃で排除した弾丸の力を目の当たりにしたシモン、しかし自分には一向に襲い掛かってこないことに少し妙な気がした。
だが、それならそれでチャンスである。
湖にいる生徒達もシモンを敵か味方か判断しかねて、まだ自分に向けて攻撃する気配はなさそうである。ならばこのまま一気に上陸して、世界樹広場に魔道グレンを残して、自分は超を探すことに専念しようと思った。
だがその考えは直ぐに却下された。
「おい!? なんかもう一体デケーのが来たぞ!?」
「ちょっ、一体何なのよーー!?」
湖畔に巨大な影が現れた。
生徒達の驚きの声に反応してシモンが上を見上げると、特殊弾より厄介な存在が現れた。
「ちっ、簡単にはいかないか・・・・」
巨大な物体が魔道グレンの前に降り立った。
その出で立ち、ボディ、偽者と分っていても爽快な気がした。
そしてその姿に声を上げる生徒達。
「本物のロボットだーーーーー!?」
「つうか本格的過ぎだろ!? 何戦隊のロボットだ!?」
「てゆうかどっちが味方なのよーーー!?」
空から現れたのは、グレンラガンモドキだった。
とうとう茶々丸まで動き出したのである。
学園結界を解いた彼女は7体目の巨大ロボットとしてこの場に現れたのである。
道は相当困難である。それがシモンにも理解できた。しかし愚痴を言っても始まらない。
シモンは顔の部分にあるコクピットに向かって指を指して叫んだ。
「ようやく来たか! だが今度はこっちもデケエぞ!!」
魔道グレンに跨り、威風堂々としたシモンが叫ぶ。
するとグレンラガンモドキのスピーカーから声が返ってきた。
『今日は約束どおり、私も最後まで戦います』
最早機械にしておくのがもったいないぐらいの好戦的な茶々丸の言葉にシモンは笑みを浮かべた。そして魔道グレンを進ませる。
「上等だ!」
巨大な水しぶきを上げて学園最大級のぶつかり合いが始まった。
不意に始まった巨大ロボット同士のガチンコバトルに生徒達もノリに乗って盛大な歓声を上げた。
こうして学園祭最終日の大喧嘩は未曾有の争いへと激化した。