転生した彼は考えることをやめた   作:オリオリ

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勘違い小説が書きたくなったのでチャレンジ
そして気まぐれ更新なので、気が向いたら見てやってください


第一話 彼の日記 1ページ

 俺は死んだらしい。

 そして漫画の世界に来たらしい。

 なぜわかるかって?

 

 それは俺の状況を見ればわかるはずだ。

 今の俺は長い死者の行列に並び、その先には黒い着物を着た男と女が整理券らしきものを配っている。

 その腰には日本刀があった。

 

 察しのいい人ならこれでわかるはずだ。

 わからない人はジャンプ読め……いや、単行本の1〜10巻あたりを読め。

 多分その辺で出てるから。

 

 なに? タイトルがわからない?

 なら耳をかっぽじってよくきけ。

 

 

 タイトルは『BLEACH』だ。

 

 

 

 やぁ、諸君。俺だ。

 え? 誰だかわからない?

 仕方ないから自己紹介してやろう。

 俺の名前は嵐山響、黒髪黒目のナイスガイ……のはずだったんだが、なんか髪が青い。

 あと不良みたいに襟足が伸びてる。

 身体は結構ガタイがいい。

 

 どうやら漫画の世界に来ただけではなく、身体まで変わっちまったらしい。

 身長も前よりも高く感じるが、どれくらい高いのかはわからない。

 結構でかいと思うが測ることなんてできないしな。

 

 冷静なのは……うん、ライトノベルではよくあることさ。

 きっとこれもそういうものだろう。

 だから考えてはいけない……よし、納得した。

 

 さて、そんなことは置いといてと。

 諸君は俺が死者の行列に並んでいた事を覚えているだろうか?

 あの、番号が小さいほど治安が良いところへ行けるというアレだ。

 並んでいるんだから、当然俺もどこかの地区へと送られるわけだが……まぁ、察しの良い人なら予想がつくかもしれない。

 こんなことを考えていたこと自体がフラグだったと。

 

 俺は見事に南流魂街第78地区『戌吊』へと流された。

 原作のルキアと恋次が育った地区である。

 これはもうフラグだと瞬間的に理解した。

 

 俺はきっと二人と出会うことになるのだろう。

 漫画の世界に転生して、戌吊へと移されて、出会わないなんてありえない。

 俺がこうして別の肉体を持って転生したことで、フラグが成立しているのだ。

 それに俺自身が、二人に会いたい。

 というか、原作キャラに会いたいぜ。

 

 もしかしたら既にルキア達は成長しているかもしれない。

 

 そんな事を考えながら、俺は戌吊を歩いていた。

 来たばかりで身なりの良い俺はどうやらカモに見えるらしい。

 ハゲ散らかしたおっさんやら、ナイフを持ったおっさんやらが襲いかかってきた。

 

 そしてよくわからないが、簡単に返り討ちにすることができた。

 俺には別に喧嘩の心得とかあった覚えは無いんだが、こう意識せずとも身体が動いてくれた。

 

 これはきっと御都合主義というやつだろう。

 そうでなきゃ、こうも簡単におっさん達を倒せるわけが無いからな。

 もしくは、この体が戦闘慣れしていたかだな。

 その場合、何かのキャラだと思われるが、鏡もないし見ることはかなわない。

 ちなみに漫画の世界に来る前の俺はただの一般人です。

 

 そんな事を考えな(略

 今度は女の子を襲っているおっさん達を見つけた。

 無理矢理は犯罪です、無理矢理でなくても犯罪です。

 

 見た瞬間になにも考えずに、おっさんを蹴り飛ばしていた。

 女の子の前に仁王立ちしてカッコつける。

 今の俺はきっとカッコ良い〔確信〕

 ついでに、かっこいいセリフも言っておく。

 他意は無いけどな、他意は無い。

 

 おっさん達が俺にそいつを渡せー的な事を言ってくるが、渡したが最後R18な展開待った無しだろう。

 そんな目に合いそうな子を見捨てるほど俺は薄情じゃ無い。

 きっと今の俺なら殺気を飛ばせる!

 そう信じて、目に力を入れておっさん達を睨みつける。

 

 おっさん達の防御力が下がった!

 

 いや、なに考えてんだ俺。

 頭にふと浮かんだテロップをかき消しながらも、一歩前に出るとおっさん達は悲鳴をあげながら逃げていった。

 マジでか、睨みつけるとおっさんを追っ払えるらしい。やったぜ。

 

 そんな事を考えていると、女の子に声をかけられたので振り返るとおもわず固まった。

 ルキアに似た顔をした女の子……その腕には小さな子供が抱かれていた。

 

 あれ、もしかして俺、やっちゃった?

 礼を言ってくる女の子に返事を返しながら、自己紹介した。

 

 彼女の名前は緋真で、腕に抱いている幼児はルキアというらしい。

 ……もしかして、俺は白哉と緋真の出会いを邪魔した?

 いやいや、待って、待ってください。

 そうとも限らないよね?

 確かに俺は二人と出会うだろうと予想したよ?

 だからってまさか、こんな早く出会うことはないだろ?

 え、それがフラグ?知ってる。

 

 よくよく考えたら緋真が妹を置いていったって話があったけど、その時のルキアは物心つく前だと推測できる。

 そんなルキアがこの治安の悪い戌吊で生き残れるか?

 ということは……だ。

 

 きっと少しの間だけでもルキアを育てた人物がいるはず。

 あんな古臭い喋り方もおそらくそこまで育てた人の影響で、その後は亡くなったか姿を消したんじゃ無いだろうか?

 

 つまり、今の俺はその立ち位置に居る!

 ルキアの育ての親になる訳だ!

 

 なんて事を僅か5秒で考えた俺は、緋真に護ってやるよ的な事を言っていた。

 言った後で、初対面の奴と一緒に暮らす訳ねーだろ馬鹿かって思った。

 けど緋真は目を丸くした後、少し笑ってから不束者ですがよろしくお願いしますと言った。

 

 あれ?

 俺もしかして、マジで白哉のフラグ折った?

 内心で冷や汗をかきつつ、兄の様に思って良いぞと言って軌道修正を図ったが成功したかわからん。

 

 確かに俺は二人と出会うだろうと予想したよ? 

 

 確か緋真は身体が弱いと言う設定があった気がするので、ルキアは俺が抱っこしつつこれからどうするか考えた。

 まずは家でだな。

 

 

 

 やぁ、諸君、俺だ。

 戌吊地区で少し離れた所にあった廃屋を修繕して、我が家へと作り直した響が通りますよっと。

 

 あれから、緋真とルキアと共に過ごしているが実に平和である。

 緋真も俺もルキアも腹が減るので、近くでキノコやら山菜やらを取ってきて食べる毎日だ。

 刀も拾ったので、たまに肉料理も食卓に並ぶ。

 因みに、食器や家具は全て俺作。

 日曜大工をしている俺に隙はなかった。

 何を作ってたって?聞くな、若気の至りだ。

 

 後ルキアが少し大きくなって、緋真がよく散歩に出かける様になった。

 どうやら俺の食事療法が効いた様で、儚い雰囲気をしていた緋真は少しずつ活発になりつつある。

 

 変なところで原作崩壊している気がするが、緋真達と暮らし始めて毎日が非常に楽しいので、それで良いと思っている。

 

 後、拾った刀は間違いなく斬魄刀であると思われるので、毎日1時間ほど刃禅をして、話が出来ないかなと思っている。

 

 あと、原作で言ってた霊力の練り方を参考にして、破道の四 白雷だけは覚えてたので使える様になった。

 おかげで離れたところから鳥とかイノシシとか仕留められる様になった。

 鬼道様々である。

 因みに、俺の白雷はレーザーの様になったと言っておこう。

 

 さて、毎日が楽しくて嬉しいのだか問題もある。

 緋真とルキアに兄として慕われてる俺は、原作がどうなるか恐ろしく思えるのだが、一体どうすれば良いのだろうか?

 

 緋真は白哉と結婚できるのか?

 そもそも出会っているのか?

 ルキアは朽木になるのか?

 ならなかったらどうなるんだ?

 ルキアが一護と接触しなかったら原作はどうなる?

 

 ぐるぐるとそんな考えが巡って……まぁなる様になるだろうと、俺は考える事をやめた。

 

 

 

 

 

 

 


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