速度に関しましては、読者の皆様の想像を働かせるために、数値の明文化はしないことにしました。
皆様の想像を掻き立てるような表現を出来るように頑張りますので、宜しくお願いしますm(__)m
そして、今度はお昼だけのお話しです。
楽しんでくれると幸いですm(__)m
朝の授業も終わり、俺は修練場で蛇尾丸を解放していた。
俺の斬魄刀は直接攻撃系に当たる斬魄刀だが、若干鬼道系も混じる。
斬魄刀の形状は、鉈のような刃が3つほど並ぶ刀身と蛇の骨を削ってできたような刀身がある。
蛇尾丸を横に一閃すると、鉈のような刃が分裂して、伸びる。
そして、なぜか刃が3つから伸びた距離によって数が増える。
大体1m間隔で一つの刃がある。
戻ってくると、刃はまた3つになる。
縦に振るう。
刀身が真っ直ぐに突き進む、そして霊圧を込めて操作すると刀身を自在にコントロールできる。
「狒々・連牙」
蛇の骨に溜まった霊圧が弾けて、標的の周囲に牙の形をした霊弾数十ほどが突き刺さる。
威力はあまり高くねぇ……もっと数を増やして動きを止める方法として使うか。
蛇尾丸を操作して、標的に刃が食い込むようにして巻き付く。
その状態で、さっきみたいに霊力の牙を作る。
さっきみたいに射出されず、形成された牙が刀身と標的の間で回転し始める。
回転し始めた牙が標的を抉るように削り始めた。
「蛇尾・葬牙」
蛇尾丸を引き寄せるように剣を振るうと、刀身が回転し、標的をずたずたに引き裂く。
やっぱこれってかなりえげつない技だと思うわ。
拘束して削って惨殺とか怖すぎる。
「なにえげつない事をしておるのだ」
「うるせぇ、蛇尾丸が教えてくれたんだよ。てか、テメェが言うな」
声をかけられた方を向くと、真っ白な斬魄刀『袖白雪』を手に持ったルキアの姿。
そして、その後ろにはひらひらと飛ぶ真っ白な蝶が10匹ほど見える。
さらに後ろには真っ白に染まった標的が。
「飛ぶ蝶は綺麗だと思うのだがな……」
「その技の名前が『死の舞・白死蝶』じゃなけりゃな。なんだよ死の舞って、即死かよ、怖えよ」
「失礼な、即死ではない……が、死んだ方が楽かもしれんな……」
「は?」
「あの標的を触ってみよ。そうすればわかる」
「……俺は大丈夫だよな?」
「私と袖白雪が命令しなければ無害だ」
ルキアの言葉を聞いて、恐る恐る標的の藁人形を触る。
「は? はああああああああああ!?」
カシャンッと小さな音を立てて、粉々に砕け散った。
「今のは標的に白死蝶が群がったからだ。本来の白死蝶は一部だけを完全に凍結させ、動かしただけでその部位を砕けるほどに脆くするのだ。まぁ、少し霊力を込めれば防ぐことは可能だが……見ての通り、生み出すのに大した霊力は使わん」
ルキアの方を見ると、袖白雪の周囲から凄まじい数の白死蝶が……
「テメェにだけは絶対にえげつないとか言われたくねぇ」
「私も返す言葉がないな、袖白雪も恐ろしい技を教えてくる……む? いや、別に嫌いになってはおらんよ。少しばかり驚いただけだ」
袖白雪に何か言われたのか苦笑しながら、斬魄刀に触れているルキア。
「そういや、袖白雪ってどんな姿してんだ?」
「見た目は白い着物を着て、美しい白く長い髪をした女性だ。本体曰く、雪女のような格好だと言ってたが……」
「へぇ、人型なんだな。俺の方はでかい狒々にしっぽが大蛇になってる姿だったぜ」
「ほう、狒々と大蛇どちらも自我があるのか?」
興味深そうな顔をして俺の斬魄刀を見るルキアに笑う。
「おう。狒々の方はよ、中々おしゃべりが好きな奴でよ。早く具象化できるようになって酒を飲ませろとか笑いながら言ったりするな」
「ふむ、やはり斬魄刀というのはしゃべるのが好きなようだな。まぁ、私も袖白雪と話すのは楽しいから好きだが、と、袖白雪。そんなに興奮するな。白死蝶がどんどん出てきておるぞ」
おうおう、袖白雪には大分好かれてるみてぇだな。
白死蝶がもう数えきれないくらい出てきてんだが……
ゆっくりと白死蝶から距離を取りつつ、話を続ける。
「んで、大蛇の方はよぶっきらぼうなんだが、俺がどういう風に斬魄刀を使えばいいか迷ってたりすると、色々と教えてくれんだ。さっきの技も大蛇が教えてくれた技だな」
えげつないって言った時は『敵に遠慮は必要ないだろう?』と言われた。
確かにそうだけど、精神衛生上やばくね?
「お前たち一家は相変わらず出鱈目だな」
「! 白哉兄様!?」
「白哉さん!?」
声が聞こえて振り返ると、死覇装を着た白哉さんがそこに立っていた。
「二人とも久しぶりだな」
小さく笑いながら、こっちに近づいてくる。
「はい、お久しぶりです」
「白哉さんの死覇装姿って初めて見るっすね」
「そうだったか」
いつも屋敷では死覇装ではなくて、普通の着物着てたしな。
「白哉兄様、本日はどうなさったのですか?」
そういや、なんで修練場に来たんだ?
隊長格がここに来る用事なんてあんのか?
「今日は二人に用があってな」
「私達に?」「俺達にっすか?」
思わず首を傾げていると、少し笑みを浮かべていた白哉さんが真剣な顔になった。
「あぁ、二人とも我が朽木家の養子にならぬか?」
「申し訳ありません、お断りします」
「わりぃ、白哉さん。それは無理だわ」
白哉さんの言葉を聞いて、俺とルキアはすぐに頭を下げた。
「……予想してはいたが、やはり即答か」
ハァと小さくため息をついた白哉さんには悪いが、俺は兄貴の家族でいてぇな。
ガキの頃にルキアに拾われたとはいえ、ここまで俺らを守り続けてくれた人だ。
その恩を返してぇ……まぁ、兄貴にそんなこと言ったら家族に気を遣うなとか言われそうだけどな。
「つーか、断られるって白哉さんもわかってたんじゃないすか?」
「私に至っては、子供の頃ではありましたが一度お断りしたはずですが……」
「まぁ……御爺様がな……」
「あ、納得です」「今度顔出しに行きます」
銀嶺の爺さんは、流魂街出の俺達をかなりかわいがってくれたからな。
最近は全く朽木家の屋敷に顔も出してなかったし、寂しくなってきたんだろ。
「兄上が死神になる時にもう一度声をかけると言って聞かなくてな……兄上にも断られたが」
「兄貴が誰かに守られるっていうのは想像がつかねぇな」
「まぁ、精神的には私達も支えにはなれているのだろう」
兄貴は本当に何でもできるからなぁ……支えになれてるなら嬉しいがよ。
「では次だ」
「? まだ何かあるんすか?」
「なんでしょうか?」
今日は本当に珍しいな。
「二人共、我が隊へ入隊せぬか?」
「白哉兄様、度々申し訳ありません。私は卒業時に配属された隊で頑張りたいと思っていますので、六番隊に入隊するとは言い切れません」
「あー、俺も右に同じです。自分の実力で這い上がりたいんです」
まぁ、目下の目標はルキアより先に上に上がることだけどな。
姉を自称してるっていうのもあるのかね、いっつも俺よりも先に行きやがる。
ちったあ、俺にも守らせてほしいもんだぜ。
「……そうか……恋次」
「? なんすか?」
「……私は仲間はずれですか……」
ちょいちょいと手招きされて、ルキアから離れる。
ルキアが何やらつぶやいてたが聞こえなかった。
ルキアから少し離れた所で止まると、白哉さんが話しかけてきた。
「恋次は、ルキアの事を好いておろう?」
「なっ!? なななななななにを!?」
なんでいきなりそんな色事の話になんだよ!?
「ルキアよりも強くなろうとしているのだろう?兄上から聞いた」
「兄貴いいいい!!何言ってくれてんだ!?」
思わず叫ぶと、白哉さんが眉をひそめた。
「声を落とせ、ルキアに聞かれるぞ」
「ぐっ! いや、白哉さんがいきなり変なことを聞いて来るからでっす!」
「言葉遣いが変になっているな」
「誰のせいだと……!」
「まぁ、それは良い」
良くねぇ!!
が、これ以上わめいても話が進まないのでぐっと堪える。
「ルキアよりも強くなりたいのならば私が手を貸そう」
「!? ど、どういうことですか?」
「我が隊の副隊長が家業を継ぐと言う事で、もうじき除隊するのだ」
「つ、つまり俺に六番隊の副隊長になれと?」
白哉さんは俺の問いに頷いた。
「今すぐと言う訳ではない。だが、我が隊に来るのならば、私が修行の相手となろう」
「ま、まじかよ……」
隊長格である白哉さんに修行をつけてもらえるとか、願ってもないチャンスだ。
「私が、緋真と結ばれるために世話になった兄上の助言もしよう」
「兄貴、そんなことまでしてんすか」
思わずつぶやくと、白哉さんは嬉しそうに笑った。
「兄上が助言をしてくれなければ、桃花は生まれて来なかっただろう」
「一体どんな助言したんだよ兄貴」
今は見た目が14歳くらいだったっけ?
大分前から成長が止まってる気がしたけど、やっぱ緋真さんとルキアの遺伝子って成長に乏しいのか?
まぁ、才能は親譲りって感じだったけど。
俺の脳内では既に70番台の鬼道と瞬歩を楽々と使う桃花と90番台の鬼道を会得した緋真さんの姿が映し出された。
……下手しなくても、俺やルキアよりも強い可能性があるよな。
斬魄刀はまだ持ってなかったはずだけど、そこら辺どうするつもりなんだろうな。
孫馬鹿な銀嶺さんがいつか持ってきそうな気もするけど。
そんなことを考えつつも、俺の天秤は六番隊へと揺れていた。
「なんで、そんなにも気にかけてくれるんですか?」
こんなにも俺の事を買ってくれてるのは嬉しいが、本当になんでだ?
白哉さんは笑って教えてくれた。
「私は緋真と結ばれた後も、兄上に世話になった。礼というのもあるが、恋次は使えそうなのでな」
「……なんだか、副隊長になったら大変そうですね」
「それだけ、私は恋次とルキアを買っているのだ。……今の私の交渉材料では恋次しか釣れそうになかったのでな」
「堂々と釣るっていうんですか」
「隠しても仕方あるまい?」
白哉さんってこんなに愉快な性格してたっけ?
……兄貴と桃花と緋真さんの所為だろうな。
思いっきりため息をついて、俺は白哉さんを見た。
「了解っす。副隊長になる実力をつけたら、お願いします。朽木隊長」
頭を下げると、小さく笑い声が聞こえた。
「そう呼ぶのは隊務の時だけにせよ。普段は白哉さんで良い」
「了解!」
「では、何れは頼むぞ」
「はい!白哉さんもお願いしますよ」
「あぁ。ルキアと結ばれると良いな」
「っ! はい!」
思わず叫びそうになったが、認めないことには先に進めないだろう。
あぁ、そうだよ。
俺はルキアが好きだ。
護られるよりも護りてぇ。
だからこそ、もっと力が必要なんだ。
だからよ、頼むぜ蛇尾丸。
そう思いながら、いまだに解放状態で手に持っていた蛇尾丸の刀身を撫でる。
『ガッハッハッハ!任せておけ!お前なら何れワシ等の本当の名を聞くこともできるだろう!』
『精進せよ。私はそう簡単には認めんぞ』
帰ってきた言葉に、笑う。
「望むところだ。ぜってぇ認めさせてやるぜ」
『ワシは酒を飲ませてくれたら認めてやるかもしれんぞ?』
『狒々、いい加減にせよ』
『大蛇は固いのう』
ルキアと話している白哉さんを見る。
斬魄刀『千本桜』
今は見切ることもできねぇが、いつかは……
そして、白哉さんも超えて、兄貴を超える。
そうすれば、俺は自信をもって言える。
ルキアに、俺の気持ちを。
斬魄刀を力強く握る。
「よっしゃああ!! やるぜ! 蛇尾丸!!」
『応!』『失望させないように精々頑張れ』
「白哉兄様、恋次に一体何を言ったんです?」
視線の先で、やる気全開にして刃禅をやり始めた恋次を見つつ、尋ねた。
「少し助言をな」
意味深に笑う白哉兄様の姿に、これは教えてもらえないなと察して頷くだけにとどめた。
男同士の秘密というものだろう。
「ルキア、桃花が会いたがっていたが、時間はあるか?」
「そうですね……では、午後の授業が終わり次第、朽木家を伺わせて貰います」
「そうしてくれ。兄上にも会いたがっていたが、今日は忙しいようでな」
苦笑する白哉兄様に、私も同じように苦笑を返した。
「響兄様は書庫に籠っていますからね。卒院まで時間がありませんから、できる限りの知識を詰め込むつもりみたいです」
「そこまでしなくとも良いと私は思うのだがな……」
「まぁ、響兄様ですから」
私がそういうと、白哉兄様は苦笑していた。
何故だろうか?
「其方たちも同じような事を言われているのは知っているか?」
「私達もですか?」
何かあっただろうか?
特に思いつくことがないのだが……?
「響一家はどこか普通じゃないと、瀞霊廷まで噂されている」
「失礼な話ですね……と言いたいですが、まぁ言わんとしていることはなんとなくわかります」
既に斬魄刀を持っていて、始解までできる。
実習では、私と恋次、前までは響兄様の三強だった。
響兄様はいつの間にか教える側に回っていたが……深く考えてはいけないことだろう。
「そろそろ時間だ。私は隊舎に戻るとしよう」
「はい、お気をつけて」
「あぁ、恋次にも来るか聞いておいてくれ」
「わかりました」
「ではな」
去っていく白哉兄様の背中に一礼する。
そして、袖白雪を見て、刀身を撫でる。
『んっ、どうしたの?』
「いや、これからもよろしく頼む。袖白雪」
周りにヒラヒラと飛んでいる蝶を一瞥すると、シャンという音と共に蝶が雪へと変わった。
結構な数が飛んでいたため、この修練場にだけ雪が降っているような状態になっている。
『ふふふ、えぇ、宜しく我が主様。本当の名を言える日が待ち遠しいわ』
本当に楽しそうな声に、私は苦笑する。
「いつかは、な。今の私の力では、まだ具象化することもできぬ」
『大丈夫!それもそんなに遠くないわ。だから待ってるね?』
「袖白雪が言うのなら、できるだけ早く具象化できるように頑張るとしよう」
袖白雪を横に一閃して、始解を解く。
鞘にしまって、雪が残る修練場に背を向けた。
「恋次、そろそろ午後の授業だ。戻るぞ」
「おう、もうそんな時間か」
恋次を伴って、修練場を出る。
「恋次、今日の終業後桃花へ会いに行くぞ」
「大分久しぶりだな。また振り回されそうだ」
「日に日に瞬歩に磨きが掛かってるからな。今回はどれほど追いかけまわされるのやら」
「まぁ、俺としてもいい修行になるから別にいいんだけどよ」
「ふふふ、私もだ」
さて、あと数時間。
頑張るとしようか。
と、言う訳で恋次とルキアは養子の話を蹴りました。
恋次はルキアと結ばれるために、副隊長になることを決意した模様。
でも恋次さんや。
これって響兄さんに聞けば、一発やで。
まぁ、忙しい兄貴に手間をかけさせたくないという弟の気遣いですw
今回も楽しんでいただけたでしょうか?
次は、少し要望があった白哉と緋真の娘であるオリキャラ「桃花」ちゃんと恋次達のお話です。
…………今、軽く書いてますが、1万文字超えるかもしれない…………