転生した彼は考えることをやめた   作:オリオリ

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またもや遅くなってしまいました、オリオリです。
お待たせして申し訳ない、そして短いです。
いや、もう響の所為で原作崩壊してて、オリジナルストーリーになりそうなこの頃。

今回も楽しんで頂けると幸いです!


第二十四話 覚醒の一護

 ルキアと会ってから早いもので3カ月がたった。

 俺が見つけた霊や、俺に憑いてきた霊はルキアに頼んで成仏してもらっている。

 おかげで俺は今までにない生活を満喫していた。

 

「待たせたな、一護」

「おう、ルキアもお疲れ様。そんでもってこいつら頼むわ」

「任せておけ」

 そうして今夜もまたやってきたルキアは、霊達を魂葬していく。

 

「んじゃ、少し待っていてくれ」

「あぁ、私は本を読んで待っている」

「おう」

 魂葬を終えたルキアは懐から本を出して、ベッドに腰かけて読み始める。

 これもこの三カ月で当たり前になった光景だ。

 俺は下から夜食として多めに作ってもらった夕食をよそって部屋へと戻る。

 

「おにいちゃーん、あんまり寝る前にごはんたべちゃだめだよー」

「今は成長期なんだよ」

 遊子に適当な言い訳をしつつ、部屋へと戻る。

「ルキア、飯だぞ」

「……何故かそう言われると、ペットの様に扱われている気がするな」

「そんなつもりはねぇぞ」

「わかってるさ、ただちょうど小説でペットに呼びかけるシーンがあったのでな」

 

 そう言いつつ、ルキアは頂きますと言って夕食を食べる。

 朝と昼は協力者がいるらしく、そちらで食べているらしい。

「うむ、美味い」

 食べてる姿はお嬢様っぽいのに、出る言葉はまるで貫禄のある父親の様だ。

 家の親父よりも貫禄あるんじゃねぇか……?

 

 そんなこんなで食事も終わり、軽く雑談をする。

「また虚が出たのか?」

「あぁ、最近はどうも数が多い。一護も気を付けよ」

「わかってるよ。狙われたら逃げりゃいいんだろ?」

 ルキア曰く俺の霊力と霊媒体質を例えるなら、暗闇中で力強く燃える焚火で、その光に集まる虫が虚とのことだ。

 すっげぇわかりやすいが、要は誘蛾灯みたいなもんだろ。

 少なくとも俺が狙われている間は他の霊体などは狙われ難いだろうと言われた。

 

 流石にそのまま逃げるだけっていうのも癪だと言ったら、協力者から術を込めた呪符を買って来てくれた。

 呪符をバットとかに張り付けて霊力を纏わせるもの、後結界の効果がある呪符を二枚もらった。

 ルキアには感謝してもしたりねぇくらいの恩がある。

 化け物と言ってもみなければわからないだろうと、一度だけ虚退治を見せてもらったが凄かった。

 

 ルキアの二倍の大きさはありそうな虚を、縛道ってやつを使って動きを止めて、破道ってやつで倒していた。

 っていうか指からレーザーってやべぇだろ。

 本当にルキアには世話になりっぱなしだ。

 この呪符だって絶対安くねぇだろ。

 まぁ、そんなこと言ったら

「私も友人を失いたくはないからな、一護が生きる為に時間を稼いでくれれば駆けつける事もできる。なら安い出費だ」

 となんとも男前なことを言われた。

 

 ルキアが赤ん坊の頃に姉共々拾ってくれたっていう嵐山響って人の影響らしいけど、女なのにここまで漢らしくなるくらい影響を与える男ってどんな漢だ。

 

 ピピーピピー

 そんなことを思っていると、ルキアの伝令神機から音が聞こえた。

「また虚か?」

「あぁ、最近は本当に多いな……」

 流石に疲れてくると言うルキアに苦笑する。

「今度甘い物買ってくるぜ。何かリクエストはあるか?」

「……いいのか?」

 甘いものと聞いて目を輝かせたルキアに内心で笑う。

「あぁ、いつも世話になってるからなこれくらいどうってことないぜ」

 中学生と言っても小遣い全然使ってないからそれなりにある。

 

「な、なら……白玉あんみつが食べたい……」

「おう、任せとけ。明日買ってくるからよ」

 俺がそういうと、ルキアはめっちゃうれしそうな顔をした。

「ふふふ、やはり一護は色男だな」

「……それまだいうのかよ……」

 思わずげんなりとする。

「今度は割と本気でそう思っているぞ? この三カ月付き合ってきたが、私がそう思うのだ。自信を持つがいい」

「……あれ、これって褒められてんのか?」

「私はそのつもりだったが、言い直した方が良いか? 一護は良い男だよ」

 

 揶揄いかと思ったら、どうやら褒められていたらしい。

 真正面からそう言われるとどうも気恥ずかしい。

「……ありがとよ……」

「ふふふ、むっ、少し時間を取りすぎた。行ってくる」

「……おう、気を付けろよ」

「あぁ、ではな」

 窓から飛び出して一瞬でルキアの姿が消える。

 

「瞬歩ってやっぱすげぇよな」

 武術で言う縮地法って奴なんだろうけど、空中でも使えるとかずるくねぇ?

 さて……うまい白玉あんみつがあるとこってどこだっけか。

 

 店は明日調べるとして、さっさと宿題終わらせちまうか。

 

 元々そんなに多くもない宿題をささっと終わらせて、そろそろ寝るかと背伸びした。

「っ!?」

 背中に寒気が走った。

 なんだかわからねぇが、此処に居るのはマズイ!?

 

 咄嗟にバットと呪符をもって、扉を蹴り飛ばすように開けて走った。

「おにいちゃん!? どこいくの!?」

「散歩だ!!」

 バットもってどこへ散歩行くんだと自分で言ったことに内心で突っ込みつつ、靴を履いて家から離れる様に走る。

 

 呪符をバットに張り付けて、結界の札を懐に入れる。

 背中に走る寒気はどんどん強くなる。

 走りつつも俺はこの寒気の原因を理解していた。

 寒気が一層強くなった瞬間、俺はバットを振り向き様に振り払う。

 バキィッ!という音の後に「ギィィィ!!」と言う鳴き声のような声がした。

 

「ハッ! やっぱり……な……」

 予想した通りバットに当たったのは、四足歩行の化け物……虚だったことを確認して、目を見開いた。

 俺が殴りつけた虚がのた打ち回る。

 今ならバットでもとどめをさせたかもしれないが、俺の意識は虚の向こう側に向かっていた。

 黒い雲が蠢く。

 その雲めがけて閃光のようなものを放ちながら、こちらに向かってくる見慣れたルキアの姿。

 だがその表情は、今までにないくらいの焦りが浮かんでいた。

 

 ルキアが何かを叫んでいる。

 その声は今の俺には遠くて、うまく聞き取れない。

「……嘘……だろ……!?」

 なぜなら、目に入ったものに完全に意識を奪われていた。

「……れ……ご……!」

 ルキアは完全に反転して俺を目指して走ってくる。

 その後ろにいるのは……

「走れ一護!!」

 虚の大軍だ。

 

「ッ! この莫迦者!!」

「おわぁ!? る、ルキア!?」

 まだ少し距離があったのに、気が付いたらルキアに抱き上げられていた。

「虚を目の前にして呆ける奴があるか!!」

「わ、わりぃ……」

 汗にまみれたルキアの顔を見て、俺は謝る事しかできなかった。

 

 見た所怪我はしてねぇみたいだけど、息を切らしてる。

 今まで一度も見たことない姿に、どれだけヤバい状況なのか否応なしに理解させられる。

「一護……よく聞け……あの虚たちの狙いは一護だ。私は、完全に、無視された」

 息も絶え絶えに、ルキアが今の状況を説明してくれた。

「はっ!? 俺が狙い!? つか、ルキアおろせ! お前も辛いだろ!」

「囲まれたら、一護を、護り切ることが、できん!」

 追いついてきた虚と一気に距離が開いた。

 瞬歩を使ったみたいだが、ルキアはかなり苦しそうだ。

「だけど、このままじゃ共倒れだろ!? それに結界の呪符だってある!」

「四・五体なら、ともかく、あの数では、数秒も、もたん」

「くそっ!」

 これ以上はしゃべらせるのもキツイだろ。

 なにか、なにか手はないのか!?

 

「ルキア、頷くか首振るだけでいい! この呪符を売ってた奴は助けになりそうか!?」

「……」

 ルキアは首を横に振った。

 くそったれ!! 俺はとんだ足手まといじゃねぇか!!

 このままじゃ、どっちも死んじまう……!

「俺の霊力を分けることはできるか!?」

「……ッ」

 ルキアは即座に首を横に振って、また瞬歩を使った。

 もうこれ以上はルキアも持たねぇ……多いって言われた霊力も今は意味ねぇってぇのかよ……

 どうにか……どうにかならねぇのか……

 俺にもルキアみたいな力が……死神の力があれば、時間を稼ぐくらいは……ッ!?

 

「なん……だ……?」

「どう、した?」

 ルキアが声をかけきたが、それよりも胸の奥で何かが騒ぎ立てる。

『…………』

 なんだ……?

 一体何なんだよ……?

『………………ベ…………』

 心臓を掴むかのように胸を強く掴んだ。

 何かに呼ばれてる……?

 

『……え…………う』

 …………よくわかんねぇが、この感覚は…………

 

 ふと、周りが静かになっていることに気が付いた。

 見上げてみれば、ルキアも、虚も全てが止まっていた。

 もう一度前を向けば、そこには黒いおっさんと白い、死覇装をきた……

「……俺……?」

 俺の声が聞こえたのかそいつはにやりと笑った。

 そいつから虚と同じような寒気を感じたが、今はどうでもよかった。

 

 なんとなく、思った。

 こいつらは、俺の力だと。

 さっきから呼びかけてきていたのは、こいつらだと直感した。

「戦うために、生きる為に、力を貸してくれ」

 気付けば俺は、そいつらの目の前に立って手を差し出していた。

『ハッ、こっちもテメェに死なれちゃ困るんだよ。今回は手を貸してやる』

 白い俺が不敵に笑った。

「どれだけ数がいたって負けねぇよ。命を張って護ってくれた奴がいるんだ。今度は俺が護る!」

 俺の言葉に、黒いおっさんが笑みを浮かべた。

『なら俺の名を呼べ』

「名前……? ! まさかアンタは!」

 黒いおっさんの手には、身の丈ほどの出刃包丁の様な物があった。

 

 これは、ルキアが持っている物と同じ斬魄刀……!?

『これが見えるなら、俺の名も聞こえるだろう』

『まどろっこしい奴だな、とっととやろうぜ。』

「あぁ」

 俺はおっさんがもつ斬魄刀に手を伸ばす。

『引けばお前の魂の輝きは衰え、負ければ死ぬ』

『俺が手を貸すんだ。あの程度の雑魚になんざ負けねぇさ。そうだろ、王よ?」

 斬魄刀を掴んだ手から、力が溢れて来る気がした。

『呼べ、我が名はーー』

 

 

「斬月」

 

 

 

 

 

 

 




と言う訳で、まさかの死神覚醒+斬魄刀の解放+一時虚化が原作一話くらいでやってきました。
主人公最強タグを追加するべきか……
ルキアが最後逃げに徹していたのは、霊力の多様でスタミナ切れ間近+虚がルキアガン無視で一護を狙う所為です。
しかし、響の時と言い、現世は虚の大軍に合うのがデフォルトなのか……
原作でも来てるし……(今の所)メノスが現れてないだけましかな。
実は浦原さん達の所には十刃が密かに出向いており、けん制されています。

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