ペルソナ4~真実を追う者~   作:メイプルメモリーズ

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ペルソナ、覚醒

(・・・ちょっと待て、何だこれは。)

 

 

「お・・・俺が・・・、2人・・・?」

 

「あ、あれ?ど、どっちがどっちだクマ?」

 

 

(・・・何だ、この状況は。)

 

 

悠は目の前の光景に驚愕の反応よりも、こんな思考が浮かんできた。

一体何故花村がもう1人いる?そういえば、以前読んだ本の中に似たような表現があった気がする。確か・・・・”ドッペルゲンガー”だったか?

 

 

『ククククク・・・・・。』

 

「な・・・何がおかしいんだよ・・・?」

 

 

悠がそんな事を考えている傍らで、突如現れた『花村陽介』の不気味な笑みに花村は反応する。

 

 

『花ちゃんの事、ウザいと思ってた・・・・か。ハッ、そー言ってる方こそウザいっての。』

 

「な・・・っ!?」

 

「っ!こ、この反応・・・!」

 

「・・・?知ってるのか?」

 

『てか、何もかもウザいって思ってんのは・・・・・・、自分の方だっつーの!

アハハハハハハハ・・・・・!」

 

 

途中でクマが何か気づいたようで、悠が聞いてみるものの、片方の『花村陽介』が狂ったような笑い声が響いた。

 

 

「あいつは・・・、『シャドウ』だクマ!!」

 

「・・・『シャドウ』・・・・?」

 

 

クマから出た聞き慣れない単語に悠は首を傾げた。

 

「・・・何だそれは?」

 

「抑圧された内面が具現化した存在・・・。それがシャドウだクマ。」

 

「・・・抑圧・・・?」

 

 

とりあえず、アレは花村陽介とは違うのだろうか。よく見れば、不気味な笑みを浮かべている方は金色の目をしており、背後からどこか禍々しい青いオーラが出ている。しかし、抑圧された内面、とはどういう事なのだろうか・・・。

 

 

『いつまで媚びへつらってイイヤツ面してんだよ?本当は商店街もジュネスも、全部ウゼーんだろ!?

 

そもそも・・・こんなド田舎暮らし自体、ウゼーくせになぁ!?』

 

「な・・・、何言ってんだ・・・!?俺は・・・そんな事思ってない・・・。」

 

 

シャドウと呼ばれた『花村陽介』の言葉に花村は反論する。しかし、その声は次第に弱まっていく。

 

 

『孤立すんのが怖くて、うまく取り繕ってヘラヘラして。半年前からそうやって誤魔化して。鳴上が来た時だって、そうだ。』

 

 

シャドウの『花村陽介』の言葉に花村は肩を震わせる。

 

 

(・・・?)

 

途端、悠は違和感を感じた。2人の花村陽介に対して。何かが、おかしい。

 

 

『「助けてくれたお礼に」?

そんなもん、ただの建前。本当はただ誰かといたかっただけ。誰かと話したかっただけだろ!?

転校生のコイツならって、勝手に期待してよ!1人は寂しいもんなぁ、誰かと一緒にいたいもんなぁ!?』

 

「・・・・・・・っっ!!」

 

 

シャドウの『花村陽介』の言葉に、花村は息を飲んだ。その顔には、信じたくない、と言いたいようなーーーー

 

 

(・・・・・あ・・・。)

 

 

何かが、繋がった。違和感の、正体が。

 

 

『小西先輩のためにだぁ?本当はそんなんじゃねぇのによ。

お前はココに来た時からワクワクしてたんだ。大好きな先輩が死んだって言うのに・・・何か面白い事があるんじゃないか、期待してたんだろ!?

こんなクソつまんねーもんが吹き飛ぶようなってなぁ!?』

 

「っ、違うっっ!!」

 

 

シャドウの『花村陽介』の言葉に花村は声を荒げる。

 

 

クマは、本当の事を言っていた。比喩でも、例えでもなく、ただ本当の事を。

ココは、偽りのないセカイ。鏡が何かを映すように、このセカイも『ありのまま』を映す。

 

 

『カッコつけやがってよぉ・・・。あわよくば、ヒーローになれるとでも思ったんだよなぁ?大好きな先輩が死んだっていう、らしい口実だってあるしなぁ・・・?』

 

「違う!!なんだよ・・・、なんなんだよお前!!」

 

 

抑圧された、心。それは・・・・・認めたくない、知りたくない『自我』。

つまり、あの『花村陽介』はーーーーー

 

 

『俺は、”お前”・・・、お前は”俺”・・・。

 

お前の・・・・・”影”だよ。』

 

 

花村の、『知られたくない本心』ーーーー。

 

 

「ふざけんな!!お前なんか、俺じゃない・・・・。」

 

 

花村はギッ!とシャドウの『花村陽介』を刺すように睨み、そしてーーー

 

 

 

 

「お前なんか・・・・・俺じゃない!!」

 

 

 

悲痛な『拒絶』が響いた。

 

 

 

『フッ、ククク・・・・、アッハハハハハハハハハ!

ああそうさ!俺は俺だ・・・・お前なんかじゃない!!』

 

 

 

拒絶された『花村陽介』は、狂ったように高笑いし、突如黒い影が彼に吸収され、背後の青いオーラが湧き出してきた。

 

 

その様子に悠の中で危機感が走った。

 

 

 

”マズイ・・・・・ッ!”

 

 

そう感じ取ったと同時に花村の腕を取ろうと手を伸ばすもーーー

 

 

バンッッ!!

 

 

「クッ!」

 

 

寸での所で影の塊から衝撃波が襲い、まともに受けた悠は地面に背を打つように吹き飛ばされた。体を起こして辺りを見回すと・・・

 

 

(あ・・れは・・・・っ!?)

 

『ジャッジャジャーーーン!!』

 

 

黒い影が晴れたその先には、下半身が迷彩のカエルに黒い人型が生えた巨大な異形が現れた。

 

 

「ヒッ、ヒエエエエエ~~~~!シャドウが暴走したクマ~~~~!!」

 

 

悠と同様に吹き飛ばされていたクマの悲鳴が聞こえた。

 

 

(傍観している場合じゃなかった!アイツが出てきた時点で逃げるべきだった・・・!)

 

『我は影・・・、真なる我・・・・。』

 

 

悠が悔やんでいる間にも、目の前の異形はゆらゆらと揺れながら抑制なく呟いた。

 

 

『退屈なモンは全部ブッ壊す。まずは・・・』

 

 

その言葉に悠はすぐに走り出しーーーー

 

 

『お前からだッッ!!』

 

 

異形の巨大な手が倒れていた花村に振り下ろされた。しかしーーー

 

 

ドッカァァァァァン!!

 

 

「ユ、ユー!ヨースケー!?」

 

 

間一髪悠が間に合い花村を庇い離脱したが、巨大な手が地面に直撃した衝撃に2人とも吹き飛ばされた。

 

 

「ケホッ、ケホッ・・・!」

 

 

埃が混じった煙に軽く咳き込むも、体を起こす。花村がいた所は、異形の手によってクレーターが出来上がり、地面の破片が散らばっていた。

 

 

(あんなの喰らったら、死ぬ・・・!)

 

 

「花村!花村っ!!」

 

「うっ・・・、な、るか・・・み・・・。」

 

 

花村に声を呼びかけても、その返事は弱弱しい。花村は意識を失いかけているようだ。ならば花村を運ぼうと前に回り込む。

 

 

 

ーーー我は汝・・・。汝は、我・・・・。

 

 

(っ・・・!こんな、時に・・・!)

 

 

突如聞こえてきたあの声と耳鳴りに頭を抱え、膝を着いてしまう。

 

 

「ユ、ユー!?何してるクマ!?早く逃げるクマ!!」

 

 

悠の様子に慌ててクマが駆け寄って来たが、当の悠は耳鳴りのせいでクマの声が聞き取れなかった。

 

 

 

ーーー汝、目覚めの時が満ちた。我、汝の”力”とならん・・・。

 

 

(目・・・覚め・・・?)

 

 

異質な、しかしどこか清浄な感覚が体中を駆け巡ってくる。

 

 

(・・・?)

 

「・・・な・・・んだ・・・・?」

 

 

頭上から、青白い光が輝いた。異形も、突如の光に警戒して動けなくなる。

 

 

よく見ると、1枚のカードのようなものから発光している。光は、ゆっくりと悠の右手に落ちてきた。そのカードには、タロットの『愚者』の絵ーーー。

 

 

(・・・ああ、そうかーーー・・・。)

 

 

なんとなく、分かった気がする。

 

この声は、一体何なのか。

 

この感覚が、何故懐かしいのか。

 

 

カードは悠の掌の上でクルクルと回って光を淡く輝かせている。

 

 

 

ーーー汝、我が双眸見開きて・・・・。

 

 

あの鉄仮面の巨人は、一体何なのか。

 

あれは、敵じゃない。

 

あれはーーーー

 

 

 

ーーー今こそ・・・発せよ・・・!

 

 

 

他ならぬ、『俺』・・・・。

 

 

 

「ペ・・・」

 

 

悠の声に答えるかのように、足元から仮面の魔方陣が浮かび現れた。

 

 

 

「ル・・・」

 

 

 

その魔法陣から、光と風が溢れ・・・。

 

 

 

「ソ・・・」

 

 

 

やがて、魔方陣とカードが一際強く輝き出しーーー。

 

 

 

「ナ・・・・!!」

 

 

 

ーーーーパキィィィン!

 

 

 

悠がそのカードを握り潰したと同時に、ガラスのような音と共に魔方陣も砕けた。

 

 

 

すると悠の背後から青白い光とオーラが溢れ出てくる。同時に、悠の身体中に”何か”が出てくる感覚に支配されーーー。

 

 

 

「・・・ウオオォォォォォーーー!!」

 

 

 

悠には似合わない雄たけびに答えるかのように、背後のオーラから巨大なシルエットが徐々に現れる。

 

 

 

「鳴上・・・!?」

 

「オヨヨヨヨ~~~~~!?」

 

『な・・・っ、なんだよ・・・これ・・・!?』

 

 

それぞれの戸惑いの声を無視し、光とオーラが晴れ・・・・その姿を現した。

 

 

 

それはかつて悠の前に出た、鋭い手で巨大な剣を手にし、白い鉢巻きと黒い長ランを身に纏った”鉄仮面の怪人”ーーーー。

 

 

 

ーーー我は、汝・・・。汝は、我・・・。

 

 

悠の背後の怪人から、低い声が響いてくる。

 

 

 

ーーー我は、汝の心の海より出でし”静の者”・・・、『愚者』の剣士・・・。

 

 

 

ーーー我が名は・・・、『イサナギ』・・・・。

 

 

 

「・・・さあ・・・・、」

 

 

その声に答えるように、イサナギは剣を構え、悠は目の前の『異形』に顔を上げる。

 

 

 

「これが・・・、プロローグだ・・・!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




『ペルソナ、覚醒』、やっと完成しました。
主人公、やっとイサナギを出しました。次はVS陽介です。
感情を失いかけた主人公は、一体何を見ていくんでしょうかね。はたしてどうなる事やら。
主人公に決め台詞を付けました。身勝手かつノロマな作者ですいません・・・。



『次回予告』

突如覚醒した謎の力、『ペルソナ』でシャドウの『花村陽介』に対抗する悠。しかしーーー


『ヒャッハア!そんなモンかよっ!?』

「ク・・・!」


戸惑いの中で苦戦する悠。まさに、死闘ーーー。


「お・・・俺は・・・・っ。」


己のシャドウに苦悩する陽介。



「あんな・・・っあんな訳分かんねー奴らのせいで・・・、先輩は・・・っ。」


残酷な真実による陽介の涙。


”愚者”鳴上悠はーーーー。



次回、『魔術師の涙』。お楽しみに!
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