ペルソナ4~真実を追う者~   作:メイプルメモリーズ

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戦車の葛藤の果て

『我は影…真なる我…。』

 

目の前にいる、里中のシャドウ。里中に拒絶され、暴走状態に入った時点で戦いは避けられない、と直感する。そうなれば、シャドウの狙いは……里中だ。

 

 

「やっぱ、こうなっちまったか…!」

 

「クマ。里中を連れて逃げろ。」

 

「わ、分かったクマ!」

 

『ハア?させないわよ!』

 

 

里中を連れ出そうとしたクマにシャドウが気づき、髪の触手が襲ってくる。

 

「それは俺のセリフだ!ペルソナぁ!!」

 

花村が召喚したジライヤの<ガル>で触手を防いだ。時間稼ぎのつもりで悠も武器を召喚して構えるが…。

 

「セ、センセ―――!ヨースケ―――!扉が開かないクマ―――!!」

 

「!?」

 

「なんだとぉ!?」

 

 

脱出が出来ないという状況に慌てて花村がスピードを上げて扉に突進するが、壊れない。ならばとジライヤが攻撃を仕掛けるが、壊れるどころかビクともしなかった。

 

 

「んだよコレ…!さっきまで開いてたのに!!」

 

「…まさか…、シャドウに、支配された…?」

 

「「…!!」」

 

 

悠の推測に、2人は息をのむ。里中からの離脱どころか、完全に閉じ込められてしまった。

 

 

『逃がさないって言ったでしょ?アンタらはもう逃げられない…。

袋のネズミよ!!』

 

「マジかよ…!」

 

 

シャドウの高笑いに、花村が苦い表情になる。脱出が不可能。なら…。

 

 

「…クマ。頼みがある。」

 

 

俺の声に顔を上げたクマと向き合う。1つの選択を秘めて。

 

 

「里中を守りながら、解析できるか?」

 

「クっ…、クマが…!?」

 

「!鳴上…!」

 

クマにはペルソナがない。それを知って尚、戦いに巻き込むという選択。それは精神年齢の幼いクマにとって、過酷な選択だ。

 

 

「鳴上…。…けど、クマは―――」

 

『何コソコソしてんの!?』

 

「っ、センセー、ヨースケ!雷クマ!!」

 

『泣き喚け!<マハジオ>!!』

 

 

花村が抗議した途中でクマの言葉に遮られ、瞬間、落雷が起こり煙が立ち上がる。

 

『…!?』

 

煙が晴れた先には、膝をつくも耐えしのいだ2人がいた。クマと里中は、傷1つない。

 

「いってぇ……。マジで、油断できねぇな…。」

 

『しぶとい奴ら…!!』

 

 

ジライヤが回復魔法<ディア>をかけていく中、シャドウが悔しそうに睨む。

 

 

「…センセ―!」

 

 

クマの声に2人が振り向く。クマの目には、先程の戸惑いが消えていた。

 

 

「…クマ、やる!センセーとヨースケを助けて、チエチャンを守るクマ!!」

 

「…よし。」

 

「クマ…。…よっし、里中は任せた!!」

 

 

クマの決意を見届け、シャドウと対峙する。

 

 

『…なぁに、アンタら?ホンモノさんを庇い立てする気?

…だったら、痛い目見てもらっちゃうよ!』

 

「うるせえ!大人しくしやがれ!

里中…、ちっとの辛抱だからな…!!」

 

『ハッ…、そううまく行くかしら?』

 

 

それを合図に、無数の髪の触手が襲い掛かる。

 

 

「当たるかよ!!」

 

『何!?速い…!』

 

「<ラクンダ>!」

 

「くらえ、<ガル>!」

 

『うあっ!?』

 

 

素早いスピードで髪の触手を避け切って接近してきた花村にシャドウが動揺してる隙に、補助魔法ラクンダで防御を下げた直後、ガルを受けたシャドウが後ろへ飛ばされた。

 

「疾風が弱点クマ!後、物理に耐性があるから、効きづらいクマ!!」

 

『油断したわ…。花村のクセに生意気なのよ!!アンタなんかにハメられるなんて!!』

 

「俺どんだけ下に見られてたんだよ!?

…けど残念だったな、もう1度だ!」

 

『調子に乗ってんじゃないわよ!<緑の壁>!!』

 

 

花村が再びガルを仕掛けるが、瞬時に現れた緑色のバリアがシャドウを包み、攻撃の風がただの風になった。

 

 

『あ~ら、いいそよ風ねぇ。』

 

「な、ウソだろ!?」

 

「あのバリアが、ヨースケの風を無力化してるクマ!」

 

「…イサナギ!!」

 

 

イサナギに命令し、スラッシュで髪の触手を切り落とし、力を送った刀で切りつける。普段の手ごたえは感じられないが、僅かながら効いているようだ。

 

 

「そうか、耐性があるっつっても全く効かねー訳じゃないのか…!」

 

「<ジオ>―――」

 

『ウジ虫があぁ!!』

 

「ぐあ……!!」

 

 

ジオを発動しようとするが、振り回した鞭で近くに居た悠が叩き飛ばされてしまった。そのせいで、ジオの魔方陣も発動せずに消えた。

 

 

「センセ―――!!」

 

「鳴上!…このヤロオオオォ!!」

 

 

花村が雄たけびと共にガルを発動させ、シャドウに仕掛ける。しかし、緑の壁によって例外なくただの風に変わってしまう。

 

 

『ハ…、まだやるなんて、バカの1つ覚え―――』

 

 

シャドウの言葉が途切れた。風の中に、光を帯びたクナイが迫ってきたからだ。

 

 

「これならどうだ―――!」

 

『キャアアア!?』

 

 

クナイが目の前で爆発し、それを目の前で受けたシャドウは後ろに倒れ、体制を崩した。同時に緑の壁が崩れ去るが花村はシャドウの横を通り過ぎ、倒れている悠に駆け寄る。

 

 

「鳴上!<ディア>!!」

 

「…、助かる…。」

 

 

花村がディアをかけてくれたお蔭で、さっきまで激痛で起きれなかった体をやっと起こせる。再び戦えるが、盗み見た花村の疲労した表情を見て、状況は最悪なままだと思い知る。

 

当たり前だ。俺のイサナギは補助魔法をいくつか備えているが、花村のジライヤのように回復魔法がない。故に回復できるのは花村だけなため、俺よりも負担がかかっているのだ。

自分は花村のシャドウの事で経験済みだったが、花村は今回が初めての戦闘だ。故にペルソナに頼りがちで、ここに来るまでペルソナを使っていた。

花村は最初からスキルを発動させるためのエネルギーが不十分な状態だったのだ。これでは、エネルギー切れを起こしてしまう。

 

 

『くらえ!』

 

「うおっと!」

 

 

シャドウの鞭が襲い掛かり、2人共間一髪避ける。空振りになった鞭が壁に叩くが、思ったより音が小さい。疑問を覚えた刹那、背後からの気配に気づいて振り返るが、遅かった。

 

「…な!?うあ!!」

 

「鳴上!」

 

 

背後から襲ってきた髪の触手に近くの柱ごと巻きつけられ、動きを封じられてしまう。その拍子にイサナギが消滅し、刀も手放してしまった途端、消えてしまった。

 

 

『コレを待ってたのよ!鳴上君がいなけりゃ、花村も目じゃないわ!!』

 

「髪をロープ代わりにしたのか…!!って、おわあ!?」

 

「あわわわわ、ピンチクマ~~~~!!」

 

シャドウの<マハジオ>に花村が慌てて防御するも、後方へ吹き飛ばされてしまった。加勢に行こうにも、強い力で巻きつく髪の毛のせいで身動きができない。

 

 

「うぅ…っ、くそぉ……!」

 

 

花村がなんとか再び立ち上がるも、動きが危うくなっていた。体力の消耗のツケが先程のダメージで来たのだろう。

 

 

「ハッ、フラフラじゃない。エラソーな事言っておいて。

それがアンタ達の現実なのよ!!」

 

 

シャドウが俺達を見て、声を上げて笑った。

 

 

『さぁ~て……、そろそろホンモノさんには退場してもらおうかしら?』

 

「く…来るなクマ!」

 

 

シャドウが近づき、慌ててクマが里中の前に出て庇う。体がガクガク震えていて、目は今にも泣きだしそうな怯えが宿っている。

 

 

『あ~ら、健気ねぇ…。

だったら、アンタも死んでもらうよ!』

 

「…うああぁぁぁ―――――――!!」

 

 

フラフラだったはずの花村がクナイを手に、シャドウに切りかかる。シャドウは寸での所で回避し、距離を取る。

 

『アンタ…、バカじゃないの!?なんでそこまでするのよ!!

あんな、うす汚い女なんかに…!!』

 

「うるせぇ!

もう…誰にも死なせねぇ―――――!!」

 

 

雄叫びと同時に<五月雨手裏剣>を発動し、無数の手裏剣がシャドウに迫る。しかし速さが遅かったため、すべて髪の触手と鞭で弾かれてしまう。

 

「うぐぁ…!」

 

「ヨ、ヨースケ!」

 

花村は再び襲い掛かる髪の触手を回避していたが、今までのダメージのせいで避け切れず触手に捕まってしまった。

 

 

『花村のくせに、やるじゃない。でも…、これでアンタも終わりよ!!』

 

 

触手の一筋が、花村に狙いを定める。シャドウは歪んだ笑みを浮かべ、対する花村は苦痛と悔しさで顔を歪ませる。

 

 

「く…そぉ……っ!!」

 

(花…村……。)

 

 

その光景を、悠は目に焼き付く。

 

 

(俺は…、何もできないのか…?)

 

 

母の故郷の八十稲羽で、俺より早く転校してきた花村。

話好きで、やたらリアクションが大きくて、時々妙な暴走して。でも、強固な意志を秘めた人間。

 

死にそうな目に合っているのに、身体を張れる花村。

 

目の前の恐怖に怯えながらも、里中を守るために自分を盾にするクマ。

 

俺だけ…何もできないまま―――

 

 

(…いや、違う。)

 

 

できないんじゃない。できていないんだ。自分の力を全部使い切れていないから、何もできていないんだ。

自分から、動くんだ。できる事を待つんじゃない。

 

 

(待ってるだけじゃ……、ダメだ……!)

 

 

途端、自分の中に光を感じた。イサナギが現れた時のように。

 

 

<我は汝…。汝は我…。>

 

 

頭の中で、あの時と同じ声が聞こえる。しかし、今度は聞き入れ、受け入れる。

 

 

<汝、新たな可能性を見出す。

我、汝の想いを叶えん…。>

 

 

声に導かれるように、自分の中の光に意識を集中する。次第に光が晴れ、姿を見せていく。

 

 

<我、汝の想いと共にあり…!>

 

 

右手で思いっきり髪を引きちぎり、右腕の自由を手に入れる。異変を感じたシャドウが咄嗟に悠の方へ振り向き、つられて花村とクマも振り向く。

 

 

「鳴…上…?」

 

『な…、何をする気!?』

 

「…<チェンジ>。」

 

 

本能のまま、言葉を発する。悠の手の平にアルカナが現れる。そのアルカナは、花村と同じ絵柄だった。

 

 

『させないわよ!!』

 

「…<ジャックランタン>!!」

 

パキィィン!

 

 

危険を感じたシャドウが鞭を振るうも、アルカナを砕いた悠の方が早かった。アルカナの破壊音と同時に、炎悠の周りに包み込み、鞭を焼いて無力化した。

 

 

『熱っ…!』

 

鞭に映った火がシャドウの手を襲い、思わず鞭を落としてしまった。

炎が晴れた先には、髪の束縛から脱出し刀を構える悠。

傍らにカボチャの頭に体を包むマント、ランタンを手にした異形――<ジャックランタン>が立ち塞がる。

 

 

「オヨ~~!センセーのペルソナが変わったクマ!!」

 

「行け!<アギ>!!」

 

 

クマの驚愕の声を余所に悠は指示を出す。刹那、花村を封じる髪を炎が襲った。

 

 

『キャアァァ!!』

 

「うわっと…!」

 

 

解放された花村が慌てて着地する。それを確認した悠はすぐに駆け寄る。

 

 

「無事か。」

 

「お、おぉ…ってか一体どうなってんだ!?ペルソナが二体!?」

 

「説明は後だ。…、遅れてすまない。」

 

「いいって。…でも本音を言えば、もっと早く助けてほしかったぜ…。」

 

『イ、イヤアアァ!手が…、あたしの髪がああぁ!!』

 

 

シャドウの悲鳴に2人はすぐに構える。2人を抑えていた髪が焼け焦げ、鞭を持っていた手が火傷を負ってた。

 

 

『よくも…、よくもあたしを!

許さない…、絶対に許さないわよ、アンタ達!!』

 

 

怒りに呼応するように、邪悪な青いオーラがシャドウを包み込んだ。威圧も、緊迫とした重いものに変わる。

 

 

「アワワワ、シャドウがパワーアップしたクマ!」

 

「まだ…終わっていない…!。何故こんな事に…。」

 

「…いや、明らかにお前のせいだろ。」

 

 

悠の言葉に花村がツッコミを入れる。シャドウとはいえ、女性の髪を台無しにしたのだ。それも、焼き落とすという形で。

いくら自分を助けてくれたとはいえ、シャドウの怒りは最もだ。花村は内心、シャドウに同情した。

 

「…鳴上、アイツの動きを封じれねぇか?」

 

「…?」

 

「俺に考えがある。」

 

 

花村の表情に、俺は感じる。戦いへの覚悟、そして先を見出した確信――――。きっと、この2つが花村から感じ取った正体なのだろう。ならば…

 

「…あぁ。」

 

 

花村に、賭けてみよう。戦いという、命の賭けを。

 

 

『何コソコソしてんのよ!?いっそ潰れなさいよ!!』

 

 

シャドウが再び<マハジオ>の魔法陣を発動させ、雷を襲い掛からせる。が、俺はギリギリでかわし続ける。

 

 

『何でよっ!何で当たらないのよ!?』

 

(…当然だ。)

 

 

中々攻撃が当たらない事にヒステリックになるシャドウに対し、俺は確信する。

 

確かにシャドウの攻撃は先程より威力が増している。だが、あのシャドウからはマイナス要素があった。

まず狙いが甘い。本人が憤慨して周りが見えてないためか、魔法陣の位置がまちまちなのだ。これでは体力を消耗するだけだ。

 

次に、隙がある。俺達のペルソナもそうだが、魔法攻撃をする際、魔法陣召喚から発動まで一瞬の隙がある。それにシャドウが暴走しているせいか、発動が少し遅れている。

攻撃はともかく、全く打開できない訳ではないのだ。だから、こうしてギリギリでも耐えられた。

 

 

「<アギ>!」

 

「くっっ…!」

 

 

目の前にアギを発動してシャドウを動揺させ、隙ができた所に急接近する。

 

 

「はあああぁ!!」

 

 

力を送り光を帯びた刀を、勢いに乗せてシャドウを支える女子生徒の1人に斬りかかった。斬撃に耐えられず、女子生徒は消滅する。

 

 

『アアアァ!!』

 

 

1人の女子生徒が消滅した事で体制が崩れ、シャドウが地に落ちた。その衝撃に残りの女子生徒は2人共消滅する。

 

 

『こ…このアタシを…っ!』

 

「ジャックランタン!」

 

『くっ……!』

 

すかさず、シャドウの周りに炎を仕掛ける。これで逃げ道はなくなった。

 

 

「助かったぜ鳴上。お蔭でエネルギーは足りそうだ。」

 

 

姿が見えなかった花村が俺の隣に駆け寄ってきた。どうやら、ペルソナをしまいカーテンの陰に隠れていたらしい。花村の表情が少し良くなっている。

 

 

『アンタら…バカじゃないの!?何でそんなにマジになれるのよ!あんな女なんかのために……!!』

 

「バカで上等。俺達は最初からマジだからな!!」

 

 

途端、シャドウの位置に魔方陣が出現する。シャドウが我に返った時は、もう遅かった。

 

 

「吹き荒れろぉ!!<マハガル>!!」

 

『キャアアアアァァッ!!!』

 

 

刹那、シャドウが上へ吹き飛ばされた。シャドウはこの暴風に抗えず、傷ついていく。

 

 

『嫌…っ、イヤアアァ―――――――!!』

 

 

シャドウは断末魔と共に、黒い煙に包まれ姿を消していく。花村の時と同じだ。煙が晴れた先には、シャドウが力尽きて倒れていた。

 

 

「あ~~~~~…っ、勝ったんだな、俺ら……。」

 

 

花村が限界とばかりにその場にしゃがみ込んだ。緊張が解けたのだろう。花村が一息ついている傍、悠は先程の光景が頭に浮かんだ。

 

 

(複数の魔法陣を、あえて一か所に集めて発動……か。)

 

 

あの時、花村が仕掛けた<マハガル>の魔方陣は全てシャドウの足元に召喚されていた。複数の魔方陣を一か所に集めて同時に発動する事で、攻撃をより強力にしたのだ。まともに受ければ、ひとたまりもない。

こんな方法、思いつきもしなかった。それに、クナイを爆発させて体制を崩した時もだ。それをあんな土壇場で思いつき、実行するなんて……。

 

 

(…これで、エンディングだな。)

 

 

「うぅ……。」

 

「里中、大丈夫か!?」

 

 

里中のうめき声に花村がふらつきながらも駆け寄る。里中はクマの手助けでゆっくりと立ち上がる。

 

 

「さっきのは…?

…っ!」

 

里中は状況が呑み込めてなかったようだが、目の前のシャドウを見て硬直した。

里中のシャドウは先程と違い、ただ里中を見つめるだけ。それがかえって不気味だったのか、体を震わせる。

 

 

「な、何よ…、急に黙っちゃって……。勝手な事ばっかり……っ。」

 

「よせ、里中。」

 

「だ、だって…。」

 

 

花村がたしなめるも、本人はまだ混乱している。

 

 

「…実はさ、俺もあったんだ、同じような事が。

さっきみてーに自分の嫌な所、認めたくない所を突き付けられた。」

 

「花村が……?」

 

「ああ。だから分かるし……その……誰だってさ、あるって、こういう一面……。」

 

「…皆、同じだ。」

 

「…皆……。」

 

 

花村と悠の言葉が、ストンと自分の中に落ちた。改めて、目の前のシャドウに向き合う。

 

 

「アンタは……あたしの中にいた、もう1人のあたし……って事ね……。」

 

 

アンタは、ただあたしを見つめるだけ。

 

 

それが返ってブキミで、まだ怖いけど。

 

 

「ずっと見ない振りしてきた、どーしようもない、あたし……。」

 

 

今なら、向き合える。こんなに醜くて、ダメダメでも……。

 

 

「でも、あたしはアンタで……、アンタは、あたし……なんだよね……。」

 

 

『…やっと気づいたの?鈍いったらありゃしない。

まぁでも…アンタにしちゃ、頑張ったんじゃない?』

 

 

目の前のアンタは憎まれ口を叩くも、その表情は清々しかった。

 

 

「あたし……、まだ、やり直せるかな……?」

 

『だからあたしがいるんでしょ?あたしが傍にいてあげるわ。

…感謝しなさいよね?』

 

 

その言葉に、シャドウが清浄な光に包まれる。直後、先程とは違う姿をした異形―――ペルソナが現れた。

フルフェイスヘルメットを被り黄色のタイツを纏い、薙刀を手にし、武人のような貫禄ある雰囲気を持つ巨人。

それを、里中は黙って見上げていた。

 

 

「…ありがとうね、トモエ。」

 

 

トモエと呼ばれた巨人はタロットカードに変わり、里中へと降りて溶け込んだ。

自分の中で、光が囁く。

 

 

 

 

 

―――我は汝、汝は我…。我は汝の心の海より出でし“動の者”…、『戦車』の武人……。

―――我が名は、『トモエ』……。

 

 

 

 

 

 

穏やかなその声に、あたしは知らずに涙を流した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆さん、お久しぶりです。そしてゴメ―――あぁ石投げないで!
や、もう弁解の余地もありません。

亀更新ですが、それでも読んでくれる読者様には本当にありがとうございます。
では次回予告です。


『次回予告』

里中もペルソナ使いになり、天城救出の戦力を固める悠達。
そんな中、里中の提案で準備を優先する事に。

「…コレ、落ちたよ。」

「…ありがとう。」


いつも使っている栞が導く、出会い。


「…ついに、始まりましたな。」


イゴールとの、対面。


「悠って言うんだ。
…まぁ、よろしく。」


彼女との出会いが、何を意味するのか……。


次回、『戦いの前に』。お楽しみに!

「これで、エンディングだ!!」
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