4月14日。
「はぁ!?
テレビの中に入りかけた!?」
「なにそれホラーじゃん!!」
翌日、2人にマヨナカテレビの事を聞かれ昨日の事を話したら、2人ともすっきょんとんな声を出した(鉄仮面の巨人の事は抜きで)。
まあそれが普通の反応だろう。
「俺も里中もなんか人影っぽいのが見えたけど・・・、それだけだったぞ?」
「同じく。
・・・あ、雪子は見た?この間言ってたヤツ。」
「ううん、私は・・・・・・、あ。」
天城が里中の問いに答えた後、時計の針を確認してハッ、とした顔になる。
「ご・・・ごめん、もう行かなきゃ・・・。」
「家の手伝い、忙しいの?」
「うん・・・。ごめんね・・・。」
「そっか・・・。がんばってね!」
「うん・・・。・・・じゃあ、お先に・・・。」
天城は里中に見送られて教室を出た。
家業の手伝いのようだ。
「しっかし、お前・・・テレビの中に吸い込まれかけたってのは、ただの夢じゃないか?
もしくはマヨナカテレビの事で動揺してたとか。」
・・・否定できない。
確かに都市伝説だとばかり考えて全く信じてなかったから、実話だったという事実に動揺していたし・・・・・、正直悠自身も実感が曖昧である。
・・・というか、ほとんど悠の心を占めているのは現実の逃避、つまり夢でありたい、というのが本音だ。
「でも夢にしたって面白い話よねぇ。
テレビが小さかったおかげで入れなかった、とか妙にリアルっていうか。
・・・もし大きかったら、ホントに入れたりして。」
(・・・え。)
「なんなら、ジュネスの大型テレビで試してみるか?
なんつって!あはははははは!」
「・・・マジで来ちゃうんだ?」
結果、花村の軽口が原因で放課後、ジュネスの家電コーナーへとやってきた。
「いいじゃん。
ウチ、ちょうどテレビ買い換えたかったし。花村のコネで安くなんない?」
「そーいうのはムリ!」
(・・・・?)
何故花村の事が出たのだろうか?コネ、というのも気になる。
「・・・ああ、言ってなかったか?
俺、ここの店長の息子なんだよ。お前と同じく、都会から越してきたんだ。
半年位前かなぁ・・・?」
「・・・なるほど。」
納得。それで「コネ」か。
「ジュネスができて便利になったけど、商店街の方はさみしくなったよねぇ・・・。」
「そう言う事、俺の前で言う!?」
里中の呟きに花村が反論する。
・・・便利を追及する分、それまでの人間が活用したものは忘れ去られる。
時代が発展する事による時代の弱肉強食みたいだ、というのが感想だ。
くと2人が顔を合わせて、目の前の大型テレビの前に出る。
その様子に首を傾げる。
「ムン!」と言うと同時に2人は液晶画面に手を付けた。ああ、俺の言った事を試してみたのか。
・・・何も起こらない。まあそれが普通なのだろう。
「・・・入れる訳ねぇよな、やっぱ。」
「だよね。
あ、そうだ花村なんかおススメのテレビとかある?」
「そうだな・・・。」
花村が里中の要求に答えるためにその場を離れる。
花村があるテレビを勧めたが、里中に高いと即答される。
2人が会話が進んでいる中、悠は目の前のテレビを見つめて昨日の事を考える。
(・・・あれは、夢だったのか?)
確かに、夢だったのかもしれない。現に、昨日の夜夢を見た。
・・・しかし、「テレビの中に引きずり込まれかけた」という部分は、本当に夢で片付けてしまっていいのだろうか?
(・・・試してみるか。)
そんな好奇心が生まれ、テレビに向かって右手を恐る恐る伸ばす。
(・・・夢だったら、それでいい。
それならどんなにーーーーー。)
微かな願いを抱えて、とうとう指先が画面に触れようとするが・・・、
ーーーフィィ・・・
右手が・・・・触れない。というより、刺さってる。
夢じゃなかったという確信半分と、夢じゃなかったという落胆半分が苛まれる。
昨日体験したせいか、もしくは驚き疲れているのか、当然の事だと言うように心が落ち着いている。
「そういやさー、鳴上。
お前んちのテレビって・・・・・、っっ!?」
「ん?どーしたの、花村?」
悠の様子に気づいたらしい花村の驚愕の表情に、里中が釣られるように後ろを向く。
里中もあり得ないこの状況に、目が点になる。
「あ・・・あいつの手、刺さってない・・・?」
「・・・え?刺さ・・・って・・・・って、
・・・はええぇぇぇぇっ!?」
2人が悠のすぐ傍まで近寄る。
「マジだ・・・、ホントに刺さってる・・・。
すげーよ、どんなイリュージョンだよ!?で、タネは!?」
タネはない。
(・・・もっと、入れる?)
さらなる好奇心によって、悠はテレビの縁に手をかけ、頭を突っ込んでみた。
「な・・・、鳴上!?何してんだ、お前ー!?」
「す・・・すげぇーー!!」
悠の行動に2人は仰天しながらも視線は悠から外さない。
「・・・中・・・、いや、空間?・・・か?」
「な・・・、中って、何!?」
「空間って何!?」
「・・・意外と、広いな。」
「ひ・・・、広いって何!?」
「・・・っていうか、何!?」
「ヤッベ、ビックリしすぎてモレそう・・・。」
「モレそうって、何!?」
悠は顔を突っ込んでいるため2人の様子は分からないが、会話によれば花村が驚きすぎて尿意にきたらしい。
花村がトイレに行ったかと思えば、またすぐ戻ってくる。
「客来る!客、客!」
「ええっ!?ちょっ、ここに半分テレビに刺さった人がいるんですけど!!
ど、どうしよ!?」
(客?なら出るかーーー)
ーードンッ
「え」
背後から衝撃が襲ったかと思えば、体は既に崩れて。
あ、マズイ。と思った時には既に遅し、真下へと落下していった。
「ーーーーっ、!!」
「ぐえっ!!」
「痛っ!!」
3人は派手な音を出して痛みに悶絶した。
「いっ・・・・、ててぇ・・・・。」
「ど・・・どこ・・・?ここ・・・・?」
里中の声に辺りを見回す。
辺り一面、霧に包まれている。
よく見ると何かのスタジオのような場所に悠達は着地していた。
あの時、自分はテレビの中に突っ込んで、落ちた。
と言う事は、
「・・・テレビの中。・・・・だろうな。」
「嘘でしょ!?てか、とんでもない事サラッと言わないでよ!」
「いや・・・、不時着した際、痛みがあった。
なら、現実である証拠だろう。」
「冷静に分析しないで!」
悠の呟きに里中が反発する。
「・・・怪我はないか?」
「え?ああ、あたしは大丈夫だけど・・・。」
「若干、ケツ割れた・・・。」
「元々でしょ。」
・・・2人とも大丈夫そうだ。
「・・・俺ら、どっから入ってきた?」
花村の声に、里中の動きが止まった。悠を除いて。
(・・・落ちた訳だから・・・・・・上か?)
「・・・出れそうなトコ、なくね?」
「ちょ、そんなわけないでしょ!?
やだもう帰るすぐ帰るー!」
「だからどーやって!」
「・・・二人とも、静かに。」
「あたしら帰れないって事・・・?やだもうふざけないでよぉ・・・。」
「ちょ、里中!帰れないとか言うなよ!」
「静かにーーー」
「何よっ・・・・、・・・っざっけんないでよぅ・・・。」
「泣きたいのはこっちーーー!」
「・・・落ち着け2人ともっ!!」
悠の大声に2人はビクッと震わせ、顔を向けた。
・・・久々に大声出した気がする・・・。
息を整えて一つ、息を吐く。
「・・・落ちたと言う事は、入口が存在するはずだ。
それに、人工物が存在するって事はかつて人がいたという事だ。」
「・・・うん。」
「・・・おぉ。」
悠の推測に2人は耳を傾ける。
少しは落ち着いたようだ。
「・・・2人とも、ケータイは通じるか?」
「・・・・ダメ。」
「俺のも・・・。」
「そうか。・・・調べてみよう。
何かわかるかもしれない。」
少しの沈黙が3人を支配する。
先に沈黙を打ち破ったのは、花村だった。
「・・・そうだな。とにかくここから出る事を考えねーと。
霧でよく見えねーけど、行けそうなトコ当たってみようぜ。」
「・・・・うん。」
2人は立ち上がった。
里中の方は、花村の服の裾を握っているが、大分落ち着いたようだ。
「行こう。」
悠の一言に、2人は先へと進む。
果たして、悠達は無事帰れるのか。
それは次回に続く!!(アレ、予告?)
初、後書きです。
今更でなんですが、これから予告も兼ねて後書きを書きたいと思います。
気まぐれなワタクシですが、どうぞこのお話、読んで下さい。
『次回予告』
謎の空間の中、悠達はここから出られる事を信じて、霧の中調査する。
(誰なんだ・・・、お前は・・・!)
悠にしか聞こえない、謎の『声』。
「君達は・・・誰クマ?」
3人の前に現れた、謎の生物。
「何でだよ・・・・何で・・・、こんな・・・・っ!!」
突然起こった悲劇、絶望する陽介。
突然起こった悲劇に、鳴上悠はーーーーー。
次回、『出会いと別れ、そして決意』。