これはゾンビですか?~純白の翼は飛翔する~《完結》   作:nightマンサー

2 / 23
第1話 出会い

 

 

 

 

 

 

 

 

とある冬の日の夜、俺は一人の少女と出会った。

それはとても幻想的で、儚く、夢のような出来事だった。

 

 

 

 

 

俺の名前は井ノ上飛翔(いのうえ つばさ)。神様から新しい命をもらって15年。

来年の四月に高校生になる予定の中学3年生だ。

俺の両親は仕事の都合で海外に住んでおり、俺も両親についていく予定だったが自分だけ日本に住んでいる。単に1人暮らししてみたいという俺のわがままだが。

今はマンションに一人暮らし。仕送りも適度にもらっているし生活には困ってない。

 

そして今俺は高校受験に向けて勉強中だ。

 

パキッ  カチカチ  カチカチ

 

「芯切れか、換えは…ないな。コンビニまで買いに行くか」

 

ここにきて

いつの間にか時計は10時と11時の間を指していた。

俺はジャンバーと財布を持って近くのコンビニへ出かけた。

 

 

「以上で482円になります」

 

「じゃ、500円からで」

 

「18円のお返しです。ありがとうございましたー」

 

その言葉を背に俺はコンビニを後にした。

俺が買ったのはシャーペンの芯にファOタ、ファミOキだ。

丁度小腹がすいていた所だしな、帰ってから食べるか。

そう思い踏み出そうとするとそこには水溜りがあった。

 

「そういえばさっき雨が降ってたな」

 

ちょうど俺がコンビニに入ってから降り出した様だったので少し心配していたが、どうやら通り雨だったらしい。

 

「さてと、また降り出さない内に帰るか」

 

言うが早く俺は帰路を急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数分歩いてからだろうか、丁度公園にたどり着いたときだ。

ベンチに人影が見える。

 

「ん?こんな時間に誰だろう?」

 

腕時計を確認してみるとすでに時間は11時を過ぎていた。

不審に思って近づいてみるとそこには一人の少女が座っていた。

月夜に映える銀髪のロングヘアー、この日本には不釣合いの西洋風の鎧を身にまとった美しい少女。

 

〔綺麗だ…〕

 

その一言に尽きる。飾る言葉なんて要らない、ただただ美しい。

 

『誰』

 

少女は俺に気づいたのか、俺に向かってメモを見せてきた。

 

「あ、えっと、俺の名前は井之上飛翔、君は?」

 

『ユークリウッド・ヘルサイズ』

 

「えっと、じゃあユーって呼んでいいかな?」

 

『かまわない』

 

馴れ馴れしいかと思ったけど了解してくれた。ちょっとうれしい。

あぁ女性恐怖症はどうした!!って言いたい人もいるだろう。

あれから俺もがんばったんです。今なら同年代の人にも少しなら話しかけられる……と思う。

 

『どうかしたの?』

 

「いや、なんでもないよ」

 

それにユーはとっても温かい感じがする。

 

「それよりユーはこんなところで何してるんだ」

 

『月を見てた』

 

「月?」

 

ユーに言われ夜空を見上げると綺麗な満月が輝いていた。

 

「確かに綺麗だな」

 

『月はいい。優しい光を皆に与えてくれる』

 

哲学みたいだな、と俺はそう思った。

 

「なぁユー、どうしてメモに文字を書いて話すんだ?」

 

そう俺が聞くとユーは俯いてしまった。

もしかしていえない事情とかがあったのだろうか。声がもう出ないとか。

 

「ユーごめん、気に触るような質問しちゃて…。人に話したくないことなんていくらでもあるからな。ほんとごめん」

 

そう、俺にだって…

 

 

するとユーは少し驚いたような目をしてからメモを向けてきた。

 

『いい。気にしてないから。ありがとう』

 

「いいよ、ありがとうなんて、俺が聞いたのが悪いから」

 

『それでも』

 

そのときだ、ユーが震えているのに気づいたのは。

 

「ユーもしかして寒いのか?」

 

『さっき少し雨に降られたから』

 

そうかさっきの通り雨で………よし、

 

「ユー、今から起こる事は誰にも言わないでほしい。いいかな?」

 

『何をするの?』

 

「それは-----」

 

こうするんだ、っと言って俺は翼(・)を出現させた。

 

『!』

 

ユーも目を見開いて驚いている

そりゃそうだ、ただの一般人が翼なんて出したら驚くなって方が難しいだろう。

そうこれが俺が神様からもらった能力。

翼の名前は〔天翼〕、右に3枚、左に3枚の計6枚の翼からなっている。

色は白もびっくりな純白である。

 

「さてと、ユーちょっとこっちに来てくれるかな?」

 

『?わかった』

 

そういってユーが近づく。うわぁやっぱり綺麗だ、それに超かわいい。

っと、そうじゃなかった。

 

「じゃあちょっとじっとしててね」

 

『うん』

 

そう言って俺はその天翼でユーの体を包み込んだ。

 

『とても温かい』

 

「それはよかった」

 

ユーと俺はしばらくこのままの状態を続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

『もう大丈夫。ありがとう』

 

ユーはそう言わなければずっとそうしてかもしれないくらい心地よかった。

 

「温まった?」

 

『うん』

 

そういうとユーはしばらく俯いてからまたメモを見せてきた。

 

『これからは飛翔って呼んでもいい?』

 

これには少々驚いた、確かに前世より顔とか容姿とかイケメンになっていたけど

まだこの世界で女性に名前で呼ばれたことはなかったのだ。

 

 

『だめ?』

 

返事が遅いのを否定と感じたのかユーはそんなことを言ってきた。

 

「いや、女性に名前で呼ばれるの初めてだったから、少しびっくりしただけだよ」

 

『〔私が初めて…〕』

 

「ユー?どうかしたのか、顔が赤いけど…」

 

『なんでもない』

 

「名前なら別にいいよ。ユーに呼ばれても嫌な気全然しないどころか嬉しいし」

 

やばっ、と思い口に手をしたが

 

『?』

 

最後のほうは小声で言ったから聞こえなかったみたいだ。助かった。

 

『じゃあ…飛翔ありがとう』

 

「どういたしまして」

 

ユーといるととても楽しいな。

 

 

 

それからも他愛のない話をして盛り上がった。でも楽しい時間は早く進むもので、

時計を確認すると時間はもう12時を過ぎていた。

 

「ごめんユー、そろそろ帰らないと」

 

『行くの?』

 

そう書いたメモを向けているユーの表情は少し悲しそうだった。

 

「あ、あのさユー」

 

『?』

 

「ユーが嫌じゃなかったら、その、またここに来て話したいけど、いいかな」

 

『!!…私も飛翔と話したい、待ってる』

 

「ありがとう、あっそうだこれよかったら食べて」

 

そう言って俺はユーにファミOキを渡した。えっ、冷めているんじゃないかって?

ふっ、さっき俺の天翼で温めていたから大丈夫…のはず。

 

「じゃあまたねユー」

 

『気をつけて』

 

そう言って俺はその公園を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『〔飛翔、優しかったな〕』

 

そう言いつつ私は飛翔からもらったファミOキを食べる。

 

『〔飛翔になら…嫌ダメ!!飛翔だって私のことを知れば…〕』

 

そういうユーの表情は無表情ながらとても悲しい思いがにじみ出ていた。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。