これはゾンビですか?~純白の翼は飛翔する~《完結》   作:nightマンサー

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第19話 決戦

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユーが居なくなってから1週間ほどたった。

皆、ユーが居なくなってから元気がなくなった様に見える。

それは俺も例外じゃない。

それでも皆この2週間、必死にユーを探した。

だけどユーは冥界に帰ってしまったのか、どこを探しても見つからない。

正直……本当にこれが正しいのか迷ってしまう。

ハルナに背中を押されはしたものの、俺はユーに何かしてあげれるのか?

そんな事を考えていると、ポケットが振動した。

俺はポケットから携帯を取り出して出る。

 

「はい、もしもし。井之上ですけども」

 

「こちら、マテライズ魔法学校のエルスと申します」

 

エルス?この名前確か……

 

「あの、確か公園でお会いした…」

 

「はい、そうです。それで今回はお願いがあってお電話いたしました」

 

「お願い?」

 

と言うかなんで貴方俺の携帯の番号知ってるんだ?

まぁこの人たちに常識は通用しないことはわかってるので、突っ込まない。

 

「はい、それでお願いと言うのは………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか、こんなとこに来るとはなぁ……」

 

そう言って俺は目の前にある巨大な建物を見上げる。

エルスと言う女性のお願いはヴィリエに来てほしいと言うものだった。

ヴィリエに来るのに俺は寝させ〔気絶させ〕られた。ヴィリエへの進入ルートを見せたくないらしい。

それに此処に来るのに5日ほど掛かった。

一般人がヴィリエに来るのにはこれぐらい時間がかかるとエルスが言っていた。

理由は俺が捕まえた〔ヴィリエには見つけた扱いになっている〕ヘレの事でらしい。

詳しくは、俺が見た時にヘレがどんな状況だったかを聞きたかったらしい。

 

「ありがとうございます。これで作業がはかどります」

 

そう言ってエルスはお礼を述べてきた。

 

「いや、別に俺は-----」

 

「あ~、誰かと思えば偽善者様じャないですかァ~」

 

どこかで聞いたような口調、

振り返ってみるとそこには囚人が着るような白黒の服を着ているヘレの姿があった。

後ろには2人の魔装少女が監視のように付いている。

 

「……元気そうだな」

 

「お前、敵だった奴の機嫌まで取る様な奴だったのォ?」

 

「確かにあの時ユーを侮辱したのは許せない……でもお前も被害者なんだって思ったから」

 

「アッハッハッハ!!相変わらずの偽善者っぷりだなァ!!」

 

あの時の激戦が嘘のように打ち解けあえている。

ヘレが笑い、俺も釣られて微笑む。

 

「……腕、大丈夫だったのか?」

 

「アンタのおかげでなァ……」

 

そう言ってヘレは腕を俺に見せる。

治癒魔法が掛けられているのか、腕は緑色に光っていた。

 

「おォ、そうだ。ユークリウッドは元気にしてんのかァ?」

 

「っ!?」

 

「あん?どうかしたのか?」

 

俺の心は相当参っていた様で本音がダラダラと零れる。

 

「……今、ユーとは一緒に居ないんだ」

 

「はァ?あんだけユーのためユーのためって言ってた奴がなんで側にいねェんだよ」

 

「……俺が、ユーを守れなかったから…」

 

それからこれまでの経緯を全て話した。

夜の王が偽メガロを作ったこと、ユーがそれに負い目を感じていたこと、

ユーが……俺たちから離れたこと。

 

「……そうかァ」

 

「俺は……ユーを連れ戻していいか分からない……今の俺にはユーを守る力もない。

そんな俺がユーの側に居てもいいのかなって思うんだよ」

 

スパァン!!!

 

俺がそう言った瞬間、俺の右頬に強い衝撃が走った。

勢いの余り、俺は床に倒れこむ。

 

「テメェ!!ふざけるなよォ!!」

 

床に倒れた俺の胸ぐらを掴む。

2人の魔装少女が止めに入ろうとするが、へレが睨み押しと止まらせる。

 

「お前はそんな甘ッちョろい気持ちでユークリウッドの側に居たのかァ!

私が襲ッたときに叫んでたセリフは嘘だッたのかァ!!

そんな………簡単に砕けちまう決意だッたのかよォ!!!」

 

「!?……でも、俺は---」

 

ヘレは乱暴に俺を突き飛ばし、魔装少女達振り返らずにヘレは言う。

 

「少なくとも……ウァたしを倒した偽善者は、そんな生半可な気持ちじゃなかったと思うぜ」

 

「!?」

 

そこまで言って、ヘレは2人の魔装少女に連れられ歩き出す。

 

〔……そうだ。何弱気になってんだよ、俺!!

あの日、ユーの力を知った時から決意したじゃないか!

ユーにもう悲しい思いはさせない、俺がユーを守るってそう決めたじゃないか!!〕

 

俺はその場に立ち上がる。

 

「ヘレぇ!」

 

「!」

 

驚いたようにヘレは歩みを止める。

 

「ありがとう」

 

「……アッハッハ!!アンタやッぱり偽善者だわ!自分が正しいと思い込んでやがる!!」

 

「ああ、そうだよ。俺はユーを取り戻すのが正しいって、心から思ってるから」

 

「……しッかりやれよ?」

 

「当たり前だ」

 

俺の言葉を最後にヘレは連れて行かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「たっ、大変です!!」

 

ヘレと別れてすぐ別の魔装少女が走りながら何か叫んでいる。

隣にいたエルスがその子に声をかける。

 

「ちょっと、貴方どうしたの?」

 

「そ、それが…」

 

少女は戸惑いながら答えた。

 

 

 

「メガロが、これまでに無い規模で出現してますっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、戻って来られた」

 

俺は数秒で元の世界に戻ってこれた。

来るのには時間が掛かるが、戻るときは逆にほとんど時間を使わなかった。

どういう仕組みだよ、全く……

そんでもって、今は歩の家の玄関前だ。

俺が入ろうとするとドアが開いた。

 

「!?つ、飛翔!お前帰って来たのか!?」

 

「おお!羽の人!!久しぶりだな!!」

 

玄関から出てきたのは歩とミストルティンを持ったハルナだった。

 

「ああ、ヴィリエに居たけどこっちの状況はわかってる。

早いとこメガロを倒さないとな、それに……」

 

「ああ、飛翔の思ってる通り、たぶんユーはこっちに来てる」

 

「そうと決まったらチャッチャと行くぞ!!」

 

そう言ってハルナは走り出す。

俺も行こうと〔天翼〕を広げる。

 

「なぁ、飛翔」

 

「ん?」

 

歩の方を振りかえると、歩は複雑な表情をしていた。

 

「飛翔、お前がヴィリエに行っていた時に、

こっちでもいろいろあって京子を捕まえたんだ」

 

「京子?……ああ、夜の王についていたあの女か」

 

「ああ、それで京子に言われたんだ。

相川さん達がやってることはエゴなんですよ、ありがた迷惑って奴ですよって……

俺は正直、今やってることが正しいかわからねぇ……」

 

そうか、歩も同じ事を……

俺も少し前ならそう思ってた。でも……

 

「確かに……今やろうとしてるのは俺のエゴだろうな」

 

「え?」

 

歩は驚いた表情で俺を見る。

 

「ユーは本当に俺達と居たくないかもしれない。

連れ戻すことが悪いことかもしれない……

それでも、

俺はユーと一緒にいたい、側に居たいんだよ。

例えそれがありがた迷惑だったとしても……少なくとも俺は心からそっちが正しいって思ってるから」

 

「飛翔……」

 

「だから俺は……今だけは自分に正直になりたいんだよ」

 

「……飛翔は強いな」

 

「俺は弱いよ、俺もさっきまではそう考えてたから」

 

ホント、これはヘレに感謝しないとな……

 

「取り戻すよ、必ず!」

 

「ああ!俺も手伝うよ、飛翔!」

 

そう言って俺と歩は動き出す。

 

 

 

「待ってろよぉ!ユー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「400%ォ!!」

 

「通してもらうぞ!!」

 

俺と歩は今東京タワーに向かっている。

歩の話を聞くと、あそこに夜の王と一緒にユーが居るらしい。

それでタワーに向かっているのだが……

 

メェェェ!!

 

ウッキィィ!!

 

パオォォォン!!

 

何時ぞやのゲームセンターの時ぐらい大量にメガロが出てきた。

まるでタワーに行かせない様にしているみたいだ。

 

「クソッ!これじゃタワーに行けねぇ!」

 

「飛翔!!」

 

メガロを殴りつけていた歩が、俺に声をかける。

 

「飛翔は先に行け!ここは俺に任せろ!」

 

「この数相手に1人は危険すぎんだろ!?」

 

俺はそう言うが、歩はどこからか出てきたハルナからミストルティンを受け取っていた。

 

「何言ってんだ、飛翔。俺………ゾンビだぜ?」

 

そう言って歩は聞きなれた呪文を唱える。

 

「ノモブヨ、オシ、ハシタワ、ドケダ、グンミーチャ、デー、リブラ!」

 

ピンクの衣装に身を包んだ歩はミストルティンを構える。

 

「早く行けぇ!飛翔!」

 

「そうだぞ!絶対ネクラマンサーを取り返すんだぞ!!」

 

歩、ハルナ………

 

「……わかった。歩、ハルナ…無事でな」

 

「おう!」 「当たり前だ!!」

 

俺はそう言葉を交わしてタワーへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見えた!」

 

俺は猛スピードで東京タワーへ向かうと、

展望室にユーと夜の王を見つけた。

俺はそのままスピードを落とさずにタワーの窓へと突っ込んだ。

 

ガシャーーーン!!

 

激しく窓の割れる音が室内に響き渡る。

俺はそのまま床に降り立ち、夜の王とユーを見る。

 

「おやおや、これはまた奇抜な登場の仕方だね」

 

夜の王は呆れ半分、驚き半分で俺のことを見ていた。

 

「………」

 

ユーはどこか納得できないと言うような顔だった。

俺はそんなユーに話しかける。

 

「……ユー、一緒に帰ろう?俺、まだ約束のカレー作ってないんだ」

 

俺はユーに話しかける。

 

「そうはいかないよ。既に幕はあがったのだからね」

 

その言葉と同時に外から爆発音が聞こえる。

俺は咄嗟に窓の外を見る。

小さいが……確かに火の手が上がっていた。

 

「今頃外では吸血忍者と魔装少女、それとメガロが暴れているだろう。

ユークリウッド、僕のことが殺したいほど憎いだろ?

その感情のまま僕を殺してくれ」

 

夜の王はユーに自分を殺してほしいと頼んでいる。

だがユーはそうしようとはしない。

 

「まだ、駄目なのかい?君にとって僕は憎いだけの存在じゃないか。

なんで、死なせてくれないんだい?」

 

「……夜の王、どうしてそこまで死のうとしてるんですか」

 

「君にはわからないだろうね……確かに『不死』は魅力的だ。

僕も最初は喜んだ。だが、途端に見えてる世界は色あせてしまったんだよ。

なんでもできるってことがどれだけ悲しいか知ったんだ。

それに……僕はやってはいけないこともした」

 

そう話す夜の王の顔は少し悲しい表情をしていた。

 

『私は、もう友を殺したくない』

 

ユーはメモ帳を夜の王に見せる。

 

「相変わらず優しいんだね、ユークリウッド。

なら……彼を痛めつければ少しは考え直してくれるかな」

 

そう言って夜の王は俺に近づく。

 

「とにかく……ユーを返して貰うぞ!!」

 

そう言って俺は〔天翼〕を夜の王に向けて振る。

しかし黒い霧が出てきたと思ったら、〔天翼〕を防がれてしまった。

 

「君は面白い力を持っているね。でも……まだ未完成だ」

 

夜の王がそうつぶやいたと思ったら、黒い霧が〔天翼〕を弾き飛ばした。

 

「500%!!」

 

「クッ!?」

 

俺は咄嗟に〔天翼〕でガードしたが、俺は向かい側の壁まで吹っ飛んだ。

 

「がはっ!!」

 

口の中に鉄の味が広がる。

それでも俺は態勢を立て直して夜の王に突っ込む。

が、またしても黒い霧に阻まれてしまう。

 

「何度やっても同じだよ、500%!!」

 

「ぐっ!」

 

今度は何とか受け止める事が出来た。

すかさず〔天翼〕で攻撃するが、黒い霧の中を身体が移動しているのか全く当たらない。

 

「700%!!」

 

「っ!!?」

 

今度は威力が桁違いの蹴りが俺を襲う。

俺は再び〔天翼〕でガードするが最初のパンチ同様、威力を殺せずにまた壁に激突した。

また口の中に鉄の味が広がる。

そんな俺に夜の王が近づく……

 

「君はその力以外は普通の人間と同じようだね…身体も限界なんじゃないのかい?」

 

確かに夜の王の言うとおりだ。

今までの戦闘では〔天翼〕でガードしきれていた。

だが、これを上回られると俺の身体への負担がデカイ。

ヘレの時みたいに直接身体に攻撃されなくても、これでダメージを負う。

でも……

 

「それが、なんだよ!」

 

俺は再び〔天翼〕を振るい、攻撃する。

だが夜の王には当たらない。

 

「ユーがどんな思いで毎日を過ごしてるか……お前ならわかるだろうが!!」

 

それでも俺は攻撃をやめない。

 

「ユーの笑顔を……お前は知らないのかよ!!」

 

夜の王に向かって叫びつつける。

 

「ユーの優しさが………お前にはわからないのかよ!!」

 

「っ!!?」

 

その言葉を聴いた夜の王の動きが一瞬止まった。

今だ!!

 

「凍てつけ!アブソリュート・ゼロ!!」

 

俺がそう叫ぶと同時に、室内のほとんどが凍った。

これはゲーセンの帰りにメガロとの戦いで見たのを俺が自分で出来るように特訓したのだ。

もちろん夜の王も腰の少し上まで凍っている。

 

「こんなことをしても無駄だよ………!?」

 

そう夜の王は言ったが、数秒後驚いた表情をする。

 

「何故だ、何故霧を生み出せない!?」

 

「簡単だ、霧って言うのは小さな水粒が空中に浮かんでできるんだ。

俺の〔天翼〕で今この空間は常に冷やされ続けてる。

水粒にならず、氷にまでなるからもうお前の霧は出せない」

 

「……ふっ、わかってないね。

こんな氷、僕の力を使えば簡単に砕くことが出来るよ?」

 

「それもわかってる。ただ俺は……貴方を助けたいんだ」

 

「助ける……?」

 

俺は俺に出来る真剣な眼で夜の王を見る。

 

「さっき貴方言いましたよね、やってはいけないこともしたって……

本当はその罪滅ぼしをしようとしてるんじゃないんですか?」

 

「!?……何を根拠に」

 

「だって貴方、ユーと居た時……ずっと悲しい顔してたじゃないですか」

 

「……」

 

夜の王は何も言わない。

 

「京子とか言う女を使って話してきた時も、

ゲームセンターの帰りであった時も、

そして今も……」

 

「……僕はね、ユークリウッドに殺してほしくて彼女の大切な人を殺したんだよ」

 

夜の王は淡々と話す。

 

「確かに……もしかしたら僕の中に罪の意識も有ったかもしれない。

でもそれがどうしたって言うんだい?

例えそんな気持ちがあったとしても過去は過去。

この事件を起こしたのも僕だし、ユークリウッドに憎まれる存在であることが変わるわけじゃない。

僕はこのまま死にた---」

 

「ふざけるなよ!!」

 

俺はそう言って夜の王の胸ぐらを掴む。

 

「確かに今の話ならお前はいけないことをしてる。

でも!これからまだやり直せるだろうが!!お前はただ現実から……ユーから逃げてるだけだ!」

 

「!!」

 

「お前今言ったよな?過去は過去だって。

なら明日は明日だろ!!お前は過去にした過ちをしっかり胸に刻んでるだろ!!

これからそれを償っていけよ!永遠の時間があるならなお更だ!!」

 

 

俺がまだ話そうと思っている。

流石に全力で話しすぎた。

思ってたこと吐き出しただけだから正直ちゃんと伝わったかわからないが……

 

「……ふっ」

 

「?」

 

夜の王はゆっくりと俺の方に顔を向けた。

 

「君の言うとおりだね、さすがユークリウッドと一緒にいるだけある」

 

そう言う夜の王の顔は晴れ晴れしていたと思う。

 

「俺はユークリウッドにたくさん酷い目をあわせてしまったようだ。

今まですまなかった、ユークリウッド」

 

ユーは少し離れたところにいたが、こっちに近づいてきてた。

夜の王とユーが向かい合う。

 

「僕は君にひどいことを散々してきた。

さっきまで僕は殺してほしいとまで言った。でも今は、違う。

許してくれとは言わない、ただ……君に罪滅ぼしがしたい」

 

夜の王は今、ユーに全てをぶつけている。

最初は殺してくれと言っていたのに、今は罪滅ぼしがしたい、と。

それに対するユーの答えは……

 

『罪滅ぼしなんていい』

 

そう書かれていた。

夜の王は仕方が無いという表情をしていた。

だがユーはもう一枚メモを見せてきた。

 

『仲間なんだから』

 

その瞬間、夜の王の眼から涙が溢れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とりあえず足とか腕とか大丈夫?」

 

「ああ、問題ないよ」

 

そう返す夜の王は戦う前に比べて晴れ晴れしていた。

ついでに俺の名前も教えた。君とか言われるのが嫌だったからな。

そう思っていると夜の王が背中を押す。

 

「ユークリウッドと話をしてやってくれ。

彼女の痛みは飛翔でしか癒せないだろうからね」

 

「……わかった」

 

そう言って俺はユーの所へ近づく。

 

「ユー…」

 

ユーはこちらに顔を向けるとメモを見せてきた。

 

『私がいなくて平和だったでしょう?』

 

そんなことが書かれていた。

 

「平和…だったかもしれない。でも……駄目なんだ、ユーが居ないと駄目なんだよ!」

 

『でも私は迷惑になるから』

 

ユーはそれでも引こうとしない。

それでも俺は……

 

「ユーには俺のところに居てほしいんだ!!」

 

俺の突然の大きな声にユーも夜の王さえも目を丸くしていた。

俺はユーに向かって歩き出す。

 

「確かにこれは俺のエゴだよ!ユーのことなんて考えて無いよ!!

………それでも」

 

俺はユーを抱きしめる。

 

「側に……居たいんだよ」

 

『飛翔……』

 

「俺のわがままだってわかってる、でも、それでもやっぱり----」

 

「私も」

 

「え?」

 

俺は驚いた……なぜならユーが”声”に出している。

 

「私も、飛翔の側に居たい」

 

「ユー…」

 

その声を聴いた途端、俺の目から大量の水粒が溢れる。

 

「もう……離さないからな」

 

『うん』

 

「やっと見つけた、大切な宝物なんだ」

 

『うん』

 

俺はその場に泣き崩れそうなのを耐える。

ここで言うんだ、そう俺は決心した。

 

「ユー」

 

『?』

 

「俺な、初めて会ったときからユーの事が------」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く、役に立たない冥界人だわ~」

 

突然の声に俺とユーは声の方に振り向くと…

そこには両腕両足を切り取られ、赤髪の女に頭を踏みつけられている夜の王の姿があった。

 

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