これはゾンビですか?~純白の翼は飛翔する~《完結》 作:nightマンサー
ブシャァァァ!!
辺りの床が真っ赤に染まる。
黒髪の槍の刃の部分も床と同じく赤く染まっている。
「あ~あ、何で邪魔するかな~………
夜の王」
そこには腕から血を流した夜の王がいた。
「よ、るの……おう?」
「あの赤毛の子が掛けた魔法が解けてなかったら、間に合わなかったよ」
そう言って、夜の王は黒髪と向かい合う。
「ったく……死なない奴なんてどうすりゃ良いんだろ?」
「それは僕が知りたかったことだよ。破壊魔ミノリ」
「その2つ名で呼ばれるのは久しぶりだね~」
そう言いながらミノリは槍を振るう。
夜の王は目の前に黒い霧を出して攻撃を防ごうとするが…
「ば~かぁ」
「!」
黒い霧は吹き飛ばされ、夜の王の左腕が吹き飛んだ。
「がっ!?」
「馬鹿は君の方かな」
だが次の瞬間ミノリは後ろへ吹っ飛んだ。
「僕の力をなめてもらっては困るな」
夜の王は黒い霧をミノリの近くにも出しており、
攻撃されなかった右腕を瞬間移動させて殴りつけたらしい。
「へぇ~、意外にやるんだ~。
こっちも一度全力出しておこうかな」
ミノリは槍を構える。
「私がなんで声を取り戻したかったか……わかる?」
「1つは私の力を完全に復活させるため。
私の場合、声が出せないと魔法の威力が半減しちゃうのよね~。
それともう1つは…魔装少女になるためなんだよ」
「!」
「ノモブヨ、オシ、ハシタワ、ドケダ、グンミーチャ、デー、リブラ!」
呪文を唱えた瞬間、ミノリの服装は赤を基本としたドレスへと変化した。
「まぁ、これでもうあんた等に勝ち目はないよ~」
そう言った瞬間ミノリが消えた。
次にミノリの姿を見た時は、既に槍を夜の王に刺していた。
「ぐっ!速い!?」
「まだまだ~、こっからだよ?
ワン・ハンドレット・ブレイク!!」
キィィィィン!!
瞬間、甲高い音と共に夜の王の身体が砕け散った。
「夜の王!」
「くっ…」
夜の王は黒い霧を出して、自分の身体を治し始めた……が、
「させないよ」
ミノリは夜の王の治している部分を魔法で氷付けにした。
「可愛い顔して酷い事するね」
「アンタを殺すことが出来ない以上、そこで大人しくしてて貰うよ~」
そう言ってミノリは俺の方へ歩き出す。
「多少邪魔が入ったけど……これで終わりね」
再び槍を俺に向けて振り下ろしてきた。
「ぐっ!?」
俺は何とかそれを転がって避ける。
「あ~あ~、全く……手間掛けさせないでよね」
ミノリは不機嫌そうに俺の方に近づいてくる。
俺は立とうと身体に力を入れるが、
さっき避けたので身体がさらに悲鳴をあげたのだ……正直立つのも難しい。
「さて、アンタを殺した後は残りも掃除しないとね~」
「!」
ミノリは俺の後方にある、今も結界に閉じ込められているユー達を見ながらそう言った。
「させ……な…い」
「は?」
俺はその場に立ち上がる。
「お前に……俺の、なかま……に、てだしは……させ、ねぇ…」
「アンタ何度そんな事言えば気が済むのよ、私の攻撃でもう立つことすら精一杯のくせに。
マジでウザクなってきたわ……いいわ、これでぜ~んぶぶっ壊してやるからさぁ!!!」
ミノリは呪文を唱えだす。
それに呼応してミノリの周りに大量の魔力が溢れる。
「セエカト、ヘムヲ、キテガワ、ヨラカ、チルス……」
俺は何とか立つことができたが、〔天翼〕も無い俺にアイツの攻撃を止める手段は無い。
〔たとえそうでも……〕
俺は結界の前に立つ。
〔最後まで皆を……ユーを守る!!〕
「……イカハヲ、テベス!!!」
ミノリの槍から魔力光線が放たれた。
「「飛翔ぁ!!」」
「羽の人ぉ!」
歩達が叫ぶ。
「飛翔ぁぁぁぁぁ!!!!」
ユーも声を出してる。
〔悪い、皆…〕
俺は光に包まれた。
ミノリが放った魔力光線は周りにあったものを破壊した。
壁や天井は吹き飛び、展望室は無残な姿になった。
……ただ1人を除いて。
「なんだ、アレは!?」
魔力光線を放った本人のミノリにも訳がわからなかった。
全てを破壊したと思ったら、さっきまであの男が立っていた所が黒い物に包まれている。
おかげで黒い部分の後ろ……ユー達は無傷でいた。
「間に合ったみたい……だね」
ミノリが声がした方を振り向くと、そこには苦しそうにしている夜の王が居た。
「夜の王……アンタの仕業か?」
「そうだ。飛翔の力は未完成だった、
それを僕の黒い霧の力を全て注ぎ込んで完成に近づけた。それだけの事さ」
「てめぇ!!」
ミノリは夜の王に向かって槍を振り下ろそうとするが、
それと同時に後ろから大きな音。
「!?」
慌ててミノリが振り向くと、
そこには漆黒の翼を6枚持つさっきの男が立っていた。
俺の身体が光に包まれた瞬間、目の前が真っ暗になった。
次の瞬間、俺の身体の中に何かがドンドン入ってきた。
〔汝は何を望む〕
〔のぞ…み?〕
〔そうだ。汝の望みはなんだ)
〔俺の望みは、たった一つだ。
皆を……俺の大好きなユーを守る力がほしい〕
〔その願い、叶えられる。しかしその望みはお前を殺すかも知れん〕
〔構いません。俺、覚悟だけはありますから…〕
〔いいだろう。我が漆黒の力、存分に使うがいい〕
視界が開ける。
「これ、は?」
俺は自分の姿を確認する。
千切れたはずの〔天翼〕が元に戻っていた。
それも真っ黒……漆黒と言うのがピッタリな色に変わって。
「ふ、アハハ!な~んだ、
どうなるのかと思えばただ色違いの羽が生えただけじゃね~かよ!!」
そう言ってミノリは槍を振りかぶる。
「とにかくこれで……終わりだぁ!」
そのまま勢いよく槍を振るった。
俺は咄嗟に色の変わった〔天翼〕でガードした。
〔しまった!このままじゃまた千切れて…〕
ガキィィィン!!
「なっ!?」
声を上げたのは俺。
なぜならさっきはこの攻撃で純白の〔天翼〕はズタズタにされたのだ。
だが……
「傷ついて、ない?」
「な、なんだと!?一体どういうことだぁ!!?」
ミノリも口調が壊れた驚きの声を上げた。
この漆黒の〔天翼〕には切り傷1つ付いていなかった。
「これなら……いける!!」
俺は漆黒の〔天翼〕……〔黒翼〕を広げる。
「ちぃ!?調子に乗るんじゃねぇよ!!」
ブオンッ、ブオンッ、ブオンッ!
ミノリは槍を眼にも止まらぬ速さで振るう。
ガキン!ガキン!
さっきまでの〔天翼〕は2発で粉々だったのに、今の〔黒翼〕は5発受けても無傷だ。
そのまま俺は〔黒翼〕を振るい、ミノリに攻撃する。
ガキィィィン!!
俺の〔黒翼〕とミノリの槍が交差する。
「くっそがぁ!なんなんだよお前はよぉ!!私の邪魔しやがってよぉ!!」
ガキィ、ガキィ!
〔黒翼〕と槍が凄まじい勢いで打ち合う。
「私は、全てを壊すんだ!!敵も、味方も……私の立ちふさがる者全てをぶっ壊すんだよ!!!」
ミノリの攻撃は激しさを増す。
それでも……
「お前がどんなに壊そうとしようが……俺は、大切な人を守るんだ!!」
俺は空中に飛び、〔黒翼〕を目一杯広げる。
「ダークネス・スピア!!」
言葉と共に6枚の〔黒翼〕から赤黒い光線を放つ。
その光線がミノリを襲う。
「そんな物、私の攻撃でぇ!!」
ミノリも槍を振るい、同じ数の光線を出す。
バキュン、バキュン!!
互いの技が衝突しあう。
「ぐぅ!?」
それでも俺の光線の方が威力が強く、ミノリの身体に光線がかする。
傷口を押さえつつ、ミノリは槍を構える。
「私は負けるわけにはいかねぇんだよぉぉぉ!!!!」
ミノリは耳に付けていたイヤリングを握り、壊した。
瞬間ミノリの周りに赤いオーラが纏う。
「イヤリングに溜めてた魔力全部使って、私の最大級の魔法でぶっ壊してやる!!!」
ミノリは槍の先端を俺に定める。
「それとも避けるかぁ?避ければ魔法の反動でこの町くらい簡単に消し飛ぶぜぇ!!!」
ミノリは俺が避けられないように言ってくる。
「俺は、守ると決めたんだ……だから、俺は避けない」
俺は今までに無いくらい目一杯〔黒翼〕を広げる。
「くたばれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
「スカーレッド・クラッシャぁぁぁぁぁぁ!!!」
真っ赤な光線が俺に向かって放たれる。
「俺は……守り抜くんだぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ブラック・デス・インパクトぉぉぉぉぉぉ!!!」
漆黒の光線がそれに向かって放たれる。
ドガァァァァァァ!!!
互いの技がぶつかり合う。
「「おおぉぉぉぉおぉぉぉぉおおおお!!!!」」
2人とも一歩も引かない。
だが少しづつだが黒い光線が赤い光線を押している。
「く、そう……私は負けるわけにはぁ!!」
「俺だって、負けるわけにはいかねぇェェ!!」
瞬間、赤い光線が消し飛ぶ。
「私は全てを壊すんだぁぁぁぁぁ!!」
黒い光線はミノリを飲み込んだ。
「勝った……のか?」
俺はそのまま展望室に降り立つ。
そこには仰向けで倒れているミノリの姿があった。
「やったんだな、俺…」
「飛翔!」
「羽の人!!」
見るとユーを先頭に歩達が俺の方に走ってくる。
夜の王も一緒のようだ。
「みん…な、だい…じょ……う…」
俺はみんなの所へ行こうとしたが、そのまま床に倒れこんだ。
〔やっべ、身体……うごか…な…〕
そのまま俺は意識を失った。
私達の周りに有った結界は、飛翔があの魔装少女を倒したおかげで消えた。
すぐに私は飛翔の側に行こうとした。でも飛翔がこっちを見たと思ったら、そのまま倒れてしまった。
私はすぐにでも飛翔に近づこうとした。
「ユークリウッド、近づいては駄目だ」
でもそれを夜の王が止める。
『なんで!』
「今、彼の身体には大きすぎる力が掛かっていてとても不安定になってる。
そこに膨大な魔力を持ったユークリウッドが近づいたら暴走する恐れがある」
そう言って夜の王が飛翔に近づく。
「僕が責任を持って助ける。彼が受け入れたとはいえ、元々こうなった原因は僕にある。
だから……僕に任せてほしい」
夜の王は私のほうを向いて力強くそう言った。
「夜の王、アンタは一体……」
「僕はユークリウッドを悲しませてしまった。
それなのに彼女は僕の事をまだ仲間だと言ってくれた。
僕はの言葉に報いたいんだ」
『飛翔は助かるの?』
「必ず助けてみせるよ、ユークリウッド」
夜の王はそう言ってくれた。
『……わかった。飛翔を、お願い』
夜の王は頷いた後、飛翔を担いで何処かへ向かっていった。
『〔飛翔、絶対生きて帰ってきて……〕』