これはゾンビですか?~純白の翼は飛翔する~《完結》   作:nightマンサー

6 / 23
第5話 魔装少女

 

 

 

 

「眠いな…」

 

俺こと井之上飛翔は退屈していた。飛翔以外のクラスの人は先生が話すことを真剣に聞いている。

本来ならば飛翔もそうしなければいけないんだろうが、

前世の記憶が残っている飛翔にとって今やっている授業は以前やっているのだ。

そのため知っていることをしゃべられても退屈以外の何ものでもなく………

 

「ZZZ~~」

 

耐え難い睡魔であると言うことだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

キーンコーーン、カーーンコーーーン

 

「ZZZ…………んっ、もう終わりか?」

 

俺はいつの間にか眠っていたようで視界に入ったのは教室から出て行く先生の後姿だった。

さらに言うと、すでに太陽は傾いており放課後の合図であることを示している。

 

「飛翔、お前午後の授業ほとんど寝てただろ。そんなんで大丈夫なのか?」

 

「大丈夫だ。問題ない。〔キリッ」

 

「そっそうか」

 

今話しかけてきたのはクラスメートの織戸。

名前?

…………………………忘れた。織戸って呼びやすいから、

名前呼ばないんだよ。

 

「あれ、そういえば歩は?」

 

「あぁ、相川ならあそこでたそがれてんよ」

 

そう言って織戸は窓側の後ろから2番目の席を指差す。

そこには人生のすべてでも悟ったかのように顎に手を当てている歩の姿があった。

俺は歩に近づく

 

「歩~。さき帰っててもいいか?」

 

俺の言葉に歩は顔を上げてこっちを向く。

 

「ん、あぁ飛翔か。いいぞ別に、俺はもう少ししないと…な」

 

そう言って歩は窓に視線を向ける。

そう、歩はゾンビのため日差しの中を歩けないのだ。

歩こうものならすぐにバタンキューだ。

 

「あぁ、わかってる。悪いな、居候なのに先に家に帰って…」

 

「そんなの全然気にしてねーよ。…それに飛翔はユーのこと心配してんだろ?」

 

「なぁ!!ちょっ!歩!!!!!」

 

「はいはい、わかったから。先帰っていいぞ」

 

「俺何も言ってないんだけど!!」

 

たっ確かに早くユーの顔が見たいとか少しは思ってるけど…///

ほっほら、帰ってから晩御飯の準備しなくちゃいけないだろ!!

 

「じ、じゃあさき帰らせてもらうわ」

 

「んじゃ、俺も帰るわ。またな相川」

 

「おう」

 

そう言われ俺は織戸とともに教室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま~」

 

今しがた織戸と別れて相川家に帰宅。

 

『お帰りなさい』

 

「ただいま、ユー」

 

リビングに来るとユーがテレビでお笑い番組を見ながらお茶をすすっていた。

その光景は、まるで絵画の一部を切り抜いてきたような完成された物のようだ。

 

〔綺麗だな~〕

 

俺はそう思った。出来ればこのままずっと見ていたいな…

 

『どうかしたの?』

 

ユーが首をかしげてこちらを見てくる。

 

「あ!いっいや、なんでもないよ…」

 

『?』

 

ユーはわからないって顔をしてる。

言えない!ユーに見とれて固まってたなんて!死んでも言えん!!

何か、何か話を………あ!

 

「そっそうだユー!晩御飯何が食べたい?」

 

咄嗟の切り替えしだがなかなかだと思う。

ユーは少し考えるようにしてからメモを向けてきた。

 

『満漢全席』

 

えっ……………と………

 

「ごめんなユー。俺、満漢全席なんて作ったことないんだ………。

その代わりカレーじゃ駄目かな?一応味には自身あるけど………」

 

俺はユーに妥協案を出す。無理です、実際俺が作ったことのある料理自体少ないのに、

たぶん両手両足の数で足りると思う。…………マジで。

そう思ってユーを見る。するとユーはメモを向けてきた。

 

 

 

 

 

 

 

『飛翔のカレーは大好き』

 

…………

 

………………

 

………………………

 

はっ!!!思考がフリーズしとった!!いかんいかん。

 

「そっか、よかった。じゃあすぐ作るから少し待っててね〔ニコッ」

 

『!…〔コクコクッ』

 

ユーは頷くとすぐに俯いてしまった。

顔が赤い気がしたけど気のせいかな?

 

 

 

 

 

 

ジャッ、ジャッ、ジャッ、

 

今俺はお米をといでいる。当たり前だろ?

カレーに白米が無いとか何の冗談だよ。

とか思ってると、いつの間にかユーが隣に立って自分の手を見ていた。

 

「あぁ、いいよユーは、手伝わなくて、座ってて」

 

そう俺は言ったがユーは首を横にふる。

 

『手伝いたい』

 

そう言ったユーの瞳は真剣そのものだった。

 

「え、でも」

 

『手伝いたい』

 

再度ユーはメモを突きつけてくる。

でもどうしよう…………うーーん

 

「…じゃあユー、スプーンとか出しておいてくれるかな?」

 

『!…〔コクコクッ』

 

そう俺が言うとユーはトテトテと食器棚に向かっていった。

ホント、優しいなユーは…。

 

「さてと、今日は目いっぱい腕によりをかけて作るぞ!!」

 

といって一人意気込む俺だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、カレーの準備はばっちりだな」

 

「ただいま~。…ん、このにおいは……………カレーか!?」

 

ちょうどカレーの準備が出来たと同時に歩が帰ってきた。

…狙ってやってないよな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「『いただきます』」」

そう言って俺らはカレーにありつく。

…うん。悪くないできだ。今までで一番いいかも。

 

「おぅ!!やっぱ飛翔のカレーはいつ食べてもうまいな」

 

「そう言ってくれると嬉しいよ」

 

クイッ、クイッ、

 

不意に服を引っ張られる。

 

『とてもおいしい、おかわり』

 

「そっか、よかった。ちょっと待ってて」

 

そう言って俺はユーのお皿にカレーを注ぐ。

 

「はい、どうぞ」

 

『ありがとう〔ニコッ』

 

「!?」

 

え!?今ユー笑った?

 

『?』

 

ユーは何事も無かったかのようにカレーと食べ始める。

…………気のせい…かな。

そう思いつつ俺はカレーを食べた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在時刻は11時、晩御飯を終えて俺は今部屋でパソコンをしてる。

〔例の歩を殺した犯人、おそらく魔装少女だろう。ユーは魔力が残っていると言っていたから、

たぶん間違いない。それだとネットの情報は期待できないな。そんなヘマあの輩がするとは考えにくい。となると、やっぱり自分が餌になるのがベスト、か〕

そう思いパソコンをシャットダウンさせる。

コンッ、コンッ

 

「どうぞ~」

 

「あぁ、俺だ」

 

そう言って入ってきたのは歩だ。

 

「今日も行くのか?」

 

行くと言うのは例の犯人探しである。歩はゾンビになって以来、

毎晩犯人を探し回っている。まぁ、現状それがベストだし。

 

「あぁ、飛翔はどうする?」

 

「そうだな………行くよ、ちょっと待っててくれ」

 

「わかった」

 

そう言って歩は部屋から出て行った。

 

「さてと、何か収穫があればいいけど…」

 

そう思い俺は部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日も何もなしか~」

 

「犯人も相当考えてるんだと思うよ」

 

今俺と歩は墓地に来てる。月の明かりで墓石が妙に光っており、

柳の木が風に揺れていてより一層不気味な感じを漂わせている。

歩曰く、ここが静かで落ち着くそうだ。

まぁ、静かなのはわかるけどね…………静か過ぎない?

ふと歩に目を向けると、歩は持っていたペットボトルを空に投げているところだった。

俺と歩はそのペットボトルを目で追っていき…………ってあれ?

影がなんか2つにふえてるんですけど…………

しかも…こっちにおちてくるぅぅぅ!!!

 

「ちょっ!!歩何したの!?」

 

「知るか!!」

 

そうこうしてる内にその2つの影が墓地に落下してきた。

 

ザクッ!!

 

ん?今なんか音が…

辺りを見回すとなぜか歩がピンク色のチェーンソウを握っていた。

何持ってんの歩…………。

しかもおもむろにクレーターに近づいてるし…。

 

「いたたたたた」

 

そう思っているとクレーターの方から声が聞こえた。

目を凝らしてよく見て見ると…………女の子だ。

ピンクを基本としたコスチュームを着た、髪は短髪で色は茶色、

背はユーと同じくらいだろうか?

 

「おい、大丈夫か?」

 

歩が少女に近づく。

おいおいチェーンソウ持ったままとかやばいだろ。

 

「あーーーーーーーーーーーーっ!!!」

 

すると少女は歩を見て大声を上げた。

そりゃそうだ、見ず知らずの男が片手にチェーンソウ持って迫ってんだもん。

誰だってこわが----

 

「あたしの魔装錬器っ返せ!!」

 

って…………はぁ!!

魔装錬器って言ったら、あの俺たちを襲ってきた魔装少女が使ってた代物じゃないか!!!

俺は咄嗟に戦闘態勢に入る。

 

「待て待て、魔装錬器って何だ?」

 

「歩!!早くその子からはな…れ………」

 

そういおうとして俺は固まった、いや歩もだな。

何と少女が着ているコスプレ風コスチュームが光の粒子になって消えた。

……………考えて見よう。服が消えたら人はどうなる?

当然…裸だ。

 

「ほら、早く返せよ」

 

少女は自分の状況に気づいていないようだ。

少女はお構いなしにチェーンソウを取ろうとする…が

 

バチィ!!

 

突然チェーンソウから火花が散り少女は触れることが出来なかった。

 

「うっそ!!なんで!?」

 

少女はもう一度試すが結果は同じ、触れることが出来ない。

 

「それより、着替えとか無いのか?」

 

歩が意を決したように尋ねる。その間俺はずっと顔に手をやってた、

当たり前だろ!?女の子の裸見ちゃ悪いだろ!!

 

「ほえ?」

 

少女は数秒考え………あっ、顔が真っ赤になった。

 

「みっ見るな!!変態!!エOスペシャルが!!」

 

少女は目にも止まらぬ速さで歩にジャンピングキックを決める。

…あれ見てると俺の中の魔装少女のイメージが根本から覆るのだが…。

そんなこと思ってると歩の後ろから何か…!!

 

「歩!!危ない!!」

 

「飛翔?何言って…!?」

 

そう歩が言い終わる前に、歩は墓石めがけて吹っ飛んでいった。

 

「くっ!?いったい何が」

 

そう言いつつ歩は立ち上がる。

ゾンビってホント便利だなおい、痛み感じねーのか?

 

「そいつはB級メガロの凶悪女子高生クマッチだ!!

早く逃げろよな!!じゃないとアンタなんかすぐ殺されちゃうんだからなっ!!」

 

 

そう言うと少女は近くの墓石に隠れた。

まぁ、あの格好じゃ動けないよな。

 

「はぁ、なあ、学ランでいいか?」

 

「はあ!!!アンタ何言って…」

 

歩は頭をかきながら言う。

 

「お前の着替え」

 

「へ?」

 

そういうと歩はクマ〔?〕に向かってダッシュ、

もちろん人間じゃ到底出せないようなスピード。

ゾンビである歩は人間が自らセーブしている力を無理やり引き出すことが出来る。

普通身体が耐え切れないが…歩はゾンビだからそんなことお構いなしだ。

歩はそのままクマ〔?〕の背後に回って

……………首を引きちぎったぁぁ!!グロイよ!!

 

「すごい…B級メガロのクマッチを一撃で…

アンタいったい…」

 

そう言われて歩はこっちに振り返って言う。

 

「俺の名前は相川歩、生ける屍さ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「むぅぅん」

 

少女はさっきのクマッチ〔覚えた〕から強奪した学ランを身にまとい、

さっきからチェーンソウとにらみ合っている。

 

「何で私がミストルティンに拒絶されないといけないんだ」

 

「知るかよそんなこと」

 

歩は少女と話している。俺は少し離れた所で少し考えていた。

〔どういうことだ?ユーからあらかた魔装少女のことは聞いていたけど…

この少女はどうやら敵ではないようだな。……………とりあえず様子を見るか〕

 

「ちょっとアンタ、電話貸して」

 

「電話?えっと…あった」

 

そう言って歩は携帯電話を取り出した。

 

「ちょっ!!何その魔道具」

 

「いや、ただのケータイだけど」

 

「ホントだな!?あたしを騙したらそこのクマッチみたいになるからな!!」

 

そう言って少女はクマッチを指差す。

見てみるとクマッチは光る粒子となって消えている途中だった。

…………いやいや、今の君からそんなこと出来るように見えないんだけど。

それから少女は歩からケータイを借り〔奪っ〕て電話している。

ここからじゃ遠くて聞こえんな。

…あっ終わったっぽい。

 

「アンタ、あたしの魔力奪っただろ!!」

 

少女は電話が終わるや否や歩を指差しそう宣言した。

当然歩は「何言ってんの?」みたいな顔してる。

わかるよ、俺もそうだもん。

 

「と・に・か・く!アンタを魔装少女として任命すっからな!!

よって、アンタは今日から魔装少女だ!!光栄だろ!!」

 

うわ~なんか歩厄介ごとに巻き込まれてんな~。

あぁ、もちろん助けませんよ。何かあるといけないし。

 

「ちょっ!!ちょっと待て!そんな簡単に…」

 

「それから…超ウルトラスーパー不本意だけど、

問題が解決するまでアンタん家に居させてもらうかんな」

 

「俺の話を聞けぇ!!」

 

静まり返った墓地に歩の叫び声がよく響いた。

まぁ、ドンマイだよ、歩。困ったら助けるから。…頑張れ。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。